JP2638838B2 - マイクロホン装置 - Google Patents

マイクロホン装置

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JP2638838B2 JP62230278A JP23027887A JP2638838B2 JP 2638838 B2 JP2638838 B2 JP 2638838B2 JP 62230278 A JP62230278 A JP 62230278A JP 23027887 A JP23027887 A JP 23027887A JP 2638838 B2 JP2638838 B2 JP 2638838B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、マイクロホン装置に関するもので、特
に、機械的振動により発生する振動雑音の低減に係わ
る。
〔発明の概要〕
この発明は、マイクロホン装置において、第1のマイ
クロホンユニットと第2のマイクロホンユニットとを同
軸上にその夫々の振動板が近接して相対向するように配
設し、第1のマイクロホンユニットの出力と第2のマイ
クロホンユニットの出力との和信号を出力信号として取
り出すようにすることにより、振動雑音成分をキャンセ
ルし、振動雑音を低減するようにしたものである。
〔従来の技術〕
カメラ一体型VTRやテープレコーダには、テープ駆動
系やテープ走行系等の機械的振動を有する機構が備えら
れるため、このようなカメラ一体型VTRやテープレコー
ダにマイクロホンを取り付けた場合、このテープ駆動系
やテープ走行系からの機械的振動がマイクロホンに伝え
られ、振動雑音が生じる。この振動雑音は、モータの回
転数やキャプスタン・リール軸の回転数に関係したスペ
クトルになることが多く、定常的で耳障りなものであ
る。
そこで、従来、カメラ一体型VTRやテープレコーダ等
にマイクロホンを取り付ける場合には、サスペンション
機構を設けて、機械的振動がマイクロホンに伝えられな
いようにしている。また、振動雑音成分のある周波数帯
域を遮断するフィルタを用いて、振動雑音をカットする
ことがなされている。
ところが、サスペンション機構を設けると、デザイン
上の自由度が低くなると共に、振動雑音を良く吸収する
サスペンション機構を設計するのは難しく、また、この
ようなサスペンション機構を形成するための特別な金型
が必要になり、コストアップになる。特に、小型・軽量
のエレクトリック・コンデンサマイクロホンを使用した
場合には、サスペンション機構に求められるコンプライ
アンス(ばね定数の逆数)が大きくなり、サスペンショ
ン機構の設計が複雑になるばかりでなく、振動によるマ
イクロホンの振幅が大きくなり、マイクロホンがマイク
ロホン支持部に衝突し、雑音を発生する可能性がある。
また振動雑音成分のある周波数帯域を遮断するフィル
タを用いると、必要な信号成分についてもカットされて
しまい、音質が低下するという問題が生じる。
このように、振動雑音をサスペンション機構を用いて
吸収させるようにしたのでは、デザイン上の自由度が低
くなったり、複雑なサスペンション機構を構成するため
にコストアップになったり等の問題が生じる。また、振
動雑音成分のある周波数帯域を遮断するようにすると、
必要な信号成分もカットされ、音質が低下するという問
題が生じる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
そこで、複雑なサスペンション機構を用いなくとも振
動雑音の影響を受けることがないマイクロホンの開発が
要望される。しかしながら、マイクロホンユニットが1
つの場合、質量を有する振動板を使用する限り、振動雑
音をなくすことはできない。
つまり、振動雑音は、マイクロホンユニットを加振し
たとき、その動きに振動板が追従できないことにより発
生する。この振動雑音の発生について、第6図及び第7
図に示す等価回路を用いて説明する。
コンデンサマイクロホンユニットは、例えば第6図に
示すような等価回路で表現できる。第6図において、m0
は振動板の等価質量、s0は振動板の等価スティフネス、
r0は振動板と背極との間の空気相の等価抵抗、s1は背気
室の等価スティフネス、r1は無指向、両指向両成分の配
分を決めるための等価抵抗である。
このマイクロホンユニットの平面波音場における振動
板の振動速度vは、音圧をp、振動板面積をS、ω/c
