JP2636405B2 - 豚受精卵の低温保存方法 - Google Patents
豚受精卵の低温保存方法Info
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- JP2636405B2 JP2636405B2 JP1059574A JP5957489A JP2636405B2 JP 2636405 B2 JP2636405 B2 JP 2636405B2 JP 1059574 A JP1059574 A JP 1059574A JP 5957489 A JP5957489 A JP 5957489A JP 2636405 B2 JP2636405 B2 JP 2636405B2
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- fertilized
- blastocyst
- pigs
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- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は豚の受精卵の保存方法に関するものである。
また本発明はこのように保存された豚の受精卵を用いる
ことによる受精卵の移植を効率的に実施する方法に関す
るものである。
また本発明はこのように保存された豚の受精卵を用いる
ことによる受精卵の移植を効率的に実施する方法に関す
るものである。
更に具体的には本発明は豚の受精卵をその生存性を損
なうことなく−20℃以下で、かつ−35℃より高い温度の
低温に保存する方法およびこのように保存された豚の受
精卵を用いる受精卵の移植を効率的に実施する方法に関
する。
なうことなく−20℃以下で、かつ−35℃より高い温度の
低温に保存する方法およびこのように保存された豚の受
精卵を用いる受精卵の移植を効率的に実施する方法に関
する。
ヒトを含む大型の哺乳動物、例えば牛、馬、豚、羊、
山羊などおよび小型の哺乳動物、例えば兎、マウス、ラ
ツトなどの繁殖方法として、体内または体外で受精した
受精卵を体内に戻して受胎させることは既に実験的に行
ななわれており、多くの成功例が報告されている。この
方法をより容易化し、また遠隔地で採取された受精卵を
利用可能とするために、受精卵の低温又は凍結保存の多
くの試みがこれまでになされている。そして豚以外に上
記した哺乳動物の受精卵ではこのような試みが成功して
おり、かかる受精卵の低温又は凍結保存技術の確立によ
って受精卵の遠隔地への輸送が可能となり、夫々の動物
種の品種改良、繁殖手段の多様化に役立っている。
山羊などおよび小型の哺乳動物、例えば兎、マウス、ラ
ツトなどの繁殖方法として、体内または体外で受精した
受精卵を体内に戻して受胎させることは既に実験的に行
ななわれており、多くの成功例が報告されている。この
方法をより容易化し、また遠隔地で採取された受精卵を
利用可能とするために、受精卵の低温又は凍結保存の多
くの試みがこれまでになされている。そして豚以外に上
記した哺乳動物の受精卵ではこのような試みが成功して
おり、かかる受精卵の低温又は凍結保存技術の確立によ
って受精卵の遠隔地への輸送が可能となり、夫々の動物
種の品種改良、繁殖手段の多様化に役立っている。
豚の受精卵に対しても同様の低温又は凍結保存の試み
がこれまでになされたが、豚の受精卵は15℃以下の低温
に曝されただけで死滅すること(例えばC.Polgeらによ
るCryobiology第11巻第560頁(1974)参照)から、かか
る試みは成功せず、従って豚受精卵の低温保存は全く不
可能と考えられていた。
がこれまでになされたが、豚の受精卵は15℃以下の低温
に曝されただけで死滅すること(例えばC.Polgeらによ
るCryobiology第11巻第560頁(1974)参照)から、かか
る試みは成功せず、従って豚受精卵の低温保存は全く不
可能と考えられていた。
このような状況に鑑み、本発明者らは豚の受精卵をそ
の生存性を損なうことなく−20℃以下で、かつ−35℃よ
り高い温度の低温において保存しうる条件を研究し本発
明を完成したのである。
の生存性を損なうことなく−20℃以下で、かつ−35℃よ
り高い温度の低温において保存しうる条件を研究し本発
明を完成したのである。
上記した哺乳動物の受精卵に対する低温又は凍結保存
の試みは従来から2細胞期、4細胞期、8細胞期、桑実
胚期および胚盤胞期までの受精卵に対して行なわれてい
る。そしてこれらの発生段階の受精卵は透明帯と呼ばれ
る卵膜に包まれかかる膜の保護作用下にあることから一
般に受精卵が低温による障害を受けないためには上記発
生段階の受精卵を取り扱うことが好結果をもたらすもの
と予想されたのである。事実この予想は豚以外の哺乳動
物の受精卵では正しいものであったが豚の受精卵に対し
ては予想通りではなかったのは上記した通りである。
の試みは従来から2細胞期、4細胞期、8細胞期、桑実
胚期および胚盤胞期までの受精卵に対して行なわれてい
る。そしてこれらの発生段階の受精卵は透明帯と呼ばれ
る卵膜に包まれかかる膜の保護作用下にあることから一
般に受精卵が低温による障害を受けないためには上記発
生段階の受精卵を取り扱うことが好結果をもたらすもの
と予想されたのである。事実この予想は豚以外の哺乳動
物の受精卵では正しいものであったが豚の受精卵に対し
