JP2656747B2 - 臨床用試料の剥離防止剤およびその製造方法 - Google Patents

臨床用試料の剥離防止剤およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、病理形態学的検査用の
臨床用試料、すなわち、細胞または組織標本をスライド
ガラス(以下、「ガラス」と称する)表面に固定するた
めの剥離防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞診は、治療医学および予防医学にお
いて極めて重要な手段であり、通常、例えば、腹腔、膀
胱、直腸、尿管、腎盂などの洗浄液、あるいは、尿、胸
水、腹水のような体腔貯留液の沈渣などを検体として、
ガラスに塗抹・固定することによってそれらの標本が作
製される。 従って、より正確な細胞診を行なうために
は、適切な検体処理法により集細胞を行い、良好な標本
を作製することが必要不可欠である。
【0003】標本をガラスに固定した後、種々の染色工
程に付されるのが通例であるが、未使用/無処理ガラス
を互いに擦り合わせ塗抹した後、アルコールなどで湿固
定してパパニコロウ染色用の標本を作製した場合、特
に、前記した組織洗浄液や尿の沈渣を検体とした場合で
は、大部分の細胞がガラス表面から剥離・脱落し、ま
た、体腔液の沈渣を検体としても、かなりの細胞の剥離
・脱落が認められる。
【0004】これら脱落した細胞や組織によれば、誤陰
性の判断を生じたり、他の標本に付着して陽性とする誤
判断を招く原因となりうる。
【0005】つまり、剥離防止のための処置が何ら施さ
れていないガラスを用いた場合、検体は、次のような化
学結合態様でガラス表面に結合・保持されているのもと
考えられる。
【0006】 水を多く含む検体の場合 〔ガラス表面の水酸基と試料中の水分子との水素結合〕
【0007】
【化1】
【0008】この態様にてアルコール固定を行なった場
合、結合力は専ら、水分子とアルコールとの水素結合に
依存するため、試料中の水分子とガラス表面の水酸基と
の水素結合は解離しやすく、従って、試料の剥離が高頻
度で生じることになる。
【0009】 タンパク質を多く含む検体の場合
【0010】
【化2】
【0011】上記の態様にて生じる試料の剥離を防止
するために、従来は、卵白グリセリンなどを用いてガラ
ス表面に試料の固定処置を行なっていたが、この場合で
も、染色におけるバックグラウンドが高くなったり剥離
を免れないなどの問題があった。
【0012】また、他の剥離防止手段として、ポリLリ
ジン溶液またはポリLリジンで固定処理する方法も知ら
れているが、この手段によると、剥離防止効果が充分で
はなく、擦り合わせ塗抹の際に細胞が破壊されるなどの
問題点があった。 そして、このポリLリジンは、ガラ
ス表面において、ポリLリジンのC末端アミノ基とガラ
ス表面の水酸基とは、以下のような水素結合を介して結
合しているものと考えられている。
【0013】
【化3】
【0014】このようなポリLリジン処理ガラスと検体
との結合態様を、具体的に例示すれば、以下のように示
される。
【0015】 水を多く含む検体の場合
【0016】
【化4】
【0017】 タンパク質を多く含む検体の場合
【0018】
【化5】
【0019】さらに、検体の剥離防止に有効であるとし
て、3−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理
したガラスも市販されているが、前記したような洗浄処
理・湿潤工程を経て標本が作製される場合には、所望の
効果は得られない。 このことは、ガラス表面と3−ア
ミノプロピルトリエトキシシランが、以下のような様式
で結合していることによるものと考えられる。
【0020】
【化6】
【0021】そして、この3−アミノプロピルトリエト
キシシランと検体との結合態様を、具体的に例示すれ
ば、以下のように示される。
【0022】 水を多く含む検体の場合
【0023】
【化7】
【0024】 タンパク質を多く含む検体の場合
【0025】
