JP2616352C - - Google Patents

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JP2616352C
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JP
Japan
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noble metal
metal layer
paint
weight
color
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English (en)
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鳴海製陶株式会社
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は,盛りが高く,耐久性,耐摩耗性に優れた,盛貴金属彩の盛部分を形
成することができる盛絵具に関する。 【0002】 【従来技術】 ホテル,レストラン等で使われる食器,装飾品等の陶磁器は,豪華な色彩装飾
が施されているものが好まれる。中でも,金を含む盛貴金属彩は,貴金属色の光
沢が美しく,特に珍重される。 盛貴金属彩とは,盛を高く形成するための盛部分と,該盛部分を被覆した貴金 属層とからなるものである。上記盛貴金属彩は,盛部分の厚みにより,貴金属層
が高く盛られたように見え,豪華性,装飾性共に優れている。 【0003】 盛貴金属彩を陶磁器に形成する方法としては,まず第1に,盛絵具を陶磁器の
上に厚く塗布して焼成し盛部分を形成したのち,該盛部分の表面に薄層の貴金属
層を被覆し,再度焼成する方法がある。また第2に,盛絵具を印刷後,乾燥する
前に貴金属粉を蒔き,一度の焼成で盛貴金属層を形成する方法(特公昭49−2
8010号公報)がある。さらに第3の方法として,盛絵具と貴金属層とを重ね
て印刷し,貴金属層がマット状であったり盛り上がったりしたように見せる方法
(特開昭62−235234号公報)がある。 【0004】 【解決しようとする課題】 しかしながら,上記第1の盛貴金属彩は,予め盛部分を焼成しておくことが必
要であり,二度の焼成を行なう必要がある。またその製造工程は人手に頼る部分
が多いため手間と労力がかかり,製品のコストアップにつながるものである。 第2の盛貴金属彩は,高価な貴金属粉を用いる。貴金属粉は飛び散りやすいた
め回収の手間がかかる。よって第1の盛貴金属彩と同様,手間と労力がかかり,
製品のコストアップにつながるものである。 【0005】 第3の盛貴金属彩は,盛部分をマット状にしてエッチング効果を得るとともに
,焼成時の貴金属層の割れを防止するために,盛部分に相互に熔融しにくい盛絵
具を利用する必要がある。 しかし,この場合には,盛部分と貴金属層との接合性が悪く,接合面に空隙が
形成され,陶磁器の取扱時において,盛貴金属彩にチッピングが生じてしまうと
いう問題がある。 【0006】 また,第3の盛貴金属彩の盛厚は10〜20μm程度である。これ以上の盛厚
も可能だが,盛貴金属彩にさらに多くのチッピングが生じてしまう。そこで,実
用強度の高い盛貴金属彩を得ようとすると,盛部分に相互に熔融しやすい盛絵具 を利用する必要がある。 しかし,この場合にはガラスフラックスは焼成時に熔融状態となり,その表面
に貴金属層を設けるとガラス層が流動して不安定なため,貴金属層に割れが生じ
てしまうという問題がある。 本発明はかかる問題点に鑑み,盛りが高く,耐久性,耐摩耗性に優れた,盛貴
金属彩の盛部分を形成することができる盛絵具を提供しようとするものである。 【0007】 【課題の解決手段】 本発明は,陶磁器と貴金属層との間に配置され該貴金属層を盛り上げるための
盛絵具であって, 該盛絵具は,60〜80重量%のガラスフラックスと20〜40重量%のジル
コンとよりなり, 上記ガラスフラックスは,下記の組成よりなることを特徴とする盛絵具にある
。 二酸化珪素 40〜55重量% 酸化ホウ素 3〜15重量% 酸化アルミニウム 3〜15重量% 酸化鉛 0〜30重量% K2O,Na2O,Li2Oのいずれか1又は2種以上からなるR2O 15重量%以下 CaO,BaO,MgO,ZnOのいずれか1又は2種以上からなるRO 15重量%以下 SnO2,TiO2,ZrO2のいずれか1又は2種以上からなるRO2 20重量%以下 本発明において上記盛絵具は,60〜80重量%(以下%という。)のガラス
