JP2625821B2 - 人工衛星の熱制御装置 - Google Patents
人工衛星の熱制御装置Info
- Publication number
- JP2625821B2 JP2625821B2 JP63035931A JP3593188A JP2625821B2 JP 2625821 B2 JP2625821 B2 JP 2625821B2 JP 63035931 A JP63035931 A JP 63035931A JP 3593188 A JP3593188 A JP 3593188A JP 2625821 B2 JP2625821 B2 JP 2625821B2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat
- heat sink
- control device
- temperature
- thermal control
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- Control Of Temperature (AREA)
- Cooling Or The Like Of Electrical Apparatus (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は人工衛星の熱制御装置に関する。
人工衛星に搭載される機器は太陽熱や筺体内の搭載機
器からの発熱による高温状態あるいは宇宙空間の極低温
状態などに晒される。機器類には許容温度範囲が設けら
れており、これら機器類はこの温度範囲より高温または
低温の温度領域では正常に作動しないかまたは破損する
ことがある。そこで人工衛星には熱制御装置を装備して
搭載機器の温度制御を行う。
器からの発熱による高温状態あるいは宇宙空間の極低温
状態などに晒される。機器類には許容温度範囲が設けら
れており、これら機器類はこの温度範囲より高温または
低温の温度領域では正常に作動しないかまたは破損する
ことがある。そこで人工衛星には熱制御装置を装備して
搭載機器の温度制御を行う。
人工衛星の熱制御装置としては放熱パネルなどのヒー
トシンクがよく用いられる。宇宙空間では高真空のため
空気の対流による冷却は行えないから、ヒートシンクと
搭載機器とはふく射または伝導により熱的に結合され
る。ふく射を熱結合手段とした場合、搭載機器で発生し
た熱が宇宙空間への放熱により冷却されていて温度の低
いヒートシンク(例えば外被パネル)に移動することに
より冷却される。この時の搭載機器からヒートシンクに
移動する熱量Qは次式で表わされる。
トシンクがよく用いられる。宇宙空間では高真空のため
空気の対流による冷却は行えないから、ヒートシンクと
搭載機器とはふく射または伝導により熱的に結合され
る。ふく射を熱結合手段とした場合、搭載機器で発生し
た熱が宇宙空間への放熱により冷却されていて温度の低
いヒートシンク(例えば外被パネル)に移動することに
より冷却される。この時の搭載機器からヒートシンクに
移動する熱量Qは次式で表わされる。
Q=σF(Tc4−Th4) (1) (1)式において、Tc,Thはそれぞれ搭載機器および
ヒートシンクの温度、σはステファン・ボルツマン定
数、Fは搭載機器とヒートシンクとの間のふく射結合係
数である。簡単のために搭載機器とヒートシンクとが平
行に向きあった場合を仮定すると、ふく射結合係数Fは
次式で表わされる。
ヒートシンクの温度、σはステファン・ボルツマン定
数、Fは搭載機器とヒートシンクとの間のふく射結合係
数である。簡単のために搭載機器とヒートシンクとが平
行に向きあった場合を仮定すると、ふく射結合係数Fは
次式で表わされる。
(2)式において、Aは対向部分の面積,Ec,Ehはそれ
ぞれ搭載機器,ヒートシンクの表面の赤外ふく射率であ
る。限られた対向面積Aにおいて搭載機器からヒートシ
ンクへの熱移動量Qを大きくするには、(1),(2)
式より明らかなように赤外ふく射率EcおよびEhを大きく
するのが有効である。このため、人工衛星内部では黒色
塗料などの赤外ふく射率が大きな表面処理が用いられ
る。また、逆にヒートシンクと搭載機器との間の熱移動
量を抑えるには、赤外ふく射率EcおよびEhが小さな金メ
ッキ,アルミ合金素地などの表面処理が用いられる。
ぞれ搭載機器,ヒートシンクの表面の赤外ふく射率であ
る。限られた対向面積Aにおいて搭載機器からヒートシ
ンクへの熱移動量Qを大きくするには、(1),(2)
式より明らかなように赤外ふく射率EcおよびEhを大きく
するのが有効である。このため、人工衛星内部では黒色
塗料などの赤外ふく射率が大きな表面処理が用いられ
る。また、逆にヒートシンクと搭載機器との間の熱移動
量を抑えるには、赤外ふく射率EcおよびEhが小さな金メ
ッキ,アルミ合金素地などの表面処理が用いられる。
ところが、(1)式より明らかなように、熱が搭載機
器からヒートシンクに移動するためにはTh<Tcでなけれ
ばならないが、ヒートシンクとなっている外被パネルに
太陽光等の外部熱入力があると温度が上昇してTh>Tcと
なり、熱がヒートシンクから搭載機器に移動し、搭載機
器が加熱され許容温度を超える可能性がある。このた
め、ヒートシンクとなる外被パネルは太陽光入力などの
外部熱入力が少ない特別な位置に配置する必要があり、
搭載機器の配置や放熱面積の確保の点で人工衛星の設計
上大きな制約となっていた。
器からヒートシンクに移動するためにはTh<Tcでなけれ
ばならないが、ヒートシンクとなっている外被パネルに
