JP2624080B2 - マンドレルの自励振動防止方法 - Google Patents
マンドレルの自励振動防止方法Info
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- JP2624080B2 JP2624080B2 JP4084055A JP8405592A JP2624080B2 JP 2624080 B2 JP2624080 B2 JP 2624080B2 JP 4084055 A JP4084055 A JP 4084055A JP 8405592 A JP8405592 A JP 8405592A JP 2624080 B2 JP2624080 B2 JP 2624080B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属管の引き抜き加工
時に、ダイス孔内部にマンドレルを介して設置されたプ
ラグおよびマンドレルに発生する自励振動を確実に解消
することができるマンドレルの自励振動防止方法に関す
る。
時に、ダイス孔内部にマンドレルを介して設置されたプ
ラグおよびマンドレルに発生する自励振動を確実に解消
することができるマンドレルの自励振動防止方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】金属管の引き抜き加工方法は、所定の形
状のダイス孔を有するダイスと、前記ダイス孔内に設置
されるプラグと、前記プラグをその先端に支持するマン
ドレルとを備えた引き抜き加工装置を用いて、素材であ
る金属管を牽引してその外径よりも小さい直径のダイス
孔を通して前方から引き抜く操作を1回または複数回繰
り返す加工方法であって、断面積を低減したり形状を変
更して所定の寸法・強度等を付与し、軸受け用鋼管やメ
カニカルチューブ等を製造する加工方法である。
状のダイス孔を有するダイスと、前記ダイス孔内に設置
されるプラグと、前記プラグをその先端に支持するマン
ドレルとを備えた引き抜き加工装置を用いて、素材であ
る金属管を牽引してその外径よりも小さい直径のダイス
孔を通して前方から引き抜く操作を1回または複数回繰
り返す加工方法であって、断面積を低減したり形状を変
更して所定の寸法・強度等を付与し、軸受け用鋼管やメ
カニカルチューブ等を製造する加工方法である。
【0003】図2には冷間引き抜き加工における製管装
置の一例を示す。同図において、一端を固定されたマン
ドレル1の他端に取り付けられた円筒形のプラグ2をダ
イス3のダイス孔の内部に設置し、ダイス3の孔径より
も大きな外径を有する金属管4をキャリッジにより牽引
しながらダイス孔を通過させることにより、所望の断面
形状を有する製品5を得ている。この際、金属管4の外
面および内面に潤滑油を滴下して、プラグ2と金属管4
との間に発生する摩擦力を低減して加工性の向上を図っ
ている。
置の一例を示す。同図において、一端を固定されたマン
ドレル1の他端に取り付けられた円筒形のプラグ2をダ
イス3のダイス孔の内部に設置し、ダイス3の孔径より
も大きな外径を有する金属管4をキャリッジにより牽引
しながらダイス孔を通過させることにより、所望の断面
形状を有する製品5を得ている。この際、金属管4の外
面および内面に潤滑油を滴下して、プラグ2と金属管4
との間に発生する摩擦力を低減して加工性の向上を図っ
ている。
【0004】ところで、このような金属管の引き抜き加
工においては、プラグ2と金属管4との間の相対速度に
関する摩擦力の変化率が負の値のときプラグ2に振動が
発生する。すなわち、プラグ2と金属管4との間の摩擦
力は、これらの両者の相対速度により決定される値であ
り、例えばプラグ2と金属管4との相対速度が0のとき
には(付着・スティック状態)、摩擦力が大きいためプ
ラグ2は引き込まれ、ある程度引き込まれるとすべり状
態 (スリップ状態) となって両者の相対速度は増加し摩
擦力が減少するため、この振動は徐々に成長し大きくな
る。一般的にかかる振動は、スティック・スリップ現象
と呼ばれ、この振動が発生すると引き抜き材料の表面性
状を悪化するだけでなく、工具寿命を縮め、最悪の場合
