JP2649400B2 - 可変比駆動機構 - Google Patents

可変比駆動機構

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JP2649400B2 JP63335736A JP33573688A JP2649400B2 JP 2649400 B2 JP2649400 B2 JP 2649400B2 JP 63335736 A JP63335736 A JP 63335736A JP 33573688 A JP33573688 A JP 33573688A JP 2649400 B2 JP2649400 B2 JP 2649400B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、全体として可変比動力伝達装置すなわち駆
動装置に関するものであり、かつそのような機構を装置
された自転車に関するものである。
〔従来の技術〕
「変速機」と呼ばれる、チェーンにより駆動される多
段動力伝達装置を装着されている自転車が非常に広く使
用されるようになってきた。変速機により、自転車に乗
っている人は道路の種々の勾配に最適な種々の「速力」
を選択し、かつ強健な人と弱い人の種々の必要に合わせ
ることができる。自転車の動力伝達装置の選択された
「速力」はペダルクランクの回転数と駆動される後輪の
回転数との比を定める。
強健な自転車乗りは、適度な回転数のペダルこぎで自
転車を早く走らせるように、下り坂または平らな道路で
走る場合には高速すなわち高い変速比を選択し、かつ、
緩いのぼり坂または砂利道のような悪路を走る場合には
異なる変速比を選択する。
十段変速機が最も一般的である。自転車乗りは十段変
速機の各段の間でも変速比を選択できることを希望する
ことがあるが、十速以上の変速機は、高価であること、
重量が大きくなること、および構造が複雑になって故障
が起き易い等のために一般的ではない。
〔発明が解決しようとする課題〕
変速機は、金属製のチェーン及び多数の歯車を使用し
ているために元来重いものであるが、自転車乗りは軽量
の自転車に強い関心を抱いている。変速機には、現在選
択されている速力すなわり変速比を支持する手段を欠い
ている。また、ほとんどの変速機は露出型であるから雨
にぬれたり、磨耗性およびその他の汚染物が付着したり
し、そのために変速機がさびたり、磨耗したりする等の
損傷を受ける。最後に、変速機を装着されている自転車
では、タイヤの交換またはパンク修理のために後輪の取
外しおよび再取付けが面倒かつ困難である。また、変速
機の交換のために変速機全体を取外すことも困難であ
る。
自転車の別の可変比動力伝達装置が、本願発明者が発
明者である米国特許第4,030,373号および第4,530,676号
の各明細書に開示されている。その種類の可変比動力伝
達装置は、ベルトにより相互に連結されている一対の滑
車を含む。本発明はこの種の新規な動力伝達装置を含む
ものである。
米国特許第4,030,373号明細書においては、1組の滑
車部分を2個の各滑車上で半径方向に連続して調節でき
る。また、任意に選択された調節において各滑車部分を
固定する機構が、各滑車部分内に含まれている小さい部
品で製作されている。実際に、それらの小型部品は金属
のダイカストで製作することが好ましい。したがって、
部品は比較的高価で、かつ重量が大であるために遠心力
を生ずる。何らの状況の下で回転部材が反ると、滑車の
近くでその軸線から種々の距離に配置されている固定を
外す装置と、滑車が回転するにつれて固定を外す装置を
過ぎて運ばれる固定されている滑車部分との間の必要な
協働動作を妨げることがあるから、回転部材の製作も面
倒なことがある。
米国特許第4,530,676号明細書に記載されている動力
伝達装置においては、各滑車は調節可能な1組の滑車部
分も有する。米国特許第4,030,373号明細書に開示され
ている発明の改良として、米国特許第4,530,676号明細
書に記載されている発明における調節は個々の量だけ異
なる。多数の個別変速比を設けることができ、米国特許
第4,030,373号明細書に開示されている発明においてベ
ルトにより滑車部分に加えられる力よりもはるかに大き
い同種の力に耐えることができる比較的大きい固定歯が
用いられる。動力伝達装置の一般的な応用において駆動
滑車として米国特許第4,530,676号明細書に記載されて
いる滑車のいずれも使用できる。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、ベルトにより相互に連結された2個の滑車
を含む種類の新規かつ改良した動力伝達装置を提供する
ものである。それの広い面においては、この新規な動力
伝達装置は広範囲の目的に有用であるが、ある特質およ
び付加された諸特徴のためにこの動力伝達装置は自転車
において特に有用である。本発明のある面においては、
この新規な動力伝達装置は自転車の一体部品である。
可変比駆動機構は、駆動滑車手段と、従動滑車手段
と、滑車手段を相互に駆動連結する無端部材とを有す
る。滑車手段の少なくとも一方が1組の滑車部分を含
む。各滑車部分は、無端部材に係合できる支持面と、支
持面を一連の同心円に選択的に位置できるように、前記
一方の滑車手段の滑車部分を、前記一方の滑車手段上に
分布させられている一連の位置の任意の位置に置き、固
定する手段とを有する。無端部材は、前記一方の滑車手
段の(無端部材が滑車部分から外れる)調節領域内の滑
車部分を除く全ての滑車部分へ圧力を加える。滑車部分
を選択された位置に調節するためのゲート手段も前記一
方の滑車手段の調節領域内に設けられる。
機構のゲート調節手段は制御手段と作動手段を有する
ことができ、機構を動作させる駆動手段は、ゲートを個
別の位置へ移動させるのと同じ手段とすることができ
る。この機構は2つの無端部材位置決め手段を有するこ
とができる。その無端部材位置決め手段の一方は、滑車
手段に近接して、滑車手段の周囲の無端部材の張られた
状態、およびある場合には最大の張られた状態を維持す
るために力すなわち張力を加える手段とすることができ
る。無端部材位置決め手段は動けるよう独立に支持され
る。この機構は固定レール手段を滑車部分の近くに有す
ることができる。その固定レール手段は放された状態と
固定された状態の間で動作させられて、滑車部分の位置
を調節する。この機構は従動滑車手段と、自転車の後輪
のような従動滑車手段の出力部との間に、出力部を従動
滑車手段からそのまま切離すことを容易にする一方向ク
ラッチを有することもできる。交換のために、自転車の
フレームのようなフレームから容易かつ迅速に取外され
る機構は、寸法の異なるフレームへ合わせることができ
るようにモジュール状に製作することもできる。
非常に多数の速力、後で詳しく説明する例において
は、21種類の速力を設けることは非常に実用的である。
これは、現在広く用いられている10速と比較すると非常
に多い。動力伝達装置のコストが比較的低く、かつ比較
的軽いように、プラスチックで成型された部品だけをほ
とんど使用することができる。全体の機構は雨、汚れそ
の他の汚染物質から保護するために機構全体をハウジン
グの内部に納めることができる。この点は、ハウジング
を設けることが非実用的で、機構が露出しているために
部品にさびを生じたり、部品が早く磨耗したりする現在
の変速機とは対照的である。
この新規な動力伝達装置には、現在選択されている変
速比を自転車乗り(または、この動力伝達装置の他の用
途の場合には使用者)へ示す指示器を設けることができ
る。これに反して、従来の変速機には変速比指示器を一
体に設けることは非実用的である。
この新規な動力伝達装置を装着された自転車において
は、後輪のタイヤの修理または交換のために後輪を取外
し、再取付けすることは簡単なことである。比変化機構
と後輪の間の一方向クラッチが、ベルトにより駆動され
る滑車へ固定された駆動クラッチ装置と、自転車の後輪
へ固定された従動クラッチ装置とを含む。従動クラッチ
装置と後輪は、自転車から一部品として取外すことがで
きる組立体を構成する。後輪が取外されると、従動クラ
ッチ装置は駆動クラッチ装置から簡単かつ無害に離れ
る。後輪が自転車に再取付けされると、クラッチの駆動
装置および従動装置は互いに自動的に連結されるように
なる。これは、変速機が装着されている自転車の後輪を
取外す作業がはるかに面倒であるのと対照的である。
以下に詳しく説明する動力伝達装置の一般的な用途に
おいては、いずれの滑車も駆動滑車として使用できる。
非常に小さいトルクを必要とする特殊な目的に対して
は、駆動滑車の回転の向きを逆にすることもできる。こ
の新規な動力伝達装置が自転車に装着されると、逆向き
に動作させられた時のそれの有用なトルクにより自転車
乗りは、たとえば平らな道路からのぼり勾配へ向かって
走行している間に、前または後ろにペダルを回すことに
より変速比を変えることができる。
ベルトで連結された2個の滑車を有する動力伝達装置
においては、ベルトは一方の滑車から他方の滑車へ延び
るある駆動長さを有する。ベルトは各滑車の周囲に部分
的に掛けられる。ベルトの戻り長さは一方の滑車から、
ばねにより押されている巻取りローラーの周囲を他方の
滑車まで延びる。以下に詳しく説明する動力伝達装置に
おいては、調節可能な各滑車のアイドラーローラーが、
滑車部分の位置を制御するゲートと統合して調節され
る。こうすることによりベルトを各滑車の最適な数のベ
ルトに確実に掛けるこおができ、このようにして種々の
変速比で最大のトルクを伝えることができる。
本発明の動力伝達装置においては、米国特許第4,530,
676号明細書に記載されている動力伝達装置におけるよ
うに、各滑車上にある角度をおいて分布されている歯列
中の歯の分布により決定される個々の位置に滑車部分は
固定される。歯は本来的に強く、各滑車部分に加えられ
るベルトの十分に大きい圧力に良く耐えることができる
のに十分な大きさを有する。それぞれの歯列に沿って滑
車部分の位置を制御するゲートは、滑車部分を固定でき
る位置に追従する一連の個別位置まで調節機構により動
作させられる。各調節ごとに各滑車の1組の滑車部分は
円形路を動き、通過する滑車部分にベルトが接触しない
ような場所である調節領域でゲートを通る。各滑車上の
滑車部分の個別位置と、ゲートの個別の設定とのこの追
従される関係によりゲートと滑車部分の間の接触を避け
ることを理想的に可能とし、調節が変えられずに滑車が
長期間にわたって回転させられている間に騒音や磨耗が
生ずることが理想的に回避される。実際には、ゲートと
滑車部分はいくらか接触する。しかし、滑車部分が固定
されていない調節領域内だけで滑車部分はゲートを通
り、しかも接触圧は比較的低いから、そのような接触は
重要な要因ではない。ゲートの調節の個々の段階により
動力伝達装置の個々の変速比の設定が行われかつ実際的
な変速比指示が行われる。
本発明の1つの面、特にゲートおよび調節可能な滑車
を装着されている自転車に関して重要な面として、ゲー
ト−調節機構は、指で操作できる小さな制御力に従っ
て、ペダルクランクから得られる動力ストロークによっ
て動作させられる。ゲートの調節に対応するドエルを有
する段付きカムを含むことにより調節をとくに精密に行
うことができる。以下に説明する動力伝達装置において
は、ペダルクランク駆動滑車と調節機構の両方を動作さ
せる。ゲートの調節が広い範囲にわたって続けられてい
る間に、ペダルクランクが小さい弧で繰返えし振動させ
られるような場合に誤動作を行う危険がある。ある滑車
部分が前の設定を保っているのに、別の滑車部分が新し
い設定へ移動させられることがある。ゲート調節機構と
ペダルクランクの間に、駆動滑車を回転させる動作も行
う空動機構を設けることによりその誤動作は避けられ
る。
本発明の特徴的な面として、関連する歯列に沿ってゲ
ートにより選択的に調節される滑車部分と、選択的に位
置させられる滑車部分と関連する歯列の連動関係を維持
する別々の固定機構とを有している新規な態様の調節可
能な滑車が設けられる。固定機構は、関連する歯列に沿
って、または関連する歯列とは逆にのびる細長い固定部
材すなわちレールを含む。固定機構は各滑車部分内に含
まれないから、それの部品は本来的に小型ではない。各
固定レールには、任意の調節において滑車部分を関連す
る歯列と連動関係にさせるためにレールに沿って一連の
形状とされる。固定レールは歯列に沿って、または歯列
とは逆に延長し、最も有利にするために、固定状態と解
放状態の間を動く際にそれらの固定レールが長手方向に
移動させられる。滑車部分とともに調節領域内に入った
り、調節領域から出たりする動きの時の固定レールの動
作は、各滑車の軸線の近くに配置されている動作要素に
依存する。したがって、滑車に反りが生じても固定レー
