JP2615811B2 - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量制御装置

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JP2615811B2
JP2615811B2 JP10086488A JP10086488A JP2615811B2 JP 2615811 B2 JP2615811 B2 JP 2615811B2 JP 10086488 A JP10086488 A JP 10086488A JP 10086488 A JP10086488 A JP 10086488A JP 2615811 B2 JP2615811 B2 JP 2615811B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は、内燃機関に供給された燃料の燃焼室吸入時
点における吸気管圧力をその吸入時点以前に検出された
吸気管圧力から予測し、少なくとも、この予測した吸気
管圧力に基づいて燃料噴射量を制御する内燃機関の燃料
噴射量制御装置に関する。
[従来の技術] 内燃機関の燃料噴射量制御装置として、スピードデン
シティ方式(所謂、D−J方式)を採用したものが知ら
れている。この方式は、内燃機関の吸気管圧力および回
転速度を検出し、これらの検出結果に基づいて、内燃機
関の吸気行程にある気筒に吸入される空気量を算出し、
空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量を算出して
燃料噴射を行なう。
一般に、気筒に吸入される空気量の算出に使用する吸
気管圧力の検出時点は、その空気量が実際に気筒に吸入
される吸入時点より所定時間、すなわち、内燃機関の行
程で2〜3ストローク、遅れている。このため、例え
ば、急加減速等の過渡運転状態では、吸気管圧力の時間
当りの変動が大きいので、検出時点の吸気管圧力と吸入
時点の吸気管圧力とは大きく異なり、燃料噴射量の算出
精度の低下により空燃比が大きく乱れ、排気特性や運転
性能等に支障をきたす。従って、D−J方式で正確な燃
料噴射制御を実行するには、検出時点における吸気管圧
力から、吸入時点における吸気管圧力である推定吸気管
圧力を推定し、この推定吸気管圧力と回転速度とに基づ
いて燃料噴射量を算出する必要がある。この問題に対す
る対策として、従来より、例えば、以下のような技術が
提案されている。すなわち、 (1) 吸入時点(k+i)における推定吸気管圧力
M(k+i)を、(n+1)個の過去のデータ{PM
(k),PM(k−1),…,PM(k−n)}の線形結合と
して、次式(1)に示す線形予測器により予測するも
の。
但し、係数α(j)は、吸気管圧力PM(k−j)およ
び回転速度Ne(k−j)等から定まる値。
(2) スロットルバルブが動いたときの吸気管圧力の
挙動を表すスロットルバルブ開度から吸気管圧力への伝
達特性を、次式(2),(3)に示す自己回帰移動平均
モデル(Autoregressive Moving−Average Model)によ
り表現する。さらに、次式(4)により、上記式
(2),(3)の状態変数 の推定値 を算出し、吸気管圧力の基準値からの変化分△PM(k)
を求める「内燃機関の燃料噴射制御方法」(特願昭60−
206241号公報)、「内燃機関の燃料噴射制御装置」(特
願昭60−206242号公報)、「内燃機関の燃料噴射制御方
法」(特願昭60−206243号公報)、「内燃機関の燃料噴
射制御方法」(特願昭60−206244号公報)、「内燃機関
の燃料噴射制御装置」(特願昭60−206245号公報)。
但し、 は定数行列、△TH,△PMは予め設定された基準値からの
スロットルバルブ開度、吸気管圧力の変化分、 は推定ゲインを示す定数行列。
