JP2660332B2 - ヒトm−csfの製造方法 - Google Patents
ヒトm−csfの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬として有用な
ヒトのコロニー刺激因子(Colony-Stimulating Factor,
CSF)の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、造血細胞の増殖、分化には特定
の増殖及び分化因子が必要とされており、最終的に成熟
した各種の血球、例えば赤血球、顆粒球、マクロファー
ジ、好酸球、血小板、リンパ球等になるまでの間には、
数多くの分化、増殖因子が関与している〔三浦恭定著、
血液幹細胞、中外医学社、1983年〕。之等の中で顆
粒球系前駆細胞及びマクロファージ系前駆細胞の増殖、
分化を刺激するものとしてCSFが知られており、かか
るCSFには、顆粒球の形成に特異性を有するG型(G
−CSF)、マクロファージの形成に特異的なM型(M
−CSF)及び顆粒球とマクロファージの両方の形成を
促進するGM型(GM−CSF)が知られている。また
更に多能性幹細胞に作用するCSFとして、マルチCS
F(Multi-CSF :IL−3)も知られている。 【0003】上記CSFは、その生物活性に基づき、癌
化学療法及び放射線療法時の共通した欠点である白血球
の減少を軽減させるものと考えられ、この観点から臨床
研究が行なわれている。 【0004】また、上記CSFは、白血球の機能を促進
させる作用を有することが知られており〔ロペッツら(L
opez,A.F. et al.), J.Immunol., 131, 2983 (1983),
ハンダムら(Handam,E. etal.), 同122, 1134 (1979)及
びバダスら(Vadas,M.A. et al.),同130, 795 (1983)
〕、このことから、種々の感染症の予防及び治療薬と
しての有効性が確認されている。 【0005】更に、CSFの分化誘導作用〔メットカー
フら(Metcalf,D. et al., Int. J.Cancer, 30, 773 (19
82)〕に基づき、該CSFは骨髄性白血病の治療剤とし
て有効性が認められている。 【0006】しかして、CSFは例えば胎児細胞、脾細
胞等の培養液、人尿、種々の株化培養細胞の培養液等に
その活性が認められ、該活性画分として分離、利用され
ているが、いずれの起源のものも該起源に由来する類似
した多量の夾雑物質等の混在及びCSF自体の濃度の低
さが障害となり、その製造面で問題を残しており、均質
性、収量、操作等の面から、医薬品としてのCSFを産
業的に継続して得る手段は、未だ見出されていない。 【0007】本発明者らは、先にCSFを常時均質な状
態で多量産生することのできる、ヒト白血病T細胞由来
の培養株化細胞である「AGR−ON」を確立し、該細
胞に係わる発明を特許出願した(特開昭59−1694
89号公報)。また、本発明者らは、上記AGR−ON
の産生するCSFにつき、更にその精製を重ねた結果、
該CSFを純粋な形で簡単にしかも高収率で収得する方
法を開発し、またかくして得られるCSFの構造的特徴
及び生化学的特徴を解明し、かかる物質としてのCSF
に係わる発明を完成し、特許出願した(特開昭62−1
69799号)。 【0008】上記先の発明に係わるCSFは、M−CS
F、即ち、正常骨髄細胞に作用してマクロファージの分
化増殖を促進させる活性を有する糖蛋白質であって、下
記の理化学的性質を有する点において特徴付けられるも
ので、「AGR−ON・CSF」と呼ばれた。 【0009】a)分子量:非還元条件下でSDSポリア
クリルアミドゲル電気泳動により、33000〜430
00ダルトンであり、非還元条件且つSDS存在下での
ゲル濾過で、23000〜40000ダルトンである、 b)蛋白質部分のN端アミノ酸配列:次の一次構造式で
表わされる配列を有する。 【0010】Val-Ser-Glu-Tyr-Cys-Ser-His-Met-Ile-Gl
y-Ser-Gly-His-Leu-Gln-Ser-Leu-Gln-Arg-Leu-Ile-Asp-
Ser-Gln-Met-Glu-Thr 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、遺伝
子工学的手法によって、容易に且つ大量に新しい組換え
ヒトM−CSFを製造、供給する方法を提供することに
ある。 【0012】本発明者らは、引続く研究において、上記
AGR−ON・CSFの由来細胞であるAGR−ONか
らメッセンジャーRNA(mRNA)を抽出し、該mR
NAからその相補DNA(cDNA)を調製し、上記A
GR−ON・CSFのアミノ酸配列情報に基づいて所望
のM−CSFをコードするcDNAを選択し、該cDN
Aを含むベクターを創製し、該ベクターを宿主細胞に導
入して形質転換体を製造し、これを培養して目的の生物
活性を有するM−CSFの生成を確認するに至り、ここ
に本発明を完成した。 【0013】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
下式(1)のアミノ酸配列の33位Gluから37位G
luのいずれかをN端アミノ酸とし、同185位Thr
をC端アミノ酸とする部分アミノ酸配列をコードする核
酸配列を有するヒトM−CSF遺伝子を含有する組換え
ベクターで形質転換された宿主を培養し、得られるヒト
M−CSFを採取することを特徴とするヒトM−CSF
の製造方法が提供される。 【0014】式(1):Met-Thr-Ala-Pro-Gly-Ala-Ala-
Gly-Arg-Cys-Pro-Pro-Thr-Thr-Trp-Leu-Gly-Ser-Leu-Le
u-Leu-Leu-Val-Cys-Leu-Leu-Ala-Ser-Arg-Ser-Ile-Thr-
Glu-Glu-Val-Ser-Glu-Tyr-Cys-Ser-His-Met-Ile-Gly-Se
r-Gly-His-Leu-Gln-Ser-Leu-Gln-Arg-Leu-Ile-Asp-Ser-
Gln-Met-Glu-Thr-Ser-Cys-Gln-Ile-Thr-Phe-Glu-Phe-Va
l-Asp-Gln-Glu-Gln-Leu-Lys-Asp-Pro-Val-Cys-Tyr-Leu-
Lys-Lys-Ala-Phe-Leu-Leu-Val-Gln-X -Ile-Met-Glu-Asp
-Thr-Met-Arg-Phe-Arg-Asp-Asn-Thr-Pro-Asn-Ala-Ile-A
la-Ile-Val-Gln-Leu-Gln-Glu-Leu-Ser-Leu-Arg-Leu-Lys
-Ser-Cys-Phe-Thr-Lys-Asp-Tyr-Glu-Glu-His-Asp-Lys-A
la-Cys-Val-Arg-Thr-Phe-Tyr-Glu-Thr-Pro-Leu-Gln-Leu
-Leu-Glu-Lys-Val-Lys-Asn-Val-Phe-Asn-Glu-Thr-Lys-A
sn-Leu-Leu-Asp-Lys-Asp-Trp-Asn-Ile-Phe-Ser-Lys-Asn
-Cys-Asn-Asn-Ser-Phe-Ala-Glu-Cys-Ser-Ser-Gln-Asp-V
al-Val-Thr-Lys-Pro-Asp-Cys-Asn-Cys-Leu-Tyr-Pro-Lys
-Ala-Ile-Pro-Ser-Ser-Asp-Pro-Ala-Ser-Val-Ser-Pro-H
is-Gln-Pro-Leu-Ala-Pro-Ser-Met-Ala-Pro-Val-Ala-Gly
-Leu-Thr-Trp-Glu-Asp-Ser-Glu-Gly-Thr-Glu-Gly-Ser-S
er-Leu-Leu-Pro-Gly-Glu-Gln-Pro-Leu-His-Thr-Val-Asp
-Pro-Gly-Ser-Ala-Lys-Gln-Arg-Pro-Pro-Arg-Ser-Thr-C
ys-Gln-Ser-Phe-Glu-Pro-Pro-Glu-Thr-Pro-Val-Val-Lys
-Asp-Ser-Thr-Ile-Gly-Gly-Ser-Pro-Gln-Pro-Arg-Pro-S
er-Val-Gly-Ala-Phe-Asn-Pro-Gly-Met-Glu-Asp-Ile-Leu
-Asp-Ser-Ala-Met-Gly-Thr-Asn-Trp-Val-Pro-Glu-Glu-A
la-Ser-Gly-Glu-Ala-Ser-Glu-Ile-Pro-Val-Pro-Gln-Gly
-Thr-Glu-Leu-Ser-Pro-Ser-Arg-Pro-Gly-Gly-Gly-Ser-M
et-Gln-Thr-Glu-Pro-Ala-Arg-Pro-Ser-Asn-Phe-Leu-Ser
-Ala-Ser-Ser-Pro-Leu-Pro-Ala-Ser-Ala-Lys-Gly-Gln-G
ln-Pro-Ala-Asp-Val-Thr-Gly-Thr-Ala-Leu-Pro-Arg-Val
-Gly-Pro-Val-Arg-Pro-Thr-Gly-Gln-Asp-Trp-Asn-His-T
hr-Pro-Gln-Lys-Thr-Asp-His-Pro-Ser-Ala-Leu-Leu-Arg
-Asp-Pro-Pro-Glu-Pro-Gly-Ser-Pro-Arg-Ile-Ser-Ser-P
ro-Arg-Pro-Gln-Gly-Leu-Ser-Asn-Pro-Ser-Thr-Leu-Ser
-Ala-Gln-Pro-Gln-Leu-Ser-Arg-Ser-His-Ser-Ser-Gly-S
er-Val-Leu-Pro-Leu-Gly-Glu-Leu-Glu-Gly-Arg-Arg-Ser
-Thr-Arg-Asp-Arg-Arg-Ser-Pro-Ala-Glu-Pro-Glu-Gly-G
ly-Pro-Ala-Ser-Glu-Gly-Ala-Ala-Arg-Pro-Leu-Pro-Arg
-Phe-Asn-Ser-Val-Pro-Leu-Thr-Asp-Thr-Gly-His-Glu-A
rg-Gln-Ser-Glu-Gly-Ser-Ser-Ser-Pro-Gln-Leu-Gln-Glu
-Ser-Val-Phe-His-Leu-Leu-Val-Pro-Ser-Val-Ile-Leu-V
al-Leu-Leu-Ala-Val-Gly-Gly-Leu-Leu-Phe-Tyr-Arg-Trp
-Arg-Arg-Arg-Ser-His-Gln-Glu-Pro-Gln-Arg-Ala-Asp-S
er-Pro-Leu-Glu-Gln-Pro-Glu-Gly-Ser-Pro-Leu-Thr-Gln
-Asp-Asp-Arg-Gln-Val-Glu-Leu-Pro-Val 〔式中、XはTyr又はAspを示す。〕本明細書におい
て、ペプチド及びアミノ酸の表示は、IUPACにより
採択されているアミノ酸命名法における略号乃至当該分
野で慣用されているそれに従うものとし、DNA塩基配
列及び核酸の表示も同様とする。 【0015】本発明方法によれば、目的とする新規なヒ
トM−CSFは、これをコードする遺伝子(以下「本発
明遺伝子」という)を利用して、遺伝子工学的手法によ
り、容易且つ大量に製造することができ、前記したごと
く、その生物活性に基づいて、例えば白血球減少を伴う
疾病もしくは病態の予防及び治療薬として、骨髄移植の
補助剤として、各種感染症の予防及び治療薬として、更
に抗癌剤等として、殊に医薬分野で有用である。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明遺伝子につき詳述す
る。 【0017】本発明遺伝子は、例えばM−CSF産生能
を有するヒト細胞、より具体的且つ有利には前記AGR
−ONより分離されたmRNAから調製される。以下、
この調製の詳細をAGR−ONを用いて説明するが、他
の細胞でも同様である。起源細胞として利用されるAG
R−ONは、特開昭59−169489号公報に記載さ
れた特性を有するヒト白血病T細胞由来のヒト培養株化
細胞であり、これはアメリカン・タイプ・カルチャー・
コレクション(ATCC)に「ATCC受託No.CRL
−8199」として受託されている。 【0018】上記AGR−ONからのmRNAの分離
は、基本的には通常の抽出操作に従い実施される。より
詳しくは、上記AGR−ONを、まず例えばCEM培
地、CMRL−1066培地、DM−160培地、イー
グルの最小必須培地(Eagle's MEM )、フイッシャーの
培地(Fisher's Medium )、F−10培地、F−12培
地、L−15培地、NCTC−109培地、RPMI−
1640培地等又は必要に応じて牛胎児血清(FCS)
等の血清やアルブミン等の血清成分を添加した上記培地
で、約1×104 〜1×107 個/mlの濃度範囲で、
通常の培養法例えば炭酸ガス培養法等に従い、約30〜
40℃程度、好ましくは約37℃前後で1〜5日間を要
して培養する。次いで培養上清中にAGR−ON・CS
Fが生産蓄積される時期に、上記培養細胞を、適当な界
面活性剤、例えばSDS、NP−40、トリトンX10
0、デオキシコール酸等を用いて、或いはホモゲナイザ
ーを用いる方法や凍結融解等の物理的方法によって、部
分的又は完全に破壊、可溶化した後、染色体DNAを、
ポリトロン等のミキサーもしくは注射筒を用い、ある程
度せん断し、その後、蛋白質と核酸分画とを分別して全
RNAの抽出を行なう。この操作には、特にフエノール
・クロロホルム抽出もしくは超遠心を用いるCsCl重
層法〔チルグウィンら(Chirgwin,J.M., et al.), バイ
オケミストリー(Biochemistry), 18, 5294 (1979) 〕等
が一般に用いられる。 【0019】また上記各方法においては、RNaseによ
るRNAの分解を防ぐために、RNaseインヒビター、
例えばヘパリン、ポリビニル硫酸、ジエチルピロカーボ
ネート、バナジウム複合体、ベントナイト、マカロイド
等を添加使用することもできる。 【0020】上記抽出操作に従い得られるRNAからの
mRNAの分離、精製は、例えばオリゴdT−セルロー
ス〔コラボレィティブ リサーチ社(Collaborative Re
search Inc.〕、ポリU−セフアロース〔フアルマシア
(Pharmacia)社〕、セフアロース2B〔フアルマシア
社〕等を用いて吸着カラム法又はバツチ法により実施で
きる。 【0021】かくして得られるmRNAからの、目的の
M−CSFに対するmRNAの精製濃縮及び同定は、例
えば得られたmRNAを蔗糖密度勾配遠心等によつて分
画し、その分画につき、蛋白質の翻訳系、例えばアフリ
カツメガエルの卵母細胞への注入やウサギ網状赤血球ラ
イゼート又は小麦胚芽等の無細胞系で蛋白質に翻訳さ
せ、その蛋白質のM−CSF活性を調べることにより実
施でき、かくして目的とするmRNAの存在を確認でき
る。更に目的とするmRNAの確認は、上記M−CSF
の活性測定に代えて、M−CSFに対する抗体を用いる
免疫法によつても行ない得る。 【0022】上記により得られる精製mRNAは、通常
不安定であるため、これを安定なcDNAに変換し、目
的遺伝子の増幅を可能とするために微生物由来のレプリ
コンに接続する。インビトロでの、上記mRNAのcD
NAへの変換、即ち本発明遺伝子の合成は、一般に次の
ようにして行なうことができる。 【0023】即ち、まずオリゴdTをプライマーとし
(このプライマーは遊離のオリゴdTもしくは既にベク
タープライマーに付加されたオリゴdTのいずれでもよ
い)、mRNAを鋳型としてdNTP(dATP、dG
TP、dCTP又はdTTP)の存在下で、逆転写酵素
を用いてmRNAからこれに相補的な一本鎖cDNAを
合成する。次のステツプは、上記において遊離のオリゴ
dTを用いたか、ベクタープライマーに付加されたオリ
ゴdTを用いたかにより、各々以下の如く異なる。 【0024】前者の場合、鋳型としたmRNAをアルカ
リ処理等により分解して除去し、その後一本鎖DNAを
鋳型として逆転写酵素又はDNAポリメラーゼを用いて
二本鎖DNAを作成する。次に得られる二本鎖DNAの
両端をエキソヌクレアーゼで処理し、そのそれぞれに適
当なリンカーDNA又はアニーリング可能な組合せの塩
基を複数付加し、これを適当なベクター、例えばEK系
プラスミドベクターやλgt系ファージベクター等に組込
む。 【0025】また、後者の場合、鋳型としたmRNAを
残存させたまま、上記と同様のリンカーを付与した開環
状プラスミドと、リンカーDNA(しばしば動物細胞で
自立複製できる領域とmRNAの転写プロモーター領域
を含むDNA断片が用いられる)とを、アニーリングさ
せて閉環状とした後、dTNP存在下で、RNase とD
NAポリメラーゼとを共存させて、mRNAをDNA鎖
に置換し、完全なプラスミドDNAを作成できる。 【0026】上記のごとくして得られるDNAは、これ
をベクターの宿主、例えばエシェリヒア コリ(Esheri
chia coli)、バチルス ズブチリス(Bacillus subtil
is)、サッカロミセス セレビシアエ(Saccharomyces
cerevisiae)等の適当な宿主内に導入して、これを形質
転換することができる。このDNAの宿主への導入及び
これによる形質転換の方法としては、一般に用いられて
いる方法、例えば主として対数増殖期にある細胞を集
め、CaCl2 処理して自然にDNAを取り込みやすい
状態にして、プラスミドを取り込ませる方法等を採用で
きる。上記方法においては、通常知られているように形
質転換の効率を一層向上させるためにMgCl2 やRb
Clを更に共存させることもできる。また、宿主細胞を
スフェロプラスト又はプロトプラスト化してから形質転
換させる方法も採用することができる。 【0027】上記により得られる形質転換株から、目的
のM−CSFのcDNAを有する株を選出する方法とし
ては、例えば以下に示す各種方法を採用できる。 【0028】(1)合成オリゴヌクレオチドプローブを
用いるスクリーニング法 目的蛋白質のアミノ酸配列の全部又は一部が解明されて
いる(該配列は、複数個連続した特異的配列であれば、
目的蛋白のどの領域のものでもよい)場合、該アミノ酸
に対応するオリゴヌクレオチドを合成し(この場合、コ
ドン使用頻度を用いて導いた塩基配列又は考えられる塩
基配列の組合せの複数個のどちらでもよく、また後者の
場合、イノシンを含ませてその種類を減らすこともでき
る)、これをプローブ(32P又は35Sでラベルする)と
して、形質転換株のDNAを変性固定したニトロセルロ
ースフィルターとハイブリダイゼーションし、得られた
ポジティブ株を検索して、これを選出する。 【0029】(2)動物細胞でM−CSFを産生させて
スクリーニングする方法 形質転換株を培養し、遺伝子を増幅させ、その遺伝子を
動物細胞にトランスフェクトし(この場合、自己複製可
能でmRNA転写プロモーター領域を含むプラスミドも
しくは動物細胞染色体にインテグレートするようなプラ
スミドのいずれでもよい)、遺伝子にコードされた蛋白
質を産生させ、その培養上清もしくは細胞抽出物のM−
CSF活性を測定するか、又はM−CSFに対する抗体
を用いてM−CSFを検出することにより、元の形質転
換株より目的のM−CSFをコードするcDNAを有す
る株を選出する。 【0030】(3)M−CSFに対する抗体を用いて選
出する方法 予め、cDNAを形質転換株内で蛋白質を発現し得るベ
クターに組込み、形質転換株内で蛋白質を産生させ、M
−CSFに対する抗体及び該抗体に対する第二抗体を用
いて、M−CSF産生株を検出し、目的株を得る。 【0031】(4)セレクティブ・ハイブリダィゼーシ
ョン・トランスレーションの系を用いる方法 形質転換株から得られるcDNAを、ニトロセルロース
フィルター等にブロットし、M−CSF産生細胞からの
mRNAをハイブリダイゼーションさせた後、cDNA
に対応するmRNAを回収する。回収されたmRNAを
蛋白翻訳系、例えばアフリカツメガエルの卵母細胞への
注入や、ウサギ網状赤血球ライゼートや小麦胚芽等の無
細胞系で蛋白質に翻訳させ、その蛋白質のM−CSF活
性を調べるか、又はM−CSFに対する抗体を用いて検
出して、目的の株を得る。 【0032】得られた目的の形質転換株よりM−CSF
をコードするDNAを採取する方法は、公知の方法に従
い実施できる。例えば細胞よりプラスミドDNAに相当
する画分を分離し、該プラスミドDNAよりcDNA領
域を切り出すことにより行ない得る。 【0033】かくして得られるDNAは、本発明遺伝子
の一具体例であり、第3図に示される372のアミノ酸
配列又は第5図に示される554のアミノ酸配列、で特
定されるヒトM−CSF前駆体をコードしている。 【0034】しかして、本発明遺伝子を利用して遺伝子
工学的手法により得られる物質が、ヒトM−CSFの生
物活性を発現するためには、該遺伝子は必ずしも上記D
NA、即ちヒトM−CSF前駆体のアミノ酸配列のすべ
てをコードするDNA配列を有するものである必要はな
く、例えばその部分配列であって、それがヒトM−CS
Fの生物活性発現を可能とする限り、それらのDNAも
また本発明遺伝子に包含される。 【0035】ヒトM−CSFの生物活性発現に、必ずし
も前記式(1)に示す全アミノ酸配列を必要としない事
実は、例えば上記前駆体の一方が、その372番目のア
ミノ酸(Pro)をC端アミノ酸としていること、又は前
記AGR−ON・CSFが、その35番目のアミノ酸
(Val)を、N端アミノ酸としていること、AGR−O
N・CSF製造の際に副産物(マイナー成分)として、
同33番目のアミノ酸(Glu)又は同37番目のアミノ
酸(Glu)をそれぞれN端アミノ酸とする生物活性のM
−CSFが得られること等からも明白である。更に他の
ヘモポエチン間の一次構造上の類似性の知見から、同2
7番目のアミノ酸(Ala)をN端アミノ酸とするM−C
SFも天然に存在すると考えられる〔J.W.Schrader, et
al., Proc. Natl. Acad. Sci.,USA, Vol.83, pp.2458-
2462 (1986) 〕。 【0036】また、後述する実施例に示す通り、前記式
(1)に示すアミノ酸配列における178番目のアミノ
酸(Cys)以降のC末端側のアミノ酸配列は、ヒトM−
CSFの生物活性発現には必ずしも必要でないことも確
認されている。 【0037】従って、本発明遺伝子は、式(1)に示さ
れるアミノ酸配列情報に基づいた、生物活性のヒトM−
CSF分子をコードする新規なDNA配列を有すること
により特徴づけられる。これには、より具体的には、式
(1)に示す全アミノ酸配列をコードするDNAのほ
か、そのN末端側アミノ酸配列の一部、例えばアミノ酸
番号1〜26、1〜32、1〜34及び1〜36の配列
のいずれか、及び/又はそのC末端側アミノ酸配列の一
部、例えばアミノ酸番号178以降の配列の全て又は一
部、を欠失する各々のアミノ酸配列をコードする各DN
A及び之等と実質的に均等なDNAが包含される。 【0038】かかる本発明遺伝子は、上記情報に基づい
て、例えばホスファイト トリエステル法〔Nature, 31
0, 105 (1984) 〕等の常法に従い、核酸の化学合成によ
り製造することもでき、また第3図に示される372
の、又は第5図に示される554の、アミノ酸配列から
なるポリペプチドをコードするDNAを原料として、通
常の方法に従い製造することもでき、特に後者の方法は
簡便であり好適である。 【0039】この372又は554のアミノ酸配列から
なるポリペプチドをコードするDNAを原料とする方法
において、一部DNAの化学合成やDNA鎖の切断、削
除、付加乃至は結合を目的とする酵素処理やDNAの単
離、精製乃至複製、選別等の各種操作乃至手段は、いず
れも常法に従うことができ、本発明遺伝子以外の遺伝子
もしくはDNA鎖について当該分野でよく知られている
各種方法をいずれも採用することができる。例えば上記
DNAの単離精製は、アガロースゲル電気泳動法等に従
うことができ、核酸配列のコドンの一部の改変は、サイ
ト−スペシフィック ミュータジェネシス(Site-Specif
ic Mutagenesis) 〔Proc. Natl. Acad.Sci., 81, 5662-
5666 (1984)〕等に従うことができる。尚、上記におい
て所望のアミノ酸に対応する遺伝暗号の選択は、特に限
定されるものではなく、利用する宿主細胞のコドン使用
頻度等を考慮して常法に従い決定できる。 【0040】また、上記方法に従い得られる本発明遺伝
子のDNA配列の決定及び確認は、例えばマキサム−ギ
ルバートの化学修飾法〔Maxam-Gilbert, Meth. Enzym.,
65,499-560 (1980) 〕やM13ファージを用いるジデ
オキシヌクレオチド鎖終結法〔Messing, J. and V ieir
a,J., Gene, 19, 269-276 (1982)〕等により行なうこと
ができる。 【0041】かくして得られる本発明遺伝子の利用によ
れば、遺伝子組換え技術により、ヒトM−CSFを容易
に且つ大量に製造、収得することができる。 【0042】このヒトM−CSFの製造方法は、上記特
定の本発明遺伝子(DNA)を利用することを除いて、
従来公知の一般的な遺伝子組換え技術に従うことができ
る〔Science, 224, 1431 (1984) ;Biochem. Biophys.