には工具破損に至る。
工においては、プラグ2と金属管4との間の相対速度に
関する摩擦力の変化率が負の値のときプラグ2に振動が
発生する。すなわち、プラグ2と金属管4との間の摩擦
力は、これらの両者の相対速度により決定される値であ
り、例えばプラグ2と金属管4との相対速度が0のとき
には(付着・スティック状態)、摩擦力が大きいためプ
ラグ2は引き込まれ、ある程度引き込まれるとすべり状
態 (スリップ状態) となって両者の相対速度は増加し摩
擦力が減少するため、この振動は徐々に成長し大きくな
る。一般的にかかる振動は、スティック・スリップ現象
と呼ばれ、この振動が発生すると引き抜き材料の表面性
状を悪化するだけでなく、工具寿命を縮め、最悪の場合
には工具破損に至る。
【0005】従来は、この振動が引き抜き加工中に発生
すると、例えば特開昭50−128665号公報により提案され
ているように、引き抜き加工速度を低減して振動が発生
しない加工速度に調整することにより振動を低減する方
法が広く行われていた。このように引き抜き加工速度を
低減しても振動が収束しない場合には、さらに、加工度
を低減することにより振動が発生しないスケジュールに
変更したり、加工時に使用する潤滑剤を高級化する対策
が行われていた。
すると、例えば特開昭50−128665号公報により提案され
ているように、引き抜き加工速度を低減して振動が発生
しない加工速度に調整することにより振動を低減する方
法が広く行われていた。このように引き抜き加工速度を
低減しても振動が収束しない場合には、さらに、加工度
を低減することにより振動が発生しないスケジュールに
変更したり、加工時に使用する潤滑剤を高級化する対策
が行われていた。
【0006】プラグに生じる振動を根本的に低減する提
案として、例えば特開昭51−116157号公報や同51−1263
68号公報には、超音波でプラグを加振してプラグ〜金属
管の摩擦特性を改善することにより、プラグに生じる振
動を防止する技術が知られている。しかしながら、これ
らの方法では、生産性を低下させずに引き抜き加工中に
プラグに発生する振動を防止することができない。すな
わち、加工速度を低減すると当然に加工能率は低下し、
また加工度を低減すると最終寸法に仕上げるまでの工程
が増加するため、いずれにしても加工能率は低下してし
まう。
案として、例えば特開昭51−116157号公報や同51−1263
68号公報には、超音波でプラグを加振してプラグ〜金属
管の摩擦特性を改善することにより、プラグに生じる振
動を防止する技術が知られている。しかしながら、これ
らの方法では、生産性を低下させずに引き抜き加工中に
プラグに発生する振動を防止することができない。すな
わち、加工速度を低減すると当然に加工能率は低下し、
また加工度を低減すると最終寸法に仕上げるまでの工程
が増加するため、いずれにしても加工能率は低下してし
まう。
【0007】潤滑剤の高級化を図る対策は、振動防止の
観点からは所詮補助的な対策であり、潤滑剤の変更に伴
って余分な工数や費用を要するため、引き抜き加工の生
産性は結局低下してしまう。超音波でプラグを加振する
方法によれば、ある程度の振動防止効果を得ることはで
きるものの、極めて高価であってかつ大規模な設備を必
要とするため、現実には採用することが困難である。
観点からは所詮補助的な対策であり、潤滑剤の変更に伴
って余分な工数や費用を要するため、引き抜き加工の生
産性は結局低下してしまう。超音波でプラグを加振する
方法によれば、ある程度の振動防止効果を得ることはで
きるものの、極めて高価であってかつ大規模な設備を必
要とするため、現実には採用することが困難である。
【0008】そこで、本発明者らは、先に特開平2−99
216 号公報によりマンドレルと固定端との間に流体圧シ
リンダを介在させた装置を提案した。特開平2−99216
号公報により提案した方法は、ダイスおよびプラグを用
いる金属管の引き抜き加工に際して、マンドレルを流体
圧シリンダを介して引き抜き方向へ移動可能に設置し、
加工時にはシリンダ内においてピストンが流体を介して
支持された状態で加工を行う方法である。この提案にお
