JP2660079B2 - 2,6‐ジエチルナフタレンの選択的製造法 - Google Patents

2,6‐ジエチルナフタレンの選択的製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の分野 本発明はジエチルナフタレンの製造法に関し、より詳
細には、1,4−ジエチルベンゼン、1,2,4−トリエチルベ
ンゼン、少なくとも1つのテトラエチルベンゼンまたは
ペンタエチルベンゼンによるナフタレンまたは2−エチ
ルナフタレンのトランスエチル化による極めて選択的な
2,6−ジエチルナフタレンの製造法に関する。
先行技術の説明 ナフタレンジカルボン酸類は種々のポリマーの調製に
有用であることが知られているモノマーである。たとえ
ば、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびエチレングリ
コールから調製したポリ(エチレン2,6−ナフタレー
ト)はポリエチレンテレフタレートよりも耐熱性および
機械的特性がすぐれており、フィルムおよび繊維の製造
に有用である。
ジエチルナフタレン類は対応するナフタレンジカルボ
ン酸へ酸化させるのに好ましい原料である。ナフタレン
ジカルボン酸の公知の一般的な製造方法は高温高圧下
で、コバルト、マンガンおよび臭素成分を含む触媒を存
在させ、酢酸溶媒の液相中でジエチルナフタレンを酸素
で酸化させることよりなる。
ジエチルナフタレン類は考えられる10種類のジエチル
ナフタレン異性体の若千またはすべての混合物として精
油所のストリームの中に低濃度ではあるが認めることが
できる。しかし、これら異性体の分離は極めて難しく、
費用もかかる。従って、特定のジエチルナフタレン類ま
たは高純度・高品質の2,3種類の特定のジエチルナフタ
レン類混合物を製造する方法は極めて望ましい。該方法
の1つは特開昭61−83137合(1986年4月26日)に開示
されており、液相中で0−35℃において塩化アルミニウ
ム触媒を存在させ、ナフタレンまたは2−メチルナフタ
レンのトランスアルキル化によって2,6−ジアルキルナ
フタレンを製造することを含む合成法である。適当なア
ルキル化剤はジュレン、ジエチルベンゼン、トリエチル
ベンゼン、トリイソプロピルベンゼンおよびイソプロピ
ルキシレン、ジブチルベンゼンを含むと開示されてい
る。報告された試験結果は特定のジアルキルナフタレン
類の生成に対する選択の度合が比較的低いことを示して
いる。
特開昭62−252733号(1987年11月4日)は、70−150
℃で、塩化アルミニウムのようなフリーデン・クラフツ
触媒を存在させ、エチルベンゼンでビフェニルをトラン
スエチル化させてモノエチルビフェニルおよびジエチル
ビフェニルを得る方法を開示している。この特許文献
は、70℃未満の反応温度が反応速度を遅滞させることを
開示している。エチル化ビフェニル生成物中のエチル置
換基の環中の位置は開示されていない。適当なエチルベ
ンゼン類にはエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリ
エチルベンゼン、テトラエチルベンゼン、他のエチル置
換ベンゼン類、エチルトルエン、ジエチルトルエンおよ
び他のエチル置換トルエン類がある。比較的少量のモノ
エチルベンゼン、トリエチルベンゼンおよびテトラエチ
ルベンゼンを含むポリエチルベンゼン類も好適に使用す
ることができる。
Shimada等の「ナフタレンのエチル化およびトランス
エチル化(Ethylation and Transethylation of Naphth
alene)」日本化学会誌第48巻(II)、3306−3308頁(1
975年11月)は、20−30℃で、塩化アルミニウム触媒を
存在させ、エチルベンゼンまたはエチルキシレン類によ
るナフタレンのトランスエチル化によってモノエチルナ
フタレン類を得ることを開示している。エチルキシレン
異性体によるトランスエチル化の速度は1,2−ジメチル
−4−エチルベンゼン1,3−ジメチル−4−エチルベ
ンゼン1,4−ジメチル−2−エチルベンゼン>1,3−ジ
メチル−5−エチルベンゼンの順に減少すると報告され
た。
このように、トランスエチル化法によって、2,6−ジ