Res. Comm., 130, 692 (1985) ;Proc. Natl. Acad. Sc
i., USA, 80, 5990 (1983) ;EP特許公開第1879
91号公報、Molecular Cloning, by T.Maniatis et a
l., Cold Spring Harbor Laboratory (1982) 等参
照〕。 【0043】より詳細には、本発明遺伝子が宿主細胞中
で発現できるような組換えDNAを作成し、これを宿主
細胞に導入して形質転換し、該形質転換株を培養すれば
よい。 【0044】ここで宿主細胞としては、真核生物及び原
核生物のいずれをも用いることができる。該真核生物の
細胞には、脊椎動物、酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物
細胞としては、例えばサルの細胞であるCOS細胞〔Y.
Gluzman, Cell, 23, 175-182(1981)〕やチヤイニーズ・
ハムスター卵巣細胞のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株
〔G.Urlaub and L.A.Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci.,
USA, 77, 4216-4220 (1980)〕等がよく用いられている
が、之等に限定される訳ではない。脊椎動物細胞の発現
ベクターとしては、通常発現しようとする遺伝子の上流
に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポ
リアデニル化部位及び転写終了配列等を保有するものを
使用でき、これは更に必要により複製起点を保有してい
てもよい。該発現ベクターの例としては、SV40の初
期プロモーターを保有するpSV2dhfr〔S.Sabramani,
R.Mulligan and P.Berg, Mol. Cell. Biol., 1, 854-7
64〕等を例示できるが、これに限定されない。 【0045】また真核微生物としては酵母が一般によく
用いられており、その中でもサッカロミセス属酵母が有
利に利用できる。該酵母等の真核微生物の発現ベクター
としては、例えば酸性ホスフアターゼ遺伝子に対するプ
ロモーターを持つpAM82〔A.Miyanohara et al, Pr
oc. Natl. Acad. Sci.,USA., 80, 1-5 (1983)〕等を好
ましく利用できる。 【0046】原核生物の宿主としては、大腸菌や枯草菌
が一般によく用いられている。本発明では例えば該宿主
菌中で複製可能なプラスミドベクターを用い、このベク
ター中に本発明遺伝子が発現できるように該遺伝子の上
流にプロモーター及びSD(シヤイン・アンド・ダルガ
ーノ)塩基配列、更に蛋白合成開始に必要なATGを付
与した発現プラスミドが使用できる。上記宿主菌として
の大腸菌としては、エシエリヒア・コリ(Escherichia
coli)K12株等がよく用いられ、ベクターとしては一
般にpBR322がよく用いられるが、これらに限定さ
れず、公知の各種の菌株及びベクターがいずれも利用で
きる。プロモーターとしては、例えばトリプトフアン・
プロモーター、PL プロモーター、lac プロモーター、
lpp プロモーター等を使用することができ、いずれの場
合にも本発明遺伝子を発現させることができる。 【0047】宿主細胞として、COS細胞を用いる場合
を例にあげると、発現ベクターとしては、SV40複製
起点を保有し、COS細胞において自律増殖が可能であ
り、更に転写プロモーター、転写終結シグナル及びRN
Aスプライス部位等を備えたものを用いることができ、
例えば後記実施例に示すプラスミドpcDEを用いる場
合、SV40初期遺伝子プロモーター下流に位置する制
限酵素EcoRI部位に、本発明遺伝子を連結することに
より、目的とする発現プラスミドを得ることができる。 【0048】かくして得られる所望の組換えDNAの宿
主細胞への導入及びこれによる形質転換の方法として
は、一般に用いられている方法が採用でき、例えば上記
プラスミドpcDEに目的遺伝子が挿入された発現プラ
スミドは、DEAE−デキストラン法やリン酸カルシウ
ム−DNA共沈澱法等により、COS細胞に取込ませる
ことができ、かくして所望の形質転換細胞を容易に得る
ことができる。 【0049】かくして得られる所望の形質転換体は、常
法に従い培養することができ、該培養により生物活性の
ヒトM−CSFが生産、蓄積される。該培養に用いられ
る培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される
各種のものを適宜選択でき、例えば上記COS細胞であ
れば、RPMI−1640培地、ダルベッコの修正イー
グル最小必須培地(Dulbecco's modified Eagle's MEM
)等の培地に必要に応じ牛胎児血清(FCS)等の血
清成分を添加したものを使用できる。 【0050】上記により、形質転換体の細胞内又は細胞
外に生産されるM−CSFは、該M−CSFの物理的性
質、化学的性質等を利用した各種の分離操作(「生化学
データーブックII」、1175〜1259頁、第1版第
1刷、1980年6月23日、株式会社東京化学同人発
行参照)により、それらより分離、精製することができ
る。該方法としては、具体的には例えば通常の蛋白沈澱
剤による処理、限外濾過、分子ふるいクロマトグラフィ
ー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換
クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ
ー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の各種
液体クロマトグラフィー、透析法、之等の組合せ等を例
示できる。 【0051】特に好ましい分離方法においては、まず培
養上清より予め目的とする物質を部分精製する。この部
分精製は、例えば硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、
リン酸ナトリウム等の塩析剤を用いる処理及び/又は透
析膜、平板膜、中空繊維膜等を用いる限外濾過処理等に
より行なわれる。之等の各処理の操作及び条件は、通常
のこの種方法のそれらと同様のものとすればよい。 【0052】次いで上記で得られた粗精製物を、吸着ク
ロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、
ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマ
トグラフィー等に付すことにより、又は之等各操作の組
合せにより、目的物質の活性が認められる画分を収得
し、かくして目的物質を均質な物質として単離すること
ができる。 【0053】上記吸着クロマトグラフィーは、例えばフ
エニル−セファロース、オクチル−セファロース等を担
体として実施できる。 【0054】アフィニティクロマトグラフィーは、場合
により例えばConA−セファロース、レンチルレクチン
−セファロース(フアルマシア社製)等の担体を利用し
たクロマトグラフィーにより実施することもできる。 【0055】ゲル濾過は、例えばデキストランゲル、ポ
リアクリルアミドゲル、アガロースゲル、ポリアクリル
アミド−アガロースゲル、セルロース等を素材としたゲ
ル等を用いて実施できる。上記ゲル濾過剤の具体例とし
ては、セフアデックスGタイプ、セフアロースタイプ、
セフアクリルタイプ(以上、フアルマシア社製)、セル
ロファイン(チッソ社製)、バイオゲルPタイプ、同A
タイプ(バイオラド社製)、ウルトロゲルAcA(LK
B社製)、TSKゲルSWタイプ(東洋曹達社製)等の
市販品を例示できる。 【0056】イオン交換クロマトグラフィーは、例えば
ジエチルアミノエチル(DEAE)等を交換基とする陰
イオン交換体を利用したクロマトグラフィーにより実施
できる。 【0057】逆相クロマトグラフィーは、例えばC1 、
C3 、C4 等のアルキル基、シアノプロピル基、フエニ
ル基等の官能基がシリカゲル等の基体に結合された担体
を用いて実施できる。より具体的には例えばC4 ハイポ
アー逆相HPLCカラム(RP−304、バイオラド社
製)を用いて、移動相としてアセトニトリル、トリフル
オロ酢酸(TFA)、水等及び之等の混合溶媒を用いて
実施できる。 【0058】上記方法により、容易に高収率、高純度で
所望の本発明ヒトM−CSFを工業的規模で製造でき
る。 【0059】上記で得られるM−CSFは、これを医薬
として用いるに当り、その有効量を、薬理的に許容され
る通常の無毒性担体と共に含有する薬理組成物の形態に
調製され該形態に応じた各種投与経路で投与される。そ
の製剤形態としては、液状形態例えば溶液、懸濁液、乳
濁液等が通常採用され、之等は一般に経口、静脈内、皮
下、皮内、筋肉内投与されるが、特に之等の形態及び投
与経路に限定されず、上記M−CSFは、他の通常採用
される経口、非経口投与等に適した各種の製剤形態に調
製することもでき、また使用前に適当な担体の添加によ
り液状となし得る乾燥品とすることもできる。各種形態
の製剤の投与量は、所望の薬理効果、疾病の種類、患者
の年齢、性別、疾患の程度等に応じて適宜決定され、特
に限定はないが、通常有効成分とするM−CSFを蛋白
量として約0.001〜1mg/kg/日となる量で1
日に1回乃至数回に分けて投与すればよい。 【0060】 【実施例】以下、本発明遺伝子の製造及びその利用によ
る本発明ヒトM−CSFの製造、その特徴等を、実施例
として挙げて、更に詳述する。 【0061】尚、各例で得られる試料のCSF活性は以
下の方法により測定されるものとする。 【0062】〈CSFの活性測定法〉牛胎児血清(FC
S)20ml、α−培地30ml及び2倍濃度α−培地
20mlを混和して得られる溶液を37℃にて保温し、
その23.3mlを予め50℃に保温した1%寒天(デ
ィフコ社製)溶液10mlと混合して37℃に保温す
る。 【0063】一方BALB/C系マウス大腿骨より採取
した骨髄細胞(BMC)を、ハンクス液で2回洗浄後、
α−培地にて細胞濃度が107 個/mlとなるように調
製し、その1mlを上記37℃に保温してある寒天培地
に加え、よく混和した後、37℃に保温し、次いでその
0.5mlを、予め50μlの供試試料を入れたウェル
(ティッシュカルチャークラスター12、コスター社
製)に加えて手早く混和して室温に放置する。各ウェル
の寒天が固化するのを待って炭酸ガスインキュベーター
に移し、更に37℃で7日間培養する。 【0064】かくして生じたコロニー数を実体顕微鏡を
用いて計測し、CSF活性の指標とする。尚上記で生じ
るコロニーは、形態学的及び酵素化学的観察の結果、い
ずれもマクロファージコロニーであつた。 【0065】 【実施例1】本発明遺伝子の製造 イ) AGR−ON細胞の培養 ヒトT細胞培養株化細胞AGR−ON(ATCC受託N
o.CRL−8199)を、10%新生子牛血清(NC
S)、20mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン
−N′−2−エタンスルホン酸(HEPES)、100
μg/mlストレプトマイシン、100単位/mlペニ
シリンG、50μg/mlゲンタマイシン、5×10-5
M 2−メルカプトエタノール及び1mMグルタミンを
含むRPMI−1640培地〔フローラボラトリー社
製〕にて、約105 細胞/mlの細胞濃度に調製した。
その1lを、200ml容ティッシュ−カルチャ−フラ
スコ〔コーニング社製〕5本にて、37℃で72時間培
養した。 【0066】ロ) mRNAの抽出 上記イ)で得たAGR−ON細胞約5×108 細胞を、
4M−グアニジンチオシアネート溶液〔4M−グアニジ
ンイソチオシアネート、50mMトリス・HCl(pH
7.6)、10mM EDTA、2%ザルコシル(Sar
kosyl )、140mM 2−メルカプトエタノール〕5
0mlに溶解後、60℃に加温しながら、G18G注射
針をつけた50ml注射筒を用いてDNAをせん断し
た。 【0067】この溶液に60℃に加温した等量のフェノ
ール、1/2容量の100mM酢酸ナトリウム(pH
5.2)−10mMトリス・HCl(pH7.4)−1
mMEDTA溶液及び等量のクロロホルム−イソアミル
アルコール(24:1)混合液を加え、60℃の水浴中
で10分間振盪した後、4℃にて3000rpm で15分
間遠心分離した。水層を取り、フェノール−クロロホル
ム抽出を2回、更にクロロホルム抽出を2回行なった
後、2容の冷エタノールを加えて、−20℃で60分間
保持した。4℃にて3000rpm で20分間遠心し、沈
澱したRNAペレットを、100mMトリス・HCl
(pH7.4)−50mM NaCl−10mM ED
TA−0.2%SDS溶液50mlに溶解後、プロティ
ナーゼK〔proteinaseK、メルク社製〕を200μg/
mlの濃度で加え、37℃にて60分間反応させた。6
0℃にて、フェノール−クロロホルム抽出を2回、更に
クロロホルム抽出を2回行なった後、1/10容の3M
酢酸ナトリウム(pH5.2)及び2容の冷エタノール
を加えて、−70℃にて60分間放置した。4℃にて3
000rpm で20分間遠心し、沈澱したRNAペレット
を冷70%エタノールで洗浄後、TE溶液〔10mMト
リス・HCl(pH7.5)及び1mM EDTA〕に
溶解させた。 【0068】かくしてAGR−ON細胞5×108 細胞
から全RNA約5mgを得た。 【0069】次いで、上記で得られた全RNAからmR
NAを取得するために、オリゴ(dT)−セルロース
〔コラボレイティブリサーチ社製〕を用いて、カラムク
ロマトグラフィーを行なった。mRNAの吸着は、10
mMトリス・HCl(pH7.5)−1mM EDTA
−0.5M NaCl溶液を用いて行ない、カラムを同
溶液及び10mMトリス・HCl(pH7.5)−1m
M EDTA−0.1MNaCl溶液にて洗浄後、10
mMトリス・HCl(pH7.5)−1mMEDTAを
用いてRNAを溶出させた。 【0070】上記により、mRNA約110μgを得
た。 【0071】ハ) cDNAライブラリーの作製 上記ロ)で得たmRNA5μgから、cDNAを、cD
NA合成システム〔アマシャム社製〕を利用して合成し
た。 【0072】得られたcDNA約0.6μgを、減圧乾
燥した後、50mMトリス・HCl(pH7.5)−1
0mM EDTA−50mM DTT−40μM S−
アデノシル−L−メチオニン溶液20μlに溶解し、E
coRIメチラーゼ〔ニューイングランドバイオラブ社
製〕16単位を加え、37℃にて15分間反応させた。 【0073】この反応液を70℃で10分間加熱し、反
応を停止させた後、フェノール−クロロホルム抽出を行
ない、抽出液に1/10容の3M酢酸ナトリウム(pH
5.2)及び2.5容のエタノールを加え、−70℃に
て15分間放置した。4℃にて15000rpm で15分
間遠心し、沈澱させたDNAペレットを、50mMトリ
ス・HCl(pH7.5)−10mM MgCl2 −1
0mM DTT−1mM ATP−100μg/mlE
coRIリンカー〔宝酒造社製、5′−GGAATTCC
−3′〕溶液10μlに溶解後、これにT4DNAリガ
ーゼ〔宝酒造社製〕350単位を加え、14℃にて16
時間反応させた。 【0074】得られた反応液を70℃で10分間加熱し
て反応を停止させた後、100mMNaCl−50mM
トリス・HCl(pH7.5)−7mM MgCl2 −
10mM DTT溶液16μlと、制限酵素EcoRI
〔宝酒造社製〕40単位とを加え、37℃にて3時間消
化させた。 【0075】反応液に0.5M EDTA(pH8.