フラックスと20〜40%のジルコンとよりなる。 【0008】 上記ガラスフラックスは,下記の組成よりなる。即ち, 二酸化珪素 40〜55重量% 酸化ホウ素 3〜15重量% 酸化アルミニウム 3〜15重量% 酸化鉛 0〜30重量% 【0009】 K2O,Na2O,Li2Oのいずれか1又は2種以上からなるR2O 15重量%以下 酸化鉛(PbO)を除く,CaO,BaO,MgO,ZnOのいずれか1又は2
種以上からなるRO 15重量%以下 SnO2,TiO2,ZrO2のいずれか1又は2種以上からなるRO2 20重量%以下 【0010】 上記ジルコンは,ジルコン顔料を含有していることが好ましい。ジルコン顔料
は,ZrSiO4にPr(プラセオジウム),V(バナジウム),Fe(鉄),Co(コ
バルト),Cr(クロム)のいずれかを固溶したものである。これにより,盛部
分が貴金属色を呈する。そのため,貴金属層が剥離したときにも,視覚上剥離部
分を目立たなくすることができる。 上記盛絵具を陶磁器の上に塗布することにより,盛部分が形成され,該盛部分
は貴金属層により被覆されるため,上記盛部分及び貴金属層は,盛貴金属彩を形
成する。 【0011】 上記盛貴金属彩を製造するに当たっては,上記盛絵具と,貴金属層形成用の貴
金属ペースト或いは貴金属粉とを準備する。貴金属としては,金,プラチナ,パ
ラジウム等がある。 その後,上記両者を陶磁器の上に塗布し,焼成し,盛貴金属彩を形成する。該
塗布方法としては,転写紙使用法,直接描写法等がある。 【0012】 上記転写紙使用法とは,両者を転写紙の上に塗布し,該転写紙を陶磁器の上に
貼着し,焼き付けて,盛貴金属彩を形成する方法である。一方,直接描写法とは
,スクリーン印刷或いは筆,刷毛等により,直接陶磁器の上に上記両者を塗布し
て, 盛貴金属彩を形成する方法である。 上記焼成温度は,750〜900℃が好ましい。750℃未満では,盛絵具及
び貴金属層が焼結しないおそれがある。900℃を越える場合には,貴金属層に
割れが生ずるとともに,光沢が悪くなるという問題がある。 【0013】 【作用及び効果】 本発明において,上記盛絵具は,上記組成よりなる。従って,該盛絵具よりな
る盛部分は,焼成の際に流動せず安定している。そのため,盛部分の表面に貴金
属層を設けたときには,貴金属層の表面にひび割れが生じない。 また,ジルコンとガラスフラックスとの熔融性がよいので,緻密な構造を有す
る盛部分を形成することができる。さらに,ガラスフラックスの熔けがよいため
盛部分と貴金属層との接着が密となり,盛部分と貴金属層とが優れた接合性を有
するものとなる。よって,陶磁器の取扱に際して盛貴金属彩にチッピングを生じ
ない。 【0014】 また,上記盛絵具は,上記組成よりなるため,焼成時に盛部分が流動せず安定
し,ジルコンとガラスフラックスとの熔融性がよく,30μ〜60μmの盛高の
盛部分を形成することができる。 従って,本発明によれば,盛りが高く,耐久性,耐摩耗性に優れた,盛貴金属
彩の盛部分を形成することができる盛絵具を提供することができる。 【0015】 【実施例】 実施例1 本発明にかかる実施例につき,図1を用いて説明する。 本例の盛絵具10は,陶磁器9と貴金属層2との間に配置されて,貴金属層2
を盛り上げる。盛絵具10は,78重量%のガラスフラックス11と22重量%
のジルコン12とを有する。 【0016】 盛絵具には,ペースト状にするためのオイルが添加されている。オイルは,ガ ラスフラックス及びジルコンの合計重量100重量部に対して40重量部添加さ
れる。 ジルコン12は,粒径2〜5μmの粉体である。 上記ガラスフラックス11は,表1に示す組成よりなる。 【0017】 盛部分1の盛高は,30〜60μmである。貴金属層2の厚みは,1〜5μm
である。 上記盛絵具10を陶磁器9の上に塗布することにより,盛部分1が形成される
。該盛部分1は貴金属層2により被覆される。盛部分1及び貴金属層2は,盛貴
金属彩100を形成する。 【0018】 上記盛貴金属彩100を製造するに当たっては,まず,上記盛絵具10と,貴
金属層形成用の金ペーストとを作製する。 次に,上記両者を転写紙使用法により陶磁器9の上に塗布する。上記転写紙使
