JP2638712B2 - プラズマ断面位置形状同定方法 - Google Patents

プラズマ断面位置形状同定方法

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JP2638712B2
JP2638712B2 JP4149725A JP14972592A JP2638712B2 JP 2638712 B2 JP2638712 B2 JP 2638712B2 JP 4149725 A JP4149725 A JP 4149725A JP 14972592 A JP14972592 A JP 14972592A JP 2638712 B2 JP2638712 B2 JP 2638712B2
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    • Y02E30/10Nuclear fusion reactors

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プラズマ断面位置形
状同定方法に関するものである。さらに詳しくは、この
発明は、トカマク型核融合装置に発生するプラズマ断面
位置形状を同
【0002】定する方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術とその課題】発電炉規模のトカマク型核融
合装置では、楕円度2.0以上の縦長楕円型の断面形状
をもつ環状プラズマ放電を発生持続させることが必要と
されている。このプラズマ放電を適正に制御するために
は、プラズマ断面位置形状を精度良く同定することが必
要である。
【0004】このプラズマ断面位置形状同定方法につい
ては、従来から様々な方法が提案され、同定対象となる
プラズマに理論的に制限があるものと、制限がないもの
とに大別することができる。前者の方法は汎用的でない
うえ精度も悪く、その利用はかなり限定される。一方後
者の方法は、多少複雑な計算を厳密に実行さえできれ
ば、誤差を含むことなしに、プラズマの断面位置形状を
精度良く同定することが可能となる。
【0005】実際には、プラズマ電流を数本のFilament
電流で置き換えるFilament電流近似法、Legendre-Fouri
er展開法や多重極展開法に代表される偏微分方程式の厳
密な解析解である固有関数展開法、電流電圧分布の関数
形を規定して計算値からその関数を求める平衡計算方法
などが一般的に用いられている。しかしながら、Filame
nt電流近似法では、近似が非常に粗く精度の良い同定は
不可能である。固有関数展開法では、実際の装置におい
て厳密な計算に近い近似を可能にするほどの多くの種類
と多くの数の電磁気計測器を確保することは不可能であ
り、また、数値計算上の制限などのために対象プラズマ
の形状や電流分布によってはむしろ精度が落ちる場合も
ある。さらにまた、平衡計算方法では、あらかじめ、何
らかの方法でプラズマの断面形状を同定する必要があ
り、実際のプラズマ内部の多様な分布を表す関数形式が
存在し得ない。
【0006】現実的にさらに問題な点は、従来のあらゆ
る方法においても、ITER(国際熱核融合実験炉)の高非
円形プラズマの断面形状を精度良く同定できないことで
ある。この問題はトカマクプラズマの断面位置形状同定
方法の本質的理解が十分に行われずに、大きな誤差を含
まないと思われる範囲内でその都度適当な方法を採用し
てきたために生じたものと思われる。
【0007】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来の方法の欠点を解消し、トカマ
ク型核融合装置におけるトカマクプラズマ断面位置形状
を精度良く同定することのできる新しい方法を提供する
ことを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、環状電流を持つトカマクプラズ
マにおいて、ポロイダル磁場コイルを配置した真空容器
内のプラズマを取り囲む位置に複数の電磁計測器を配置
し、解析対象領域を 解析全閉領域 Ω B 電磁計測器配置閉領域 Ω S 仮想プラズマ閉領域 Ω P とに区分してこれら各領域についての断面閉曲線として 解析全領域閉曲線 ∂Ω B 電磁計測器配置閉曲線 ∂Ω S 仮想プラズマ表面閉曲線 ∂Ω P を設定し、前記領域については、相互の間Ω B-S 、Ω