【化8】
【0026】さらに、ポリLリジンおよび3−アミノプ
ロピルトリエトキシシランのいずれも、YM式液状検体
用固定液(武藤化学薬品KK製;蓄痰用溶液;50%エタ
ノール、ポリエチレングリコール)を併用すると、細胞
の剥離を有為に防止することができる。 しかしなが
ら、この場合でも細胞量の相当量の低減・脱落が認めら
れ、特に、パパニコロウ染色が良好に行えず、また、検
体の処理に相応の時間がかかるなどの問題点があった。
【0027】そして、ポリLリジンで処理したガラスに
前述のYM液を用いた場合の、検体との結合態様を具体
的に例示すれば、以下のように示される。
【0028】
【化9】
【0029】同様に、3−アミノプロピルトリエトキシ
シランで表面処理したガラスにYM液を用いた場合の結
合態様は、以下のように示される。
【0030】
【化10】
【0031】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明の目
的とするところは、安価に再現性よく製造することがで
き、また、検体処理が煩雑な操作を必要とせず短時間で
行え、さらには、細胞変性の発生が少ないなどの利点を
有する、細胞または組織標本などの臨床試料用の剥離防
止剤を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、洩糸性を有する納
豆の粘質物質(以下、「粘質物質」と称する)の希釈液
がエタノールに溶解せず、そして、この希釈液を用いて
ガラスに臨床試料の固定処理を施すと、試料染色におい
て水洗を行なってもその粘性のために細胞が剥離しにく
く、また、検体が前記洗浄液や尿のような流体中に置か
れた細胞であっても、それらが該粘質物質と共にガラス
表面に付着するために、そのガラス表面から流出しにく
くなることを見い出し、本発明を完成したのである。
【0033】この粘質物質は、グルタミン酸のポリペプ
チドとフラクトースの重合したフラクタンの混合物を主
成分とするものであり〔山内文男、大久保一良編;「大
豆の科学」、第 120〜 123頁、1992年、初版〕、本発明
は、かような組成を有する粘質物質を含むことを特徴と
した、細胞または組織標本の剥離防止剤を提供するもの
であり、特に、前記粘質物質を、納豆を精製水で洗浄す
ることによって得たことを特徴とするものである。
【0034】以下に、本発明の実施例を、添付した図面
を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
【実施例】洩糸性を有する粘質物質を含む本発明の剥離
防止剤は、以下の工程によって製造されるものである。
【0036】まず、市販の糸引き納豆約50gに対して、
6〜8℃に冷却した精製水約 180mlを加え、大豆粒を壊
さないよう緩やかに、好ましくは、5〜10分間撹拌して
粘質物質を洗い出す。 この粘質物質を含む水溶液を、
ガーゼを用いて濾過することで大豆粒を取り除き、得ら
れた粘質物質を含む水溶液を遠心分離に付す。 なお、
微量の納豆菌 (Bacillus natto) の、冷蔵保存下での増
殖、ならびに水溶性成分の変性や臨床材料への混入を防
ぐためにも、遠心分離は 20,000rpm、60分、8℃の条件
とするのが好ましい。 そして、得られた上清を、迅速
に濾過処理を行う上で、好ましくは、0.45μm の孔径の
メンブレンフィルターに通すことにより濾過滅菌する。
このようにして調製した粘質物質の希釈液を、調製後
直ちに使用しない場合は、その適宜量を分注し、−20〜
−80℃にて凍結保存し、用時に解凍して再度濾過滅菌を
行って用いることも可能である。
【0037】そして、このようにして得られた粘質物質
の希釈液は、以下の一般的物性を有するものである。
【0038】性 状: 淡黄褐色、澄明。 軽度の洩
糸性を有する。
【0039】比 重: 1.007〜 1.008 組 成: ポリグルタミン酸、フラクタン pH : 7.0〜 7.2 本発明の剥離防止剤の原料となる納豆は、粘質物質中に
標本作製や染色に影響を及ぼす物質が含有されることが
