JP2618484B2 - 軸封装置および該軸封装置を使用した真空ポンプ - Google Patents

軸封装置および該軸封装置を使用した真空ポンプ

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JP2618484B2 JP1139251A JP13925189A JP2618484B2 JP 2618484 B2 JP2618484 B2 JP 2618484B2 JP 1139251 A JP1139251 A JP 1139251A JP 13925189 A JP13925189 A JP 13925189A JP 2618484 B2 JP2618484 B2 JP 2618484B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は軸封用圧力流体を用いて回転体を軸封する軸
封装置に係り、とくに軸封装置内に少ない軸封用圧力流
体の補給にて該軸封装置内の圧力が、その両側の圧力よ
りも高い圧力を維持するのに好適な軸封装置および該軸
封装置を使用した真空ポンプに関する。
〔従来の技術〕
従来の軸封用圧力流体を用いて回転体を軸封する軸封
装置においては、たとえば特開昭62−153597号公報に記
載されているように、吸込口と吐出口を有するケーシン
グ内にステータとロータとからなるポンプ機構を設け、
かつ上記ケーシングの下方部に設置されたモータケース
内に回転軸を介して上記ロータを回転駆動するモータ
と、該モータの両側に設置され上記回転軸を回転自在に
支持する油潤滑軸受とを設け、上記ロータの回転によっ
て吸込口から供給されたガスを吐出口から大気圧にて吐
出する真空ポンプにおいて、上記ポンプ機構の下部と上
記上方の油潤滑軸受との間に位置し、上記回転軸に固嵌
支持された回転体の周囲に静止部材にパージガス環状溝
を設け、該パージガス環状溝にパージガスを外部より供
給するパージガス路を設け、かつ上記パージガス環状溝
と前記ポンプ機構との間に位置し、上記回転軸に固嵌支
持された回転体の周囲の静止部材に吐出ガス環状溝を設
け、該吐出ガス環状溝を上記ポンプ機構の吐出ガス路に
接続している。また上記パージガス環状溝および吐出ガ
ス環状溝の両側の静止部材にはラビリンスシールあるい
はねじシールを設けている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術は、回転体が高速度で回転するのにとも
なって発生する振動について配慮されておらず、回転体
とラビリンスシールあるいはねじシールとの隙間および
回転体と静止体との隙間を振動との関係で微小すること
ができず、かつ軸方向長も制限される。
そのため、少ないパージガス消費量でパージガス環状
溝内の圧力をその両側の吐出ガス環状溝およびモータケ
ース内の圧力よりも常に高く維持することが困難となる
問題があった。
また吐出口およびモータケース内を吐出管にて接続し
てガスを所定位置に吐出する場合、使用の経過にともな
って吐出管内がガス内に含まれている異物によって閉塞
する。このとき、早期に吐出ガス環状溝内の圧力がパー
ジガス環状溝内の圧力より高くなって有害ガスがパージ
ガス環状溝内を通ってモータケース内に侵入したり、油
がポンプ機構内に逆流したりする問題があった。
本発明の第1の目的は、少ないパージガス消費量でパ
ージガス環状溝内の圧力をその両側の吐出ガス環状溝お
よびモータケース内の圧力よりも常に高い状態を維持可
能とする軸封装置を提供することにある。
また本発明の第2の目的は第1の目的である軸封装置
を使用し、吐出口が閉塞した場合、早期にパージガス環
状溝内の圧力と、その両側の吐出ガス環状溝およびモー
タケース内の圧力とのバランスが早期に逆転するのを防
止可能とする真空ポンプを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記第1の目的を達成するために本発明の軸封装置に
おいては、回転体を回転自在に支持する静止部材に設置
され、パージガスを外部から供給するパージガス路に接
続するパージガス環状溝と、該パージガス環状溝内に上
記回転体と微小隙間にて嵌挿し、かつ上記パージガス圧
にて軸方向の一面を上記パージガス環状溝内壁面に面接
触するとともに、上記回転体の回転にともなって発生す
る振動に追従して上記パージガス環状溝内壁面にそうて
軸方向と直角な方向に摺動する円環リングとから構成さ
れたものである。
上記パージガスの供給を停止したとき、上記円環リン
グが移動して上記回転体との隙間が同一にならないのを
防止するため、該円環リングをバネを介して上記パージ
ガス環状溝内に挿入したものである。