P-S 、Ω P-B で磁束関数値φが、Grad-Shafranov方程式
へのグリーン関数の導入により導かれる次の積分方程式 で表現され、かつ、この表現により、前記閉曲線上につ
いて境界積分方程式が構成されることとし、以下の手
順; <1> 電磁計測器により計測された接線方向の磁束密
度計測値Bt S から、解 析全閉領域と電磁計測器配置閉
領域との間の積分方程式における電磁計測器 配置閉曲線
上での境界積分方程式を離散化した行列方程式により数
値解法して電磁計測器配置閉曲線上の磁束関数値φ S
求め、 <2> 実際のプラズマ領域には仮想プラズマ領域が含
まれるとして、仮想プラ ズマ閉領域と電磁計測器配置閉
領域との間の積分方程式における仮想プラズ マ表面閉曲
線上と電磁計測器配置閉曲線上での境界積分方程式を離
散化した 行列方程式によって前記φ S から数値解法し、
仮想プラズマ表面閉曲線上の 磁束密度Bt P と磁束関数
値φ P とを求め、 <3> 前記のBt P およびφ P を用いて、解析全閉領
域と仮想プラズマ閉領域 との間の積分方程式を離散化し
次式 により任意の点での磁束関数値φを求め、このプラズマ
最外殻磁気表面上の 磁束関数値で等高線を描くことによ
りプラズマ断面位置の形状を同定することを特徴とする
プラズマ断面位置形状の同定方法を提供する。
【0009】以下、この発明におけるプラズマ断面位置
形状の同定方法について順を追って説明する。 <境界積分方程式の導出>まず初めに、解析学的に境界
積分方程式を導く。Maxwell方程式に磁束関数を導入す
ることにより、次式に示すスカラの方程式が得られる。
【0010】
【数1】
【0011】ここで、解析領域がプラズマ中であること
を考慮すると、電流のトロイダル方向成分は磁気面関数
を用いて次式に示すように書くことができる(Grad-Sha
franov方程式)
【0012】
【数2】
【0013】真空中では式2の右辺が0であるので、式
1から次式に示す真空中のGrad-Shafranov方程式が得ら
れる。
【0014】
【数3】
【0015】この楕円型非線形斉次2階偏微分方程式か
らGreen関数に基礎を置く前記式1の境界積分方程式を
導く。2つのスカラ関数f,gに関する次の恒等式が一般
的に知られている。
【0016】
【数4】
【0017】この式4にf=φ(y),g=G(x,y)を代入する。
ここでG は円柱軸対称体系の2点x,y 間のGreen 関数で
あり、x=(r x , z x ) ,y=(r y ,Z y ) とすると次式で表
せられる。
【0018】
【数5】
【0019】このGreen関数は、式3の変数分離型の0
次固有関数と同じであり、従って次式を満たす。
【0020】
【数6】
【0021】ここで、δ(x,y)はデルタ関数であり、次
式の通りである。
【0022】
【数7】
【0023】φ(y),G(x,y)を代入した前記式4におい
て、y についてある閉領域Ωで体(面)積分する。Ga
uss の積分定理、式1,式6,および式7を考慮するこ
とにより、次式に示す式1の積分形式の解が得られる。
【0024】
【数8】
【0025】この式は領域Ω内での電流分布j(y)が既知
であれば、
【0026】
【数9】
【0027】上で与えられたDirichlet型(φ(y))および
Neumann型(gradφ(y))境界条件により厳密に解が表現で
きることを意味している。 <位置形状可同定のための必要条件>前記式8を用い
て、トカマクプラズマの位置形状可同定のための必要条
件を導く。
【0028】トカマクプラズマの位置形状を求めようと
する時点では、プラズマの電流分布は未知であるから、
前記式8の右辺中のj(y)としてプラズマ電流分布を考え
ることはできない。しかし、プラズマを除く領域での電
流分布は既知であるので、この領域において初めに検討
する。もちろん、この領域においては、過電流のような
直接観測できない電流も存在するが、ディスラプション
時やプラズマ電流立ち上げ時などの急激な変動時を除け
ば、過電流はプラズマ電流に比べて非常に小さいので、
