JP2642797B2 - 穴加工方法およびその装置 - Google Patents
穴加工方法およびその装置Info
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- JP2642797B2 JP2642797B2 JP3121598A JP12159891A JP2642797B2 JP 2642797 B2 JP2642797 B2 JP 2642797B2 JP 3121598 A JP3121598 A JP 3121598A JP 12159891 A JP12159891 A JP 12159891A JP 2642797 B2 JP2642797 B2 JP 2642797B2
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- Japan
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- drill
- spindle motor
- rotation axis
- actuator
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- Automatic Control Of Machine Tools (AREA)
- Drilling And Boring (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として細径穴をドリ
ルによって形成する穴加工方法およびその装置に関する
ものである。
ルによって形成する穴加工方法およびその装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、細径穴を形成するドリルは弾性
変形しやすい(曲がりやすい)ものであるから、ドリル
の先端がワークの表面に対して傾いた状態で接触する
と、ドリルの先端がワークの表面で滑り、加工すべき穴
の位置がずれるという問題が生じる。また、細径のドリ
ルは弾性限界が小さく折損しやすいという問題もある。
変形しやすい(曲がりやすい)ものであるから、ドリル
の先端がワークの表面に対して傾いた状態で接触する
と、ドリルの先端がワークの表面で滑り、加工すべき穴
の位置がずれるという問題が生じる。また、細径のドリ
ルは弾性限界が小さく折損しやすいという問題もある。
【0003】このような問題を解決する方法として、特
開昭61−244404号公報には、ワークWに加工す
べき穴Haの深さがドリル1の直径の6倍以上である場
合に、図11(a)に示すように、加工すべき穴Haの
深さよりも短い予備加工用のドリル1aで下穴Hを形成
し、その後、図11(b)に示すように、穴Haの深さ
以上の長さを有した加工用のドリル1を用いて下穴Hに
合うように所望の穴Haを形成する方法が開示されてい
る。このような下穴Hを形成するドリル1aは、弾性変
形が少ないから、穴Haの位置精度が向上するのであ
る。また、下穴Hを形成したことによって、ドリル1に
無理な力が作用せず弾性変形が少なくなるから、折損の
機会も減少するのである。
開昭61−244404号公報には、ワークWに加工す
べき穴Haの深さがドリル1の直径の6倍以上である場
合に、図11(a)に示すように、加工すべき穴Haの
深さよりも短い予備加工用のドリル1aで下穴Hを形成
し、その後、図11(b)に示すように、穴Haの深さ
以上の長さを有した加工用のドリル1を用いて下穴Hに
合うように所望の穴Haを形成する方法が開示されてい
る。このような下穴Hを形成するドリル1aは、弾性変
形が少ないから、穴Haの位置精度が向上するのであ
る。また、下穴Hを形成したことによって、ドリル1に
無理な力が作用せず弾性変形が少なくなるから、折損の
機会も減少するのである。
【0004】一方、細径のドリルの折損を防止する装置
としては、特開昭61−30310号公報に開示された
ものがある。これは、図12に示すように、ドリル1を
回転させるスピンドルモータ2の軸方向の微小変位を非
接触で検出する変位センサ7をハウジング12に固定
し、変位センサ7の出力に基づいてドリル1に作用して
いる軸方向の力を推定し、この力が所定値を越えないよ
うに制御するものである。すなわち、図13に示すよう
に、変位センサ7の出力は増幅変換回路25を通りスピ
ンドルモータ2の変位量に対応した電圧が比較回路26
に入力される。比較回路26には、スピンドルモータ2
の変位量の上限値を設定するための基準電圧を発生する
基準電圧発生回路27が接続される。比較回路26の出
力はハウジング12をドリル1の軸方向に移動させる送
りモータ28の制御に用いられ、図14に示すように、
スピンドルモータ2の変位量が比較的小さく、変位量に
対応する電圧が基準値より低い間は送りモータ28を進
めてドリル1による穴加工を行い、スピンドルモータ2
の変位量が大きくなって変位量に対応する電圧が基準値
以上になると、変位量が0になるように送りモータ28
を戻し、再び送りモータ28を進めて切削するという動
作を繰り返すようにしてある。要するに、ドリル1のス
ラスト方向の荷重が所定値を越えないようにして、ドリ
ル1の折損を防止するのである。
としては、特開昭61−30310号公報に開示された
ものがある。これは、図12に示すように、ドリル1を
回転させるスピンドルモータ2の軸方向の微小変位を非
接触で検出する変位センサ7をハウジング12に固定
し、変位センサ7の出力に基づいてドリル1に作用して
いる軸方向の力を推定し、この力が所定値を越えないよ
うに制御するものである。すなわち、図13に示すよう
に、変位センサ7の出力は増幅変換回路25を通りスピ
ンドルモータ2の変位量に対応した電圧が比較回路26
に入力される。比較回路26には、スピンドルモータ2
の変位量の上限値を設定するための基準電圧を発生する
基準電圧発生回路27が接続される。比較回路26の出
力はハウジング12をドリル1の軸方向に移動させる送
りモータ28の制御に用いられ、図14に示すように、
スピンドルモータ2の変位量が比較的小さく、変位量に
対応する電圧が基準値より低い間は送りモータ28を進
めてドリル1による穴加工を行い、スピンドルモータ2
の変位量が大きくなって変位量に対応する電圧が基準値
以上になると、変位量が0になるように送りモータ28
を戻し、再び送りモータ28を進めて切削するという動
作を繰り返すようにしてある。要するに、ドリル1のス
ラスト方向の荷重が所定値を越えないようにして、ドリ
ル1の折損を防止するのである。
【0005】さらに、細径のドリルの折損を防止する方
法としては、特開昭62−162405号公報に開示さ
れたものもある。これは、ドリルの切削トルクを検出
し、切削トルクが所定値以上になるとスピンドルモータ
を軸方向に移動させる送りモータを戻してドリルを加工
中の穴から抜き、切屑を除去した後に、送りモータを進
めて切削を継続することによって、ドリルの折損を防止
しているものである。この構成では、スピンドルモータ
とドリルとを磁気継手を介して結合し、磁気継手におけ
るスピンドルモータ側とドリル側との回転位相の差が、
切削トルクが大きくなるほど大きくなることを利用して
切削トルクを検出している。
法としては、特開昭62−162405号公報に開示さ
れたものもある。これは、ドリルの切削トルクを検出
し、切削トルクが所定値以上になるとスピンドルモータ
を軸方向に移動させる送りモータを戻してドリルを加工
中の穴から抜き、切屑を除去した後に、送りモータを進
めて切削を継続することによって、ドリルの折損を防止
しているものである。この構成では、スピンドルモータ
とドリルとを磁気継手を介して結合し、磁気継手におけ
るスピンドルモータ側とドリル側との回転位相の差が、
切削トルクが大きくなるほど大きくなることを利用して
切削トルクを検出している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来例のう
ち、特開昭61−244404号公報に開示されている
ものは、下穴を形成した後に実際の穴加工を施すから、
ドリルの交換作業が必要であって、穴の位置精度を高め
るには、交換後のドリルの位置を正確に一致させること
が必要である。すなわち、ワークの位置決めをするXY
テーブルに位置精度の高いものを用いる必要があり、装
置が非常に高価になるという問題がある。
ち、特開昭61−244404号公報に開示されている
ものは、下穴を形成した後に実際の穴加工を施すから、
ドリルの交換作業が必要であって、穴の位置精度を高め
るには、交換後のドリルの位置を正確に一致させること
