JP2630110B2 - エレベータの調整装置 - Google Patents

エレベータの調整装置

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JP2630110B2
JP2630110B2 JP3125870A JP12587091A JP2630110B2 JP 2630110 B2 JP2630110 B2 JP 2630110B2 JP 3125870 A JP3125870 A JP 3125870A JP 12587091 A JP12587091 A JP 12587091A JP 2630110 B2 JP2630110 B2 JP 2630110B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエレベータの調整装置に
関するもので、特に、ブレーキトルクの調整が可能なエ
レベータの調整装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のエレベータの調整装置と
して、特開平1−197290号公報に掲載の技術を挙
げることができる。
【0003】図9は従来のエレベータの巻上機と一体に
組付けられている電磁ブレーキを示す正面図である。
【0004】図において、50は一対のブレーキレバー
であり、バネ51により常時矢印A方向に付勢されてい
る。52は各ブレーキレバー50に各々取付けられてい
るブレーキシュー、53は電動機(図示せず)と一体と
なって回転するブレーキ車、54は電動機(図示せず)
に直結された回転軸であり、この回転軸54にブレーキ
車53が固着されている。55は略Lの字状のカムであ
り、ブレーキレバー50の矢印A方向の移動に伴なって
矢印B方向に回動する。56はカム55の先端部に当接
しているプランジャー、57は電源の供給によりプラン
ジャー56を吸引し移動させるブレーキコイルである。
【0005】この構成の電磁ブレーキでは、常時、ブレ
ーキレバー50がバネ51により矢印A方向に付勢され
ている。このため、ブレーキシュー52がブレーキ車5
3を握持し、この回転を制止している。この状態では、
カム55が矢印B方向に回動し、プランジャー56を押
上げている。一方、ブレーキコイル57に電源が供給さ
れると、プランジャー56はブレーキコイル57に吸引
され下降する。この下降に伴なって、カム55は矢印C
方向に回動し、バネ51の付勢力に抗してブレーキレバ
ー50も矢印D方向に回転する。そして、このブレーキ
レバー50の回動により、ブレーキシュー52はブレー
キ車53を解放する。この結果、回転軸54は電動機に
より駆動され、エレベータを適宜昇降させる。
【0006】この種のブレーキ機構は、エレベータの安
全確保の観点から必要不可欠なものであり、エレベータ
の停止時には、全ての荷重がブレーキに掛かる。このと
き、ブレーキの締付トルクが十分でないと、ブレーキが
滑り大変危険となる。また、逆に締付トルクが強過ぎる
と、エレベータが急停止した場合に、停止ショックが非
常に大きくなり危険となる。
【0007】そこで、このブレーキの締付トルク(以
下、単に『ブレーキトルク』という)を適正に調整する
必要があり、従来では、この調整方法として、一旦、か
ご負荷の約125%程度の錘を乗せて、機械室でバネ5
1の付勢力を調整し、ブレーキが滑らないようにしてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のエ
レベータの調整装置では、ブレーキ機構として電磁ブレ
ーキを採用しており、そのブレーキトルクの調整方法と
して、かご負荷の約125%程度の錘を乗せる必要があ
った。しかも、調整完了後は、この錘を再度降ろす必要
があり、大変手間と労力を要していた。
【0009】また、この様な調整方法では、ブレーキが
滑らない程度に調整を行なうのみであり、ブレーキの締
付けが強過ぎたり、或いは、弱過ぎたりすることがあ
り、必ずしも、一定の基準内にブレーキトルクを調整す
ることは容易ではなかった。
【0010】そこで、この両発明は錘を使用することな
くブレーキトルクの調整ができ、しかも、この調整作業
が簡略化でき、正確に効率よくできるエレベータの調整