ては予想通りではなかったのは上記した通りである。
本発明者らは研究の結果、意外にも豚の受精卵では上
記した透明帯脱出直前の拡大期胚盤胞の段階の受精卵が
低温による障害を受けないことを見出して本発明を完成
させたのである。
記した透明帯脱出直前の拡大期胚盤胞の段階の受精卵が
低温による障害を受けないことを見出して本発明を完成
させたのである。
すなわち本発明は、拡大期胚盤胞の段階の豚の受精卵
を凍結することを特徴とする豚の受精卵の保存方法に関
する。
を凍結することを特徴とする豚の受精卵の保存方法に関
する。
更に本発明は、拡大期胚盤胞の段階の豚の受精卵を凍
結して保存し、このようにして保存された受精卵を移植
することを特徴とする豚の繁殖方法にも関する。
結して保存し、このようにして保存された受精卵を移植
することを特徴とする豚の繁殖方法にも関する。
本発明において凍結保存しうる拡大期胚盤胞(expand
ing blastocyst)の段階の豚の受精卵とは、受精卵にお
ける桑実期胚の次の発達段階である胚盤胞がその胞胚腔
を拡大させた段階の受精卵であって、次の発達段階の脱
殻すなわち透明帯からの脱出(ハツチング)を終了する
直前の受精卵を意味し、一般的には胚盤胞を適当な培養
液中に培養し、その胞胚腔が拡大したことを目視または
他の手段、例えば光電的監視手段で確認して得られたも
のでありうるが、かかる培養の手段を経ることなく、他
の手段、例えば交配した雌豚の子宮からかかる拡大期胚
盤胞が入手しえたならばそのものの使用が可能であるこ
とは勿論である。
ing blastocyst)の段階の豚の受精卵とは、受精卵にお
ける桑実期胚の次の発達段階である胚盤胞がその胞胚腔
を拡大させた段階の受精卵であって、次の発達段階の脱
殻すなわち透明帯からの脱出(ハツチング)を終了する
直前の受精卵を意味し、一般的には胚盤胞を適当な培養
液中に培養し、その胞胚腔が拡大したことを目視または
他の手段、例えば光電的監視手段で確認して得られたも
のでありうるが、かかる培養の手段を経ることなく、他
の手段、例えば交配した雌豚の子宮からかかる拡大期胚
盤胞が入手しえたならばそのものの使用が可能であるこ
とは勿論である。
しかしながら、確実な拡大期胚盤胞の入手の手段とし
ては胚盤胞の人工的培養の手段で発達させて胞胚腔の拡
大を待つことが挙げられる。
ては胚盤胞の人工的培養の手段で発達させて胞胚腔の拡
大を待つことが挙げられる。
この場合の培養は既知の種々の手段で行ないうる。ま
た用いる培養液にも種々のものを選択することができ、
例えばWhittinghamの液(M−16;1971)、Whittingham
の修正PBS(PBI,1971)、Whitten液(1957)、Brinster
液(BMOC−1,1963)、Brinstr液(BMOC−2,1965)、Bri
nster液(BMOC−3,1971)、Whittin液(1968)、Bigger
s液(1971)、TYH液(1971)、Bavister液(1969)(以
上クレブス−リンゲル重炭酸液を改良したもの)などお
よびこれらを適宜修正したものが培養に使用可能であ
る。
た用いる培養液にも種々のものを選択することができ、
例えばWhittinghamの液(M−16;1971)、Whittingham
の修正PBS(PBI,1971)、Whitten液(1957)、Brinster
液(BMOC−1,1963)、Brinstr液(BMOC−2,1965)、Bri
nster液(BMOC−3,1971)、Whittin液(1968)、Bigger
s液(1971)、TYH液(1971)、Bavister液(1969)(以
上クレブス−リンゲル重炭酸液を改良したもの)などお
よびこれらを適宜修正したものが培養に使用可能であ
る。
胚盤胞はこれらの培養液中で37℃前後の温度で培養す
ると数時間〜30時間で拡大期胚盤胞となる。
ると数時間〜30時間で拡大期胚盤胞となる。
このようにして得られた拡大期胚盤胞は適当な保存
液、例えば10〜20%の仔牛血清、牛胎仔血清、豚血清、
1〜16mg/mlの牛血清アルブミン等を含むダルベツコの
リン酸緩衝液に1.5M前後のグリセロールあるいはジメチ
ルスルホキシド(DMSO)を加えたものを使用して凍結保
存される。
液、例えば10〜20%の仔牛血清、牛胎仔血清、豚血清、
1〜16mg/mlの牛血清アルブミン等を含むダルベツコの
リン酸緩衝液に1.5M前後のグリセロールあるいはジメチ
ルスルホキシド(DMSO)を加えたものを使用して凍結保
存される。
一定時間保存後、試料を25℃温水浴に移して約30秒間
加温することによって融解し、融解後胚を回収し、培養
あるいは移植によって生存性を判定した。この結果、−
20℃に凍結しても胚が生存することが確認された。
加温することによって融解し、融解後胚を回収し、培養
あるいは移植によって生存性を判定した。この結果、−
20℃に凍結しても胚が生存することが確認された。
本願方法で用いる拡大期胚盤胞は胚盤胞の次の発達段
階である胞胚腔が拡大する時期の受精卵であれは、次の
発達段階の脱殻の直前のものであっても良い。
階である胞胚腔が拡大する時期の受精卵であれは、次の
発達段階の脱殻の直前のものであっても良い。
以下に本発明を実施例によって詳細に説明する。
LW種成熟雌豚にデユロツク種の雄を交配させ発情終了
