JP2620343B2 - 金属多層管の製造方法 - Google Patents

金属多層管の製造方法

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JP2620343B2 JP63288315A JP28831588A JP2620343B2 JP 2620343 B2 JP2620343 B2 JP 2620343B2 JP 63288315 A JP63288315 A JP 63288315A JP 28831588 A JP28831588 A JP 28831588A JP 2620343 B2 JP2620343 B2 JP 2620343B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は層間に金属接合層を有する金属多層管の製造
方法に関する。
[従来の技術] 鋼管はその形状から種々の用途、例えば物体の搬送、
熱交換、あるいは構造体などとして用いられているが、
そのため鋼管に要求される特性も様々であり、時代の推
移と共に多様化、高級化している。
例えば油井用鋼管の場合は、深井戸化にともない腐食
環境も厳しくなり、強度とともに高耐食性が要求される
ようになっている。しかし、この両特性を満足させるた
めには非常に高価な材料を使用せざるを得なくなり、そ
のため鋼管の製造コストは非常に高いものとなる。この
コスト上昇を抑制するため、異なった材質を組合せた多
層管の製造方法が種々提案されており、その製造方法は
大別すると、複数の金属管を縮管あるいは拡管すること
により、互いに機械的に結合一体化する方法と、複数の
金属管を爆発接合などによって互いに金属接合させる方
法である。
機械的に結合一体化する方法としては、例えば本発明
者が特開昭59−218215号公報に開示したように、複数の
金属管の層間に線条体を挿入し、冷牽法などによって複
数の金属管を緊堅密着させて金属多層管を製造する方法
などがあり、金属接合する方法としては、例えば特開昭
53−78966号公報に開示されているように母材と合材の
接合面に媒剤を施した後爆発拡管によって両者を密接さ
せ、この端面を肉盛り溶接で固定し熱間圧延によってク
ラッド鋼管を製造する方法などがある。
[発明が解決しようとする課題] 従来の機械的に結合一体化する方法によって得られる
金属多層管は、金属多層管製造の際の個々の金属管の弾
性変形量の差によって、結合一体化の力が得られている
訳であるから、金属多層管の使用環境が高温下であれ
ば、次第に応力解放されて結合一体化の力が弱まり、遂
には多層管として機能しなくなるという問題がある。こ
の現象は金属多層管を焼入れして用いる場合には特に顕
著に現れ、前述の層間に線条体を挿入した金属多層管の
場合でも多層管として機能を失う場合がある。
一方、層間に金属接合を有する金属多層管の場合は、
機能面では機械的に結合一体化している金属多層管より
も優れているが、製造コストの高いことが最大の難点で
あり、これが金属接合多層管の実用化の妨げとなってい
るのが現状である。
本発明は層間に金属接合を有する金属多層管の安価な
製造方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は上述の問題点を有利に解決するものであり、
異なる複数の金属管を同心円状に組合せ、これを拡管す
ることにより、金属多層管を製造する方法において、多
層管の構成素材である金属管の互いに接する面を、予め
研削、研磨などにより活性化したのち、同心円状に組合
せ、これを拡管の手段によって一体化し、層間に金属接
合を有する金属多層管を製造する方法である。
以下本発明を実施例に基づき図面によって詳細に説明
する。
第1図は拡管法によって多層管を製造する方法を説明
する図である。
内面を鋼製ブラシなどで研磨された金属管1に、外面
を研磨砥石などで研磨された金属管2を挿入し、この金
属管2にポンプ3によって内圧Pを作用させて拡管し、
金属管1と金属管2を密着接触させる。次いで超音波振
動伝達装置4によって金属管2に管軸方向の超音波振動
を付与する。超音波振動は例えば高周波コイルに圧電子