が必要である。すなわち、ワークの位置決めをするXY
テーブルに位置精度の高いものを用いる必要があり、装
置が非常に高価になるという問題がある。
【0007】また、特開昭61−30310号公報や特
開昭62−162405号公報に開示されているもので
は、ドリルに作用するスラスト方向の力やドリルの切削
トルクに基づいてスピンドルモータを送りモータによっ
てドリルの軸方向に移動させるだけであるから、穴の位
置精度を向上させる点については考慮されていないもの
であった。
開昭62−162405号公報に開示されているもので
は、ドリルに作用するスラスト方向の力やドリルの切削
トルクに基づいてスピンドルモータを送りモータによっ
てドリルの軸方向に移動させるだけであるから、穴の位
置精度を向上させる点については考慮されていないもの
であった。
【0008】本発明は上記問題点の解決を目的とするも
のであり、ワークに対して細径の穴を比較的安価な装置
で位置精度よく形成することができ、しかも、ドリルに
大きな荷重や切削トルクが作用しないようにしてドリル
の折損を防止することができる穴加工方法およびその装
置を提供しようとするものである。
のであり、ワークに対して細径の穴を比較的安価な装置
で位置精度よく形成することができ、しかも、ドリルに
大きな荷重や切削トルクが作用しないようにしてドリル
の折損を防止することができる穴加工方法およびその装
置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、上
記目的を達成するために、穴加工を施すワークの表面に
衝突によるくぼみ状の下穴が形成されるようにワークの
表面を高速回転するドリルの先端で突いた直後に、ドリ
ルのワークに対する接触圧を一旦緩和し、その後、ドリ
ルのワークに対する接触圧を高めてワークを切削するの
である。
記目的を達成するために、穴加工を施すワークの表面に
衝突によるくぼみ状の下穴が形成されるようにワークの
表面を高速回転するドリルの先端で突いた直後に、ドリ
ルのワークに対する接触圧を一旦緩和し、その後、ドリ
ルのワークに対する接触圧を高めてワークを切削するの
である。
【0010】請求項2の発明では、下穴にドリルの先端
が接触しているときにドリルに作用する軸方向に直交す
る面内での力を検出し、この力が小さくなる向きにドリ
ルの先端の位置を調節するのである。請求項3の発明で
は、ワークの切削中にドリルに作用する軸方向の力を検
出し、この力が所定値以上になるとドリルの先端部をワ
ークから離して切屑を除去した後に、再び切削を開始す
るのである。
が接触しているときにドリルに作用する軸方向に直交す
る面内での力を検出し、この力が小さくなる向きにドリ
ルの先端の位置を調節するのである。請求項3の発明で
は、ワークの切削中にドリルに作用する軸方向の力を検
出し、この力が所定値以上になるとドリルの先端部をワ
ークから離して切屑を除去した後に、再び切削を開始す
るのである。
【0011】請求項4の発明では、ワークの切削中にド
リルに作用するトルクを検出し、このトルクが所定値以
上になるとドリルの先端部をワークから離して切屑を除
去した後に、再び切削を開始するのである。請求項5の
発明では、ワークの切削中にドリルに作用する軸方向の
力およびトルクを検出し、少なくともいずれか一方が所
定値以上になるとドリルの先端部をワークから離して切
屑を除去した後に、再び切削を開始するのである。
リルに作用するトルクを検出し、このトルクが所定値以
上になるとドリルの先端部をワークから離して切屑を除
去した後に、再び切削を開始するのである。請求項5の
発明では、ワークの切削中にドリルに作用する軸方向の
力およびトルクを検出し、少なくともいずれか一方が所
定値以上になるとドリルの先端部をワークから離して切
屑を除去した後に、再び切削を開始するのである。
【0012】請求項6の発明では、ドリルと平行な回転
軸を有しドリルを回転駆動するスピンドルモータと、ス
ピンドルモータの回転軸の周方向に離間して配設されス
ピンドルモータに機械的に結合されていてそれぞれ回転
軸の接線にほぼ沿う方向についてスピンドルモータを直
進移動させる3個以上の第1のアクチュエータと、スピ
ンドルモータおよび第1のアクチュエータをスピンドル
モータの回転軸の方向について直進移動させる第2のア
クチュエータと、スピンドルモータの回転軸に直交する
面内での平行移動および回転移動による変位とスピンド
ルモータの回転軸の方向の変位とを検出する変位センサ
と、変位センサの出力に基づいてスピンドルモータを所
定位置に保持するように第1のアクチュエータおよび第
2のアクチュエータの移動量をフィードバック制御する
制御手段とを備え、制御手段は、スピンドルモータを高
速回転させた状態でドリルの先端をワークの表面に衝突
させてくぼみ状の下穴を形成した直後にスピンドルモー
タの下方への押圧力を緩和し、その後、押圧力を上昇さ
せるように第2のアクチュエータを制御するのである。
軸を有しドリルを回転駆動するスピンドルモータと、ス
ピンドルモータの回転軸の周方向に離間して配設されス
ピンドルモータに機械的に結合されていてそれぞれ回転
軸の接線にほぼ沿う方向についてスピンドルモータを直
進移動させる3個以上の第1のアクチュエータと、スピ
ンドルモータおよび第1のアクチュエータをスピンドル
モータの回転軸の方向について直進移動させる第2のア
クチュエータと、スピンドルモータの回転軸に直交する
面内での平行移動および回転移動による変位とスピンド
ルモータの回転軸の方向の変位とを検出する変位センサ
と、変位センサの出力に基づいてスピンドルモータを所
定位置に保持するように第1のアクチュエータおよび第
2のアクチュエータの移動量をフィードバック制御する
制御手段とを備え、制御手段は、スピンドルモータを高
速回転させた状態でドリルの先端をワークの表面に衝突
させてくぼみ状の下穴を形成した直後にスピンドルモー
タの下方への押圧力を緩和し、その後、押圧力を上昇さ
せるように第2のアクチュエータを制御するのである。
【0013】請求項7の発明では、ドリルと平行な回転
軸を有しドリルを回転駆動するスピンドルモータと、ス
ピンドルモータの回転軸に直交する面内でスピンドルモ
ータに吸引力を作用させるようにスピンドルモータの回
転軸の周方向に離間して配設された3個以上の電磁石
と、スピンドルモータおよび電磁石をスピンドルモータ
の回転軸の方向について直進移動させるアクチュエータ
と、スピンドルモータの回転軸に直交する面内での平行
移動による変位とスピンドルモータの回転軸の方向の変
位とを検出する変位センサと、変位センサの出力に基づ
いてスピンドルモータを所定位置に保持するように電磁
石およびアクチュエータの移動量をフィードバック制御
する制御手段とを備え、制御手段は、スピンドルモータ
を高速回転させた状態でドリルの先端をワークの表面に
衝突させてくぼみ状の下穴を形成した直後にスピンドル
モータの下方への押圧力を緩和し、その後、押圧力を上
昇させるようにアクチュエータを制御するのである。
軸を有しドリルを回転駆動するスピンドルモータと、ス
ピンドルモータの回転軸に直交する面内でスピンドルモ
ータに吸引力を作用させるようにスピンドルモータの回
転軸の周方向に離間して配設された3個以上の電磁石
と、スピンドルモータおよび電磁石をスピンドルモータ
の回転軸の方向について直進移動させるアクチュエータ
と、スピンドルモータの回転軸に直交する面内での平行
移動による変位とスピンドルモータの回転軸の方向の変
位とを検出する変位センサと、変位センサの出力に基づ
いてスピンドルモータを所定位置に保持するように電磁
石およびアクチュエータの移動量をフィードバック制御
する制御手段とを備え、制御手段は、スピンドルモータ
を高速回転させた状態でドリルの先端をワークの表面に
衝突させてくぼみ状の下穴を形成した直後にスピンドル
モータの下方への押圧力を緩和し、その後、押圧力を上
昇させるようにアクチュエータを制御するのである。
【0014】請求項8の発明では、ドリルと平行な回転
軸を有しドリルを回転駆動するスピンドルモータと、ス
ピンドルモータをスピンドルモータの回転軸の方向につ
いて直進移動させるアクチュエータと、スピンドルモー
タの回転軸の方向の変位を検出する変位センサと、変位
センサの出力に基づいてスピンドルモータを回転軸の方
向における所定位置に保持するようにアクチュエータの
移動量をフィードバック制御する制御手段とを備え、制
御手段は、スピンドルモータを高速回転させた状態でド
リルの先端をワークの表面に衝突させてくぼみ状の下穴
