JP2637672C - - Google Patents

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JP2637672C
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JP
Japan
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polymer
wound
wound dressing
weight
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English (en)
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日本ビー・エックス・アイ株式会社
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は創傷被覆材用組成物に関する。より詳細には、透明であるため創部の
肉眼観察が容易で、創傷部への適用に際し、患者に苦痛を与えることなく容易に
創傷部への又は創傷部からの着脱が可能で、かつ柔軟性に富み、しかも創傷患部
及びその周辺部に清涼感を与えると共に生体の抵抗性と治癒機転を促進する等の
優れた諸特性を綜合的に有する創傷被覆材用組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来やけど、切り傷等の創傷部を被覆保護するための被覆剤又は材としては、
油剤、軟膏等のものが用いられ、たとえば、これらを治療処置後の創傷部に塗布
し、更に油紙、ガーゼ、脱脂綿又はばんそうこう等で覆う方法が一般的であった
。 【0003】 しかしながら、これらの従来の創部被覆剤は、あるものは創傷部上に滲出する
血液、薬剤、その他の滲出液を十分に保持することが出来なかったり、又あるも
のは、創傷塗布部への酸素や湿気分の透過が十分でなかったり、又あるものは創
傷部への細菌侵入を十分に阻止できなかったり等のいずれかの欠点を有し、しか
も、それら被覆剤又は材の創部への着脱に際し、患者に苦痛を与えるものが多か
った。又、被覆創部及びその周辺部の接着面に強く粘り付く性質を有するものも
多く、これらの欠点をともなわない創傷被覆剤又は材の出現が当業界においては
強く望まれていた。 【0004】 このような従来の創傷被覆剤の欠点を改善するための新しい創傷被覆剤もすで
にいくつか提案されており、たとえば、キチン、キトサンを主成分とした創傷被
覆用材等がすでに提案されている。 しかしながら、キトサンは高価な物質であるだけでなく、キトサン膜による創
部被覆は、創部が表在性潰傷の場合は比較的有効であるが、深部の潰傷等に対し
ては必ずしもその効果は十分でなく、又特に滲出液を多く出す創傷に対しては、
その吸収、及び外部への滲出抑止効果がいまだ満足し得るものではない。 【0005】 【発明が解決しようとする問題点】 本願発明は、上記した従来の創傷被覆剤又は材の欠点を全て解消すると共に更
に、透明であって創傷部を直接肉眼観察することができ、かつ損傷創部に対して
涼感を与え、更には被覆下において創部での白血球等の食作用や細胞成長に好適
な環境を与えることの出来る、創傷被覆剤又は材としての諸特性に綜合的に優れ
た創傷被覆材用組成物を提供することを目的としたものである。 【0006】 【問題点を解決するための手段】 本発明によれば、高分子多糖類とアクリル誘導体の重合体とよりなる含水複合
体を主成分とし、含水複合体が アクリル誘導体の重合体 10乃至30重量部、 高分子多糖類 5乃至20重量部、 塩化ナトリウム 5乃至10重量部、 及び 水 980乃至940重量部、 の組成を有している 創傷被覆材用組成物が提供される。 【0007】 【作用】 本発明の創傷被覆材用組成物は、ゲル状多糖類たとえば寒天、ペクチン、アラ
ビヤゴム等とアクリル誘導体よりなる重合体例えばポリアクリルアミド等とが特
定割合で配合されてなり、かつ両者が特定状態で架橋した2混交型分子ネットワ
ーク構造を有する含水複合体より実質的に構成されていることが顕著な特徴であ
る。 【0008】 本発明において、該複合体は、生体の分秘液や蛋白質は通過するが、細胞やバ
クテリアは通過出来ない程度に部分的に分子鎖間が架橋されている点が重要であ
って、このような部分架橋構造を有する本願発明のゲル状複合体は、小さな分子
は自由にゲル状複合体中を通過乃至透過できるだけでなく百万ダルトン以上の分
子量を有する蛋白質もまた通過できる。 【0009】 一方、バクテリヤや単細胞微生物等は通過乃至透過させない。又本発明のゲル
状複合体は多量の結合状水分すなわち、固形成分に対し約96%もの結合水を含
有することができ、この複合体含有水分の一部を乾燥等により脱水したものは強
い吸水性を示す。 又、多糖類として寒天等を用い、これにポリアクリルアミドを配合した複合体
は、特に透明性に優れ、この複合体を用いて創傷被覆膜を形成させると創部の膜 を剥すことなく観察することができる。 【0010】 一般に合成高分子等により調製されたゲル状物質は食塩水等の塩類を含む水に
対しては収縮、凝固等の現象を生ずるが、本発明の複合体ゲルはたとえば生理食
塩水等の塩含有水中においても全くこのような変化を生じない。 更に、高度な弾性と柔軟性を有し、しかも発熱部を冷却し、創部等の発熱ケ所