エチルナフタレンまたは2,6−および2,7−ジエチルナフ
タレン混合物を極めて選択的に製造する既存の方法は知
られていない。
発明の目的 従って本発明の一般的な目的は、2,6−ジエチルナフ
タレンまたは2,6−および2,7−ジエチルナフタレン混合
物を極めて選択的に選択する改良方法を提供することで
ある。
より具体的には、本発明の目的は、高度にregeospeci
fic(レギオ特定)な条件下でナフタレンまたは2−エ
チルナフタレンをトランスエチル化することによって2,
6−ジエチルナフタレンまたは2,6−および2,7−ジエチ
ルナフタレン混合物を極めて選択的に製造する改良方法
を提供することである。
本発明の他の目的および利点は以下の詳細な説明およ
び請求の範囲を添付図面を参照しつつ読めば明らかとな
ろう。
発明の要約 これらの目的は、塩化アルミニウム、臭化アルミニウ
ム、塩化タンタル、フッ化アンチモン、およびレッドオ
イルよりなる群から選ばれたルイス酸触媒を重量単位で
供給原料1モル当り触媒約0.01ないし約1モルの水準で
(レッドオイルの場合、塩化アルミニウム含量を基準に
したレッドオイル含有量)存在させ、かつ約−10℃ない
し約100℃の範囲の温度で、供給原料としてナフタレン
または2−エチルナフタレンのうちの少なくとも1つ
と、エチル化剤として1,4−ジエチルベンゼン、1,2,4−
トリエチルベンゼン、少なくとも1つのテトラエチルベ
ンゼンまたはペンタエチルベンゼンのうちの少なくとも
1つとを重量単位で供給原料1モル当りエチル化剤約1
ないし約10モルの水準で液相中で反応させることにより
なる2,6−ジエチルナフタレンの改良製造方法によって
達成される。
好適な態様の詳細な説明 ナフタレンまたは2−エチルナフタレンまたはそれら
の混合物は本発明の方法における供給原料として使用す
るのに適当である。供給原料は2−エチルナフタレンよ
りなるのが好ましい。後記実施例で示すように、1,2−
および1,3−ジエチルベンゼン、1,2,3−および1,3,5−
トリエチルベンゼン、およびヘキサエチルベンゼンと比
較して、ベンゼン環にて、好ましくは3個から最高5個
のエチル置換基を有し、その中2個は互いにパラ位にあ
るポリエチル化ベンゼン類は本発明の方法において2,6
−および2,7−ジエチルナフタレンの著しくすぐれた収
率を与える。このように1,4−ジエチルベンゼン、1,2,4
−トリエチルベンゼン、任意のテトラエチルベンゼン、
ペンタエチルベンゼン、およびそれらの混合物は本発明
の方法における最適なエチル化剤である。テトラエチル
ベンゼン類はすべて互いにパラ位にある環位置をとる少
なくとも一対のエチル置換基をもっているので、テトラ
エチルベンゼン類はすべて本発明の方法の適当なエチル
化剤であり、従ってテトラエチルベンゼン異性体混合物
は分離する必要はなく、本発明の方法におけるエチル化
剤そのものとして使用することができる。ヘキサエチル
ベンゼンは酸触媒と不可逆的な負荷複合体を形成し、し
たがって本発明の好適な方法では作用しない。
エチル化剤対ナフタレンおよび/または2−エチルナ
フタレン供給原料のモル比は本発明の方法においては、
約1:1、好ましくは約2:1から約10:1、好ましくは約5:1
の範囲である。
本発明のトランスエチル化反応は溶剤が存在するかま
たは存在しない液相中で行われる。採用反応条件下で不
活性であって、反応物および生成物の有効な溶剤として
働く液体はどんなものでも本発明の方法に用いるのに適
する。適当な溶剤には塩化メチレン、クロロベンゼン、
1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロエタンおよびクロロ
ホルムのようなハロカーボン類、または二硫化炭素、ベ
ンゼン、シクロヘキサン、およびn−オクタンがある。
塩基性で、触媒と不可逆的に結合する溶剤は適当ではな
い。このような不適当な溶剤にはケトン類、アルデヒド
類、エーテル類、エステル類およびアルコール類があ
る。好ましくは溶剤は塩化メチレンである。溶剤を使用
する場合には、溶剤対供給原料の重量の比は約1:1、好
ましくは約2:1から約15:1、好ましくは約8:1の範囲であ
る。
成る特定のルイス酸は本発明の方法の触媒として用い
るのに適する。適当なルイス酸触媒には塩化アルミニウ