[発明が解決しようとする課題] しかし、上記従来技術には、以下のような問題があっ
た。すなわち、 (1) 線形予測器を用いた構成では、過去の吸気管圧
力PM(k)に基づいて、将来の推定吸気管圧力M(k
+i)を算出している。ところが、吸気管圧力PM(k)
は、スロットルバルブを通過する空気量と気筒内に吸入
される空気量との差に応じて定まる。従って、吸気管圧
力と上記両空気量との相互関係を考慮する必要がある。
しかし、この相互関係を満たすように上記線形予測器の
係数を設定できないので、内燃機関の広範囲に亘る運転
状態に適応する推定吸気管圧力M(K+i)の算出を
極めて困難であるという問題点があった。これにより、
推定吸気管圧力M(k+i)に基づく燃料噴射量制御
の応答遅れや制御量のオーバシュートが生じていた。
(2) また、一般に、スロットルバルブ開度から吸気
管内圧力への伝達特性は非線形である。従って、線形自
己回帰移動平均モデル(ARMA)では、スロットルバルブ
開度から吸気管圧力への伝達特性を正確に表現できな
い。そこで、予め定められた基準値近傍での線形近似に
より、その基準値近傍の変化分の間でのみ成立する線形
数学モデルを複数使用していた。このため、内燃機関の
運転状態の変化に応じて、基準値を切り換える必要があ
る。しかし、内燃機関の広範囲に亘る全ての運転状態に
対応可能な数だけ線形数学モデルを有し、その係数等を
記憶することは不可能である。しかも、吸気管圧力PM
(k)やスロットルバルブ開度TH(k)の基準値からの
変化分△PM(k),△TH(k)に基づいて推定値を算出
する論理手段(Algorithm)は、外乱やセンサ雑音によ
るパラメータ変動の影響を受け易い。このため、外乱特
性仕様(感度仕様)およびロバスト安定性仕様(センサ
雑音特性仕様)の何れもが低下し、推定値の安定性も充
分保証できなかった。
(3) このように、推定吸気管圧力M(k+i)の
算出精度が不十分であったため、燃料噴射量制御の精度
も低下し、空燃比の乱れを招いていた。このため、過渡
運転状態では、排気特性、燃料消費効率および運転性能
が特に悪化した。
(4) さらに、複数の線形数学モデルに各々対応する
複数のパラメータの記憶や、各種の複雑な演算を実行す
る必要があるため、大きな記憶容量および高度な演算能
力等が要求されると共に、スロットルバルブ開度TH
(k)やアクセル操作量を、高精度で検出してアナログ
信号として出力する専用のセンサが必要になるので、装
置構成の複雑化を招いていた。
本発明は、過渡運転状態等、吸気管圧力変動が急激な
ときでも、簡単な装置構成で、検出時点に検出された吸
気管圧力から、該検出時点の吸気管圧力に基づいて算出
された量の燃料を含む混合気が気筒内に吸入される吸入
時点における吸気管圧力を正確に推定し、燃料噴射量を
算出する内燃機関の燃料噴射量制御装置の提供を目的と
する。
発明の構成 [課題を解決するための手段] 上記目的を達成するためになされた本発明は、第1図
に例示するように、 内燃機関M1の、少なくとも吸気管圧力および回転速度
を含む運転状態を検出する運転状態検出手段M2と、 外部から指令された量の燃料を上記内燃機関M1に供給
する燃料供給手段M3と、 を具備し、上記運転状態検出手段M2の検出結果に応じて
定まる量の燃料を上記燃料供給手段M3から供給する内燃
機関の燃料噴射量制御装置において、 さらに、上記内燃機関M1の吸入空気量に関する質量保
存則に従って構築した動的物理モデルに基づき、上記運
転状態検出手段M2により検出時点に検出された吸気管圧
力および回転速度から、該検出時点に検出された吸気管
圧力に応じて定まる量の燃料が上記内燃機関M1の吸気行
程にある気筒に吸入される吸入時点における該内燃機関
M1の予測吸気管圧力に相当する暫定推定吸気管圧力を算
