JP2653697B2 - 繊維の含浸方法および被含浸繊維 - Google Patents

繊維の含浸方法および被含浸繊維

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポンプ等に用いるパツキンに関し、特に極
めて腐食性の化学物質(高カセイ物質)に耐性のパツキ
ンを成形するために使用するヤーン繊維の製造法および
該方法によつて得られた繊維に関する。
〔従来の技術〕 ポンプが適切に作動するためには、ポンプのパツキン
は運動用シールを形成すると共に、温度、圧力、動的又
は系のもたらす摩耗の作用に対して耐性を有さなければ
ならない。製パルプおよび製紙産業のような産業に使用
されるポンプは、特に高いアルカリ性の環境に耐えうる
パツキンを必要とする。ポンプのパツキンがこれらの高
アルカリ性条件に(pHが14近傍又はそれ以上)に耐えれ
ないと、ポンプはシール機能を果たすことも維持するこ
ともできない。ポンプのパツキングがこれらの組み合さ
れた化学的および物質的影響によつて劣化してその完全
性を失うと、許容シールが形成されず、かつポンプは適
切に動作することができない。
前記条件下で動作するように設計されたポンプのパツ
キンは、種々のテトラフルオロエチレン(TFE)塗料お
よび分散剤を含浸又はコーテイングしたアスベスト繊維
およびヤーン(糸)から形成されてきた。アスベストと
TFEの組合せは化学薬品およびポンプに悪影響を与える
ものに対して強い耐性を有するポンプ用パツキンを与え
た。さらに、これらのポンプ用パツキンは、それらの製
造に使用するアスベスト・ヤーンのコストが低いために
経済的であつた。これらの低コストおよび効果のため
に、アスベストおよびTFEのポンプ用パツキンは、パル
プおよび紙産業およびその他高濃度のアルカリ性腐食剤
に遭遇する所におけるポンプ用に一般的に選択された。
〔発明が解決しようとする課題〕
最近、アスベストに関して健康問題が生じているの
で、パツキンの代り、或いはパツキンからアスベスト繊
維を排除しようとしてパツキンのメーカーおよび使用者
は別の構成材料を試作してきた。綿、アマ、アサ、レー
ヨン、アクリル、ガラス繊維、KEVLAR(商品名)、等の
如き他の繊維を種々の塗料および分散剤と共に用いて、
ポンプ用パツキンのアスベストに代わるヤーンを作つ
た。これら繊維のあるものは、用途によつてはアスベス
トと同等又はアスベストより優れていることが実証され
ている。しかしながら、これらアスベストの代用品でも
製パルプおよび製紙工業に用いられるポンプの日常的に
遭遇するような高アルカリ性環境下においてはその用途
も限定された。
これらの繊維は本来耐アルカリ性でないから、耐アル
カリ性はそれらの繊維および/または糸に高TFE分散体
をコーテイングすることによつて作つたそれらの繊維お
よびヤーンに与えられる。TFEはアルカリ腐食に対して
優れた耐性を有するので、TFEをコーテイングした非ア
スベスト繊維およびヤーンは約10〜12のpHまでのアルカ
リ腐食作用に耐えうる。TFE自体はカセイ腐食に対して
全く完全な耐性を有するので、TFEの被覆材が、ヤーン
が完全に被覆されるようにポンプ・パツキンを形成する
繊維材料上にある限り、そのパツキンはパルプおよび紙
の加工並びに類似するカセイ用途において遭遇する高pH
領域において機能を果たすことができる。しかしなが
ら、カセイ腐食に対する完全な保護は、最近のTFE繊維
およびヤーン製造によつてはできない。
ポンプ・パツキンに使用される繊維は、最初にヤーン
を作り、次にそのヤーンを編む又は織る、或いは組みひ
もにしてパツキンを作る。塗料は編んだり、最終のブレ
ードにする前にヤーンに塗布される。TFE分散液はその
ヤーンおよび繊維束に浸透してそれらをコーテイングす
ることができるけれども、最高のコーテイング技術であ
つても全く均一で完全なコーテイングをすることはでき
ない。例えば、TFE粒子は気泡が形成されているところ
のヤーンに到達することができないから、これらの領域