(ω:角周波数、c:音速)をk、音響2端子間距離を
d、音波の入射角をψとすると、ψ=0の場合、 但し、Z0=jωm0+r0+s1/jω α=cr1/ds1 となる。この振動速度vは、このマイクロホンユニット
の音に対する正面感度を示している。
コンデンサマイクロホンユニット本内が振動した場
合、第7図において、コンデンサマイクロホンユニット
本体と振動板の相対速度はV−V0であり、発電に寄与す
る起振力は、振動板の等価質量に基づく慣性力jωm0V0
である。
正面感度(振動速度v)でコンデンサマイクロホン本
体を振動させたときの振動板の振動速度(V−V0)を正
規化したときの値Reは、 となる。この値Reが大きい程、振動雑音の影響が大きく
現れる。特に無指向性マイクロホンでは、α=∞である
ので、 となる。(104)式より、振動雑音が面密度m0/Sに比例
し、振動加速度ωVに比例する。
以上のことから、単体のマイクロホンユニットでは、
振動板の等価質量m0を小さくし、振動板面積Sを大きく
することにより、振動雑音の影響を小さくできる。しか
しながら、振動板の等価質量m0が0にならない限り、振
動雑音を0にすることはできない。
また、上述の結果から考察すると、振動雑音を低減さ
せるためには、無指向性のマイクロホンを用いた方が有
利であるといえる。そこで、カメラ一体型VTRに無指向
性のマイクロホンを取り付け振動雑音の低減をはかるよ
うにしたものが提案されている。しかしながら、このよ
うに無指向性のマイクロホンを用いても、振動雑音を完
全に遮断できない。
したがってこの発明の目的は、簡単な構成で、振動雑
音を良効に遮断できるマイクロホン装置を提供すること
にある。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明は、第1のマイクロホンユニット1と第2の
マイクロホンユニット2とからなり、第1のマイクロホ
ンユニット1と第2のマイクロホンユニット2とが同軸
上に第1及び第2のマイクロホンユニット1及び2の夫
々の振動板9及び10が近接して相対向するように配設さ
れ、第1のマイクロホンユニット1の出力と第2のマイ
クロホンユニット2の出力との和信号を出力信号として
取り出すようにしたマイクロホン装置である。
〔作用〕
マイクロホンユニット1とマイクロホンユニット2が
互いの振動板9及び10が相対向するように近接して配置
され、これらのマイクロホンユニット1とマイクロホン
ユニット2とが結合子3で固定される。このため、マイ
クロホン全体が加振されると、振動板9及び10が同一方
向に振動される。マイクロホンユニット1とマイクロホ
ンユニット2とは互いに対向されているので、この振動
により発生するマイクロホンユニット1の出力とマイク
ロホンユニット2の出力とは互いに逆相になる。
これに対して、結合子3の孔4を介して音波が入射さ
れたときには、マイクロホンユニット1とマイクロホン
ユニット2と結合子3とで囲まれた空間は音波の波長よ
り十分小さいと考えられるので、マイクロホンユニット
1の出力とマイクロホンユニット2の出力とが同相にな
る。
したがって、マイクロホンユニット1の出力とマイク
ロホンユニット2の出力とを加算すれば、振動雑音成分
がキャンセルされ、音に対する出力が2倍になる。
〔実施例〕
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説
明する。
第1図はこの発明の一実施例を示すものである。第1
図において1及び2は無指向性のコンデンサマイクロホ
ンユニットである。コンデンサマイクロホンユニット1
とコンデンサマイクロホンユニット2とは、互いに特性
がそろったものが用いられる。コンデンサマイクロホン
ユニット1とコンデンサマイクロホンユニット2とが互
いに相対向するように近接して配置され、コンデンサマ
イクロホンユニット1とコンデンサマイクロホンユニッ
ト2とが結合子3により固定される。コンデンサマイク
ロホンユニット1とコンデンサマイクロホンユニット2
との間の距離は、例えば1〜2mmである。コンデンサマ
イクロホンユニット1とコンデンサマイクロホンユニッ
ト2とを結合する結合子3の側面の略々中心に沿って、
複数の孔4が形成される。この孔4は、音波を入射させ
るために設けられるもので、この複数の孔4の代わり
に、スリットを設けるようにしても良い。結合子3とし
ては、剛性の高いものを用いることが望ましい。
