JP2628879B2 - 炭素繊維/炭素コンポジット製面発熱体 - Google Patents

炭素繊維/炭素コンポジット製面発熱体

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JP2628879B2 JP63037070A JP3707088A JP2628879B2 JP 2628879 B2 JP2628879 B2 JP 2628879B2 JP 63037070 A JP63037070 A JP 63037070A JP 3707088 A JP3707088 A JP 3707088A JP 2628879 B2 JP2628879 B2 JP 2628879B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はジュール熱で発熱し,ヒータとして使用され
る炭素繊維/炭素コンポジット製面発熱体に関する。
(従来の技術とその課題) 炭素(または黒鉛)をマトリックスとし、炭素繊維
(または黒鉛繊維)を強化材として構成される炭素繊維
/炭素コンポジット(以下、C/Cコンポジットという)
を抵抗発熱体として使用する試みがなされている。
たとえば、特開昭58−110411号公報においては、細い
円柱状C/Cコンポジットとの発熱体としての用途が提案
され、更に、特開昭58−126510号公報においては、光フ
ァイバー接続部の補強時に用いる線状発熱体が開示され
ている。
また、発熱体としては、タングステン、モリブデンの
ような高融点金属や、黒鉛で構成された抵抗発熱体が知
られている。
しかしながら、上記高融点金属の発熱体の場合、熱変
形し易すく高温下における寸法安定性に欠けるため、反
復使用の過程でその形状が当初の形状から変わってく
る。その結果、加熱の様相が変わってきて、基材等の温
度を所定の値に維持し得ないという問題が発生する。
また、黒鉛(または炭素)の発熱体の場合は、上記し
たような熱変形は起こさず、また耐食性も優れていると
いう利点を有するが、しかしその機械的強度が低いとい
う問題がある。また、脆いために、製造時に所望の発熱
体形状への加工が難しいという問題がある。
一般に抵抗発熱する発熱体は、その通電断面積を小さ
くする、例えば全体形状を薄形(板状発熱体の場合)ま
たは細径(棒状発熱体の場合)にすれば、抵抗を増大さ
せることができるのでコンパクト化が図れるが、黒鉛の
発熱体について薄形化または細径化を行った場合、黒鉛
の機械的強度が小さいので、たとえば、組立時や被加熱
体への装着時に破損することがある。それゆえ、黒鉛発
熱体の場合は、通常、その厚みが10〜20mm程度にならざ
るを得ず、その結果、発熱体の内部に異常な温度分布が
生じてクラックが発生するなどの問題が生じている。
ところで、一般に発熱体においては、被加熱体にたい
する熱処理の態様に応じて、発熱体に均温部分が設けら
れたり、また、発熱体にたとえば温度勾配のような所定
の温度分布が生ずるような機能を有していることが好ま
しい。しかしながら、現在までのところ、C/Cコンポジ
ットを用いた抵抗発熱体であってかつ上記したような機
能を有するものは知られていない。
前記した先行技術に開示されている発熱体は、いずれ
もC/Cコンポジットからなる抵抗発熱体であるが、しか
しそれらは棒状体ないし線条体であって、面として、ま
たは全体として面状に形成されているわけではない。し
かも、それらは、厚み方向もしくは面内所定方向に積極
的に所定の温度分布が生ずるように、または生じないよ
うに構成されているものではない。
本発明は、面状に発熱し、しかも発熱時に厚み方向ま
たは面内の所定方向で所定の温度分布が生ずるように、
または生じないように構成されているC/Cコンポジット
製面発熱体の提供を目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明のC/Cコンポジット製面発熱体は、上記目的を