はコーテイングが全く行われない。別の領域のコーテイ
ングは非常に薄い。ポンプ・パツキンが高カセイ濃度に
さらされるとき、繊維の無塗工又は薄い塗工領域は化学
腐食の集中個所となる。実際に繊維がカセイ化学物質に
さらされると、これらの化学物質は繊維のヴツキング
(Wicking)作用のために繊維に沿つて軸方向に移行
し、繊維はその軸方向に沿つてカセイの腐食作用を受け
る。その結果、ベースのヤーンの完全性が急速に失わ
れ、パツキンの密封性能が失われる。
さらに、ポンプ・パツキンの作用そのものの性質はパ
ツキンを摩耗および劣化させる。ポンプの動作時に、パ
ツキンと回転又は往復ポンプ・シヤフト間の界面はパツ
キンの残部よりも連続的に摩耗および高温にさらされ
る。その結果、この温度および系のもたらす摩耗は最終
的に厚いTFE被膜でも劣化させる。最終的には、TFE保護
膜は除去されて、下層の繊維体が露出することになる。
一旦露出されると、繊維はカセイ腐食によつて急速に破
壊され、それに伴つてヤーンの完全性およびパツキンの
密封性能が失われてしまう。ポンプが作動している間、
パツキンは常に摩耗しているので、一旦TFE保護膜がパ
ツキン本体の一部から除去されると、摩耗部分はパツキ
ン本体全域に渡つて急速に広がる。その結果、ポンプは
作動を続けているのでパツキン全体の大部分がカセイの
腐食にさらされることになる。
運動用ポンプ・パツキンとしての使用に適し、現存す
る唯一の本質的カセイ抵抗を有し、適当な価格で非アス
ベストの繊維はTFEフイラメントである。TFEフイラメン
トは炭素および黒鉛と組み合わせることができる、或い
はこれらの材料は単独で使用してカセイ化学腐食および
劣化に生来耐性を有するヤーンを生成することができ
る。それは、高カセイ濃度、動的ポンプ用パツキンを製
造する工業に現在使用できる唯一の解決策を構成する。
上記材料から作つたヤーンは優れた長期使用を提供する
けれども、高コストになる。最終のパツキンを製造する
前にヤーンのメーカーによつて提供される。TFEヤーン
は従来のアスベスト/TFEよりも高コストである。炭素お
よび/または黒鉛パツキンも不当に高いコストになる。
TFE、炭素又は黒鉛ヤーンの製造コストは他の種類のヤ
ーンの製造コストよりも高い。従つて、これまで使用さ
れてきたカセイ用のアスベスト・ポンプ・パツキンを作
用的に同等のTFE、炭素および/または黒鉛パツキンに
代えたとき、それは価格の点で欠点がある。
さらに、別の問題および高価格の結果は、比較的限定
されたpH領域のみに使用できる種々のポンプ・パツキン
の大量在庫品を保持するために役立つポンプ・パツキン
を与える。例えば、低コストの多目的ポンプ・パツキン
は前記の理由で高pHの範囲では有用ではない。これは、
仕入れの外に、高pH用の高価なポンプ・パツキンを必要
とする。典型的なペーパー・ミルは、製紙工程に多数の
カセイ用ポンプ並びに多数の別のポンプを使用する。そ
の結果、製紙ミルは一般にかなりの追加コストで適当な
ポンプ・パツキンの二重在庫品を維持すると共に、この
二重在庫品を適当に取扱いかつ修理するための人を採用
して訓練しなければならない。
ケース(Case)らの米国特許第4,559,862号に開示さ
れたパツキンは生来カセイ耐性であるアスベスト繊維ポ
ンプ・パツキンに代る低コスト品を提供する前記の問題
を解決する試みを提供している。この特許に記載されて
いるパツキンは、ガラスのような無機繊維と焼結ポリテ
トラフルオロエチレン又はポリプロピレン、レーヨン、
等のような有機繊維とを併用して作つたヤーンから成形
され、ポリテトラフルオロエチレンの結合剤又はコーテ
イングを含みうる。かかる組成物を有するヤーンはいく
つかの利点を与えるけれども、それも明白な欠点があ
る。コーテイング又は結合剤としてポリテトラフルオロ
エチレンを使用すると、前述の不完全又は不均一な被覆
からもたらされる問題点は解消されない。ポリテトラフ
ルオロエチレンを繊維の形で使用すると、ヤーンのコス
トは高くなる。その結果、この特許に記載されているポ