位置形状同定問題では無視してかまわない。
【0029】ここで図1に示すように、3閉曲線を定義
する。なお、実空間は3次元であるから境界は閉曲面で
あるが、軸対称形を考えているのでボロイダル断面内で
は閉曲線となる。全領域を囲む閉曲線を
【0030】
【数10】
【0031】センサが設置された閉曲線を
【0032】
【数11】
【0033】プラズマの外側にプラズマを囲む仮想プラ
ズマ閉曲線を
【0034】
【数12】
【0035】とする。また、前記式10と式11とによ
って囲まれたドーナッツ状閉領域をΩ B-S で表現する。
そして、プラズマを含まない2領域Ω B-S とΩ S-P に前
記式8を適用する。その際、式10を無限遠方に移動さ
せることにより得られる次式を用いる。なお、中心軸上
の線積分計算はG=0,gradG=0 から0 である。
【0036】
【数13】
【0037】Ω B-S での式1の解は式14で表せられ、
Ω S-P での式1の解は式15で表せられる。また、Ω
B-S での式1の解は式16で表せられる。
【0038】
【数14】
【0039】
【数15】
【0040】
【数16】
【0041】ここで、面積分の際の法線ベクトルの向き
はプラズマ方向にとる。またj C ,j v はそれぞれ領域
Ω B-S とΩ S-P の内の既知電流密度である。 次に式1
4〜式16に現れた変数と式11に設置された電磁気計
測器との対応を明らかにする。磁束関数φは磁束ループ
の電圧信号出力を積分することにより直接計測できる。
磁束密度ベクトルの曲線である式11の接線方向成分Bt
をφを用いて表すとBt=grad φ/r y となる。このgradφ
は式11に沿って配置した磁気プローブ信号から与えら
れる。以後、φとBt(grad φの接線成分) との関係を述
べる。
【0042】より具体的な解析をするために、積分を無
限級数形式で表現する。K(α,β)をα=β以外で有界で
滑らかな曲線、q(β)を積分範囲で滑らかな関数とす
る。すると、領域Ωでのβに関するKの積分値が有界、
すなわち、∫K(α,β)dβ<∞であれば次式が成立す
る。
【0043】
【数17】
【0044】ここでhiは積分区間を分割した微小間幅で
ある。この式17は十分大きなNを用いて次式のように
書き換えられる。
【0045】
【数18】
【0046】ここに、δ(α,N)は積分分割数Nの増加に
対して単調に減少する微小関数で、絶対値は式18の右
辺第1項に比べ十分小さいものとする。いま式11上及
び前記式12上での積分分割数はそれぞれNおよびMとす
る。 N>Mまたは N=Mである。そして、式18を用いて式
14,式16を級数で表現する。なお関数δ(α,N)は各
積分で発生したものの合計とする。まず、式14で領域
内部から境界に近づけることにより、次の式19に示す
通りとなる。
【0047】
【数19】
【0048】次に式16を領域内部から、式11と式1
2に近づけることにより、次の式20,式21に示す通
りとなる。
【0049】
【数20】
【0050】
【数21】
【0051】式19と式14は、式11上でのφとBtと
の対応関係を表現したものである。式20は、式11上
でのφと式12上でのφとBtとの関係、式21は、式1
2上でのφとBtとの関係を表現したものである。どの関
係も互いに線形関係にあるので行列係数のベクトル方程
式に書き換えて説明することができる。すなわち、式1
9、式20でそれぞれx=y i (i=1,2,...,N) と置きN 個
ずつ式を作り、式21でx=z i (i=1,2,...,M) と置いて
式をM 個作る。
【0052】ここで次のベクトルを定義する。
【0053】
【数22】
【0054】
【数23】
【0055】
【数24】
【0056】
【数25】
【0057】これらを用いて、式19〜式21の(2N+M)
個の式を次に示す行列方程式書き換える。
【0058】
【数26】
【0059】
【数27】
【0060】
【数28】
【0061】式27,式28を解くことにより、次式が
得られる。
【0062】
【数29】
【0063】
【数30】
【0064】また、式26を解くことにより、次式が得
られる。
【0065】
【数31】
【0066】これから次のことが結論できる。すなわ