出する暫定推定手段M4と、 該暫定推定手段M4の算出した暫定推定吸気管圧力を、
外部から指示される補正量に基づいてフィードバック補
正し、上記内燃機関M1の吸入時点における吸気管圧力に
相当する推定吸気管圧力を算出する推定手段M5と、 該推定手段M5の算出した推定吸気管圧力から求めた検
出時点における上記内燃機関M1の吸気管圧力と、上記運
転状態検出手段M2により検出時点に検出された吸気管圧
力との偏差および前記動的物理モデルに基づいて定まる
フィードバックゲインから上記補正量を算出して上記推
定手段M5に指示する補正手段M6と、 上記運転状態検出手段M2の検出した回転速度および上
記推定手段M5の算出した推定吸気管圧力に基づいて決定
した量の燃料供給を上記燃料供給手段M3に指令する制御
手段M7と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装
置を要旨とするものである。
運転状態検出手段M2とは、内燃機関M1の、少なくとも
吸気管圧力および回転速度を含む運転状態を検出するも
のである。例えば、半導体圧力センサ等からなる吸気管
圧力センサ、電磁ピックアップ式の回転速度センサ等に
より実現できる。
燃料供給手段M3とは、外部から指令された量の燃料を
内燃機関M1に供給するものである。例えば、電磁式、あ
るいは、圧電素子を利用した燃料噴射弁により実現でき
る。
暫定推定手段M4とは、内燃機関M1の吸入空気量に関す
る質量保存則に従って構築した動的物理モデルに基づ
き、運転状態検出手段M2により検出時点に検出された吸
気管圧力および回転速度から、検出時点に検出された吸
気管圧力に応じて定まる量の燃料が内燃機関M1の吸気行
程にある気筒に吸入される吸入時点における内燃機関M1
の予測吸気管圧力に相当する暫定推定吸気管圧力を算出
するものである。ここで、動的物理モデルとは、例え
ば、質量保存則に基づき、内燃機関M1の吸入空気量の時
間変化を、スロットルバルブを通過する吸入空気量と吸
気行程にある気筒に吸入される吸入空気量との差により
表記した式を、気体の状態方程式、断熱変化における状
態変化の式等により変形すると構築できる。従って、例
えば、吸入時点における内燃機関M1の予測吸気管圧力
を、検出時点における内燃機関M1の吸気管圧力、吸気管
圧力の時間変化量、気筒内吸入空気量および回転速度に
依存するパラメータにより記述する演算式等により構成
できる。
推定手段M5とは、暫定推定手段M4の算出した暫定推定
吸気管圧力を、外部から指示される補正量に基づいてフ
ィードバック補正し、内燃機関M1の吸入時点における吸
気管圧力に相当する推定吸気管圧力を算出するものであ
る。ここで、補正量とは、推定吸気管圧力の時点を、吸
入時点から検出時点に逆変換して得られる検出時点の推
定吸気管圧力と検出時点で実際に検出された吸気管圧力
との偏差をフィードバック補正する量である。
補正手段M6とは、推定手段M5の算出した推定吸気管圧
力から求めた検出時点における内燃機関M1の吸気管圧力
と、運転状態検出手段M2により検出時点に検出された吸
気管圧力との偏差および前記動的物理モデルに基づいて
定まるフィードバックゲインから補正量を算出して推定
手段M5に指示するものである。ここで、フィードバック
ゲインとは、内燃機関M1の吸入空気量の挙動をモデリン
グの対象とした場合の入力であるスロットルバルブ通過
吸入空気量を、その質量保存則に則って構築した動的物
理モデルに入力した場合の出力である推定吸気管圧力
と、内燃機関M1の検出された吸気管圧力との偏差を動的
物理モデルにフィードバックするときのフィードバック
ゲインである。このフィードバックゲインは、例えば、
内燃機関M1の吸入空気系統を制御対象とし、上記動的物
理モデルに基づく状態観測器、所謂オブザーバを構成す