マイクロホンユニット1からは、出力端子5及び6が
導出される。出力端子5は、マイクロホンユニット1の
振動板9が背極に近づく方向に押されたとき、正の電圧
を出力する端子である。出力端子6は、マイクロホンユ
ニット1の振動板9が背極に近づく方向に押されたと
き、負の電圧を出力する端子である。
マイクロホンユニット2からは、出力端子7及び8が
導出される。出力端子7は、マイクロホンユニット2の
振動板10が背極に近づく方向に押されたとき、正の電圧
を出力する端子である。出力端子8は、マイクロホンユ
ニット2の振動板10が背極に近づく方向に押されたと
き、負の電圧を出力する端子である。
第2図に示すように、マイクロホンユニット1の正側
の出力端子5と、マイクロホンユニット2の正側の出力
端子7が互いに接続され、この接続点から出力端子11が
導出される。また、マイクロホンユニット1の負側の出
力端子6とマイクロホンユニット2の負側の出力端子8
とが互いに接続され、この接続点から出力端子12が導出
される。
このように、マイクロホンユニット1とマイクロホン
ユニット2とを互いの振動板9及び10が相対向するよう
に近接して配置し、これらのマイクロホンユニット1と
マイクロホンユニット2とを結合子3で固定し、マイク
ロホンユニット1の出力端子5及び6とマイクロホンユ
ニット2の出力端子7及び8とを極性をそろえて接続す
るようにすることにより、振動雑音を低減させることが
できる。このことについて以下に説明する。
振動雑音は、マイクロホンユニットを加振したとき、
その動きに振動板が追従できないことにより発生する。
したがって、振動雑音の発生レベルには方向性がある。
第3図Aに示すように、マイクロホンユニットMをその
振動板Cに対して平行な方向(矢印y方向)に加振させ
た場合には、振動板Cは殆ど振動しない。これに対し
て、第3図Bに示すように、マイクロホンユニットM
を、その振動板Cに対して垂直な方向(矢印x方向)に
加振された場合には、振動板Cが大きく振動する。すな
わち、振動板Cに対して垂直な方向(x方向)と振動方
向とのなす角度をθとすれば、発電に寄与する速度成分
はV cosθになるので、振動雑音レベルの振動方向の指
向性は、8字形となる。このことから、振動板Cに対し
て垂直な方向の振動成分を除去できれば、振動雑音を低
減できる。
この一実施例では、結合子3によりマイクロホンユニ
ット1とマイクロホンユニット2とが結合されている。
このため、第4図Aに示すように、矢印x方向にマイク
ロホン全体が加振された場合、マイクロホンユニット1
の振動板9とマイクロホンユニット2の振動板10とが同
一方向の振動を生じる。マイクロホンユニット1とマイ
クロホンユニット2とは、互いに対向されているので、
この振動により発生するマイクロホンユニット1とマイ
クロホンユニット2の出力は、互いに逆相になる。すな
わち、マイクロホンユニット1の振動板9が例えば背極
に近づく方向に動くと、同様の速度でマイクロホンユニ
ット2の振動板10が背極から離れる方向に動く。
これに対して、結合子3の孔4を介して音波が入射さ
れた時には、マイクロホンユニット1とマイクロホンユ
ニット2と結合子3とで囲まれた空間は音波の波長より
十分小さいと考えられるので、第4図Bに示すように、
振動板9及び振動板10が逆方向に振動し、マイクロホン
ユニット1の出力とマイクロホンユニット2の出力とが
同相になる。
このように、マイクロホンユニット1とマイクロホン
ユニット2とを互いの振動板9及び10が相対向するよう
に近接して配置し、これらのマイクロホンユニット1と
マイクロホンユニット2とを結合子3で固定しておく
と、振動雑音成分によるマイクロホンユニット1の出力
とマイクロホンユニット2の出力は互いに逆相になり、
音に対するマイクロホンユニット1の出力とマイクロホ
ンユニット2の出力は互いに同相になる。したがって、
マイクロホンユニット1の出力とマイクロホンユニット
2の出力とを加算すれば、振動雑音成分の出力がキャン
セルされ、音に対する出力が互いに加算されて2倍にな
る。
すなわち、第2図において、マイクロホンユニット1
の出力信号をVout1、マイクロホンユニット2の出力信
号をVout2とし、これらの出力信号の和信号をVoutとす
る。マイクロホンユニット1の出力信号Vout1は、音に
対する出力v1Aと、振動に対する出力v1Bからなり、 Vout1=v1A+v1B ……(1) である。マイクロホンユニット2の出力信号は、音に対