いて、マンドレルに関する運動方程式を振動モデルを利
用して求めると、
216 号公報によりマンドレルと固定端との間に流体圧シ
リンダを介在させた装置を提案した。特開平2−99216
号公報により提案した方法は、ダイスおよびプラグを用
いる金属管の引き抜き加工に際して、マンドレルを流体
圧シリンダを介して引き抜き方向へ移動可能に設置し、
加工時にはシリンダ内においてピストンが流体を介して
支持された状態で加工を行う方法である。この提案にお
いて、マンドレルに関する運動方程式を振動モデルを利
用して求めると、
【0009】
【数1】
【0010】ただし、 Mp :ピストンの等価質量 Cp :ピストンの等価減衰係数 Kp :ピストンの等価ばね剛性 xp :ピストンの変位 M :マンドレルおよびプラグの等価質量 C :マンドレルの等価粘性減衰係数 X :マンドレルの変位 となり、さらに摩擦力fは、
【0011】
【数2】
【0012】となり、ここで、M、K、Cおよびαは既
知の値であるために Mp を適当な値に決定すれば、マン
ドレルが自励振動を発生しない Kp および Cp の値を決
定することができる。例えば、M=38.37kg 、K=7.02
×104N/m、C=5.08×102N・S/m 、Mp=10kgおよびα=
7000N・S/mとした場合のプラグ安定条件を計算した結
果を図3にグラフで示す。すなわち、負荷した流体圧シ
リンダのばね剛性 kp (N/m) および減衰係数 Cp (NS/m)
を図3の斜線部内の値とすることにより、プラグに発生
する自励振動を防止できる。しかし、この提案にかかる
方法では、図3からも明らかなように、減衰係数Cpに対
する許容範囲が狭く、現実の操業条件のばらつきを考え
ると、その改善が望まれる。
知の値であるために Mp を適当な値に決定すれば、マン
ドレルが自励振動を発生しない Kp および Cp の値を決
定することができる。例えば、M=38.37kg 、K=7.02
×104N/m、C=5.08×102N・S/m 、Mp=10kgおよびα=
7000N・S/mとした場合のプラグ安定条件を計算した結
果を図3にグラフで示す。すなわち、負荷した流体圧シ
リンダのばね剛性 kp (N/m) および減衰係数 Cp (NS/m)
を図3の斜線部内の値とすることにより、プラグに発生
する自励振動を防止できる。しかし、この提案にかかる
方法では、図3からも明らかなように、減衰係数Cpに対
する許容範囲が狭く、現実の操業条件のばらつきを考え
ると、その改善が望まれる。
【0013】そこで、本発明者らは、特開平3−124311
号公報により、特開平2−99216 号公報により提案した
装置において、さらに、流体圧シリンダ単体でなく流体
圧シリンダにその伸縮方向へばね力を生ぜしめる装置を
追加した装置を用い、引き抜き加工時には流体圧シリン
ダの流体圧を調整するサーボバルブのスプール弁の開度
Xsを流体圧シリンダにかける静圧シリンダ内の流体圧と
の差ΔPの絶対値の平方根に比例するように調整するこ
とを提案した。すなわち、任意の時間Δtにおけるサー
ボバルブの流体圧変化量をΔPとし、Ksv 、Aを定数、
Cpを減衰係数とした場合に、
号公報により、特開平2−99216 号公報により提案した
装置において、さらに、流体圧シリンダ単体でなく流体
圧シリンダにその伸縮方向へばね力を生ぜしめる装置を
追加した装置を用い、引き抜き加工時には流体圧シリン
ダの流体圧を調整するサーボバルブのスプール弁の開度
Xsを流体圧シリンダにかける静圧シリンダ内の流体圧と
の差ΔPの絶対値の平方根に比例するように調整するこ
とを提案した。すなわち、任意の時間Δtにおけるサー
ボバルブの流体圧変化量をΔPとし、Ksv 、Aを定数、
Cpを減衰係数とした場合に、
【0014】
【数3】
【0015】と表されることから、スプール弁の開度Xs
を上式により得た開度となるように調整する。この提案
によれば、マンドレルに発生する自励振動を短時間に吸
収・解消することができる。
を上式により得た開度となるように調整する。この提案
によれば、マンドレルに発生する自励振動を短時間に吸