ルの動作に影響を及ぼすことはない。
米国特許第4,530,676号明細書に記載されている動力
伝達装置と同様に、以下に説明する動力伝達装置の調節
可能な各滑車は、それの各滑車部分のための端部指示を
行う2個の円板を有する。ベルトはそれらの円板の間で
滑車に接触する。この動力伝達装置の構造は本質的に強
く、安定である。この構造においては、各滑車部分の各
端部のために別々の固定レールが設けられ、統合するフ
リッパーが固定レールを同様に動作させる。
各滑車部分は相手方の歯列と係合できる歯付き形成物
を有する。各歯付き形成物は一連の歯を含むことが好ま
しい。固定レールが動作させられてそれらのレールの連
動関係を強化させる時に、歯付き形成物と関連する歯列
の間の頂部と頂部の接触の可能性が起ることがある。ゲ
ート調節機構と統合して直接に動作させられる滑車に対
してはその条件を避けることができる(これについては
後で説明する)。その滑車に対しては、それの固定レー
ルを動作させる機構は曲がることができるカム部分を含
む。各滑車部分が調節領域から移動させられると、頂部
と頂部との接触状態が無くされ、それから曲がることが
できるカム部分が関連する固定レールをそれの固定され
た状態へ直ちに動作させるように、圧力をそれに加え
る。
以下に説明する調整においては、各滑車部分調節領域
内を動くにつれて各滑車部分を調節または再び調節す
る。各滑車部分がゲートを離れた後で、その滑車部分が
調節で固定される前に、遠心力のために滑車部分が調節
から移動させられることがある。そのようなことが起こ
ることを阻止するために、固定レールがばねにより押さ
れて、滑車部分がそれぞれの歯列に係合した状態を保持
する。
以下に説明する動力伝達装置の以上説明した特徴の多
くが他の特徴とは別に有用であり、かつもちろん、いく
つかの特徴を修正して他の装置に用いることができる。
本発明の更に別の面も以下に説明する。
〔実施例〕
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
まず、本発明の新規な動力伝達装置を装着するために
改造された利用可能な自転車の例が示されている第1図
を参照する。第1図に示されている自転車は右側(自転
車に乗っている人の右側)から見た図である。
この自転車は水平な三角形状に組合わされたトップ管
10と下向きの管12およびシート管14と、2つの後輪支持
体16とを有するフレームを復む。後輪18の各側にそれぞ
れ1つの後輪支持体16が設けられる(第1図、第2
図)。前輪20がフォーク22で支持される。そのフォーク
22はヘッド管23内で回動できる。そのヘッド管23は、管
10と12を連結する。ハンドル棒24(第1図、第2図)に
よりフォークを操作できる。ペダルクランク28の軸26が
下向き管12とシート管14の連結部に軸受29を有する。
可変比動力伝達装置すなわち可変比駆動機構30がペダ
ルクランク28と後輪18を駆動連結する。手動変速比制御
機32(第1図乃至第4図)が指で操作でる枢着された指
操作部材34を含む。その指操作部材34は自転車に乗って
いる人が操作できる。ブラケット36が手動変速比制御機
32をステム33へ固定する。この手動変速比制御機32は一
対の被覆されたコードすなわちケーブル手段も含む。そ
のケーブル手段は動力伝達装置30へ延び、指操作部材34
により動作させられる。
指で操作される指操作部材34が中央部(第4図)に置
かれると、最後に設定された比が実際に保たれる。この
指操作部材34が1つの向き、または逆の向きに移動させ
られると、ペダルクランクにより供給される力を用いて
動力伝達装置が変速比を段階的に変化させられる。指操
作部材34が中央部から外れた位置にある限りは、ペダル
を連続的に操作することにより、設計された限界内で、
変速比が段階的に変化され続ける。
第5図と第6図はそれぞれ最低変速比調節と最高変速
比調節にある動力伝達装置を示す。汚染物が入らないよ
うに封じることができる完全密封型動力伝達装置30が、
一体化された3つのモジュール部品39,40,41で製作され
た左側壁を含む。この構造により部品39と40を、市販さ
れている各種の寸法の自転車のほとんどに使用すること
が可能となる。第3の部品41は、動力伝達装置を市販さ
れている自転車の多種類の寸法に合わせるため、一連の
寸法から選択できるようにされる。このようにして、駆
動機構を、モジュール部品の組立体で製作できる。
動力伝達装置30は調節可能な前部滑車42と、後輪を動
かす後部滑車44を含む。その滑車42はペダルクランク28
と同軸である。滑車42は半径方向に調節可能である一連
の滑車部分46を含み、滑車44は半径方向に調節可能な一
連の滑車部分48を含む。滑車42と44の各滑車部分の周縁
部のほぼ全てにわたって、無端部材すなわちベルト50が
それぞれ駆動摩擦接触、または従動摩擦接触させられ
る。選択された変速比が実行されると、滑車部分46が1
つの共通半径に固定され、滑車部分48も別の1つの共通
半径に固定される。
第5図に示すように滑車部分46が最小半径位置にあ
り、滑車部分48が最大半径位置にあると、動力伝達装置
はそれの最低速力調節にある。このことは、後輪はペダ
ルクランクの各回転に対して最低の回転を行うことを意
味する。それとは逆に、第6図に示すように滑車部分46
が最大半径位置にあり、滑車部分48が最小半径位置にあ
ると、後輪はペダルクランクの各回転に対して最高の回
転を行う。第5図と第6図に示されている動力伝達装置
の寸法およびそれらの寸法間の関係は単なる例示であっ
て、特定の尺度を示すものではない。
両方の調節可能な一連の滑車部分の半径方向の位置を
設定するために統合機構が設けられる。前部滑車すなわ
ちペダルにより駆動される滑車42と、後部滑車44は連続
する調節段階を通って互いに逆向きに調節される。統合
機構(作動手段)(第5A図)は一方の滑車の半径を1段
階だけ増大させると同時に、他方の滑車の半径を1段階
だけ減少させる。あるいは、統合機構の調節の引続く段
階に応じて前部滑車と後部滑車を交互に(同時にではな
い)調節することもできる。
第5A図は、前部滑車と後部滑車の調節を統合する機構
全体を示す斜視図である。前部部品52aと後部部品52bと
で構成された作動手段すなわち統合機構52が、動力伝達
装置のケーシングの前方の内部で比調節機構54(第2
図)から延びる。その比調節機構54は、手動変速比制御
機32によりコード38を介して供給される制御力に応じ
て、変速比を調節するために統合機構(作動手段)52を
段階的に移動させるのに十分な駆動力(自転車のペダル
から発生された)を供給する(第18図および第20図乃至
第29図参照)。
動力伝達装置の部品の同じセットを、市販されている
自転車の広い範囲のフレーム寸法に適合可能とするため
に、統合機構(作動手段)52の部品52aと52bは、モジュ
ール部品41と段階的に増大する一連の寸法に対応する一
連の重なり合っている位置において、互いに調節可能に
固定される。
統合機構(作動手段)52は前部滑車と後部滑車をそれ
ぞれ調節するために前部ゲート56と後部ゲート58を動作
させる。統合機構(作動手段)52は、第1の無端部材位
置決め手段であるアイドラーローラー60と、第2の無端
部材位置決め部材であるアイドラーローラー62もそれに
応じて動かす。統合機構(作動手段)52と、ゲートおよ
びアイドローラーとの間の連結、それの動作についての
詳しい説明は後で行う。ゲートと統合してアイドラーロ
ーラーを調節することにより、滑車の半径の調節範囲全
体にわってベルトが各滑車の周縁部のほとんどに掛けら
れる。滑車部分46の直径が最小であると(第5図)、ア
イドラーローラー60は滑車42の中心軸に最も近づき、滑
車部分46の半径が最大であると(第6図)アイドラーロ
ーラー60は滑車42の中心線から比較的遠く離れる。それ
らの調節を統合する際には、滑車44の直径が最大から最
小になると(第5図と第6図)、アイドラーローラー62
が滑車44の中心軸へ向かって移動させられる。アイドラ
ーローラーのその調節により、動力伝達装置の全ての変
速比に対して、ベルトが各滑車の周縁部のほとんどに掛
け渡され、各滑車の滑車部分のほとんどに押しつけられ
る、すなわち、最大限に巻かれた状態に保たれるよう
に、ベルトの下側すなわち戻り長さ部分を案内する。こ
の巻かれた状態により、ベルト50の上側長さ部分すなわ
ち駆動長さ部分に滑車42により発生できる張力を強くで
き、かつ後輪の滑車44中に発生できるトルクを強くでき
る。
次に、後輪18に組合わされている動力伝達装置の後端
部について説明する。第2図に示されているように、後
輪18と動力伝達装置の後端部は、自転車のフレームの後
輪支持体16の間に適当に支持される。動力伝達装置の駆
動部が一方向クラッチ64、すなわち、「オーバーラン」
クラッチを介して後輪18へ連結される(第2図、第7図
乃至第10図)。駆動機構は、トルクをクラッチを介して
後輪へ加える。しかし、自転車が惰性で走行している時
は後輪は空回りし、駆動機構の低速部品または動かない
部品をオーバーランさせる。
従来通り、タイヤの修理または交換のために後輪18を
外すことができる。一方向クラッチ64の従動部が後輪へ
固定され、駆動部が可変比駆動装置へ固定される。後で
わかるように、クラッチ64のそれら2つの部分は、後輪
が外された時に容易に離れるように動く。後輪支持体16
の間に後輪が取付けられると、クラッチ64のそれら2つ
の部分が直接かみ合う。
第7図からわかるように、動力伝達装置30の後部滑車
44が、「後部」壁39(第2図に示すように、自転車に乗
っている人の左側の壁)を含んでいる2部品ケーシング
内に含まれる。クラッチ機構を納めるために壁70が後輪
18に固定される。ガスケット72が動力伝達装置のケーシ
ングの静止している後部壁39と回転壁70の間の封止を行
う。
クラッチの部品が第7〜10図に示されている。このク
ラッチの駆動部74がたとえばボルトにより後部滑車44へ
固定される。後部滑車44がクラッチの駆動部74へキーで
留められる。後部滑車44とクラッチの駆動部74は一緒に
回転する。後部滑車44は回転壁70の内部でクラッチの従
動環76が軸方向に滑動できる。その回転環76を軸方向に
案内するために、その回転環の突出部76aが回転壁70に
設けられている溝70aの中を案内される。コイルばね78
が回転環76をクラッチの駆動部74へ向かって軸方向に押
す。金属部80の部分80aが後輪18のハブ18aにねじ込まれ
て、クラッチの回転壁70をハブに固定する。回転壁70の
突出部70bが金属部80のフィンガ80bの間にはめこまれ
る。それらのフィンガ80bはクラッチの回転環76の内側
円形肩部76bの上方に設けられる。(第10図においては
肩部76bがフィンガ80bから隔てられている状態が示され
ているが、これは後で説明する状態を表わすものであ
る。)フィンガ80bは、回転壁70から、第7図において
左方への回転環76の軸方向の動きを制限する。クラッチ
の回転環76は一連の従動クラッチ歯76c(第8図)のよ
うな第1の係合可能な手段を有する。それらクラッチ歯
は、クラッチ軸線を含む平面図に平らな駆動部76dを有
し、各歯の反対側に傾斜面76eを有する。したがって、
クラッチの駆動部74は、クラッチの駆動状態および静止
状態にある時に歯76cとかみ合う、円形に配置された一
連の歯74aのような第2の係合可能な手段を有する。各
歯74aは、クラッチの軸線を含む平面内に平らな駆動部
と、反対側の傾斜面とを有する。それらの平らな駆動部
と傾斜面は平らな駆動部76dと傾斜面76eにそれぞれ対応
する。
次に動作を説明する。クラッチの駆動部74が駆動トル
クを生ずると、歯の平らな部分74aがクラッチの歯76cの
平らな部分76dに接触してそれを駆動する。自転車が惰
性で走っている時は、この動力伝達装置の駆動機構はク
ラッチの駆動部74を回転させないが、後輪18は回り続け
る。クラッチのうち、後輪18へ固定されている部分はク
ラッチの駆動部74をオーバーランする。クラッチの回転
環76は回り続け、クラッチの駆動部74の静止している歯
74aを通って歯76cにラチェットさせる。歯76cの傾斜面
は歯74aの傾斜面に沿って上昇して回転環76を間欠的に
押す(第10図)。
後輪を外す場合には、まず軸79(第7図)を外して後
輪を外すために必要な間隙をとる。クラッチの回転環76
がクラッチの駆動部74から単に分離される(第8図)。
1つのクラッチ装置70/76,80と後輪18で、後輪が自転車
から外されるのに伴って相手方のクラッチ装置74から分
離される組立体を構成する。後で、後輪が取付けられる
と、クラッチの回転環76はクラッチの駆動部74に向き合
って、それにかみ合う。
軸79は、後輪18と後部滑車44をフレームから迅速に外