達成するために、その構成が、面または面状に形成さ
れ、かつ、マトリックス炭素中に、厚み方向または面内
所定方向に所定の温度分布を生じ、または生じないよう
に炭素繊維が配置されていることを特徴とする。
本発明の発熱体は、C/Cコンポジットからなる。
本発明の発熱体は、面として、または全体として面状
に形成されている。面形状は、平面かまたは曲面であ
る。ここで、曲面としては、例えば円筒状曲面、半球状
曲面、放物面状曲面、円錐台状曲面などがある。そして
発熱体の使用全体形状、したがって発熱面の形状は、発
熱体の使用目的等に応じて決められている。
ところで、C/Cコンポジットに通電した場合、電流は
マトリックス炭素の中よりも炭素繊維によく流れる。そ
れゆえ、コンポジット内における炭素繊維の配置状態を
同一として定電圧下の通電を行なった場合、より多くの
炭素繊維が充填されているC/Cコンポジットの方が、炭
素繊維の充填量が少ないC/Cコンポジットの場合に比べ
て、より大きな値の電流が流れる。したがって、前者の
方が後者の場合よりも発生するジュール熱量は大とな
り、より高い温度を示すことになる。
また、炭素繊維の充填量が同一であった場合でも、マ
トリックス炭素の種類が異なるとC/Cコンポジットに流
れる電流値は変化する。たとえば、CVD法で得られた炭
素やピッチを炭化して得られた炭素の方が、フェノール
樹脂やフラン樹脂のような樹脂を炭化して得られた樹脂
炭よりも黒鉛化度が高く、その抵抗率は小さくなるの
で、これらをマトリックス炭素とするC/Cコンポジット
は、樹脂炭をマトリックス炭素とするC/Cコンポジット
の場合よりも流れる電流値が大きくなり、発熱するジュ
ール熱量は大となる。
このように、同じC/Cコンポジットの中で炭素繊維の
形態や配置状態、あるいはマトリックス炭素の種類等を
変化させ、電流の流れ易い領域(電気抵抗が小)と流れ
にくい領域(電気抵抗大)を厚み方向または面内所定方
向に適宜に分布せしめれば、放熱等の熱損失を考慮しな
ければ、前者の領域では発生するジュール熱が大となっ
て高温領域となり、後者の領域は低温領域になるので、
同一のコンポジットの厚み方向や面内方向に所定の温度
分布をつけたり、逆に温度分布をなくしたりすることが
可能となる。
本発明の発熱体は上記した着想に基づいて開発された
ものであり、C/Cコンポジットの製造過程で後述するよ
うに各種の炭素繊維とマトリックス炭素から製造するこ
とができる。
本発明の発熱体は次のような方法で製造することがで
きる。
第1の方法はプリプレグ法である。この方法において
はまず、後述する炭素繊維に、Bステージのフェノール
樹脂、フラン樹脂のような熱硬化性樹脂や、ピッチ等の
炭化可能物質が含浸されているプリプレグを用い、この
プリプレグを必要枚数だけ積層したりまたは必要回数巻
回して所望の発熱体形状に整形する。
つぎに、得られた整形体を不活性ガス雰囲気下におい
て600〜3000℃の温度域で焼成し、プリプレグ中の炭化
可能物質を熱分解せしめて炭素化または黒鉛化し、C/C
コンポジットとなして発熱体を得る。しかしながら、得
られた発熱体は多孔質で低密度であるため、再びこれに
前記炭化可能物質を含浸し、焼成するという操作を複数
回発反復して所定の密度になるまで高密度化するのが好
ましい。
第2の方法は樹脂含浸法である。この方法は、生の炭
素繊維をそれ自体を積層または巻回して発熱体形状に整
形したのち、これに上記炭化可能物質を含浸し焼成する
という方法である。含浸−焼成を必要回数反復して高密
度化するのが好ましいことはプリプレグ法の場合と同様
である。
第3の方法はCVD法である。この方法は、前記樹脂含
浸法の場合と同様に生の炭素繊維を整形して発熱体形状
とし、これを1000〜2000℃の高温下においてメタン、プ
ロパン等の炭化水素を含む気流中で熱処理することによ
り、炭素繊維の表面に熱分解炭素(または黒鉛)を必要