ち、図1に示す体系において、プラズマより外部の真空
領域中で、任意の点の磁束関数値を計算可能にする条件
は、プラズマを取り囲む閉曲線上で連続的に与えられた
磁束関数値φSまたはプラズマを取り囲む閉曲線の接線
方向の磁束密度値BtPのどちらかが与えられることであ
る。
【0067】この条件だけではプラズマ位置形状の可同
定条件には成っていないが、プラズマ表面までの磁束関
数値が真空場の計測だけで原理的に同定できることを意
味している。さらに、プラズマの特徴に起因した最外殻
磁気面の性質を明確にする。プラズマ最外殻磁気面はリ
ミタやダイバータコイル電流によってある磁気面で規定
されている。各磁気面に1つのスカラ値すなわち磁束関
数値が定まり、磁束関数値を高さとする「山」を考えた
とき、その等高線が磁気面を与える。ここで、プラズマ
に近づくに従って、値が大きくなるように磁束関数の正
の向きをとる。この時、リミタ放電ではリミタ点での磁
束関数値の中で最も高い磁束関数値の等高線がプラズマ
の最外殻磁気面形状を表現している。ダイバータ放電で
は、ダイバータコイルとプラズマとの間に存在する鞍点
(X点)の磁束関数値で等高線を描けばやはり最外殻磁
気面形状となる。
【0068】以上のことから、最外殻磁気面は磁束関数
分布においてリミタ点およびX点の磁束関数値の中で最
も高い磁束関数値を持つ等高線である。 <プラズマ内部の境界積分方程式の導出>これまで仮想
プラズマ閉曲線、式12はプラズマの外側としてきた
が、ここでプラズマ表面より内側
【0069】
【数32】
【0070】において、境界積分方程式を解く場合を説
明する。この解の意味は「より内側にプラズマが存在す
るものとした場合の式32上でのφP*及びBtP* であ
る。」となる。この時プラズマ表面から仮想プラズマ閉
曲線、式32までの範囲で得られた磁束関数値分布はも
はや現実ではないが、プラズマ表面までの真空領域の磁
束関数値分布は現実と一致する。この理由を以下に説明
する。
【0071】つまり、真空領域で成立する積分形式の解
ξ(x)は次式の通りとなる。
【0072】
【数33】
【0073】ここで、面積分 (ポロイダル断面内での線
積分) の際の法線ベクトルの向きはプラズマの方向と
し、j c ,j v はそれぞれ領域Ω s- ∞,Ω P * -S 内の既知
電流密度である。これに対してプラズマの電流密度j P
を既知として仮想曲面をプラズマ中に入れて解いた場合
の解φ(x) は次の通りとなる。
【0074】
【数34】
【0075】ここで、プラズマ表面閉曲線、式12を導
入して式を変形すると次式の通りとなる。
【0076】
【数35】
【0077】この式35の右辺第1項ψ(x) の定義は次
式の通りで、x がΩ P * -P に含まれる領域でのみ値を持
つ。
【0078】
【数36】
【0079】この式36より式35の右辺σφ(x)のσ
は真空領域、つまり、式12の外側では0となる。した
がって、プラズマ電流を考慮した解である式35の真空
領域中での形式は、次式の通りとなる。
【0080】
【数37】
【0081】一方、プラズマ表面閉曲線、式12を導入
して、式33を変形すると次式の通りとなる。
【0082】
【数38】
【0083】この式38の右辺第1項と第2項との和
は、式35のσφ(x) と同様に、x がΩ P * -P に含まれ
る領域でのみ値を持つ積分と見なせることから、次式の
ようになる。
【0084】
【数39】
【0085】この式39は式36と等しいので、従っ
て、真空領域では次の式が成立する。
【0086】
【数40】
【0087】以上のことから、仮想プラズマ閉曲線をプ
ラズマ中に配置して、真空領域で成立する境界積分方程
式を解いた場合でも正しい解となる。したがって、この
ようにして得られた式32より外側領域での磁束関数分
布において、前記最外殻磁気面であるための条件に適合
する磁束関数の等高線は唯一存在する。その等高線上で
の磁束関数値φP**および磁束密度の接線成分BtP**は、
その等高線を新たな仮想プラズマ閉曲線
【0088】
【数41】
【0089】として境界方程式を解いた解になる。した
がって、境界積分方程式の解でかつ最外殻磁気面の性質
を備えたこの閉曲線はプラズマ最外殻磁気面に他ならな