0)0.8μlを加え、反応を停止させた後、バイオゲ
ルA50m〔バイオ−ラド社製〕カラムクロマトグラフ
ィーにて、余剰のEcoRIリンカーを除去した。cDN
A画分に、制限酵素EcoRIで消化後、アルカリフォス
ファターゼにて、5′−リン酸基を除去したλgt11
DNA〔プロトクローンGT(Protoclone GT)、プ
ロメガバイオテク社製〕1μg、1/10容積の3M酢
酸ナトリウム(pH5.2)及び2.5容積のエタノー
ルを加え、−70℃にて30分間放置した。4℃にて1
5000rpm で15分間遠心し、沈澱させたDNAペレ
ットを70%エタノールで洗浄後、減圧乾燥し、水7μ
lに溶解させた。 【0076】次に、500mMトリス・HCl(pH
7.5)−100mM MgCl2 溶液2μlを加え、
42℃にて15分間保温した後、室温に戻し、100m
M DTT1μl、10mM ATP1μl及びT4D
NAリガーゼ175単位を加え、14℃で16時間保温
した。 【0077】次に、この反応液10μlにλファージパ
ッケージングエクストラクト〔Packagene system 、プ
ロメガバイオテク社製〕を加え、22℃にて2時間保温
することにより、インビトロでリコンビナントファージ
DNAのパッケージングを行なった。この溶液にファー
ジ希釈緩衝液〔100mM NaCl−10mMトリス
・HCl(pH7.9)−10mM MgSO4 ・7H
2 O〕0.5ml及びクロロホルム25μlを加え4℃
で保存した。 【0078】ニ) cDNAライブラリーのスクリーニ
ング ニ)-1. 合成プローブの作製 AGR−ON培養上清から抽出単離されたAGR−ON
・CSFのアミノ酸配列(N末端より27残基)の情報
に基づいて、合成プローブとして、下記塩基配列を用い
た。 【0079】 Val −Ser −Glu −Tyr −Cys − Ser− His 5′GTG TCG GAG TAC TGT AGC CAC 3′ 3′CAC AGC CTC ATG ACA TCG GTG 5′ 上記式に示した塩基配列に対する相補的な塩基配列(最
下段に示す)を、M−CSFをコードするcDNAを有
するリコンビナントファージの選出のためのプローブと
して利用するため、以下の方法により合成した。 【0080】即ち、N,N−ジアルキルメチルホスホロ
アミダイド誘導体を、縮合ユニツトとして用いた固相ホ
スフアイトトリエステル法〔ネーチヤー(Nature), 310,
105(1984) 〕にて、自動合成機〔380A DNAシ
ンセサイザー,アプライドバイオシステムズ社製〕を用
いて、目的とする完全保護DNAを合成した。続いて該
完全保護DNAを28%アンモニア水で55℃で10時
間処理することにより5′末端のOH基に結合している
保護基としてのDMTr(ジメトキシトリチル)基以外
の保護基(A、G、Cのアミノ基のアシル基をさす)を
脱保護させ、部分保護DNA(DMTr体とよぶ)を得
た。次いでこのDMTr体をODS(山村化学研究所社
製)を担体とする逆相高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)により精製後、80%酢酸を用いて室温で20
分間処理して、粗オリゴヌクレオチドを得た。これをO
DSを担体とする逆相HPLCにより更に精製して、目
的とするオリゴヌクレオチドを得た。 【0081】上記で得たDNA0.8μgを、100μ
lの反応液〔50mMトリス・HCl(pH7.6)、
10mM MgCl2 、10mM 2−メルカプトエタ
ノール、200μCi〔γ−32P〕−ATP)中で、T
4ポリヌクレオチドキナーゼ〔宝酒造〕18単位と、3
7℃にて1時間反応させ、DNAの5′末端を32Pで標
識した。標識されたDNAと未反応の〔γ−32P〕AT
Pを分別するために、バイオゲルP−30〔バイオ−ラ
ド社製〕によるゲル濾過を行なつた。標識DNA画分を
プールし−20℃で保存した。 【0082】得られたプローブの比放射活性は、108
cpm /μgDNA以上であった。 【0083】ニ)-2. プラークハイブリダイゼーション エシェリヒア・コリY1090株を、50μg/mlア
ンピシリン及び0.2%マルトースを含むLB培地〔バ
クトトリプトン10g、バクトイースト抽出物5g及び
NaCl5g/l〕40mlに植菌し、300mlフラ
スコにて37℃で一夜振盪培養した。4℃にて3000
rpm で15分間遠心して菌体を回収し、菌体のペレット
を20mlのSM培地〔100mM NaCl−50m
Mトリス・HCl(pH7.5)−10mM MgSO
4 ・7H2 O−0.01%ゼラチン〕に懸濁させ、4℃
で保存した。 【0084】次に、上記菌液0.3mlに、前記ハ)で
得られたリコンビナントファージ粒子液をSM培地にて
3.5×105 pfu (プラークフォーミングユニット)
/mlに希釈したもの0.1mlを加え、37℃にて1
5分間保温した。続いて、予め47℃に保温しておいた
LB軟寒天培地〔バクトトリプトン10g、バクトイー
スト抽出物5g、NaCl5g、アガロース7g/l〕
7.5mlを加えて混和した後、直径15cmのシャー
レに作ったLB寒天プレート〔バクトトリプトン10
g、バクトイースト抽出物5g、NaCl5g、バクト
寒天15g/l〕に重層し、42℃にて一夜培養した。
尚、同様の操作を合計20枚のシャーレで実施した。 【0085】プラークの出現した寒天プレート上に、直
径132mmのナイロンフィルター〔BNRG132、
ポール社製〕を載せることによって、レプリカフィルタ
ーを作製した。寒天プレートはこれをマスタープレート
として4℃に保存した。 【0086】フィルターを、0.5M NaOH−1.
5M NaCl、0.5Mトリス・HCl(pH7.
5)−1.5M NaCl及び0.3M NaCl−
0.02M NaH2 PO4 (pH7.4)−0.00
2M EDTA(pH7.4)にて順次処理し、風乾
後、真空下に80℃で1時間ベーキングを行なった。 【0087】ベーキング済みのフィルターを、0.75
M NaCl−0.075Mクエン酸ナトリウム−1m
g/mlフィコール−1mg/mlポリビニルピロリド
ン−1mg/mlBSA−10mMリン酸ナトリウム
(pH6.5)−0.2%SDS−0.1mg/mlサ
ーモンスパーム(Salmon Sperm)DNA溶液50ml
中で軽く振盪しながら、42℃にて6時間保温した。次
にフィルターを106 cpm /mlの濃度にプローブを加
えた同液に移し、42℃にて20時間軽く振盪しなが
ら、ハイブリダイゼーシヨンを行なった。 【0088】ハイブリダイゼーシヨンの終わったフィル
ターを取り出し、0.9M NaCl−0.09Mクエ
ン酸ナトリウムにて室温で3回洗浄し、その後、56℃
で同溶液にて5分間洗浄した。 【0089】フィルターを風乾後、増感紙を用いてX線
フイルム〔XR5、コダック社製〕に、−70℃にて2
日間オートラジオグラフィーを行なった。 【0090】フイルムを現像後、シグナル領域に符合す
るプラークをマスタープレートよりかき取り、上記の方
法を繰返してポジティブシグナルを有するプラークの純
化を行ない、最終的に、代表的なポジティブクローンλ
cM5及びλcM11を単離した。 【0091】ホ) クローンの構造解析 λcM5のcDNAの制限酵素地図を作製した。その結
果を第1図に示す。 【0092】第1図より、cDNAは全長約2.5キロ
ベース(kb)であり、その中にはBstEII〔ニューイ
ングランドバイオラブ社〕、NcoI〔宝酒造社〕、Sma
I〔宝酒造社〕、KpnI〔宝酒造社〕、EcoRI〔宝酒
造社〕及びNdeI〔ニューイングランドバイオラブ社〕
により切断される個所がそれぞれ1個所、またScaI
〔宝酒造社〕、StuI〔宝酒造社〕及びBamHI〔宝酒
造社〕により切断される個所がそれぞれ2個所ずつ存在
することが確認された。 【0093】次に、上記cDNAの塩基配列をマキサム
−ギルバートの化学修飾法及びM13フアージを用いる
ジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて決定した。その結
果を、第2図(第2図−1〜第2図−4)に示す。 【0094】第2図より、合成プローブと相補的な領域
が、5′末端より227番目〜247番目に存在(図に
下線を付して示す)した。 【0095】また、λcM5のcDNA中の最長のリー
デイングフレーム(reading frame)を検索したとこ
ろ、これは5′末端より125番目から1240番目の
領域にあり、そのコドンのフレームによる227番目〜
307番目の塩基配列に対応するアミノ酸配列は、AG
R−ON・CSFのN末端27アミノ酸と完全に同一で
あった。このことは、λcM5のcDNAがM−CSF
前駆体蛋白質をコードするcDNAであることを示して
いる。 【0096】以上の結果より、決定されたλcM5のコ
ードするM−CSF前駆体蛋白質の蛋白一次構造を第3
図(第3図−1〜第3図−2)に示す。 【0097】また上記と同様にして決定されたλcM1
1cDNAの塩基配列を第4図(第4図−1〜第4図−
4)に、そのコードするM−CSF前駆体蛋白質の蛋白
一次構造を第5図(第5図−1〜第5図−3)にそれぞ
れ示す。 【0098】 【実施例2】 COS細胞における組換えM−CSF(r−MCSF)
の製造 この例に利用したCOS−1細胞とは、増殖開始点(O
ri)欠損のSV40DNAで、サルの腎細胞CV1をト
ランスフォームさせることによって、SV40初期遺伝
子を発現し、T抗原陽性となった細胞である〔セル(Cel
l), 23, 175-182 (1981)参照〕。 【0099】イ) COS細胞発現ベクターpcDEの
作製 まず、プラスミドpcDV1〔オカヤマら(H.Okayama,
P.Berg, Mol.Cell.Biol., 3, 280-289 (1983) 〕を、制
限酵素KpnIで切断し、次いで5′末端及び3′末端
の突出部分をT4DNAポリメラーゼ〔BRL社〕で削
り平滑末端とした。 【0100】一方、EcoRIリンカー(5′−GGAA
TTCC−3′)〔宝酒造社〕の5′末端を、T4ポリ
ヌクレオチドキナーゼによりリン酸化し、これを先の平
滑末端としたDNA断片に、T4DNAリガーゼを用い
て連結した。連結物を制限酵素EcoRIで切断し、更に
制限酵素Hind IIIで切断し、得られた反応物をアガ
ロースゲル電気泳動に付して、2590ベースペアー
(bp)のEcoRI−Hind IIIDNA断片を単離精製
した。 【0101】また他方、プラスミドpL1〔オカヤマら
(H.Okayama, P.Berg, Mol.Cell.Biol., 3, 280-289 (19
83) 〕を、制限酵素PstI〔宝酒造社〕で切断後、5′
末端及び3′末端をT4DNAポリメラーゼを用いて平
滑末端とし、このDNA断片に、上記と同様にしてEco
RIリンカーを連結させ、得られるDNA断片を制限酵
素Hind IIIにて切断し、反応物をアガロースゲル電
気泳動に付して、580bpのEcoRI−Hind IIID
NA断片を単離精製した。 【0102】得られたDNA断片と先に調製したEcoR
I−Hind IIIDNA断片とを、T4DNAリガーゼ
を用いて連結させて、所望のプラスミドpcDEを得
た。 【0103】以上の概略を第6図に示す。 【0104】ロ) M−CSF発現プラスミドpcDM
・CSFの作製 λcM5DNAを、制限酵素EcoRIで部分消化させ、
得られる反応物をアガロースゲル電気泳動に付し、cD
NA部分(約2.5kb)をEcoRI部分消化断片として
単離精製した。 【0105】上記イ)で得られたCOS細胞発現ベクタ
ーpcDEを制限酵素EcoRIで切断し、これを上記で
調製したcDNA断片にT4DNAリガーゼを用いて連
結させて、所望のプラスミドpcDM・CSFを得た。 【0106】かくして得られたプラスミドを、エシェリ
ヒア・コリHB101株にトランスフォームさせて、目
的のトランスフォーマントを、アルカリ溶菌法〔マニア
ティスら(T.Maniatis et al. Molecular Cloning, pp9
0, Cold Spring Harvor Laboratory (1982) 〕によっ
て、得られるプラスミドDNAの制限酵素分析により選
択した。 【0107】以上の概略を第7図に示す。 【0108】ハ) r−MCSFの製造 上記ロ)で得たpcDM・CSFを、COS−1細胞
に、DEAE−デキストラン法〔Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, Vol.81, p1070 (1984)〕にてトランスフェクト
し、該細胞におけるr−MCSFの生産を以下の通り試
験した。 【0109】即ち、まずCOS−1細胞を、10%牛胎
児血清(FCS)を含むRPMI−1640培地で、約
2.5×105 細胞/mlの細胞濃度に調製し、これを
ティッシュカルチャークラスター6〔コースター社製〕
に、1ウェル当り2mlとなる量で入れて、37℃で一
夜、炭酸ガスインキュベーターにて培養した。 【0110】次いで培地を除去し、RPMI−1640
にて細胞を2回洗浄後、上記ロ)で調製したpcDM・
CSF10μgを含むRPMI−1640培地1ml
〔50mMトリス・HCl(pH7.4)及び400μ
g/mlDEAE・デキストラン(ファルマシァ社製)
を含む〕を加え、炭酸ガスインキュベーター内に4時間
放置した。更に培地を除去した後、RPMI−1640
にて細胞を2回洗浄し、これに150μMクロロキン
〔シグマ社製〕を含むRPMI−1640培地3mlを
加え、3時間培養した。次に培地を除去し、細胞をRP
MI−1640にて洗浄後、10%FCSを含むRPM
I−1640培地にて、37℃で72時間、炭酸ガスイ
ンキュベーター内で培養した。 【0111】かくして得られた細胞培養物より培養上清
及びその抽出物を回収して、之等につき、それぞれの希
釈倍率でのCSF活性を測定した。 【0112】得られた結果を下記表1に示す。尚、表1
には、コントロールとしてpcDM・CSFに代えて、
pcDEを用いて上記と同一操作を行なった結果を併記
する。また各活性測定試験は、同一試料につき各2回行
なった。 【0113】 【表1】 【0114】尚、表1における数値は、プレート当りの
コロニー数(平均値)を示す。以降のCSF活性を示す
表においても同様とする。 【0115】ニ) M−CSF発現プラスミドpcDM
・CSF−185の作製 上記ロ)で得たプラスミドpcDM・CSFを利用し
て、サイト−スペシフィック ミュータジェネシス(Si
te-Specific Mutagenesis )〔Proc. Natl. Acad. Sc
i., 81, 5662-5666 (1984)〕の方法に従って、第3図に
おけるアミノ酸番号186のアミノ酸(Lys)をコード
するコドン(AAG)を、終止コドン(TAG)に置換
して、第3図におけるアミノ酸番号185のアミノ酸
(Thr)をC端アミノ酸とする所望のM−CSF発現プ
ラスミドpcDM・CSF−185を得た。 【0116】その詳細は次の通りである。 【0117】即ち、まずプラスミドpcDM・CSFよ
りEcoRI−EcoRIDNA断片(大きさ1.8kb)を
切り出し、これをM13mp11ファージ(RF)のE
coRIとEcoRIの制限酵素サイトにクローニングし、
これから一本鎖(ss)DNA(M13−CSF)を得、
これをミュータジェネシスの鋳型とした。 【0118】一方、合成オリゴヌクレオチド〔5′−G
TGGTGACCTAGCCTGATT−3′(プライ
マー)〕を、T4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化
した後、上記ssDNA(M13−CSF)とハイブリダ
イズし、アニーリング後、dNTPsの存在下に、DN
AポリメラーゼI(クレノー断片)及びT4DNAリガ
ーゼで各々処理して、15℃で18時間インキュベート
した。 【0119】得られたDNAをJM105コンピテント
細胞にトランスフォームし、生じたコロニーの内50コ
ロニーを、寒天プレート上に植菌し、37℃で18時間
培養した。生育したコロニーを含むフィルターを通常の
方法によりアルカリ変性し、乾燥後、80℃で2時間ベ
ーキング処理した。このフィルターをプレハイブリダイ
ズした後、このものと、上記プライマーの5′末端を32
P−r−ATPでラベルした32P−プローベとを、室温
でハイブリダイズさせた。ハイブリダイズさせたフィル
ターを、6×ssc (saline sodium citrate)で、室温で
10分間、次いで56℃で4分間各々洗浄し、乾燥させ
た後、−70℃で18時間オートラジオグラフィーを行
なった。 【0120】変異したクローンの内から、M13−CS
F−185を選び、これをJM105に感染させて培養
して、ssDNA及びRF DNAを調製した。 【0121】上記で得られたssDNAのM13ジデオキ
シヌクレオチド鎖終結法により、目的とする遺伝子の変
異を確認した。 【0122】また上記JM105で増殖させたRF D
NAよりEcoRI−EcoRI断片を調製し、これを上記
ロ)と同様にして発現プラスミドに組込んで、所望のプ
ラスミドpcDM・CSF−185を得た。 【0123】このプラスミドを用いて、上記ハ)と同様
にして、COS−1細胞でr−MCSFを発現させた。
その結果を下記表2に示す。 【0124】 【表2】 【0125】ホ) M−CSF発現プラスミドpcDM
・CSF−177の作製 プライマーとして5′−GCTGAATGATCCAG
CCAA−3′を用いて、上記ニ)と同様にして、第3
図におけるアミノ酸番号178のアミノ酸(Cys)をコ
ードするコドン(TGC)を終止コドン(TGA)に置
換して、第3図におけるアミノ酸番号177のアミノ酸
(Glu)をC端アミノ酸とする所望のM−CSF発現プ
ラスミドpcDM・CSF−177を得た。 【0126】このプラスミドを用いて、上記ハ)と同様
にして、COS−1細胞でr−MCSFを発現させた結
果を同様にして下記表3に示す。 【0127】 【表3】 【0128】上記表2及び表3に示す結果より、本発明
遺伝子を保有するプラスミドpcDM・CSF−185
及び同pcDM・CSF−177の利用によれば、それ
ぞれM−CSFの生物活性を示す所望のr−MCSFを
発現できることが判る。 【0129】このことから、少なくとも第3図に示すア
ミノ酸配列におけるアミノ酸番号178以降のC端側の
アミノ酸配列は、目的とする生物活性を有するM−CS
F分子の発現には、実質的に影響を及ぼさないことが明
らかである。 【0130】ヘ) 上記ロ)において、λcM5cDN
Aの代わりにλcM11cDNAを用いて、プラスミド
pcDM・CSF11を得た。該プラスミドを用いて、
上記ハ)に従ってr−MCSFを製造し、略同様の結果
を得た。 【0131】即ち、λcM11DNAを、制限酵素Eco
RIで部分消化させ、得られる反応物をアガロースゲル
電気泳動に付し、cDNA部分(約2.5kb) をEcoR
I部分消化断片として単離精製した。 【0132】前記イ)で得られたCOS細胞発現ベクタ
ーpcDEを制限酵素EcoRIで切断し、これを上記で
調製したcDNA断片にT4DNAリガーゼを用いて連
結させて、所望のプラスミドpcDM・CSF11を得
た。 【0133】かくして得られたプラスミドを、エシェリ
ヒア・コリHB101株にトランスフォームさせて、目
的のトランスフォーマントを、アルカリ溶菌法〔マニア
ティスら(T.Maniatis et al. Molecular Cloning, pp9
0, Cold Spring Harvor Laboratory (1982) 〕によっ
て、得られるプラスミドDNAの制限酵素分析により選
択した。 【0134】また、上記λcM11DNAのcDNA
(EcoRI部分消化断片)を、クローニングベクターp
UC19DNA(宝酒造)のEcoRIクローニング部位
に挿入して、プラスミドpUCMCSF・11を得た。
該プラスミドをエシェリヒア・コリHB101株にトラ
ンスフォームさせた形質転換体は、Escherichia coli
HB101/pUCMCSF・11なる名称で、198
7年7月16日に工業技術院微生物工業研究所に微工研
条寄第1409号(FERM BP−1409)として
寄託されている。 【0135】ト) プラスミドpcDM・CSF11を
制限酵素EcoRI及びBstEIIで消化し、約670bp
のEcoRI−BstEIIDNA断片を単離精製した。 【0136】このDNA断片のBstEII切断側に、
5′末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼにてリン酸化
した下記合成DNAリンカー; を連結して得られたDNA断片と、前記したプラスミド
pcDEのEcoRI消化物とをT4DNAリガーゼによ
り連結して、所望のプラスミドpcDM・CSF11−
185を得た。該プラスミドは、上記合成リンカー部位
に翻訳終止コドンTGATAAをもち、従ってプラスミ
ドpcDM・CSF11がコードする第5図に示される
ポリペプチドにおいて、その185番目のアミノ酸(T
hr)をC端アミノ酸とするM−CSFをコードする。 【0137】以上の概略を第8図に示す。 【0138】該プラスミドを用いて、上記ハ)と同様に
して発現させた結果を下記表4に示す。 【0139】 【表4】 【0140】チ) 上記ト)で得たプラスミドpcDM
・CSF11−185を用い、上記ホ)に従って第5図
におけるアミノ酸番号178のアミノ酸(Cys)をコー
ドするコドン(TGC)を終止コドン(TGA)に置換
して、第5図における177番目のアミノ酸(Glu)を
C端アミノ酸とする所望のM−CSF発現プラスミドp
cDM・CSF11−177を得た。該プラスミドを用
いて上記ハ)と同様にして発現させた結果を下記表5に
示す。 【0141】 【表5】 【0142】リ) プラスミドpcDM・CSF11−
185 DNAを、EcoRI及びBamHIで消化してE
coRI−BamHI DNA断片(約680bp)を単離精
製し、これを分泌型発現ベクターpIN−III−Om
pA3〔EMBO J., 3, 2437〜2442 (1984)〕のEcoR
I、BamHIクローニングサイトに挿入して、プラスミ
ドpIN−III−OmpA3−MCSF11−185
を得た。 【0143】該プラスミドDNAをXbaI及びBamHI
で消化してXbaI−BamHI DNA断片(約770b
p)を単離精製し、これを一本鎖DNA調製用のクロー
ニングベクターpUC118DNA〔宝酒造〕のXba
I、BamHIクローニングサイトに挿入して、プラスミ
ドpUC118−OmpA3−MCSF11−185を
得た。 【0144】該プラスミドを用い、前記サイト スペシ
フィック ミュータジェネシスの方法に従い、OmpA
シグナルペプチドのC末端アミノ酸(Ala)をコードす
るコドン(GCC)に、第5図に示すポリペプチドの3
5番目のアミノ酸(Val)をコードするコドン(GT
G)が連結して位置するように改変して、プラスミドp
UC118−OmpA−MCSF11−NV151を得
た。 【0145】即ち、プラスミドpUC118−OmpA
3−MCSF11−185 DNAにてトランスフォー
ムした大腸菌JM105に、ヘルパーファージK07
〔宝酒造〕を感染させ、37℃で14時間振盪培養し、
一本鎖(ss)pUC118−OmpA3−MCSF11
−185DNAを得、これをミュータジェネシスの鋳型
として用い、またプライマーとして5′−TACCGT
AGCGCAGGCCGTGTCGGAGTACTGT
AGC−3′を用いて、上記ニ)と同様にして所望のプ
ラスミドpUC118−OmpA−MCSF11−NV
151を得た。 【0146】該プラスミドDNAをXbaI及びBamHI
で消化してXbaI−BamHI DNA断片(約540b
p)を単離精製し、これを発現ベクターpIN−III
(lppp −5)−A3のXbaI−BamHIサイトに挿入
して、第5図における35番目のアミノ酸(Val)から
185番目のアミノ酸(Thr)までからなるポリペプチ
ド発現用の、所望の分泌型発現プラスミドpIN−II
I(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV15
1を得た。 【0147】以上の概略を第9図−1、2及び3に示
す。 【0148】また、上記分泌型発現プラスミドにコード
されるアミノ酸配列を第10図に示す。第10図中、下
線を付した配列はOmpAシグナルペプチドを、▼はプ
ロセッシング部位をそれぞれ示す。 【0149】ヌ) 上記リ)で得たpIN−III(lp
p p −5)−OmpA−MCSF11−NV151を大
腸菌HB101及びJM109にトランスフォームして
分泌生産を行ない、ペリプラズム画分としてCSF活性
を示す上清を回収した。 【0150】即ち、上記のM−CSF分泌型発現ベクタ
ーを保有する菌株を2l容フラスコにて、50μg/m
lアンピシリンを含有するLB培地500mlにて37
℃で14時間振盪培養した後、遠心(5000rpm 、5
分間、室温)して菌体をペレットとした。 【0151】この菌体ペレットを、50mMトリス・H
Cl(pH8.0)−25%シュークロース溶液50m
lに再浮遊させ、更に250mM EDTA(pH8.