量沈積せしめてC/Cコンポジットとし、発熱体にする方
法である。
第4の方法は、単糸径が3〜15μm程度でアスペクト
比が数百という短繊維に適用できるブレンド法ともいう
べき方法である。この方法においては、上記短繊維と上
記炭化可能物質との混合物に各種の成形法を適用して、
発熱体形状に成形したのちこれを焼成する。
以上説明した第1〜第4の方法においては、あらかじ
め発熱体形状に成形したものを焼成しているが、焼成後
に切削加工等の機械加工を施して所望の発熱体形状にす
ることもできる。
なお、このときに得られるC/Cコンポジットの電気抵
抗値の大小、すなわち発熱体の発熱量の大小は、炭素繊
維用原料繊維の種類、原料繊維を炭素繊維にするときの
焼成温度、使用する炭素繊維の形態、配置の仕方、炭素
繊維の含有量や、マトリックス炭素の種類や、発熱体の
密度、C/Cコンポジットにするときの焼成温度などの因
子によって規定される。
たとえば、ピッチ系の原料からなる炭素繊維は、炭化
するときの焼成温度が同一であれば、PAN系やレーヨン
系の炭素繊維よりも、その抵抗率(Ω・cm)が小さいの
で、炭素繊維の種類を適宜に選択することにより発熱体
の発熱量を変化させることができる。また、炭素繊維の
原料が同一であった場合、その焼成温度を変化させるこ
とにより得られた炭素繊維の抵抗率を変化させることが
できる。すなわち、高い焼成温度は炭素繊維の黒鉛化度
を高めて炭素繊維の抵抗率を小たらしめるのである。
本発明の発熱体において、電流は炭素繊維の繊維方向
に沿って流れるので、使用した炭素繊維の形態によって
発熱量が変化するが、一般に炭素繊維が連続している形
態の場合の方が電流は流れ易すく、発熱量が大となる。
本発明に使用する炭素繊維の形態に関しては次のよう
なものがあげられる。
第1に織物である。織物は平織物、綾織物、朱子織物
のいずれであってもよい。
また、特開昭51−58568号、特開昭59−32291号公報に
それぞれ開示されている円形織物ないし螺旋状円形織物
を使用することができる。
上記した織物は、その全体の平面図である第13図、一
部拡大図である第14図と第15図、織物を引き延ばした状
態を示す見取図の第16図で示すように、炭素繊維からな
る連続した経糸と緯糸とが平織組織または畝織組織を構
成しており、複数本の経糸が円周方向に配列され、緯糸
は、緯糸と交錯する部分においては、経糸とほぼ直角に
交わり、全体的には、経糸の描く円の半径方向に配列さ
れており、かつ、一円周以上の部分は、同一円が連続し
て層状に形成されていることを特徴とするものである。
どのような組織、どのような形状の織物を使用するか
ということは、発熱体の形状、要求される特性等に応じ
て決めればよい。たとえば、比較的複雑な形状の発熱体
の場合には、ドレープ性に優れた朱子織物の使用も好ま
しい。
これら織物は1枚で用いてもよいが、複数枚を積層し
て用いてもよい。積層して用いる場合は、隣接する織物
間で経糸または緯糸の方向が少しづつずれるように(た
とえば、15度、30度づつずれるように)積層すると、異
方性が改善され、抵抗値が面内疑似等方性になる。もっ
とも、織物は、経糸または緯糸の方向を一致させて積層
し、使用することもできる。
第2に解繊マットである。これは1本1本の炭素短繊
維がランダム配向しているものであって、本来が疑似等
方性を備えている。
第3はチョップドストランドマットである。これは、
炭素繊維の束を措定の長さに裁断し、各裁断束をランダ
ム配向せしめて成るマットであり、同じく疑似等方性を
備えている。
第4は、スワールマットである。これは、短繊維では
なく、解繊され、または解繊されていない連続繊維(若
しくは連続繊維束)がランダム配向されているものであ
る。
第5は筒状編組である。これはその径方向および長手
方向への伸縮性に富む。筒状のままでも使用てきるしま
た平らに押しつぶして使用することもできる。
第6は、一方向に互いに並行に、かつテープ状または
