JP2640798B2 - 検尿用採尿容器及び検尿装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、検尿用の採尿容器及び
その容器を用いた検尿装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、病院、保健所あるいは会社等にて
行われる、尿中の糖、蛋白等の量を検診する尿検査で
は、紙あるいは樹脂製のコップに被検査者（患者）が所
定量採尿し、該採尿した容器（コップ）を所定の容器
（コップ）置き場に置き、しかる後医者、看護婦等が検
査紙（試薬）を前記容器内の尿に浸してその試薬の変化
を別途用意された色調表と照合して検診していたもので
ある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は
上記のようにコップ等の容器を用いていたために種々の
問題点を生じていたものである。すなわち、例えば団体
検診等では容器の置き場に採尿したコップを放置してお
くことがあり、コップの上面が開放されていることから
悪臭が周囲に漂い周囲の人に不快感を与え衛生上好まし
くないばかりでなく、尿中への細菌侵入の恐れもあり、
安全面においても問題があった。

【０００４】また、昨今この種の尿検査は市販される簡
易な尿検査紙（試薬）によって自己検診が可能となって
いるが、市販されているのは試薬のみであり、採尿部分
と検診部分とが一緒になっている検尿装置はなく、採尿
容器（例えば前出のコップ等）をその都度別途用意しな
ければならないという手間を必要とするため、例えば、
出張先等いつもと違った所で検診しようとしても、手元
に検診用のコップ等の容器がなく採尿、検診ができない
という不都合が生じることが多々あり、この種の自己検
診は定期的に行うことが好ましいとされていることとの
間に問題を生じていた。

【０００５】本発明は、上記した従来技術の有する問題
点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、安全面、衛生面に優れ、かつ使用、取り扱い勝手も
良好な検尿用採尿容器の提供とともに、該容器を利用し
た簡易、確実に尿検査が可能な検尿装置の提供を図るこ
とである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る検尿用採尿
容器は、前記の目的を達成するために、側面の任意箇所
に少なくとも１個の採尿用孔が穿設されるとともに一端
の外側面が閉塞端に向かうにしたがって拡開されるスカ
ート状部とされ、他端部に凸部を有する拡縮部を備えて
開口された容器本体と、一端を開口し上記容器本体をス
ライド可能に遊嵌した管状のキャップとからなり、前記
キャップの挿入口側近傍に前記容器本体の拡縮部の凸部
が係脱可能な環状凹部を形成し、容器本体の嵌挿完了時
にキャップの内側面に前記容器本体のスカート状部が密
着し、採尿時に前記容器本体の拡縮部の凸部がキャップ
の環状凹部に係止するように構成したことをその特徴と
するものである。

【０００７】また、本発明に係る検尿装置としては、側
面の任意箇所に少なくとも１個の採尿用孔が穿設される
とともに一端の外側面が閉塞端に向かうにしたがって拡
開されるスカート状部とされ、前記閉塞端面に設けられ
ている除尿孔上に基端側を連続して細棒状に立設される
とともに、その基端側にて折欠することで上記除尿孔を
露呈せしめる除尿孔形成用へそ部を設け、他端部に凸部
を有する拡縮部を備えて開口された容器本体と、一端を
開口し上記容器本体をスライド可能に遊嵌した管状のキ
ャップとからなり、前記キャップの挿入口側近傍に前記
容器本体の拡縮部の凸部が係脱可能な環状凹部を形成
し、容器本体の嵌挿完了時にキャップの内側面に前記容
器本体のスカート状部が密着し、採尿時に前記容器本体
の拡縮部の凸部がキャップの環状凹部に係止するように
採尿容器を構成し、上記容器本体内に所定の検査紙を挿
入し、前記キャップの外側面に色調表を備えてなること
をその特徴とするものである。

【０００８】

【作用】本発明は、上記した技術手段により、容器本体
をキャップ内からスライドさせて引き出すと採尿部が露
呈され、被検査者（患者）がその採尿部に向けて放尿す
ると、前記採尿部を介して所定量の尿が容器本体内に採
尿でき、該尿が採尿された容器本体をキャップ内に挿入
すると、キャップの内側面に容器本体の拡開されたスカ
ート状部が密着し外気と遮断することができ、また、採
尿時に容器本体をキャップより引き出したときには容器
本体の拡縮部の凸部がキャップの環状凹部に係止され容
器本体の抜け出しを防止する。