ないよう配慮すべきであり、具体的には、無農薬の有機
栽培により得られた大豆を原料とし、添加物を用いるこ
となく製造された納豆を用いることが好ましい。
【0040】また希釈液の調製に用いる精製水も、同様
に、標本作製や染色に影響を及ぼす物質が含有されるこ
とがないよう配慮すべきであり、具体的には、市販のミ
ネラルウォーターでも対応可能である。
【0041】前記工程に従って製造された本発明の粘質
物質の希釈液を用いて、粘質物質で固定処理したガラス
を調製し、これを利用して以下の細胞または組織標本を
作製することができる。
【0042】(1) 細胞標本 通常のガラス上に本発明の粘質物質の希釈液10〜20μl
、好ましくは15μl を載せ、ガラス同士の擦り合わせ
などにより塗抹した後、冷風により風乾させる。
【0043】次いで検体を1滴(20〜30μl)を添加して
擦り合わせ塗抹した後、95%エタノールで定法により、
通常、15分以上固定する。
【0044】(2) 組織標本 通常のガラス上に本発明の粘質物質の希釈液5〜10μl
、好ましくは10μl を載せ、擦り合わせなどにより塗
抹した後、冷風により風乾させる。 次いで標品を採取
した後にホルマリン固定し、凍結切片、パラフィン切片
などを経て作製した検体をそのまま載置して、定法によ
り伸展させる。
【0045】本発明の剥離防止剤として、前記したよう
にして得られた粘質物質の希釈液をそのまま用いること
もできるが、その剥離防止性能を損なわず、かつ細胞お
よび組織、ならびに染色操作および染色結果に影響を及
ぼさない範囲において、適宜賦形剤や安定化剤などを添
加することも可能である。
【0046】粘質物質で固定処理したガラスにおいて、
粘質物質はガラス表面と以下のような態様で結合するも
のと考えられる。
【0047】
【化11】
【0048】このように結合した粘質物質は、アルコー
ル固定液による処理においてアルコールと反応すること
がないために、固定試料の剥離が防止されるものと考え
られる。 また、粘質物質中に含まれる、例えば、プロ
テアーゼなどの不純物は、水で希釈することによって失
活し、アルコール固定の際に除去されうる。
【0049】粘質物質で固定処理したガラスは、例え
ば、水を多く含む検体と以下のように結合すると考えら
れる。
【0050】
【化12】
【0051】前記細胞診に供せられる検体材料として
は、以下のものが挙げられる。 この内、組織擦過サン
プル以外の検体材料は、剥離防止の処置を施す必要性が
認められるが、本発明の適用対象がこれらに限定されな
いことは勿論である。
【0052】 婦人科関連:子宮頚部擦過サンプル、子宮体部擦過サン
プル、子宮体内膜吸引物; 呼吸器関連:気管支擦過サンプル、気管支洗浄液沈渣、
喀痰; 泌尿器関連:尿沈渣、尿管尿沈渣、膀胱洗浄液沈渣、腎
盂洗浄液沈渣; 消化器関連:胆汁沈渣、肝穿刺サンプル、腸管内洗浄液
沈渣; 乳 腺関連:乳汁沈渣、乳腺穿刺サンプル; 甲状腺関連:甲状腺穿刺サンプル; 体 腔 液:胸水沈渣、腹水沈渣、腹腔洗浄液沈渣、髄
液; 腫 瘍由来:腫瘍内容液沈渣、穿刺サンプル、リンパ節
タッチサンプル。
【0053】次に、このように湿固定された細胞診用標
品は、例えば、以下の表1に示したような通常の手順に
従ってパパニコロウ染色を行うことができる。
【0054】
【表1】
【0055】このパパニコロウ染色で用いられる染色液
〔ギルヘマトキシリン液、OG6、およびEA50〕の
組成は以下の通りである。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】前記組織診に供せられる検体の中で、特
に、切片が剥離しやすく、本発明の粘質物質で固定処理
したガラスを用いるべき試料として、術中迅速診断(凍
結切片)、脳、腎組織等が挙げられるが、本発明の適用
対象がこれらに限定されて解釈されるべきでない。
【0060】以下に、実施例を挙げて本発明の細胞また
は組織標本剥離防止剤の効果を説明するが、本発明はも
とよりこれら実施例に限定されるものではない。