シート状に引き揃えた、連続繊維の一方向引揃え体であ
る。これには、通常、引揃え状態を維持するために、B
ステージの、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、ピッ
チなどが含浸されている。別に、一方向性プリプレグと
呼ばれるものである。第7の形態は、アスペクト比の小
さい短繊維であり、前記したブレンド法による発熱体の
製造時に使用される。
なお、上記解繊マット、チョップドストランドマッ
ト、スワールマット、筒状編組、一方向引揃え体もま
た、ただ1枚で用いてもよいし、積層ないしは巻回して
用いてもよい。
なお、上記した第1〜第6の形態の炭素繊維を積層し
て用いる場合、炭素繊維の糸を用い、たとえば単環縫に
よって一体にスティッチしておくと、発熱体の層間剥離
強度や層間剪断強度、衝撃強度等が向上するようになる
ので好ましい。
炭素繊維の含有量もC/Cコンポジットの電気抵抗の大
小に影響を与えるが、一般にその含有量が多くなると得
られたC/Cコンポジットの電気抵抗は小さくなって大電
流が流れ易くなり、発熱量は大となる。
また、マトリックス炭素の種類もC/Cコンポジットの
電気抵抗に影響をあたえるが、たとえば、CVD法による
炭素、ピッチを炭化して得られた炭素、樹脂を炭化して
得られた炭素の順で電気抵抗は高くなる。一般にマトリ
ックス炭素の黒鉛化度が高くなれば、そのC/Cコンポジ
ットの電気抵抗は小さくなり、通電量が大となるのでジ
ュール発熱量を大きくすることができる。
また、C/Cコンポジット化のときの焼成温度によって
も影響を受ける。たとえば、同じ種類の炭化可能物質を
用いた場合、焼成温度を高くするほど、炭素繊維、マト
リックス炭素の黒鉛化度は高くなり、その結果、発熱量
大のC/Cコンポジットにすることができる。
製造したC/Cコンポジット全体の密度も発熱量に影響
を与えるが、一般に、密度が高くなるとそのC/Cコンポ
ジットの電気抵抗は低くなり、その結果、通電量を大に
して発熱量を大とすることができる。
次に、第1図〜第4図に模式図として示した断面図に
基づいて発熱体の厚み方向に積極的に温度分布を付与す
る、または付与しない場合の炭素繊維の配置を説明す
る。
第1図は、焼成温度が同じで同一形態の炭素繊維の織
物1a、1bを厚み方向に2枚積層した場合の断面を例示す
るものである。図において、第1層1a、第2層1bの中に
はそれぞれ炭素繊維が配置されているが、第1層1a中の
織物の方が第2層1b中の織物よりも目付け(g/m2)が大
となっている。
なお、炭素繊維の形態が織物や編組の場合、目付けの
大小は炭素繊維の織糸の太さと繊密度(本/cm)に依存
することになり、また、解繊マット、チョップドストラ
ンドマット、スワールマットや、一方向引揃え体や、短
繊維と炭化可能物質との混合物の場合は、そこに含有さ
れている炭素繊維の量に依存することになる。そして、
一般に目付けが大きい炭素繊維を含有するC/Cコンポジ
ットは、電気抵抗が低く、したがって通電量が大となる
ので発熱量となって高温にすることができる。
例えば、形態が同じ織物の場合、織密度が大(小)で
ある織物を用いれば電気抵抗が小(大)のC/Cコンポジ
ットにすることができる。
第1図のC/Cコンポジットに通電(紙面と直交する方
向から)すると、第1層1aの方が第2層1bの場合よりも
通電量が大となり、発熱量は大きくなる。したがって、
各層の熱損失を考慮しない場合、第1図の発熱体におい
て、第1層1aは高温に、第2層1bは第1層1aよりは低温
になり、その結果、厚み方向に温度勾配がつくことにな
る。
しかし、たとえば、第2図に示したように、第2層1b
の周囲を支持体2cで被包すれば、高温の第1層1aからの
放熱等の熱損失は進行するが、しかし低温の第2層1bの
放熱等の熱損失は抑制されて保温されることになるの
で、第1層1aの発熱量と熱損失量とのバランス、第2層