を形成した直後にスピンドルモータの下方への押圧力を
緩和し、その後、押圧力を上昇させるようにアクチュエ
ータを制御するのである。
軸を有しドリルを回転駆動するスピンドルモータと、ス
ピンドルモータをスピンドルモータの回転軸の方向につ
いて直進移動させるアクチュエータと、スピンドルモー
タの回転軸の方向の変位を検出する変位センサと、変位
センサの出力に基づいてスピンドルモータを回転軸の方
向における所定位置に保持するようにアクチュエータの
移動量をフィードバック制御する制御手段とを備え、制
御手段は、スピンドルモータを高速回転させた状態でド
リルの先端をワークの表面に衝突させてくぼみ状の下穴
を形成した直後にスピンドルモータの下方への押圧力を
緩和し、その後、押圧力を上昇させるようにアクチュエ
ータを制御するのである。
【0015】
【作用】請求項1の方法によれば、高速回転するドリル
の先端でワークの表面を瞬間的に突くことによってポン
チを打つ場合と同様にしてワークの表面でのドリルの滑
りを生じないようにくぼみ状の下穴をワークに形成する
ことができ、その後に、下穴に合わせてワークを切削す
るので、下穴を形成していることによってドリルの先端
がワークの表面で滑るのを防止することができ、穴の位
置精度が向上するのである。また、下穴を形成するにも
かかわらずドリルの交換を必要としないから、切削を開
始するときのドリルの位置と下穴の位置とのずれがほと
んど生じないのであって、従来のように、下穴形成用の
ドリルと切削用のドリルとを交換する場合に比較して穴
の位置精度を向上させることができるのである。さら
に、下穴を形成する際に高速回転させたドリルの先端に
よってワークを突いた後にドリルへの押圧力をただちに
緩和するので、下穴の形成時にドリルが弾性変形したり
折損したりすることが少なくなるのである。
の先端でワークの表面を瞬間的に突くことによってポン
チを打つ場合と同様にしてワークの表面でのドリルの滑
りを生じないようにくぼみ状の下穴をワークに形成する
ことができ、その後に、下穴に合わせてワークを切削す
るので、下穴を形成していることによってドリルの先端
がワークの表面で滑るのを防止することができ、穴の位
置精度が向上するのである。また、下穴を形成するにも
かかわらずドリルの交換を必要としないから、切削を開
始するときのドリルの位置と下穴の位置とのずれがほと
んど生じないのであって、従来のように、下穴形成用の
ドリルと切削用のドリルとを交換する場合に比較して穴
の位置精度を向上させることができるのである。さら
に、下穴を形成する際に高速回転させたドリルの先端に
よってワークを突いた後にドリルへの押圧力をただちに
緩和するので、下穴の形成時にドリルが弾性変形したり
折損したりすることが少なくなるのである。
【0016】請求項2の方法によれば、下穴にドリルの
先端が接触しているときにドリルに作用する軸方向に直
交する面内の力を検出し、この力が小さくなる向きにド
リルの先端位置を調節するので、切削を開始するときに
下穴とドリルの先端との位置が多少ずれていても、下穴
の中心位置にドリルの先端位置が自動的に合わせられる
のであって、穴の位置精度が一層向上するのである。
先端が接触しているときにドリルに作用する軸方向に直
交する面内の力を検出し、この力が小さくなる向きにド
リルの先端位置を調節するので、切削を開始するときに
下穴とドリルの先端との位置が多少ずれていても、下穴
の中心位置にドリルの先端位置が自動的に合わせられる
のであって、穴の位置精度が一層向上するのである。
【0017】請求項3ないし請求項5の方法は、ドリル
の折損を防止するための望ましい方法である。ドリルの
折損の可能性の判断基準として、ドリルの軸方向の力の
変化を採用すれば雑音との識別が容易になり、ドリルの
トルクの変化を採用すれば雑音との識別はやや困難にな
るが感度が高くなり正確な判定が行える。請求項6ない
し請求項8の構成によれば、ドリルと平行な回転軸を有
しドリルを回転駆動するスピンドルモータの回転軸の方
向についてスピンドルモータを変位させるアクチュエー
タと、スピンドルモータの回転軸の方向における変位量
を検出する変位センサと、変位センサの出力に基づいて
アクチュエータの移動量をフィードバック制御する制御
手段とを備え、制御手段が、スピンドルモータを高速回
転させた状態でドリルの先端をワークの表面に衝突させ
てくぼみ状の下穴を形成した直後にスピンドルモータの
下方への押圧力を緩和し、その後、押圧力を上昇させる
ようにアクチュエータを制御するので、ドリルの先端で
ワークを突くことによって下穴を形成した後に、ドリル
の先端を下穴に合わせてワークの表面でのドリルの滑り
を防止することができ、しかも、変位センサの出力に基
づいてアクチュエータをフィードバック制御することに
よって、ドリルの先端位置を正確に制御してドリルの折
損を防止することができるのである。
の折損を防止するための望ましい方法である。ドリルの
折損の可能性の判断基準として、ドリルの軸方向の力の
変化を採用すれば雑音との識別が容易になり、ドリルの
トルクの変化を採用すれば雑音との識別はやや困難にな
るが感度が高くなり正確な判定が行える。請求項6ない
し請求項8の構成によれば、ドリルと平行な回転軸を有
しドリルを回転駆動するスピンドルモータの回転軸の方
向についてスピンドルモータを変位させるアクチュエー
タと、スピンドルモータの回転軸の方向における変位量
を検出する変位センサと、変位センサの出力に基づいて
アクチュエータの移動量をフィードバック制御する制御
手段とを備え、制御手段が、スピンドルモータを高速回
転させた状態でドリルの先端をワークの表面に衝突させ
てくぼみ状の下穴を形成した直後にスピンドルモータの
下方への押圧力を緩和し、その後、押圧力を上昇させる
ようにアクチュエータを制御するので、ドリルの先端で
ワークを突くことによって下穴を形成した後に、ドリル
の先端を下穴に合わせてワークの表面でのドリルの滑り
を防止することができ、しかも、変位センサの出力に基
づいてアクチュエータをフィードバック制御することに
よって、ドリルの先端位置を正確に制御してドリルの折
損を防止することができるのである。
【0018】とくに請求項7の構成では、スピンドルモ
ータを回転軸の方向に直交する面内においてスピンドル
モータに吸引力を作用させる3個以上の電磁石を用いる
ことによって、回転軸に直交する面内でのドリルの先端
位置を調節するので、スピンドルモータの位置を固定す
るための保持力が大きく取れるのであって、スピンドル
モータの揺れを少なくして穴の加工精度を高めることが
できるのである。
ータを回転軸の方向に直交する面内においてスピンドル
モータに吸引力を作用させる3個以上の電磁石を用いる
ことによって、回転軸に直交する面内でのドリルの先端
位置を調節するので、スピンドルモータの位置を固定す
るための保持力が大きく取れるのであって、スピンドル
モータの揺れを少なくして穴の加工精度を高めることが
できるのである。
【0019】
(実施例1)穴加工装置は、図5に示すように、基本的
には、ワークが載置されるXYテーブル11と、XYテ
ーブル11の上面に対して直交する方向に移動するハウ
ジング12を移動させるZテーブル13とを装置本体1
0に備えている。
には、ワークが載置されるXYテーブル11と、XYテ
ーブル11の上面に対して直交する方向に移動するハウ
ジング12を移動させるZテーブル13とを装置本体1
0に備えている。
【0020】ハウジング12の中には、図4に示すよう
に、ドリル1を回転させるスピンドルモータ2などが収
納される。ここにおいて、ハウジング12が移動する方
向をZ軸方向、Z軸方向に直交する一つの面をXY平面
として直交座標系を定める。また、スピンドルモータ2
の回転軸はZ方向に一致するように配置される。スピン
ドルモータ2の外周面にはスピンドルモータ2の軸方向
に直交する円板状の支持板3aが固着される。支持板3
aの厚み方向の両側には、内部に圧縮空気が流通する一
対の通気管3bが配設され、通気管3bにおいて支持板
3aとの対向面に形成された吹出口3cから吐出される
圧縮空気により支持板3aが両通気管3bから離間した
状態で支持される。このように、支持板3aと一対の通
気管3bとにより空気軸受3が構成される。スピンドル
モータ2を空気軸受3で支持したことにより、スピンド
ルモータ2は摩擦力をほとんど受けることなくXY平面
の中での平行移動および回転移動が可能になる。
に、ドリル1を回転させるスピンドルモータ2などが収
納される。ここにおいて、ハウジング12が移動する方
向をZ軸方向、Z軸方向に直交する一つの面をXY平面
