JP2635356B2 - 水車発電機の速度制御装置 - Google Patents

水車発電機の速度制御装置

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JP2635356B2 JP63067329A JP6732988A JP2635356B2 JP 2635356 B2 JP2635356 B2 JP 2635356B2 JP 63067329 A JP63067329 A JP 63067329A JP 6732988 A JP6732988 A JP 6732988A JP 2635356 B2 JP2635356 B2 JP 2635356B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水車発電機の速度制御装置に係り、特に発
電機を連結した水車のガイドベーンの開度を、水車の回
転速度が目標速度に一致するように、少なくともI動作
要素を含むディジタル型の調節器を介して制御する水車
発電機の速度制御装置に関する。
〔従来の技術〕
水車発電機の能力試験の中に負荷遮断試験がある。こ
の負荷遮断試験は、所定量の負荷を遮断したときの水車
発電機(すなわち、主機)の回転速度Nや鉄管水圧P、
発電機電圧Vなどの上昇値がそれぞれの保証値内に納ま
るかどうかを判定するために行うものである。この試験
により、主機の能力や制御状態を判定するのに欠かすこ
とのできない重要なデータを得ることができる。特に主
機回転速度Nの変動ΔN(この場合は上昇値)を所定値
内に抑えることは重要なこととされている。この速度変
動ΔNは水車ガイドベーンの閉鎖特性、特に閉鎖動作時
の不動時間により大きく変わってくる。
水車発電機の回転速度を負荷のいかんにかかわらず一
定に保つために用いられるのが調速機として知られる速
度制御装置である。この調速機は、水車発電機の回転速
度が目標速度に一致するように水車のガイドベーンの開
度を制御するものであって、第3図に従来装置の構成を
示す。
第3図においては水車2およびこれに連結された発電
機4により水車発電機(すなわち主機)が構成されてい
る。発電機4の発生電力は遮断器6を介して図示してい
ない送電線に供給される。発電機4は交流発電機であっ
て、その出力周波数は主機の回転速度に比例する。主機
の回転速度Nは速度検出器10によって検出され、周波数
設定器11によって設定される基準周波数相当の目標速度
と突き合わされる。この突き合わせによって得られ
る基準速度偏差信号ΔN0=N−Nに、負荷補償のため
の負荷補償信号ΔN1を加え合わせてPID調節器12に入力
される速度偏差信号ΔNが形成される。負荷補償信号Δ
N1は、負荷設定器13によって設定される負荷相当の目標
ベーン開度Mと開度検出器14によって検出される水車
2のベーン(図示せず)の開度Kとの間の偏差を表す信
号を変化率制限回路15、および負荷投入信号接点16を通
して得られる。PID調節器12は周知のごとくP(比例)
動作要素、I(積分)動作要素、およびD(微分)動作
要求をそれぞれ含んで構成され、入力信号を各動作要素
に通して得られる信号の和に相当する信号を出力するも
のである。ここでは速度偏差信号ΔNを入力し、それに
対応する信号を目標ベーン開度Kを表す信号として出
力する。この目標ベーン開度Kと開度検出器14によっ
て検出されたベーン開度Kとが突き合わされ、その偏差
すなわちベーン開度偏差ΔK(=K−K)が零となる
ようにサーボ機構17を介してベーン開度が制御される。
このベーン開度制御により水車2および発電機4からな
る主機の回転速度は周波数設定器11によって設定される
基準周波数相当の目標速度に制御される。
〔発明が解決しようとする課題〕
第3図の装置において、負荷遮断試験を実施した場合
を考えてみる。負荷遮断を遮断器6の引外しによって代
表させて考えるものとする。負荷運転中の状態で遮断器
6の引外しにより負荷遮断を行うと、主機の回転速度N
は無負荷速度に向って上昇し始める。このとき、速度制
御系においては、負荷投入信号接点16は遮断器6の引外
しに連動してオフとされ、水車2のガイドベーンは、速
度設定器10によって検出される主機の回転速度Nが周波