を挿入し、管軸方向に振動さす。金属管2に伝達される
超音波振動の振幅は金属管2との接触部で最大になるよ
うに設定されている。
この時金属管1は拡管されないように金型5によって
拘束されていることが望ましい。金属管1の内径と拡管
前の金属管2の外径の差は金属管2の特性にもよるが、
金属管2の外径の0.2〜5%の範囲が望ましい。これは
拡管率が大きすぎると金属管2の破壊を招く恐れがある
ことと、小さすぎると挿入時の作業性が損なわれること
による。
内圧Pの決定方法は下記(1)式のσの値を金属管2
の引張試験値の0.2%耐力からT.Sの範囲に設定して計算
すれば良い。当然この時金型5の厚みは金属管1が降伏
しない厚みであることが望ましい。
P=200tσ/(D−t) ……(1) なお、拡管の方法としては種々の手段があり、例え
ば、ローラーエキスパンダーのように機械的に拡管する
もの、間接液圧拡管のように弾性体を介して液圧を作用
させ拡管するものなどがあり、いずれの手段であっても
構わない。
第2図は拡管法の別の手段として電磁力を用いる方法
を説明する図である。
内面を研磨された金属管21の内側に金属管21の内径よ
り小さい外径の外面を研磨された金属管22を挿入し、金
属管22の内側に金属管22と電気的に同通状態である導電
体8を同軸状に配設し、金属管21と金属管22の間にアル
ゴンなどの不活性ガスを流しつつ、図には示さない電源
装置より導電体8に大電流を供給し金属管22にこの大電
流を流すことにより、金属管21を固定し、金属管22を拡
管し金属管21と緊堅密着させ層間に金属接合層を有する
金属多層管を製造する。この時、電流の方向は金属管22
と導電体8ともに同じ方向になるようにするとお互い、
反発しあって金属管22が拡管されることになる。
なお、この場合導電体8の代わりにソレノイドコイル
を配置し、ソレノイドコイルに大電流を流して金属管22
を拡管しても良い。この場合、金属管22の電流とソレノ
イドコイルから発生する磁場により、フレミングの法則
により、電流の向きと磁場の向きを選べばお互いに反発
しあい、金属管22が拡管させることになる。
また、この方法は導電体8を金属管21の外面側に配設
することにより、金属管21を縮管させて層間に金属接合
層を有する金属多層管を製造することも可能である。
第3図に示す金属管32は第2図における金属管22の別
の形状を示す図である。
金属管32は一端が他端より細いテーパー管であり、導
電体38は金属管32と同軸状に配設され金属管32の太径側
と接続されている。金属管32のテーパーは1/1000から5/
1000の範囲が適当である。
[実施例] 実施例−1 外管 JIS G3461 STB52 50.8φ×3.6t (鋼製ブラシにて内面研磨) 内管 JIS G3459 SUS304TB 42.7φ×1.3t (研磨砥石にて外面研磨) の組合せで超音波振動を付与しつつ液圧拡管法で二重管
を製造した。
拡管圧力 1000kgf/cm2 超音波振動装置 振動子 Ni−Zr 振動子 16個 出力 1kw/個(総合出力11kw) 二重管 50.8φ×4.8t 二重管の層間を顕微鏡観察したところ層間に空隙のない
部分が約50%認められ、層間に金属接合層の生成をして
いることが確認された。
実施例−2 外管 JIS G3461 STB52 50.8φ×3.6t (鋼製ブラシにて内面研磨) 内管 JIS G3459 SUS304TB 42.7φ×1.3t (研磨砥石にて外面研磨) の組合せで電磁力で拡管することにより二重管を製造し
た。
電磁拡管装置 電源容量 5MJコンデンサーバンク方式 二重管 50.8φ×4.8t 二重管の層間を顕微鏡観察したところ層間に空隙のない
部分が約80%認められ、層間に金属接合の生成している
ことが確認された。
実施例−3 外管 JIS G3461 STB52 50.8φ×3.6t (鋼製ブラシにて内面研磨) 内管 JIS G3459 SUS304TB 42.7φ×1.3t (テーパー:2/1000) (研磨砥石にて外面研磨) の組合せで電磁力で拡管することにより二重管を製造し
た。
電磁拡管装置 電源容量 5MJコンデンサーバンク方式 二重管 50.8φ×4.8t 二重管の層間を顕微鏡観察したところ層間に空隙のない