し、かつ再び迅速に組付ける迅速取外し装置の一部であ
る。自転車の左側(第7図では右側)で後輪がフレーム
により支持される場所においては、フレームは、軸79を
通して、支持することができる穴のような支持面を有す
る。この領域においては、フレームの外側にカラー(図
示せず)がその穴に整列させられた状態で固定される。
そのカラーの外縁部からL形のスロットが延びる。軸79
の一端においてそれの長手軸から垂直ピン(図示せず)
を突出させることができる。そのピンはカラーのスロッ
トの中に挿入できるように適切な寸法とされる。軸79
は、それのピンをカラーのスロットルの中に挿入するこ
とにより、車輪と後部滑車のための周知のバヨネット型
迅速連結/分離装置を構成する。自転車の右側(第7図
では左側)で車輪がフレームにより支持される場所にお
いては、フレームは、後部滑車44の上にスリーブ89を支
持するようにされた穴のような支持面も有する。後輪と
後部滑車をフレームへ迅速に取付けるためには、スリー
ブ89をフレームの右側の穴の中に挿入し、軸のピンが設
けられている側とは反対側の端部をフレームの左方でカ
ラーと穴の中に挿入し、それからハブ18aに通し、最後
にスリーブ89中に挿入するだけでよい。軸79がスリーブ
89の中に挿入されると、軸79のピンがカラーのスロット
に整列させられて、そのスロットの中に入れられる。全
体の組立体を所定の場所に固定するために、軸はピンに
よりカラーのL形スロットの脚部分の中へ回転させられ
る。
後輪と後部滑車を迅速に取外すために、カラーのスロ
ットを通じてピンを引出すことができ、かつ軸をフレー
ムから引出すことができる位置へ軸79がピンにより回転
させられる。そうすると、後輪はフレームから落ち、後
部滑車のスリーブ89を穴から引出すことにより後部滑車
を取外すことができるここではバヨネット型の機構につ
いて説明したが、他の適当な機構を使用することもでき
る。
後部滑車44が、第7図、第11図および第13図乃至第16
図に示されている。第7図に示されている態様において
は後部滑車44は滑車部分48と、2枚の円板82,84で主と
して構成される。それらの滑車部分と円板は、クラッチ
の駆動部74に組合わされた回転部材を形成する。その回
転部材はころ軸受85の上に支持される。円板は離隔され
ているが、それらの円板のハブが互いにキーで留められ
て連結される。円板82と84は正確に分布された一連のス
ロットを有する。各円板の各スロットの一方の縁部に整
然とした歯86の列を有する(第13図)。歯86の側面は逆
向きに傾斜し、鋭い頂部および根で合う。この例におい
ては、円板82の各スロットの歯86は円板84の歯86に、そ
れらの円板の共通軸と平行な線に沿って整列させられ
る。
第5図と第6図に示されている各滑車部分48の詳細が
第13図に示されている。滑車部分48は中間部分48aを有
する。この中間部分には、第7図に示すように、ベルト
50の相補的な駆動面に係合するための溝が設けられる。
滑車部分48の端部48bが円板82と84のそれぞれのスロッ
トの中に受けられる。
各端部48bの側面が円板82と84の内面と外面にそれぞ
れ整列させられる(第7図)。各部分48bの一方の縁部4
8dは平らであって、歯付き形成物を有する。この実施例
では、その歯付き形成物は短い歯列48eである。その歯
列48eは歯列86とかみ合う。このようにして、各滑車部
分を、円板の関連するスロットに沿って任意の調節にお
いて両方の円板に固定できる。
各円板の各スロット中に固定レール手段90が配置され
る。各レール90の長い側面が円板82,84の内側と外側の
平らな面と同じレベルである、すなわち整列させられ
る。各固定レール90の長手方向に沿って1連の歯90aが
分布させられる。各円板の歯列86に向き合う各スロット
の縁部には、固定レールの歯90aと相補的な形の歯88が
設けられる。歯88の頂面は平らであって、第14図に示す
ように、それらの頂面は固定レール90の歯90aの平らな
頂部に整列させることができる。歯88は傾斜面を有し、
その傾斜面は歯90aの傾斜面に対して滑ることができる
(第14A図,第15B図)。固定レール90(第13図)は、円
板84のブレード84a,84bと、円板82のブレード82aと別の
ブレード(第13図には示されていない)を受け、それら
のブレードに沿って案内される。滑車部分の平らな部分
48dが固定レールの平らな表面90fに沿って滑る。
円板82と84の間の、滑車の軸に最も近い円板中の整列
させられた一対のスロットの各端部の近くにフリッパー
94か全体的に位置させられる。フリッパー94は各固定レ
ール対90を統合する。各フリッパー94の両側のピボット
94aが円板84の穴84eの中と、円板82の反対側の穴(図示
せず)の中に受けられ、各フリッパーの動作部分94bが
固定レールのくぼみ90eの中に嵌着させられる。フリッ
パー94はカム従節94cも有する。このカム従節は滑車44
の外側から円板82の右と円板84の左へ突き出る(第7
図)。第7図の左側と第13図の右側において、各フリッ
パーのただ1つのカム従節94cが後部滑車44内で活動す
る。フリッパー94は前部滑車42内でも用いられ、それか
ら反対側のカム従節94cだけが用いられる。カム組立体9
6(第7図,第13図,第14図,第14A図,第14B図,第15
図,第15A図,第15B図)が、後述するように、後部滑車
44のフリッパー94を動作させる。
ベルト50が殆どの滑車部分48(第11図)に対して半径
方向の圧力を加える。そのベルトは、調節領域A(第11
図)の中を通るにつれて滑車部分から離される。ベルト
の上側部分が張られていると(第11図)、トルクを発生
する力がベルトから、係合させられている滑車部分を介
して円板82,84へ伝えられる。図示の装置においては、
ベルトにより加えられる大きい力に、かみ合っている歯
48c/86が耐えられるように、歯列48c(各部分48b上のた
だ1個の歯でなく)が設けられる。かみ合う歯は、滑車
部分に加えられた全ての力が、歯合している多くの歯の
間に分布させられるように、特定の任意の歯に集中され
た力が生じた時に、多少曲がるプラスチックのような材
料で製作させる。また、歯列86の任意に選択された部分
に何本かの歯(48e)がかみ合うから、歯列48eと86の歯
は規則的に並んだものである。
次に、第14図,第14A図および第14B図を参照して、固
定レール90の動作を説明する。
第14図は、第11図の調節領域Aの外側にある時の滑車
部分の状態を表す。円板82,84における、対にされ、整
列させられたスロットの固定レール90が両方ともに滑車
固定状態、すなわち、歯88の平らな頂部が固定レールの
歯90aの平らな頂部に接触する状態にある。それらの固
定レールの長いまっすぐな表面90fが、滑車部分48の平
らな側面48dに係合する。この状態に於いては、固定レ
ール90は滑車部分48の2列の歯48eを強く保持し、円板8
2,84の固定歯86のそれぞれの列に十分にかみ合う。ボッ
クスカム96(第15図)の半径方向内側の壁が各滑車部分
48のフリッパー94を第14図の固定位置に維持し、一対の
固定レール90を、ベルト50が滑車部分(第11図)に接触
している限り、それぞれの固定された状態に保持する。
第14A図は、滑車部分にベルト50の圧力が加えられな
い調節領域A(第11図)の中央部近くの、滑車部分48を
有する滑車44を示す。更に、第14A図は、滑車部分の新
規な調節が行われない時の滑車部分の状態を表す。カム
部分96d(第15図)はフリッパー94を全体として半径方
向内側(第14図から第14A図まで下方へ)押す。フリッ
パー94は固定レール90を全体として半径方向内側(第14
A図では下方)へ押す。第14図と比較して、第14A図の固
定レール上の歯90aの平らな部分が、歯88の平らは部分
から移動させられている。歯48eはもはや歯86と深くか
み合うように保持されず、歯90aは歯88の間のスペース
の中に自由に入る。一対にされた固定レール90により滑
車部分48を多少ゆるくすることができるが、部分的にか
み合っている歯48eと86により位置にいぜんとして保持
される。領域A内の各滑車部分の小さいこぶ48cがゲー
ト58のカムの間を通る(第12図,第16図)。
調節領域Aにおいては、滑車部分の小さいこぶ48cが
回転している滑車44により、ゲート58のカム58aと58bの
間のスペースの中に運ばれる。第14A図において、滑車4
4が繰返えし回転されている間は固定された位置にある
と仮定している。変速比が一定に保たれている限りは、
ゲート58が滑車部分を再調節する傾向はない。
円板の全てのスロットルの歯86の頂部が、破線で描か
れている弧で表されている円に沿って分布させられる
(第16図)。それらの歯は滑車部分48の調節の個々の位
置を設定する。ゲート58を調節する機構(後述)は、歯
86に対応する段階で動作させられるから、個々の調節に
おけるゲート58は、個々に調節された位置にある各滑車
部分48を追跡する。調節領域Aにおいては、歯48eの限
られた量のゆるみが存在する(第16図)。固定レール90
は、調節領域Aの外側における歯48eと86の完全にかみ
合った状態を維持して、ベルト50により各滑車部分に加
えられる力に耐える。
滑車部分48の小さいこぶ48cが、滑車部分44が回転を
続けるにつれて、ゲート58の咬むの間のスペースを通っ
て繰り返し運ばれる。ゲートの調節が一定である限り
は、理想的には、ゲートと小さいこぶの接触はないか
ら、そのような接触による騒音は生ぜず、かつ小さいこ
ぶとゲートカムの磨耗は避けられる。実際には、それら
の部品の寸法と関係は理想的なものからいくらか外れ
る。しかし、ゲートカムの間のスペースは小さいこぶ48
cより少し大きく設けられ、かつ各滑車部分が調節領域
を通って運ばれる時に多少ゆるいから、騒音と磨耗は最
小である。
第14B図は、ゲート58(具体的にはゲートカム58a)が
調節状態にあることを除いて第14A図に類似しており、
滑車44が回ると、小さいこぶ48cがカム58aに係合し、そ
のカムにより外側(滑車44のハブから離れる向き)へ押
されるようにされることが示されている。その効果とし
て滑車部分48の1組の歯48eが歯列86の一部にラチェッ
ト式にかみ合う。この例においては、滑車の任意の1回
転において滑車部分48がゲート58内を通った時に、滑車
部分48は以前の設定から歯の長さの1つまたは2つ分だ
け移動させられる。歯48eが歯86に沿って動かされる
と、歯48eの傾斜面が歯86の傾斜側面に沿って滑らされ
て、滑車部分48により固定レールの駆動歯90aが歯88と
の深くかみ合う向きに駆動される。それらの協働する歯
88と90aの傾斜が固定レール90を滑車のハブへ向かっ
て、下方へ、および第14B図で少し左方へと移動させ
る。滑車のハブの方へ向かう固定レール90の同様の移動
は、ゲートカム58aが滑車部分48aを押して外側(滑車部
分のハブから離れる向き)へ移動させる時、およびゲー
トカム58bが滑車部分48を内側へ(滑車のハブへ向かっ
て)ラチェットする時に起こる。一対の固定レール90が
内側へ移動すると、カム従節94cが、ばね95に抗してカ
ム部96dから少し離れる向きに移動させられる。これに
ついては後で説明する。
第7図、第13図、第15図、第15A図および第15B図にお
いて、カム組立体96は全体として環状のボデー96aを含
む。その主ボデーは、動力伝達装置のケーシングの右側
(第7図では左)における壁139における円形くぼみ内
にセットされる。カム組立体を壁139の中に正確に位置
させるために、一体の突出部96bが結合くぼみの中に入
る。カム組立体の主ボデー96aが、全体として円形のカ
ムトラック96cの半径方向内側および外側の壁のほとん
どを構成する。第15図と第15B図に1つのカム従節が示
されている。各フリッパー94のカム従節94cは、滑車44
が回転するにつれてカムトラック96cに沿って動く。ほ
とんどのカムトラック96cは真の円形であるが、カム部9
6d(調節領域A内のトラック96cの外側の部分である)
は滑車の軸線へ向かってずらされる。カム部96dはフリ
ッパー94を滑車の軸線へ向かって回させる。各フリッパ
ー94は、調節領域Aを通る時に、第14A図において下方
へ、傾斜させられる。このカム部96dはフリッパー94を
作動させて、引続く固定レール対90を移動させて、それ
らが調節領域Aの中に入った時に放された状態にし、ゲ
ート58による滑車部分を調節する用意をする。
カムトラック96cの内壁の約半分が主ボデー96aと一体
である。カムトラック96cの内壁の上半分は、第15図に
示すように、3個の可動部品が複合したものである。壁
139の一体部分であるスタッド139aに2枚の翼96eと96f
が枢着される(第7図,第13図,第15A図,第15図およ