【0061】実施例1 糸引き納豆50g〔有機栽培無農薬納豆、あずま食品株式
会社〕に、約8℃に冷却した精製水 180ml〔六甲のおい
しい水〔登録商標〕、ハウス食品株式会社〕を加え、大
豆粒を壊さないよう、緩やかに5〜10分間撹拌して、納
豆の洩糸性を有する粘質物質を洗い出した。 この粘質
物質を含む水溶液を、ガーゼを用いて濾過することによ
り大豆粒を取り除いた。 得られた粘質物質を含む水溶
液を、20,000 rpm、60分、8℃で遠心分離した。 この
上清を0.45μm のメンブレンフィルター〔医療用マイレ
クスHA、日本ミリポア株式会社〕に通し、濾過滅菌を行
った。 このようにして調製した粘質物質の希釈液の15
μl をガラスに載せ、擦り合わせ塗抹した後、冷風によ
り風乾させた。
【0062】下記表5に示す各検体につき、液状にした
各々の検体試料10mlより得た 0.2mlの沈渣を撹拌した
後、これら攪拌した試料をマイクロピペットで25μl づ
つ、粘質物質で固定処理したガラスに載せ、擦り合わせ
塗抹を行なった。 そして、各標本を 100倍の倍率によ
り顕微鏡下で観察し、標本の視野内に認められる細胞ま
たは集塊の数を計測した。
【0063】比較例1 各試料を塗抹する前にガラスに粘質物質処理を施さなか
った以外は、実施例1と同様の処置を行った。
【0064】比較例2 粘質物質で固定処理したガラスを用いず、ポリLリジン
で固定処理したガラスを用いた以外は、実施例1と同様
の処置を行った。
【0065】比較例3 粘質物質で固定処理したガラスを用いず、3−アミノプ
ロピルトリエトキシシランで固定処理したガラスを用い
た以外は、実施例1と同様の処置を行った。
【0066】実施例1および比較例1〜3での、計測結
果を下記表5に示す。
【0067】
【表5】
【0068】表5の結果から明らかなように、本発明の
剥離防止剤を用いて固定処理したガラスにおいては、擦
り合わせ塗抹による細胞または組織集塊の剥離が顕著に
妨げられ、多数の細胞または組織がガラス表面に保持さ
れていた。
【0069】実施例2 実施例1と同様に作製した粘質物質で固定処理したガラ
スに、下記表6に記載の検体の沈渣を、実施例1と同様
の手順で擦り合わせ塗抹し、細胞または組織集塊を 100
倍の倍率により顕微鏡下で計数した。
【0070】比較例4 YM液(武藤化学薬品KK製)10mlを用いてポリLリジ
ンで固定処理したガラスを用いた以外は、実施例2と同
様の処置を行った。
【0071】比較例5 比較例4に記載したと同様の方法によりYM液を用いて
3−アミノプロピルトリエトキシシランで固定処理した
ガラスを用いた以外は実施例2と同様の処置を行った。
【0072】実施例2および比較例4ならびに5での、
計測結果を下記表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】表6の結果から明らかなように、本発明の
剥離防止剤を用いて固定処理したガラスにおいて細胞ま
たは集塊が良好に保持されていたのに対し、YM液を用
いてポリLリジンや3−アミノプロピルトリエトキシシ
ランで固定処理したガラスでは、多数の剥離が生じるこ
とが示された。
【0075】実施例3 粘質物質の希釈液の経時的な変化(保存性能)を調べる
ため、希釈液作製当日および作製後14日ならびに30日経
過(室温または8℃にて冷蔵保存)した時点での希釈液
を用い、実施例1に記載したのと同様の方法で粘質物質
で固定処理したガラスを作製し、液体状態または凍結保
存し、解凍後液体状態で検体の標本を作製し、それぞれ
のガラス上の細胞数を 100倍の倍率にて顕微鏡下で計測
した。
【0076】その計測結果を、表7に示す。
【0077】
【表7】
【0078】表7の結果から明らかなように、本発明の
剥離防止剤は長期間保存してもきわめて安定であり、そ
の剥離防止能が良好に保たれ得ることがわかった。
【0079】実施例4 実施例1と同様にして作製した粘質物質で固定処理した
ガラスに、検体として尿(扁平上皮癌)、胸水(小細胞
癌)および腹水(印環細胞癌)を用い標本を作製した。