部分が約95%認められ、層間に金属接合の生成している
ことが確認された。
実施例−4 外管 JIS G3461 STB52 50.8φ×3.6t 内管 JIS G3459 SUS304TB 42.7φ×1.3t (テーパー:2/1000) の組合せで電磁力で拡管することにより二重管を製造し
た。
電磁拡管装置 電源容量 5MJコンデンサーバンク方式 二重管 50.8φ×4.8t 二重管の層間を顕微鏡観察したところ層間に空隙のない
部分が約80%認められ、層間に金属接合の生成している
ことが確認され、テーパー管を拡管する場合には必ずし
も接触面の研磨は必要でないことが確認された。
実施例−5 外管 JIS H3461 TTP35D 50.8φ×0.5t (鋼製ブラシにて内面研磨) 中管 JIS G3461 STB52 48.6φ×3.1t (鋼製ブラシにて内外面研磨) 内管 JIS G3459 SUS304TB 42.7φ×1.3t (研磨砥石にて外面研磨) の組合せで三重管を製造した。
まず外管と中管を組合せて超音波振動を付与しつつ液
圧拡管法で二重管を製造した。
拡管圧力 1000kgf/cm2 超音波振動装置 振動子 Ni−Zr 振動子 16個 出力 1kw/個(総合出力11kw) 次いで、この二重管と内管とを組合せて電磁拡管によ
って三重管を製造した。
電磁拡管装置 電源容量 5MJコンデンサーバンク方式 三重管 50.8φ×4.7t 三重管の層間を顕微鏡観察したところ層間に金属接合層
の生成していることが確認された。
[発明の作用] 単に同軸状に組合せた二つの金属管の相対する面を予
め研磨、研削などによって活性化し、外側の金属管を縮
径するか、あるいは内側の金属管を拡管するかして、活
性化された相対する金属面間を圧着するだけでは金属接
合層の生成は不十分である。本発明においては超音波振
動を付与すること、あるいは電磁力に衝撃力によって相
対する金属面間の活性化を助長し比較的容易に金属接合
層が得られるものである。
したがって、これらの作用は不活性ガス雰囲気中や真
空中ではより一層強化されることはもちろんである。ま
た、その後の再結晶温度以上の熱処理により金属接合層
が成長することは当然である。
[発明の効果] 本発明によれば機械的に結合一体化している金属多層
管よりも機能面で優れている層間に金属接合を有する金
属多層管を従来の爆接などの方法で製造するよりも容易
に且つ安価に製造できる顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の1実施例である拡管法によって金属接
合を有する金属多層管を製造する方法を説明する図、第
2図は拡管法によって金属接合を有する金属多層管を製
造する方法を説明する図、第3図は第2図中の内層管の
別の形状を示す図である。 図中、1,2,11,12,21,22,32……金属管 3……ポンプ、4……超音波伝達装置 5……金型、6……ダイス 7……プラグ、8……導電体

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の金属管を同心円状に組合せ、これを
    拡管することにより、金属多層管を製造する方法におい
    て、多層管の構成素材である金属管の互いに接する面
    を、予め研削、研磨などにより活性化した後、同心円状
    に組合せ、金属管の管軸方向に超音波振動を付加しつつ
    拡管を行うことを特徴とする金属多層管の製造方法。
  2. 【請求項2】複数の金属管を同心円状に組合せ、これを
    拡管することにより、金属多層管を製造する方法におい
    て、多層管の構成素材である金属管の互いに接する面
    を、予め研削、研磨などにより活性化したのち、同心円
    状に組合せ、電磁力によって内層管を拡管することを特
    徴とする金属多層管の製造方法。
  3. 【請求項3】拡管される内層管がテーパーのついた形状
    であることを特徴とする請求項2記載の金属多層管の製
    造方法。
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