装置の提供を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】第一発明にかかるエレベ
ータの調整装置は、ブレーキトルクの調整モードを設定
するブレーキトルク調整モード設定手段と、エレベータ
かごの位置を認識するかご位置認識手段と、前記ブレー
キトルク調整モード設定手段及びかご位置認識手段によ
り、エレベータかごが走行し、昇降路の所定の位置に達
したことを確認したとき、ブレーキ動作指令を出力する
ブレーキ動作指令発生手段と、前記エレベータかごの速
度を検出するかご速度検出手段と、前記かご速度検出手
段の出力によって所定の速度範囲にあるとき、ブレーキ
スリップ時間を計測し、エレベータかごが完全に停止し
たとき、前記計測したブレーキスリップ時間を基にブレ
ーキトルクを算出するブレーキトルク算出手段とを具備
するものである。
【0012】第二発明にかかるエレベータの調整装置
は、ブレーキトルクの調整モードを設定するブレーキト
ルク調整モード設定手段と、エレベータかごの位置を認
識するかご位置認識手段と、前記ブレーキトルク調整モ
ード設定手段及びかご位置認識手段により、エレベータ
かごが走行し、昇降路の所定の位置に達したことを確認
したとき、ブレーキ動作指令を出力するブレーキ動作指
令発生手段と、前記エレベータかごの速度を検出するか
ご速度検出手段と、前記かご速度検出手段及びブレーキ
動作指令発生手段からの信号により、ブレーキトルクを
算出するブレーキトルク算出手段と、前記かご速度検出
手段の出力によって所定の速度範囲にあるとき、ブレー
キスリップ時間を計測し、エレベータかごが完全に停止
したとき、前記計測したブレーキスリップ時間を基にブ
レーキトルクを算出するブレーキトルク算出手段と、前
記ブレーキトルク算出手段からの信号により、前記ブレ
ーキトルクが所定の範囲内にあるか判定するブレーキト
ルク判定手段と、前記ブレーキトルク判定手段の出力に
よって前記ブレーキトルクが所定の範囲内にないとき、
前記ブレーキトルクが所定の範囲内になるように調整す
るブレーキ力調整手段とを具備するものである。
【0013】
【作用】第一発明においては、ブレーキトルク調整モー
ド設定手段及びかご位置認識手段により、エレベータか
ごが走行し、昇降路の所定の位置に達したことを確認し
たときに、ブレーキ動作指令発生手段がブレーキ動作指
令を出力するとともに、かご速度検出手段及びブレーキ
動作指令発生手段からの信号により、ブレーキトルク算
出手段がそのときのブレーキトルクを算出するものであ
るから、ブレーキトルクの算出値になるようにブレーキ
トルクを適宜調整することができ、錘を搭載することな
くブレーキトルクの適正な調整ができる。
【0014】第二発明においては、ブレーキトルク調整
モード設定手段及びかご位置認識手段により、エレベー
タかごが走行し、昇降路の所定の位置に達したことを確
認したときに、ブレーキ動作指令発生手段がブレーキ動
作指令を出力するとともに、かご速度検出手段の出力に
よって所定の速度範囲にあることが確認されたときに
は、ブレーキスリップ時間を計測し、エレベータかごが
完全に停止したとき、その計測したブレーキスリップ時
間を基にブレーキトルクを算出し、そのブレーキトルク
が所定の範囲内にあるか否かをブレーキトルク判定手段
で判定し、前記ブレーキトルクが所定の範囲内にないと
き、前記ブレーキ力調整手段でブレーキトルクが所定の
範囲内になるように調整する。
【0015】
【実施例】以下、各発明の実施例について説明する。
【0016】〈第一発明の実施例〉図1は第一発明の一
実施例であるエレベータの調整装置のシステム全体を示
す構成図である。
【0017】図において、1はエレベータの運転等を制
御するマイクロコンピュータであり、中央処理装置であ
るCPU1a、読出し専用のメモリであるROM1b、
読み書き可能なメモリであるRAM1c、及びこれらを
接続するバス1dを有している。2はマイクロコンピュ
ータ1から出力された電圧指令値に基づき方形波パルス
のパルス幅を変調制御する周知のパルス幅変調回路、3
はパルス幅変調回路2により制御された電流を可変電圧
・可変周波数の交流に変換するインバータ、4は三相交
流電源、5は三相交流電源4に接続された遮断器、6は
三相交流を直流に変換するコンバータ、7は前記直流を