る場合と同様な手法により決定できる。
制御手段M7とは、運転状態検出手段M2の検出した回転
速度および推定手段M5の算出した推定吸気管圧力に基づ
いて決定した量の燃料供給を燃料供給手段M3に指令する
ものである。例えば、回転速度および推定吸気管圧力と
燃料供給量との相互関係を規定したマップ、もしくは、
演算式により実現できる。また、例えば、上記のように
算出した燃料供給量を、内燃機関M1の運転状態である、
冷却水温度、吸入空気温度、排気中酸素濃度等に応じて
さらに増減補正するよう構成しても良い。
上記暫定推定手段M4、推定手段M5、補正手段M6、制御
手段M7は、例えば、周知のCPUを始めとしてROM,RAMおよ
びその他の周辺回路素子から成る論理演算回路が、予め
定められた処理手順を実行する構成により実現できる。
[作用] 本発明の内燃機関の燃料噴射量制御装置は、第1図に
例示するように、内燃機関M1の吸気管圧力および回転速
度を、運転状態検出手段M2は検出時点に検出する。する
と、暫定推定手段M4は、内燃機関M1の吸入空気量に関す
る質量保存則に従って構築した動的物理モデルに基づ
き、上記検出時点に検出された吸気管圧力に応じて定ま
る量の燃料が上記内燃機関M1の吸気行程にある気筒に吸
入される吸入時点における内燃機関M1の予測吸気管圧力
に相当する暫定推定吸気管圧力を算出する。さらに、推
定手段M5は、暫定推定吸気管圧力を、外部から指示され
る補正量に基づいてフィードバック補正し、上記内燃機
関M1の吸入時点における吸気管圧力に相当する推定吸気
管圧力を算出する。一方、補正手段M6は、推定吸気管圧
力から求めた検出時点における上記内燃機関M1の吸気管
圧力と、上記運転状態検出手段M2により検出時点に検出
された吸気管圧力との偏差および前記動的物理モデルに
基づいて定まるフィードバックゲインから上記補正量を
算出して上記推定手段M5に指示する。そして、制御手段
M7が、上記運転状態検出手段M2の検出した回転速度およ
び上記推定手段M5の算出した推定吸気管圧力に基づいて
決定した量の燃料供給を燃料供給手段M3に指令するよう
働く。
すなわち、内燃機関M1の回転速度および推定吸気管圧
力に基づいて供給燃料量を決定するに際し、上記内燃機
関M1の吸入空気量に関する質量保存則に従って構築した
動的物理モデルに基づき、検出時点に検出した吸気管圧
力から算出した吸入時点の暫定推定吸気管圧力を、吸入
時点の推定吸気管圧力から求めた検出時点の吸気管圧力
と検出時点に検出した吸気管圧力との偏差および上記動
的物理モデルに基づいて定まるフィードバックゲインか
ら算出した補正量でフィードバック補正して推定吸気管
圧力を算出するのである。
従って、本発明の内燃機関の燃料噴射量制御装置は、
推定吸気管圧力を常時正確に算出し、過渡運転状態でも
適切な量の燃料を供給するよう働く。
以上のように本発明の各構成要素が作用することによ
り、本発明の技術的課題が解決される。
[実施例] 次に本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説
明する。本発明の一実施例であるエンジンの燃料噴射量
制御装置のシステム構成を第2図に示す。
同図に示すように、エンジンの燃料噴射量制御装置1
は、エンジン2およびこれを制御する電子制御装置(以
下、単にECUと呼ぶ。)3から構成されている。
エンジン2は、シリンダ4、ピストン5およびシリン
ダヘッド6から燃焼室7を形成し、該燃焼室7には点火
プラグ8が配設されている。
該エンジン2の吸気系は、上記燃焼室7と吸気バルブ
9を介して連通する吸気管10、吸気管10に配設されて燃
料を噴射する電磁式の燃料噴射弁11、吸入空気の脈動を
吸収するサージタンク12、アクセルペダルに連動して吸
入空気量を調節するスロットルバルブ13およびエアクリ