として直交座標系を定める。また、スピンドルモータ2
の回転軸はZ方向に一致するように配置される。スピン
ドルモータ2の外周面にはスピンドルモータ2の軸方向
に直交する円板状の支持板3aが固着される。支持板3
aの厚み方向の両側には、内部に圧縮空気が流通する一
対の通気管3bが配設され、通気管3bにおいて支持板
3aとの対向面に形成された吹出口3cから吐出される
圧縮空気により支持板3aが両通気管3bから離間した
状態で支持される。このように、支持板3aと一対の通
気管3bとにより空気軸受3が構成される。スピンドル
モータ2を空気軸受3で支持したことにより、スピンド
ルモータ2は摩擦力をほとんど受けることなくXY平面
の中での平行移動および回転移動が可能になる。
【0021】スピンドルモータ2の外周面にはモータホ
ルダ4が挿着され、モータホルダ4の外周面には、周方
向に離間した3箇所にそれぞれリニア直流アクチュエー
タ5A,5B,5Cの可動子である可動コイル5aが結
合される。各アクチュエータ5A,5B,5Cは、いわ
ゆるボイスコイルモータと称するものであって、固定子
となる断面日字形のヨーク5と、ヨーク5bの中央片に
対してスライド自在に挿着された筒状の可動コイル5a
とを備える。可動コイル5aは、合成樹脂等よりなる角
筒状のコイルボビンにコイル巻線を巻装して形成され
る。また、ヨーク5bの適所(たとえば、図4の上下両
脚片の内側面)には、ヨーク5bの両脚片の内側面と中
央片の上下両面とが異磁極になるように永久磁石(図示
せず)が配設される。したがって、可動コイル5aに通
電すれば、通電電流に比例したローレンツ力が生じて可
動コイル5aが電流に向きに応じた方向に移動する。こ
こにおいて、ヨーク5bの中央片は、スピンドルモータ
2におけるアクチュエータ5A,5B,5Cとの結合位
置の接線方向にほぼ沿うように配置される。スピンドル
モータ2の回転軸の径方向については、可動コイル5a
の内側空間の幅がヨーク5bの中央片の幅よりも大きく
設定されており、可動コイル5aは、スピンドルモータ
2の回転軸の径方向においてもヨーク5bに対して移動
できるようになっている。したがって、各アクチュエー
タ5A,5B,5Cの可動コイル5aへの通電電流を制
御することによって、スピンドルモータ2の位置を回転
軸に直交する面内で調節できることになる。本実施例の
構成では、スピンドルモータ2の回転軸をZ軸方向に一
致させているから、アクチュエータ5A,5B,5Cの
制御によって、ドリル1の先端の位置をXY平面に平行
な面内で平行移動させるともに、Z軸の回りに回転移動
させることができるのである。
ルダ4が挿着され、モータホルダ4の外周面には、周方
向に離間した3箇所にそれぞれリニア直流アクチュエー
タ5A,5B,5Cの可動子である可動コイル5aが結
合される。各アクチュエータ5A,5B,5Cは、いわ
ゆるボイスコイルモータと称するものであって、固定子
となる断面日字形のヨーク5と、ヨーク5bの中央片に
対してスライド自在に挿着された筒状の可動コイル5a
とを備える。可動コイル5aは、合成樹脂等よりなる角
筒状のコイルボビンにコイル巻線を巻装して形成され
る。また、ヨーク5bの適所(たとえば、図4の上下両
脚片の内側面)には、ヨーク5bの両脚片の内側面と中
央片の上下両面とが異磁極になるように永久磁石(図示
せず)が配設される。したがって、可動コイル5aに通
電すれば、通電電流に比例したローレンツ力が生じて可
動コイル5aが電流に向きに応じた方向に移動する。こ
こにおいて、ヨーク5bの中央片は、スピンドルモータ
2におけるアクチュエータ5A,5B,5Cとの結合位
置の接線方向にほぼ沿うように配置される。スピンドル
モータ2の回転軸の径方向については、可動コイル5a
の内側空間の幅がヨーク5bの中央片の幅よりも大きく
設定されており、可動コイル5aは、スピンドルモータ
2の回転軸の径方向においてもヨーク5bに対して移動
できるようになっている。したがって、各アクチュエー
タ5A,5B,5Cの可動コイル5aへの通電電流を制
御することによって、スピンドルモータ2の位置を回転
軸に直交する面内で調節できることになる。本実施例の
構成では、スピンドルモータ2の回転軸をZ軸方向に一
致させているから、アクチュエータ5A,5B,5Cの
制御によって、ドリル1の先端の位置をXY平面に平行
な面内で平行移動させるともに、Z軸の回りに回転移動
させることができるのである。
【0022】ところで、スピンドルモータ2のXY平面
に平行な面内での変位量、すなわち、ドリル1の先端の
XY平面に平行な面内での変位量は、モータホルダ4に
各アクチュエータ5A,5B,5Cに対応する位置で固
着した検出片6A,6B,6Cとの相対距離を検出する
変位センサ7A,7B,7Cによって検出される。変位
センサ7A,7B,7Cには、検出片6A,6B,6C
との距離を光学的に測定するものや、金属で形成した検
出片6A,6B,6Cに対して変位センサ7A,7B,
7Cから高周波電界を作用させることにより渦電流損の
大きさに基づいて距離を検出するものなどを用いること
ができる。
に平行な面内での変位量、すなわち、ドリル1の先端の
XY平面に平行な面内での変位量は、モータホルダ4に
各アクチュエータ5A,5B,5Cに対応する位置で固
着した検出片6A,6B,6Cとの相対距離を検出する
変位センサ7A,7B,7Cによって検出される。変位
センサ7A,7B,7Cには、検出片6A,6B,6C
との距離を光学的に測定するものや、金属で形成した検
出片6A,6B,6Cに対して変位センサ7A,7B,
7Cから高周波電界を作用させることにより渦電流損の
大きさに基づいて距離を検出するものなどを用いること
ができる。
【0023】上述した通気管3bとアクチュエータ5
A,5B,5Cのヨーク5bとは、図4における上側の
通気管3bの上にヨーク5bを載置する形で一体に結合
され、変位センサ7A,7B,7Cはアクチュエータ5
A,5B,5Cのヨーク5bに対して固定される。通気
管3bは、アーム8aを介して円筒状の空気軸受8に結
合される。空気軸受8は、スピンドルモータ2の軸方向
(Z軸方向)に配設されハウジング12に固定された一
対のガイド軸8bに外挿され、空気軸受8の内周面に圧
縮空気を吐出することによって、空気軸受8の内周面と
ガイド軸8bの外周面とを離間させた状態でガイド軸8
bの軸方向に移動できるようになっている。したがっ
て、スピンドルモータ2は、摩擦力をほとんど受けるこ
となくZ軸方向、すなわち、回転軸の軸方向に移動でき
るのである。
A,5B,5Cのヨーク5bとは、図4における上側の
通気管3bの上にヨーク5bを載置する形で一体に結合
され、変位センサ7A,7B,7Cはアクチュエータ5
A,5B,5Cのヨーク5bに対して固定される。通気
管3bは、アーム8aを介して円筒状の空気軸受8に結
合される。空気軸受8は、スピンドルモータ2の軸方向
(Z軸方向)に配設されハウジング12に固定された一
対のガイド軸8bに外挿され、空気軸受8の内周面に圧
縮空気を吐出することによって、空気軸受8の内周面と
ガイド軸8bの外周面とを離間させた状態でガイド軸8
bの軸方向に移動できるようになっている。したがっ
て、スピンドルモータ2は、摩擦力をほとんど受けるこ
となくZ軸方向、すなわち、回転軸の軸方向に移動でき
るのである。
【0024】スピンドルモータ2の軸方向(Z軸方向)
におけるドリル1とは反対側の端面には、スピンドルモ
ータ2の軸方向に進退するリニア直流アクチュエータ9
の可動コイル9aが結合される。アクチュエータ9の固
定子となるヨーク9bは、円筒状に形成されているので
あって、形状が異なっている点を除けば上述したアクチ
ュエータ5A,5B,5Cと同様の構成を有している。
スピンドルモータ2の端部には検出片6Dが固着され、
スピンドルモータ2の軸方向における検出片6Dの変位
が検出できるように、検出片6Dに対向する位置には変
位センサ7Dが配設される。すなわち、変位センサ7D
は、スピンドルモータ2のZ軸方向の変位を検出するこ
とができるのである。アクチュエータ9のヨーク9bお
よび変位センサ7Dは、ハウジング12に固定される。
ここで、上記構成のアクチュエータ9では、可動コイル
9aへの通電電流の大きさに応じてZ軸方向の力が決定
されるのであって、移動量は制御することができないも
のであるから、ドリル1がワークWから受ける反力とア
クチュエータ9の下方への押圧力とを拮抗させたり、ア
クチュエータ9の出力をハウジング12に一端を固定し
たばね(図示せず)のばね力と拮抗させたりすることに
よって、移動量を制御するようになっている。また、ア