太陽光等の外部熱入力があると温度が上昇してTh>Tcと
なり、熱がヒートシンクから搭載機器に移動し、搭載機
器が加熱され許容温度を超える可能性がある。このた
め、ヒートシンクとなる外被パネルは太陽光入力などの
外部熱入力が少ない特別な位置に配置する必要があり、
搭載機器の配置や放熱面積の確保の点で人工衛星の設計
上大きな制約となっていた。
本発明は、ヒートシンクとなる外被パネルに太陽光等
の外部熱入力が生じ搭載機器より高温となった場合でも
搭載機器への熱の逆流が少なく、ヒートシンクの配置の
制約が少ない人工衛星の熱制御装置を提供することを目
的とする。
の外部熱入力が生じ搭載機器より高温となった場合でも
搭載機器への熱の逆流が少なく、ヒートシンクの配置の
制約が少ない人工衛星の熱制御装置を提供することを目
的とする。
本発明の人工衛星の熱制御装置は、相転移を起こす遷
移温度より高い温度範囲では赤外ふく射率が低く前記遷
移温度より低い温度範囲では赤外ふく射率が高い相転移
物質を搭載機器とふく射熱交換するヒートシンクの表面
に配置して構成される。
移温度より高い温度範囲では赤外ふく射率が低く前記遷
移温度より低い温度範囲では赤外ふく射率が高い相転移
物質を搭載機器とふく射熱交換するヒートシンクの表面
に配置して構成される。
次に、本発明について図面を参照して説明する。
第1図は本発明の第1の実施例の断面図である。
本実施例では相転移物質として二酸化バナジウムを用
い、これを薄膜状に成形して熱制御装置1としている。
二酸化バナジウムは遷移温度で相転移を起こし、遷移温
度より高音域では金属的性質を示してふく射率が低くな
り、遷移温度より低音域では絶縁体的性質を示しふく射
率が高くなる。
い、これを薄膜状に成形して熱制御装置1としている。
二酸化バナジウムは遷移温度で相転移を起こし、遷移温
度より高音域では金属的性質を示してふく射率が低くな
り、遷移温度より低音域では絶縁体的性質を示しふく射
率が高くなる。
熱制御装置1は、ヒートシンク2に密着して、搭載機
器3に対向して取付けられる。ヒートシンク2への太陽
光入射がなく熱制御装置1の温度が二酸化バナジウムの
遷移温度より低い時は、熱制御装置の表面の赤外ふく射
率が高いから、(1)式および(2)式より、ふく射結
合係数Fが大きくなり、搭載機器3からの発熱は高い効
率でヒートシンク2に導かれ(熱移動4)、宇宙空間5
に放熱される。
器3に対向して取付けられる。ヒートシンク2への太陽
光入射がなく熱制御装置1の温度が二酸化バナジウムの
遷移温度より低い時は、熱制御装置の表面の赤外ふく射
率が高いから、(1)式および(2)式より、ふく射結
合係数Fが大きくなり、搭載機器3からの発熱は高い効
率でヒートシンク2に導かれ(熱移動4)、宇宙空間5
に放熱される。
一方、ヒートシンク2へ太陽光入射があり、その加熱
により熱制御装置1の温度が二酸化バナジウムの遷移温
度より高い時は、熱制御装置1の表面の赤外ふく射率が
低いから、(1)式および(2)式より、ふく射結合係
数Fが小さくなり、ヒートシンク2から搭載機器3への
熱移動が制御され、搭載機器3の加熱が防止される。
により熱制御装置1の温度が二酸化バナジウムの遷移温
度より高い時は、熱制御装置1の表面の赤外ふく射率が
低いから、(1)式および(2)式より、ふく射結合係
数Fが小さくなり、ヒートシンク2から搭載機器3への
熱移動が制御され、搭載機器3の加熱が防止される。
搭載機器温度Tcが一定とした時のヒートシンク温度Th
と熱移動量Qとの関係を第2図に示す。Toは遷移温度、
破線はヒートシンクのみによる従来の熱制御方式の場合
を示す。
と熱移動量Qとの関係を第2図に示す。Toは遷移温度、
破線はヒートシンクのみによる従来の熱制御方式の場合
を示す。
また、第3図(a),(b)に示す本発明の第2の実
施例のように、衛星外被の各面をヒートシンク6とし、
その内表面全面に熱制御装置7を取付け、その内部に搭
載機器8を、その全表面が熱制御装置7と対向するよう
に配置すると、太陽9側のヒートシンク6からの熱の流
入は抑制され、180度反対側の日陰側のヒートシンク6
への放熱を効率良く行うことができる。このような使用
法は、太陽光の入射方向が一定でない衛星において、常
に太陽光による加熱を避け、かつ、放熱経路を確保でき
るため、非常に有効である。
施例のように、衛星外被の各面をヒートシンク6とし、
その内表面全面に熱制御装置7を取付け、その内部に搭
載機器8を、その全表面が熱制御装置7と対向するよう
に配置すると、太陽9側のヒートシンク6からの熱の流
入は抑制され、180度反対側の日陰側のヒートシンク6
への放熱を効率良く行うことができる。このような使用
法は、太陽光の入射方向が一定でない衛星において、常
に太陽光による加熱を避け、かつ、放熱経路を確保でき
るため、非常に有効である。
本発明に使用する相転移物質は厚さ数100ミクロンの
薄膜でよいため、本発明の人工衛星の熱制御装置は占有
体積が小さく軽量である。また、物質そのものの物理的
性質を利用しており可動部分を持たないため、耐震動,
潤滑の問題もなく信頼性が優れている。
薄膜でよいため、本発明の人工衛星の熱制御装置は占有
体積が小さく軽量である。また、物質そのものの物理的
性質を利用しており可動部分を持たないため、耐震動,
潤滑の問題もなく信頼性が優れている。
以上説明したように本発明による人工衛星の熱制御装
置は、太陽光等がヒートシンクに入射するときは搭載機
器への熱の流入を防止し、太陽光等がヒートシンクに入
射しないときは搭載機器から効率良く放熱を行わせるの