0)を1.25ml加えた後、ゆっくりと振盪しながら
室温に30分間置いた。同様に遠心して得られた菌体ペ
レットを、氷冷した蒸留水25mlに再浮遊させ、ゆっ
くりと振盪しながら、30分間氷冷し、4℃にて、10
000rpm 、5分間遠心して、ペリプラズム画分として
上清を回収した。 【0152】ル) 上記リ)において、pcDM・CS
F11−185の代りにpcDM−CSF11−177
を用いることにより、第5図における35番目のアミノ
酸(Val)から同177番目のアミノ酸(Glu)までか
らなるポリペプチド発現用の所望のM−CSF分泌型発
現プラスミド、pIN−III(lpp p −5)−Omp
A−MCSF11−NV143を得た。 【0153】該プラスミドにコードされるアミノ酸配列
を第11図に示す。第11図中、下線を付した配列はO
mpAシグナルペプチドを、▼はプロセッシング部位を
それぞれ示す。該プラスミドを上記ヌ)と同様にして大
腸菌にトランスフォームさせて、該大腸菌よりペリプラ
ズム画分としてCSF活性を示す上清を得た。 【0154】ヲ) 上記ヘ),ト)、チ)及びヌ)で得
た各上清を、下記条件のHPLCに付した。 【0155】カラム:TSKゲルG3000SW(60
cm×7.5mm直径、東洋曹達工業) 溶離液:0.005%ポリエチレングリコール及び0.
15M NaCl含有PBS 流速:0.8ml/分 フラクション容積:0.8ml/チューブ/分 分子量マーカー(グルタミン酸脱水素酵素:29万、乳
酸脱水素酵素:14.2万、エノラーゼ:6.7万、ア
デニル酸キナーゼ:3.2万、チトクロムC:1.24
万)を基準として、各サンプルにつき、以下の結果を得
た。 【0156】・サンプル:前記ヘ)で得た培養上清の4
mlをセントリコン−10(アミコン社製)にて約15
0μlに濃縮したもの。 【0157】分子量32〜70万(平均48万)に相当
する範囲の溶出画分に、CSF活性を認めた。 【0158】・サンプル:前記ト)で得た培養上清4m
lを上記と同様に処理したもの。 【0159】分子量6.6万から8.6万(平均7.6
万)に相当する範囲の溶出画分に、CSF活性を認め
た。 【0160】・サンプル:前記チ)で得た培養上清4m
lを上記と同様に処理したもの。 【0161】分子量5.2万から8.6万(平均6.7
万)に相当する範囲の溶出画分に、CSF活性を認め
た。 【0162】・サンプル:前記ヌ)で得たペリプラズム
画分の上清2mlを上記と同様にして約110μlに濃
縮したもの。 【0163】分子量3〜4万(平均3.5万)に相当す
る位置に、CSF活性を認めた。 【0164】ワ) 前記ヘ),ト)又はチ)で得た培養
上清の10mlを、1mlのConA−セファロースを充
填したカラムに供した後、PBS−(5ml)にて洗浄
後、0.5Mメチル−α−D−マンノシド含有PBS−
(10ml)にて溶出した。得られた溶出液の4mlを
セントリコン−10にて濃縮し、これを下記SDS−P
AGE用サンプルとした。 【0165】また、前記ヌ)で得たペリプラズム画分の
上清は、これをそのまま、同サンプルとした。 【0166】M−CSFの検出は、SDS−PAGE後
のゲルをウエスタンブロッティングに供し、常法に従っ
て製造したM−CSFに対する家兎抗血清を使用するこ
とにより行なった。 【0167】即ち、SDS−PAGEはレムリの方法
〔Laemmli, U.K., Nature, 277, 680(1970)〕に従い、
ミニスラブ(ゲル濃度15%)を用い、またウエスタン
ブロッティングは、バイオラッド社のトランスブロット
セルを用いて行なった。トランスファーされたニトロセ
ルロース膜を1%牛血清アルブミン含有PBS−にてブ
ロッキング後、M−CSFに対する上記家兎抗血清と反
応させ、更にパーオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギ抗体
(バイオラッド社製)を作用させた。M−CSFバンド
の検出は、かくして得られたニトロセルロース膜と発色
基質である4−クロロ−1−ナフトール液を反応させる
ことにより行なった。 【0168】結果を下記表6に示す。 【0169】 【表6】【0170】カ) プラスミドpSV2−dhfr〔Mol. C
ell. Biol., 1, 854 (1981) 〕を、制限酵素Hind II
IとBamHIにより2つの断片に切断して、ジヒドロ葉
酸還元酵素(DHFR)遺伝子を含む断片を単離精製し
た。 【0171】次に、プラスミドpRSV−CAT〔Pro
c. Natl. Acad. Sci., USA, 79, 6777 (1981) 〕を、同
じくHindIIIとBamHIとで切断してラウス肉腫ウ
イルス(RSV)のLTR(long terminal repeat)部
分を含む断片を単離精製した。 【0172】上記で精製された2種の断片を、T4DN
Aリガーゼを反応させることにより連結させた。 【0173】この反応物を大腸菌HB101コンピテン
トセル(宝酒造)にトランスフォームし、得られたアン
ピシリン耐性を示すコロニーからプラスミドDNAを調
製し、制限酵素地図を作成して、目的のプラスミドpR
SV−dhfrを得た。 【0174】該プラスミドはRSVのLTR部分、DH
FR遺伝子、SV40由来の介在配列とpolyA付加シグ
ナル、更に大腸菌プラスミドpBR322由来の複製開
始点とアンピシリン耐性遺伝子を含有し、上記LTR部
分に含有されるプロモーターのコントロール下にDHF
Rを発現するものである。 【0175】このプラスミドpRSV−dhfrをNdeIと
BamHIとで2つの断片に切断して、DHFR遺伝子を
含む断片を単離精製した。得られたDNA断片を、DN
AポリメラーゼI(クレノウ フラグメント)で処理し
て両末端を平滑末端とした。 【0176】一方、前記ヘ)で得たプラスミドpcDM
・CSF11を、SalIで切断後、この切断部位を同様
にDNAポリメラーゼIで処理して平滑末端とした。 【0177】以上により得られた両断片を、T4DNA
リガーゼを用いて連結させ、この反応物を大腸菌JM1
09コンピテントセルにトランスフォームした。得られ
たアンピシリン耐性を示すコロニーからプラスミドDN
Aを調製し、制限酵素地図を作成して、目的のM−CS
FとDHFRの両遺伝子の発現プラスミドpcDM・C
SF11−dhfrを得た。 【0178】該プラスミドは、M−CSF発現に係わる
SV40由来の初期プロモーター部分、介在配列、M−
CSF遺伝子、polyA付加シグナル、DHFR発現に係
わるRSVのLTR部分、DHFR遺伝子、SV40由
来の介在配列、polyA付加シグナルを含有し、更に大腸
菌プラスミドpBR322由来の複製開始点及びアンピ
シリン耐性遺伝子を含有する。 【0179】以上の概略を第12図−1及び−2に示
す。 【0180】ヨ) 上記で得たプラスミドpcDM・C
SF11−dhfrを用いて、前記ハ)に従って、r−MC
SFを製造した。 【0181】その結果、培養上清のCSF活性は、プレ
ート当たりのコロニー数(平均値)として68(プラス
ミドpcDEを用いた対照は0)であった。 【0182】タ) 75cm2 培養フラスコ(コスター
社製)で培養されたチャイニーズハムスター卵巣dhfr欠
損細胞〔CHO−Dukdhfr−細胞:Proc. Natl. Aca
d. Sci., USA., 77, 4216 (1980) 〕を、常法に従って
トリプシン(フローラボラトリー社製)処理し、10%
透析牛胎児血清(GIBCO 社製)を含むダルベッコ改良最
小必須培地(DMEM培地、GIBCO 社製)に懸濁させ、
同培地にて細胞を洗浄した後、培地を除いた。 【0183】この細胞を、DNA注入溶液(0.25M
マンニトール−0.1mM CaCl2 ・2H2 O−
0.1mM MgSO4 ・7H2 O−0.2mMトリス
HCl、pH7.2、和光純薬工業社製)に懸濁させ
た。 【0184】前記カ)で得たM−CSF発現プラスミド
pcDM・CSF11−dhfrを、ClaIにより切断し、
線状化した後、DNA注入溶液に溶解させた。 【0185】上記の細胞懸濁液200μl(2×106
細胞)とDNA溶液200μl(30μgDNA)を混
合し、融合チャンバーCH−2(島津製作所社製)に入
れ、電気融合装置SSH−1(島津製作所社製)に接続
して、4.2KV/cm2 パルスを1秒間隔で2回繰返
し、電気的に、細胞内にDNAを導入した。 【0186】DNAを導入した細胞を10%透析牛胎児
血清−1%非必須アミノ酸溶液(フローラボラトリーズ
社製)−2%HT溶液(同上社製)−DMEM培地に懸
濁させ、24穴プレート(コスター社製)にて培養し
た。 【0187】48時間培養後、培地を選択培地(10%
透析牛胎児血清及び1%非必須アミノ酸溶液を含むDM
EM培地)に交換し、その後、3〜4日毎に培地を新鮮
なものと交換した。 【0188】10〜14日間培養して得られた約200
クローンの形質転換細胞より50クローンを選んで、常
法通りトリプシン処理後、新しい24穴プレートに移し
た。 【0189】DHFR遺伝子の増幅は、高濃度のメトト
レキセート(MTX)に対する耐性を与え〔J. B. C.,
253, 1357 (1978)〕、同時に形質転換された近接の遺伝
子はMTXにより増幅を示す。 【0190】上記50クローンの形質転換細胞を、20
nM MTXを含む選択培地で培養し続け、増殖のみら
れた耐性クローンをトリプシン処理後、50nM MT
Xを含む選択培地に懸濁させて培養を行なった。同様に
増殖のみられた耐性クローンを、100nM MTXを
含む選択培地で培養し続け、最終的に400nM MT
Xに耐性を示すクローンを得た。 【0191】これらの耐性クローンの培養上清のCSF
活性を下記表7に示す。 【0192】 【表7】 【0193】上記で得たCHO細胞培養上清を、そのま
ま、SDS−PAGEのサンプルとして、前記ワ)と同
様にして、SDS−PAGEによる分子量の検討を行な
った。 【0194】その結果、非還元条件下で9万、還元条件
下で4.4万に相当する位置にM−CSFのバンドが検
出された。
ヒトのコロニー刺激因子(Colony-Stimulating Factor,
CSF)の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、造血細胞の増殖、分化には特定
の増殖及び分化因子が必要とされており、最終的に成熟
した各種の血球、例えば赤血球、顆粒球、マクロファー
ジ、好酸球、血小板、リンパ球等になるまでの間には、
数多くの分化、増殖因子が関与している〔三浦恭定著、
血液幹細胞、中外医学社、1983年〕。之等の中で顆
粒球系前駆細胞及びマクロファージ系前駆細胞の増殖、
分化を刺激するものとしてCSFが知られており、かか
るCSFには、顆粒球の形成に特異性を有するG型(G
−CSF)、マクロファージの形成に特異的なM型(M
−CSF)及び顆粒球とマクロファージの両方の形成を
促進するGM型(GM−CSF)が知られている。また
更に多能性幹細胞に作用するCSFとして、マルチCS
F(Multi-CSF :IL−3)も知られている。 【0003】上記CSFは、その生物活性に基づき、癌
化学療法及び放射線療法時の共通した欠点である白血球
の減少を軽減させるものと考えられ、この観点から臨床
研究が行なわれている。 【0004】また、上記CSFは、白血球の機能を促進
させる作用を有することが知られており〔ロペッツら(L
opez,A.F. et al.), J.Immunol., 131, 2983 (1983),
ハンダムら(Handam,E. etal.), 同122, 1134 (1979)及
びバダスら(Vadas,M.A. et al.),同130, 795 (1983)
〕、このことから、種々の感染症の予防及び治療薬と
しての有効性が確認されている。 【0005】更に、CSFの分化誘導作用〔メットカー
フら(Metcalf,D. et al., Int. J.Cancer, 30, 773 (19
82)〕に基づき、該CSFは骨髄性白血病の治療剤とし
て有効性が認められている。 【0006】しかして、CSFは例えば胎児細胞、脾細
胞等の培養液、人尿、種々の株化培養細胞の培養液等に
その活性が認められ、該活性画分として分離、利用され
ているが、いずれの起源のものも該起源に由来する類似
した多量の夾雑物質等の混在及びCSF自体の濃度の低
さが障害となり、その製造面で問題を残しており、均質
性、収量、操作等の面から、医薬品としてのCSFを産
業的に継続して得る手段は、未だ見出されていない。 【0007】本発明者らは、先にCSFを常時均質な状
態で多量産生することのできる、ヒト白血病T細胞由来
の培養株化細胞である「AGR−ON」を確立し、該細
胞に係わる発明を特許出願した(特開昭59−1694
89号公報)。また、本発明者らは、上記AGR−ON
の産生するCSFにつき、更にその精製を重ねた結果、
該CSFを純粋な形で簡単にしかも高収率で収得する方
法を開発し、またかくして得られるCSFの構造的特徴
及び生化学的特徴を解明し、かかる物質としてのCSF
に係わる発明を完成し、特許出願した(特開昭62−1
69799号)。 【0008】上記先の発明に係わるCSFは、M−CS
F、即ち、正常骨髄細胞に作用してマクロファージの分
化増殖を促進させる活性を有する糖蛋白質であって、下
記の理化学的性質を有する点において特徴付けられるも
ので、「AGR−ON・CSF」と呼ばれた。 【0009】a)分子量:非還元条件下でSDSポリア
クリルアミドゲル電気泳動により、33000〜430
00ダルトンであり、非還元条件且つSDS存在下での
ゲル濾過で、23000〜40000ダルトンである、 b)蛋白質部分のN端アミノ酸配列:次の一次構造式で
表わされる配列を有する。 【0010】Val-Ser-Glu-Tyr-Cys-Ser-His-Met-Ile-Gl
y-Ser-Gly-His-Leu-Gln-Ser-Leu-Gln-Arg-Leu-Ile-Asp-
Ser-Gln-Met-Glu-Thr 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、遺伝
子工学的手法によって、容易に且つ大量に新しい組換え
ヒトM−CSFを製造、供給する方法を提供することに
ある。 【0012】本発明者らは、引続く研究において、上記
AGR−ON・CSFの由来細胞であるAGR−ONか
らメッセンジャーRNA(mRNA)を抽出し、該mR
NAからその相補DNA(cDNA)を調製し、上記A
GR−ON・CSFのアミノ酸配列情報に基づいて所望
のM−CSFをコードするcDNAを選択し、該cDN
Aを含むベクターを創製し、該ベクターを宿主細胞に導
入して形質転換体を製造し、これを培養して目的の生物
活性を有するM−CSFの生成を確認するに至り、ここ
に本発明を完成した。 【0013】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
下式(1)のアミノ酸配列の33位Gluから37位G
luのいずれかをN端アミノ酸とし、同185位Thr
をC端アミノ酸とする部分アミノ酸配列をコードする核
酸配列を有するヒトM−CSF遺伝子を含有する組換え
ベクターで形質転換された宿主を培養し、得られるヒト
M−CSFを採取することを特徴とするヒトM−CSF
の製造方法が提供される。 【0014】式(1):Met-Thr-Ala-Pro-Gly-Ala-Ala-
Gly-Arg-Cys-Pro-Pro-Thr-Thr-Trp-Leu-Gly-Ser-Leu-Le
u-Leu-Leu-Val-Cys-Leu-Leu-Ala-Ser-Arg-Ser-Ile-Thr-
Glu-Glu-Val-Ser-Glu-Tyr-Cys-Ser-His-Met-Ile-Gly-Se
r-Gly-His-Leu-Gln-Ser-Leu-Gln-Arg-Leu-Ile-Asp-Ser-
Gln-Met-Glu-Thr-Ser-Cys-Gln-Ile-Thr-Phe-Glu-Phe-Va
l-Asp-Gln-Glu-Gln-Leu-Lys-Asp-Pro-Val-Cys-Tyr-Leu-
Lys-Lys-Ala-Phe-Leu-Leu-Val-Gln-X -Ile-Met-Glu-Asp
-Thr-Met-Arg-Phe-Arg-Asp-Asn-Thr-Pro-Asn-Ala-Ile-A
la-Ile-Val-Gln-Leu-Gln-Glu-Leu-Ser-Leu-Arg-Leu-Lys
-Ser-Cys-Phe-Thr-Lys-Asp-Tyr-Glu-Glu-His-Asp-Lys-A
la-Cys-Val-Arg-Thr-Phe-Tyr-Glu-Thr-Pro-Leu-Gln-Leu
-Leu-Glu-Lys-Val-Lys-Asn-Val-Phe-Asn-Glu-Thr-Lys-A
sn-Leu-Leu-Asp-Lys-Asp-Trp-Asn-Ile-Phe-Ser-Lys-Asn
-Cys-Asn-Asn-Ser-Phe-Ala-Glu-Cys-Ser-Ser-Gln-Asp-V
al-Val-Thr-Lys-Pro-Asp-Cys-Asn-Cys-Leu-Tyr-Pro-Lys
-Ala-Ile-Pro-Ser-Ser-Asp-Pro-Ala-Ser-Val-Ser-Pro-H
is-Gln-Pro-Leu-Ala-Pro-Ser-Met-Ala-Pro-Val-Ala-Gly
-Leu-Thr-Trp-Glu-Asp-Ser-Glu-Gly-Thr-Glu-Gly-Ser-S