平滑化してインバータ3に供給する平滑コンデンサ、8
はインバータ3により駆動制御される巻上機用の誘導電
動機、9は誘導電動機8に直結され誘導電動機8の回転
速度に対応するパルスを発生するパルス発生器、10は
パルス発生器9の発生するパルスを計数するカウンタ、
11は誘導電動機8で駆動される綱車、12は綱車11
に巻き掛けられているロープ、13はロープ12の一端
に接合されたエレベータかご、14はロープ12の他方
の端部に接合された釣合錘、15はマイクロコンピュー
タ1の指令に基づき電磁ブレーキ16を駆動するブレー
キ制御回路、16は従来例の図5で述べた電磁ブレーキ
と同様の構成の電磁ブレーキ、17はマイクロコンピュ
ータ1の各種の情報を表示する表示器である。
【0018】この実施例のエレベータの調整装置は上記
のように構成されており、電磁ブレーキ16のブレーキ
トルクを演算する機構を備えている。
【0019】図2は第一発明の一実施例であるエレベー
タの調整装置のブレーキトルク演算機構を示すブロック
図である。
【0020】図において、21はブレーキトルク調整モ
ード設定手段であり、これによりブレーキトルクの調整
モードを設定する。22はかご位置認識手段であり、エ
レベータ走行中のかご位置を演算する。23はかご速度
検出手段であり、刻々と変化するエレベータかご13の
速度を検出する。24はブレーキ動作指令発生手段であ
り、ブレーキトルク調整モード設定手段21とかご位置
認識手段22との出力によってブレーキ動作の指令を生
成し、ブレーキ制御回路15に出力する。25はブレー
キトルク算出手段であり、ブレーキ動作指令発生手段2
4からブレーキ動作指令が発せられているときに、かご
速度検出手段23によって得られた値を基にブレーキト
ルクを算出する。そして、この算出結果は表示器17に
表示される。なお、上記の各演算動作はマイクロコンピ
ュータ1内で実行される。
【0021】次に、この実施例のエレベータの調整装置
によるブレーキトルク演算動作について、図2、図3、
及び図4を用いて説明する。
【0022】図3は第一発明の一実施例であるエレベー
タの調整装置によるブレーキトルク演算動作を示すフロ
ーチャートである。
【0023】図において、まず、ステップS1でブレー
キトルク調整モードが設定されているか否かが判断され
る。設定されていなければ、ステップS2からステップ
S9の動作は行なわれない。ブレーキトルク調整モード
が設定されているときは、ステップS2でブレーキ動作
指令が“オン”状態となっているか否かの判断がされ、
ブレーキ動作指令が“オン”状態となっていない場合に
は、ステップS7に進み、エレベータが高速自動運転で
走行しているか否かの判断がされる。エレベータが高速
自動運転で走行していない場合には、このブレーキトル
ク演算動作は行なわれない。また、ステップS7でエレ
ベータが高速自動運転で走行している場合には、ステッ
プS8でエレベータかご13が昇降路の中心位置に到達
したか否かを判断する。この判断はかご位置認識手段2
2によって行なわれる。そして、エレベータかご13が
昇降路の中心位置に到達したと認識された場合には、ス
テップS9でブレーキ動作指令を発生させ、ブレーキ制
御回路15を介して電磁ブレーキ16を作動させる。エ
レベータかご13が昇降路の中心位置に到達したと認識
されない場合には、ブレーキ動作指令を発生させずに処
理を終える。なお、かご位置認識手段22によるかご位
置の認識は、エレベータかご13の走行に比例して、エ
レベータかご13の移動量を検出し、エレベータかご1
3の現在位置を演算して、昇降路の中心位置の認識を行
なう。一方、ステップS2でブレーキ動作指令が“オ
ン”状態となっている場合には、ステップS3に進み、
ブレーキ動作時のかご速度Vをかご速度検出手段23に
よって検出し、ブレーキトルク測定速度VbsからVbeま
での範囲内にあるか否かを判定し、その範囲内にある場
合には、ステップS4でこの間の時間をブレーキスリッ
プ時間tbkとしてカウントし、ステップS5でエレベー
タかご13が完全に停止したか否かを判断する。完全に
停止した場合には、ステップS4において求めたブレー
キスリップ時間tbkを基にして、ステップS6でブレー