に清涼感を与えるという特性をも有している。 【0011】 本発明の上記特定複合体において、構成高分子鎖の架橋とは必ずしも分子鎖間
が共有結合等の化学結合により架橋されていることのみを意味するのではなく、
互いの高分子鎖の間に生成する分子鎖間のからみ合い等により生ずる近接分子鎖
間の水素結合、それら分子鎖に金属イオン等が介在することによって生ずるイオ
ン結合又はキレート結合及び配位結合等による実質的な架橋状態をも包含するも
のである。 【0012】 特に本発明において、アミド基を含有する重合体が配合されている複合体は該
アミド基とカルボキシル基又は水配基との間の上記架橋が該複合体の物性に重要
な役割を果たしているものと考えられる。 【0013】 【発明の好適態様】 (高分子多糖類) 本発明で用いる高分子多糖類としては、水等を添加してたとえば加熱等により
溶解し、それを冷却することによりゲル状物を形成出来る多糖類であればよいが
、このような多糖類としては、寒天、アラビヤゴム、ペクチン、トラガントゴム
、デンプンガラクトマンナン、アガロース、アルギン酸、カラーギーナン、プロ
テオグリカン、グリコプロテイン等を例示することができる。 【0014】 これらの多糖類の内、寒天、ペクチン、カラーギナン、が好適であり、特に寒
天が好ましい。 寒天の主成分はアガロースとアミロペクチンであると云われており、アガロー
ルは多くの水酸基を含み、そのゲルは二重ラセン構造が凝集して安定な橋架け構
造を形成するためそれ自体でゲルは比較的高い融点を有するが、90℃以上に加
熱すると分子間の水素結合が切れて水に溶解し、30℃に冷却すると再びゲル化
する。 この寒天に後述するポリアクリルアミド等を特定量配合して加熱混合したもの
は、両者の分子間に更に適当な間隔で架橋が生じ、本願発明の創傷被覆材用組成
物として最も適した性質を有する含水複合体を形成する。 【0015】 (アクリル誘導体又はその重合体) 本願発明の含水複合体を形成するもう一つの必須構成であるアクリル誘導体よ
りなる重合体としては、アクリル酸又はメタアクリル酸のエステル、金属塩、又
はアクリル酸アミド類、メタアクリル酸アミド類の重合体、共重合体等を例示す
ることができる。 【0016】 本発明においてはこれらの内、アクリル酸アミド類、メタアクリル酸アミド類
及びそれらの重合体、共重合体又はそれらのブレンド物の使用が好ましく、具体
的には、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−アルキルアクリルアミドた
とえばN−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルア
クリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、
N−イソブチルアクリルアミド、N−第2級ブチルアクリルアミド、N−第3級
ブチルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミドたとえば、N,N−
ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等重合体、共重合体
又はそれらのブレンド物を挙げることができる。 特にアクリルアミド、メタアクリルアミド重合体、すなわち、ポリアクリルア
ミド、ポリメタアクリルアミドの使用が好ましい。 【0017】 (含水複合体及びその製法) 本発明の創傷被覆材用組成物を構成する含水複合体は前記ゲル状物を形成し得 る多糖類と前記アクリル誘導体の重合体及び水とよりなり、その組成は、アクリ
ル誘導体成分100重量部に対し、多糖類成分が実質重量(乾燥状態での重量)
として10乃至300重量部の割合で配合されたものであり、食塩、その他の添
加剤を除けば他は水分より構成されている。 【0018】 上記複合体ゲルの組成は、創傷被覆の態様等により変動するが、たとえば典型
的なウエットフィルムとしての用途の場合、ポリアクリルアミド等の重合体成分
10乃至30重量部、寒天等の多糖類成分5乃至20重量部、塩化ナトリウム等
の添加物5乃至10重量部、水980乃至940重量部の組成を有している。 【0019】 上記した含水ゲル状複合体を調製するには、必ずしもこれに限定されるもので
はないがたとえば、水溶液中に上記ポリアクリルアミド等のアクリル系重合体の
粉末等と、寒天等の多糖類の粉末乃至細片を入れ、攪拌混合しながら加熱する、
寒天とポリアクリルアミド重合体の場合であれば90℃以上の温度に数十分間加
熱攪拌することにより両者は完合に相溶された粘性溶液を形成する。これに食塩
等を所定量配合し、その後冷却放置しゲル化されることにより得られる。又、上
記した多糖類とアクリル誘導体系重合体にごく少量の架橋剤たとえばエチレング
リコールジメタアクリレート、メチレンビスアクリルアミド等を配合し、過酸化
物又は光、放射線等の存在により架橋結合を生成させてもよい。 【0020】 又アルデヒド、N−メチロール化合物、ジカルボン酸ビスエポキシなどを用い
て分子鎖や水酸基又はアミノ基等と反応させ架橋させてもよい。 又Mg2+,Ca2+等のイオンを介在させて架橋を生じさせることもできる。 【0021】 (創傷被覆材組成物) 本発明における創傷被覆材用組成物は、上記した含水複合体に適量の塩化ナト