er-Leu-Leu-Pro-Gly-Glu-Gln-Pro-Leu-His-Thr-Val-Asp
-Pro-Gly-Ser-Ala-Lys-Gln-Arg-Pro-Pro-Arg-Ser-Thr-C
ys-Gln-Ser-Phe-Glu-Pro-Pro-Glu-Thr-Pro-Val-Val-Lys
-Asp-Ser-Thr-Ile-Gly-Gly-Ser-Pro-Gln-Pro-Arg-Pro-S
er-Val-Gly-Ala-Phe-Asn-Pro-Gly-Met-Glu-Asp-Ile-Leu
-Asp-Ser-Ala-Met-Gly-Thr-Asn-Trp-Val-Pro-Glu-Glu-A
la-Ser-Gly-Glu-Ala-Ser-Glu-Ile-Pro-Val-Pro-Gln-Gly
-Thr-Glu-Leu-Ser-Pro-Ser-Arg-Pro-Gly-Gly-Gly-Ser-M
et-Gln-Thr-Glu-Pro-Ala-Arg-Pro-Ser-Asn-Phe-Leu-Ser
-Ala-Ser-Ser-Pro-Leu-Pro-Ala-Ser-Ala-Lys-Gly-Gln-G
ln-Pro-Ala-Asp-Val-Thr-Gly-Thr-Ala-Leu-Pro-Arg-Val
-Gly-Pro-Val-Arg-Pro-Thr-Gly-Gln-Asp-Trp-Asn-His-T
hr-Pro-Gln-Lys-Thr-Asp-His-Pro-Ser-Ala-Leu-Leu-Arg
-Asp-Pro-Pro-Glu-Pro-Gly-Ser-Pro-Arg-Ile-Ser-Ser-P
ro-Arg-Pro-Gln-Gly-Leu-Ser-Asn-Pro-Ser-Thr-Leu-Ser
-Ala-Gln-Pro-Gln-Leu-Ser-Arg-Ser-His-Ser-Ser-Gly-S
er-Val-Leu-Pro-Leu-Gly-Glu-Leu-Glu-Gly-Arg-Arg-Ser
-Thr-Arg-Asp-Arg-Arg-Ser-Pro-Ala-Glu-Pro-Glu-Gly-G
ly-Pro-Ala-Ser-Glu-Gly-Ala-Ala-Arg-Pro-Leu-Pro-Arg
-Phe-Asn-Ser-Val-Pro-Leu-Thr-Asp-Thr-Gly-His-Glu-A
rg-Gln-Ser-Glu-Gly-Ser-Ser-Ser-Pro-Gln-Leu-Gln-Glu
-Ser-Val-Phe-His-Leu-Leu-Val-Pro-Ser-Val-Ile-Leu-V
al-Leu-Leu-Ala-Val-Gly-Gly-Leu-Leu-Phe-Tyr-Arg-Trp
-Arg-Arg-Arg-Ser-His-Gln-Glu-Pro-Gln-Arg-Ala-Asp-S
er-Pro-Leu-Glu-Gln-Pro-Glu-Gly-Ser-Pro-Leu-Thr-Gln
-Asp-Asp-Arg-Gln-Val-Glu-Leu-Pro-Val 〔式中、XはTyr又はAspを示す。〕本明細書におい
て、ペプチド及びアミノ酸の表示は、IUPACにより
採択されているアミノ酸命名法における略号乃至当該分
野で慣用されているそれに従うものとし、DNA塩基配
列及び核酸の表示も同様とする。 【0015】本発明方法によれば、目的とする新規なヒ
トM−CSFは、これをコードする遺伝子(以下「本発
明遺伝子」という)を利用して、遺伝子工学的手法によ
り、容易且つ大量に製造することができ、前記したごと
く、その生物活性に基づいて、例えば白血球減少を伴う
疾病もしくは病態の予防及び治療薬として、骨髄移植の
補助剤として、各種感染症の予防及び治療薬として、更
に抗癌剤等として、殊に医薬分野で有用である。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明遺伝子につき詳述す
る。 【0017】本発明遺伝子は、例えばM−CSF産生能
を有するヒト細胞、より具体的且つ有利には前記AGR
−ONより分離されたmRNAから調製される。以下、
この調製の詳細をAGR−ONを用いて説明するが、他
の細胞でも同様である。起源細胞として利用されるAG
R−ONは、特開昭59−169489号公報に記載さ
れた特性を有するヒト白血病T細胞由来のヒト培養株化
細胞であり、これはアメリカン・タイプ・カルチャー・
コレクション(ATCC)に「ATCC受託No.CRL
−8199」として受託されている。 【0018】上記AGR−ONからのmRNAの分離
は、基本的には通常の抽出操作に従い実施される。より
詳しくは、上記AGR−ONを、まず例えばCEM培
地、CMRL−1066培地、DM−160培地、イー
グルの最小必須培地(Eagle's MEM )、フイッシャーの
培地(Fisher's Medium )、F−10培地、F−12培
地、L−15培地、NCTC−109培地、RPMI−
1640培地等又は必要に応じて牛胎児血清(FCS)
等の血清やアルブミン等の血清成分を添加した上記培地
で、約1×104 〜1×107 個/mlの濃度範囲で、
通常の培養法例えば炭酸ガス培養法等に従い、約30〜
40℃程度、好ましくは約37℃前後で1〜5日間を要
して培養する。次いで培養上清中にAGR−ON・CS
Fが生産蓄積される時期に、上記培養細胞を、適当な界
面活性剤、例えばSDS、NP−40、トリトンX10
0、デオキシコール酸等を用いて、或いはホモゲナイザ
ーを用いる方法や凍結融解等の物理的方法によって、部
分的又は完全に破壊、可溶化した後、染色体DNAを、
ポリトロン等のミキサーもしくは注射筒を用い、ある程
度せん断し、その後、蛋白質と核酸分画とを分別して全
RNAの抽出を行なう。この操作には、特にフエノール
・クロロホルム抽出もしくは超遠心を用いるCsCl重
層法〔チルグウィンら(Chirgwin,J.M., et al.), バイ
オケミストリー(Biochemistry), 18, 5294 (1979) 〕等
が一般に用いられる。 【0019】また上記各方法においては、RNaseによ
るRNAの分解を防ぐために、RNaseインヒビター、
例えばヘパリン、ポリビニル硫酸、ジエチルピロカーボ
ネート、バナジウム複合体、ベントナイト、マカロイド
等を添加使用することもできる。 【0020】上記抽出操作に従い得られるRNAからの
mRNAの分離、精製は、例えばオリゴdT−セルロー
ス〔コラボレィティブ リサーチ社(Collaborative Re
search Inc.〕、ポリU−セフアロース〔フアルマシア
(Pharmacia)社〕、セフアロース2B〔フアルマシア
社〕等を用いて吸着カラム法又はバツチ法により実施で
きる。 【0021】かくして得られるmRNAからの、目的の
M−CSFに対するmRNAの精製濃縮及び同定は、例
えば得られたmRNAを蔗糖密度勾配遠心等によつて分
画し、その分画につき、蛋白質の翻訳系、例えばアフリ
カツメガエルの卵母細胞への注入やウサギ網状赤血球ラ
イゼート又は小麦胚芽等の無細胞系で蛋白質に翻訳さ
せ、その蛋白質のM−CSF活性を調べることにより実
施でき、かくして目的とするmRNAの存在を確認でき
る。更に目的とするmRNAの確認は、上記M−CSF
の活性測定に代えて、M−CSFに対する抗体を用いる
免疫法によつても行ない得る。 【0022】上記により得られる精製mRNAは、通常
不安定であるため、これを安定なcDNAに変換し、目
的遺伝子の増幅を可能とするために微生物由来のレプリ
コンに接続する。インビトロでの、上記mRNAのcD
NAへの変換、即ち本発明遺伝子の合成は、一般に次の
ようにして行なうことができる。 【0023】即ち、まずオリゴdTをプライマーとし
(このプライマーは遊離のオリゴdTもしくは既にベク
タープライマーに付加されたオリゴdTのいずれでもよ
い)、mRNAを鋳型としてdNTP(dATP、dG
TP、dCTP又はdTTP)の存在下で、逆転写酵素
を用いてmRNAからこれに相補的な一本鎖cDNAを
合成する。次のステツプは、上記において遊離のオリゴ
dTを用いたか、ベクタープライマーに付加されたオリ
ゴdTを用いたかにより、各々以下の如く異なる。 【0024】前者の場合、鋳型としたmRNAをアルカ
リ処理等により分解して除去し、その後一本鎖DNAを
鋳型として逆転写酵素又はDNAポリメラーゼを用いて
二本鎖DNAを作成する。次に得られる二本鎖DNAの
両端をエキソヌクレアーゼで処理し、そのそれぞれに適
当なリンカーDNA又はアニーリング可能な組合せの塩
基を複数付加し、これを適当なベクター、例えばEK系
プラスミドベクターやλgt系ファージベクター等に組込
む。 【0025】また、後者の場合、鋳型としたmRNAを
残存させたまま、上記と同様のリンカーを付与した開環
状プラスミドと、リンカーDNA(しばしば動物細胞で
自立複製できる領域とmRNAの転写プロモーター領域
を含むDNA断片が用いられる)とを、アニーリングさ
せて閉環状とした後、dTNP存在下で、RNase とD
NAポリメラーゼとを共存させて、mRNAをDNA鎖
に置換し、完全なプラスミドDNAを作成できる。 【0026】上記のごとくして得られるDNAは、これ
をベクターの宿主、例えばエシェリヒア コリ(Esheri
chia coli)、バチルス ズブチリス(Bacillus subtil
is)、サッカロミセス セレビシアエ(Saccharomyces
cerevisiae)等の適当な宿主内に導入して、これを形質
転換することができる。このDNAの宿主への導入及び
これによる形質転換の方法としては、一般に用いられて
いる方法、例えば主として対数増殖期にある細胞を集
め、CaCl2 処理して自然にDNAを取り込みやすい
状態にして、プラスミドを取り込ませる方法等を採用で
きる。上記方法においては、通常知られているように形
質転換の効率を一層向上させるためにMgCl2 やRb
Clを更に共存させることもできる。また、宿主細胞を
スフェロプラスト又はプロトプラスト化してから形質転
換させる方法も採用することができる。 【0027】上記により得られる形質転換株から、目的
のM−CSFのcDNAを有する株を選出する方法とし
ては、例えば以下に示す各種方法を採用できる。 【0028】(1)合成オリゴヌクレオチドプローブを
用いるスクリーニング法 目的蛋白質のアミノ酸配列の全部又は一部が解明されて
いる(該配列は、複数個連続した特異的配列であれば、
目的蛋白のどの領域のものでもよい)場合、該アミノ酸
に対応するオリゴヌクレオチドを合成し(この場合、コ
ドン使用頻度を用いて導いた塩基配列又は考えられる塩
基配列の組合せの複数個のどちらでもよく、また後者の
場合、イノシンを含ませてその種類を減らすこともでき
る)、これをプローブ(32P又は35Sでラベルする)と
して、形質転換株のDNAを変性固定したニトロセルロ
ースフィルターとハイブリダイゼーションし、得られた
ポジティブ株を検索して、これを選出する。 【0029】(2)動物細胞でM−CSFを産生させて
スクリーニングする方法 形質転換株を培養し、遺伝子を増幅させ、その遺伝子を
動物細胞にトランスフェクトし(この場合、自己複製可
能でmRNA転写プロモーター領域を含むプラスミドも
しくは動物細胞染色体にインテグレートするようなプラ
スミドのいずれでもよい)、遺伝子にコードされた蛋白
質を産生させ、その培養上清もしくは細胞抽出物のM−
CSF活性を測定するか、又はM−CSFに対する抗体
を用いてM−CSFを検出することにより、元の形質転
換株より目的のM−CSFをコードするcDNAを有す
る株を選出する。 【0030】(3)M−CSFに対する抗体を用いて選
出する方法 予め、cDNAを形質転換株内で蛋白質を発現し得るベ
クターに組込み、形質転換株内で蛋白質を産生させ、M
−CSFに対する抗体及び該抗体に対する第二抗体を用
いて、M−CSF産生株を検出し、目的株を得る。 【0031】(4)セレクティブ・ハイブリダィゼーシ
ョン・トランスレーションの系を用いる方法 形質転換株から得られるcDNAを、ニトロセルロース
フィルター等にブロットし、M−CSF産生細胞からの
mRNAをハイブリダイゼーションさせた後、cDNA
に対応するmRNAを回収する。回収されたmRNAを
蛋白翻訳系、例えばアフリカツメガエルの卵母細胞への
注入や、ウサギ網状赤血球ライゼートや小麦胚芽等の無
細胞系で蛋白質に翻訳させ、その蛋白質のM−CSF活
性を調べるか、又はM−CSFに対する抗体を用いて検
出して、目的の株を得る。 【0032】得られた目的の形質転換株よりM−CSF
をコードするDNAを採取する方法は、公知の方法に従
い実施できる。例えば細胞よりプラスミドDNAに相当
する画分を分離し、該プラスミドDNAよりcDNA領
域を切り出すことにより行ない得る。 【0033】かくして得られるDNAは、本発明遺伝子
の一具体例であり、第3図に示される372のアミノ酸
配列又は第5図に示される554のアミノ酸配列、で特
定されるヒトM−CSF前駆体をコードしている。 【0034】しかして、本発明遺伝子を利用して遺伝子
工学的手法により得られる物質が、ヒトM−CSFの生
物活性を発現するためには、該遺伝子は必ずしも上記D
NA、即ちヒトM−CSF前駆体のアミノ酸配列のすべ
てをコードするDNA配列を有するものである必要はな
く、例えばその部分配列であって、それがヒトM−CS
Fの生物活性発現を可能とする限り、それらのDNAも
また本発明遺伝子に包含される。 【0035】ヒトM−CSFの生物活性発現に、必ずし
も前記式(1)に示す全アミノ酸配列を必要としない事
実は、例えば上記前駆体の一方が、その372番目のア
ミノ酸(Pro)をC端アミノ酸としていること、又は前
記AGR−ON・CSFが、その35番目のアミノ酸
(Val)を、N端アミノ酸としていること、AGR−O
N・CSF製造の際に副産物(マイナー成分)として、
同33番目のアミノ酸(Glu)又は同37番目のアミノ
酸(Glu)をそれぞれN端アミノ酸とする生物活性のM
−CSFが得られること等からも明白である。更に他の
ヘモポエチン間の一次構造上の類似性の知見から、同2
7番目のアミノ酸(Ala)をN端アミノ酸とするM−C
SFも天然に存在すると考えられる〔J.W.Schrader, et
al., Proc. Natl. Acad. Sci.,USA, Vol.83, pp.2458-
2462 (1986) 〕。 【0036】また、後述する実施例に示す通り、前記式
(1)に示すアミノ酸配列における178番目のアミノ
酸(Cys)以降のC末端側のアミノ酸配列は、ヒトM−
CSFの生物活性発現には必ずしも必要でないことも確
認されている。 【0037】従って、本発明遺伝子は、式(1)に示さ
れるアミノ酸配列情報に基づいた、生物活性のヒトM−
CSF分子をコードする新規なDNA配列を有すること
により特徴づけられる。これには、より具体的には、式
(1)に示す全アミノ酸配列をコードするDNAのほ
か、そのN末端側アミノ酸配列の一部、例えばアミノ酸
番号1〜26、1〜32、1〜34及び1〜36の配列
のいずれか、及び/又はそのC末端側アミノ酸配列の一
部、例えばアミノ酸番号178以降の配列の全て又は一
部、を欠失する各々のアミノ酸配列をコードする各DN
A及び之等と実質的に均等なDNAが包含される。 【0038】かかる本発明遺伝子は、上記情報に基づい
て、例えばホスファイト トリエステル法〔Nature, 31
0, 105 (1984) 〕等の常法に従い、核酸の化学合成によ
り製造することもでき、また第3図に示される372
の、又は第5図に示される554の、アミノ酸配列から
なるポリペプチドをコードするDNAを原料として、通
常の方法に従い製造することもでき、特に後者の方法は
簡便であり好適である。 【0039】この372又は554のアミノ酸配列から
なるポリペプチドをコードするDNAを原料とする方法
において、一部DNAの化学合成やDNA鎖の切断、削
除、付加乃至は結合を目的とする酵素処理やDNAの単
離、精製乃至複製、選別等の各種操作乃至手段は、いず
れも常法に従うことができ、本発明遺伝子以外の遺伝子
もしくはDNA鎖について当該分野でよく知られている
各種方法をいずれも採用することができる。例えば上記
DNAの単離精製は、アガロースゲル電気泳動法等に従
うことができ、核酸配列のコドンの一部の改変は、サイ
ト−スペシフィック ミュータジェネシス(Site-Specif
ic Mutagenesis) 〔Proc. Natl. Acad.Sci., 81, 5662-
5666 (1984)〕等に従うことができる。尚、上記におい
て所望のアミノ酸に対応する遺伝暗号の選択は、特に限
定されるものではなく、利用する宿主細胞のコドン使用
頻度等を考慮して常法に従い決定できる。 【0040】また、上記方法に従い得られる本発明遺伝
子のDNA配列の決定及び確認は、例えばマキサム−ギ
ルバートの化学修飾法〔Maxam-Gilbert, Meth. Enzym.,
65,499-560 (1980) 〕やM13ファージを用いるジデ
オキシヌクレオチド鎖終結法〔Messing, J. and V ieir
a,J., Gene, 19, 269-276 (1982)〕等により行なうこと
ができる。 【0041】かくして得られる本発明遺伝子の利用によ
れば、遺伝子組換え技術により、ヒトM−CSFを容易
に且つ大量に製造、収得することができる。 【0042】このヒトM−CSFの製造方法は、上記特
定の本発明遺伝子(DNA)を利用することを除いて、
従来公知の一般的な遺伝子組換え技術に従うことができ
る〔Science, 224, 1431 (1984) ;Biochem. Biophys.