び第15B図)。翼96eと96fは溝96cの深さより広いから、
各翼の幅の部分がトラック96cの内壁の部分として機能
し、各翼(たとえば、第13図と第15図の翼96f)はカム
ボデー96a(第15図、第15B図)のそれぞれの停止面96g
に接触する。板ばね97が比較的強いばね圧を翼96cと96f
に加えて、第15図に示す位置にある翼がトラック96cの
内壁の通常の部分として機能するように、それらの翼を
停止面96gに押しつける。
翼96eと96fのくぼみの中に動くことができるようにし
て両端から捕らえられている弓のように曲がっている板
ばね95が、翼96eと96fの間で、カムトラックの向き合う
カム部96dに対して、トラック96cの内壁の弾力のある連
続部として全体として作用する。第15A図からわかるよ
うに、板ばね95のほとんどがカムトラック96cの内壁の
部分を形成する。板ばねの幅の残りの部分は、カム部96
dに向き合う板ばねの輪郭の位置と部分を決定するため
に、ボデー96aのわん曲している部分96hに接触する。
1つのフリッパー94のカム従節94cが、第14図に表さ
れている部品の状態に対応する典型的な位置にある様子
が第15図に示されている。車輪18が回ると、各カム従説
がカムトラック96cに沿って矢印の向きに動く。それが
カムトラックの部分96dに達すると、カム従節94cが、第
14A図に示されるように、フリッパーを下方へ駆動し、
滑車部分48を固定状態から放す。
変速比を変えるためにゲート58が動かされるとする
と、ゲートカム58aまたは58bが放された滑車部分48の小
さいこぶ48cを変位させる。その結果として移動させら
れた滑車部分48が協働している歯48e/86と88/90aに一対
の固定レールとフリッパー94を全体として滑車の軸線へ
向かって移動させる。以前に、カムトラック96cの部分9
6dがフリッパー94と固定レール90を移動させて滑車部分
(第14A図)を解放し、その滑車部分をそれの以前の調
節に留めたままにする。滑車部分48がゲート58によりそ
の調節から押し出されるにつれて(第14B図)、固定レ
ール90とフリッパー94の下向き移動が増大させられる。
カム従節94cはカム部分の96dから隔てられ、カム従節が
ばね95に接触する。
滑車44が回転を続けると(第14B図)、調節領域内に
ある滑車部分の歯48eの頂部が、歯48eと86の意図する新
しい関係に達するまで、歯86の頂部を通過させられる。
ある時刻に、小さいこぶ48cが、ゲートカムの尖端を通
る。滑車44が非常に早く回ると、小さいこぶ48cがゲー
トカム58a,58bの広く隔てられた部分まで急速に動く。
滑車部分は、意図する設定をこえてゆるくラチェットす
ることがある。その作用は、フリッパー94と、固定レー
ル90と、協働している歯88と90aの傾斜部とを介して作
用するばね95の力により阻止されて、小さいこぶ48cが
ゲートカムの尖端を通った直後に、第14A図の留められ
た状態を設定する。
小さいこぶ48cがゲート58を通る時刻は、新しい各変
速比を設定するためにゲート58を調節機構のタイミング
に関連して、完全にランダムである。したがって、小さ
いこぶ48cがゲートカムの尖端を通ったときに、ゲート5
8は、第16図に破線で描かれている弧の1つに対応する
以前の設定から、別の弧に対応する新しい個々の設定ま
たは部分的にだけ動かすことができる。
そのような条件の下では、小さいこぶ48cがゲートカ
ムの尖端から離れる時に、歯48e(ロッキング用形状
部)が、歯86(ロッキング用形状部)(第14C図)に関
して、頂部−頂部接触のまま放置されてしまう僅かな可
能性がある。調節領域Aに達する各フリッパーを、第14
図において、カムトラック96cの(半径方向)内側の壁
により表されている位置へ駆動して、歯48eを歯86との
かみ合い関係に固定すべきである。しかし、フリッパー
94を第14B図に示されている位置から上方へ駆動すべき
時に、歯48eと86が頂部−頂部接触関係にあるものとす
ると、通常のカム動作によりいくつかの部品が破損して
しまう可能性がある。翼96eにより表されているカムの
内壁の弾力のある部分およびそれに関連するばね97によ
りそのような損傷が防止される。第14C図に示されてい
る頂部−頂部接触関係が存在している間にカム従節94c
が第15B図に示されている矢印の向きに動くと、翼96eが
ばね97の強い圧力に抗して回動させられる。調節領域A
の端部に滑車部分48が達すると、ベルト50が滑車部分へ
の接触を開始する。その時に頂部−頂部接触関係が存在
するものとすると、ベルトの圧力により滑車部分48が動
かされて頂部−頂部接触関係を終わらせる。ばね97は翼
96eをそれのストップ面96gまで外方へ向かって直ちに駆
動する。フリッパー94と固定レール90が動いて第14図に
示す状態を形成し、滑車部分48をベルトの圧力に耐える
ことができるようにする。今述べた特殊な条件のために
起こることがある1つまたは複数の滑車部分48の調節に
おけるわずかな誤差は大した結果にはならない。そし
て、その小さい誤差もその後に行われる滑車44の回転に
より修正される。
上で述べた状態は、変速比を変えるために(後輪を駆
動することなしに)自転車のペダルを後方へこいだ場合
のように、動力伝達装置が逆向きに動作させられた場合
にも起こり得る。翼96fとばね97を設けると前記した部
品の損傷が防止される。
ゲート58は2つの鏡像装置(第17図)により構成され
る。各鏡像装置は、たとえばプラスチック成型部品であ
る。各鏡像装置は一対のゲートカム58a,58bと、ヨーク5
8dとを含み、それらはレール58cによって連結されてい
る。一方の鏡像装置のレール58cは、ケーシングの左壁3
9内の溝39bの中を滑る。この装置のカム58a,58bとヨー
ク58dは壁39と円板82の間に挟まれている。他方の鏡像
装置のレールが円板84に対して、ケーシングの反対側の
壁139に溝39bに平行に形成された溝(図示せず)の中を
すべる。ゲートカム対は、各滑車部分84の両側の小さい
こぶ48c(第13図)と協働する。
アイドラーローラー62(第5図,第5A図,第6図,第
17図)はアイドラー支持部材98により支持される。アイ
ドラーローラー62は軸62a(第11図)を有し、この軸62a
は、相互に離間したコップ形円板へ固定される。アイド
ラーローラー62は軸受98a(第11図,第17図)により支
持される。その軸受98aは2枚の円板の間のスペースを
介して軸62aに達する。アイドラー支持部材98は、たと
えば、プラスチックの成型により形成された一体要素で
あって、相互に離間した長方形の板98bを有する。それ
らの板98bの縁部は互いに平行であり、それらの板98bの
面に突出部98cが互いに向き合って設けられる。アイド
ラー支持部材98は別の突出部98dも有する。一方の板98b
がケーシング壁39内の溝39cの中で滑り、他方の板98bは
壁39内の溝39cに平行な反対側の溝(図示せず)の中を
滑る。
第5A図に示されている統合機構(作動手段)の部品52
bは、ケーシング壁の部分41内のスライドガイド41aの間
を、第12図の矢印100に沿って水平に調節できる。部品5
2bは、アイドラー支持部材98の突出部98dを囲むヨーク5
2c(第11図,第12図,第17図)を含む。アイドラー支持
部材98は、矢印100に対してある角度を成している矢印1
02の向きに沿って動くことができる。ゲート58の一方の
一体部品のスライド部58cがケーシング壁39の溝39bの中
を動き、したがって、相手方のゲート部品のスライド部
58c(第17図)が、ケーシング壁139の溝39bに平行な溝
(図示せず)の中を動く。ゲート58の2つの鏡像部品
が、ゲート58が矢印104(第12図,第17図)により表さ
れている経路に沿って動くように、アイドラーローラー
支持部材98の一体突出部98cにより一致して動かされ
る。
比調整部52bが右から左へ、1つの端の位置(第5
図)から他端の位置(第6図,第12図)へ移動させられ
ると、突出部98dは左へと動かされるが、その左方への
動きには、矢印100と102により表されている種々のすべ
り経路の結果として下向きの成分が伴っている。(第11
図においては、部品の調節は第5図におけるそれとほぼ
同じである。)比調整部52bが左へ動くと、アイドラー
ローラー支持体98の経路102に対してある角度を成して
いる矢印104の経路に沿って複合ゲート58が動かされ
る。比調整部52bのこの右から左への移動は逐次起こ
る。そうすると、滑車44の引続く回転の間に、滑車部分
48をしだいに小さくなる半径へ動かすように、ゲート58
は位置させられる。ゲートカム58aと58bの端部は最もせ
まい分離点から十分に離れて、小さいこぶ48cがゲート
の中に入ることができ、かつ部品52aの調節のいくつか
の段階を通って小さいこぶ48cを移動させることができ
るようにする。
再び第14B図を参照して、滑車部分48の共通半径を増
大させるために、突出部98cは段階的に動かされると仮
定する。第14B図において、滑車44が時計回りに回転す
ると、ゲートカム58aは小さいこぶ48cを上方へ移動させ
る。アイドラーローター支持体98の部分98cがヨーク58d
の中にすべることができるようにして納められる(第17
図)。滑車44が回され、小さいこぶ48cを移動させてゲ
ートカム58aに接触させるから、滑車部分48(第14B図)
は半径方向外向きに調節させられる。対にされている固
定レール90は、第14A図に示されている滑車部分48の状
態のように既に滑車部分48を解放しているので、ゲート
により滑車部分48を移動させられる。
第14図に示されている固定状態から歯88と90aを動か
すように、カム部分96dがフリッパー94を移動させるよ
う動作すると、滑車部分48にゆるみが生ずる(第14A
図)。そのゆるみは、ばね95へカム従節94cが係合する
ことにより制限されるので、歯48cは歯86から完全に離
れることは許されない。したがって、滑車部分48は以前
の調節に留められたままである。
滑車44が回転を続け、滑車部分48がその滑車により動
かされ、小さいこぶ48cがカム58aに係合すると、滑車部
分48は歯86に沿って外方へ駆動され、歯48eの傾斜面は
歯86の傾斜面に沿ってすべらされる。歯48eと86のこの
協働動作により、滑車部分48により係合されている一対
の固定レール90が、第14B図において左下へ駆動され
る。歯90aはより十分に駆動させられて歯88とかみ合
う。固定レール90が下方へ動くと、フリッパー94のカム
従節94cが、ばね95に抗して、カム部分96dから少し離れ
るように動かされる。歯48eの頂部が歯の頂部にラチエ
ット式に接触しつつ動くと、歯48eと86のかみ合い状態
を維持する向きにばね95が要素94,90,48を駆動する。最
後に、カムトラック96cの内壁がフリッパー94をそれの
上昇させられた位置へ復帰させるから、固定レール90と
滑車部分48は固定された状態へ戻される(第14図)。
滑車の軸線に近い方の、滑車部分48の新しい半径方向
位置を設定するために比調整部52bが調整されると、ゲ
ートカム58bが小さいこぶ48cの経路内にくる。しかし、
上記のように、部品48,90,94,95の間にほぼ同じ相互作
用が行われる。
以上の説明は後部滑車44と、それのゲート58と、それ
のアイドラーローラー62との、比調整部52bの制御下に
おける調節に直接関係するものである。部品52aは前部
滑車42のゲートとよびアイドラーローラーに対して同じ
作用を行うものである。ただ、以下に詳しく説明する点
が異なる。
第5A図,第20図乃至第22図からわかるように、部品52
aと52bは、部品52aから、選択された自転車フレームの
寸法へ動力伝達装置を合わせるために選択された穴52e
の1つの中へ延びるピン52dにより、互いに結合され
る。ピン52dは、自転車に乗る人の左側のケーシングの
壁40の溝40aに受けられる。壁40は、動力伝達装置の前
端部を納めるケーシングの一部である。
第18図は、滑車42の軸線を含む平面内に全体として含
まれる横断面で、動力伝達装置30の前端部を示す。この
図は一平面横断面を表すものではなく、むしろ、機構の
各種の部品の間の関係を示すのに最も効果があるように
選択した種々の平面における複合横断面を表すものであ
る。部品の真の関係は他の多くの図に表されている。
動力伝達装置のケーシングは左側壁40と右側壁140を
含む。それらの壁はペダルで駆動される滑車42を囲み、
調節機構は、統合されている全体の変速比決定機構(第
5A図)を調節するための手動制御機(第3図,第4図)
に応答する、ペダルで動力を供給される機構すなわち比
調節機構54(第2図)を含む。
滑車42は2枚の円板110,112を有する。それらの円板
