JP2638227B2 - マグネシアウィスカーの製造装置 - Google Patents

マグネシアウィスカーの製造装置

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JP2638227B2 JP29797789A JP29797789A JP2638227B2 JP 2638227 B2 JP2638227 B2 JP 2638227B2 JP 29797789 A JP29797789 A JP 29797789A JP 29797789 A JP29797789 A JP 29797789A JP 2638227 B2 JP2638227 B2 JP 2638227B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はマグネシアウィスカーの製造装置に係り、特
にマグネシアウィスカーを高温かつ所定濃度の水蒸気雰
囲気にて連続的に効率的に製造することができるマグネ
シアウィスカーの製造装置に関する。
[従来の技術] 近年、宇宙開発技術等の進展により、耐熱性、高強度
の無機繊維が開発され、今日、Al2O3,C,SiC,Si3N4,AlN
等のウィスカーが複合材料や耐火、断熱材料の構成材料
として利用されつつある。また、マグネシアウィスカー
についても、検討が進められている。
ウィスカーは、細い繊維状単結晶で、ひげ結晶ともい
われる。ウィスカーの特徴は、細いほど結晶の欠陥(転
移など)が非常に少ないことで、螺旋転移の存在ではよ
じれが起きたり、弾性限界が低かったりすることで結晶
の完全性が検出できる。従って、ウィスカーは著しく大
きな強度を有しており、各種複合材料における強化材と
して好適である。
従来、マグネシアウィスカーの製造装置としては、オ
ートクレーブや管状雰囲気炉が用いられていた。特に、
高温で所定の濃度の水蒸気雰囲気で製造する場合に使用
される炉は、第2図に示す如く、炉11内が一層式の管状
雰囲気炉であり、製造には、原料(マグネシウム塩とハ
ロゲン化物との混合物)12を室温で石英等の容器13に入
れ、これを炉11内に閉じ込めてヒーター15により昇温し
て水蒸気と反応させ、その後冷却し、室温で生成物を取
り出していた。14は炉芯管の端部の閉鎖部材を示す。
[発明が解決しようとする課題] 第2図に示す構成の装置では、雰囲気チャンバー14に
原料12を仕込むことから、原料投入、生成物回収のため
にはその都度炉11を冷却しなければならない。このた
め、回分式の製造方法しかとれず、生産効率が低いとい
う問題点があった。
本発明は上記従来装置における回分式製造方法に制限
されるという問題点を除去し、連続式にて、高い生産性
でマグネシアウィスカーを製造することができる装置を
提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 請求項(1)のマグネシアウィスカーの製造装置は、
加熱手段を備える雰囲気炉(内部の雰囲気を調節可能な
炉)と、該雰囲気炉内を上下の室に仕切るように略水平
方向に設けられており、かつ、その板面方向に移動可能
な多孔質セラミック板と、該雰囲気炉内の多孔質セラミ
ック板の上面に原料を供給する手段と、該雰囲気炉内の
下側の室に水蒸気含有ガスを供給するガス供給管及び炉
内からガスを排出するガス排出管と、該多孔質セラミッ
ク板の下面に生成したウイスカーを剥離させる剥離手段
と、該剥離手段の下方に設けられた生成物回収容器と、
を備えることを特徴とする。
請求項(2)のマグネシアウィスカーの製造装置は、
請求項(1)のマグネシアウィスカーの製造装置におい
て、多孔質セラミック板の気孔率が20〜70%、細孔径が
10〜100μmであることを特徴とする。
[作用] 本発明のマグネシアウィスカーの製造装置では、雰囲
気炉内が多孔質セラミック板により上下の室に仕切られ
ており、上側の室は原料融解域、下側の室は反応生成域
とされている。即ち、加熱手段により高温に加熱された
雰囲気炉内の多孔質セラミック板の上面に原料(例えば
マグネシウム塩とハロゲン化物との混合物)を供給する
と、原料が融解し、多孔質セラミック板に滲透してその
下面側に融液が表面張力で保持される。このようにし
て、雰囲気炉内の反応生成域に保持された融液は水蒸気
含有ガスの存在下で反応して多孔質セラミック板の下面
にマグネシアウィスカーを生成する。生成したマグネシ
アウィスカーは、剥離手段により剥離され、剥離手段の
下方に設けられた生成物回収容器内に回収される。
本発明のマグネシアウィスカーの製造装置では、上記
手順にて原料の供給と回収を繰り返し行なうことによ
り、連続的に、短時間で効率的にマグネシアウィスカー
の製造を行なうことができる。
請求項(2)のマグネシアウィスカーの製造装置によ
れば、多孔質セラミック板への原料融液の滲透及び保持
が効率的に行なわれる。