リテトラフルオロエチレンを被覆した有機繊維と無機ガ
ラス繊維の組合せは、多くのポンプの用途に必要な高カ
セイ濃度における耐食性を提供しない。
従つて、従来の技術は低コストおよび長有効使用寿命
を特徴とする高カセイ濃度で使用するためのポンプ又は
弁のパツキングを開示していない。さらに、従来の技術
は低コストの非アスベスト繊維をカセイ耐性にして、か
かる繊維を使用してカセイ耐性のポンプ・パツキンを作
る方法を提供していない。
従つて、本発明の目的は、前述の従来技術の欠点を解
消して、低コストおよび高カセイ環境下において長期の
使用寿命を提供できるパツキンを提供することにある。
さらに本発明の目的は、カセイ環境におかれる流体シ
ール系のパツキンとして使用するために低コスト、高カ
セイ耐性、非アスベスト繊維材料の製造方法を提供する
ことである。
さらに本発明の目的は、非アスベスト繊維がカセイ耐
性にされる低コスト、高カセイ耐性のパツキンを製造す
る方法を提供することである。
さらに本発明の別の目的は、生来カセイ耐性でない低
コストの繊維に生来カセイ耐性の物質を含浸およびコー
テイングすることによつて繊維材料がカセイ耐性にされ
るところのカセイ耐性繊維材料を製造する方法を提供す
ることである。
さらに本発明の目的は、動的ポンプを使用しながらpH
14近傍又はそれ以上の値のカセイ濃度に耐えうる経済的
なパツキンを提供することである。
また、本発明の目的は、多目的および高カセイ・ポン
プ用途において良く作用し、それによつて消費者に二重
のポンプ・パツキンの在庫の保持の不経済および問題点
を回避するところの経済的な繊維ポンプ用パツキンを提
供することである。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的は、ヤーンのストランドを張力下で延展手
段にかけれ、ヤーンの横断面を堅く束ねられた圧縮され
た丸い横断面形状から平らで線状の繊維列(繊維が実質
的に並行で各繊維の表面が完全に露出されている)に変
えるところのカセイ耐性を有するパツキンを製造する方
法を提供することによつて達成される。同時に、そのヤ
ーンは高アルカリ性コーテイング溶液に入れて個々のヤ
ーンを膨潤させる。繊維の内側を十分に広げて、カセイ
耐性の含浸およびコーテイング溶液を繊維の内部に移動
させる。次に、ヤーンを延展させ繊維を広げながらコー
テイング・ローラの回りを移行させ、それによつて前記
溶液をヤーンの繊維に完全に含浸およびコーテイングさ
せる。湿潤、含浸、塗工繊維をロール間隙に通して過剰
の溶液を繊維から絞り出し、さらに線状繊維列を平坦化
する。この平らなリボン状で張力下のヤーンをさらに炉
に通し、そこで繊維体を元の形に凝縮させ、含浸および
コーテイング溶液を繊維体内に捕獲させる。そのヤーン
水分が実質になくなるまで乾燥を続ける。得られた乾燥
およびコーテツド・ヤーンは従来の巻取機に巻いて、ブ
レーデング(編む)に利用する。これらの方法によつて
製造されたヤーンは、外表面を生来のカセイ耐性含浸お
よびコーテイング溶液で完全に被覆されるのみならず、
内部が該溶液で含浸され、それによつてヤーン自体をカ
セイ耐性にした繊維を含む。
他の目的および利点は以下の記載、特許請求の範囲及
び図面から明白となるであろう。
〔実施例〕
パツキン産業界は、十分なカセイ化学耐性を有して高
濃度カセイ物質の特徴である高pH範囲において長期の有
効使用寿命を有する経済的で非アスベストの多目的の縮
んだパツキンを長い間求めてきた。本発明はかかる製品
のみならず、その製品の製造方法も提供する。最も基本
的な形態において、本発明は比較的低コストで非カセイ
耐性の繊維を既知のカセイ耐性物質で十分に含浸および
コーテイングして、その繊維を完全にカセイ耐性にする
ことを含む。その結果、この種の繊維は、多目的の用途
並びに高カセイ環境に使用でき、それによつてコストお
よび環境に特異のパツキンの在庫品維持に伴う問題を解
決するところのパツキンの製造に使用することができ