【０００９】また、検尿装置にあっては、採尿のための
容器本体と検査紙とが常に一体となり、前記の容器本体
をキャップ内からスライドさせて引き出し採尿部を露呈
させ、被検査者（患者）は採尿部に向けて放尿すれば、
尿は採尿部を介して所定量の尿が採尿できるとともに、
容器本体内に挿入されている検査紙に採尿された尿がし
み込み、その色等を見て、キャップ外側面に備えた色調
表と比較することにより即座に診断できるものである。
検尿終了後は除尿孔形成用のへそ部を、その細棒状基端
側にて折る等して除尿孔を露呈せしめて、該孔を介して
不要となった尿を除去するものである。

【００１０】

【実施例】以下本発明の一実施例を説明する。施例実施
例の採尿容器Ａは、容器本体１とキャップ６とで構成さ
れ、前記容器本体１はキャップ６内をスライド可能に遊
嵌されている。なお、図示例は一実施例に過ぎず何等こ
れに限定されるものでない。

【００１１】容器本体１は、合成樹脂、ゴム、紙等から
なり、先端面を閉塞せしめてなる閉塞端面１ａを有する
断面円形状の細管に形成されるとともに、該閉塞端面１
ａ側の外側面２が、その閉塞端面１ａに行くに従って拡
開するスカート状部２ａとされ、外側面２の略中間点と
開口した後端１ｂとの間に採尿部３を設けている。

【００１２】また、本実施例においては前記した閉塞端
面１ａに除尿孔形成用へそ４を備えている。なお、前記
した容器本体１の管形状は断面円形に限定されるもので
なく、例えば図５に示すように断面多角形状１−１（三
角、四角・・・）、楕円形状１−２、卵形状、ハート形
状等の適宜形状に変更可能である。

【００１３】前記した容器本体１の採尿部３は、容器本
体１の側面に直列状に穿設された複数個の孔３ａ，３ａ
・・・にて構成されている。

【００１４】また、前記した採尿部３は、上記した孔３
ａに限定されるものでなく、その形状、穿設の孔数等任
意であり、例えば楕円形状、多角形状、弧状等の孔また
は所定箇所に所望の大きさの孔を一個設けたものや、ラ
ンダムに複数の孔を穿設したもの、あるいはメッシュ状
に形成されているもの等に適宜変更可能である。

【００１５】前記した除尿孔形成用へそ４は、閉塞端面
１ａの略中心に穿設されている除尿孔５上に、基端側を
連続して細棒状に立設されるとともに、その基端側にて
折欠することで上記除尿孔５を露呈せしめる構成を有
し、後述するように検査後不要となった尿を排出すると
きに使用するものである。すなわち、取っ手１５を保持
した状態で、その除尿孔形成用へそ４を基端側にて折れ
ば閉塞端面１ａに所望の除尿孔５が露呈されるため、そ
の状態で採尿部３の孔を露呈させて密封を解除すれば尿
は除尿孔５を介して容易に排出できる。

【００１６】前記したキャップ６は、上記の容器本体１
と略同形状で、該容器本体１の略全体を遊嵌可能な径、
長さに形成した後端６ｂが閉塞されている断面円形状の
細管で、かつ、容器本体１の閉塞端面１ａ側の外側面２
に設けたスカート状拡開部２ａより小径に形成されてい
る。

【００１７】したがって、容器本体１をキャップ６から
スライドさせて引き出すと採尿部３が露呈され、被検査
者（患者）がその採尿部３に向けて放尿すると、前記の
採尿部３（各孔３ａ，３ａ・・・）を介して所定量の尿
が容器本体１内に採尿でき、採尿後キャップ６を、該キ
ャップ６の挿入口６ａ側から静かに容器本体１の閉塞端
面１ａ方向にスライドせしめて容器本体１をキャップ６
内に嵌挿収納すると、キャップ６の内側面７が容器本体
１の外側面２のスカート状拡開部２ａに密着せしめられ
外部と完全に遮断される。