で、ヒートシンクや搭載機器の配置に太陽光入射方向に
よる制約が少なくなり、人工衛星の合理的設計が可能に
なる効果があり、また、占有体積が小さく、軽量であ
り、信頼性が高いという効果がある。
置は、太陽光等がヒートシンクに入射するときは搭載機
器への熱の流入を防止し、太陽光等がヒートシンクに入
射しないときは搭載機器から効率良く放熱を行わせるの
で、ヒートシンクや搭載機器の配置に太陽光入射方向に
よる制約が少なくなり、人工衛星の合理的設計が可能に
なる効果があり、また、占有体積が小さく、軽量であ
り、信頼性が高いという効果がある。
第1図は本発明の第1の実施例の断面図、第2図は第1
図に示す実施例における搭載機器温度Tcを一定とした時
のヒートシンク2及び搭載機器3の間の熱移動量Qとヒ
ートシンク温度Thとの関係を示すグラフ、第3図
(a),(b)は本発明の第2の実施例の断面図であ
る。 1,7……熱制御装置、2,6……ヒートシンク、3,8……搭
載機器。
図に示す実施例における搭載機器温度Tcを一定とした時
のヒートシンク2及び搭載機器3の間の熱移動量Qとヒ
ートシンク温度Thとの関係を示すグラフ、第3図
(a),(b)は本発明の第2の実施例の断面図であ
る。 1,7……熱制御装置、2,6……ヒートシンク、3,8……搭
載機器。
Claims (1)
- 【請求項1】相転移を起こす遷移温度より高い温度範囲
では赤外ふく射率が低く前記遷移温度より低い温度範囲
では赤外ふく射率が高い相転移物質を搭載機器とふく射
熱交換するヒートシンクの表面に配置したこと特徴とす
る人工衛星の熱制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63035931A JP2625821B2 (ja) | 1988-02-17 | 1988-02-17 | 人工衛星の熱制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63035931A JP2625821B2 (ja) | 1988-02-17 | 1988-02-17 | 人工衛星の熱制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01212699A JPH01212699A (ja) | 1989-08-25 |
JP2625821B2 true JP2625821B2 (ja) | 1997-07-02 |
Family
ID=12455774
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63035931A Expired - Lifetime JP2625821B2 (ja) | 1988-02-17 | 1988-02-17 | 人工衛星の熱制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2625821B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1170208A2 (en) | 2000-07-07 | 2002-01-09 | Nec Corporation | Thermal control method and device |
US7981532B2 (en) | 2005-09-28 | 2011-07-19 | Nec Corporation | Phase-change substance, thermal control device and methods of use thereof |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6948052B2 (ja) * | 2016-11-25 | 2021-10-13 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 | 探査機 |
-
1988
- 1988-02-17 JP JP63035931A patent/JP2625821B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1170208A2 (en) | 2000-07-07 | 2002-01-09 | Nec Corporation | Thermal control method and device |
EP1170208A3 (en) * | 2000-07-07 | 2003-11-12 | Nec Corporation | Thermal control method and device |
US7267866B2 (en) | 2000-07-07 | 2007-09-11 | Nec Corporation | Heat control method and heat controller |
US7981532B2 (en) | 2005-09-28 | 2011-07-19 | Nec Corporation | Phase-change substance, thermal control device and methods of use thereof |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01212699A (ja) | 1989-08-25 |
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