ム、臭化アルミニウム、五塩化タンタル、五フッ化アン
チモン、三塩化ホウ素、および「レッドオイル」(塩化
アルミニウムまたは若千の他の前記の適当なルイス酸を
ベンゼン、エチルベンゼン、または混合ジエチルベンゼ
ン類または混合テトラエチルベンゼン類のような芳香族
溶剤に分散させたスラリーに塩化エチルまたは臭化エチ
ルを加えることによって合成される複雑な極性液体触媒
相)がある。塩化アルミニウムが触媒であるのが好まし
い。触媒は適当な溶剤に溶解させるかまたは炭化水素媒
質中の不溶相として使用することができる。
塩化アンチモン、塩化ビスマス、塩化第二鉄、塩化ス
ズ、塩化チタン、塩化亜鉛および塩化ジルコニウムのよ
うな他の通常のルイス酸は本発明の好適な方法における
効果的な触媒ではない。臭化エチルおよび塩化エチルは
有用な助触媒である。
触媒は本発明の方法において、使用するナフタレンお
よび2−エチルナフタレン合計の1モル当り約0.01、好
ましくは約0.05から約1.0モル、好ましくは約0.2モルの
範囲の量で使用する。
反応を連続式またはバッチ式で行わせる場合には、滞
留時間は約0.1、好ましくは約1から約10時間、好まし
くは約5時間である。
反応温度は約−10℃、好ましくは−5℃から、約100
℃、好ましくは約20℃の範囲である。反応圧力は採用す
る特定反応温度において反応物および生成物を液相に保
つほど高くなければならず、通常約0.5、好ましくは約
0.8から約10気圧、好ましくは約5気圧(ゲージ圧)の
範囲である。
以下の特定の実施例によって本発明はさらに明白に理
解されよう。
実施例1−34 以下特記するものを除き、各実施例1−34は磁気撹拌
機を備え、窒素でパージし、氷浴で冷却した250ミリリ
ットルの三つ口丸底フラスコを用いて行った。第1、3
および5表に明示する反応混合物の成分を、第1、3お
よび5表に規定する量で投入した。いずれの場合にも、
触媒は最後に投入し、その時点で瞬時にトランスエチル
化反応が始まり、各実施例は実質的に同一の反応条件を
採用した。触媒投入24時間後に、反応媒質の容積の略、
2倍の容積のメタノールを投入して反応を制止させた。
次いで生成混合物を分析して、転化されるナフタレン
(第2、4および6表にNpと明示)および2−エチルナ
フタレン(第2表に2−ENpと明示)の合成重量%、選
択的に2,6−および2,7−ジエチルナフタレン(第2、4
および6表にそれぞれ2,6−DENpおよび2,7−DENpと明
示)の両方に転化されるナフタレンおよび2−エチルナ
フタレンの合計重量%、および各実施例で生成した2,6
−ジエチルナフタレンおよび2,7−ジエチルナフタレン
合計量中の各2,6−ジエチルナフタレンおよび2,7−ジエ
チルナフタレンの相対濃度を求めた。
実施例1−16、32および33で得られた試験結果を比較
すると、選択的エチル化剤としてのテトラ−およびペン
タ−エチルベンゼンの優位性および同一化合物の部類内
での非パラ置換異性体に勝るパラ置換異性体の優位性が
わかる。実施例1−3で得られた試験結果を比較する
と、エチル化剤対供給原料化合物の比率が高いほど大き
な活性および反応速度を与える該比率の活性に及ぼす影
響がわかる。実施例9−12で得られた試験結果を比較す
ると、(1)触媒の使用量が多いと触媒活性は大きくな
るが選択率の変動は少なくなり、(2)供給原料中に2
−エチルナフタレンが存在すると選択率および収率が大
きくなることがわかる。実施例13−14で得られた試験結
果を比較すると、低級エチルベンゼンのエチレンによる
エチル化によって調製したテトラエチルベンゼン類混合
物は2,6−ジエチルナフタレンの選択的製造用の適切な
エチル化剤であることがわかる。
実施例15はペンタエチルベンゼンがテトラエチルベン
ゼン類と同様に、本発明の方法における極めて選択性の
あるエチル化剤であることを示す。実施例17−31で得ら
れた試験結果を比較すると、少なくとも塩化アルミニウ
ム程度に酸性であるルイス酸は2,6−ジエチルナフタレ
ンの製造に著しい活性を示すことがわかる。実施例17−
18で得られた試験結果を比較すると、2,6−ジエチルナ
フタレンを製造する本発明の方法において非極性溶剤中
の可溶性溶媒が効果的であることがわかる。実施例19お