キスリップ時の平均減速度αbkを αbk=(Vbs−Vbe)/tbk として算出し、この算出結果を表示器17に出力する。
なお、かご速度検出手段23による速度検出は、パルス
タコメータ、若くはガバナに取付けられたエンコーダ等
により行なう。
【0024】ところで、ブレーキトルクは次式(1)に
よって表わすことができる。 T=J・k・αbk+TL ・・・・・(1)式 ここで、Tはブレーキトルク、Jはエレベータの全慣性
モーメント、kは一定比例定数、αbkはブレーキスリッ
プ時の平均減速度であり、TLは負荷トルクである。
【0025】そこで、前記(1)式を変形してブレーキ
スリップ時の平均減速度αbkの式にすると、次式(2)
が得られる。 αbk=(T−TL)/J・k ・・・・・(2)式
【0026】例えば、かご負荷125%時のブレーキト
ルク調整値を求めるには、125%のかご負荷にしたと
きのブレーキトルクT、エレベータの全慣性モーメント
J、及び負荷トルクTLから、このときのブレーキスリ
ップ時の平均減速度αbkを予め算出できる。そして、こ
の算出値が表示器17に表示されるので、保守員等の作
業者がこの算出値になるようにブレーキトルクを調整す
る。
【0027】図4は図3のフローチャートを補足する特
性図であり、図3のフローチャートの様子を示してい
る。即ち、エレベータが高速自動運転で定格速度で走行
中にエレベータかご13が昇降路の中心位置に達したと
きにブレーキ動作指令を発したときのかご速度を示して
いる。
【0028】図において、Vbsはブレーキスリップ時間
tbkの計測開始速度であり、Vbeはブレーキスリップ時
間tbkの計測終了速度である。また、αbkはブレーキス
リップ時の平均減速度である。なお、ブレーキスリップ
時間とは、エレベータがブレーキ動作によって停止する
際の、第1の所定の速度から第2の所定の速度に減速す
るまでに要する時間である。即ち、計測開始速度Vbsか
ら計測終了速度Vbeに減速するまでの時間tbkである。
【0029】なお、上記実施例では、ブレーキスリップ
時の平均減速度αbkをブレーキトルクの調整値とした
が、同様にブレーキトルク測定速度Vbs〜0までの走行
距離(測定速度の時間積分値)としてもよい。つまり、
ブレーキトルク測定速度Vbs〜0までの走行距離Sは次
式(3)となることから明らかである。 S=Vbs/2αbk=Vbs2 J・k/2(T−TL) ・・・・・(3)式
【0030】上記のように、この実施例のエレベータの
調整装置は、ブレーキトルクの調整モードを設定するブ
レーキトルク調整モード設定手段21と、エレベータか
ご13の位置を認識するかご位置認識手段22と、前記
ブレーキトルク調整モード設定手段21及びかご位置認
識手段22により、エレベータかご13が走行し、昇降
路の中心位置(所定の位置)に達したことを確認したと
きに、ブレーキ動作指令を出力するブレーキ動作指令発
生手段24と、前記エレベータかごの速度を検出するか
ご速度検出手段23と、前記かご速度検出手段23及び
ブレーキ動作指令発生手段24からの信号により、ブレ
ーキトルクを算出するブレーキトルク算出手段25と、
前記ブレーキトルク算出手段25による算出結果を表示
する表示器17(外部表示手段)とを備えている。
【0031】即ち、この実施例のエレベータの調整装置
は、ブレーキトルク調整モード設定手段21及びかご位
置認識手段22により、エレベータかご13が走行し、
昇降路の中心位置に達したことを確認したときに、ブレ
ーキ動作指令発生手段24がブレーキ動作指令を出力す
るとともに、かご速度検出手段23及びブレーキ動作指
令発生手段24からの信号により、ブレーキトルク算出
手段25がそのときのブレーキトルクを算出し、この算
出結果を表示器17に表示するものである。
【0032】したがって、ブレーキトルクの算出結果を
表示器17を通して正確に知ることができる。そして、
保守員等の作業者がこの算出値になるようにブレーキト
ルクを適宜調整することができる。このため、従来のよ
うに、錘を搭載してブレーキトルクを調整する必要がな
く、全ての作業を機械室で行なえ、錘を乗せたり、降ろ
したりする手間と労力を省ける。また、ブレーキの締付
けが強過ぎたり、或いは、弱過ぎたりすることもなくな
り、一定の基準内にブレーキトルクを調整することがで