ーナ14から構成されている。
上記エンジン2の排気系は、上記燃焼室7と排気バル
ブ15を介して連通する排気マニホルド16、三元触媒を充
填した触媒コンバータ17および排気管18から構成されて
いる。
上記エンジン2の点火系は、点火に必要な高電圧を出
力するイグニッションコイルを備えたイグナイタ19およ
び図示しないクランク軸に連動して上記イグナイタ19で
発生した高電圧を点火プラグに分配供給するディストリ
ビュータ20から構成されている。
エンジンの燃料噴射量制御装置1は検出器として、エ
アクリーナ14下流に設けられて吸入空気温度を測定する
吸気温センサ21、上記スロットルバルブ13に連動してス
ロットルバルブ開度を検出するスロットルポジションセ
ンサ22、スロットルバルブ13の全閉状態を検出するアイ
ドルスイッチ23、サージタンク12に連通して吸気管圧力
を検出する吸気管圧力センサ24、シリンダブロック4aの
冷却系統に配設されて冷却水温度を検出する水温センサ
25、排気マニホールド16内に設けられて排気中の残存酸
素濃度を検出する酸素濃度センサ26、ディストリビュー
タ20のカムシャフトの1回転毎に、すなわち、図示しな
いクランク軸の2回転毎に基準信号を出力する気筒判別
センサ27、ディストリビュータ20のカムシャフトの1/24
回転毎に、すなわち、クランク角0゜から30゜の整数倍
毎に回転角信号を出力する回転速度センサを兼ねた回転
角センサ28を備えている。
上記各センサおよびスイッチの検出信号はECU3に入力
され、ECU3はエンジン2を制御する。ECU3は、CPU3a,RO
M3b,RAM3c,バックアップRAM3dを中心に論理演算回路と
して構成され、コモンバス3eを介して入出力部3fに接続
されて外部との入出力を行なう。CPU3aは、上述した各
センサおよびスイッチの検出信号を入出力部3fを介して
入力する。一方、CPU3aは、入出力部3fを介して燃料噴
射弁11およびイグナイタ19を駆動制御する。
次に、本第1実施例の制御系を第3図に示す制御系統
図に基づいて説明する。なお、第3図は制御系を示す図
であって、ハード的な構成を示すものではない。第3図
に示す制御系は、実際には第5図にフローチャートで示
した燃料噴射量算出処理および第7図に示した燃料噴射
制御処理の実行により、離散系として実現される。
同図に示すように、吸気管圧力変化量算出部P1は、制
御対象であるエンジン2の検出時点kにおける吸気管圧
力PM(k)に時間遅れ演算子z-1を作用させた量から吸
気管圧力変化量△PM(k)を算出するものである。
検出時点に相当する時点kのシリンダ吸入空気量算出
部P2は、検出時点kにおける吸気管圧力PM(k)、回転
速度Ne(k)から検出時点kのシリンダ吸入空気量Ga
(k)を算出するものである。
第1暫定推定吸気管圧力算出部P3は、検出時点kにお
ける吸気管圧力PM(k)に係数K1を掛けた量、吸気管圧
力変化量△PM(k)に係数K2を掛けた量から、吸入時点
に相当する時点k+iの第1暫定推定吸気管圧力M(1)
(k+i)を算出するものである。
吸入時点に相当する時点k+iのシリンダ吸入空気量
算出部P4は、吸入時点に相当する時点k+iの第1暫定
推定吸気管圧力M(1)(k+i)、検出時点kの回転速
度Ne(k)から、時点k+iのシリンダ吸入空気量a
(k+i)を算出するものである。
第2暫定推定吸気管圧力算出部P5は、吸入時点k+i
の第1暫定推定吸気管圧力M(1)(k+i)に係数K3を
掛けた量、検出時点kのシリンダ吸入空気量Ga(k)に
係数K4を掛けた量、吸入時点k+iのシリンダ吸入空気
量a(k+i)に係数K5を掛けた量から第2暫定推定
吸気管圧力M(2)(k+i)を算出するものである。
推定吸気管圧力算出部P6は、第2暫定推定吸気管圧力