収・解消することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らは
さらに検討を重ねた結果、特開平3−124311号公報によ
り提案した方法では、引き抜き加工開始時の非定常状態
時(引き抜き開始直後からプラグの位置が引き抜き方向
に移動して、安定するまでの期間を意味する)に、流体
圧シリンダーにかける静圧とシリンダー内の流体圧との
差が大きいためにサーボバルブのスプル弁の開度が大き
くなり易く、流体圧シリンダ内のピストンが移動してし
まうことがあることが判明した。
さらに検討を重ねた結果、特開平3−124311号公報によ
り提案した方法では、引き抜き加工開始時の非定常状態
時(引き抜き開始直後からプラグの位置が引き抜き方向
に移動して、安定するまでの期間を意味する)に、流体
圧シリンダーにかける静圧とシリンダー内の流体圧との
差が大きいためにサーボバルブのスプル弁の開度が大き
くなり易く、流体圧シリンダ内のピストンが移動してし
まうことがあることが判明した。
【0017】したがって、この方法では定常状態に達す
るまでの間あるいは定常状態に達しても暫くの間、プラ
グが振動してしまうことがあり、この振動が発生すると
引き抜き材料の表面性状を悪化し、最悪の場合にはプラ
グ破損を招きかねず、その改善が必要であることが分か
った。
るまでの間あるいは定常状態に達しても暫くの間、プラ
グが振動してしまうことがあり、この振動が発生すると
引き抜き材料の表面性状を悪化し、最悪の場合にはプラ
グ破損を招きかねず、その改善が必要であることが分か
った。
【0018】ここに、本発明の目的は、特開平3−1243
11号公報により提案した方法を改良することにあり、具
体的には、特開平3−124311号公報により提案した方法
により金属管の引き抜き加工を行うに際し、マンドレル
に発生する自励振動を引き抜き加工の開始時から確実に
解消できるマンドレルの自励振動防止方法を提供するこ
とにある。
11号公報により提案した方法を改良することにあり、具
体的には、特開平3−124311号公報により提案した方法
により金属管の引き抜き加工を行うに際し、マンドレル
に発生する自励振動を引き抜き加工の開始時から確実に
解消できるマンドレルの自励振動防止方法を提供するこ
とにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明の要旨と
するところは、マンドレルの先端に取り付けられたプラ
グをダイスの孔の内部に設置し、ダイスの孔径よりも大
きい外径を有する金属管を牽引しながらダイスの孔を通
過させることによりダイス孔径に応じた断面を有する製
品を得る金属管の引き抜き加工に際し、マンドレルの後
端を、その流体圧を調整するサーボバルブを有する流体
圧シリンダを介して支持するとともに、流体圧シリンダ
の伸縮方向にバネ力を生ぜめる装置を流体圧シリンダに
設置し、引き抜き方向にプラグの位置が移動している非
定常状態での引き抜き加工時には、サーボバルブのスプ
ール弁の開度を5〜10%に閉め、プラグの位置が安定
する定常状態に達した後は、前記サーボバルブのスプー
ル弁の開度を流体圧シリンダにかける静圧とシリンダ内
の流体圧との差の絶対値の平方根に比例するように調整
することを特徴とするマンドレルの自励振動防止方法で
ある。
するところは、マンドレルの先端に取り付けられたプラ
グをダイスの孔の内部に設置し、ダイスの孔径よりも大
きい外径を有する金属管を牽引しながらダイスの孔を通
過させることによりダイス孔径に応じた断面を有する製
品を得る金属管の引き抜き加工に際し、マンドレルの後
端を、その流体圧を調整するサーボバルブを有する流体
圧シリンダを介して支持するとともに、流体圧シリンダ
の伸縮方向にバネ力を生ぜめる装置を流体圧シリンダに
設置し、引き抜き方向にプラグの位置が移動している非
定常状態での引き抜き加工時には、サーボバルブのスプ
ール弁の開度を5〜10%に閉め、プラグの位置が安定
する定常状態に達した後は、前記サーボバルブのスプー
ル弁の開度を流体圧シリンダにかける静圧とシリンダ内
の流体圧との差の絶対値の平方根に比例するように調整
することを特徴とするマンドレルの自励振動防止方法で