後5〜6日目に開腹手術を行ない、拡大期胚盤胞(expa
nding blastocyst)を採取した。こうして採取した胚を
Whittingham(1971)のM−16培養液とDulbeccoのリン
酸緩衝液(PBS)に牛胎仔血清(16%)加えた液との混
合培養液に浮遊させた。この培養液中の胚の一部につい
ては24時間培養した。この培養処置によって、胚の発達
段階は以下の様に進行した。
後5〜6日目に開腹手術を行ない、拡大期胚盤胞(expa
nding blastocyst)を採取した。こうして採取した胚を
Whittingham(1971)のM−16培養液とDulbeccoのリン
酸緩衝液(PBS)に牛胎仔血清(16%)加えた液との混
合培養液に浮遊させた。この培養液中の胚の一部につい
ては24時間培養した。この培養処置によって、胚の発達
段階は以下の様に進行した。
拡大期胚盤胞(expanding blastocyst)→ 透明帯脱出期胚盤胞(hatched blastocyst) この胚の名称は、in vitroの透明帯脱出胚盤胞とし
た。
た。
このようにして得られた雌豚より採取直後の拡大期胚
盤胞、透明帯脱出胚盤胞および「培養により発達段階を
進行させた胚盤胞」を以下の凍結保存に供した。
盤胞、透明帯脱出胚盤胞および「培養により発達段階を
進行させた胚盤胞」を以下の凍結保存に供した。
低温保存法 胚を1.5M DMSOまたは1.5Mグリセロールを含む16%牛
胎仔血清加PBSとともに、0.25mlプラステイツクストロ
ールに吸引し、ゼラチンパウダーで封入した。このサン
プルを約1℃/分の冷却速度で−5〜7℃に冷却後植氷
処理しさらに0.3℃/分の速度で−20℃に冷却し凍結し
た。−20℃の最終温度での保存時間は3分間とした。
胎仔血清加PBSとともに、0.25mlプラステイツクストロ
ールに吸引し、ゼラチンパウダーで封入した。このサン
プルを約1℃/分の冷却速度で−5〜7℃に冷却後植氷
処理しさらに0.3℃/分の速度で−20℃に冷却し凍結し
た。−20℃の最終温度での保存時間は3分間とした。
凍結後、サンプルを25℃の温水浴に移して約30秒間保
持し、加温融解した。融解後、胚をストローより回収
し、前述の培養液を用いて培養し、胚の生存性を調べ
た。
持し、加温融解した。融解後、胚をストローより回収
し、前述の培養液を用いて培養し、胚の生存性を調べ
た。
結 果 胚の凍結保存の結果は下表のとおりである。
Claims (2)
- 【請求項1】拡大期胚盤胞の段階の豚の受精卵を−20℃
以下であり、かつ−35℃より高い温度で凍結し、保存す
ることを特徴とする豚の受精卵の保存方法。 - 【請求項2】拡大期胚盤胞は豚の受精卵の胚盤胞を培養
したものであるか、または交配した雌豚の子宮から採取
したものである請求項1に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1059574A JP2636405B2 (ja) | 1989-03-14 | 1989-03-14 | 豚受精卵の低温保存方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1059574A JP2636405B2 (ja) | 1989-03-14 | 1989-03-14 | 豚受精卵の低温保存方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02238837A JPH02238837A (ja) | 1990-09-21 |
JP2636405B2 true JP2636405B2 (ja) | 1997-07-30 |
Family
ID=13117139
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1059574A Expired - Lifetime JP2636405B2 (ja) | 1989-03-14 | 1989-03-14 | 豚受精卵の低温保存方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2636405B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2686405B2 (ja) * | 1993-04-06 | 1997-12-08 | 全国農業協同組合連合会 | 牛受精卵の凍結保存方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0651601B2 (ja) * | 1988-10-27 | 1994-07-06 | 伊藤忠飼料株式会社 | 豚の凍結受精卵及び凍結保存方法 |
-
1989
- 1989-03-14 JP JP1059574A patent/JP2636405B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02238837A (ja) | 1990-09-21 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080425 Year of fee payment: 11 |
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