い。以上のことからプラズマ断面位置形状決定につい
て、次のことが結論できる。すなわち、仮想プラズマ閉
曲線、式12をプラズマに含まれるように設定して境界
積分方程式を解き、その結果、得られた値より外側領域
での磁束関数値分布において、プラズマ最外殻磁気面の
性質を備えた閉曲線が唯一存在する。
【0090】以上の結論から、最終的に「プラズマの最
外殻磁気面形状を可同定にする条件は、プラズマを取り
囲む閉曲線上のいたる所で磁束関数値(φS)が与えら
れるか、またはプラズマを取り囲む閉曲線上の至る所で
閉曲線の接線方向の磁束密度値(BtS)が与えられるか
のどちらか一方である。」ことが結論できる。以下、実
施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。
【0091】
【実施例】実施例1 さらに現実的な問題として、有限個の計測器が対称性の
ない真空容器壁に不等間隔に取り付られているとき、真
空領域での磁束関数を計算する方法を示す。 <計算の流れ>センサ設置閉曲線、式11上で磁束密度
値が与えられた場合、以下のように計算処理は大きく3
つのステップから成る。つまり、この閉曲線上で磁束関
数値が与えられた場合には、第2ステップから処理が行
われる。
【0092】第1ステップ:Ω B-S における積分方程式
の式11上での境界積分方程式を離散化した式31にお
いてd 1 =0とした次式を用いて、接線方向磁束密度計測
BtSからその閉曲線上での次式の磁束関数値φS を計算
する。
【0093】
【数42】
【0094】第2ステップ:Ω P-S における積分方程式
の式11および式12上での積分境界方程式を離散化し
た式29,式30においてそれぞれd 2 =0,d 3 =0とした
次式を用いて、センサ設置閉曲線上のφS から仮想プラ
ズマ閉曲線、式12上のBtP及びφP を計算する。この
際、式12はプラズマに充分含まれるように配置する。
なお、φS の要素数がφP の要素数より大きい場合は最
小2乗法により計算する。
【0095】
【数43】
【0096】
【数44】
【0097】第3ステップ:式12上でのBt P およびφ
P を用いてΩ P-B 内の積分方程式の解である式16を離
散化した次式から任意の点でのφが計算可能である。プ
ラズマ最外殻磁気面上の磁束関数値で等高線を描くこと
により形状が同定できる。
【0098】
【数45】
【0099】この式45から直ちにわかるように仮想プ
ラズマ閉曲線が決まれば、磁束密度計測値または磁束関
数値のどちらかと領域内の電流値の一次関数として任意
の点での磁束関数値が計算できることを意味している。
また、事前に必要な計算を実施しておけば、計測値との
ベクトル内積計算だけでプラズマ断面位置形状同定が可
能であり、実時間制御や実時間可視化に応用できる。
【0100】以上の式42から式45までの具体的な計
算では境界積分方程式を用いた数値計算に特有の処理が
3つ存在する。以下順にこれらの特有の処理を説明す
る。 (1)閉曲線の多角形近似、補間計算、線積分計算 積分形式を級数展開にするために線績分の離散化を行う
必要がある。さらにその積分路は2種類の閉曲線、式1
2および式11である。これらの曲線を十分細かい多角
形で近似する。
【0101】さらに、センサは不等間隔数値線績分を行
うことが必要となる。補間はB-spline補間近似式の周期
関数タイプを用いて行った。補間および積分の際の変数
は極座標系の角度とした。 (2)非正則点部分の積分計算 境界積分の経路に非正則点が一点存在するが、その点を
含む領域での線積分に対して値が有界である。したがっ
て、Riemann積分の意味で可積分である。具体的計算方
法としては、次の方法を用いる。特異点がそれほど大き
くないことを利用して多角系の辺のうち非正則点を含む
辺上の積分を直接数値積分法により行う。この時、非正
則点は辺の中点であるから辺を奇数区分に分割すれば、
非正則点が数値積分の離散点になることはないので、数
値的なオーバーフローは生じない。また積分値も十分な
精度が確保できる。 (3)仮想プラズマ閉曲線上での計算点の数 仮想プラズマ閉曲線、式12上での磁束関数値を式44
で計算する際、左辺の磁束関数値ベクトルは、積分級数