する出力v2Aと、振動に対する出力v2Bとからなり、音に
対する出力v2Aがマイクロホンユニット1の音に対する
出力v1Aと同相で、振動に対する出力v2Bがマイクロホン
ユニット1の振動に対する出力v1Bと逆相であるから、 Vout2=v2A−v2B ……(2) である。したがって、和信号Voutは、 Vout=Vout1+Vout2=(v1A+v1B)+(v2A−v2B) =(v1A+v2A)+(v1B−v2B) ……(3) マイクロホンユニット1の特性とマイクロホンユニッ
ト2の特性とがそろっていれば、 v1A=v2A,v1B=v2B である。したがって、和信号Voutは、 Vout=2v1A ……(4) となる。このことから、音に対する出力が2倍になり、
振動に対する出力が0になる。このように、音に対する
出力が上昇するのに対して、振動雑音はキャンセルさせ
るので、振動雑音についてのS/N比が大幅に向上され
る。
尚、マイクロホンユニット1の特性とマイクロホンユ
ニット2の特性がそろっていない場合には、第5図に示
すように、マイクロホンユニット1の出力及びマイクロ
ホンユニット2の出力を補正するようにすれば良い。す
なわち、マイクロホンユニット1の出力端子5及び6か
らの出力がレベル比較器21に供給され、マイクロホンユ
ニット2の出力端子7及び8からの出力レベル比較器22
に供給される。レベル比較器21の出力が可変抵抗23,抵
抗24を介してアンプ25に供給され、レベル比較器22の出
力が可変抵抗26,抵抗27を介してアンプ25に供給され
る。アンプ25の出力が出力端子26から取り出される。可
変抵抗23及び26を調整することにより、マイクロホンユ
ニット1の特性と、マイクロホンユニット2の特性との
ばらつきが補正できる。
〔発明の効果〕
この発明に依れば、マイクロホンユニット1とマイク
ロホンユニット2とが互いの振動板9及び10が相対向す
るように近接して配置され、これらのマイクロホンユニ
ット1とマイクロホンユニット2とが結合子3により固
定される。このため、振動雑音成分によるマイクロホン
ユニット1の出力とマイクロホンユニット2の出力は互
いに逆相になり、音に対するマイクロホンユニット1の
出力とマイクロホンユニット2の出力とは互いに同相に
なる。したがって、マイクロホンユニット1の出力とマ
イクロホンユニット2の出力とを加算することで、振動
雑音成分がキャンセルされ、音に対する出力が2倍にな
る。
このように、この発明に依れば、振動雑音を低減でき
るので、カメラ一体型VTRやテープレコーダにこの発明
が適用されたマイクロホンを用いれば、サスペンション
機構が不要になり、デザイン上の自由度が向上され、小
型化が可能となると共に、コストダウンがはかれる。ま
た、振動雑音を低減させるためのフィルタが不要となる
ため、音質の劣化が防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例の斜視図、第2図はこの発
明の一実施例の接続図、第3図及び第4図はこの発明の
一実施例の説明に用いる断面図、第5図はこの発明の他
の実施例の接続図、第6図及び第7図は振動雑音の発生
の説明に用いる等価回路図である。 図面における主要な符号の説明 1,2:マイクロホンユニット、3:結合子、4:孔。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無指向性の第1及び第2のマイクロホンユ
    ニットからなり、 上記第1及び第2のマイクロホンユニットは、結合部材
    により、上記第1及び第2のマイクロホンユニットの夫
    々の正面部に配置されている振動板同士が互いに向かい
    合うように同軸上に配置され、 上記第1及び第2のマイクロホンユニットの対向する間
    隙部に、外部よりの音を入射するための音声入射部が設
    けられ、 上記音声入射部から取り込まれた外部よりの音が、上記
    第1及び第2のマイクロホンユニットの対向する間の空
    隙部を介して、上記第1及び第2のマイクロホンユニッ
    トの振動板に夫々伝達され、 上記第1及び第2のマイクロホンユニットの夫々の出力
    の和信号が出力信号として取り出されるようにしたマイ
    クロホン装置。
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