クチュエータ9には、Z軸方向において拮抗する2力を
発生させるような構造のものを用いてもよい。この種の
アクチュエータとしては、Z軸方向に離間した一対の電
磁石の間に可動子を配置し、各電磁石と可動子との間の
吸引、反発力を調節することによって、可動子の位置を
任意の位置に設定するような構造のものがある。
におけるドリル1とは反対側の端面には、スピンドルモ
ータ2の軸方向に進退するリニア直流アクチュエータ9
の可動コイル9aが結合される。アクチュエータ9の固
定子となるヨーク9bは、円筒状に形成されているので
あって、形状が異なっている点を除けば上述したアクチ
ュエータ5A,5B,5Cと同様の構成を有している。
スピンドルモータ2の端部には検出片6Dが固着され、
スピンドルモータ2の軸方向における検出片6Dの変位
が検出できるように、検出片6Dに対向する位置には変
位センサ7Dが配設される。すなわち、変位センサ7D
は、スピンドルモータ2のZ軸方向の変位を検出するこ
とができるのである。アクチュエータ9のヨーク9bお
よび変位センサ7Dは、ハウジング12に固定される。
ここで、上記構成のアクチュエータ9では、可動コイル
9aへの通電電流の大きさに応じてZ軸方向の力が決定
されるのであって、移動量は制御することができないも
のであるから、ドリル1がワークWから受ける反力とア
クチュエータ9の下方への押圧力とを拮抗させたり、ア
クチュエータ9の出力をハウジング12に一端を固定し
たばね(図示せず)のばね力と拮抗させたりすることに
よって、移動量を制御するようになっている。また、ア
クチュエータ9には、Z軸方向において拮抗する2力を
発生させるような構造のものを用いてもよい。この種の
アクチュエータとしては、Z軸方向に離間した一対の電
磁石の間に可動子を配置し、各電磁石と可動子との間の
吸引、反発力を調節することによって、可動子の位置を
任意の位置に設定するような構造のものがある。
【0025】以上の構成によれば、アクチュエータ5
A,5B,5Cの可動コイル5aへの通電量の制御によ
って、ドリル1の先端を、XY平面に平行な面内で平行
移動させるとともに、Z軸の回りで回転移動させること
ができるのである。また、アクチュエータ9の可動コイ
ル9aへの通電量の制御によって、Z軸方向の平行移動
ができるのである。このような位置の制御を行うには、
図6に示すように、変位センサ7A,7B,7C,7D
により検出された変位量に基づいて、制御回路20にお
いて、アクチュエータ5A,5B,5C,9への通電量
をフィードバック制御すればよい。制御回路20には、
変位センサ7A,7B,7C,7Dの出力を取り込み、
また、アクチュエータ5A,5B,5C,9への制御量
を出力するインタフェース20a、アクチュエータ5
A,5B,5C,9への制御量を増幅する増幅回路20
b、変位センサ7A,7B,7C,7Dの出力値に基づ
いて制御量を発生させる演算制御部20c、制御量の目
標値などを設定する入力部20d、各部への給電を行う
電源20eなどが設けられる。ここに、4個のアクチュ
エータ5A,5B,5C,9に対する制御量は、相互の
影響を考慮して設定する必要があるから、制御量を求め
るには多変数の行列演算が必要であって、この要求を満
たすために、演算制御部20cとしては高速演算が可能
なマイクロコンピュータが用いられる。また、上述した
ように、スピンドルモータ2は、XY平面に平行な面内
では空気軸受3によって支持され、Z軸方向の移動時に
は空気軸受8によって案内されているから、移動時に雑
音成分がほとんど発生しないのであり、変位センサ7
A,7B,7C,7Dの出力に雑音成分が混入せず、こ
のことによっても位置制御が正確に行えるのである。
A,5B,5Cの可動コイル5aへの通電量の制御によ
って、ドリル1の先端を、XY平面に平行な面内で平行
移動させるとともに、Z軸の回りで回転移動させること
ができるのである。また、アクチュエータ9の可動コイ
ル9aへの通電量の制御によって、Z軸方向の平行移動
ができるのである。このような位置の制御を行うには、
図6に示すように、変位センサ7A,7B,7C,7D
により検出された変位量に基づいて、制御回路20にお
いて、アクチュエータ5A,5B,5C,9への通電量
をフィードバック制御すればよい。制御回路20には、
変位センサ7A,7B,7C,7Dの出力を取り込み、
また、アクチュエータ5A,5B,5C,9への制御量
を出力するインタフェース20a、アクチュエータ5
A,5B,5C,9への制御量を増幅する増幅回路20
b、変位センサ7A,7B,7C,7Dの出力値に基づ
いて制御量を発生させる演算制御部20c、制御量の目
標値などを設定する入力部20d、各部への給電を行う
電源20eなどが設けられる。ここに、4個のアクチュ
エータ5A,5B,5C,9に対する制御量は、相互の
影響を考慮して設定する必要があるから、制御量を求め
るには多変数の行列演算が必要であって、この要求を満
たすために、演算制御部20cとしては高速演算が可能
なマイクロコンピュータが用いられる。また、上述した
ように、スピンドルモータ2は、XY平面に平行な面内
では空気軸受3によって支持され、Z軸方向の移動時に
は空気軸受8によって案内されているから、移動時に雑
音成分がほとんど発生しないのであり、変位センサ7
A,7B,7C,7Dの出力に雑音成分が混入せず、こ
のことによっても位置制御が正確に行えるのである。
【0026】ところで、アクチュエータ5A,5B,5
C,9の可動コイル5a,9aの駆動力Fは、可動コイ
ル5a,9aの巻数をn、可動コイル5a,9aに流れ
る電流をI、永久磁石による磁束密度をB、磁界中の可
動コイル5a,9aの長さをLとすれば、 F=n・I・B・L となるのであって、可動コイル5a,9aの駆動力は通
電電流の大きさに比例するから、各アクチュエータ5
A,5B,5C,9の各可動コイル5a,9aへの通電
電流の大きさを調節すれば、コンプライアンスも調節す
ることができる。とくに、アクチュエータ9によってド
リル1のスラスト方向におけるコンプライアンスを調節
することができるから、ワークWの材質によってコンプ
ライアンスを制御することが可能になり、たとえば、不
純物の多い材料や複合材料などを切削する際に、硬い部
分は低速で送り、柔らかい部分は高速で送るというよう
な制御も可能になるのである。また、各可動コイル5
a,9aへの通電電流と発生する力とが比例するから、
フィードバック制御によって位置を保持しているときの
通電電流の大きさは外力に比例することになり、外力の
変化をアクチュエータ5A,5B,5C,9への通電電
流の変化として容易に検出することができるのである。
C,9の可動コイル5a,9aの駆動力Fは、可動コイ
ル5a,9aの巻数をn、可動コイル5a,9aに流れ
る電流をI、永久磁石による磁束密度をB、磁界中の可
動コイル5a,9aの長さをLとすれば、 F=n・I・B・L となるのであって、可動コイル5a,9aの駆動力は通
電電流の大きさに比例するから、各アクチュエータ5
A,5B,5C,9の各可動コイル5a,9aへの通電
電流の大きさを調節すれば、コンプライアンスも調節す
ることができる。とくに、アクチュエータ9によってド
リル1のスラスト方向におけるコンプライアンスを調節
することができるから、ワークWの材質によってコンプ
ライアンスを制御することが可能になり、たとえば、不
純物の多い材料や複合材料などを切削する際に、硬い部
分は低速で送り、柔らかい部分は高速で送るというよう
な制御も可能になるのである。また、各可動コイル5
a,9aへの通電電流と発生する力とが比例するから、
フィードバック制御によって位置を保持しているときの
通電電流の大きさは外力に比例することになり、外力の
変化をアクチュエータ5A,5B,5C,9への通電電
流の変化として容易に検出することができるのである。
【0027】上記構成の装置を用いてプリント基板等の
ワークWに対して穴加工を施すには、図1に示すような
手順で動作させる。まず、スピンドルモータ2を起動し
てドリル1を高速回転させた状態で、図2(a)のよう
に、アクチュエータ9を駆動してドリル1の先端を下方
に移動させてワークWの表面を突く(ステップ10
0)。このときの力は、図2(b)に示すように、ワー
クWの表面に窪みとしての下穴Hが形成される程度の大
きさに設定する。その直後に、アクチュエータ9による
下方への押圧力を緩和してドリル1が折損するのを防止
する(ステップ101)。また、押圧力を緩和する程度
は、ドリル1の応力の作用やドリル1の先端のワークW
の表面での滑りによって、ドリル1の先端の位置がずれ