ある。
【0020】本発明において、「非定常状態」とは、材
料−プラグ間の摩擦力とマンドレルの引張力とが釣り合
わないで、引き抜き方向にプラグの位置が移動している
状態をいい、具体的には金属管の引き抜き加工において
は引き抜き開始直後からプラグが、その平衡位置に達す
るまでの時間をいう。また、サーボバルブのスプール弁
の開度を流体圧シリンダにかける静圧とシリンダ内の流
体圧との差の絶対値の平方根に比例するように調整する
のは、プラグの位置が安定する定常状態に達した後に、
望ましくは達した直後に行う。
料−プラグ間の摩擦力とマンドレルの引張力とが釣り合
わないで、引き抜き方向にプラグの位置が移動している
状態をいい、具体的には金属管の引き抜き加工において
は引き抜き開始直後からプラグが、その平衡位置に達す
るまでの時間をいう。また、サーボバルブのスプール弁
の開度を流体圧シリンダにかける静圧とシリンダ内の流
体圧との差の絶対値の平方根に比例するように調整する
のは、プラグの位置が安定する定常状態に達した後に、
望ましくは達した直後に行う。
【0021】なお、スプール弁は、周知のように、スリ
ーブ内を摺動するスプールがスリーブにより形成される
ストロークで往復移動することにより、開度を0〜100
% (両端の二つのストロークエンドにあるときの開度が
100 %であり、ストロークの中間位置にあるときの開度
が0%である) の範囲で連続的に変化せしめることが可
能な構成となっている。本発明では、サーボバルブに設
けられている。
ーブ内を摺動するスプールがスリーブにより形成される
ストロークで往復移動することにより、開度を0〜100
% (両端の二つのストロークエンドにあるときの開度が
100 %であり、ストロークの中間位置にあるときの開度
が0%である) の範囲で連続的に変化せしめることが可
能な構成となっている。本発明では、サーボバルブに設
けられている。
【0022】本発明において、サーボバルブのスプール
弁の開度を5〜10%に閉める手段は何ら限定を要するも
のではないが、例えばサーボアンプを介してサーボバル
ブに開度信号を出力することにより、開度の自動制御が
可能である。本発明において、流体圧シリンダとして
は、油圧シリンダを例示することができる。
弁の開度を5〜10%に閉める手段は何ら限定を要するも
のではないが、例えばサーボアンプを介してサーボバル
ブに開度信号を出力することにより、開度の自動制御が
可能である。本発明において、流体圧シリンダとして
は、油圧シリンダを例示することができる。
【0023】
【作用】以下、本発明を添付図面を参照しながら作用効
果とともに詳述する。図1は、本発明にかかるマンドレ
ルの自励振動防止方法を使用するために用いるマンドレ
ルの自励振動防止装置の一例を示す説明図である。
果とともに詳述する。図1は、本発明にかかるマンドレ
ルの自励振動防止方法を使用するために用いるマンドレ
ルの自励振動防止装置の一例を示す説明図である。
【0024】同図において、ダイス3の孔の内部に設置
されたプラグ2を支持するマンドレル1は、流体圧シリ
ンダ6を介して設置される。流体圧シリンダ6には、そ
の流体圧を調整するサーボバルブ7と、流体圧シリンダ
6の伸縮方向にバネ力を生ぜしめる装置としてアキュー
ムレータ11が接続される。ただし、厳密に流体圧シリン
ダ6の伸縮方向と同一な方向にバネ力を生ぜしめる必要
はなく、流体圧シリンダ6に減衰能を持たせることが可
能なように設置すればよい。また、本発明においても特
開平3−124311号公報により提案した方法と同様に、バ
ネ力を生ぜしめる装置としてはアキュームレータ以外に
も油圧シリンダ6内に設置したコイルバネ等を用いるこ
とができ、特に限定を要するものではない。
されたプラグ2を支持するマンドレル1は、流体圧シリ
ンダ6を介して設置される。流体圧シリンダ6には、そ
の流体圧を調整するサーボバルブ7と、流体圧シリンダ
6の伸縮方向にバネ力を生ぜしめる装置としてアキュー
ムレータ11が接続される。ただし、厳密に流体圧シリン
ダ6の伸縮方向と同一な方向にバネ力を生ぜしめる必要
はなく、流体圧シリンダ6に減衰能を持たせることが可