Res. Comm., 130, 692 (1985) ;Proc. Natl. Acad. Sc
i., USA, 80, 5990 (1983) ;EP特許公開第1879
91号公報、Molecular Cloning, by T.Maniatis et a
l., Cold Spring Harbor Laboratory (1982) 等参
照〕。 【0043】より詳細には、本発明遺伝子が宿主細胞中
で発現できるような組換えDNAを作成し、これを宿主
細胞に導入して形質転換し、該形質転換株を培養すれば
よい。 【0044】ここで宿主細胞としては、真核生物及び原
核生物のいずれをも用いることができる。該真核生物の
細胞には、脊椎動物、酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物
細胞としては、例えばサルの細胞であるCOS細胞〔Y.
Gluzman, Cell, 23, 175-182(1981)〕やチヤイニーズ・
ハムスター卵巣細胞のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株
〔G.Urlaub and L.A.Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci.,
USA, 77, 4216-4220 (1980)〕等がよく用いられている
が、之等に限定される訳ではない。脊椎動物細胞の発現
ベクターとしては、通常発現しようとする遺伝子の上流
に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポ
リアデニル化部位及び転写終了配列等を保有するものを
使用でき、これは更に必要により複製起点を保有してい
てもよい。該発現ベクターの例としては、SV40の初
期プロモーターを保有するpSV2dhfr〔S.Sabramani,
R.Mulligan and P.Berg, Mol. Cell. Biol., 1, 854-7
64〕等を例示できるが、これに限定されない。 【0045】また真核微生物としては酵母が一般によく
用いられており、その中でもサッカロミセス属酵母が有
利に利用できる。該酵母等の真核微生物の発現ベクター
としては、例えば酸性ホスフアターゼ遺伝子に対するプ
ロモーターを持つpAM82〔A.Miyanohara et al, Pr
oc. Natl. Acad. Sci.,USA., 80, 1-5 (1983)〕等を好
ましく利用できる。 【0046】原核生物の宿主としては、大腸菌や枯草菌
が一般によく用いられている。本発明では例えば該宿主
菌中で複製可能なプラスミドベクターを用い、このベク
ター中に本発明遺伝子が発現できるように該遺伝子の上
流にプロモーター及びSD(シヤイン・アンド・ダルガ
ーノ)塩基配列、更に蛋白合成開始に必要なATGを付
与した発現プラスミドが使用できる。上記宿主菌として
の大腸菌としては、エシエリヒア・コリ(Escherichia
coli)K12株等がよく用いられ、ベクターとしては一
般にpBR322がよく用いられるが、これらに限定さ
れず、公知の各種の菌株及びベクターがいずれも利用で
きる。プロモーターとしては、例えばトリプトフアン・
プロモーター、PL プロモーター、lac プロモーター、
lpp プロモーター等を使用することができ、いずれの場
合にも本発明遺伝子を発現させることができる。 【0047】宿主細胞として、COS細胞を用いる場合
を例にあげると、発現ベクターとしては、SV40複製
起点を保有し、COS細胞において自律増殖が可能であ
り、更に転写プロモーター、転写終結シグナル及びRN
Aスプライス部位等を備えたものを用いることができ、
例えば後記実施例に示すプラスミドpcDEを用いる場
合、SV40初期遺伝子プロモーター下流に位置する制
限酵素EcoRI部位に、本発明遺伝子を連結することに
より、目的とする発現プラスミドを得ることができる。 【0048】かくして得られる所望の組換えDNAの宿
主細胞への導入及びこれによる形質転換の方法として
は、一般に用いられている方法が採用でき、例えば上記
プラスミドpcDEに目的遺伝子が挿入された発現プラ
スミドは、DEAE−デキストラン法やリン酸カルシウ
ム−DNA共沈澱法等により、COS細胞に取込ませる
ことができ、かくして所望の形質転換細胞を容易に得る
ことができる。 【0049】かくして得られる所望の形質転換体は、常
法に従い培養することができ、該培養により生物活性の
ヒトM−CSFが生産、蓄積される。該培養に用いられ
る培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される
各種のものを適宜選択でき、例えば上記COS細胞であ
れば、RPMI−1640培地、ダルベッコの修正イー
グル最小必須培地(Dulbecco's modified Eagle's MEM
)等の培地に必要に応じ牛胎児血清(FCS)等の血
清成分を添加したものを使用できる。 【0050】上記により、形質転換体の細胞内又は細胞
外に生産されるM−CSFは、該M−CSFの物理的性
質、化学的性質等を利用した各種の分離操作(「生化学
データーブックII」、1175〜1259頁、第1版第
1刷、1980年6月23日、株式会社東京化学同人発
行参照)により、それらより分離、精製することができ
る。該方法としては、具体的には例えば通常の蛋白沈澱
剤による処理、限外濾過、分子ふるいクロマトグラフィ
ー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換
クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ
ー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の各種
液体クロマトグラフィー、透析法、之等の組合せ等を例
示できる。 【0051】特に好ましい分離方法においては、まず培
養上清より予め目的とする物質を部分精製する。この部
分精製は、例えば硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、
リン酸ナトリウム等の塩析剤を用いる処理及び/又は透
析膜、平板膜、中空繊維膜等を用いる限外濾過処理等に
より行なわれる。之等の各処理の操作及び条件は、通常
のこの種方法のそれらと同様のものとすればよい。 【0052】次いで上記で得られた粗精製物を、吸着ク
ロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、
ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマ
トグラフィー等に付すことにより、又は之等各操作の組
合せにより、目的物質の活性が認められる画分を収得
し、かくして目的物質を均質な物質として単離すること
ができる。 【0053】上記吸着クロマトグラフィーは、例えばフ
エニル−セファロース、オクチル−セファロース等を担
体として実施できる。 【0054】アフィニティクロマトグラフィーは、場合
により例えばConA−セファロース、レンチルレクチン
−セファロース(フアルマシア社製)等の担体を利用し
たクロマトグラフィーにより実施することもできる。 【0055】ゲル濾過は、例えばデキストランゲル、ポ
リアクリルアミドゲル、アガロースゲル、ポリアクリル
アミド−アガロースゲル、セルロース等を素材としたゲ
ル等を用いて実施できる。上記ゲル濾過剤の具体例とし
ては、セフアデックスGタイプ、セフアロースタイプ、
セフアクリルタイプ(以上、フアルマシア社製)、セル
ロファイン(チッソ社製)、バイオゲルPタイプ、同A
タイプ(バイオラド社製)、ウルトロゲルAcA(LK
B社製)、TSKゲルSWタイプ(東洋曹達社製)等の
市販品を例示できる。 【0056】イオン交換クロマトグラフィーは、例えば
ジエチルアミノエチル(DEAE)等を交換基とする陰
イオン交換体を利用したクロマトグラフィーにより実施
できる。 【0057】逆相クロマトグラフィーは、例えばC1 、
C3 、C4 等のアルキル基、シアノプロピル基、フエニ
ル基等の官能基がシリカゲル等の基体に結合された担体
を用いて実施できる。より具体的には例えばC4 ハイポ
アー逆相HPLCカラム(RP−304、バイオラド社
製)を用いて、移動相としてアセトニトリル、トリフル
オロ酢酸(TFA)、水等及び之等の混合溶媒を用いて
実施できる。 【0058】上記方法により、容易に高収率、高純度で
所望の本発明ヒトM−CSFを工業的規模で製造でき
る。 【0059】上記で得られるM−CSFは、これを医薬
として用いるに当り、その有効量を、薬理的に許容され
る通常の無毒性担体と共に含有する薬理組成物の形態に
調製され該形態に応じた各種投与経路で投与される。そ
の製剤形態としては、液状形態例えば溶液、懸濁液、乳
濁液等が通常採用され、之等は一般に経口、静脈内、皮
下、皮内、筋肉内投与されるが、特に之等の形態及び投
与経路に限定されず、上記M−CSFは、他の通常採用
される経口、非経口投与等に適した各種の製剤形態に調
製することもでき、また使用前に適当な担体の添加によ
り液状となし得る乾燥品とすることもできる。各種形態
の製剤の投与量は、所望の薬理効果、疾病の種類、患者
の年齢、性別、疾患の程度等に応じて適宜決定され、特
に限定はないが、通常有効成分とするM−CSFを蛋白
量として約0.001〜1mg/kg/日となる量で1
日に1回乃至数回に分けて投与すればよい。 【0060】 【実施例】以下、本発明遺伝子の製造及びその利用によ
る本発明ヒトM−CSFの製造、その特徴等を、実施例
として挙げて、更に詳述する。 【0061】尚、各例で得られる試料のCSF活性は以
下の方法により測定されるものとする。 【0062】〈CSFの活性測定法〉牛胎児血清(FC
S)20ml、α−培地30ml及び2倍濃度α−培地
20mlを混和して得られる溶液を37℃にて保温し、
その23.3mlを予め50℃に保温した1%寒天(デ
ィフコ社製)溶液10mlと混合して37℃に保温す
る。 【0063】一方BALB/C系マウス大腿骨より採取
した骨髄細胞(BMC)を、ハンクス液で2回洗浄後、
α−培地にて細胞濃度が107 個/mlとなるように調
製し、その1mlを上記37℃に保温してある寒天培地
に加え、よく混和した後、37℃に保温し、次いでその
0.5mlを、予め50μlの供試試料を入れたウェル
(ティッシュカルチャークラスター12、コスター社
製)に加えて手早く混和して室温に放置する。各ウェル
の寒天が固化するのを待って炭酸ガスインキュベーター
に移し、更に37℃で7日間培養する。 【0064】かくして生じたコロニー数を実体顕微鏡を
用いて計測し、CSF活性の指標とする。尚上記で生じ
るコロニーは、形態学的及び酵素化学的観察の結果、い
ずれもマクロファージコロニーであつた。 【0065】 【実施例1】本発明遺伝子の製造 イ) AGR−ON細胞の培養 ヒトT細胞培養株化細胞AGR−ON(ATCC受託N
o.CRL−8199)を、10%新生子牛血清(NC
S)、20mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン
−N′−2−エタンスルホン酸(HEPES)、100
μg/mlストレプトマイシン、100単位/mlペニ
シリンG、50μg/mlゲンタマイシン、5×10-5
M 2−メルカプトエタノール及び1mMグルタミンを
含むRPMI−1640培地〔フローラボラトリー社
製〕にて、約105 細胞/mlの細胞濃度に調製した。
その1lを、200ml容ティッシュ−カルチャ−フラ
スコ〔コーニング社製〕5本にて、37℃で72時間培
養した。 【0066】ロ) mRNAの抽出 上記イ)で得たAGR−ON細胞約5×108 細胞を、
4M−グアニジンチオシアネート溶液〔4M−グアニジ
ンイソチオシアネート、50mMトリス・HCl(pH
7.6)、10mM EDTA、2%ザルコシル(Sar
kosyl )、140mM 2−メルカプトエタノール〕5
0mlに溶解後、60℃に加温しながら、G18G注射
針をつけた50ml注射筒を用いてDNAをせん断し
た。 【0067】この溶液に60℃に加温した等量のフェノ
ール、1/2容量の100mM酢酸ナトリウム(pH
5.2)−10mMトリス・HCl(pH7.4)−1
mMEDTA溶液及び等量のクロロホルム−イソアミル
アルコール(24:1)混合液を加え、60℃の水浴中
で10分間振盪した後、4℃にて3000rpm で15分
間遠心分離した。水層を取り、フェノール−クロロホル
ム抽出を2回、更にクロロホルム抽出を2回行なった
後、2容の冷エタノールを加えて、−20℃で60分間
保持した。4℃にて3000rpm で20分間遠心し、沈
澱したRNAペレットを、100mMトリス・HCl
(pH7.4)−50mM NaCl−10mM ED
TA−0.2%SDS溶液50mlに溶解後、プロティ
ナーゼK〔proteinaseK、メルク社製〕を200μg/
mlの濃度で加え、37℃にて60分間反応させた。6
0℃にて、フェノール−クロロホルム抽出を2回、更に
クロロホルム抽出を2回行なった後、1/10容の3M
酢酸ナトリウム(pH5.2)及び2容の冷エタノール
を加えて、−70℃にて60分間放置した。4℃にて3
000rpm で20分間遠心し、沈澱したRNAペレット
を冷70%エタノールで洗浄後、TE溶液〔10mMト
リス・HCl(pH7.5)及び1mM EDTA〕に
溶解させた。 【0068】かくしてAGR−ON細胞5×108 細胞
から全RNA約5mgを得た。 【0069】次いで、上記で得られた全RNAからmR
NAを取得するために、オリゴ(dT)−セルロース
〔コラボレイティブリサーチ社製〕を用いて、カラムク
ロマトグラフィーを行なった。mRNAの吸着は、10
mMトリス・HCl(pH7.5)−1mM EDTA
−0.5M NaCl溶液を用いて行ない、カラムを同
溶液及び10mMトリス・HCl(pH7.5)−1m
M EDTA−0.1MNaCl溶液にて洗浄後、10
mMトリス・HCl(pH7.5)−1mMEDTAを
用いてRNAを溶出させた。 【0070】上記により、mRNA約110μgを得
た。 【0071】ハ) cDNAライブラリーの作製 上記ロ)で得たmRNA5μgから、cDNAを、cD
NA合成システム〔アマシャム社製〕を利用して合成し
た。 【0072】得られたcDNA約0.6μgを、減圧乾
燥した後、50mMトリス・HCl(pH7.5)−1
0mM EDTA−50mM DTT−40μM S−
アデノシル−L−メチオニン溶液20μlに溶解し、E
coRIメチラーゼ〔ニューイングランドバイオラブ社
製〕16単位を加え、37℃にて15分間反応させた。 【0073】この反応液を70℃で10分間加熱し、反
応を停止させた後、フェノール−クロロホルム抽出を行
ない、抽出液に1/10容の3M酢酸ナトリウム(pH
5.2)及び2.5容のエタノールを加え、−70℃に
て15分間放置した。4℃にて15000rpm で15分
間遠心し、沈澱させたDNAペレットを、50mMトリ
ス・HCl(pH7.5)−10mM MgCl2 −1
0mM DTT−1mM ATP−100μg/mlE
coRIリンカー〔宝酒造社製、5′−GGAATTCC
−3′〕溶液10μlに溶解後、これにT4DNAリガ
ーゼ〔宝酒造社製〕350単位を加え、14℃にて16
時間反応させた。 【0074】得られた反応液を70℃で10分間加熱し
て反応を停止させた後、100mMNaCl−50mM
トリス・HCl(pH7.5)−7mM MgCl2 −
10mM DTT溶液16μlと、制限酵素EcoRI
〔宝酒造社製〕40単位とを加え、37℃にて3時間消
化させた。 【0075】反応液に0.5M EDTA(pH8.
0)0.8μlを加え、反応を停止させた後、バイオゲ
ルA50m〔バイオ−ラド社製〕カラムクロマトグラフ
ィーにて、余剰のEcoRIリンカーを除去した。cDN
A画分に、制限酵素EcoRIで消化後、アルカリフォス
ファターゼにて、5′−リン酸基を除去したλgt11
DNA〔プロトクローンGT(Protoclone GT)、プ
ロメガバイオテク社製〕1μg、1/10容積の3M酢
酸ナトリウム(pH5.2)及び2.5容積のエタノー
ルを加え、−70℃にて30分間放置した。4℃にて1
5000rpm で15分間遠心し、沈澱させたDNAペレ
ットを70%エタノールで洗浄後、減圧乾燥し、水7μ
lに溶解させた。 【0076】次に、500mMトリス・HCl(pH
7.5)−100mM MgCl2 溶液2μlを加え、
42℃にて15分間保温した後、室温に戻し、100m
M DTT1μl、10mM ATP1μl及びT4D
NAリガーゼ175単位を加え、14℃で16時間保温
した。 【0077】次に、この反応液10μlにλファージパ
ッケージングエクストラクト〔Packagene system 、プ
ロメガバイオテク社製〕を加え、22℃にて2時間保温
することにより、インビトロでリコンビナントファージ
DNAのパッケージングを行なった。この溶液にファー
ジ希釈緩衝液〔100mM NaCl−10mMトリス
・HCl(pH7.9)−10mM MgSO4 ・7H
2 O〕0.5ml及びクロロホルム25μlを加え4℃
で保存した。 【0078】ニ) cDNAライブラリーのスクリーニ
ング ニ)-1. 合成プローブの作製 AGR−ON培養上清から抽出単離されたAGR−ON
・CSFのアミノ酸配列(N末端より27残基)の情報
に基づいて、合成プローブとして、下記塩基配列を用い
た。 【0079】 Val −Ser −Glu −Tyr −Cys − Ser− His 5′GTG TCG GAG TAC TGT AGC CAC 3′ 3′CAC AGC CTC ATG ACA TCG GTG 5′ 上記式に示した塩基配列に対する相補的な塩基配列(最
下段に示す)を、M−CSFをコードするcDNAを有
するリコンビナントファージの選出のためのプローブと
して利用するため、以下の方法により合成した。 【0080】即ち、N,N−ジアルキルメチルホスホロ
アミダイド誘導体を、縮合ユニツトとして用いた固相ホ
スフアイトトリエステル法〔ネーチヤー(Nature), 310,
105(1984) 〕にて、自動合成機〔380A DNAシ
ンセサイザー,アプライドバイオシステムズ社製〕を用
いて、目的とする完全保護DNAを合成した。続いて該
完全保護DNAを28%アンモニア水で55℃で10時
間処理することにより5′末端のOH基に結合している
保護基としてのDMTr(ジメトキシトリチル)基以外
の保護基(A、G、Cのアミノ基のアシル基をさす)を
脱保護させ、部分保護DNA(DMTr体とよぶ)を得
た。次いでこのDMTr体をODS(山村化学研究所社
製)を担体とする逆相高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)により精製後、80%酢酸を用いて室温で20
分間処理して、粗オリゴヌクレオチドを得た。これをO
DSを担体とする逆相HPLCにより更に精製して、目
的とするオリゴヌクレオチドを得た。 【0081】上記で得たDNA0.8μgを、100μ
lの反応液〔50mMトリス・HCl(pH7.6)、
10mM MgCl2 、10mM 2−メルカプトエタ
ノール、200μCi〔γ−32P〕−ATP)中で、T
4ポリヌクレオチドキナーゼ〔宝酒造〕18単位と、3
7℃にて1時間反応させ、DNAの5′末端を32Pで標
識した。標識されたDNAと未反応の〔γ−32P〕AT
Pを分別するために、バイオゲルP−30〔バイオ−ラ
ド社製〕によるゲル濾過を行なつた。標識DNA画分を
プールし−20℃で保存した。 【0082】得られたプローブの比放射活性は、108
cpm /μgDNA以上であった。 【0083】ニ)-2. プラークハイブリダイゼーション エシェリヒア・コリY1090株を、50μg/mlア
ンピシリン及び0.2%マルトースを含むLB培地〔バ
クトトリプトン10g、バクトイースト抽出物5g及び
NaCl5g/l〕40mlに植菌し、300mlフラ
スコにて37℃で一夜振盪培養した。4℃にて3000
rpm で15分間遠心して菌体を回収し、菌体のペレット
を20mlのSM培地〔100mM NaCl−50m
Mトリス・HCl(pH7.5)−10mM MgSO
4 ・7H2 O−0.01%ゼラチン〕に懸濁させ、4℃
で保存した。 【0084】次に、上記菌液0.3mlに、前記ハ)で
得られたリコンビナントファージ粒子液をSM培地にて
3.5×105 pfu (プラークフォーミングユニット)
/mlに希釈したもの0.1mlを加え、37℃にて1
5分間保温した。続いて、予め47℃に保温しておいた
LB軟寒天培地〔バクトトリプトン10g、バクトイー
スト抽出物5g、NaCl5g、アガロース7g/l〕
7.5mlを加えて混和した後、直径15cmのシャー
レに作ったLB寒天プレート〔バクトトリプトン10
g、バクトイースト抽出物5g、NaCl5g、バクト
寒天15g/l〕に重層し、42℃にて一夜培養した。
尚、同様の操作を合計20枚のシャーレで実施した。 【0085】プラークの出現した寒天プレート上に、直
径132mmのナイロンフィルター〔BNRG132、
ポール社製〕を載せることによって、レプリカフィルタ
ーを作製した。寒天プレートはこれをマスタープレート
として4℃に保存した。 【0086】フィルターを、0.5M NaOH−1.