これらの標本を、 400倍の倍率で顕微鏡下に観察し、
その状態を顕微鏡写真として、図1、2および3に示し
た。
【0080】一方、未使用/無処理のガラスを用いた以
外は、実施例1と同様の処理を行って標本を作製した。
これらの標本を、 400倍の倍率で顕微鏡下に観察し、
その状態を顕微鏡写真として、図4、5および6に示し
た。
【0081】図面より明らかなように、いずれの検体の
標本においても、未使用ガラスと比較して、本発明の剥
離防止剤で固定処理したガラスでの剥離が少ないことが
示された。
【0082】さらに、細胞または組織標本を用い、酵素
抗体法や蛍光抗体法などの特殊染色においても、本発明
の剥離防止剤によると、試料の剥離や試料背景の着色も
生ずることなく、良好な染色標本を得ることができた
(データ示さず)。
【0083】
【発明の効果】本発明により、安価に再現性よく製造で
き、煩雑な操作を必要とせず短時間で検体処理を行なう
ことを可能とし、また、細胞または組織標本の剥離防止
剤が提供され、細胞や組織が変性することなく剥離防止
が達成される等の効果が奏されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 納豆粘質物質で固定処理したガラスに、検体
として尿(扁平上皮癌)を載せて作製した標本の顕微鏡
写真である。
【図2】 納豆粘質物質で固定処理したガラスに、検体
として胸水(小細胞癌)を載せて作製した標本の顕微鏡
写真である。
【図3】 納豆粘質物質で固定処理したガラスに、検体
として腹水(印環細胞癌)を載せて作製した標本の顕微
鏡写真である。
【図4】 未使用/無処理のガラスに、検体として尿
(扁平上皮癌)を載せて作製した標本の顕微鏡写真であ
る。
【図5】 未使用/無処理のガラスに、検体として胸水
(小細胞癌)を載せて作製した標本の顕微鏡写真であ
る。
【図6】 未使用/無処理のガラスに、検体として腹水
(印環細胞癌)を載せて作製した標本の顕微鏡写真であ
る。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 納豆の粘質物質を含むことを特徴とする
    臨床用試料の剥離防止剤。
  2. 【請求項2】 臨床用試料の剥離防止剤であって、下記
    工程、すなわち; (1) 原料納豆に冷却した精製水を添加および撹拌して納
    豆を洗浄して、納豆の粘質物質を得; (2) 前記粘質物質を含む水溶液をガーゼを用いて濾過し
    て濾液を回収し; (3) 前記濾液を遠心分離して上清を回収し;および (4) 前記上清を、メンブレンフィルターに通して濾過滅
    菌する;工程を含む方法によって製造されることを特徴
    とする臨床用試料の剥離防止剤。
  3. 【請求項3】 前記粘質物質が、ポリグルタミン酸およ
    び/またはフラクタンを含む請求項1または2に記載の
    臨床用試料の剥離防止剤。
  4. 【請求項4】 臨床用試料の剥離防止剤の製造方法であ
    って、下記工程、すなわち: (1) 原料納豆に冷却した精製水を添加および撹拌して納
    豆を洗浄して、納豆の粘質物質を得; (2) 前記粘質物質を含む水溶液をガーゼを用いて濾過し
    て濾液を回収し; (3) 前記濾液を遠心分離して上清を回収し;および (4) 前記上清を、メンブレンフィルターに通して濾過滅
    菌する;工程を含むことを特徴とする、臨床用試料の剥
    離防止剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記原料納豆と精製水の量比が、50g:
    180ml である請求項4に記載の臨床用試料の剥離防止剤
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記メンブレンフィルターが、0.45μl
    の孔径を有する請求項4もしくは5に記載の臨床用試料
    の剥離防止剤の製造方法。
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