また上記円環リングの軸方向と直角な方向への摺動性
を向上するため、該円環リングは上記リングケースとの
対接面に摺動性の良い材料にて形成された摺動部材を設
けたものである。
また上記第2の目的を達成するために本発明の真空ポ
ンプは、吸込口と吐出口を有するケーシング内にステー
タとロータとからなるポンプ機構と、上記ケーシングの
下方部に設置されたモータケース内に回転軸を介して上
記ロータを回転駆動するモータと、該モータの両側に設
置され上記回転軸を回転自在に支持する油軸封装置と上
記ポンプ機構と該ポンプ機構に近い上記油潤滑軸受との
間の上記ロータもしくは回転軸のいずれか一方からなる
回転体の周囲の上記ステータもしくは上記ケーシングの
いずれか一方からなる静止体に設置され、上記パージガ
スを外部から供給して該ポンプ機構と上記油潤滑軸受と
の間を軸封する軸封装置とを有し、上記吸込口か供給さ
れたガスを上記吐出口から大気圧にて吐出する真空ポン
プにおいて、上記軸封装置を、上記ポンプ機構と該ポン
プ機構に近い上記油潤滑軸受との間の上記回転体の周囲
の上記静止体に設置され、上記パージガスを外部から供
給するパージガス路に接続するパージガス環状溝と、該
パージガス環状溝内に上記回転体と微小隙間にて嵌挿
し、かつ上記パージガス圧にて軸方向一面を上記パージ
ガス環状溝内壁面に面接触するとともに上記回転体の回
転にともなう振動に追従して上記パージガス環状溝内壁
面にそうて軸方向と直角な方向に摺動する円環リングと
から構成したものである。
〔作 用〕
回転体の回転による振動は、該回転体が剛体である限
り軸受支持部を起点として遠ざかる程大きくなる。
一方パージガスの供給を停止したとき、振動が大きく
発生する場合には、円環リングが上下方向に移動してパ
タつく可能性があって回転体が回転時と停止時とでは回
転体と同一隙間関係を保持することが困難となり、これ
によって円環リングの位置が一定しないのみでなく回転
体が回転をくり返す度毎に回転体と接触して摩耗などに
より微小隙間が維持できなくなる。
そこで、本発明においては、振動が大きくなる場合に
は、円環リングをバネを介してパージガス環状溝内に挿
入し、たとえパージガスが供給されないときでも円環リ
ングをバネの弾性力にて常に同一位置に維持させてい
る。
また本発明では円環リングが回転体の振動に追従して
軸方向と直角な方向に摺動しうるようにしている。
この場合円環リングが軸方向と直角な方向にさらに容
易に摺動しうるようにするときには、ときには、たとえ
ばフッソ樹脂などにて形成された摺動部材を設置してい
る。
そのため、円環リングと回転体とは常に微小隙間を保
持することができ、これによってパージガスの消耗量を
減少することができるとともにパージガス環状溝内の圧
力をその両側の圧力よりも常に高圧に保持し軸封をはか
ることができる。
したがって本発明を真空ポンプに用いた場合、吐出口
が閉塞されても、早期にパージガス環状溝内の圧力とそ
の両側の圧力とのバランスが変化するのを防止すること
ができ、これによって軸受およびモータケース内に有害
なガスが侵入するのを防止することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を示す第1図乃至第3図につ
いて説明する。
第1図は本発明の一実施例である軸封装置を真空ポン
プに実施した場合を示す。第1図に示すように、吸込口
1と吐出口2とを有するケーシング3内には、ロータ4
とステータ5とかなるポンプ機構6を備えている。
また上記ケーシング3を軸受ケース7を介して支持す
るモータケース8内にはモータ9が支持され、該モータ
9は、シャフト10を介して上記ポンプ機構6のロータ4
を回転駆動する。上記シャフト10はモータ9をはさむよ
うにモータケース8および軸受ケース7にそれぞれ支持
された2個の軸受11,12により回転自在に支持されてい
る。
さらに上記ロータ4の下方部と上記ステータ5の下方
部との間および上記軸受ケース7と上記シャフト10の上
方部との間には、それぞれ第1軸封装置13aと第2軸封
装置13bとからなる軸封装置13を設けている。
上記第1軸封装置13aは、第2図および第3図に示す
ように、上記ステータ5の下方の上記ロータ4の周囲に
形成された第1パージガス環状溝14aを設置している。
該第1パージガス環状溝14aは、その両側のポンプ機構
6内、軸受ケース7内およびモータケース8内の圧力よ
りも高い圧力のパージガスを外部より供給するためのパ
ージガス路15に接続し、内部には、その上面および内周
面上方部に断面がL形状をした第1リングケース16aを
固定している。また上記第1パージガス環状溝14a内に
は、上記軸受ケース7の上面に支持されたバネ17と、該