能なように設置すればよい。また、本発明においても特
開平3−124311号公報により提案した方法と同様に、バ
ネ力を生ぜしめる装置としてはアキュームレータ以外に
も油圧シリンダ6内に設置したコイルバネ等を用いるこ
とができ、特に限定を要するものではない。
【0025】符号10は、流体圧シリンダ6内の流体圧お
よびサーボバルブ7内の流体圧を介して流体圧シリンダ
6にかかる静圧を検出する流体圧計であり、符号8は演
算器9からの信号を増幅してサーボバルブ7に出力する
アンプである。なお、演算器9は、流体圧計10が検出し
た流体圧シリンダーにかける静圧とシリンダー内の流体
圧との流体圧差、および引き抜き荷重速度を検知するた
めの電流計12の出力値に基づき、サーボバルブ7のスプ
ール弁 (図示しない) の開度を変更せしめる信号を演算
・出力する演算器である。図1中にはスプール弁は図示
していないが、油圧シリンダ6に適宜手段により設けら
れる。
よびサーボバルブ7内の流体圧を介して流体圧シリンダ
6にかかる静圧を検出する流体圧計であり、符号8は演
算器9からの信号を増幅してサーボバルブ7に出力する
アンプである。なお、演算器9は、流体圧計10が検出し
た流体圧シリンダーにかける静圧とシリンダー内の流体
圧との流体圧差、および引き抜き荷重速度を検知するた
めの電流計12の出力値に基づき、サーボバルブ7のスプ
ール弁 (図示しない) の開度を変更せしめる信号を演算
・出力する演算器である。図1中にはスプール弁は図示
していないが、油圧シリンダ6に適宜手段により設けら
れる。
【0026】本発明は、例えば図1に示す構成の装置を
用いて、特開平3−124311号公報により提案した
方法と同様に、定常状態ではサーボバルブのスプール弁
の開度Xsを流体圧シリンダにかける静圧とシリンダ内
の流体圧との差ΔPの絶対値の平方根に比例するように
調整するのであるが、引き抜き方向にプラグの位置が移
動している非定常状態における引き抜き加工時には、サ
ーボバルブのスプール弁の開度を5〜10%に閉め、プ
ラグの位置が安定する定常状態に達した後に前記サーボ
バルブのスプール弁の開度を流体圧シリンダにかける静
圧とシリンダ内の流体圧との差の絶対値の平方根に比例
するように調整する。
用いて、特開平3−124311号公報により提案した
方法と同様に、定常状態ではサーボバルブのスプール弁
の開度Xsを流体圧シリンダにかける静圧とシリンダ内
の流体圧との差ΔPの絶対値の平方根に比例するように
調整するのであるが、引き抜き方向にプラグの位置が移
動している非定常状態における引き抜き加工時には、サ
ーボバルブのスプール弁の開度を5〜10%に閉め、プ
ラグの位置が安定する定常状態に達した後に前記サーボ
バルブのスプール弁の開度を流体圧シリンダにかける静
圧とシリンダ内の流体圧との差の絶対値の平方根に比例
するように調整する。
【0027】すなわち、引き抜き加工開始時の引き抜き
方向にプラグの位置が移動している非定常状態では、サ
ーボバルブのスプール開度を5〜10%に閉め、プラグ
の位置が安定する定常状態に達した直後に、特開平3−
124311号公報により詳述してある演算処理を行う
こと、略述すれば、特開平3−124311号公報によ
り提案した方法よりもスプール弁の開タイミングを遅ら
せることにより、流体圧シリンダー6の流体圧の流動抵
抗を完全に利用して、引き抜き加工初期にプラグ2に発
生する振動を吸収・防止する。
方向にプラグの位置が移動している非定常状態では、サ
ーボバルブのスプール開度を5〜10%に閉め、プラグ
の位置が安定する定常状態に達した直後に、特開平3−
124311号公報により詳述してある演算処理を行う
こと、略述すれば、特開平3−124311号公報によ
り提案した方法よりもスプール弁の開タイミングを遅ら
せることにより、流体圧シリンダー6の流体圧の流動抵
抗を完全に利用して、引き抜き加工初期にプラグ2に発
生する振動を吸収・防止する。
【0028】なお、引き抜き方向にプラグの位置が移動
している非定常状態におけるスプール弁の開度を5〜1
0%と限定したのは、この範囲外であるとプラグ2に発