M(2)(k+i)に係数K6を掛けた量、吸入時点k+i
の推定吸気管圧力M(k+i)に時間遅れ演算子z-i
を作用させた量と検出時点kの吸気管圧力PM(k)との
偏差Err(k)に係数K7を掛けた量から推定吸気管圧力
M(k+i)を算出するものである。
燃料噴射量算出部P7は、推定吸気管圧力M(k+
i)と回転速度Ne(k)とから燃料噴射時間TAU(k+
i)を算出するものである。
そして、上記燃料噴射時間TAU(k+i)に亘ってエ
ンジン2に燃料が供給されるのである。
以上、エンジンの燃料噴射量制御装置1のハード的な
構成および後述する各処理の実行により実現される制御
系の構成について説明した。そこで、次に、エンジン2
の吸気系の動的物理モデルの構築および各係数K1,K2,K
3,K4,K5,K6,K7の算出について説明する。
まず、エンジン2の吸気系の動的物理モデルを構築す
る。エンジン2の吸気系を流れる吸入空気量の質量保存
則は、次式(5)のように記述できる。
dM/dt=mt−ga ……(5) 但し、 d/dt:時間微分演算子 M:サージタンク12内の空気質量、 mt:単位時間内にスロットルバルブ13を通過してサージ
タンク12に流れ込む流入空気量、 ga:単位時間内にサージタンク12から吸気行程を迎えた
シリンダ内に吸入される吸入空気量。
一方、理想気体の状態式は次式(6)、音速の定義式
は次式(7)、断熱変化の状態変化の式は次式(8)、
のように各々記述できる。
PM・ρ-1=R・T ……(6) c2=κ・R・T ……(7) PM・ρ−κ=Const ……(8) また、次式(9)の関係が成立する。
ρ=M/V ……(9) 但し、PM:吸気管圧力、ρ:吸入空気密度、R:吸入空
気ガス定数、T:吸入空気温度、c:音速、κ:比熱比、V:
サージタンク容積。
従って、上記式(5)を、上記式(6)〜(9)を用
いて変形すると、次式(10)のように記述でき、さら
に、次式(11)を得る。
dM/dt=(V/c2)・(dPM/dt) ……(10) dPM/dt=(c2/V)・(mt−ga) ……(11) 上記式(11)を、エンジンサイクルの吸気行程時間に
亘って、次式(12)のように積分する。
ここで、スロットルバルブ13を通過してサージタンク
12に流れ込む流入空気量mtは、積分時間中一定値mt
(k)であるため、次式(13)の関係が成立する。
また、サージタンク12から吸気行程を迎えたシリンダ
内に吸入される吸入空気量gaは、次式(14)の関係が成
立する。
従って、上記式(12)を、上記式(13),(14)によ
り形成すると次式(15)が得られる。
PM(k+1)=PM(k)+(c/V)・mt(k)・(30/Ne) −(c/V)・Ga(k) ……(15) 但し、PM(t1)=PM(k+1)、PM(t0)=PM(k)
である。
ここで、吸気管圧力の増加量は変化しないものとする
と、次式(16)の関係が成立する。
PM(k+1)−PM(k) =PM(k+j)−PM(k+j−1) ……(16) (j=1,2,…,i) そこで、式(17),(18)のように表記を改めると、
次式19が得られる。
A(i)=i×(c2/V) ……(17) B(i)=−i×(c2/V) ……(18) PM(k+1)=PM(k)+A(i)・mt(k)・(30/Ne) +B(i)・Ga(k) ……(19) 従って、エンジン2の吸気系の動的物理モデルは、上
記式(19)から得られる、次式(20)の離散系の状態方
程式、次式(21)の出力方程式により記述できる。
PM(k+1)=Φ・PM(k) +Γ・Ga(k)+E・mt(k) ……(20) PM(k)=C・PM(k) ……(21) 但し、係数Φは値1、係数Γは値B(i)、係数Eは
値A(i)・(30/Ne)、係数Cは値1である。
なお、上記式(15)を同定基礎式とし、入力と出力と