バネ17の弾性力にて上面が上記第1リングケース16aの
下面を押圧する第1円環リング18aとを設置している。
該第1円環リング18aはその内周面を上記ステータ5と
微小隙間にて嵌挿し、その外周面を上記第1リングケー
ス16aと比較的大きな隙間にて嵌挿し、その上面すなわ
ち上記第1リングケース16aの下面と対接する面には、
たとえばフッソ樹脂などの摺動性の良い材料にて第3図
に示す形状に形成された第1摺動部材19aを貼付してい
る。該第1摺動部材19aは上記ロータ4が高速度で回転
したさいに軸方向と直角方向に振動を発生した場合、該
ロータ4に追従して第1円環リング18aが第1リングケ
ース16aの下面にそうて摺動するように設けられてい
る。
上記第2軸封装置13bは、第2図および第3図に示す
ように、上記軸受ケース7の上方の上記シャフト10の周
囲に上記第1パージガス環状溝14a内と接続する第2パ
ージガス環状溝14bを設置している。該第2パージガス
環状溝14iは、その内周面にリングケース押え20にて上
方への移動を固定され、断面L形状をした第2リングケ
ース16bを固定している。また上記第2パージガス環状
溝14b内にはその下面と上記第2リングケース16bの下面
との間に上下方向に移動自在に第2円環リング18bを介
挿している。該第2円環リング18bは、その内周面を上
記シャフト10と微小隙間にて嵌挿し、その外周面を上記
第2リングケース16bと比較的大きな隙間にて嵌挿し、
その下面すなわち上記第2パージガス環状溝14bの下面
と対接する面には、上記第1摺動部材19aと同一形状を
した第2摺動部材19bを貼付している。
なお上記第1軸封装置13aにバネ17を設け、上記第2
軸封装置13bにバネを設けない理由はつぎのとおりであ
る。
すなわち、上記ロータ4およびシャフト10などの剛体
からなる回転体においては、軸受支持部を起点として遠
ざかる程大きな振動になる。そのため、上記第2軸封装
置13b側に比較して上記第1軸封装置13a側の上記ロータ
4の振動は大きくなる。
一方上記ポンプ機構6の運転停止とともにパージガス
の供給を停止した場合、第1軸封装置13a側の第1円環
リング18aは上下方向に移動しバタつく可能があって真
空ポンプの回転時と停止時とではロータ4との隙間を同
一にすることが困難であり、これによって上記第1円環
リング18aの位置が変化する。そのため、振動が大きく
発生する第1軸封装置13a側では真空ポンプの起動をく
り返す毎に上記円環リング18aがロータ4に接触して摩
耗などによりロータ4と微小隙間を維持することができ
なくなる。
そこで、第1軸封装置13a側では上記第1円環リング1
8aをバネ17の弾性力にて常に上記第1リングケース16a
の上面に面接触させ、パージガスが供給されないときで
も常に一定位置を保持するためである。
つぎに動作について説明する。
パージガス路15を通って外部より第1パージガス14a
内および第2パージガス環状溝14b内にパージガスが供
給されると、第1パージガス環状溝14a内では、パージ
ガスと真空ポンプ機構6内との圧力差とバネ17の弾性力
とにより第1円環リング18aの上面の第1摺動部材19aが
第1リングケース16aの下面に強力な面接触状態にな
る。
この状態でロータ4が回転にともなって軸方向と直角
な方向に振動を発生すると、第1摺動部材19aを介して
第1円環リング18aが上記ロータ4の振動に追従して第
1リングケース16a側に摺動するので、第1円環リング1
8aとロータ4とは微小隙間を維持することができる。
一方第2パージガス環状溝14b内ではパージガスと下
方のモータケース8内との圧力差によりその下面に第2
円環リング18bの下面の第2摺動部材19bが強力な面接触
状態になる。
この状態でシャフト10が回転にともなって軸方向の直
角な方向に振動を発生すると、第2摺動部材19bを介し
て第2円環リング18bが上記シャフト10の振動に追従し
て第2リングケース16b側に移動するので第2円環リン
グ18bとシャフト10とは微小隙間を維持することができ
る。
つぎに本発明の他の一実施例である軸封装置を示す第
4図について説明する。
第4図に示す本実施例と第1図乃至第3図に示す実施
例とは、第1パージガス環状溝14aと真空ポンプ機構6
との間のステータ5に吐出ガス環状溝21を設け該吐出ガ
ス環状溝21を真空ポンプ機構6の吐出ガス通路22と吐出
ガス路23を介して接続していることと、上記吐出ガス環
状溝21と真空ポンプ機構6の下方部との間のステータ5
にラビリンスシールまたはネジシール24をもうけている
ことが相異し、その他は同一である。
そのため、吐出ガス環状溝21内に、吐出ガス通路22内
の吐出ガスが吐出ガス路を通って供給されるので、吐出