1bの保温状態とを勘案して両層の電気抵抗を設定すれ
ば、両層の温度を略同じにすることができ、その結果、
厚み方向に温度勾配が生じないようにすることができ
る。
上記織物の外に、目付けが異なる解繊マット、チョッ
プドストランドマット、スワールマットや、一方向引揃
え体を積層したり、また、ブレンド法において短繊維の
充填密度が異なる混合物の薄片をそれぞれ必要枚数積層
しても、厚み方向で炭素繊維の配置が異なるC/Cコンポ
ジットを得、発熱体とすることができる。
また、単糸径が異なる炭素繊維を使用すると、その場
合も得られたC/Cコンポジットの電気抵抗が変化してそ
の発熱量を変えることができる。
第3図は、種類は同じで形態が異なる炭素繊維を厚み
方向に積層した場合の断面を例示するものである。図に
おいて、炭素繊維の織物が充填されている第1層3aの上
に、解繊マットが充填されている第2層3bが積層されて
いる。一般に、織物が充填されているC/Cコンポジット
の方が解繊マットが充填されているそれよりも、電気抵
抗小、通電量大となるので、第1層3aの方が第2層3Bよ
りも高温となり、厚み方向に温度勾配が付与されること
になる。いずれにしても第3図のような場合は、C/Cコ
ンポジット内に充填されている炭素繊維の形態によっ
て、C/Cコンポジットの電気抵抗が変化するという性質
を利用するものである。
また、この発熱体の場合も、第1図と第2図に示した
場合と同様に、厚み方向に積極的に温度勾配をつけない
ようにすることができる。
第4図は、第2図の場合の変形であり、充填されてい
る炭素繊維の種類、繊度や、コンポジットの密度は同じ
であるが、炭素繊維の焼成温度が異なる場合を例示する
ものである。すなわち、第1層4a中に充填されている炭
素繊維の焼成温度の方が第2層4b中の炭素繊維の焼成温
度よりも高く、それゆえ黒鉛化が進んでいる場合であ
る。このとき、第1層4aの方が第2層4bの場合よりも通
電量は大となり、したがって高温となるので、このC/C
コンポジットの厚み方向には温度勾配が付与されること
になる。この場合も、前述したように厚み方向には積極
的に温度勾配をつけないようにすることができる。
ところで、このような発熱体が機能する場合、被加熱
体と対向している発熱面の発熱量は大きくそこは所定温
度になっており、他の面の発熱量は小さく前者の発熱面
の温度よりも低い温度になっている。それゆえ、この面
からの熱放射、熱対流に基づく熱損失は、高温の発熱面
の場合よりも小さく、その結果、発熱体を保持すること
が容易になる。
このように、本発明の発熱体は、通電時に、被加熱体
と対向する面で発生するジュール熱量を大たらしめると
同時に他の面における発生ジュール熱量を小たらしめる
ように、それぞれの面における電気抵抗を調整して製造
することができる。そして、その際の温度分布の付与
は、前述したように、C/Cコンポジットの電気抵抗に影
響を与える各種の因子を組合せて発熱体を製造すること
により可能となる。そして、発熱体の使用状態によって
はこの温度分布をつけないこともできる。
また、積層数は例示の2層に限定されることはなく、
何層であってもよい。
次に、面内の所定方向に温度勾配を付与せしめる、ま
たは付与せしめない場合の炭素繊維の配置について説明
する。
まず、第5図に平面図として示したように、面の外側
部分を積層された織物5aで、中心部分を同じく積層され
た解繊マット5bのような形態の異なる炭素繊維を用いて
構成した場合である。この発熱体の面内方向に通電する
と、外側の織物5aは、中心の解繊マット5bに比べて通電
量大となり発熱量は大となり、中心部分よりも高温にな
るため、発熱体の周囲と中心部との間に所定と温度分布
が付与されることになる。
この場合、織物5aと解繊マット5bとの配置を逆にして
もよく、また複数の異種形態の炭素繊維を適宜に選んで
組合せてもよい。また、形状は円形に限定されるもので
はない。
つぎに、第6図に示すように、目付けが異なり同一形