リウム、更には必要に応じて消毒用薬剤等を配合したものを、フィルム状に成型
するか、又は、上記組成物を減圧乾燥等により脱水し、ドライな状態としてフィ
ルム状に成型するか、又は粒状ゲルに成型して得られる。 【0022】 本発明の組成物を創傷被覆用材として施用するに際しての使用方法としては、
創部が人体の皮膚表面等の表在性創部の場合はフィルム形に成形された組成物を
処置後の創部の輪郭と周りの健常な皮膚とをともにおおうサイズに切り取り、該
創部が中心部となるように直接置き、その上にガーゼ等の吸収素材を置き、包帯
その他の被覆材でおおう。 【0023】 創部が深部におよぶ場合には、顆粒状に成形した組成物を創部に注入した後更
にフィルム状組成物を上からかぶせるように表面を覆うように施用するのがよい
。 【0024】 以下本願発明の創傷被覆材用組成物を実施例により更に詳細に説明する。 【0025】 【実施例】 粉末状ポリアクリルアミド23g、塩化ナトリウム10g、乾燥状態の寒天小
片9gに水958gを加え、これら配合物が透明なやや粘稠性を有する均一溶液
状となるまで攪拌下に加熱した。 この溶液を型中に流し込み、冷却してシート状に成形し、透明で柔軟な厚さ約
2.5mmのシート状ゲル状組成物を得た。このゲル状組成物は皮膚等に強く粘
着しない。 この組成物のシートをエチレンオキサイドガス滅菌法により滅菌消毒し、下記
の評価実験を実施した。 【0026】 (バクテリア浸透試験) 組成物のシート切片をペトリ皿の含栄養寒天基質上に置き、組成物上層表面に
バクテリアを植え付けた。これらの培養皿を4日間、室温、湿環境下で保持した
。 バクテリア移植後30時間ですべてのゲルシートにはバクテリアの密集した成
長が認められた。 4日後、バクテリアが成長したゲルシートを取り除き含栄養寒天基質を24時 間、37℃でインキュベートした。 組成物ゲルシートがのせてあった領域では、バクテリア成長は観察されなかっ
た。 すなわち、バクテリアはゲルシートを透過しなかった。 なお、バクテリア以外の下記の菌株についても同様の透過実験を実施したがい
ずれも菌の透過は認められなかった。 a サルモネラ チヒムリウム(Salmonella typhimurium) b エセリチア コリー(Escherichia coili) c シュードモナアス アルギノサ(Pseudomonas aeruginosa) 又コウジカビ菌(Asperigillus niger)を移植した実験においても、組成物ゲル
表面の菌は移植後数日で成長をはじめたが、移植10日後においてもシートを通
しての菌の透過は観察されなかった。 【0027】 (免疫試験) 本発明のゲル組成物にフロイント助剤を加え均一に混合したものを試料とし、
これをウサギに注入した。 血液サンプルを種々の間隔で採取し、特に組成物中に含まれるポリアクリルア
ミドに対する抗体の存在が認められるかどうかを、その血奨について調べた。 抗体検査はアフィニティクロマトグラフィーによる方法と間接蛍光発光法によ
る特異抗体の検出方法とを併用した。 いずれの方法によっても、ポリアクリルアミド成分に対する特異的抗体は検出
されなかった。 【0028】 (アレルギー試験) 健康な男女成人35人を被験者としてパッチテストを行った。 24乃至48時間後に、皮膚に刺激性又は不快感を訴えた者は無かった。 又48時間のパッチテストを10回繰り返し、更に14日後に同様のテストを
10回繰り返し行った。 合計で54日間の実施試験の後も遅発性アレルギーは観察されなかった。 【0029】 【発明の効果】 本発明の創傷被覆材用組成物は上記した構成を有するものであるため、透明で
創部の肉眼観察が容易で、又創部や皮膚に粘着しないため着脱が容易である。 又柔軟性に富むため患部の形状に適応して完全な被覆が可能である。 しかも薬剤、食塩等の成分に対して透過性を有し、又酸素等の溶解浸透が可能
であるだけでなく生体の分秘物や蛋白質をも透過させる。 一方バクテリア等の細菌類は透過させることがない等の特性を有する。 又人体には全く無害で、アレルギー性も全くない等創傷被覆材用組成物として
総合的にきわめて優れた諸特性を有する。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 高分子多糖類とアクリル誘導体の重合体とよりなる含水複合体
    を主成分とし、含水複合体が アクリル誘導体の重合体 10乃至30重量部、 高分子多糖類 5乃至20重量部、 塩化ナトリウム 5乃至10重量部、 及び 水 980乃至940重量部、 の組成を有している 創傷被覆材用組成物。 【請求項2】 前記高分子多糖類が寒天、アラビアゴム、ペクチン、トラガン
    トゴム、ガラクトマンナン及びそれらを主成物とする組成物の少くとも1種であ
    る請求項1記載の創傷被覆材用組成物。 【請求項3】 前記アクリル誘導体の重合体が分子中にアミド結合を有するア
    クリル誘導体の重合体である請求項1記載の創傷被覆材用組成物。 【請求項4】 前記アクリル誘導体の重合体がポリアクリルアミド又はポリメ
    タアクリルアミドである請求項3記載の創傷被覆材用組成物。 【請求項5】 前記含水複合体がポリアクリルアミドと寒天との配合組成物よ
    りなる請求項1記載の創傷被覆材用組成物。

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