ガス環状溝21内は、真空ポンプ機構6内の圧力よりも高
い大気圧に近い圧力状態になりこれによって第1パージ
ガス環状溝14a内の圧力と圧力差が小さくなる。したが
って第1パージガス環状溝14aから漏洩するシールガス
量を減少することができる。
事実、本発明者の実験結果によれば、第5図に示すよ
うに縦軸にパージガス環状溝内の圧力,横軸にパージガ
ス流量をとった場合の軸封特性曲線は、従来技術ではA
曲線であるのに対し本発明ではB曲線のようになり、本
発明は従来技術に比較して100倍近い高圧力の耐圧に増
加することができる。
なお、上記各実施例においては、本発明による軸封装
置を真空ポンプに実施した場合を示しているが、これに
限定されるものでなくパージガスを用いて回転体を軸封
するものであれば他の装置にも適用できることは明らか
である。
〔発明の効果〕
本発明による軸封装置は、回転体との隙間を小さくす
ることができるので、少ない消耗量にて軸封を維持する
ことができ、かつ部品数を少なくして構成を簡単にする
ことができ、かつ軸方向の長さを短くして回転体の振動
による影響を減少することができる。
また本発明による軸封装置を真空ポンプに使用した場
合、吐出口または、モータケースが閉塞した場合でもパ
ージガス環状溝内の圧力がその両側の圧力よりも早期に
低下するのを防止することができ、これによってモータ
ケース内および軸受部分に有害なガスの侵入を防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例である軸封装置を真空ポン
プ使用した場合を示す断面図、第2図は第1図に示す軸
封装置の拡大断面図、第3図は摺動部材を示す断面図、
第4図は本発明の他の一実施例である軸封装置を真空ポ
ンプに使用した場合を示す断面図、第5図は、従来技術
と本発明とのパージガス環状溝内圧力曲線を示す図であ
る。 13……軸封装置、14……パージガス環状溝、16……リン
グケース、17……バネ、18……円環リング、19……摺動
部材、21……吐出ガス環状溝。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転体を回転自在に支持する静止部材に設
    置され、パージガスを外部から供給するパージガス路に
    接続するパージガス環状溝と、該パージガス環状溝内に
    上記回転体と微小隙間にて嵌挿し、かつ上記パージガス
    圧にて軸方向の一面を該パージガス環状溝内面に面接触
    するとともに、上記回転体の回転にともなって発生する
    振動に追従して該パージガス環状溝内面にそって軸方向
    と直角な方向に移動する円環リングとを備えた軸封装
    置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の円環リングはバネを介して
    上記パージガス環状溝内面に面接触する軸封装置。
  3. 【請求項3】請求項1もしくは2記載の円環リングは上
    記パージガス環状溝内周面と対接する面に摺動性の良い
    材料にて形成された摺動部材を設けた軸封装置。
  4. 【請求項4】吸込口とは吐出口を有するケーシング内に
    ステータとローラとからなるポンプ機構と、上記ケーシ
    ングの下方部に設置されたモータケース内に回転軸を介
    して上記ロータを回転駆動するモータと、該モータの両
    側に設置され上記回転自在に支持する油潤滑軸受と上記
    ポンプ機構と該ポンプ機構に近い上記油潤滑軸受との間
    の上記ロータもしくは回転軸のいずれか一方からなる回
    転体の周囲の上記ステータもしくは上記ケーシングのい
    ずれか一方からなる静止体に設置され、上記パージガス
    を外部から供給して該ポンプ機構と上記油潤滑軸受との
    間を軸封する軸封装置とを有し、上記吸込口から供給さ
    れたガスを上記吐出口から大気圧にて吐出する真空ポン
    プにおいて、上記軸封装置を、上記ポンプ機構と該ポン
    プ機構に近い上記油潤滑軸受との間の上記回転体の周囲
    の上記静止体に設置され、上記パージガスを外部から供
    給するパージガス路に接続するパージガス環状溝と、該
    パージガス環状溝内に上記回転体と微小隙間にて嵌挿
    し、かつ上記パージガス圧にて軸方向一面を上記パージ
    ガス環状溝内壁面に面接触するとともに上記回転体の回
    転にともなう振動に追従して上記パージガス環状溝内壁
    面にそうて軸方向と直角な方向に摺動する円環リングか
    ら構成した真空ポンプ。
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