化によって現れた12の近似多角形の辺上の離散点位置
での値である。この離散点の位置は任意に選択できると
いう利点に着目して、計算する離散点の位置を少しずつ
変えて、複数回、前記式44を計算することにより多く
の磁束関数値を計算することが可能となる。実施例2 この発明であるプラズマ断面位置形状同定方法を、特殊
法人日本原子力研究所で管理するトカマク型核融合試験
装置JT-60体系のプラズマと国際原子機関(IAEA)
で設計を行っている国際熱核融合実験炉の体系のプラズ
マとに適用し、さらに信頼性の高い平衡コードによる計
算結果との比較検討を行った。
【0102】比較検討の仕方は次の通りである。(1)
平衡計算コードにより同定対象となるプラズマを作りそ
の時のセンサ位置の磁束密度値を計算する。(2)次に
その磁束密度値だけから境界積分方程式法によりプラズ
マの最外殻磁気形状を同定し、平衡コードで作ったプラ
ズマの磁気面形状と同定結果とを重ね書きして同定の良
否を判断する。
【0103】まずJT-60Uにおいて、異なるプラズマ電流
分布を持つ3つの高βp ダイバータ配位のプラズマ同定
精度への影響を調べた。センサ設置閉曲線上にBtセンサ
を50個等角度間隔で設置した。仮想プラズマ閉曲線、式
12はどの場合も同じ形状を用い、この式12上で用い
た離散点は等角度間隔で25点とした。この結果を図2〜
図4に示した。この図2〜4において、図2は基準電流
分布で、Ip=6MA, β P =0.65, li=0.76、図3はbroad 電
流分布でIp=6MA, β P =0.63, li=0.58、図4はpeak電流
分布で、Ip=6MA, β P = 0.68, li=1.0である。
【0104】この図2〜4からプラズマ電流分布の違い
は同定精度にほとんど影響を与えないことがわかる。
お、図中の実線は平衡コード出力を、破線は同定した最
外殻磁気面形状を、点線は仮想プラズマ閉曲線を、そし
て黒丸は磁束密度センサ設置点をそれぞれ示している。
続いてITERのプラズマへの適用例の結果を図5〜10に
示す。これら図5〜10の図中の実線は平衡コード出力
を、破線は同定した最外殻磁気面形状を、点線は仮想プ
ラズマ閉曲線を、そして白丸は磁束密度センサ設置点を
それぞれ示している。図5には標準的なダブルヌルダイ
バータ配位の高βp プラズマの同定結果を示す。ここで
は、Ip=22MA, β P =1.0, li=0.93 である。図6から
図9までは、それぞれ図5に対する比較であり、図6は
β P の違いによる影響でβ P =0.1である。図7は式12
の形の違いによる影響である。図8はセンサ設置位置の
違いによる影響である。図9はBt信号及びロイダル磁
場コイル電流値の全てに標準偏差1%の正規乱数ノイズを
印加した場合の影響を調べた結果である。センサ設置閉
曲線上にBtセンサ48個を次式に示すθに関する曲線上で
θに対して等角度間隔上下対称に設置した。
【0105】
【数46】
【0106】使用した値は図5、6、7および9ではa=
2.3m, κ=2.2、図8ではa=2.9m, κ=2.2である。式12
は図5、6、7および9において同じ位置形状であり、
式12上で用いた離散点は、等角度間隔で20点である。
これらから、βp の違いや仮想プラズマ閉曲線の影響は
きわめて小さいことがわかる。また、センサ位置の影響
が最も大きく、センサの設置密度が精度に関することが
わかる。さらに、1%という大きなノイズの印加でも十分
ロバストであることがわかる。
【0107】図10は、円形リミタプラズマへの適用例
を示したものである。Btセンサは24個を式46に示すθ
に関する曲線上でθに対して等角度間隔上下非対称で設
置した。使用した値はa=2.4m,κ=2.4である。式12上
で用いた離散点は等角度間隔で8点である。この場合も
良好な同定結果が得られた。
【0108】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、プラズマを取り囲む閉曲線上の至る所で磁束関数
値(φS)が与えられるか、またはプラズマを取り囲む閉
曲線上の至る所で閉曲線の磁束密度値(BtS)が与えられ
るかにより、プラズマ内部についての情報をまったく用
いずに最外殻磁気形状を同定することが可能となった。