は、円板82,84と同様に、整列させられた半径スロット
を有する。滑車部分46は、かみ合わされた歯および固定
レール90により、スロットに沿う位置に調節され、固定
される。それらの部品の全ては、第7図および第11図乃
至第17図に示され、かつ後部滑車44の調節可能な滑車部
分48について先に説明した部品と同じ構造を有する。滑
車部分46は、ゲート56(第5A図)と協働するために、円
板110と112(第18図)の両側に関連して外方へ突出する
小さいこぶ46cと(小さいこぶ48cと同じ)を有する。滑
車42は滑車44のフリッパーと同じフリッパー94を有す
る。滑車42のフリッパー94を制御するために、カム組立
体96に類似のカム組立体について下記のように説明す
る。
第19図は、滑車部分のための1点鎖線で表されたスロ
ットを含む円板110と112を線図的に示す斜視図である。
駆動円板114のリムがそれらの円板のハブ部の間に挟ま
れる。円板112のハブ部における突出部112aとくぼみ112
bが、円板114のリムにおける相補的な形のくぼみおよび
突出部にそれぞれ係合する。円板110も、円板114の相補
的な形のリムと係合する突出部およびくぼみを同様に有
する。(第18図,第19図)。円板114はボルト26aおよび
ナット118(第18図)によりペダルクランク28へ止めら
れる。ペダルクランクから延びている駆動ピン28bが円
板114の穴114aの中に入る。円板110と112は、ここでは
詳細を説明しない構造体により互いに一体にされる。
(第19図に示されている2ローブカム130については後
で詳しく説明する。) 滑車42(第18図)の滑車部分46が比調節機構54、具体
的には、ゲート56を調節する部品52a(第20図乃至第22
図)により調節される。このゲート56(第22図)は、互
いに向き合う一体鏡像部品を含む。それらの各部品は一
対のゲートカム56a,56bと、レール56cと、ダイヤモンド
形突出部56dとを含む。ゲート56の1つの部分のカム56
a,56bとダイヤモンド形突出部56dは、壁40と円板112の
間のスペース内で動作する。ゲート56の他の部分のカム
56a,56bとダイヤモンド形突出部56dは、壁140と円板110
の間のスペース内で動作する。1本のレール56cが滑車4
2の半径に沿う溝40cの中をすべり、他のゲート部分のレ
ール56cが反対側の壁140内の平行な溝(図示せず)に沿
ってすべる。
ゲート56の2つの部分のゲートカム56aと56bは同じで
ある。一対のゲートカム56aと56bは広く離隔された端部
と、それらの端部の中間の狭い間隔の尖端部とを有し、
後部滑車のゲートカム58aと58bとに類似する。ゲートカ
ム56aと56bの先端部は、それらの尖端部の間を小さいこ
ぶ46cが通れるようにするために必要な間隔より少し広
く隔てられて、滑車部分48に関連してゲート58について
先に説明したのと同様に、滑車部分46に対して作用す
る。
比調節部すなわち制御部52aは、この例においては、
プラスチックで成型された単一の部品である。それは、
一端にカム従節52fと突出部52nとを有する曲がった部分
52eを含み、更に突出リブ52gと、スロット52hと、一体
突出部52i,52j,52kと、フック付き延長部52mとを有す
る。突出部52dとリブ52gおよび突出部52nはケーシング
の壁40内の溝40a,40b,40mの中をそれぞれすべるから、
比調節部52aは、ほぼ水平である直線経路に沿って調節
可能である。比調節部52内のスロット52hは、ゲート56
のダイヤモンド形突出部56dを抱えこみ、ゲート56の一
方の部分を、比調節部52aが種々の変速比決定位置へ調
節させられる時に、溝40cに沿って半径方向に駆動する
ヨークとして作用する。(部品52fと52i〜52mの目的に
ついては後で説明する。) 比調節部52aのスロット52hが形成される部分は、ケー
シングの左壁40と滑車42の左側円板112の間に挟まれ
る。部品122(第22図)がケーシングの右壁140(第18
図)と右側円板110の間のスペース内に含まれる。部品1
22は、一体の突出部52i,52j,52kにより比調節部52aへ連
結される。それらの突出部52i,52j,52kは部品122の対応
する一体突出部122i,122j,122kに接触し、かつ連結され
る。ここでは、部品122は一体のプラスチック部品とし
て作られる。部品122内のスロット122hは比調節部52aの
スロット52hと同一で、それに平行である。スロット52h
と122hは、ダイヤモンド形突出部56dと協働するヨーク
を構成する。それらのヨークは統合されてゲート56の部
品を滑車部分調節領域、すなわち、ベルト50がどの滑車
部分にも接触しないような領域の内部において、滑車42
の半径に沿って一致して動作させる。ゲート56の鏡像部
品が各滑車部分46の一対の小さいこぶ46cと協働する。
小さいこぶ46cは円板110と112から逆方向へ突出する
(第18図)。
アイドラーローラー60が、統合機構(第5A図)によ
り、ゲート56の調節と統合して各種の調節へ移動させら
れる。更に詳しくいえば(第22図参照)、アイドラーロ
ーラー支持体124は、アイドラーローラー60の内部軸
(図示せず)用の軸受124bを有する1本のアーム124aを
有する。アイドラーローラー支持体124は別のアーム124
cを有する。そのアーム124cは図示のように2つの平行
な部分の形である。アーム124a,124cは、一体化された
突出部52j,122jにより形成されたピボット上で回るピボ
ット軸受124dから両方向へ延長する。一対のワイヤばね
126a,126bが、アイドラーローラー60を弾性的に上昇さ
せるために、アイトラーローラー支持体124に押す力を
加える。それらのワイヤばねは、比調節部52a,122の両
端部におけるばね保持くぼみ52m,122mに接触する。比調
節部52aと122がゲート56をそれの調節された位置へ動か
し、かつアイドラーローラー60を調節された種々の位置
へ動かす。ゲート56の調節と統合したアイドラーローラ
ー60のそのような調節に加えて、ベルト50に十分な張力
を加えて駆動装置を順回転比変更モードおよび逆回転比
変更モードに置くために、アイドラーローラー60はそれ
の枢着された支持体124により弾性的に動くことができ
る。
本発明の動力伝達装置の設計上で考察すべき事項の1
つは、ベルトと滑車部分の間の滑りを減少または解消す
ることである。ここで開示している動力伝達装置におけ
るアイドラーローラー60,62の動き、支持および配置
は、この結果に達するのに非常に重要である。ペダルク
ランク28は、力が加えられると、滑車42を滑車部分46と
ともに回す。滑車部分46は回転するとベルト50に力を加
え、そのベルト50は滑車部分48を介して滑車44へ動きを
伝える。滑車部分46に対するベルトのすべりを生ずるこ
となしにペダルクランクへ加えることができる力の大き
さは、次式に従ってペダルクランクにより滑車42の「張
り」側と「たるみ」側とにおいてベルトに加えられる張
力の関数である。
T2/T1=efB ここに、T2はベルトの「張り」側に加わる張力、T1はベ
ルトの「たるみ」側に加わる張力、eは自然対数の底
(logT2/T1)、fはベルトと滑車部分の間の摩擦係数、
Bはベルトが滑車部分にかけられたベルトの周囲の全接
触角(ラジアン)である。なお、ベルトの「張り側」と
いうのは、第6図において前進方向にペダルをこいでい
る時の上側ベルトを指し、「たるみ側」というのは、同
じく第6図において同じ条件の下における下側のベルト
を指す。上の式からわかるように、比T2/T1は与えられ
た系におけるベルトの巻き範囲に依存し、さらに、ベル
トの全接触角度は上の式における指数係数であり、それ
に摩擦係数fが乗ぜられているから、ベルトの接触角の
小さい段階的な増大は、すべりが起こる前またはすべり
の発生が切迫している時より前にペダルクランクに加え
ることができる力を過度に増大させる結果をもたらす。
ここで開示している動力伝達装置においては、滑車の
周縁部に近接する非常に狭いスペースの内部でベルトを
十分に巻きつけなければ、望ましくないすべりを減少で
きないことがわかる。しかも、そのスペース内には全体
の装置のいくつかの他の要素も含まれる。更に、アイド
ラー部材の位置は、ここで説明している動力伝達装置に
おける21種類の変速比のような、多くの変速比を取り扱
うことができねばならない。これを行うために、アイド
ラーローラー60と62は、希望のベルト掛け度を得るため
の運動のために独立して支持される。アイドラーローラ
ー60と62を支持し、動かすためにここで提供される構造
により、選択される全ての変速比に対して、従来の装置
と比較して、ベルトを滑車部分46,48へ大きく接触させ
ることができる。しかも、機構の他の部品を受けるのに
十分に広い余地も得られる。
前記米国特許第4,030,373号および同第4,530,676号に
開示されているような従来の動力伝達装置においては、
ベルトと滑車部分との間の接触量は本願発明のものより
大きくなった。たとえば、米国特許第4,030,375号にお
いては、アイドラーローラーの一方が固定され、他方の
アイドラーローラーを関連する取付け板へ向かって、ま
たはその取付け板から離れる向きへ回ることができるよ
うに、他方のアイドラーローラーにはばねにより力が加
えられていた。この構造では本発明のように大きな接触
量を達成できない。米国特許第4,530,676号において
は、同じピボットピンの軸を中心として振れる弾力アー
ムにより両方のアイドラーローラーが支持されるように
なっている。これはベルト案内ローラーのために弾力の
ある暢思骨の形をとらせるもので、それのアームは互い
に相手方へ向かって、または相手方から離れるようにわ
ずかに曲がることができて、ローラーが変化するベルト
の形状に適合できるようにする。その米国特許に開示さ
れているベルトの接触量は本発明で可能であるほど大き
くはない。
本発明の動力伝達装置は、動けるよう独立して支持さ
れるアイドラー部材を用いることにより、従来の装置よ
りもベルトの接触量を大きくできる。滑車部分における
ベルトの接触量とすべりの間の指数的な関係のために、
接触量をこのように比較的小さく増加すると、すべりを
生ずることなしに引っはり力とパワーを非常に大きく増
加できる。また、この動力伝達装置を使用していない間
は、張力をほんの僅か、またはほとんど零に近い値だけ
ベルトにかけておくだけである。そのためにベルトおよ
び滑車の軸受の摩耗や、ベルト切れが減少するという利
点が得られる。
繰り返し要約すれば、第5A図に示す統合調節機構は、
ゲート56と58を調節することにより滑車42と44の直径の
種々の比が設定される。一方の滑車の半径を短くすれば
他方の滑車の直径が長くない、滑車42と44の直径の新し
い比に対してアイドラーローラー60と62の位置が統合し
て調節される。
第18図乃至第29図は比調節機構54の詳細を示すもので
ある。この比調節機構においては、カム部材128が、ケ
ーシングの左側の壁40に接触するボデー部128bを有す
る。カム部材128の円形リブ128aが、ケーシングの壁40
に設けられている溝40dに沿ってすべる。その溝とリブ
は滑車42の軸線すなわちペダルの軸線を中心とする。リ
ブ128aのわん曲している内面と外面に沿って一連のラチ
ェット歯128gが設けられる。円形リブ128aは平らなボデ
ー部128bからケーシングの左側の壁40まで延び、段付き
カム128cが、平らなボデー部128bから右へ突き出すカム
部材128一体部分を形成する。段付きカム128cは一連の
ドエルと勾配移行部を有する。ドエルは、滑車42および
ペダルの共通軸からしだいに異なる距離の所に配置され
る。3個の突出部128dも平らなボデー部128bから右へ延
びる。突出部128dは滑車42の軸から共通の半径の所に設
けられ、滑車部分46の小さいこぶの最も内側の半径設定
より短い半径で壁40と円板112に接触する。段付きカム
部材128が、滑車42とペダルクランクの共通軸を中心と
して溝40dに沿って調節できる。
カム従節52fが比調節部52aから一体に突出して、段付
きカム128cの両側に接触する。カム従節52fはほぼ水平
な経路に沿って動くことができる。その理由は、比調節
部52aの突出部52nが溝40mの中を案内されるからであ
る。
後述する機構が、第20図及び第21図それぞれに表され
ている端の位置の間で或るドエルから次のドエルまで、
カム部材128を、ペダル軸線を中心として位置合わせす
る。そうすると、ペダル軸線から異なる半径の所にある
カム128cの引続くドエルが動かされてカム従節52fと協
働関係に入れられる。カム128cの急な移行でゲート56と
58が、ドエルにより決定される個々の位置へ急に移動さ