[実施例] 以下に図面を参照して本発明の実施例について説明す
る。
第1図は本発明のマグネシアウィスカーの製造装置の
一実施例を示す概略的な断面図である。
本実施例のマグネシアウィスカーの製造装置は、管状
雰囲気炉1の炉芯管1A内に略水平方向に多孔質セラミッ
ク板2が設けられており、炉芯管1A内が上下2室に仕切
られている。この多孔質セラミック板2は、その板面方
向(矢印A,B)にスライド可能に設けられており、炉芯
管1A内の上側の室は原料融解チャンバー3、下側の室は
反応生成チャンバー4とされる。
炉芯管1Aの上部には、炉芯管1A内の多孔質セラミック
板2の上面2Aに原料(例えば、マグネシウム塩とハロゲ
ン化物との混合物)を供給するためのホッパー6が設け
られており、このホッパー6にはロータリーバルブや開
閉バルブ6Aが取り付けられている。
炉芯管1Aの下側の室、即ち、反応生成チャンバー4に
は、水蒸気含有ガスを供給するガス供給管7及びチャン
バー4からガスを排出するガス排出管8が設けられてい
る。また、多孔質セラミック板2の下面2Bに生成したウ
ィスカーを剥離させるためのスクレーパー9が設けら
れ、このスクレーパー9の下方には生成物回収容器10が
設けられている。11はヒーターである。
本実施例のマグネシアウィスカーの製造装置によりマ
グネシアウィスカーを製造するには、まず、ヒーター11
により管状雰囲気炉1の炉芯管1Aを所定の温度、例えば
600〜900℃に加熱する。次いでホッパー6のバルブ6Aを
開いて原料5を炉芯管1A内の多孔質セラミック板2の上
に投下させる。多孔質セラミック板2上の原料融解チャ
ンバー3内に保持された原料5は加熱溶融し、融液は多
孔質セラミック板2の細孔を滲透して多孔質セラミック
板2の下面2B側に表面張力で保持される。
多孔質セラミック板2の下面2Bに保持された融液12は
供給管7から供給される空気及び水蒸気と接触してマグ
ネシアウィスカーを生成させる。
このようにして多孔質セラミック板2の下面2Bに生成
したマグネシアウィスカーは、多孔質セラミック板2を
その板面方向にスライドさせることにより、多孔質セラ
ミック板2の下面2Bに接するように設けられたスクレー
パー9でそぎ落とされ、回収容器10内に回収される。
本発明のマグネシアウィスカーの製造装置において
は、このような原料投入から回収までの一連の操作を繰
り返して行なうことにより、連続的にマグネシアウィス
カーの製造を行なうことができる。
なお、本発明において、多孔質セラミック板の気孔率
は20〜70%、特に40〜60%であることが好ましい。気孔
率が20%未満では原料融液の滲透が十分なされず、また
70%を超えると融液の保持が不十分となり融液が落下し
てしまうおそれがある。また、その細孔径は10〜100μ
m、特に20〜50μmであることが好ましい。細孔径が10
μm未満では原料融液の滲透が十分なされず、100μm
を超えると融液の保持が不十分となり融液が落下してし
まうおそれがある。このような多孔質セラミック板の材
質としては特に制限はないが、アルミナ、マグネシア、
石英ガラス、炭化ケイ素、ムライト等を用いるのが好ま
しい。
本発明のマグネシアウィスカーの製造装置においてマ
グネシアウィスカーの原料としては、マグネシウム塩と
ハロゲン化合物との混合物が用いられる。
原料として用いるマグネシウム塩としては、MgCl2・6
H2O、KMgCl3・6H2O、MgSO4・7H2O等が挙げられ(なお、
硝酸塩など他の無機塩でも良い。)、これらは1種単独
であるいは2種以上併用して用いることができる。本発
明においては、特にMgCl2・6H2Oが有効である。なお、
本発明においては、上記含水マグネシウム塩に限らず、
無水マグネシウム塩を用いることもできる。
一方、ハロゲン化合物としては、カリウム、ナトリウ
ム、リチウム、カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ
土類金属のハロゲン化物とりわけ塩化物が挙げられ、特
に塩化カリウムが有効である。ハロゲン化合物について
も1種のみであるいは2種以上併用して用いることがで
きる。
このようなマグネシウム塩とハロゲン化合物との混合
割合は特に制限はないが、一般にはマグネシウム塩に対
するハロゲン化合物のモル比が0.3〜1.5の範囲となるよ
うに調合するのが好適である。
一方、炉内に導入する水蒸気を含むガスの水分濃度は
0.005〜0.003モル/lであることが好ましく、またその供
給速度は3〜7×10-4m/secであることが好ましい。水
蒸気を含むガスの水蒸気以外の成分は空気で十分である
が、窒素などでも良い。
以下、実験例について説明する。
実験例1(本発明例) 第1図に示すマグネシアウィスカーの製造装置により
マグネシアウィスカーの製造を行なった。
まず、MgSO4・7H2O、MgCl2・6H2O及びKCl(いずれも