る。パツキンを形成するベースのヤーン繊維は市販の非
アスベスト・カセイ耐性材よりも著しく低コストである
ので、本発明の製品は価格の点で有利である。さらに、
この経済性はパツキンの性能を犠牲にすることなく得ら
れる。
本発明の方法は、主としてポンプ・パツキンの製品に
関して説明するが、この方法はポンプ、弁、伸縮継手、
液圧シリンダ、等を含む全ての流体シール系用のパツキ
ンを作るのにも使用できる。
本発明の方法は、ヤーンを張力下に置きそのヤーンを
延展工程にかけて、ヤーンを構成る個々の繊維を徐々に
分離させ、平らな繊維列に実質的に並行に分離し、同時
にそのヤーンを高アルカリ性pHを有するTFE分散浴を走
行させて、個々の繊維を広げてそのTFE分散液を繊維の
内部に浸透させる工程を含む。その繊維列は、次に一対
のコーテイング・ロールの回りに通して繊維の外部を分
散液で完全に被覆し、ロール間隙を通して余分な液体を
除去し、最後に乾燥炉に通し、そこで繊維を元の形に凝
縮させ、繊維体内にTFEを捕獲させる。乾燥後、TFEを含
浸、被覆したヤーンはブレード、ニツト、等に成形し
て、ポンプ又は弁用パツキンを生成する。
第1図は本法の側面略図を示す。多位置型ヤーン・パ
ツケージ・クリール10は、本法にフイード・ヤーンを供
給するヤーン貯蔵パツケージ(図示せず)から供給され
るヤーンの貯蔵装置の役目をする。本法は連続式を意図
しているが、本発明の範囲内で非連続式も意図してい
る。ヤーン12はクリール10からローラ14を経てコーテイ
ング・タンク装置16に供給される。ヤーンはクリール10
を出た後、工程全体に渡り張力下に置かれる。コーテイ
ング・タンク装置16はカセイ耐性物質を含有する繊維コ
ーテイングおよび含浸用溶液20を保持するタンク18を含
む。第2図にさらに詳細に示す数個の延展バー22は単一
のヤーン・ストランドを第2図に36で示した別々の繊維
の平らな列に転化する。ヤーンはねじれがないのが望ま
しい。
第1図には4個の延展バー22を示すが、別な数のバー
22を使用して、張力下のヤーンを個々の繊維ストランド
に分けることもできる。延展バー22はヤーン12の横断面
形状を堅く束ねた圧縮丸形から平らなリボン状の形状に
変える。ヤーンの繊維は延展バー22上の回りを張力下鋭
角で引つ張られる。延展バーは回転および/または固定
モードに配置されてこの作用を果す。ヤーン12は第1図
に示した延展バーの全ての回りを移動した後、単一ヤー
ン束は第2図に示した間隔をもつた繊維列36になる。本
法の繊維延展工程中、ヤーンは入口点24においてコーテ
イングおよび含浸溶液20に入るので、繊維は同時に延展
され溶液にさらされる。この溶液は、後で詳細に説明す
るように高アルカリ性であり、従つて個々の繊維体を膨
潤させる。この膨潤は繊維の内側を十分に広げて、コー
テイングおよび含浸溶液、従つてカセイ耐性物質が移動
によつて繊維体の内部に入ることができる。ヤーン12は
コーテイング・タンク装置16を通る通路の大部分に渡つ
てこの高アルカリ性溶液20に浸漬される。
繊維が相互に実質的に並行である間隔をもつた平らな
繊維列の形のヤーン12は、最後の延展バー22から主コー
テイング・ローラを回り、そこから補助コーテイング・
ローラ28の回りに向けられる。ローラ26およ28は従来の
コーテイングおよび補助コーテイング・ローラのいずれ
でもよいが、ローラ26の直径はローラ28の直径より大き
いことが望ましい。この工程はさらに繊維が高アルカリ
性溶液で十分に被覆されることを保証する。
繊維例36は次に一対のスクイズローラ32によつて形成
されるロール間隙に向けられ、そこで過剰の溶液20を繊
維から搾る。ロール間隙30を通過後平らでリボン状の繊
維列36は乾燥炉34に向けられる。繊維列は炉34内に入る
際も張力下に維持され続ける。炉34内において、張力は
除去され、繊維は並行繊維の広がつた列から元の収縮し
た形に戻る。そしてそれは繊維体の内側に捕獲されたカ
セイ耐性物質を含有するコーテイングおよび含浸溶液を