態の炭素繊維の積層された織物6a、6bを、樹脂、ピッチ
やカーボンセメントなどを用いて平面的に接合した場合
である。この場合、目付けが大きい織物6aの方が、目付
けの小さい織物6bよりも通電量は大となり、高温となる
ため、面内には高温−低温の温度分布が付与される。
また、第7図に示すように、目付けも形態も同じであ
るが面内における繊維方向が異なる織物7a、7bを第6図
の場合と同じように接合した場合である。この場合、通
電方向に対し繊維方向が平行である織物(図で7aとす
る)の方が、他の織物7bの場合よりも通電量は大とな
り、結局発熱量大となって高温になる。それゆえ、面内
には温度分布が付与される。
なお、発熱体の面内に温度分布を付与するためには、
上記したように炭素繊維を平面的に2枚接合することに
限定されることなく、適宜な形態の炭素繊維を必要とす
る枚数接合して構成することができる。
つぎは炭素繊維として編組を用いる場合である。編組
は伸縮性に富む。そして長手方向への引張または圧縮に
よって経糸と緯糸とが織りなす模様が変化し、それゆ
え、長手方向の各部分における目付けも変化する。した
がって、長手方向をある模様状態、すなわち長手方向で
変化する所定の目付け状態となるように編組を引張また
は圧縮して、それをC/Cコンポジット中に配置せしめれ
ば、得られたC/Cコンポジットにおいては、その長手方
向に通電量が変化する部分が分布することになり、長手
方向の温度分布が付与される。
つぎは、面内のいかなる部位においても炭素繊維の配
列模様が各部位間で同一かまたは実質的に同一であるよ
うにしたC/Cコンポジットの面内の所定方向に他の部位
とはその幅が異なる通電パスを切削加工して形成する場
合である。例えば第8図に平面図として示したように、
面内のいかなる部位においても炭素繊維の配列模様が同
一かまたは実質的に同一であるC/Cコンポジットの平板8
aを切削して中央部に幅の狭い通電パス8bを形成する。
このようにすれば、幅広の部分と通電パス8bの部分と
では電気抵抗が異なり、したがって通電パス8bの個所は
高温となり端部側はそれよりも低い温度となるため、長
手方向(通電方向)に温度分布が付与されることにな
る。
なお、例えば、前述したような電気抵抗に影響を与え
る各因子を長手方向に適宜組合せてなるC/Cコンポジッ
トを製造すれば、電気抵抗の異なるC/Cコンポジットが
長手方向に連設された状態になるので、得られた発熱体
は、同様の効果を発揮することができる。
その他、発熱体の面内所定方向に温度分布を付与せし
めるためには、上記した例に限定されることなく、前述
したC/Cコンポジットの電気抵抗を変化せしめる諸因子
を適宜組合せて、所望する温度分布を実現することがで
きる。
また、この場合も、既に説明した厚み方向に温度分布
が生ずる発熱体に積極的に温度分布を生ぜしめない場合
と同様に、低温になっている部分のみを支持体等で被包
してその熱放射等の熱損失を抑制することにより、その
部分の温度と、より高温になっていて熱放散等の熱損失
の大きい他の部分との温度とを略同一にすることもでき
る。すなわち、面内の所定方向には温度分布が生じない
ような発熱体にすることができる。
(発明の実施例) 実施例1 第9図は本発明に係る円筒状発熱体を示し、この発熱
体9は、目付けが異なる炭素繊維の織物のプリプレグを
四枚積層したものである。より詳細には、最内層91(第
10図参照)のプリプレグ中の織物の目付けを最大に、最
外層94のプリプレグ中の織物の目付けを最小になるよう
に積層されたプリプレグを巻回して円筒を形成し、これ
を常法のプリプレグ法によって円筒C/Cコンポジットに
した。得られたコンポジットにおいて、その断面は、第
10図に一部切欠断面図として示すように、円筒の内面は
層91から成り、順次目付けの小さい炭素繊維の織物が充
填されている層92、層93が積層され、外周面は目付けが
最小の炭素繊維物が充填されている層94となっている。