5M NaCl、0.5Mトリス・HCl(pH7.
5)−1.5M NaCl及び0.3M NaCl−
0.02M NaH2 PO4 (pH7.4)−0.00
2M EDTA(pH7.4)にて順次処理し、風乾
後、真空下に80℃で1時間ベーキングを行なった。 【0087】ベーキング済みのフィルターを、0.75
M NaCl−0.075Mクエン酸ナトリウム−1m
g/mlフィコール−1mg/mlポリビニルピロリド
ン−1mg/mlBSA−10mMリン酸ナトリウム
(pH6.5)−0.2%SDS−0.1mg/mlサ
ーモンスパーム(Salmon Sperm)DNA溶液50ml
中で軽く振盪しながら、42℃にて6時間保温した。次
にフィルターを106 cpm /mlの濃度にプローブを加
えた同液に移し、42℃にて20時間軽く振盪しなが
ら、ハイブリダイゼーシヨンを行なった。 【0088】ハイブリダイゼーシヨンの終わったフィル
ターを取り出し、0.9M NaCl−0.09Mクエ
ン酸ナトリウムにて室温で3回洗浄し、その後、56℃
で同溶液にて5分間洗浄した。 【0089】フィルターを風乾後、増感紙を用いてX線
フイルム〔XR5、コダック社製〕に、−70℃にて2
日間オートラジオグラフィーを行なった。 【0090】フイルムを現像後、シグナル領域に符合す
るプラークをマスタープレートよりかき取り、上記の方
法を繰返してポジティブシグナルを有するプラークの純
化を行ない、最終的に、代表的なポジティブクローンλ
cM5及びλcM11を単離した。 【0091】ホ) クローンの構造解析 λcM5のcDNAの制限酵素地図を作製した。その結
果を第1図に示す。 【0092】第1図より、cDNAは全長約2.5キロ
ベース(kb)であり、その中にはBstEII〔ニューイ
ングランドバイオラブ社〕、NcoI〔宝酒造社〕、Sma
I〔宝酒造社〕、KpnI〔宝酒造社〕、EcoRI〔宝酒
造社〕及びNdeI〔ニューイングランドバイオラブ社〕
により切断される個所がそれぞれ1個所、またScaI
〔宝酒造社〕、StuI〔宝酒造社〕及びBamHI〔宝酒
造社〕により切断される個所がそれぞれ2個所ずつ存在
することが確認された。 【0093】次に、上記cDNAの塩基配列をマキサム
−ギルバートの化学修飾法及びM13フアージを用いる
ジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて決定した。その結
果を、第2図(第2図−1〜第2図−4)に示す。 【0094】第2図より、合成プローブと相補的な領域
が、5′末端より227番目〜247番目に存在(図に
下線を付して示す)した。 【0095】また、λcM5のcDNA中の最長のリー
デイングフレーム(reading frame)を検索したとこ
ろ、これは5′末端より125番目から1240番目の
領域にあり、そのコドンのフレームによる227番目〜
307番目の塩基配列に対応するアミノ酸配列は、AG
R−ON・CSFのN末端27アミノ酸と完全に同一で
あった。このことは、λcM5のcDNAがM−CSF
前駆体蛋白質をコードするcDNAであることを示して
いる。 【0096】以上の結果より、決定されたλcM5のコ
ードするM−CSF前駆体蛋白質の蛋白一次構造を第3
図(第3図−1〜第3図−2)に示す。 【0097】また上記と同様にして決定されたλcM1
1cDNAの塩基配列を第4図(第4図−1〜第4図−
4)に、そのコードするM−CSF前駆体蛋白質の蛋白
一次構造を第5図(第5図−1〜第5図−3)にそれぞ
れ示す。 【0098】 【実施例2】 COS細胞における組換えM−CSF(r−MCSF)
の製造 この例に利用したCOS−1細胞とは、増殖開始点(O
ri)欠損のSV40DNAで、サルの腎細胞CV1をト
ランスフォームさせることによって、SV40初期遺伝
子を発現し、T抗原陽性となった細胞である〔セル(Cel
l), 23, 175-182 (1981)参照〕。 【0099】イ) COS細胞発現ベクターpcDEの
作製 まず、プラスミドpcDV1〔オカヤマら(H.Okayama,
P.Berg, Mol.Cell.Biol., 3, 280-289 (1983) 〕を、制
限酵素KpnIで切断し、次いで5′末端及び3′末端
の突出部分をT4DNAポリメラーゼ〔BRL社〕で削
り平滑末端とした。 【0100】一方、EcoRIリンカー(5′−GGAA
TTCC−3′)〔宝酒造社〕の5′末端を、T4ポリ
ヌクレオチドキナーゼによりリン酸化し、これを先の平
滑末端としたDNA断片に、T4DNAリガーゼを用い
て連結した。連結物を制限酵素EcoRIで切断し、更に
制限酵素Hind IIIで切断し、得られた反応物をアガ
ロースゲル電気泳動に付して、2590ベースペアー
(bp)のEcoRI−Hind IIIDNA断片を単離精製
した。 【0101】また他方、プラスミドpL1〔オカヤマら
(H.Okayama, P.Berg, Mol.Cell.Biol., 3, 280-289 (19
83) 〕を、制限酵素PstI〔宝酒造社〕で切断後、5′
末端及び3′末端をT4DNAポリメラーゼを用いて平
滑末端とし、このDNA断片に、上記と同様にしてEco
RIリンカーを連結させ、得られるDNA断片を制限酵
素Hind IIIにて切断し、反応物をアガロースゲル電
気泳動に付して、580bpのEcoRI−Hind IIID
NA断片を単離精製した。 【0102】得られたDNA断片と先に調製したEcoR
I−Hind IIIDNA断片とを、T4DNAリガーゼ
を用いて連結させて、所望のプラスミドpcDEを得
た。 【0103】以上の概略を第6図に示す。 【0104】ロ) M−CSF発現プラスミドpcDM
・CSFの作製 λcM5DNAを、制限酵素EcoRIで部分消化させ、
得られる反応物をアガロースゲル電気泳動に付し、cD
NA部分(約2.5kb)をEcoRI部分消化断片として
単離精製した。 【0105】上記イ)で得られたCOS細胞発現ベクタ
ーpcDEを制限酵素EcoRIで切断し、これを上記で
調製したcDNA断片にT4DNAリガーゼを用いて連
結させて、所望のプラスミドpcDM・CSFを得た。 【0106】かくして得られたプラスミドを、エシェリ
ヒア・コリHB101株にトランスフォームさせて、目
的のトランスフォーマントを、アルカリ溶菌法〔マニア
ティスら(T.Maniatis et al. Molecular Cloning, pp9
0, Cold Spring Harvor Laboratory (1982) 〕によっ
て、得られるプラスミドDNAの制限酵素分析により選
択した。 【0107】以上の概略を第7図に示す。 【0108】ハ) r−MCSFの製造 上記ロ)で得たpcDM・CSFを、COS−1細胞
に、DEAE−デキストラン法〔Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, Vol.81, p1070 (1984)〕にてトランスフェクト
し、該細胞におけるr−MCSFの生産を以下の通り試
験した。 【0109】即ち、まずCOS−1細胞を、10%牛胎
児血清(FCS)を含むRPMI−1640培地で、約
2.5×105 細胞/mlの細胞濃度に調製し、これを
ティッシュカルチャークラスター6〔コースター社製〕
に、1ウェル当り2mlとなる量で入れて、37℃で一
夜、炭酸ガスインキュベーターにて培養した。 【0110】次いで培地を除去し、RPMI−1640
にて細胞を2回洗浄後、上記ロ)で調製したpcDM・
CSF10μgを含むRPMI−1640培地1ml
〔50mMトリス・HCl(pH7.4)及び400μ
g/mlDEAE・デキストラン(ファルマシァ社製)
を含む〕を加え、炭酸ガスインキュベーター内に4時間
放置した。更に培地を除去した後、RPMI−1640
にて細胞を2回洗浄し、これに150μMクロロキン
〔シグマ社製〕を含むRPMI−1640培地3mlを
加え、3時間培養した。次に培地を除去し、細胞をRP
MI−1640にて洗浄後、10%FCSを含むRPM
I−1640培地にて、37℃で72時間、炭酸ガスイ
ンキュベーター内で培養した。 【0111】かくして得られた細胞培養物より培養上清
及びその抽出物を回収して、之等につき、それぞれの希
釈倍率でのCSF活性を測定した。 【0112】得られた結果を下記表1に示す。尚、表1
には、コントロールとしてpcDM・CSFに代えて、
pcDEを用いて上記と同一操作を行なった結果を併記
する。また各活性測定試験は、同一試料につき各2回行
なった。 【0113】 【表1】 【0114】尚、表1における数値は、プレート当りの
コロニー数(平均値)を示す。以降のCSF活性を示す
表においても同様とする。 【0115】ニ) M−CSF発現プラスミドpcDM
・CSF−185の作製 上記ロ)で得たプラスミドpcDM・CSFを利用し
て、サイト−スペシフィック ミュータジェネシス(Si
te-Specific Mutagenesis )〔Proc. Natl. Acad. Sc
i., 81, 5662-5666 (1984)〕の方法に従って、第3図に
おけるアミノ酸番号186のアミノ酸(Lys)をコード
するコドン(AAG)を、終止コドン(TAG)に置換
して、第3図におけるアミノ酸番号185のアミノ酸
(Thr)をC端アミノ酸とする所望のM−CSF発現プ
ラスミドpcDM・CSF−185を得た。 【0116】その詳細は次の通りである。 【0117】即ち、まずプラスミドpcDM・CSFよ
りEcoRI−EcoRIDNA断片(大きさ1.8kb)を
切り出し、これをM13mp11ファージ(RF)のE
coRIとEcoRIの制限酵素サイトにクローニングし、
これから一本鎖(ss)DNA(M13−CSF)を得、
これをミュータジェネシスの鋳型とした。 【0118】一方、合成オリゴヌクレオチド〔5′−G
TGGTGACCTAGCCTGATT−3′(プライ
マー)〕を、T4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化
した後、上記ssDNA(M13−CSF)とハイブリダ
イズし、アニーリング後、dNTPsの存在下に、DN
AポリメラーゼI(クレノー断片)及びT4DNAリガ
ーゼで各々処理して、15℃で18時間インキュベート
した。 【0119】得られたDNAをJM105コンピテント
細胞にトランスフォームし、生じたコロニーの内50コ
ロニーを、寒天プレート上に植菌し、37℃で18時間
培養した。生育したコロニーを含むフィルターを通常の
方法によりアルカリ変性し、乾燥後、80℃で2時間ベ
ーキング処理した。このフィルターをプレハイブリダイ
ズした後、このものと、上記プライマーの5′末端を32
P−r−ATPでラベルした32P−プローベとを、室温
でハイブリダイズさせた。ハイブリダイズさせたフィル
ターを、6×ssc (saline sodium citrate)で、室温で
10分間、次いで56℃で4分間各々洗浄し、乾燥させ
た後、−70℃で18時間オートラジオグラフィーを行
なった。 【0120】変異したクローンの内から、M13−CS
F−185を選び、これをJM105に感染させて培養
して、ssDNA及びRF DNAを調製した。 【0121】上記で得られたssDNAのM13ジデオキ
シヌクレオチド鎖終結法により、目的とする遺伝子の変
異を確認した。 【0122】また上記JM105で増殖させたRF D
NAよりEcoRI−EcoRI断片を調製し、これを上記
ロ)と同様にして発現プラスミドに組込んで、所望のプ
ラスミドpcDM・CSF−185を得た。 【0123】このプラスミドを用いて、上記ハ)と同様
にして、COS−1細胞でr−MCSFを発現させた。
その結果を下記表2に示す。 【0124】 【表2】 【0125】ホ) M−CSF発現プラスミドpcDM
・CSF−177の作製 プライマーとして5′−GCTGAATGATCCAG
CCAA−3′を用いて、上記ニ)と同様にして、第3
図におけるアミノ酸番号178のアミノ酸(Cys)をコ
ードするコドン(TGC)を終止コドン(TGA)に置
換して、第3図におけるアミノ酸番号177のアミノ酸
(Glu)をC端アミノ酸とする所望のM−CSF発現プ
ラスミドpcDM・CSF−177を得た。 【0126】このプラスミドを用いて、上記ハ)と同様
にして、COS−1細胞でr−MCSFを発現させた結
果を同様にして下記表3に示す。 【0127】 【表3】 【0128】上記表2及び表3に示す結果より、本発明
遺伝子を保有するプラスミドpcDM・CSF−185
及び同pcDM・CSF−177の利用によれば、それ
ぞれM−CSFの生物活性を示す所望のr−MCSFを
発現できることが判る。 【0129】このことから、少なくとも第3図に示すア
ミノ酸配列におけるアミノ酸番号178以降のC端側の
アミノ酸配列は、目的とする生物活性を有するM−CS
F分子の発現には、実質的に影響を及ぼさないことが明
らかである。 【0130】ヘ) 上記ロ)において、λcM5cDN
Aの代わりにλcM11cDNAを用いて、プラスミド
pcDM・CSF11を得た。該プラスミドを用いて、
上記ハ)に従ってr−MCSFを製造し、略同様の結果
を得た。 【0131】即ち、λcM11DNAを、制限酵素Eco
RIで部分消化させ、得られる反応物をアガロースゲル
電気泳動に付し、cDNA部分(約2.5kb) をEcoR
I部分消化断片として単離精製した。 【0132】前記イ)で得られたCOS細胞発現ベクタ
ーpcDEを制限酵素EcoRIで切断し、これを上記で
調製したcDNA断片にT4DNAリガーゼを用いて連
結させて、所望のプラスミドpcDM・CSF11を得
た。 【0133】かくして得られたプラスミドを、エシェリ
ヒア・コリHB101株にトランスフォームさせて、目
的のトランスフォーマントを、アルカリ溶菌法〔マニア
ティスら(T.Maniatis et al. Molecular Cloning, pp9
0, Cold Spring Harvor Laboratory (1982) 〕によっ
て、得られるプラスミドDNAの制限酵素分析により選
択した。 【0134】また、上記λcM11DNAのcDNA
(EcoRI部分消化断片)を、クローニングベクターp
UC19DNA(宝酒造)のEcoRIクローニング部位
に挿入して、プラスミドpUCMCSF・11を得た。
該プラスミドをエシェリヒア・コリHB101株にトラ
ンスフォームさせた形質転換体は、Escherichia coli
HB101/pUCMCSF・11なる名称で、198
7年7月16日に工業技術院微生物工業研究所に微工研
条寄第1409号(FERM BP−1409)として
寄託されている。 【0135】ト) プラスミドpcDM・CSF11を
制限酵素EcoRI及びBstEIIで消化し、約670bp
のEcoRI−BstEIIDNA断片を単離精製した。 【0136】このDNA断片のBstEII切断側に、
5′末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼにてリン酸化
した下記合成DNAリンカー; を連結して得られたDNA断片と、前記したプラスミド
pcDEのEcoRI消化物とをT4DNAリガーゼによ
り連結して、所望のプラスミドpcDM・CSF11−
185を得た。該プラスミドは、上記合成リンカー部位
に翻訳終止コドンTGATAAをもち、従ってプラスミ
ドpcDM・CSF11がコードする第5図に示される
ポリペプチドにおいて、その185番目のアミノ酸(T
hr)をC端アミノ酸とするM−CSFをコードする。 【0137】以上の概略を第8図に示す。 【0138】該プラスミドを用いて、上記ハ)と同様に
して発現させた結果を下記表4に示す。 【0139】 【表4】 【0140】チ) 上記ト)で得たプラスミドpcDM
・CSF11−185を用い、上記ホ)に従って第5図
におけるアミノ酸番号178のアミノ酸(Cys)をコー
ドするコドン(TGC)を終止コドン(TGA)に置換
して、第5図における177番目のアミノ酸(Glu)を
C端アミノ酸とする所望のM−CSF発現プラスミドp
cDM・CSF11−177を得た。該プラスミドを用
いて上記ハ)と同様にして発現させた結果を下記表5に
示す。 【0141】 【表5】 【0142】リ) プラスミドpcDM・CSF11−
185 DNAを、EcoRI及びBamHIで消化してE
coRI−BamHI DNA断片(約680bp)を単離精
製し、これを分泌型発現ベクターpIN−III−Om
pA3〔EMBO J., 3, 2437〜2442 (1984)〕のEcoR
I、BamHIクローニングサイトに挿入して、プラスミ
ドpIN−III−OmpA3−MCSF11−185
を得た。 【0143】該プラスミドDNAをXbaI及びBamHI
で消化してXbaI−BamHI DNA断片(約770b
p)を単離精製し、これを一本鎖DNA調製用のクロー
ニングベクターpUC118DNA〔宝酒造〕のXba
I、BamHIクローニングサイトに挿入して、プラスミ
ドpUC118−OmpA3−MCSF11−185を
得た。 【0144】該プラスミドを用い、前記サイト スペシ
フィック ミュータジェネシスの方法に従い、OmpA
シグナルペプチドのC末端アミノ酸(Ala)をコードす
るコドン(GCC)に、第5図に示すポリペプチドの3
5番目のアミノ酸(Val)をコードするコドン(GT
G)が連結して位置するように改変して、プラスミドp
UC118−OmpA−MCSF11−NV151を得
た。 【0145】即ち、プラスミドpUC118−OmpA
3−MCSF11−185 DNAにてトランスフォー
ムした大腸菌JM105に、ヘルパーファージK07
〔宝酒造〕を感染させ、37℃で14時間振盪培養し、
一本鎖(ss)pUC118−OmpA3−MCSF11
−185DNAを得、これをミュータジェネシスの鋳型
として用い、またプライマーとして5′−TACCGT
AGCGCAGGCCGTGTCGGAGTACTGT
AGC−3′を用いて、上記ニ)と同様にして所望のプ
ラスミドpUC118−OmpA−MCSF11−NV
151を得た。 【0146】該プラスミドDNAをXbaI及びBamHI
で消化してXbaI−BamHI DNA断片(約540b
p)を単離精製し、これを発現ベクターpIN−III
(lppp −5)−A3のXbaI−BamHIサイトに挿入
して、第5図における35番目のアミノ酸(Val)から
185番目のアミノ酸(Thr)までからなるポリペプチ
ド発現用の、所望の分泌型発現プラスミドpIN−II
I(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV15
1を得た。 【0147】以上の概略を第9図−1、2及び3に示
す。 【0148】また、上記分泌型発現プラスミドにコード
されるアミノ酸配列を第10図に示す。第10図中、下
線を付した配列はOmpAシグナルペプチドを、▼はプ
ロセッシング部位をそれぞれ示す。 【0149】ヌ) 上記リ)で得たpIN−III(lp
p p −5)−OmpA−MCSF11−NV151を大
腸菌HB101及びJM109にトランスフォームして
分泌生産を行ない、ペリプラズム画分としてCSF活性
を示す上清を回収した。 【0150】即ち、上記のM−CSF分泌型発現ベクタ
ーを保有する菌株を2l容フラスコにて、50μg/m
lアンピシリンを含有するLB培地500mlにて37
℃で14時間振盪培養した後、遠心(5000rpm 、5
分間、室温)して菌体をペレットとした。 【0151】この菌体ペレットを、50mMトリス・H
Cl(pH8.0)−25%シュークロース溶液50m
lに再浮遊させ、更に250mM EDTA(pH8.
0)を1.25ml加えた後、ゆっくりと振盪しながら
室温に30分間置いた。同様に遠心して得られた菌体ペ
レットを、氷冷した蒸留水25mlに再浮遊させ、ゆっ
くりと振盪しながら、30分間氷冷し、4℃にて、10
000rpm 、5分間遠心して、ペリプラズム画分として
上清を回収した。 【0152】ル) 上記リ)において、pcDM・CS
F11−185の代りにpcDM−CSF11−177
を用いることにより、第5図における35番目のアミノ
酸(Val)から同177番目のアミノ酸(Glu)までか
らなるポリペプチド発現用の所望のM−CSF分泌型発
現プラスミド、pIN−III(lpp p −5)−Omp
A−MCSF11−NV143を得た。 【0153】該プラスミドにコードされるアミノ酸配列
を第11図に示す。第11図中、下線を付した配列はO
mpAシグナルペプチドを、▼はプロセッシング部位を
それぞれ示す。該プラスミドを上記ヌ)と同様にして大
腸菌にトランスフォームさせて、該大腸菌よりペリプラ
ズム画分としてCSF活性を示す上清を得た。 【0154】ヲ) 上記ヘ),ト)、チ)及びヌ)で得
た各上清を、下記条件のHPLCに付した。 【0155】カラム:TSKゲルG3000SW(60
cm×7.5mm直径、東洋曹達工業) 溶離液:0.005%ポリエチレングリコール及び0.