もたらす。乾燥工程は繊維が実質的に乾燥するまで続け
る。得られた乾燥、含浸およびコーテツド・ヤーンは通
常の巻取機(図示せず)でパツケージの形(望ましくは
ブレーデイング用の準備のできた形)に巻き取られる。
ヤーン12が溶液20に入り、乾燥炉34を通つて処理され
るときまで、ヤーン12は張力下に保持され機械的に延展
され、ヤーン繊維カセイ耐性物質を含有するコーテイン
グおよび含浸溶液を各繊維体に浸透させ、各繊維に十分
に含浸させる。その溶液はまた水酸化アンモニウムを含
有し、それは溶液を高アルカリ性にするのみならず、個
々の繊維を膨張させ、広げ、或いは多孔質にさせて、カ
セイ耐性材料の繊維内への浸透を促進できる。
第2図は、間隔をもつた実質的に並行な繊維の列36を
作る延展バー22のヤーン12への作用を模式的に示す。前
述のように、延展バー22は回転式又は固定式にできる。
延展バー22の1つをパスする毎に、ヤーン12を形成する
繊維は丸い束から徐々に広がつて38で示すようなリボン
状の横断面になり、最終的に36の如き繊維列になり、元
のヤーン束の各繊維は完全に分離し、繊維が相互に実質
的に並行であるように延展バー22に沿つて軸方向に間隔
をもつ。ヤーン12が延展バー22の各々の上を下流へ移行
する際に、繊維の徐々の延展および分離が各繊維の全内
表面の溶液20への露出を保証する。ヤーンは、主コーテ
イング・ローラ26、補助コーテイング・ローラ28の回り
を移行し、スクイズ・ロール32そして乾燥炉34に入る際
は線状の繊維列36の形のままである。炉処理中に、ヤー
ンへの張力は除去され、それによつて繊維は縮まつて元
の形に戻ることができる。
本発明に使用するのに望ましいヤーンはレーヨン繊維
から作つたものでる。他の類似する低コスト非アスベス
ト、セルロース質を主成分とした繊維も本法に用いるこ
とができる。
コーテイングおよび含浸用溶液20は純粋なコロイド状
TFEおよび界面活性剤の高アルカリ性懸濁液から作るの
が望ましい。その溶液は水酸化アンモニウム(NH4OH)
を添加することによつて高アルカリ性にする。繊維列に
おける各繊維体の完全含浸を達成するためには、NH4OH:
TFEの比が1:10.8(これはpHを約10にする)であること
が望ましい。さらに高い又は低いNH4OH水準も用いるこ
とができる。NH4OHの水準は、繊維体を膨潤させ、広げ
又は膨張させ或いは多孔質にさせるので、TFEの溶液は
繊維の内側に浸透し、乾燥後もそこに固定される。界面
活性剤はTFE分散液の形成に必要な成分であつて、TFEの
湿潤性を改善する作用をする。ここに記載したTFE分散
液を作るのに望ましい界面活性剤はRohm and Haas社か
ら入手できる商品名TritonX−100である。他の機能的に
同等の界面活性剤も使用可能である。
固体膜潤滑剤として作用する黒鉛も数ある他の固体膜
潤滑剤の1つとして添加することができる。しかしなが
ら、黒鉛は、TFE溶液による繊維体内部への完全浸透を
確認する視覚助剤としての作用をすることがわかつた。
TFE分散液もレーヨンの通常の色も純白ではなく黄白色
である。黒鉛は黒色である。TFEによる完全な繊維浸透
を保証するのに高アルカリ性のTFE溶液が必要であるこ
とを見出す前は、ヤーンはTFE/黒鉛の分散液をコーテイ
ングし、次に切断したところ白色の斑点を示した、従つ
てTFE/黒鉛の分散液は繊維内に浸透しなかつたことを示
した。これに対して、本発明に従つて調製した高アルカ
リ性のTFE/黒鉛懸濁液をコーテイングおよび含浸溶液と
して使用したときは、ヤーンは完全に黒色であつて、横
断面で見たとき繊維内部の全ての領域はTFE/黒鉛の懸濁
液が完全に浸透したことを示した。
繊維に使用する優れた表面潤滑剤であるけれども、黒
鉛は主に着色剤としてコーテイングおよび含浸溶液に含
まれる。カーボンブラツク、雲母、二硫化タングステ
ン、二硫化モリブデン、等の如き他の着色剤も単独又は
組合せて着色剤として使用できる。
最終の被覆および含浸ヤーンは約40%繊維、60%含浸