生する振動を吸収できないからである。表1には、本発
明と特開平3−124311号公報により提案された方
法との双方の特徴を比較して示す。
している非定常状態におけるスプール弁の開度を5〜1
0%と限定したのは、この範囲外であるとプラグ2に発
生する振動を吸収できないからである。表1には、本発
明と特開平3−124311号公報により提案された方
法との双方の特徴を比較して示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように、本発明によれ
ば、マンドレルに発生する自励振動を引き抜き加工の開
始時から完全に抑制することができる。さらに、本発明
を実施例を参照しながら詳述するが、これは本発明の例
示でありこれにより本発明が限定されるものではない。
ば、マンドレルに発生する自励振動を引き抜き加工の開
始時から完全に抑制することができる。さらに、本発明
を実施例を参照しながら詳述するが、これは本発明の例
示でありこれにより本発明が限定されるものではない。
【0031】
【実施例】マンドレル径:1 2/8”の図1に示す装
置を用い、引き抜き方向にプラグの位置が移動している
非定常状態でサーボバルブのスプール開度を5〜10%
に閉める本発明方法と、引き抜き方向にプラグの位置が
移動している非定常状態でサーボバルブのスプール開度
の調整を行わない特開平3−124311号公報により
提案された方法とにより、加工度31.3%で仕上げ寸
法径63.5mm、仕上げ厚さ7.0mmのSTB34
0(ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管、JISG 346
1)の金属管の製造を行った。
置を用い、引き抜き方向にプラグの位置が移動している
非定常状態でサーボバルブのスプール開度を5〜10%
に閉める本発明方法と、引き抜き方向にプラグの位置が
移動している非定常状態でサーボバルブのスプール開度
の調整を行わない特開平3−124311号公報により
提案された方法とにより、加工度31.3%で仕上げ寸
法径63.5mm、仕上げ厚さ7.0mmのSTB34
0(ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管、JISG 346
1)の金属管の製造を行った。
【0032】この加工の際においてプラグ2に発生する
振動を、シリンダ内圧力、アキュームレータ内圧力、ス
プール弁開度および引き抜き加工速度を測定することに
より判断した。シリンダ内圧力、アキュームレータ内圧
力、スプール弁開度および引き抜き加工速度の測定結果
を図4に示す。同図から明らかなように、本発明にかか
るマンドレルの自励振動防止方法によりマンドレル1お
よびプラグ2に発生する自励振動を完全に防止できる。
振動を、シリンダ内圧力、アキュームレータ内圧力、ス
プール弁開度および引き抜き加工速度を測定することに
より判断した。シリンダ内圧力、アキュームレータ内圧
力、スプール弁開度および引き抜き加工速度の測定結果
を図4に示す。同図から明らかなように、本発明にかか
るマンドレルの自励振動防止方法によりマンドレル1お
よびプラグ2に発生する自励振動を完全に防止できる。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、特
開平3−124311号公報により提案された方法によっても
完全には解消できなかった、引き抜き加工初期のプラグ
の自励振動を完全に防止することが可能となった。した
がって、(i) 引き抜き加工開始から高速で加工を行うこ
とが可能であり、生産性が向上すること、(ii)工具損傷
を防止することができ、工具寿命の向上が可能となるこ
と、および(iii) 引き抜き加工品の表面性状が向上し、
高寸法精度を確保することができ、歩留りが向上するこ
とという効果が得られた。かかる効果を有する本発明の
意義は極めて著しい。
開平3−124311号公報により提案された方法によっても
完全には解消できなかった、引き抜き加工初期のプラグ
の自励振動を完全に防止することが可能となった。した
がって、(i) 引き抜き加工開始から高速で加工を行うこ