せられる。それらのドエルはゲート56と58の個々の位置
を正確に決定し、それらのドエルは、各滑車上の歯の同
心円の分布と、滑車部分46と48の個々の位置とに対応す
る。実際の例においては、段付きカム128cは、滑車部分
46と48のドエルの数と同数の個々の半径方向設定に対応
する、制御部材52の調節を決定する21個の個々のドエル
を提供する。
カム部材128は半径方向外向きへ延びる突出部128eを
有する。その突出部128eは指示片129(第22図)の穴129
aの中に挿入される。第18図に示すように、指示片129
は、ケーシングの両側の壁40と140に設けられている整
列させられた溝の中ですべる。指示片129は透明窓131の
下を通る。その透明窓131には変速比を識別する1つの
大きな数字120bが1度に1つずつ表示される。透明窓13
1は、自転車に乗っている人が容易に見ることができる
位置、すなわち、動力伝達装置のケーシングの上部、お
よび前端部の近くに設けることができる(第2図および
第22図)。数字は「1」は、動力伝達装置が第6図と第
21図に示されているような最低変速比に動力伝達装置が
設定された時に透明窓131に現れ、数字「21」は、第5
図および第20図に示すように、最高変速比が設定された
時に透明窓131に現れる。
比調節機構54は、カム部材128を、コードすなわちケ
ーブル38と手動制御機(第3図,第4図)に応答して、
1つの任意の設定から別の設定へ動作させる。以下の説
明においては、第18図は単純な切断平面による断面図で
はないことに注意されたい。第18図においては、部品の
間の関係を最も効果的に示すために、製図の便宜上、部
品によって切断面が異なっている。第19図乃至第24図は
第18図に示されている部品の真の関係を表すものであ
る。
ケーシングの左側壁40と滑車42の円板112の間に挟ま
れている2ローブカム130(第18図,第19図,第21図,
第23図)が滑車の軸を中心として回転できる。このカム
の内側の円形部分は、ケーシング壁40(第18図,第21
図)の一体部分として突き出るカラーすなわち環40eに
より案内される。カム130は、左側の壁40に向かって開
く通路130bを有する。その通路を形成するカムの壁130c
は、軸線のほとんどにわたって環40eと同心である通路
を形成する。しかし、カムがカラー40eから隔てられて
いる直径の両端の場所に外向きローブ130dを有する(第
18図,第21図)。
カム130は、滑車円板112へ結合される「空動」継手を
介してペダルにより回転させられる。その空動継手は、
全ての滑車が同様な位置へ移動させられる前に生ずるゲ
ートの余分な移動を避けるゲート調節手段へ作動的に連
結される。そうすると、個々の滑車部分がゲートの設定
限度を超えて移動することを阻止する。円板112のハブ
部が小さい突出部112c(第19図)を有する。この突出部
は、ペダルクランク28が滑車42を回すにつれて円形の経
路を動く。2ローブカム130は、その円形経路中に配置
される突出部130eを有する。ペダルクランク28が、何れ
かの向きに回されると、突出部112cは突出部130eに達す
る。ペダルクランク28を連続してこぐと、カム130が駆
動される。しかし、ペダルを逆向きにこぐと、ペダルは
滑車42を動作せるが、カム130に関連してほぼ1回転の
間はその動作は「空動きとなる」。その時に、カム130
へのペダルの駆動結合が回復させられるように、突出部
112cは突出部130eに再び係合す。この「空動」継手の目
的は後で説明する。
固定ピボット40fの上にアームロッカー132(第8図,
第21図,第23図)が支持される。ピボット40fは左側の
壁40から内側へ突き出る。ロッカーの1つのアーム132a
(第18図,第23図)がローラー132bを支持する。そのロ
ーラーは2ローブカム130の壁130c(第21図)の間に受
けられる。ロッカー132の別のアーム132cがピボット132
dを支持する。ピッカー134の一端部における軸受134aが
ロッカーのピボット132dを受ける。2ローブカム130が
それの軸線を中心として回転すると、ロッカー132がピ
ボット40fを中心として振動し、ピッカー134をそれの長
手方向に前後に移動させる。
段付きカム部材128の円形リブ128aが、ケーシングの
左側の壁40に形成されている溝40dの中で動作すること
を先に述べた。リブ128aはその溝に沿って延長して、右
側の壁の空所40gの中に入る。ピボット40fと40iが、空
所40gを囲でいる壁領域40hから突き出る。ピッカー134
の頭部134bが逆向きに離隔されているフック134c−1と
134c−2を構成する。空所40gの内部でピッカー134が往
復動すると、それのフックが歯付きリブ128aの両側に沿
って前後に動く。第25図には、第18図の25−25線に沿う
断面でリブ128aが示されており、ヘッド134bを露出して
いる。リブ128aのうち、ピッカーのフックの間を延長す
る部分が、一定の間隔をおいて隔てられた一連のくぼみ
とラチェット歯128gを有する。フック134c−1と134c−
2はリブ128aを中心とし、変速比が一定に保たれている
限りは、フックはラチェット歯128gに接触しない状態に
保たれる。ヘッド134bは歯付きリブ128aに沿ってアイド
ル状態で往復運動し、ヘッド134bの部分134eが傾斜棒部
材143の耳143dの中ですべる。
下記の機構は、リブ128aに対するヘッド134bの位置を
制御する。指操作制御機(第3図,第4図)から延びる
ケーブル38が、第23図,第24図,第27図において参照す
るために参照番号38−1,38−2として別々に参照符号が
付せられる。各ケーブルの端部に結び目が設けられ、各
ケーブルはそれぞれの溝付きスライダ136の溝の中に受
けられる。動力伝達装置を自転車から取外して交換する
場合には、ケーブルをその溝から迅速に取外すことがで
きる。通路138がカバーと、各スライダ136のためのガイ
ドを形成する。通路138は、スロットル40j内に固定する
フック138aと、ケーシングの壁40の他の穴(図示せず)
の中に固定する別のフック138により、壁40の外面へ適
当に固定される。ポスト136a−1と136a−2がそれぞれ
のスロット40kを通って空所40gまで延長する。
等しい長さのアーム143a−1と143a−2を有する傾斜
棒部材143が、空所40g内のピボット40iの上に支持され
る。ピボット40iはピボット132dの振動経路に沿って配
置される。アーム143aの端部におけるポスト143b−1と
143b−2が、ポスト136a−1と136a−2へ通常当てられ
る。これは、ケーブル38の端部における結び目がスライ
ダ136の端部に配置されるように、両方のケーブル38を
引くことにより、動力伝達装置の取付け中に行われる。
別々のケーブル38が指操作制御機34(第3図,第4図)
の中に引き込まれてケーブルのたるみをとり、最後にケ
ーブルを保持しておくために制御機が締め付けられる。
傾斜棒部材143の別のアームがヘッド143cを支持す
る。このヘッドは、両側から内側へ延長する整列させら
れたスロット143dを有する。全体としてu形ワイヤばね
144の曲がった中央部から延びる2本のアームが、傾斜
棒部材の軸受すなわちハブの周囲にゆるくはめこまれ
る。第23図から最も良くわかるように、ばね144のアー
ムの端部に直立部144aが存在するように、ばねのアーム
は直角の曲がりを有する。それらの直角に曲がったワイ
ヤ直立部分144aはスロット143d内に受けられ、スロット
の最も内側の端部へ向かって相互に偏倚させられる。第
26図と第29図に最も良く示されているように、それらの
ワイヤ直立部分144aはヘッド143cを通って延長し、この
例ではプラスチック製であるローラー145のための軸と
して機能する。ローラー145は直径の大きいヘッド145a
を有する。それらのヘッドはばね144により偏倚させら
れて、歯付きリブ128aの両側においてくぼみ128fと協働
する。ワイヤ部分144a上のローラー145が、ピッカー134
のヘッド134b内の窓134dを通って延びる。ヘッド134b
は、傾斜棒部材143のヘッド143cを抱く一対の垂下突出
部134eを有する。それらの突出部134eは、ロッカー132
によるピッカー134の長手方向での往復運動時に、傾斜
棒部材143のヘッド143cの側面に沿ってすべる。傾斜棒
部材143のヘッド143cが、リブ128aの両側から中央に向
けて位置させられるように、ばね端部144aにより偏倚さ
せる限りは、フック134cは、リブ128aの両側で歯128gの
列から隔てられたままである。
第27図乃至第29図は、ケーブル38−1に張力を加える
ように、指操作制御部34(第3図,第4図)へ指の力を
加えた時の効果を示す。その力は傾斜棒部143をそれの
ピボットを中心として時計回りに回させ、ヘッド143cに
(突出部134eを介して作用させる)ピッカーのフック13
4c−2を移動させて、リブ128aの歯の付いている側と協
働させる。
指操作制御機34とケーブル38によりひき起こされた傾
斜棒部材143の不平衡は、ペダルがこがれなければ何も
作用しない。ペダルからの駆動により2ローブカム130
が回転させられると、ロッカー132はペダルクランクの
1回転で2回急に振動して、ピッカーのヘッド134bを歯
付きリブ128aに沿って前後に駆動する。したがって、フ
ック134c−2がリブ128aの歯128gに係合して、ピッカー
のヘッドの1ストロークの間に歯128gを1段階だけ移動
させる。フック134c−2は、ヘッド134bの逆ストローク
中に次の歯128gを過ぎてラチェット式に送られる。他の
フック134c−1は、傾斜棒部材のヘッド143cにより歯付
きリブ128aから十分に離れて上昇させられる。ばねによ
り偏倚させられている少なくとも1個のローラー145は
リブ128aに常に係合するから、フック134c−1または13
4c−2の以後の任意の駆動ストロークに続いてカム部材
128を所定位置に保持するための戻り止めとしてそれら
のローラーは作用する。
傾斜棒部材143が非平衡状態に保持されている限りに
おいては、フック134c−2は、カム130の各半回転ごと
に歯付きリブ128を(第27図と第28図で見て)時計回り
に1ステップだけ動作させる。指操作制御機34(第3図
および第4図)は、傾斜棒部材143をそれの平衡位置
(第24図)から逆時計回りに傾斜させるように、逆に動
作させることができる。ケーブル38−2へ張力を加える
と、フック134c−1が歯付きリブ128aと協働させられ
る。そうすると、歯付きリブ128aは、ロッカー132の各
振動ごとに、1段階だけ逆時計回りに移動させられる。
歯128gは段付きカム128cのほとんどに対応する。フッ
ク134c−1と134c−2は、段付きカム128cをそれの範囲
の一端から他端へ駆動する。その範囲をこえると、わん
曲しているリブ128aは、フックすなわち爪134c−1と13
4c−2により係合させられる滑らかな領域を有する。し
たがって、それらのフックすなわち爪を、段付きカム12
8cのいずれかの端部がカム従節52fに達した後で、わん
曲した(および滑らかな)リブ128aに継続して協働させ
ても何の効果もない。
段付きカム128cが動作すると制御部材52が段階的に移
動させられる。それとは逆に、溝40dに沿って力が制御
部材52へ加えられても、その制御部材52は扇形カム128c
の位置合わせをしない。すなわち、段付きカム128cは制
御部材52を動作させるが、制御部材52から段付きカム12
8cに力が加えられてもカムを回転させることができな
い、という一方向駆動機構である。段付きカム128cのド
エルは、動力伝達装置全体へ加えられた機械的な衝撃に
よりひき起こされることがある、制御部材52(部品52a
と52b)のどのような移動も阻止する積極的な阻止手段
として作用する。段付きカム128cのドエルは、滑車部分
46と48の個々の位置に対応する個々の位置にゲート56と
58を置くために、精密かつ確実に作用する。
次に、装置全体の動作について簡単に説明する。指操
作制御部材34が中心に止まっている限りは傾斜棒部材14
3は平衡させられ、フック134c−1と134c−2がリブ128
の歯128gから離れたままであるように、傾斜棒部材のヘ
ッド43cはピッカーのヘッド134bを制御する。傾斜棒部
材134が不平衡状態にされると、ペダルクランク28が回
されるにつれて、ピッカーのヘッド134bは歯付きリブ12
8aを段階的に位置合わせする。比調節装置全体は、変更
の間の最後に調節された位置に保持される。
この動力伝達装置の変速比が不変に保たれている間
は、第5A図に示す機構は静止したままである。各滑車42
と44の滑車部分のほとんどにベルト50が掛かるように、