きる。この結果、調整作業が簡略化でき、ブレーキトル
クの調整を正確に効率よくできる。
【0033】〈第二発明の実施例〉図5は第二発明の一
実施例であるエレベータの調整装置のシステム全体を示
す構成図、図6は第二発明の一実施例である電磁ブレー
キを示す正面図、図7は第二発明の一実施例であるエレ
ベータの調整装置のブレーキトルク演算機構を示すブロ
ック図である。図中、従来例及び第一発明の実施例と同
一符号及び記号は従来例及び第一発明の実施例の構成部
分と同一または相当する構成部分を示す。
【0034】図において、31はブレーキトルク判定手
段であり、ブレーキトルク算出手段25からの信号によ
りブレーキトルクの算出値が所定の範囲内にあるか否か
を判定する。32はブレーキトルク判定手段31の判定
結果に応じて実際にブレーキ力を調整するブレーキ力調
整手段であり、このブレーキ力調整手段32によってバ
ネ51の付勢力を適宜調整する。このブレーキトルク判
定手段31とブレーキ力調整手段32とでブレーキトル
ク調整手段を構成している。なお、他の構成は上記第一
発明の実施例と同一の構成である。即ち、この実施例は
上記第一発明の実施例にブレーキトルク調整手段を付加
したものである。
【0035】次に、この実施例のエレベータの調整装置
によるブレーキトルク演算動作及びブレーキトルク調整
動作について図8を用いて説明する。図8は第二発明の
一実施例であるエレベータの調整装置によるブレーキト
ルク演算動作及びブレーキトルク調整動作を示すフロー
チャートである。
【0036】図において、ステップS1からステップS
9の動作はブレーキトルク演算動作を示しており、上記
第一発明の図3で説明したステップS1からステップS
9の動作と同一である。したがって、ここではステップ
S10以降の動作であるブレーキトルク調整動作を中心
に説明する。
【0037】ステップS6でブレーキスリップ減速度を
基にしてブレーキトルクの調整値を求めた後、ステップ
S10でこのブレーキトルクの調整値が規定範囲内にあ
るか否かを判断する。規定範囲内であれば、ステップS
11からステップS13の動作は行なわれず、ブレーキ
トルクの調整を行なうことなくメインルーチンに戻りエ
レベータの制御が行なわれる。また、ステップS10で
ブレーキトルクの調整値が規定範囲外にある場合には、
ステップS11に進み、ブレーキトルクの調整値が規定
範囲よりも小さいか否かを判断し、小さい場合にはステ
ップS12でバネ51装着部のプランジャーに対する締
付指令を発して、ブレーキ力調整手段32によって所定
量の締付けを行なった後、再びステップS1に戻り、ブ
レーキトルク演算動作を行なった後、ステップS10で
このブレーキトルクの調整値が規定範囲内にあるか否か
を判断する。一方、ブレーキトルクの調整値が規定範囲
よりも大きい場合には、ステップS13でバネ51装着
部のプランジャーに対する緩和指令を発して、ブレーキ
力調整手段32によって所定量の緩めを行なった後、再
びステップS1に戻り、ブレーキトルク演算動作を行な
った後、ステップS10でこのブレーキトルクの調整値
が規定範囲内にあるか否かを判断する。こうして、ブレ
ーキトルクの調整値が規定範囲内になるまで、この一連
の調整動作が繰返される。
【0038】上記のように、この実施例のエレベータの
調整装置は、ブレーキトルクの調整モードを設定するブ
レーキトルク調整モード設定手段21と、エレベータか
ご13の位置を認識するかご位置認識手段22と、前記
ブレーキトルク調整モード設定手段21及びかご位置認
識手段22により、エレベータかご13が走行し、昇降
路の中心位置(所定の位置)に達したことを確認したと
きに、ブレーキ動作指令を出力するブレーキ動作指令発
生手段24と、前記エレベータかごの速度を検出するか
ご速度検出手段23と、前記かご速度検出手段23の出
力によって所定の速度範囲にあるとき、ブレーキスリッ
プ時間を計測し、エレベータかご13が完全に停止した
とき、計測したブレーキスリップ時間を基にブレーキト
ルクを算出するブレーキトルク算出手段25と、ブレー
キトルク算出手段25からの信号により、ブレーキトル
クが所定の範囲内にあるか判定するブレーキトルク判定
手段31と、ブレーキトルク判定手段31の出力によっ
てブレーキトルクが所定の範囲内にないとき、ブレーキ