【００１８】そして、上記した密閉状態で容器受け（置
き場）に置けば、医者、看護婦等が回収し、検査時にお
いてはキャップ６を引き上げてキャップ６と容器本体１
とを分離させ、容器本体１の後端１ｂの開口部より検査
紙を挿入して尿中に浸漬して診断する。

【００１９】また、従来の容器（紙コップ等）による採
尿は、検査紙の一部が浸漬できれば良いものを人によっ
ては必要以上に多量の尿を採取してくることもあり、検
査後の処理も大変であったが、本実施例の採尿容器Ａを
使用すれば前記のような不都合も生じないし、従来のコ
ップと比して細管状であるため採尿後の採尿容器をおく
スペースを余り必要としないため嵩張ることもなく取扱
いの面においても大変有効である。

【００２０】更に、本実施例においては、容器本体１の
開口した後端１ｂの縁部外側面に凸部８，８とスリット
１０，１０をそれぞれ対向ひせしめて設け、該凸部８及
びスリット１０を後述するキャップ６の挿入口６ａの縁
部内側面に形成した凹部１１，１１に弾性係合するスト
ップ機構を備えている。

【００２１】したがって、前記の凸部８，８とスリット
１０，１０によって拡縮部を形成しているので、使用時
に容器本体１を一杯に引き出して容器本体１の凸部８，
８をキャップ６の凹部１１，１１に係合せしめて固定状
態とすれば容器本体がキャップより外れて落下すること
もなく使用上優れた効果を有するものである。

【００２２】なお、前記したストップ機構は図示例に何
等限定されるものではなく、その凸部及び凹部の形状や
設置数あるいはスリット数、長さ等は任意である。

【００２３】次に、請求項２記載の検尿装置Ｂについて
説明すると、検尿装置Ｂは上記採尿容器Ａを利用し、容
器本体１内に従来周知の検査紙（試薬）１３を挿入する
とともに、キャップ６の外側面１２に色調表１４を備え
て形成されている。

【００２４】検査紙１３は、単に容器本体１内に挿入し
てあるだけでもよいが、貼着等によって固定させてもよ
い。また、色調表１４は、別途印刷されたものを検尿装
置Ｂの外側面１２に貼着するか、あるいは印刷してもよ
いものである。

【００２５】また、検査紙１３は、従来周知のものでよ
く、例えば試薬をろ紙に染み込ませたもので、尿によっ
て酵素が分解して試薬の色が変化するもの等であり、特
に限定はされず任意であり、その検査紙の変更に伴って
色調表１４も変更せしめるとよい。

【００２６】したがって、採尿容器Ａと検査紙１３とが
常に一体となっているため何時何処ででも容易かつ確実
に検尿できるものである。すなわち、容器本体１をキャ
ップ６内からスライドさせて採尿部３を露呈させ、被検
査者（患者）はその採尿部３に向けて放尿すれば該採尿
部３を介して所定量の尿が採尿できされるとともに、容
器本体１内に挿入されている検査紙１３に採尿された尿
がしみ込むため、キャップ６の外側面１２に備えた色調
表１４と比較（照合）すれば即座に自己診断ができる。

【００２７】検査後に除尿するには、まず、容器本体１
の閉塞端面１ａの除尿孔形成用へそ部４を基端側にて折
り除尿孔５を形成し、次いで、キャップ６から容器本体
１を引き出し採尿部３の孔３ａを露呈させ密閉を解除す
ると上記の除尿孔５より尿は排出される。

【００２８】また、特に限定はされないが、本実施例の
採尿容器Ａ及び検尿装置Ｂは、衛生上使い捨てであるこ
とから廃棄時には焼却せしめるので、合成樹脂あるいは
ゴムからなるものにあっては焼却時に一酸化炭素、イオ
ウ酸化物等の有害ガスが発生しないような材料にて形成
されるのが好ましい。

【００２９】

【発明の効果】本発明に係る検尿用採尿容器は、側面に
採尿部を穿設し、外側面に拡開部を設けた容器本体と、
一端を開口して上記の容器本体がスライド可能に遊嵌せ
しめられるキャップからなり、採尿時に容器本体をキャ
ップ内からスライドさせて引き出し採尿部を露呈させ、
該採尿部に向けて被検査者（患者）が放尿すると、採尿
部を介して所定量の尿が容器本体内に採尿され、その後
容器本体をキャップに嵌挿すると、キャップの内側面と
容器本体の前記拡開部とが密接し外部と遮断されるた
め、例え容器置き場に前記の採尿された容器本体が放置
されたとしても悪臭が漂う虞れはない。