この円筒状発熱体9には、第9図に示したように長手
方向に全長に亘るスリット9aが、周方向には等間隔に多
数のスリット9bがそれぞれ刻設され、長手方向に沿って
実質的に等幅のジグザグの通電パス9cが形成されてい
る。
この発熱体9に通電すると、内周面の温度は外周面に
比べて高温になり、その厚み方向に所要の温度勾配がつ
く。しかも、通電パス9cが長手方向に実質的に等幅であ
るから内周面の長手方向の温度むらは少なく円筒内に配
置される被加熱体への均質加熱が可能になる。
そして、外周面は温度が低いので、外周面からの熱放
散が少なく、炉内の熱対流も小さく全体としての熱損失
が小となる。
したがって、このような発熱体は、例えば半導体製造
時の管状炉を均一加熱するための発熱体として好適であ
る。
実施例2 第11図は本発明に係る面状発熱体を示し、この発熱体
11は、C/Cコンポジット中の炭素繊維が解繊マットによ
り形成されるもので、その製法としては、前述のプリプ
レグ法を適用して、まず解繊マットから角形の平板C/C
コンポジットが製造される。この平板C/Cコンポジット
は、面内のいずれの個所においても炭素繊維の模様が同
一になっている。次に、この平板コンポジットに、糸の
こを用いて図のようなスリット11aを刻設し、長手方向
にジグザグに折曲する通電パス11bを形成する。この通
電パスは、長手方向に全てが同じ幅ではなく、中央部か
ら両端部にかけて順次幅広となるように形成されてい
る。
この発熱体11の両端のターミナル11cを電源に接続し
て通電すると、中央部は最高温度となり、両端部側にい
くほど温度が低下する所要の温度分布が得られる。
したがって、長い被加熱体を加熱する際に、その長手
方向の温度を変化させたい場合には、上記した通電パス
の幅を長手方向に適宜に変化させることによりその目的
を容易に達成することができる。
なお、前述した編組の長手方向の織り模様を変化させ
てマトリックス炭素内に配置すれば、第11図に示す実施
例のようにスリットを刻設する必要がないので、幅の狭
い長尺の発熱体の場合には、C/Cコンポジット中の炭素
繊維として編組を用いて形成するものが好適である。
実施例3 第12図に示したように、実施例2の場合とは逆に、実
施例2で用いた平板C/Cコンポジットに中央部側ほど順
次幅広となるように通電パスを刻設して平板状発熱体と
した。
この発熱体に通電すると、中央部の発熱量は少なく両
端部側にいくほど発熱量は多くなる。しかし、両端部側
の熱放散は中央部のそれに比べて大きいので、結局、発
熱体の長手方向の温度はどこでも略等しくなり、面内に
温度分布が生じないことになる。
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、各
種の変形も可能である。すなわち、C/Cコンポジットは
炭素繊維の配置状態を適宜選定することにより、その電
気抵抗を所定の値に設定することが可能になるが、同時
に熱伝導率をも所定の値に設定することができる。
一方、ジュール発熱体はその電気抵抗に基づく発熱作
用とともに熱伝導体としての作用も兼ね備えている。そ
のようなことから、上記したC/Cコンポジットにおい
て、炭素繊維の配置状態を所定の状態に設定することに
より、発熱体内部における熱伝導や、発熱体から支持
体、または電極部への熱伝導量を調整することができる
ようになる。そのため、本発明の発熱体は、ジュール発
熱量の調整に加えて熱伝導量の調整もすることができる
ので、前述した発熱体の温度分布を一層効果的に設定す
ることができる。
(発明の効果) 以上の説明で明らかなように、本発明の炭素繊維/炭
素コンポジット製面発熱体は、その構成が、面または面
状に形成され、かつ、マトリックス炭素中に、厚み方向
または面内所定方向に所定の温度分布を生じ、または生
じないように炭素繊維が配置されているようにしたの
で、厚み方向または面内の所定方向に所望の温度分布を