トルクが所定の範囲内になるように調整するブレーキ力
調整手段32とを備えている。
【0039】即ち、この実施例のエレベータの調整装置
は、上記第一発明の実施例と同様に、ブレーキトルク調
整モード設定手段21及びかご位置認識手段22によ
り、エレベータかご13が走行し、昇降路の中心位置に
達したことを確認したときに、ブレーキ動作指令発生手
段24がブレーキ動作指令を出力するとともに、かご速
度検出手段23及びブレーキ動作指令発生手段24から
の信号により、ブレーキトルク算出手段25がそのとき
のブレーキトルクを算出する。そして、この算出値が所
定の範囲内になるようにブレーキトルク判定手段31及
びブレーキ力調整手段32(ブレーキトルク調整手段)
によってブレーキトルクを調整する。
【0040】したがって、ブレーキトルクが適宜自動的
に調整できるので、保守員等の作業者がブレーキトルク
を調整する必要がない。このため、従来のように、錘を
搭載してブレーキトルクを調整する必要がなく、錘を乗
せたり、降ろしたりする手間と労力を省ける。また、ブ
レーキの締付けが強過ぎたり、或いは、弱過ぎたりする
こともなくなり、一定の基準内にブレーキトルクを自動
で調整することができる。この結果、調整作業が更に簡
略化でき、ブレーキトルクの調整を正確に効率よくでき
る。
【0041】また、上記各発明の他の実施例として、ブ
レーキ動作指令発生手段24によるブレーキ動作指令を
発するときのエレベータかご13の速度として、保守員
等の安全性を考慮して、ブレーキトルク設定用として定
格速度よりも低い速度に下げてもよい。
【0042】更に、ブレーキ動作指令を発するときのエ
レベータかご13の位置として、一般にケーブルアンバ
ランス、ロープアンバランスの影響が最も少なく、正確
な測定結果が得られる観点から、上記実施例では昇降路
の中心としたが、かご負荷が無しの場合には最上階付近
としたり、また、かご負荷が定格負荷の場合には最下階
付近としてもよい。これらの場合にはケーブルアンバラ
ンス、ロープアンバランスを含んだ、その場毎に合致し
たブレーキトルクの調整ができる。
【0043】更にまた、上記各実施例では、かご位置認
識手段22によるかご位置の認識は、エレベータかご1
3の走行に比例して、エレベータかご13の移動量を検
出し、エレベータかご13の現在位置を演算して、昇降
路の中心位置の認識を行なったが、同様の方法により、
最上階付近、若くは最下階付近を認識してもよく、ま
た、中心位置認識用のスイッチを設けて検出し認識を行
なったり、或いは、最上階付近、若くは最下階付近で設
定する場合なら、終端階認識用の終点スイッチを利用し
て認識してもよい。
【0044】
【発明の効果】以上のように、第一発明のエレベータの
調整装置は、ブレーキトルク調整モード設定手段と、か
ご位置認識手段と、ブレーキ動作指令発生手段と、かご
速度検出手段と、ブレーキトルク算出手段とを備え、ブ
レーキトルク調整モード設定手段及びかご位置認識手段
により、エレベータかごが走行し、昇降路の所定の位置
に達したことを確認したときに、ブレーキ動作指令発生
手段がブレーキ動作指令を出力するとともに、前記かご
速度検出手段の出力によって所定の速度範囲にあると
き、ブレーキスリップ時間を計測し、エレベータかごが
完全に停止したとき、前記計測したブレーキスリップ時
間を基にブレーキトルクを算出するという簡易な構成に
より、ブレーキトルクの算出値になるようにブレーキト
ルクを適宜調整することができ、錘を搭載することなく
ブレーキトルクの適正な調整ができるので、錘を乗せた
り、降ろしたりする手間と労力が省け、また、一定の基
準内にブレーキトルクを調整することができる。この結
果、ブレーキトルクの調整作業が簡略化でき、しかも、
正確に効率よくできる。
【0045】第二発明のエレベータの調整装置は、ブレ
ーキトルク調整モード設定手段と、かご位置認識手段
と、ブレーキ動作指令発生手段と、かご速度検出手段
と、ブレーキトルク算出手段と、ブレーキトルク判定手
段と、ブレーキ力調整手段とを備え、前記ブレーキトル
ク判定手段の出力によって前記ブレーキトルクが所定の
範囲内にないとき、前記ブレーキトルクが所定の範囲内
になるようにブレーキ力調整手段で調整し、ブレーキト
ルク算出手段のブレーキトルク算出値が所定の範囲内に