よび24の試験結果から、五塩化タンタルおよび五フッ化
アンチモンは、塩化アルミニウムよりも活性が劣るけれ
ども、塩化アルミニウムよりも選択性があり、2,6−ジ
エチルナフタレン対2,7−ジエチルナフタレンの高比率
を与えることがわかる。
実施例25−28で得られた試験結果を比較すると、塩化
第二鉄、塩化ビスマスおよび塩化ジルコニウムは採用し
た反応条件下では不活性であることがわかる。実施例29
−31で得られた試験結果を比較すると、「レッドオイ
ル」−−塩化アルミニウムとハロゲン化アルキル(また
は塩化水素およびオレフィン)および芳香族化合物との
複合体は本発明の極めて選択性ある触媒である。実施例
17、18、29−31および32−35から本発明の方法は(1)
触媒も反応物もともに溶解している溶剤中での均一触媒
反応かまたは(2)非極性溶剤かまたは無溶剤での不均
一触媒反応で、この場合に触媒は反応物にほとんどまた
はまったく溶解性を示さない極性液相−−たとえばレッ
ドオイル−−よりなるものとして行わせることができる
ことがわかる。
上記説明から、本発明の目的が達せられたことは明ら
かである。僅かなある態様を示したにすぎないけれど
も、当業者にとっては前記説明から別の態様および種々
の変更が明らかであろう。これらの別法は等価であり本
発明の精神および範囲内にあると考えられる。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三
    塩化ホウ素、五塩化タンタル、五フッ化アンチモンおよ
    びレッドオイルよりなる群から選ばれたルイス酸触媒
    を、重量単位で供給原料1モル当り触媒約0.01ないし約
    1モルの量で存在させ、約−10℃ないし約100℃の範囲
    の温度で、供給原料としてナフタレンまたは2−エチル
    ナフタレンのうちの少なくとも1つと、エチル化剤とし
    て1,2,4−トリエチルベンゼン、少なくとも1種類のテ
    トラエチルベンゼンおよびペンタエチルベンゼンのうち
    の少なくとも1つとを重量単位で供給原料1モル当りエ
    チル化剤約1ないし約10モルの量で液相中で反応させる
    ことによりなる2,6−ジエチルナフタレンを製造する方
    法。
  2. 【請求項2】供給原料が2−エチルナフタレンよりなる
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】エチル化剤がテトラエチルベンゼン、ペン
    タエチルベンゼンまたはそれらの混合物である請求項1
    記載の方法。
  4. 【請求項4】エチル化剤が重量単位で供給原料1モル当
    り約2ないし約5モルの量である請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】ルイス酸触媒が塩化アルミニウムよりなる
    請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】ルイス酸触媒がレッドオイルよりなる請求
    項1記載の方法。
  7. 【請求項7】ルイス酸が重量単位で供給原料1モル当り
    約0.05ないし約0.2モルの量である請求項1記載の方
    法。
  8. 【請求項8】ルイス酸が塩化メチレンまたはクロロベン
    ゼンよりなる溶剤に溶解されている請求項1記載の方
    法。
  9. 【請求項9】溶剤が任意の炭化水素またはハロカーボよ
    りなる請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】供給原料およびエチル化剤がハロカーボ
    ン、二硫化炭素、ベンゼン、シクロヘキサンまたはn−
    オクタンよるなる溶剤に溶解されている請求項1記載の
    方法。
  11. 【請求項11】反応が約−5℃ないし約20℃の範囲の温
    度で行われる請求項1記載の方法。
JP1507984A 1988-06-28 1989-06-07 2,6‐ジエチルナフタレンの選択的製造法 Expired - Lifetime JP2660079B2 (ja)

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