ない程度に設定する。こうして下穴Hが形成された後、
アクチュエータ9による下方への押圧力を高めてドリル
1によるワークWの切削を開始する(ステップ10
2)。このような手順で穴加工を施せば、ドリル1がワ
ークWの表面で滑ったり曲がったりするのを最小限に止
めることができ、形成される穴の位置精度を高くするこ
とができるのである。
ワークWに対して穴加工を施すには、図1に示すような
手順で動作させる。まず、スピンドルモータ2を起動し
てドリル1を高速回転させた状態で、図2(a)のよう
に、アクチュエータ9を駆動してドリル1の先端を下方
に移動させてワークWの表面を突く(ステップ10
0)。このときの力は、図2(b)に示すように、ワー
クWの表面に窪みとしての下穴Hが形成される程度の大
きさに設定する。その直後に、アクチュエータ9による
下方への押圧力を緩和してドリル1が折損するのを防止
する(ステップ101)。また、押圧力を緩和する程度
は、ドリル1の応力の作用やドリル1の先端のワークW
の表面での滑りによって、ドリル1の先端の位置がずれ
ない程度に設定する。こうして下穴Hが形成された後、
アクチュエータ9による下方への押圧力を高めてドリル
1によるワークWの切削を開始する(ステップ10
2)。このような手順で穴加工を施せば、ドリル1がワ
ークWの表面で滑ったり曲がったりするのを最小限に止
めることができ、形成される穴の位置精度を高くするこ
とができるのである。
【0028】一方、押圧力を緩和したときに、図3のよ
うに、ドリル1の先端が下穴Hの位置からわずかでもず
れた場合には、ドリル1にXY平面に平行な面内での力
Sが作用するから、ドリル1が弾性変形することにな
る。このような弾性変形が発生すると、穴の位置精度が
下がるから、ドリル1が一直線になるように、ドリル1
の先端が下穴Hの中央に位置するように位置を修正する
ことが必要である。そこで、ドリル1に作用するXY平
面に平行な面内での力を、アクチュエータ5A,5B,
5Cの通電電流の変化として検出し(ステップ10
3)、この力が小さくなる方向にアクチュエータ5A,
5B,5Cの通電電流を制御してXY平面に平行な面内
でのドリル1の先端位置を調節する(ステップ10
4)。要するに、ドリル1のXY平面に平行な面内での
力を極小にするような位置にドリル1の位置を調節する
のであって、これによって下穴Hの中心にドリル1の先
端の位置を合わせるのである。ここで、Z軸回りでのト
ルクが増大するか、Z軸方向の力が増大するときには、
ドリル1の先端が下穴Hの位置に合致していない状態で
あるから、さらに、XY平面内でのドリル1の位置を調
節する(105)。
うに、ドリル1の先端が下穴Hの位置からわずかでもず
れた場合には、ドリル1にXY平面に平行な面内での力
Sが作用するから、ドリル1が弾性変形することにな
る。このような弾性変形が発生すると、穴の位置精度が
下がるから、ドリル1が一直線になるように、ドリル1
の先端が下穴Hの中央に位置するように位置を修正する
ことが必要である。そこで、ドリル1に作用するXY平
面に平行な面内での力を、アクチュエータ5A,5B,
5Cの通電電流の変化として検出し(ステップ10
3)、この力が小さくなる方向にアクチュエータ5A,
5B,5Cの通電電流を制御してXY平面に平行な面内
でのドリル1の先端位置を調節する(ステップ10
4)。要するに、ドリル1のXY平面に平行な面内での
力を極小にするような位置にドリル1の位置を調節する
のであって、これによって下穴Hの中心にドリル1の先
端の位置を合わせるのである。ここで、Z軸回りでのト
ルクが増大するか、Z軸方向の力が増大するときには、
ドリル1の先端が下穴Hの位置に合致していない状態で
あるから、さらに、XY平面内でのドリル1の位置を調
節する(105)。
【0029】以上のようにして、ドリル1の位置決めが
正確になされた後は、Z軸方向の力が所定値以上である
かどうかを判定し(ステップ106)、折損のおそれが
あれば、ドリル1を後退させて(ステップ107)、切
屑を除去した後(ステップ108)、加工を再開する
(ステップ109)。切削中にZ軸方向の力か、Z軸回
りのトルクが急減すれば(ステップ110)、穴が貫通
したものとして穴加工を終了する。このように、ドリル
1に折損のおそれがあるときには、ドリル1を後退させ
て折損の主原因である切屑を除去してから加工を再開す
るようにしているから、ドリル1の折損を防止すること
ができるのである。ここで、Z軸方向の力の大きさは、
アクチュエータ9の通電電流の変化として検出すること
が可能である。また、ドリル1の上下の移動は、アクチ
ュエータ9によってもよいが、通常は、ハウジング12
の上下移動によって行う。
正確になされた後は、Z軸方向の力が所定値以上である
かどうかを判定し(ステップ106)、折損のおそれが
あれば、ドリル1を後退させて(ステップ107)、切
屑を除去した後(ステップ108)、加工を再開する
(ステップ109)。切削中にZ軸方向の力か、Z軸回
りのトルクが急減すれば(ステップ110)、穴が貫通
したものとして穴加工を終了する。このように、ドリル
1に折損のおそれがあるときには、ドリル1を後退させ
て折損の主原因である切屑を除去してから加工を再開す
るようにしているから、ドリル1の折損を防止すること
ができるのである。ここで、Z軸方向の力の大きさは、
アクチュエータ9の通電電流の変化として検出すること
が可能である。また、ドリル1の上下の移動は、アクチ
ュエータ9によってもよいが、通常は、ハウジング12
の上下移動によって行う。
【0030】(実施例2)本実施例では、図7に示すよ
うに、アクチュエータ5A,5B,5Cの代わりに、X
Y平面内で互いに直交する2直線(通常は、X軸方向と
Y軸方向とに設定される)の上にそれぞれ対になるよう
に配置した4個の電磁石15A,15B,15C,15
Dを用いるとともに、各直線の方向の変位を検出する2
個の変位センサ17A、17Bを用いた点で実施例1と
相違している。
うに、アクチュエータ5A,5B,5Cの代わりに、X
Y平面内で互いに直交する2直線(通常は、X軸方向と
Y軸方向とに設定される)の上にそれぞれ対になるよう
に配置した4個の電磁石15A,15B,15C,15
Dを用いるとともに、各直線の方向の変位を検出する2
個の変位センサ17A、17Bを用いた点で実施例1と
相違している。
【0031】各電磁石15A,15B,15C,15D
は、一直線上に配列されたもの同士が対になるように励
磁され、対になる電磁石15A,15B,15C,15
Dがそれぞれスピンドルモータ2に作用させる吸引力の
拮抗作用によって、スピンドルモータ2の位置決めがな
される。各電磁石15A,15B,15C,15Dがそ
れぞれスピンドルモータ2に作用させる吸引力Fは、電
磁石15A,15B,15C,15Dのコイルに通電さ
れる電流をI、電磁石15A,15B,15C,15D
とスピンドルモータ2との距離をD、電磁石15A,1
5B,15C,15Dとスピンドルモータ2との間の空
間に固有な定数をQとすれば、 F=QI2 /D2 になるのであって、距離Dを小さくすれば、非常に大き
な吸引力が得られるものである。したがって、コンプラ
イアンスを大きくとることが可能になる。また本実施例
では、Z軸の回りでの回転はできないが、スピンドルモ
ータ2の軸方向はXY平面に直交する方向に固定されて
いるから、XY平面での移動のみでZ軸の回りで回転さ
せなくとも同じ位置調節範囲を得ることができる。他の
構成および動作は実施例1と同様であるから説明を省略
する。
は、一直線上に配列されたもの同士が対になるように励
磁され、対になる電磁石15A,15B,15C,15
Dがそれぞれスピンドルモータ2に作用させる吸引力の
拮抗作用によって、スピンドルモータ2の位置決めがな
される。各電磁石15A,15B,15C,15Dがそ
れぞれスピンドルモータ2に作用させる吸引力Fは、電
磁石15A,15B,15C,15Dのコイルに通電さ
れる電流をI、電磁石15A,15B,15C,15D
とスピンドルモータ2との距離をD、電磁石15A,1
5B,15C,15Dとスピンドルモータ2との間の空
間に固有な定数をQとすれば、 F=QI2 /D2 になるのであって、距離Dを小さくすれば、非常に大き
な吸引力が得られるものである。したがって、コンプラ
イアンスを大きくとることが可能になる。また本実施例
では、Z軸の回りでの回転はできないが、スピンドルモ
ータ2の軸方向はXY平面に直交する方向に固定されて
いるから、XY平面での移動のみでZ軸の回りで回転さ
せなくとも同じ位置調節範囲を得ることができる。他の