用法とは,両者を転写紙の上に厚み45〜90μmに塗布し,その後該転写紙を
陶磁器9の上に貼着し,焼成して,盛貴金属彩100を形成する方法である。焼
成温度は,800〜850℃である。 【0019】 次に,本例の作用効果について説明する。 本発明においては,上記盛絵具10は,上記組成よりなる。従って,該盛絵具
10よりなる盛部分1は,焼成の際に流動せず安定している。そのため,盛部分
1の表面に貴金属層2を設けても,貴金属層2の表面のひび割れを防ぐことがで
きる。 また,ジルコン12とガラスフラックス11との熔融性がよいので,緻密な構
造を有する盛部分1を形成することができる。それ故,盛部分1と貴金属層2と
の接着が密となり,盛部分1と貴金属層2とが優れた接合性を有するものとなる
。よって,陶磁器9の取扱に際して盛貴金属彩100にチッピングを生じない。 【0020】 また,上記盛絵具10は,上記組成よりなるため,焼成時に盛部分1が流動せ ず安定し,ジルコン12とガラスフラックス11との熔融性がよく,30μ〜6
0μmの盛高の盛部分1を形成することができる。 従って,耐久性,耐摩耗性に優れた,立体的な盛貴金属彩100を形成するこ
とができる。 上記ジルコン12は,ジルコン顔料(プラセオジム・イエロー)を含有してい
る。そのため,盛部分1が金色を呈する。それ故,貴金属層2が剥離したときに
も,視覚上剥離部分を目立たなくすることができる。 【0021】 実施例2 本例の盛絵具は,70%のガラスフラックスと20%のジルコンと10%のジ
ルコン顔料(プラセオジム・イエロー)とを有する。 また,上記盛絵具により形成された盛部分の盛高は,40μmである。 その他は,実施例1と同様である。 【0022】 本例の盛部分と貴金属層とよりなる盛貴金属彩の耐摩耗性評価を行った。 該評価方法は,同一人物がジルコンサンドペーパーを用いて盛貴金属彩を10
回強く擦り,その後の盛貴金属彩の表面を観察するというものである。 尚,比較のために,本例の盛絵具と類似した材料により形成された盛貴金属彩
(比較例1),及び金蒔き技法により形成された盛貴金属彩(比較例2)について
も,上記と同様の評価を行った。尚,両盛貴金属彩は,本例と同様に形成された
ものである。 【0023】 その結果を表3に示す。同表において,「OK」とは,盛貴金属彩が無傷であ
ることを示す。「金摩耗」とは,貴金属層が薄くなった状態であることを示す。「金
剥離」とは,貴金属層が剥離し,下地が見えてしまった状態であることを示す。
「盛剥離」とは,貴金属層だけでなく盛部分も剥離したことを示す。 【0024】 表3より知られるように,本例の盛貴金属彩は,擦り回数50回までは,貴金
属層が盛部分から剥がれなかった。100回目で,やや貴金属層の摩耗が生じた
。 一方,比較例は,擦り回数10回で貴金属層に剥離が生じた。比較例1では,2
0回で,盛貴金属彩の内部の盛部分に剥離が発生した。 これからも,本例の盛絵具は,貴金属層との接合性に優れ,耐摩耗性に優れた,
盛部分を形成することが分かる。 【0025】 【表1】 【0026】 【表2】
【図面の簡単な説明】 【図1】 実施例にかかる,盛貴金属彩の断面図。 【符号の説明】 1...盛部分, 10...盛絵具, 100...盛貴金属彩, 11...ガラスフラックス, 12...ジルコン, 2...貴金属層, 9...陶磁器,

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 陶磁器と貴金属層との間に配置され該貴金属層を盛り上げるた
    めの盛絵具であって, 該盛絵具は,60〜80重量%のガラスフラックスと20〜40重量%のジル
    コンとよりなり, 上記ガラスフラックスは,下記の組成よりなることを特徴とする盛絵具。 二酸化珪素 40〜55重量% 酸化ホウ素 3〜15重量% 酸化アルミニウム 3〜15重量% 酸化鉛 0〜30重量% K2O,Na2O,Li2Oのいずれか1又は2種以上からなるR2O 15重量%以下 CaO,BaO,MgO,ZnOのいずれか1又は2種以上からなるRO 15重量%以下 SnO2,TiO2,ZrO2のいずれか1又は2種以上からなるRO2 20重量%以下

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