ベルト50はアイドラーローラー60,62により保持され
る。ゲート56,58は最後に設定された位置に留まる。ゲ
ートのそれらの個々の位置は、滑車部分を所定の場所に
保持する歯86の分布に従う。変速比指示数字129bが、カ
ム128cと、ゲート56,58の各設定ごとに窓131に表示され
る。
後部滑車44の各滑車部分48は、2枚の円板82と84の対
にされているスロットに沿って調節可能であり、各スロ
ット内の対にされた歯列86が、各滑車部分48の各端部48
b上の歯群48eにかみ合い、各滑車部分48の各端部48bと
各スロットの向き合う縁部の間に固定レール90が配置さ
れ、固定レール90は、スロットの縁部に沿う歯88とかみ
合う歯90aを有し、歯88と90bは相互に協働する固定のた
めの平らな頂部と傾斜部を有し、カム組立体96がフリッ
パー94と固定レール90を制御する。フリッパー94は固定
レール対を統合する。滑車42と、それの滑車部分46と
は、以上説明した滑車44およびそれの滑車部分48につい
ての選択的位置決め機構および固定機構に関連するあら
ゆる事項、およびその他の面で滑車44および滑車部分48
に類似するが、カム組立体96は交換される。
滑車42は、前部滑車のフリッパー94を動作させるカム
組立体146を有する。このカム組立体は、後部滑車のフ
リッパー94を動作させるカム組立体96に非常に類似す
る。
カム組立体146(第18図)は、第15図に示されている
位置にある枢着された翼96eと96fの代わりにボックスカ
ムの固定された壁部分を用い、ばね97(第15図)がカム
組立体146から除去されたことを覗き、カム組立体146は
カム組立体96にあらゆる面で類似する。上記変更部分は
別にして、カム組立体146は、滑車解放カム部分96dと、
板ばね95と、この板ばねのうちカムトラックの弾性壁部
分として作用する部分の輪郭と位置を制御する表面96h
との、適当な寸法にされた複製物(図示せず)を含む。
各滑車部分46が調節領域(この領域ではベルト50は滑車
部分46から離れる)に入ってから、出るまでの間に起こ
る動作は、後部滑車について前述した。先に注意したよ
うに、前部滑車のカム146においては、カム組立体96の
翼96eと96fは用いられない。後部滑車においてまれに起
こることがある歯の頂部同士の係合(第14C図)は前部
滑車の動作では起こらない。その理由は、ゲートカム56
aと56bの尖端が滑車部分46の小さいこぶから離れる前
に、ゲート56の調節を終わるように調節機構の動作のタ
イミングを定めているからである。
変速比が変えられる時に扇形カム128cは段階的に移動
させられる。制御部材52は、カム従節52fが、段付き扇
形カム128cのドエルの間での移行により、1つのドエル
から次のドエルへ急に駆動される時に、急に移動させら
れる。段付きカム128cのそれらの急な移動はカム130の
ローブ130dによりひき起こされる。小さいこぶがゲート
カムの尖端を通った時、またはその直前にゲート56が各
新しい設定へ少なくともほぼ動かされているように、段
付きカム128cとカム130の動作のタイミングが定められ
る。このタイミングは変化せず、予測できる。したがっ
て、後部滑車の動作において起こる歯の頂部間接触の問
題は前部滑車においては起こらないから、後部カム組立
体96の翼96eと96fを前部カム組立体146から除くことが
できる。
後部ゲート58が半径方向に出たり、入ったりする調節
を受ける時は、滑車の調節される半径の変化に対応する
滑車部分48の周囲に掛けられるベルト50の実用的な最大
の接触長さを維持するために、アイドラーローラー62も
半径方向外向きへ動かしたり、内向きへ動かしたりす
る。滑車部分46の周囲に掛けられるベルトの実用最大接
触さを維持するために、前部アイドラーローラー用の軸
受124b(第22図)もゲート56と統合して動かされる。ア
イドラー用の軸受124bのそれらの統合された調節は、ベ
ルト50をぴんと張った状態に維持するためにはぴったり
ではないかもしれない。アイドラーローラーが理想的に
調節されていないか、その他の原因によるものかは問わ
ず、たるんでいるベルトのたるみをとるために、ばね12
6aと126bがアイドラーローラー60の枢着されたアイドラ
ーローラー支持体124に作用する。
制御部材52(部品52aと52b)は、希望の変速比を設定
するためにゲート56と58を調節し、アイドラーローラー
60と62を統合して調節する。そのような調節のためには
適度な機械的な力を必要とする。しかし、比調節機構54
は、調節を行うためにペダルクランクの動力を利用する
ことによりその力を一層減少させて、指操作制御部材34
に加えられる指の非常に小さい力を必要とするだけであ
る。
2ローブカム130により駆動されるロッカー132により
ピッカー134は歯付きリブ128aに沿って振動させられ
る。ピッカーは、ヘッド143bにより、リブ128aに対する
中性位置に保持されている限り、無駄に振動する。ケー
ブル38が傾斜棒を不平衡状態にすると、ピッカーヘッド
134bの1つのフック134c−1または134c−2がリブ128a
と、段付きカム128cと、制御部材52とを、リブ128aの歯
128gに対応する1つの歯分の段階だけ進ませる。2つの
ゲート56と58の各1段階移動は、ペダルクランク28が2
ローブカム130を180度駆動した時に行われる。ゲート56
の1段階調節に含まれる時間中に、滑車42も180度回
る。したがって、2ローブカム130による比調節機構54
の1ストローク動作中に、滑車部分46の半分が1段階だ
け調節される。ゲート56と58が1段階移動させられた後
で、指操作制御部材34を解放できる。滑車42と44を回し
続けると全ての滑車部分46か新しい共通半径へ1段階調
節されることになり、全ての滑車部分48は異なる共通半
径まで1段階だけ調節されることになる。このようにし
て新しい変速比を設定できる。
2段階以上の変速比変更を希望することもある。その
場合には、ケーブルを引っ張り続けて傾斜棒部材143を
不平衡状態に保持し続けるように、指操作制御部材34が
中性位置からそらされた位置に保持される。ピッカーの
ヘッド134bのフック134c−1または134c−2が、2ロー
ブカム130の各半回転ごとに、リブ128aと、段付きカム1
28cと、第5A図に示されている統合調節組立体の全てと
を1段階だけ移動させることを続ける。この最初の180
度のクランク回転の間に、滑車部分の半分が1段階だけ
進められている。回転を続けると、最後の滑車部分がゲ
ートにさらされるようになる前に、ゲートは1段階進ま
せられる。その後で、クランクの半回転ごとに、全ての
滑車部分は1段階だけ進む。このように、各滑車部分
が、一定の速さで進んでいるゲートに接近して、そのゲ
ートにより動かされる際には、2段階進むことを要す
る。指操作制御部材が解放された後で、滑車42が回転を
続けている間に、滑車42の全ての滑車部分が共通半径に
設定されるまで、全ての滑車部分は更に調節される。後
部滑車44でもほぼ同じ動作が行われる。
この動力伝達装置の変速範囲の最低速部分において変
速比が調節される場合に特定の条件が起こる。その時に
は滑車44は滑車42より低速で回転する。変速比の連続変
更の場合には、前部滑車の各滑車部分46は、滑車42の各
回転ごとに、2段階移動するが、滑車部分48の調節中に
3段階の変更が起こることがある。この3段階変更は後
部ゲートでは対処できない。この問題は、動力伝達装置
の変速比範囲の低速端部においてより長いドエル128hを
設けることにより解決される。カム128cのほとんどのド
エルは、わん曲しているラチェット128aの各1段階の前
進ごとに1回変化するが、変速比の範囲低速端において
は各ドエルは2倍の長さである。そうすると、1つの2
倍長ドエル128hからカム128cの次のドエルへ変化するた
めには、ラチェット−および−爪機構128a/134c−1お
よび132c−2の2ストロークを必要とする。指示片129
上の変速比指示数字128bはたとえば6−5−4−3−3
−2−2−1−1である。
カム130に2つのローブを設けると変速比を大きく変
えられるから便利である。カム130はただ1つのローブ
で作ることもできる。変速比を大きく変化させると、1
ローブカムでは、2ローブカムで同じ変速比変更を行う
場合よりも2倍余計にペダルを回さなければならないか
ら、変更に時間がかかる。
突出部112cと130eは、ペダルクランク28とカム130の
間で空動連結を行う。ペダルクランク28は、滑車42の突
出部112cが突出部130eに到達して、カム130の駆動を開
始するまでにほぼ1回転できる。ペダルの1つの駆動の
向きにおいて突出部112cが突出部130eと駆動関係にある
ものとし、ペダルの回る向きを逆にしたとすると、ぺダ
ルクランク28がほぼ1回転のアイドル回転、すなわち
「空」回り、を行うまでは、ペダルクランクはカム130
と駆動関係に再び入ることはない。
ペダルクランクと、ゲート56と58を調節する機構との
間にこの空動連結を設けることにより、誤動作に対する
安全策が講じられることになる。もし「空」回りがない
とすると、カム130はペダルクランク28と滑車42へ固定
されることになる。そうすると、指操作制御部材34を中
立位置から離れた一方の側へ押すと同時に、ペダルクラ
ンク28を前後に小さい角度だけ振動させることができ
る。そのようにすると、第5A図の統合機構が多くの段階
を順次移動し、いくつかの滑車部分46と48がゲート56と
58を通って前後に動く。その結果として、いくつかの滑
車部分46と48を新しい半径方向範囲まで動かせるが、よ
り多くの滑車部分は調節された位置に留まる。以前の位
置に留っている滑車部分は、新しく位置させられたゲー
トの動作範囲外にある。そのような条件の組合わせ(偏
向させられた指操作制御部材と、ペダルクランク28の短
ストローク前後動作)は極めて起こりそうもない。しか
し、それが起きた場合の結果は、ペダルクランク28によ
る滑車の駆動側と、調節機構の段階的駆動部132−128と
の間に広範囲の空動結合を設けることにより排除され
る。この目的のための空動の範囲は、最低変速比と最高
変速比における各向きのペダル回転中に、全ての滑車部
分をそれぞれのゲートに組合わせて協働させるためには
十分でなければならない。
滑車調節機構は、自転車のペダルをこいでいる間に操
作をされるのが普通である。例えば、上り坂を走行中
は、指操作制御部材34を操作して、後輪に低速、高トル
クを供給するように変速比を変える。しかし、変速比は
他の状況の下でも調節できる。たとえば、惰力走行中に
前方に急坂が追ってきた時は、指操作制御部材34を操作
しながら、ペダルを逆回しすることにより−変速比へ変
えることができる。この操作が可能である理由は、動力
伝達装置全体を逆に動作でき、それにより後部滑車44を
逆回転させること、および−方向クラッチにより後輪を
回転させることなしに動力伝達装置を動作できることで
ある。変速比の変更においてペダルを前回し、または後
回しとすることにより動力伝達装置全体をいずれの向き
にも動作せることができるから、変速比を変えるために
ペダルを前回しだけすることを強いられることはない。
この動力伝達装置の全体は、道路からの汚染物から保
護されるように全閉型構造である。保護ケーシングの部
品はたとえばプラスチックの成型で製作され、静止部品
の間、回転前部滑車と後部滑車およびクラッチ囲み壁が
ケーシングの円形形成物に対して取付けられる部分にシ
ールが施される。
この動力伝達装置は、それのほとんどの部品を比較的
安価で、軽量の成型プラスチック部品で製作できるよう
な特性を持つ。その結果、この装置は、従来の、チェー
ンとスプロケットを用いた装置より十分に軽く、価格も
低いから、自転車愛好家にとっては魅力的である。従来
の多段変速機よりはるかに多段の変速比を利用でき、ま
た従来の変速機とは異なって本発明の変速動力伝達装置
は変速比を指示できる。
また、この動力伝達装置は自転車からの取り外しと、
組付けを容易かつ迅速に行うことができる。制御ケーブ
ルを迅速に切離せるために、前部と後部の滑車を操作す
るペダルがねじで取付けられているからそれらの滑車を
簡単に取外すことができ、駆動クラッチ装置が従動部材
へ連結される分割クラッチ構造のために、この動力伝達
装置を自転車のフレームから容易かつ迅速に取外すこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の種々の面における実施例として新規
な動力伝達装置を装着されている典型的な市販の自転車
の右側面図、 第2図は、車輪の一部を切欠いて示す、第1図の自転車
の拡大平面図、 第3図は、第1図と第2図に示されている指で操作する