積極的に付与することができるし、また温度分布を付与
しないこともできる。
また、本発明の発熱体はC/Cコンポジットであるた
め、その機械的強度は極めて大である。それゆえ、薄
形、細径に加工することができ、小形・精密な発熱体が
得られると同時に、通電負荷が小さくても高温発生が可
能となる。
このように本発明の発熱体は、厚み方向や面内の所定
方向に温度分布をつけたり、またはつけなかったりする
ことを積極的に行なうことができ、また精密な加工もで
きるので、複雑な形状の発熱体にすることもでき、更に
は、複数の発熱体を組合せる場合でも、発熱体の厚み方
向で自然に発生してしまう温度勾配を意識的に解消する
ような設計を施すことができる。
また、発熱体の面内方向において均温部分を広く設定
することができ、被加熱体を一様な温度で加熱すること
が可能になるばかりではなく、使用する加熱装置から無
駄な空間を除去することができるので小形化が可能とな
り、加熱装置内部の空間利用率を高めることが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は厚み方向に温度分布が付与される本発明の発熱
体の断面構成の1例を概念的に示す一部切欠断面図、第
2図は厚み方向に温度分布を生ぜしめない場合の1例の
断面図、第3図、第4図はいずれも厚み方向に温度分布
が付与された本発明の発熱体の断面を示す一部切欠断面
図、第5図〜第8図は、面内方向に温度分布が付与され
た発熱体平面構成の1例を概念的に示す平面図、第9図
は本発明の1実施例を示す円筒状発熱体の斜視図、第10
図は第5図のX円拡大断図面、第11図、第12図はいずれ
もは本発明の別の実施例を示す発熱体の平面図、第13図
は螺旋状円形繊維物の全体の平面図、第14図と第15図は
その一部拡大図、第16図はそれを引き延ばした状態を示
す見取図である。 1a,1b,3a,3b,4a,4b,5a,5b,6a,6b,7a,7b……C/Cコンポジ
ット層、2c……支持体、8b……通電パス,9……円筒状発
熱体、9a,9b……スリット、91〜94……C/Cコンポジット
層、11……面状発熱体、11a……スリット、11b……通電
パス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海東 滋 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社滋賀事業場内 (72)発明者 北村 厚 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社滋賀事業場内 (72)発明者 羽根田 順 東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号 東レ株式会社東京事業場内 (56)参考文献 特開 昭52−57527(JP,A) 特開 昭57−82992(JP,A) 特開 昭58−110411(JP,A) 特開 昭58−126510(JP,A) 特開 昭57−64021(JP,A) 実開 昭63−15593(JP,U) 実開 昭57−43593(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】面または面状に形成され、かつ、マトリッ
    クス炭素中に、厚み方向または面内所定方向に所定の温
    度分布を生じ、または生じないように炭素繊維が配置さ
    れていることを特徴とする炭素繊維/炭素コンポジット
    製面発熱体。
  2. 【請求項2】前記炭素繊維が、織物、解繊マット、チョ
    ップドストランドマット、スワールマット、筒状編組、
    一方向引揃え体、または短繊維の形態をしている、特許
    請求の範囲第1項に記載の炭素繊維/炭素コンポジット
    製面発熱体。
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