和光純薬社製特級試薬)を下記割合で混合して調合原料
を調製した。なお、この原料混合物中のMg/Kモル比は1/
1であり、MgSO4・7H2OとMgCl2・6H2Oとの合量に対するM
gSO4・7H2Oの割合は1モル%である。
MgSO4・7H2O: 2.6g MgCl2・6H2O:104.4g KCl : 39.1g 得られた原料を原料ホッパー6に入れた。管状雰囲気
炉1の炉芯管1Aは直径300mmφ、長さ1800mmで、内部を
仕切る多孔質セラミック板2は幅290mm、長さ2500mm、
厚さ25mmで、気孔率50%、細孔径20〜50μmのものであ
る。この管状雰囲気炉1をヒーター11により850℃に昇
温させた後、原料ホッパー6のバルブ6Aを開き、原料を
多孔質セラミック板2上方の原料融解チャンバー3内に
投下させ、30分保持した。30分間で原料は完全に融解し
て、融解原料は多孔質セラミック板2を滲透して下方の
反応生成チャンバー4に到達する。そして、多孔質セラ
ミック板2の下面2B側に原料液膜12を形成する。次に、
反応生成チャンバー4に供給管7より乾燥空気を1/m
inで流通させ、これと共に水蒸気を2.3×10-3モル/lの
濃度で供給し、この雰囲気下で850℃にて1時間保持し
た。
その後、多孔質セラミック板2の下面2Bに生成した生
成物を多孔質セラミック板2をその板面方向にスライド
させることによりスクレーバー9でそぎ落とし、回収容
器10内に回収し、一工程を終了した。
上記一連の一工程の所要時間は約90分であった。
この操作を10回繰り返し、その後、回収容器内生成物
を蒸留水で洗浄し精製マグネシアウィスカーを得た。得
られたウィスカーの収量、所要時間、単位時間当りの収
率は第1表に示す通りであった。
実験例2(比較例) 第2図に示す装置によりマグネシアウィスカーの製造
を行なった。実験例1で調製したと同様の原料を第2図
に示す如く、容器13(長さ300mmの石英製ボート)に仕
込み、これをガス挿入設備を具備した直径300mmφ、長
さ1800mmの管状雰囲気炉11に入れ、乾燥空気を1/min
の速度で流通させながら室温から4℃/minの昇温速度で
850℃まで昇温し、乾燥空気と共に水蒸気を2.3×10-3
ル/lの濃度で流通させながら850℃で3時間焼成した。
その後室温まで炉冷し、生成物を回数し蒸留水で洗浄
してマグネシアウィスカーを得た。
得られたマグネシアウィスカーの収量、所要時間、単
位時間当りの収率は第1表に示す通りであった。
第1表より、本発明のマグネシアウィスカーの製造装
置によれば、生産効率が従来に比べて大幅に向上するこ
とが明らかである。
[発明の効果] 以上詳述した通り、本発明のマグネシアウィスカーの
製造装置によれば、マグネシアウィスカーの製造を連続
的に行なうことが可能とされ、生産効率は大幅に向上さ
れる。
請求項(2)のマグネシアウィスカーの製造装置によ
れば、生産効率はより一層高められる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のマグネシアウィスカーの製造装置の一
実施例を示す概略的な断面図、第2図は従来装置を示す
概略的な断面図である。 1…管状雰囲気炉、1A……炉芯管、2…多孔質セラミッ
ク板、5…原料、6…ホッパー、9…スクレーパー、10
……回収容器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 博 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱鉱業セメント株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特公 昭50−25907(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱手段を備える雰囲気炉と、 該雰囲気炉内を上下の室に仕切るように略水平方向に設
    けられており、かつ、その板面方向に移動可能な多孔質
    セラミック板と、 該雰囲気炉内の多孔質セラミック板の上面に原料を供給
    する手段と、 該雰囲気炉内の下側の室に水蒸気含有ガスを供給するガ
    ス供給管及び炉内からガスを排出するガス排出管と、 該多孔質セラミック板の下面に生成したウィスカーを剥
    離させる剥離手段と、 該剥離手段の下方に設けられた生成物回収容器と、 を備えることを特徴とするマグネシアウィスカーの製造
    装置。
  2. 【請求項2】多孔質セラミック板は、気孔率20〜70%、
    細孔径10〜100μmの多孔質セラミックよりなることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の装置。
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