とが可能であり、生産性が向上すること、(ii)工具損傷
を防止することができ、工具寿命の向上が可能となるこ
と、および(iii) 引き抜き加工品の表面性状が向上し、
高寸法精度を確保することができ、歩留りが向上するこ
とという効果が得られた。かかる効果を有する本発明の
意義は極めて著しい。
【図1】本発明にかかるマンドレルの自励振動防止方法
を使用するために用いるマンドレルの自励振動防止装置
の一例を示す説明図である。
を使用するために用いるマンドレルの自励振動防止装置
の一例を示す説明図である。
【図2】従来の冷間引き抜き加工における製管装置の一
例を示す説明図である。
例を示す説明図である。
【図3】特開平2−99216 号公報により示した計算式に
より算出したプラグの安定条件の範囲を示すグラフであ
る。
より算出したプラグの安定条件の範囲を示すグラフであ
る。
【図4】実施例の測定結果を示すグラフである。
1:マンドレル 2:プラグ 3:ダイス 4:金属管 5:製品 6:流体圧シリンダ 7:サーボバルブ 8:アンプ 9:演算器 10:流体圧計 11:アキュームレータ 12:電流計
Claims (1)
- 【請求項1】 マンドレルの先端に取り付けられたプラ
グをダイスの孔の内部に設置し、前記ダイスの孔径より
も大きい外径を有する金属管を牽引しながらダイスの孔
を通過させることによりダイス孔径に応じた断面を有す
る製品を得る金属管の引き抜き加工に際し、 前記マンドレルの後端を、その流体圧を調整するサーボ
バルブを有する流体圧シリンダを介して支持するととも
に、前記流体圧シリンダの伸縮方向にバネ力を生ぜしめ
る装置を前記流体圧シリンダに設置し、引き抜き方向にプラグの位置が移動している 非定常状態
での引き抜き加工時には、前記サーボバルブのスプール
弁の開度を5〜10%に閉め、プラグの位置が安定する
定常状態に達した後は、前記サーボバルブのスプール弁
の開度を前記流体圧シリンダにかける静圧とシリンダ内
の流体圧との差の絶対値の平方根に比例するように調整
することを特徴とするマンドレルの自励振動防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4084055A JP2624080B2 (ja) | 1992-04-06 | 1992-04-06 | マンドレルの自励振動防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4084055A JP2624080B2 (ja) | 1992-04-06 | 1992-04-06 | マンドレルの自励振動防止方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05285530A JPH05285530A (ja) | 1993-11-02 |
JP2624080B2 true JP2624080B2 (ja) | 1997-06-25 |
Family
ID=13819817
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4084055A Expired - Fee Related JP2624080B2 (ja) | 1992-04-06 | 1992-04-06 | マンドレルの自励振動防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2624080B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0780009B2 (ja) * | 1989-10-03 | 1995-08-30 | 住友金属工業株式会社 | マンドレルの自励振動防止方法および装置 |
-
1992
- 1992-04-06 JP JP4084055A patent/JP2624080B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05285530A (ja) | 1993-11-02 |
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