剤およびコーテイングからなる。コーテイングおよび含
浸用溶液が固体膜潤滑剤を含むとき、そのコーテイング
はほゞ次の組成を有する: 70%TFE 30%充てん剤(93%固体膜潤滑剤、5%NH4OH結晶、お
よび2%界面活性剤) 固体膜潤滑剤を省く場合のコーテイングは93〜96%の
TFEである。
例 レーヨン繊維を高カセイ濃度に耐性にさせるために用
いたコーテイングおよび含浸溶液の調製法は次のように
して行つた。
2つの30ガロン(113.6)ドラム型容器を使用して
次の溶液を混合した: ドラムNo.1 83b12oz(37.94Kg):水道水 13b 8oz(6.12Kg):NH4OH 12oz(0.34Kg):TritonX−100 ドラムに最初水道水を充てんした。NH4OHをかくはん
しながら注意深く添加し、次にTritonX−100を添加し
た、そして得られた溶液をよくかくはんした。
ドラムNo.2 35b5oz(16.01Kg):二硫化モリブデン ドラムNo.1の溶液50%を二硫化モリブデンに添加し、
得られた混合物をよくかくはんした。
第3の55ガロン(208.2)・ドラム(ドラムNo.3)
に、デユポン社から入手のポリテトラフルオロエチレン
(商品名.TFE Suspensoid TD−30)145b 8oz(66.03K
g)を添加した。ドラムNo.2からの溶液をかくはんしな
がらドラムNo.3に添加し、TFE Suspensoidと混合した。
ドラムNo.1の残部を最初にドラムNo.2に注入してすす
ぎ、次にそれをドラムNo.3に添加した。黒鉛(商品名Di
xon Air Spun Graphite)35b5oz(16.01Kg)をかくは
んしてドラムNo.3に添加した。
十分に混合した後、ドラムNo.3のコーテイングおよび
含浸溶液を使用に供した。その溶液のpHは約10であつ
た。
pHが14以上でカセイ動的ポンプ試験を行つたところ、
前記の方法に従つて上記実施例によつて作つたTFE溶液
を含浸およびコーテイングしたレーヨン繊維で作つたポ
ンプ・パツキン・ブレードは従来のかなりコストの高い
純粋なTFEポンプ・パツキンおよびTFE/黒鉛ポンプ・パ
ツキンより優れ、かつ高カセイ化学物質耐性がほゞ同一
であることが確認された。
〔発明の効果〕
本発明により低コストで高カセイ環境下において長期
の使用寿命を有するパツキンが得られる。本発明の方法
により、カセイ環境下で流体シール系用パツキンとして
使用される低コストで高カセイ耐性を有する非アスベス
ト繊維材料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の方法および該方法の実施に適した装
置の側面図である。第2図は本法のヤーン延展工程の模
式的平面図である。 符号の説明 10……クリール、12……ヤーン 14……ローラ、16……コーテイング・タンク装置 18……タンク、20……コーテイングおよび含浸溶液 22……延展バー、26……主コーテイング・ローラ 28……補助ローラ、30……ロール間隙 32……スクイズ・ローラ、34……乾燥炉

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の工程(a)〜(f)から成ることを
    特徴とする、高濃度のカセイ化学物質に耐えることがで
    きる非アスベスト繊維質パッキンの製造方法: (a)複数の繊維体から成る単一連続ストランドの形態
    の非カセイ耐性ヤーンを供給する工程; (b)前記ヤーン・ストランドを張力下に置く工程; (c)前記張力下のヤーン・ストランドを複数の間隔を
    もった延展手段にかけることによって、前記ヤーン・ス
    トランドの形状を実質的に丸い束から間隔をもった繊維
    体の実質的に平らな線状列へと徐々に変える工程; (d)工程(c)と同時に、前記張力下の被延展ヤーン
    繊維体を本質的にカセイ耐性物質の高アルカリ性溶液に
    通して、各繊維体を該溶液と完全に接触させかつ該溶液