数設定器11によって設定される目標速度Nに一致する
ように、負の速度偏差信号ΔNによりPID調節器12およ
びサーボ機構17を介して、閉鎖方向に制御される。
この制御の過程で、いかに主機の速度上昇を抑えるか
が調速機としての性能の目安となる。ここで問題となる
のは、負荷遮断からガイドベーンが実際に閉鎖動作を開
始するまでの、いわゆる不動時間τである。この不動時
間τは実質的に無制御時間であり、これをいかに短くす
るかが速度上昇を抑えるためのキーポイントとなる。
第4図は負荷遮断時の負荷遮断信号、ガイドベーン開
度K、および主機回転速度Nの変化の一例を示すタイム
チャートである。ここには、上述の不動時間τの存在に
より比較的大きな速度上昇ΔN2(=N−N)を生じた
ことが示されている。不動時間τの後は、ガイドベーン
が閉鎖し始め、それに応じて主機の回転速度Nも徐々に
目標速度Nに近づく様子が示されている。
このような不動時間τはその大部分が速度偏差信号Δ
Nを検知する検知部分の遅れに依存している。この遅れ
は、アナログ式の演算回路の場合はほとんど無視できる
が、ディジタル式の演算回路の場合は原理的にスキャン
動作という避けることのできない時間帯が存在するため
に必然的に発生してしまう。ディジタル式の場合のこの
問題は高速スキャンの可能なCPUを用いることにより相
当の改良を達成することができるが、これはコスト面か
ら実現困難である。
したがって本発明の課題は、ディジタル式に構成され
た速度偏差検知部分を有しながらも負荷遮断に際して不
動時間による主機の速度上昇を小さな値に抑制し得る水
車発電機の速度制御装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題を解決するために、本発明は、発電機を連
結した水車のガイドベーンの開度を、水車の回転速度が
目標速度に一致するように、少なくともI動作要素を含
むディジタル型の調節器を介して制御する水車発電機の
速度制御装置において、前記調節器は、前記水車が無負
荷状態である負荷遮断状態に移行したとき、当該負荷遮
断状態を示す負荷遮断信号に応動して、前記I動作要素
の出力を前記ガイドベーンの無負荷開度に相当する値
に、強制的且つ前記回転速度に無関係にリセットするリ
セット手段を備える。
〔作用〕
本発明によれば、調節器におけるリセット手段は、水
車が負荷遮断状態に移行したとき、負荷遮断信号に応動
してI動作要素の出力をガイドベーンの無負荷開度に相
当する値に、強制的且つ水車の回転速度に無関係にリセ
ットする。
よって、水車の回転速度に無関係に且つ強制的にI動
作要素の出力をガイドベーンの無負荷開度に相当する値
とするので、水車の回転数に基づいて無負荷状態におけ
る当該回転数の上昇を低減する場合に比して、不動時間
を最小限として水車の回転数上昇をより低減し、最小限
とすることができる。
また、I動作要素の出力を強制的にリセットする値を
ガイドベーンの無負荷開度に相当する値としているの
で、当該調節器が適用される発電機の慣性モーメントや
発電用の水の落差等によりI動作要素の出力のリセット
値が算出でき、あらゆる発電機に対応して簡便にI動作
要素の出力のリセット値を算出することができる。
〔実施例〕
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図に本発明の一実施例を示す。この第1図におい
て、第3図と重複する部分には同一の符号を附し、その
詳細な説明は省略する。
第1図の装置と第3図の装置との相違点は、前者のPI
D調節器20が後者のPID調節器12とは異なる点にある。PI
D調節器20はP動作要素21、I動作要素22、およびD動
作要素23を持っているが、I動作要素22にリセット手段
としての無負荷開度リセット手段24を付加的に設けてい
るのが特徴である。無負荷開度リセット手段24は、負荷
遮断信号が入力されることによりI動作要素22の出力を
水車2のガイドベーンの無負荷開度相当の値、すなわ
ち、発電機の並列接続を解除したときに定格回転数で水
車を回すことができる水の流量が得られる値に強制的に
リセットする。これによりPID調節器20から出力される
目標ベーン開度Kを表す信号は瞬時に無負荷開度相当
に減衰され、第2図に示すように、よりわずかな不動時