制御機の拡大側面図、 第4図は、第3図の4−4平面における指操作制御機の
横断面図、 第5図は、第1図と第2図に示されている動力伝達装置
が最低変速比にある時の、右側カバーおよびその他の右
側部品を除いて示す右側面図、 第5A図は、第5図に示されている動力伝達装置の統合調
節機構の右側面図、 第6図は、最高変速比にある動力伝達装置を示す第5図
に類似の右側面図、 第7図は、自転車の後輪の一部も示している。第5図の
7−7線に沿う拡大横断面図、 第8図は、切替えられた関係にある第7図に示されてい
るクラッチの部分を示す断面図、 第9図は、第8図の8−8平面から見た、車輪に取付け
られているクラッチ部分の拡大右側面図、 第10図は、第9図の平面10−10におけるクラッチの車輪
に取付けられた部分の部分断面拡大斜視図、 第11図は、僅かに異なる変速比調節における、第7図の
平面11−11における動力伝達装置の後輪部分の右側面
図、 第12図は、機構を少し異なって調節した、第7図の平面
12−12における第11図に類似の右側面図、 第13図は、第7図の左側および正面から見た動力伝達装
置の部分分解拡大斜視図、 第14図、第14A図、第14B図および第14C図は、第7図お
よび第13図に示されている動力伝達装置の種々の状態に
おける部品の部分拡大側面図、 第15図および第15B図は、異なる状態にある部品を示
す、第7図の平面15−15において見た部品の拡大図、 第15A図は、第15図の15A−15A線に沿う部分断面図、 第16図は、第7図の平面16−16において見た部品の部分
拡大線図、 第17図は、全体として第12図の正面および左側から見た
動力伝達装置の一部の分解斜視図、 第18図は、部品の関係を一層効果的に示すためにこの図
の左側部分において横断面の平面が歪まされている、全
体として第5図の平面18−18において見た動力伝達装置
のペダルにより駆動される部分の横断面図、 第19図は、第18図に示されている動力伝達装置の右側と
後部から見たある部品の多少線図的な分解斜視図、 第20図は、第5図に示されている調節に対応する調節部
品を示す動力伝達装置のペダルで駆動される部分の右側
面図、 第21図は、第6図に示されている調節に対応する調節部
品を示す第20図に類似の右側面図、 第22図は、第5図に示されている動力伝達装置の正面と
右側から見た調節部品として示す分解斜視図、 第23図は、他の調節部品を示す第22図に類似の分解斜視
図、 第24図は、第18図において平面24−24において見た、1
つの(平衡させられた)関係にあるある種の調節部品の
拡大部分図、 第25図は第18図において平面25−25において見た、1つ
の(平衡させられた)関係にあるある種の調節部品の拡
大部分図、 第26図は、第25図の26−26線に沿う第18図に示されてい
る調節部品の横断面図、 第27図,第28図および第29図は、部品が別の(非平衡)
関係にある部品のそれぞれ第24図,第25図および第26図
に類似の図である。 30……動力伝達装置、32……手動変速比制御機、38……
ケーブル、42……前部滑車、44……後部滑車、46,48…
…滑車部分、50……無端部材、52……制御部材、54……
調節機構、56,58……ゲート、56a,56b……ゲートカム、
60,62……アイドラーローラー、64……一方向クラッ
チ、74……クラッチの駆動部、82,84,110,112……円
板、90……固定レール、94……フリッパー、114……駆
動円板、130……2ローブカム、12……2アームロッカ
ー、143……傾斜棒部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−121245(JP,A) 実開 昭54−130179(JP,U) 米国特許4530676(US,A) 米国特許4634406(US,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動滑車手段(42)を備え、 従動滑車手段(44)を備え、 これらの2つの滑車手段を相互に駆動連結する無端部材
    (50)を備え、 前記2つの滑車手段の少なくとも一方には、前記無端部
    材と係合できる支持表面(48a)を有していて半径方向
    に移動可能な滑車部分(46)が複数含まれるとともに、
    一連の同心状の円周の何れかの円周上に選択的に各支持
    表面を位置させられるよう、前記2つの滑車手段の前記
    一方の選択した半径の円周上の分散した位置に滑車部分
    を位置させ固定する手段(48e,86)が含まれており、前
    記2つの滑車手段の前記一方の調節のために前記無端部
    材が滑車部分から離れる調節領域(A)を除いた残りの
    領域では、すべての滑車部分が前記無端部材により圧力
    を受けており、 前記2つの滑車手段の前記一方の調節用の前記調節領域
    に、前記滑車部分を選択した半径位置への調節するゲー
    ト手段(56,58)を備え、 前記駆動滑車手段を動作させる駆動手段(28)を備え、 制御機(32)およびこの制御機(32)に応じた動作を行
    って、前記滑車部分のとるべき不連続位置それぞれに対
    応した個々の位置に前記ゲート手段を移動させる作動手
    段(52)を含み、選択した位置に前記ゲート手段を移動
    させることにより、前記駆動手段(28)でもって滑車手
    段が回転をさせられるのにともなって滑車部分(46)が
    選択した半径方向位置へと調節されるようにした、ゲー
    ト調節手段を備え、 前記の滑車部分を位置させて固定する手段には、滑車部
    分それぞれに隣接して前記滑車手段により支持された固
    定レール手段(90)が含まれ、固定レール手段は、前記
    滑車部分が調節のために摺動できる非ロック状態および
    前記滑車部分が固定されて調節できないロック状態の何
    れかに選択的に作動させられるものである、ことを特徴
    とする可変比駆動機構。
  2. 【請求項2】駆動滑車手段(42)を備え、 従動滑車手段(44)を備え、 これらの2つの滑車手段を相互に駆動連結する無端部材
    (50)を備え、 前記2つの滑車手段の少なくとも一方には、前記無端部
    材と係合できる支持表面(48a)を有していて半径方向
    に移動可能な滑車部分(46)が複数含まれるとともに、
    一連の同心状の円周の何れかの円周上に選択的に各支持
    表面を位置させられるよう、前記2つの滑車手段の前記
    一方の選択した半径の円周上の分散した位置に滑車部分
    を位置させ固定する手段(48e,86)が含まれており、前
    記2つの滑車手段の前記一方の調節のために前記無端部
    材が滑車部分から離れる調節領域(A)を除いた残りの
    領域では、すべての滑車部分が前記無端部材により圧力
    を受けており、 前記2つの滑車手段の前記一方の調節用の前記調節領域
    に、前記滑車部分を選択した半径位置へと調節するゲー
    ト手段(56,58)を備え、 前記2つの滑車手段の前記一方の近傍には、その滑車手
    段への前記無端部材の巻き掛かりを前記滑車部分の位置
    に拘らずに維持するよう前記無端部材を位置させる第1
    の無端部材位置決め手段(60)が備えられ、一方、前記
    2つの滑車手段の他方の近傍には、その滑車手段への前
    記無端部材の巻き掛かりを維持するよう前記無端部材を
    位置させる第2の無端部材位置決め手段(62)が備えら
    れており、 前記の滑車部分を位置させて固定する手段には、滑車部
    分それぞれに隣接して前記滑車手段により支持された固
    定レール手段(90)が含まれ、固定レール手段は、前記
    滑車部分が調節のために摺動できる非ロック状態および
    前記滑車部分が固定されて調節できないロック状態の何
    れかに選択的に作動させられるものである、ことを特徴
    とする可変比駆動機構。
  3. 【請求項3】駆動滑車手段(42)を備え、 従動滑車手段(44)を備え、 これらの2つの滑車手段を相互に駆動連結する無端部材
    (50)を備え、 前記2つの滑車手段の少なくとも一方には、前記無端部
    材と係合できる支持表面(48a)を有していて半径方向
    に移動可能な滑車部分(46)が複数含まれるとともに、
    一連の同心状の円周の何れかの円周上に選択的に各支持
    表面を位置させられるよう、前記2つの滑車手段の前記
    一方の選択した半径の円周上の分散した位置に滑車部分
    を位置させ固定する手段(48e,86)が含まれており、前
    記2つの滑車手段の前記一方の調節のために前記無端部
    材が滑車部分から離れる調節領域(A)を除いた残りの
    領域では、すべての滑車部分が前記無端部材により力を
    受けており、 前記2つの滑車手段の前記一方の調節用の前記調節領域
    に、前記滑車部分を選択した半径位置へと調節するゲー
    ト手段(56,58)を備え、 前記の滑車部分を位置させて固定する手段には、滑車部
    分それぞれに隣接して前記滑車手段により支持された固
    定レール手段(90)が含まれ、固定レール手段は、前記
    滑車部分が調節のために摺動できる非ロック状態および
    前記滑車部分が固定されて調節できないロック状態の何
    れかに選択的に作動させられるものであり、 前記の滑車部分を位置させて固定する手段には、ロック
    形状部(90a)と、これに噛み合える、前記滑車手段に
    設けたロック形状部(88)とが含まれており、カム手段
    (96)には、前記各滑車部分が前記調節領域から離れる
    のに伴って当該固定レール手段を押圧して当該滑車部分
    を、通常はロック状態に至らせるが、当該滑車部分およ
    び当該滑車手段のロック形状部の噛み合いが阻止された
    場合にはロック状態に至らせる前記固定レール手段の押
    圧がなされないよう、逃げ動作可能部分(96e,96f)が
    含まれており、 前記各滑車部分が前記調節領域の内にあるか外にあるか
    に従って前記固定レール手段を非ロック状態かロック状
    態に選択的に置く選択手段にして、前記固定レール手段
    と共働するカム手段(48e,86)を含んでいる、選択手段
    を備えている、ことを特徴とする可変比駆動機構。
  4. 【請求項4】駆動手段により駆動される可変比駆動機構
    であって、 駆動滑車手段(42)を備え、 従動滑車手段(44)を備え、 これらの2つの滑車手段を相互に駆動連結する無端部材
    (50)を備え、 前記2つの滑車手段の少なくとも一方には、前記無端部
    材と係合できる支持表面(48a)を有していて半径方向
    に移動可能な滑車部分(46)が複数含まれるとともに、
    一連の同心状の円周の何れかの円周上に選択的に各支持
    表面を位置させられるよう、前記2つの滑車手段の前記
    一方の選択した半径の円周上の分散した位置に滑車部分
    を位置させ固定する手段(48e,86)が含まれており、前
    記2つの滑車手段の前記一方の調節のために前記無端部
    材が滑車部分から離れる調節領域(A)を除いた残りの
    領域では、すべての滑車部分が前記無端部材により圧力
    を受けており、 前記2つの滑車手段の前記一方の調節用の前記調節領域
    に、前記滑車部分を選択した半径位置へと調節するゲー
    ト手段(56,58)を備え、 制御機(32)およびこの制御機(32)に応じた動作を行
    って、前記滑車部分のとるべき不連続位置それぞれに対
    応した個々の位置に前記ゲート手段を移動させる作動手
    段(52)を含み、選択した位置に前記ゲート手段を移動
    させることにより、前記駆動手段(28)でもって滑車手
    段が回転をさせられるのにともなって滑車部分(46)が
    選択した半径方向位置へと調節されるようにした、ゲー
    ト調節手段を備え、このゲート調節手段には、前記ゲー
    ト手段により前記滑車部分の全てを同じ位置まで移動さ
    せてから、前記ゲート手段の次の動きを可能とする手段
    が含まれ、 前記の滑車部分を位置させて固定する手段には、滑車部
    分それぞれに隣接して前記滑車手段により支持された固
    定レール手段(90)が含まれ、固定レール手段は、前記
    滑車部分が調節のために摺動できる非ロック状態および
    前記滑車部分が固定されて調節できないロック状態の何
    れかに選択的に作動させられるものである、ことを特徴
    とする可変比駆動機構。
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