15M NaCl含有PBS 流速:0.8ml/分 フラクション容積:0.8ml/チューブ/分 分子量マーカー(グルタミン酸脱水素酵素:29万、乳
酸脱水素酵素:14.2万、エノラーゼ:6.7万、ア
デニル酸キナーゼ:3.2万、チトクロムC:1.24
万)を基準として、各サンプルにつき、以下の結果を得
た。 【0156】・サンプル:前記ヘ)で得た培養上清の4
mlをセントリコン−10(アミコン社製)にて約15
0μlに濃縮したもの。 【0157】分子量32〜70万(平均48万)に相当
する範囲の溶出画分に、CSF活性を認めた。 【0158】・サンプル:前記ト)で得た培養上清4m
lを上記と同様に処理したもの。 【0159】分子量6.6万から8.6万(平均7.6
万)に相当する範囲の溶出画分に、CSF活性を認め
た。 【0160】・サンプル:前記チ)で得た培養上清4m
lを上記と同様に処理したもの。 【0161】分子量5.2万から8.6万(平均6.7
万)に相当する範囲の溶出画分に、CSF活性を認め
た。 【0162】・サンプル:前記ヌ)で得たペリプラズム
画分の上清2mlを上記と同様にして約110μlに濃
縮したもの。 【0163】分子量3〜4万(平均3.5万)に相当す
る位置に、CSF活性を認めた。 【0164】ワ) 前記ヘ),ト)又はチ)で得た培養
上清の10mlを、1mlのConA−セファロースを充
填したカラムに供した後、PBS−(5ml)にて洗浄
後、0.5Mメチル−α−D−マンノシド含有PBS−
(10ml)にて溶出した。得られた溶出液の4mlを
セントリコン−10にて濃縮し、これを下記SDS−P
AGE用サンプルとした。 【0165】また、前記ヌ)で得たペリプラズム画分の
上清は、これをそのまま、同サンプルとした。 【0166】M−CSFの検出は、SDS−PAGE後
のゲルをウエスタンブロッティングに供し、常法に従っ
て製造したM−CSFに対する家兎抗血清を使用するこ
とにより行なった。 【0167】即ち、SDS−PAGEはレムリの方法
〔Laemmli, U.K., Nature, 277, 680(1970)〕に従い、
ミニスラブ(ゲル濃度15%)を用い、またウエスタン
ブロッティングは、バイオラッド社のトランスブロット
セルを用いて行なった。トランスファーされたニトロセ
ルロース膜を1%牛血清アルブミン含有PBS−にてブ
ロッキング後、M−CSFに対する上記家兎抗血清と反
応させ、更にパーオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギ抗体
(バイオラッド社製)を作用させた。M−CSFバンド
の検出は、かくして得られたニトロセルロース膜と発色
基質である4−クロロ−1−ナフトール液を反応させる
ことにより行なった。 【0168】結果を下記表6に示す。 【0169】 【表6】【0170】カ) プラスミドpSV2−dhfr〔Mol. C
ell. Biol., 1, 854 (1981) 〕を、制限酵素Hind II
IとBamHIにより2つの断片に切断して、ジヒドロ葉
酸還元酵素(DHFR)遺伝子を含む断片を単離精製し
た。 【0171】次に、プラスミドpRSV−CAT〔Pro
c. Natl. Acad. Sci., USA, 79, 6777 (1981) 〕を、同
じくHindIIIとBamHIとで切断してラウス肉腫ウ
イルス(RSV)のLTR(long terminal repeat)部
分を含む断片を単離精製した。 【0172】上記で精製された2種の断片を、T4DN
Aリガーゼを反応させることにより連結させた。 【0173】この反応物を大腸菌HB101コンピテン
トセル(宝酒造)にトランスフォームし、得られたアン
ピシリン耐性を示すコロニーからプラスミドDNAを調
製し、制限酵素地図を作成して、目的のプラスミドpR
SV−dhfrを得た。 【0174】該プラスミドはRSVのLTR部分、DH
FR遺伝子、SV40由来の介在配列とpolyA付加シグ
ナル、更に大腸菌プラスミドpBR322由来の複製開
始点とアンピシリン耐性遺伝子を含有し、上記LTR部
分に含有されるプロモーターのコントロール下にDHF
Rを発現するものである。 【0175】このプラスミドpRSV−dhfrをNdeIと
BamHIとで2つの断片に切断して、DHFR遺伝子を
含む断片を単離精製した。得られたDNA断片を、DN
AポリメラーゼI(クレノウ フラグメント)で処理し
て両末端を平滑末端とした。 【0176】一方、前記ヘ)で得たプラスミドpcDM
・CSF11を、SalIで切断後、この切断部位を同様
にDNAポリメラーゼIで処理して平滑末端とした。 【0177】以上により得られた両断片を、T4DNA
リガーゼを用いて連結させ、この反応物を大腸菌JM1
09コンピテントセルにトランスフォームした。得られ
たアンピシリン耐性を示すコロニーからプラスミドDN
Aを調製し、制限酵素地図を作成して、目的のM−CS
FとDHFRの両遺伝子の発現プラスミドpcDM・C
SF11−dhfrを得た。 【0178】該プラスミドは、M−CSF発現に係わる
SV40由来の初期プロモーター部分、介在配列、M−
CSF遺伝子、polyA付加シグナル、DHFR発現に係
わるRSVのLTR部分、DHFR遺伝子、SV40由
来の介在配列、polyA付加シグナルを含有し、更に大腸
菌プラスミドpBR322由来の複製開始点及びアンピ
シリン耐性遺伝子を含有する。 【0179】以上の概略を第12図−1及び−2に示
す。 【0180】ヨ) 上記で得たプラスミドpcDM・C
SF11−dhfrを用いて、前記ハ)に従って、r−MC
SFを製造した。 【0181】その結果、培養上清のCSF活性は、プレ
ート当たりのコロニー数(平均値)として68(プラス
ミドpcDEを用いた対照は0)であった。 【0182】タ) 75cm2 培養フラスコ(コスター
社製)で培養されたチャイニーズハムスター卵巣dhfr欠
損細胞〔CHO−Dukdhfr−細胞:Proc. Natl. Aca
d. Sci., USA., 77, 4216 (1980) 〕を、常法に従って
トリプシン(フローラボラトリー社製)処理し、10%
透析牛胎児血清(GIBCO 社製)を含むダルベッコ改良最
小必須培地(DMEM培地、GIBCO 社製)に懸濁させ、
同培地にて細胞を洗浄した後、培地を除いた。 【0183】この細胞を、DNA注入溶液(0.25M
マンニトール−0.1mM CaCl2 ・2H2 O−
0.1mM MgSO4 ・7H2 O−0.2mMトリス
HCl、pH7.2、和光純薬工業社製)に懸濁させ
た。 【0184】前記カ)で得たM−CSF発現プラスミド
pcDM・CSF11−dhfrを、ClaIにより切断し、
線状化した後、DNA注入溶液に溶解させた。 【0185】上記の細胞懸濁液200μl(2×106
細胞)とDNA溶液200μl(30μgDNA)を混
合し、融合チャンバーCH−2(島津製作所社製)に入
れ、電気融合装置SSH−1(島津製作所社製)に接続
して、4.2KV/cm2 パルスを1秒間隔で2回繰返
し、電気的に、細胞内にDNAを導入した。 【0186】DNAを導入した細胞を10%透析牛胎児
血清−1%非必須アミノ酸溶液(フローラボラトリーズ
社製)−2%HT溶液(同上社製)−DMEM培地に懸
濁させ、24穴プレート(コスター社製)にて培養し
た。 【0187】48時間培養後、培地を選択培地(10%
透析牛胎児血清及び1%非必須アミノ酸溶液を含むDM
EM培地)に交換し、その後、3〜4日毎に培地を新鮮
なものと交換した。 【0188】10〜14日間培養して得られた約200
クローンの形質転換細胞より50クローンを選んで、常
法通りトリプシン処理後、新しい24穴プレートに移し
た。 【0189】DHFR遺伝子の増幅は、高濃度のメトト
レキセート(MTX)に対する耐性を与え〔J. B. C.,
253, 1357 (1978)〕、同時に形質転換された近接の遺伝
子はMTXにより増幅を示す。 【0190】上記50クローンの形質転換細胞を、20
nM MTXを含む選択培地で培養し続け、増殖のみら
れた耐性クローンをトリプシン処理後、50nM MT
Xを含む選択培地に懸濁させて培養を行なった。同様に
増殖のみられた耐性クローンを、100nM MTXを
含む選択培地で培養し続け、最終的に400nM MT
Xに耐性を示すクローンを得た。 【0191】これらの耐性クローンの培養上清のCSF
活性を下記表7に示す。 【0192】 【表7】 【0193】上記で得たCHO細胞培養上清を、そのま
ま、SDS−PAGEのサンプルとして、前記ワ)と同
様にして、SDS−PAGEによる分子量の検討を行な
った。 【0194】その結果、非還元条件下で9万、還元条件
下で4.4万に相当する位置にM−CSFのバンドが検
出された。
【図面の簡単な説明】
【図1】λcM5のcDNAの制限酵素地図を示す。
【図2】マキサム−ギルバートの化学修飾法及びM13
フアージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて
決定された上記cDNAの塩基配列を示す。 【図3】マキサム−ギルバートの化学修飾法及びM13
フアージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて
決定された上記cDNAの塩基配列を示す。 【図4】マキサム−ギルバートの化学修飾法及びM13
フアージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて
決定された上記cDNAの塩基配列を示す。 【図5】マキサム−ギルバートの化学修飾法及びM13
フアージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて
決定された上記cDNAの塩基配列を示す。 【図6】上記cDNAによりコードされているM−CS
F前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図7】上記cDNAによりコードされているM−CS
F前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図8】λcM11のcDNAの塩基配列を示す。 【図9】λcM11のcDNAの塩基配列を示す。 【図10】λcM11のcDNAの塩基配列を示す。 【図11】λcM11のcDNAの塩基配列を示す。 【図12】λcM11cDNAによりコードされている
M−CSF前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図13】λcM11cDNAによりコードされている
M−CSF前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図14】λcM11cDNAによりコードされている
M−CSF前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図15】COS細胞発現ベクターpcDEの作製の概
略図を示す。 【図16】M−CSF発現プラスミドpcDM・CSF
の作製の概略図を示す。 【図17】M−CSF発現プラスミドpcDM・CSF
11−185の作製の概略図を示す。 【図18】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV151
の作製の概略図を示す。 【図19】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV151
の作製の概略図を示す。 【図20】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV151
の作製の概略図を示す。 【図21】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV151
によりコードされるアミノ酸配列を示す。 【図22】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV143
によりコードされるアミノ酸配列を示す。 【図23】M−CSF発現プラスミドpcDM・CSF
11−dhfrの作製の概略図を示す。 【図24】M−CSF発現プラスミドpcDM・CSF
11−dhfrの作製の概略図を示す。
フアージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて
決定された上記cDNAの塩基配列を示す。 【図3】マキサム−ギルバートの化学修飾法及びM13
フアージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて
決定された上記cDNAの塩基配列を示す。 【図4】マキサム−ギルバートの化学修飾法及びM13
フアージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて
決定された上記cDNAの塩基配列を示す。 【図5】マキサム−ギルバートの化学修飾法及びM13
フアージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて
決定された上記cDNAの塩基配列を示す。 【図6】上記cDNAによりコードされているM−CS
F前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図7】上記cDNAによりコードされているM−CS
F前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図8】λcM11のcDNAの塩基配列を示す。 【図9】λcM11のcDNAの塩基配列を示す。 【図10】λcM11のcDNAの塩基配列を示す。 【図11】λcM11のcDNAの塩基配列を示す。 【図12】λcM11cDNAによりコードされている
M−CSF前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図13】λcM11cDNAによりコードされている
M−CSF前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図14】λcM11cDNAによりコードされている
M−CSF前駆体蛋白質の蛋白一次構造を示す。 【図15】COS細胞発現ベクターpcDEの作製の概
略図を示す。 【図16】M−CSF発現プラスミドpcDM・CSF
の作製の概略図を示す。 【図17】M−CSF発現プラスミドpcDM・CSF
11−185の作製の概略図を示す。 【図18】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV151
の作製の概略図を示す。 【図19】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV151
の作製の概略図を示す。 【図20】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV151
の作製の概略図を示す。 【図21】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV151
によりコードされるアミノ酸配列を示す。 【図22】M−CSF発現プラスミドpIN−III
(lpp p −5)−OmpA−MCSF11−NV143
によりコードされるアミノ酸配列を示す。 【図23】M−CSF発現プラスミドpcDM・CSF
11−dhfrの作製の概略図を示す。 【図24】M−CSF発現プラスミドpcDM・CSF
11−dhfrの作製の概略図を示す。
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所
C12R 1:91)
(72)発明者 河野 尚美
徳島県徳島市佐古八番町8−17 八番町
リバーハイツ404号
(72)発明者 平井 嘉勝
徳島県板野郡北島町新喜来字江古川5−
49
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.下式(1)に示すアミノ酸配列の33位Gluから
37位GluのいずれかをN端アミノ酸とし、同185
位ThrをC端アミノ酸とする部分アミノ酸配列をコー
ドする核酸配列を有するヒトM−CSF遺伝子を含有す
る組換えベクターで形質転換された宿主を培養し、得ら
れるヒトM−CSFを採取することを特徴とするヒトM
−CSFの製造方法。 式(1):Met-Thr-Ala-Pro-Gly-Ala-Ala-Gly-Arg-Cys-
Pro-Pro-Thr-Thr-Trp-Leu-Gly-Ser-Leu-Leu-Leu-Leu-Va
l-Cys-Leu-Leu-Ala-Ser-Arg-Ser-Ile-Thr-Glu-Glu-Val-
Ser-Glu-Tyr-Cys-Ser-His-Met-Ile-Gly-Ser-Gly-His-Le
u-Gln-Ser-Leu-Gln-Arg-Leu-Ile-Asp-Ser-Gln-Met-Glu-
Thr-Ser-Cys-Gln-Ile-Thr-Phe-Glu-Phe-Val-Asp-Gln-Gl
u-Gln-Leu-Lys-Asp-Pro-Val-Cys-Tyr-Leu-Lys-Lys-Ala-
Phe-Leu-Leu-Val-Gln-X -Ile-Met-Glu-Asp-Thr-Met-Arg
-Phe-Arg-Asp-Asn-Thr-Pro-Asn-Ala-Ile-Ala-Ile-Val-G
ln-Leu-Gln-Glu-Leu-Ser-Leu-Arg-Leu-Lys-Ser-Cys-Phe
-Thr-Lys-Asp-Tyr-Glu-Glu-His-Asp-Lys-Ala-Cys-Val-A
rg-Thr-Phe-Tyr-Glu-Thr-Pro-Leu-Gln-Leu-Leu-Glu-Lys
-Val-Lys-Asn-Val-Phe-Asn-Glu-Thr-Lys-Asn-Leu-Leu-A
sp-Lys-Asp-Trp-Asn-Ile-Phe-Ser-Lys-Asn-Cys-Asn-Asn
-Ser-Phe-Ala-Glu-Cys-Ser-Ser-Gln-Asp-Val-Val-Thr-L
ys-Pro-Asp-Cys-Asn-Cys-Leu-Tyr-Pro-Lys-Ala-Ile-Pro
-Ser-Ser-Asp-Pro-Ala-Ser-Val-Ser-Pro-His-Gln-Pro-L
eu-Ala-Pro-Ser-Met-Ala-Pro-Val-Ala-Gly-Leu-Thr-Trp
-Glu-Asp-Ser-Glu-Gly-Thr-Glu-Gly-Ser-Ser-Leu-Leu-P
ro-Gly-Glu-Gln-Pro-Leu-His-Thr-Val-Asp-Pro-Gly-Ser
-Ala-Lys-Gln-Arg-Pro-Pro-Arg-Ser-Thr-Cys-Gln-Ser-P
he-Glu-Pro-Pro-Glu-Thr-Pro-Val-Val-Lys-Asp-Ser-Thr
-Ile-Gly-Gly-Ser-Pro-Gln-Pro-Arg-Pro-Ser-Val-Gly-A
la-Phe-Asn-Pro-Gly-Met-Glu-Asp-Ile-Leu-Asp-Ser-Ala
-Met-Gly-Thr-Asn-Trp-Val-Pro-Glu-Glu-Ala-Ser-Gly-G
lu-Ala-Ser-Glu-Ile-Pro-Val-Pro-Gln-Gly-Thr-Glu-Leu
-Ser-Pro-Ser-Arg-Pro-Gly-Gly-Gly-Ser-Met-Gln-Thr-G
lu-Pro-Ala-Arg-Pro-Ser-Asn-Phe-Leu-Ser-Ala-Ser-Ser
-Pro-Leu-Pro-Ala-Ser-Ala-Lys-Gly-Gln-Gln-Pro-Ala-A
sp-Val-Thr-Gly-Thr-Ala-Leu-Pro-Arg-Val-Gly-Pro-Val
-Arg-Pro-Thr-Gly-Gln-Asp-Trp-Asn-His-Thr-Pro-Gln-L
ys-Thr-Asp-His-Pro-Ser-Ala-Leu-Leu-Arg-Asp-Pro-Pro
-Glu-Pro-Gly-Ser-Pro-Arg-Ile-Ser-Ser-Pro-Arg-Pro-G
ln-Gly-Leu-Ser-Asn-Pro-Ser-Thr-Leu-Ser-Ala-Gln-Pro
-Gln-Leu-Ser-Arg-Ser-His-Ser-Ser-Gly-Ser-Val-Leu-P
ro-Leu-Gly-Glu-Leu-Glu-Gly-Arg-Arg-Ser-Thr-Arg-Asp
-Arg-Arg-Ser-Pro-Ala-Glu-Pro-Glu-Gly-Gly-Pro-Ala-S
er-Glu-Gly-Ala-Ala-Arg-Pro-Leu-Pro-Arg-Phe-Asn-Ser
-Val-Pro-Leu-Thr-Asp-Thr-Gly-His-Glu-Arg-Gln-Ser-G
lu-Gly-Ser-Ser-Ser-Pro-Gln-Leu-Gln-Glu-Ser-Val-Phe
-His-Leu-Leu-Val-Pro-Ser-Val-Ile-Leu-Val-Leu-Leu-A
la-Val-Gly-Gly-Leu-Leu-Phe-Tyr-Arg-Trp-Arg-Arg-Arg
-Ser-His-Gln-Glu-Pro-Gln-Arg-Ala-Asp-Ser-Pro-Leu-G
lu-Gln-Pro-Glu-Gly-Ser-Pro-Leu-Thr-Gln-Asp-Asp-Arg
-Gln-Val-Glu-Leu-Pro-Val 〔式中、XはTyr又はAspを示す。〕
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20200008258A (ko) * | 2018-07-16 | 2020-01-28 | 충북대학교 산학협력단 | 대식세포 콜로니 자극인자의 분리 및 정제 방법 |
-
1996
- 1996-05-28 JP JP8133284A patent/JP2660332B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20200008258A (ko) * | 2018-07-16 | 2020-01-28 | 충북대학교 산학협력단 | 대식세포 콜로니 자극인자의 분리 및 정제 방법 |
KR102075256B1 (ko) | 2018-07-16 | 2020-02-07 | 충북대학교 산학협력단 | 대식세포 콜로니 자극인자의 분리 및 정제 방법 |
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JPH09107963A (ja) | 1997-04-28 |
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