【0109】さらに、この発明では、偏微分方程式解法
理論に基づく解析解を離散的に数値解法する方法である
ため、適切な数の電磁気計測器さえあれば、装置の形な
どに依存せず、精度が良く汎用性の高いトカマクプラズ
マ断面位置形状同定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の解析領域を示した断面図である。
【図2】この発明の実施例としてJT-60Uの同定結果と平
衡コードで作ったプラズマの磁気面形状とを重ね書きし
た図である。
【図3】この発明の実施例としてJT-60Uの同定結果と平
衡コードで作ったプラズマの磁気面形状とを重ね書きし
た図である。
【図4】この発明の実施例としてJT-60Uの同定結果と平
衡コードで作ったプラズマの磁気面形状とを重ね書きし
た図である。
【図5】この発明の実施例としてITERの同定結果と平衡
コードで作ったプラズマの磁気面形状とを重ね書きした
である。
【図6】この発明の実施例としてITERの同定結果と平衡
コードで作ったプラズマの磁気面形状とを重ね書きした
である。
【図7】この発明の実施例としてITERの同定結果と平衡
コードで作ったプラズマの磁気面形状とを重ね書きした
である。
【図8】この発明の実施例としてITERの同定結果と平衡
コードで作ったプラズマの磁気面形状とを重ね書きした
である。
【図9】この発明の実施例としてITERの同定結果と平衡
コードで作ったプラズマの磁気面形状とを重ね書きした
である。
【図10】実施例としてITERの円形リミタプラズマの
定結果と平衡コードで作ったプラズマの磁気面形状とを
重ね書きした図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状電流を持つトカマクプラズマにおい
    て、ポロイダル磁場コイルを配置した真空容器内のプラ
    ズマを取り囲む位置に複数の電磁計測器を配置し、解析
    対象領域を 解析全閉領域 Ω B 電磁計測器配置閉領域 Ω S 仮想プラズマ閉領域 Ω P とに区分してこれら各領域についての断面閉曲線として 解析全領域閉曲線 ∂Ω B 電磁計測器配置閉曲線 ∂Ω S 仮想プラズマ表面閉曲線 ∂Ω P を設定し、前記領域については、相互の間Ω B-S 、Ω
    P-S 、Ω P-B で磁束関数値φが、Grad-Shafranov方程式
    へのグリーン関数の導入により導かれる次の積分方程式 で表現され、かつ、この表現により、前記閉曲線上につ
    いて境界積分方程式が構成されることとし、以下の手
    順; <1> 電磁計測器により計測された接線方向の磁束密
    度計測値Bt S から、解 析全閉領域と電磁計測器配置閉
    領域との間の積分方程式における電磁計測器 配置閉曲線
    上での境界積分方程式を離散化した行列方程式により数
    値解法し て電磁計測器配置閉曲線上の磁束関数値φ S
    求め、 <2> 実際のプラズマ領域には仮想プラズマ領域が含
    まれるとして、仮想プラ ズマ閉領域と電磁計測器配置閉
    領域との間の積分方程式における仮想プラズ マ表面閉曲
    線上と電磁計測器配置閉曲線上での境界積分方程式を離
    散化した 行列方程式によって前記φ S から数値解法し、
    仮想プラズマ表面閉曲線上の 磁束密度Bt P と磁束関数
    値φ P とを求め、 <3> 前記のBt P およびφ P を用いて、解析全閉領
    域と仮想プラズマ閉領域 との間の積分方程式を離散化し
    次式 により任意の点での磁束関数値φを求め、このプラズマ
    最外殻磁気表面上の 磁束関数値で等高線を描くことによ
    りプラズマ断面位置の形状を同定することを特徴とする
    プラズマ断面位置形状の同定方法。
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Title
プラズマ・核融合学会第9回年会予稿集,P.133,NO.26AA7 境界積分方程式の解法に基づくトカマク・プラズマの位置形状検出法(1992年3月)

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