    によって湿潤させる工程; (e)前記張力下の湿潤繊維列に圧力と熱を加えて過剰
    の溶液を除去する工程;および (f)前記繊維列への張力を除去し、該繊維列を前記工
    程(a)のヤーン・ストランドの形状に戻す工程。
  2. 【請求項2】前記高カセイ耐性物質がテトラフルオロエ
    チレンから成る請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】前記ヤーンがレーヨンから成る請求項2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】前記溶液が水酸化アンモニウムを含有し、
    かつ該溶液のpHが10で請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】前記溶液における水酸化アンモニウム:テ
    トラフルオロエチレンの比が約1:10.8である請求項8記
    載の方法。
  6. 【請求項6】前記溶液が界面活性剤を含む請求項5記載
    の方法。
  7. 【請求項7】前記溶液が着色剤を含む請求項6記載の方
    法。
  8. 【請求項8】前記着色剤は黒鉛、炭素、マイカ、二硫化
    タングステン、および二硫化モリブデンから成る群から
    選ぶ請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】さらに、前記複数のヤーンをブレードにす
    る工程を含む請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】下記の工程(a)〜(f)から成ること
    を特徴とする、高濃度のカセイ化学物質に耐えることが
    できる繊維質、非アスベスト・パッキンの製造方法: (a)複数の繊維体から成る単一の連続ストランドの形
    態のレーヨン・ヤーンを供給する工程; (b)前記ヤーン・ストランドを張力下に置く工程; (c)前記張力下のヤーン・ストランドを複数の間隔を
    もった延展手段にかけることによって、前記ヤーン・ス
    トランドの形状を実質的に丸い束から間隔をもった繊維
    体の実質的に平らな線状列へと徐々に変える工程; (d)前記工程(c)と同時に、水酸化アンモニウムと
    界面活性剤を含有しテトラフルオロエチレンと黒鉛を分
    散し、該水酸化アンモニウム;テトラフルオロエチレン
    の比が1:10.8である溶液に前記張力下の延展繊維体を通
    して、該繊維体の各々を該溶液と完全に接触させ、かつ
    該溶液で湿潤する工程; (e)前記張力下の湿潤繊維列に圧力と熱を加えて過剰
    の溶液を除去する工程;および (f)前記繊維列への張力を除去し、該繊維列を前記工
    程(a)のヤーン・ストランドの形状に戻す工程。
  11. 【請求項11】本質的に非カセイ耐性の各繊維に高アル
    カリ性コロイド溶液を接触させることによって該非カセ
    イ耐性の各繊維を膨張させ、同時に該繊維の内部に既知
    の本質的にカセイ耐性物質を完全に含浸させると共に、
    該繊維の外部に該カセイ耐性物質を完全にコーテイング
    して繊維をカセイ耐性にさせ,該繊維を乾燥させ、そし
    て複数の該カセイ耐性繊維繊維を組み合せてパッキンを
    成形する工程から成り、低コストおよび高濃度の苛性ア
    ルカリに耐性を特徴とする繊維質パッキンの製造方法。
  12. 【請求項12】前記繊維がレーヨンから成る請求項11記
    載の方法。
  13. 【請求項13】前記本質的にカセイ耐性物質がテトラフ
    ルオロエチレンから成る請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】複数の前記カセイ耐性繊維が前記パッキ
    ンを作るためのブレードに成形される請求項13記載の方
    法。
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