間τの後にガイドベーンを閉鎖させ、水車2の回転上昇
を早めに抑制し、ここに主機の速度上昇ΔNを小幅に抑
制することができる。
なお、従来PID調節器の定数設定を負荷時と無負荷時
とで切換える場合、設定いかんによっては負荷遮断後に
定数切換により主機回転速度に、いわゆる二次上昇を生
ずることがあり、これを無くすためにPID定数の再調整
を行うなどの必要があったが、本発明によればそのよう
な二次上昇も全く無くなるので、現地調整が非常に容易
になる。
更に、PID調節器20のI動作要素22の出力を強制的に
リセットする値をガイドベーンの無負荷開度に相当する
値としているので、当該PID調節器20が適用される発電
機の慣性モーメントや発電用の水の落差等によりI動作
要素22の出力のリセット値が算出でき、あらゆる発電機
に対応して簡便にI動作要素22の出力のリセット値を算
出することができる。
又、水車の羽根のうち回転によって水中に没する部分
の面積が大きい、例えばカプラン水車のような水車を備
えた水車発電機において散見される問題として、負荷を
遮断した後にガイドベーンを閉じて水の流量を急激に減
少させると、それに伴って水車の回転数が急激に減少
し、これにより、水車自体の惰性に起因して当該水車の
回転数が過度に減少し過ぎる、いわゆるアンダーシュー
トの状態となることがある。この急激なアンダーシュー
トが生起すると、発電機の出力電圧に対しての水車の回
転数が低くなり過ぎ、当該発電機に付属している主トラ
ンス及び励磁トランスが飽和して、いわゆる低周波過励
磁の状態となって非常に危険となるが、この点に対して
も、本発明によれば、不動時間を短くしてリセットタイ
ムを調整することにより上記のような水車の回転数の過
度な減少が防止でき、主トランス及び励磁トランスが低
周波過励磁の状態となることを防止できる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、調節器におけ
るリセット手段により、水車が負荷遮断状態に移行した
とき、I動作要素の出力をガイドベーンの無負荷開度に
相当する値に強制的且つ回転速度に無関係にリセットす
るので、水車の回転数に基づいて無負荷状態における当
該回転数の上昇を低減する場合に比して、不動時間を最
小限として水車の回転数上昇をより低減し、最小限とす
ることができる。
また、I動作要素の出力を強制的にリセットする値を
ガイドベーンの無負荷開度に相当する値としているの
で、当該調節器が適用される発電機の慣性モーメントや
発電用の水の落差等によりI動作要素の出力のリセット
値が算出でき、あらゆる発電機に対応して簡便にI動作
要素の出力のリセット値を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による水車発電機の速度制御装置の一実
施例を示すブロック図、第2図は第1図の装置の動作例
を示すタイムチャート、第3図は従来の連続制御装置の
ブロック図、第4図は第3図の装置の動作例を示すタイ
ムチャートである。 2……水車、4……発電機、10……速度検出器、11……
周波数設定器、13……負荷設定器、14……開度検出器、
15……変化率制限回路、16……負荷投入信号接点、17…
…サーボ機構、20……PID調節器、21……P動作要素、2
2……I動作要素、23……D動作要素、24……無負荷開
度リセット手段。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発電機を連結した水車のガイドベーンの開
    度を、水車の回転速度が目標速度に一致するように、少
    なくともI動作要素を含むディジタル型の調節器を介し
    て制御する水車発電機の速度制御装置において、 前記調節器は、前記水車が無負荷状態である負荷遮断状
    態に移行したとき、当該負荷遮断状態を示す負荷遮断信
    号に応動して、前記I動作要素の出力を前記ガイドベー
    ンの無負荷開度に相当する値に、強制的且つ前記回転速
    度に無関係にリセットするリセット手段を備えることを
    特徴とする水車発電機の速度制御装置。
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