構成および動作は実施例1と同様であるから説明を省略
する。
【0032】(実施例3)本実施例は、図8に示すよう
に、アクチュエータ5A,5B,5Cおよび空気軸受3
を省略し、Z軸方向のスピンドルモータ2の変位を検出
する手段としてリニアエンコーダ18を用いた点で異な
っている。この構成では、Z軸方向の位置調節のみを行
うのであって、実施例1の動作として示した図1のステ
ップ103からステップ105の動作は行えないが、ド
リル1によってワークWを突いて下穴Hを形成した後、
ドリル1の押圧力を一旦弱め、ドリル1を交換すること
なく切削が行えるから、実施例1ほどではないにしても
穴の位置精度を高めることができるものである。他の構
成および動作は実施例1と同様であるから説明を省略す
る。
に、アクチュエータ5A,5B,5Cおよび空気軸受3
を省略し、Z軸方向のスピンドルモータ2の変位を検出
する手段としてリニアエンコーダ18を用いた点で異な
っている。この構成では、Z軸方向の位置調節のみを行
うのであって、実施例1の動作として示した図1のステ
ップ103からステップ105の動作は行えないが、ド
リル1によってワークWを突いて下穴Hを形成した後、
ドリル1の押圧力を一旦弱め、ドリル1を交換すること
なく切削が行えるから、実施例1ほどではないにしても
穴の位置精度を高めることができるものである。他の構
成および動作は実施例1と同様であるから説明を省略す
る。
【0033】ところで、上記各実施例ではドリル1によ
る切削中におけるドリル1の折損を防止するために、図
1のステップ106からステップ110の処理を行って
いるものであって、ドリル1が折損するおそれがあるか
どうかの判定は、ドリル1に作用するZ軸方向の力の大
きさによって判定している。ドリル1が折損するかどう
かの判定は、図9のステップ106aに示すように、Z
軸の回りでのトルクの大きさによって判定してもよく、
また、図10のステップ106bに示すように、Z軸方
向の力の大きさとZ軸の回りでのトルクの大きさとを総
合して判定してもよい。Z軸の回りでのトルクの変化に
ついては、スピンドルモータ2の負荷電流の変化によっ
て検出することができる。
る切削中におけるドリル1の折損を防止するために、図
1のステップ106からステップ110の処理を行って
いるものであって、ドリル1が折損するおそれがあるか
どうかの判定は、ドリル1に作用するZ軸方向の力の大
きさによって判定している。ドリル1が折損するかどう
かの判定は、図9のステップ106aに示すように、Z
軸の回りでのトルクの大きさによって判定してもよく、
また、図10のステップ106bに示すように、Z軸方
向の力の大きさとZ軸の回りでのトルクの大きさとを総
合して判定してもよい。Z軸の回りでのトルクの変化に
ついては、スピンドルモータ2の負荷電流の変化によっ
て検出することができる。
【0034】
【発明の効果】請求項1の発明では、上述のように、高
速回転するドリルの先端でワークの表面を瞬間的に突く
ことによって衝突によるくぼみ状の下穴をワークに形成
した後に、下穴に合わせてワークを切削するので、下穴
を形成していることによってドリルの先端がワークの表
面で滑るのを防止することができ、穴の位置精度が向上
するという利点がある。また、下穴を形成するにもかか
わらずドリルの交換を必要としないから、切削を開始す
るときのドリルの位置と下穴の位置とのずれがほとんど
生じないのであって、従来のように、下穴形成用のドリ
ルと切削用のドリルとを交換する場合に比較して穴の位
置精度を向上させることができるという効果を奏するの
である。さらに、下穴を形成する際に高速回転させたド
リルの先端によってワークを突いた後にドリルへの押圧
力をただちに緩和するので、下穴の形成時にドリルが弾
性変形したり折損したりすることが少なくなるのであ
る。要するに、ドリルをポンチのように用いて衝突によ
る下穴を形成するから滑りによる位置ずれがなく、しか
も、ドリルのワークに対する接触力を一旦緩和すること
でドリルの折損を防止し、さらには下穴に位置合わせを
してドリルで切削するからワークに位置ずれのないよう
に穴をあけることができるという効果がある。
速回転するドリルの先端でワークの表面を瞬間的に突く
ことによって衝突によるくぼみ状の下穴をワークに形成
した後に、下穴に合わせてワークを切削するので、下穴
を形成していることによってドリルの先端がワークの表
面で滑るのを防止することができ、穴の位置精度が向上
するという利点がある。また、下穴を形成するにもかか
わらずドリルの交換を必要としないから、切削を開始す
るときのドリルの位置と下穴の位置とのずれがほとんど
生じないのであって、従来のように、下穴形成用のドリ
ルと切削用のドリルとを交換する場合に比較して穴の位
置精度を向上させることができるという効果を奏するの
である。さらに、下穴を形成する際に高速回転させたド
リルの先端によってワークを突いた後にドリルへの押圧
力をただちに緩和するので、下穴の形成時にドリルが弾
性変形したり折損したりすることが少なくなるのであ
る。要するに、ドリルをポンチのように用いて衝突によ
る下穴を形成するから滑りによる位置ずれがなく、しか
も、ドリルのワークに対する接触力を一旦緩和すること
でドリルの折損を防止し、さらには下穴に位置合わせを
してドリルで切削するからワークに位置ずれのないよう
に穴をあけることができるという効果がある。
【0035】請求項2の発明によれば、下穴にドリルの
先端が接触しているときにドリルに作用する軸方向に直
交する面内の力を検出し、この力が小さくなる向きにド
リルの先端位置を調節するので、切削を開始するときに
下穴とドリルの先端との位置が多少ずれていても、下穴
の中心位置にドリルの先端位置が自動的に合わせられる
のであって、穴の位置精度が一層向上するという効果を
奏する。
先端が接触しているときにドリルに作用する軸方向に直
交する面内の力を検出し、この力が小さくなる向きにド
リルの先端位置を調節するので、切削を開始するときに
下穴とドリルの先端との位置が多少ずれていても、下穴
の中心位置にドリルの先端位置が自動的に合わせられる
のであって、穴の位置精度が一層向上するという効果を
奏する。
【0036】請求項3ないし請求項5の発明のように、
ドリルの折損の可能性の判定基準として、ドリルのスラ
スト方向の力の変化を採用すれば雑音との識別が容易に
なり、ドリルのトルクの変化を採用すれば雑音との識別
はやや困難になるが感度が高くなり正確な判定が行え
る。請求項6ないし請求項8の発明では、ドリルと平行
な回転軸を有しドリルを回転駆動するスピンドルモータ
の回転軸の方向についてスピンドルモータを変位させる
アクチュエータと、スピンドルモータの回転軸の方向に
おける変位量を検出する変位センサと、変位センサの出
力に基づいてアクチュエータの移動量をフィードバック
制御する制御手段とを備え、制御手段が、スピンドルモ
ータを高速回転させた状態でドリルの先端をワークの表
面に衝突させてくぼみ状の下穴を形成した直後にスピン
ドルモータの下方への押圧力を緩和し、その後、押圧力
を上昇させるようにアクチュエータを制御するので、ド
リルの先端でワークを突くことによって下穴を形成した
後に、ドリルの先端を下穴に合わせてワークの表面での
ドリルの滑りを防止することができ、しかも、変位セン
サの出力に基づいてアクチュエータをフィードバック制
御することによって、ドリルの先端位置を正確に制御し
てドリルの折損を防止することができるという利点があ
る。
ドリルの折損の可能性の判定基準として、ドリルのスラ
スト方向の力の変化を採用すれば雑音との識別が容易に
なり、ドリルのトルクの変化を採用すれば雑音との識別
はやや困難になるが感度が高くなり正確な判定が行え
る。請求項6ないし請求項8の発明では、ドリルと平行
な回転軸を有しドリルを回転駆動するスピンドルモータ
の回転軸の方向についてスピンドルモータを変位させる
アクチュエータと、スピンドルモータの回転軸の方向に
おける変位量を検出する変位センサと、変位センサの出
力に基づいてアクチュエータの移動量をフィードバック
制御する制御手段とを備え、制御手段が、スピンドルモ
ータを高速回転させた状態でドリルの先端をワークの表
面に衝突させてくぼみ状の下穴を形成した直後にスピン
ドルモータの下方への押圧力を緩和し、その後、押圧力
を上昇させるようにアクチュエータを制御するので、ド
リルの先端でワークを突くことによって下穴を形成した
後に、ドリルの先端を下穴に合わせてワークの表面での
ドリルの滑りを防止することができ、しかも、変位セン