【００３０】したがって、周囲の人に不快感を与えず衛
生上きわめて好ましいものである。また、容器本体とキ
ャップとは密閉されることにより外部と遮断され細菌の
侵入も十分に防ぐことがてき安全性も極めて高く優れて
いるものである。

【００３１】また、上記の採尿時に容器本体をキャップ
より引き出したとき、容器本体とキャップとのストップ
機構により容器本体がキャップより外れて落下すること
もない。

【００３２】さらに、管状でキャップ内に容器本体が嵌
挿されるものであるので、採尿された採尿容器の置き場
所のスペースが少なくてすみ、従来の紙コップ等のよう
に嵩張ることもないため、使用、取扱いに優れた効果を
有するものである。

【００３３】本発明の検尿装置にあっては、前記した採
尿容器と検査紙とが常に一体となることにより、容器本
体をキャップ内からスライドさせて引き出し、容器本体
の採尿部を露呈させ、被検査者（患者）はその採尿部に
向けて放尿すれば、該採尿部を介して容器本体に所定量
の尿が採尿でき、容器本体内に挿入されている検査紙に
前記採尿された尿がしみ込み、キャップ外側面に備えた
色調表によって即座に診断できるもので、検診場所を選
ばず簡易かつ確実に自己検診が可能となるものである。
また、検査終了後は、容器本体の閉塞端面に設けた除尿
孔形成用へそ部を、その基端側にて折ることにより除尿
孔が形成され、該孔を介して尿の排出も容易に行い得
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の検尿用採尿器の分解斜視図

【図２】本発明の検尿用採尿器を用いた採尿方法の一例
を示す斜視図

【図３】本発明の検尿用採尿器の斜視図

【図４】検尿用採尿器のストッパー機構を示す一部省略
図

【図５】検尿容器の変形形状を示す断面図

【符号の説明】

１：容器本体 １ａ：閉塞端面 １ｂ：後端 ２ａ：スカート部 ２：外側面 ３：採尿部 ３ａ：孔 ４：除尿孔形成用へそ ５：除尿孔 ６：キャップ６ａ：挿入口 ７：内側面 １０：スリット

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 側面の任意箇所に少なくとも１個の採尿
   用孔が穿設されるとともに一端の外側面が閉塞端に向か
   うにしたがって拡開されるスカート状部とされ、他端部
   に凸部を有する拡縮部を備えて開口された容器本体と、
   一端を開口し上記容器本体をスライド可能に遊嵌せしめ
   る管状のキャップとからなり、前記キャップの挿入口側
   近傍に前記容器本体の拡縮部の凸部が係脱可能な環状凹
   部を形成し、容器本体の嵌挿完了時にキャップの内側面
   に前記容器本体のスカート状部が密着し、採尿時に前記
   容器本体の拡縮部の凸部が前記キャップの環状凹部に係
   止するように構成したことを特徴とする検尿用採尿容
   器。
2. 【請求項２】 側面の任意箇所に少なくとも１個の採尿
   用孔が穿設されるとともに一端の外側面が閉塞端に向か
   うにしたがって拡開されるスカート状部とされ、前記閉
   塞端面に設けられている除尿孔上に基端側を連続して細
   棒状に立設されるとともに、その基端側にて折欠するこ
   とで上記除尿孔を露呈せしめる除尿孔形成用へそ部を設
   け、他端部に凸部を有する拡縮部を備えて開口された容
   器本体と、一端を開口し上記容器本体をスライド可能に
   遊嵌せしめる管状のキャップとからなり、前記キャップ
   の挿入口側近傍に前記容器本体の拡縮部の凸部が係脱可
   能な環状凹部を形成し、容器本体の嵌挿完了時にキャッ
   プの内側面に前記容器本体のスカート状部が密着し、採
   尿時に前記容器本体の拡縮部の凸部が前記キャップの環
   状凹部に係止するように採尿容器を構成し、上記容器本
   体内に所定の検査紙を挿入し、前記キャップの外側面に
   色調表を備えてなることを特徴とする検尿装置。