なるようにブレーキトルク調整手段によってブレーキト
ルクを調整するという簡易な構成により、錘を搭載する
ことなくブレーキトルクを自動的に調整できるので、錘
を乗せたり、降ろしたりする手間と労力が省け、また、
上記第一発明のような作業員等によるブレーキトルクの
調整作業も不要になる。この結果、ブレーキトルクの調
整作業が更に簡略化でき、しかも、正確に効率よくでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第一発明の一実施例であるエレベータの
調整装置のシステム全体を示す構成図である。
【図2】図2は第一発明の一実施例であるエレベータの
調整装置のブレーキトルク演算機構を示すブロック図で
ある。
【図3】図3は第一発明の一実施例であるエレベータの
調整装置によるブレーキトルク演算動作を示すフローチ
ャートである。
【図4】図4は図3のフローチャートを補足する特性図
である。
【図5】図5は第二発明の一実施例であるエレベータの
調整装置のシステム全体を示す構成図である。
【図6】図6は第二発明の一実施例である電磁ブレーキ
を示す正面図である。
【図7】図7は第二発明の一実施例であるエレベータの
調整装置のブレーキトルク演算機構を示すブロック図で
ある。
【図8】図8は第二発明の一実施例であるエレベータの
調整装置によるブレーキトルク演算動作及びブレーキト
ルク調整動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は従来の電磁ブレーキを示す正面図であ
る。
【符号の説明】
1 マイクロコンピュータ 13 エレベータかご 15 ブレーキ制御回路 16 電磁ブレーキ 17 表示器 21 ブレーキトルク調整モード設定手段 22 かご位置認識手段 23 かご速度検出手段 24 ブレーキ動作指令発生手段 25 ブレーキトルク算出手段 31 ブレーキトルク判定手段 32 ブレーキ力調整手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキトルクの調整モードを設定する
    ブレーキトルク調整モード設定手段と、 エレベータかごの位置を認識するかご位置認識手段と、 前記ブレーキトルク調整モード設定手段及びかご位置認
    識手段により、エレベータかごが走行し、昇降路の所定
    の位置に達したことを確認したとき、ブレーキ動作指令
    を出力するブレーキ動作指令発生手段と、 前記エレベータかごの速度を検出するかご速度検出手段
    と、前記かご速度検出手段の出力によって所定の速度範囲に
    あるとき、ブレーキスリップ時間を計測し、エレベータ
    かごが完全に停止したとき、前記計測したブレーキスリ
    ップ時間を基にブレーキトルクを算出する ブレーキトル
    ク算出手段とを具備することを特徴とするエレベータの
    調整装置。
  2. 【請求項2】 ブレーキトルクの調整モードを設定する
    ブレーキトルク調整モード設定手段と、 エレベータかごの位置を認識するかご位置認識手段と、 前記ブレーキトルク調整モード設定手段及びかご位置認
    識手段により、エレベータかごが走行し、昇降路の所定
    の位置に達したことを確認したとき、ブレーキ動作指令
    を出力するブレーキ動作指令発生手段と、 前記エレベータかごの速度を検出するかご速度検出手段
    と、前記かご速度検出手段の出力によって所定の速度範囲に
    あるとき、ブレーキスリップ時間を計測し、エレベータ
    かごが完全に停止したとき、前記計測したブレーキスリ
    ップ時間を基にブレーキトルクを算出する ブレーキトル
    ク算出手段と、 前記ブレーキトルク算出手段からの信号により、前記ブ
    レーキトルクが所定の範囲内にあるか判定するブレーキ
    トルク判定手段と、 前記ブレーキトルク判定手段の出力によって前記ブレー
    キトルクが所定の範囲内にないとき、前記ブレーキトル
    クが所定の範囲内になるように調整するブレーキ力調整
    手段と を具備することを特徴とするエレベータの調整装
    置。
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