サの出力に基づいてアクチュエータをフィードバック制
御することによって、ドリルの先端位置を正確に制御し
てドリルの折損を防止することができるという利点があ
る。
【図1】実施例1を示す動作説明図である。
【図2】実施例1を示す下穴の形成過程を示す工程図で
ある。
ある。
【図3】実施例1を示す下穴とドリルとの位置関係を示
す図である。
す図である。
【図4】実施例1を示す一部切欠斜視図である。
【図5】実施例を示す全体構成の斜視図である。
【図6】実施例を示す制御回路のブロック図である。
【図7】実施例2を示す一部切欠斜視図である。
【図8】実施例3を示す斜視図である。
【図9】実施例の他の動作例を示す動作説明図である。
【図10】実施例のさらに他の動作例を示す動作説明図
である。
である。
【図11】従来の穴加工方法を示す工程図である。
【図12】従来の穴加工装置を示す断面図である。
【図13】従来の穴加工装置を示す概略構成図である。
【図14】図13に対応する穴加工装置の動作説明図で
ある。
ある。
1 ドリル 2 スピンドルモータ 3 空気軸受 5A アクチュエータ 5B アクチュエータ 5C アクチュエータ 7A 変位センサ 7B 変位センサ 7C 変位センサ 7D 変位センサ 9 アクチュエータ 20 制御回路
Claims (8)
- 【請求項1】 穴加工を施すワークの表面に衝突による
くぼみ状の下穴が形成されるようにワークの表面を高速
回転するドリルの先端で突いた直後に、ドリルのワーク
に対する接触圧を一旦緩和し、その後、ドリルのワーク
に対する接触圧を高めてワークを切削することを特徴と
する穴加工方法。 - 【請求項2】 下穴にドリルの先端が接触しているとき
にドリルに作用する軸方向に直交する面内での力を検出
し、この力が小さくなる向きにドリルの先端の位置を調
節することを特徴とする請求項1記載の穴加工方法。 - 【請求項3】 ワークの切削中にドリルに作用する軸方
向の力を検出し、この力が所定値以上になるとドリルの
先端部をワークから離して切屑を除去した後に、再び切
削を開始することを特徴とする請求項1または請求項2
記載の穴加工方法。 - 【請求項4】 ワークの切削中にドリルに作用するトル
クを検出し、このトルクが所定値以上になるとドリルの
先端部をワークから離して切屑を除去した後に、再び切
削を開始することを特徴とする請求項1または請求項2
記載の穴加工方法。 - 【請求項5】 ワークの切削中にドリルに作用する軸方
向の力およびトルクを検出し、少なくともいずれか一方
が所定値以上になるとドリルの先端部をワークから離し
て切屑を除去した後に、再び切削を開始することを特徴
とする請求項1または請求項2記載の穴加工方法。 - 【請求項6】 ドリルと平行な回転軸を有しドリルを回
転駆動するスピンドルモータと、スピンドルモータの回
転軸の周方向に離間して配設されスピンドルモータに機
械的に結合されていてそれぞれ回転軸の接線にほぼ沿う
方向についてスピンドルモータを直進移動させる3個以
上の第1のアクチュエータと、スピンドルモータおよび
第1のアクチュエータをスピンドルモータの回転軸の方
向について直進移動させる第2のアクチュエータと、ス
ピンドルモータの回転軸に直交する面内での平行移動お
よび回転移動による変位とスピンドルモータの回転軸の
方向の変位とを検出する変位センサと、変位センサの出
力に基づいてスピンドルモータを所定位置に保持するよ
うに第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータ
の移動量をフィードバック制御する制御手段とを備え、
制御手段は、スピンドルモータを高速回転させた状態で
ドリルの先端をワークの表面に衝突させてくぼみ状の下
穴を形成した直後にスピンドルモータの下方への押圧力
を緩和し、その後、押圧力を上昇させるように第2のア
クチュエータを制御することを特徴とする穴加工装置。 - 【請求項7】 ドリルと平行な回転軸を有しドリルを回
転駆動するスピンドルモータと、スピンドルモータの回
転軸に直交する面内でスピンドルモータに吸引力を作用
させるようにスピンドルモータの回転軸の周方向に離間
して配設された3個以上の電磁石と、スピンドルモータ
および電磁石をスピンドルモータの回転軸の方向につい
て直進移動させるアクチュエータと、スピンドルモータ
の回転軸に直交する面内での平行移動による変位とスピ
ンドルモータの回転軸の方向の変位とを検出する変位セ
ンサと、変位センサの出力に基づいてスピンドルモータ
を所定位置に保持するように電磁石およびアクチュエー
タの移動量をフィードバック制御する制御手段とを備
え、制御手段は、スピンドルモータを高速回転させた状
態でドリルの先端をワークの表面に衝突させてくぼみ状
の下穴を形成した直後にスピンドルモータの下方への押
圧力を緩和し、その後、押圧力を上昇させるようにアク
チュエータを制御することを特徴とする穴加工装置。 - 【請求項8】 ドリルと平行な回転軸を有しドリルを回
転駆動するスピンドルモータと、スピンドルモータをス
ピンドルモータの回転軸の方向について直進移動させる
アクチュエータと、スピンドルモータの回転軸の方向の
変位を検出する変位センサと、変位センサの出力に基づ
いてスピンドルモータを回転軸の方向における所定位置
に保持するようにアクチュエータの移動量をフィードバ
ック制御する制御手段とを備え、制御手段は、スピンド
ルモータを高速回転させた状態でドリルの先端をワーク
の表面に衝突させてくぼみ状の下穴を形成した直後にス
ピンドルモータの下方への押圧力を緩和し、その後、押
圧力を上昇させるようにアクチュエータを制御すること
を特徴とする穴加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3121598A JP2642797B2 (ja) | 1991-05-28 | 1991-05-28 | 穴加工方法およびその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3121598A JP2642797B2 (ja) | 1991-05-28 | 1991-05-28 | 穴加工方法およびその装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04360705A JPH04360705A (ja) | 1992-12-14 |
JP2642797B2 true JP2642797B2 (ja) | 1997-08-20 |
Family
ID=14815222
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3121598A Expired - Lifetime JP2642797B2 (ja) | 1991-05-28 | 1991-05-28 | 穴加工方法およびその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2642797B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06320314A (ja) * | 1993-03-15 | 1994-11-22 | Matsushita Electric Works Ltd | 穴加工方法 |
JPH106113A (ja) * | 1996-06-26 | 1998-01-13 | Kanagawa Kagaku Gijutsu Akad | 小径穴加工用自動ボール盤 |
JP5233678B2 (ja) * | 2009-01-06 | 2013-07-10 | トヨタ自動車株式会社 | 切削抵抗の解析プログラム |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62264812A (ja) * | 1986-05-14 | 1987-11-17 | Hitachi Seiko Ltd | プリント基板の穴明け方法 |
JPS63207531A (ja) * | 1987-02-20 | 1988-08-26 | Res Dev Corp Of Japan | 自動組立ハンド |
-
1991
- 1991-05-28 JP JP3121598A patent/JP2642797B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04360705A (ja) | 1992-12-14 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19970401 |