を実験により測定し、例えば、最小2乗法等のシステム
同定手法により、各項の係数であるc2/Vを決定すること
もできる。
次に、推定吸気管圧力M(k+i)を算出するため
の諸量の算出について説明する。
上記式(15)より、吸気管圧力変化量△PM(k)は、
次式(22)のように記述できる。
△PM(k)=PM(k+1)−PM(k) =A(1)・mt(k)・(30/Ne)+B(1)・Ga
(k) ……(22) 上記式(19),(22)から、第1暫定推定吸気管圧力
M(1)(k+i)は、次式(23)のように算出できる。
M(1)(k+i)=PM(k)+i・△PM(k) ……(23) 従って、上述した第1暫定推定吸気管圧力算出部P3の
係数K1は値1、係数K2は値iとなる。
ここで、シリンダ吸入空気量Ga(k)は、吸気管圧力
PM(k)と回転速度Ne(k)との関数であるため、補正
を行ない、第2暫定推定吸気管圧力M(2)(k+i)
は、次式(24)のように表記できる。
M(2)(k+i)=PM(k)+i・△PM(k) −B(i)・Ga(k)+B(i)・a(k+i) =M(1)(k+i)−B(i)・Ga(k) +B(i)・a(k+i) ……(24) 従って、上述した第2暫定推定吸気管圧力算出部P5の
係数K3は値1、係数K4は−B(i)、係数K5は値B
(i)となる。
なお、シリンダ吸入空気量a(k+i)は、第1暫
定推定吸気管圧力M(1)(k+i)および回転速度Ne
(k)から算出できる。
上記式(24)で算出された第2暫定推定吸気管圧力
M(2)(k+i)を、吸気管圧力との偏差にフィードバッ
クゲインを掛けて得られる補正量により補正すると、次
式(25)に示すように推定吸収管圧力M(k+i)が
得られる。
M(k+i)=M(2)(k+i)+Cf・Err(k) ……(25) 但し、偏差Err(k)は次式(26)のように記述でき
る。
Err(k)=PM(k)−M(k) ……(26) なお、上述した推定吸気管圧力算出部P6の係数K6は値
1、係数K7はフィードバックゲインCfになる。
次に、上記係数K7の値であるフィードバックゲインCf
の算出について、第4図に基づいて説明する。同図に示
すように、上記式(20),(21)で記述される制御対象
の状態変数PM(k)の推定値M(k)を算出する状態
観測器(Observer)を、制御対象と同一のモデルを用い
て構成すると、次式(27)のように記述できる。
M(k+1)=Φ・M(k) +Γ・Ga(k)+E・mt(t) ……(27) 同図に示すように、制御対象の出力PM(k)とオブザ
ーバの推定出力M(k)との偏差にフィードバックゲ
インCfを掛けた補正量によりフィードバック補正するよ
う構成すると、次式(28)を得る。
M(k+1)=Φ・M(k)+Γ・Ga(k)−Cf・{PM(k)−C・M
(k)} ={Φ−Cf・C}・M(k)+Γ・Ga(k)+Cf・PM(k) ……(28) 従って、閉ループ行列[Φ−Cf・C]が安定な行列で
固有値が全て左半平面にあるように、フィードバックゲ
インCfを定めればよい。ここでは、係数Φは値1、係数
Cも値1である。このため、本第1実施例ではフィード
バックゲインCfの値を、−1〈Cf〈1の範囲の値に設定
する。
以上、エンジン2の吸気系の動的物理モデルの構築、
推定吸気管圧力の算出手順およびフィードバックゲイン
Cfの算出について説明した。これらのパラメータは、予
め算出しておき、ECU3内部ではその結果のみを使用して
燃料噴射量を算出する。
次に、上記ECU3の実行する燃料噴射量算出処理を第5
図の、燃料噴射制御処理を第7図の、各フローチャート
に基づいて説明する。
まず、燃料噴射量算出処理を第5図に示すフローチャ
ートに基づいて説明する。本燃料噴射量算出処理は、EC
U3の起動後、所定クランク角度毎(例えば、4気筒エン
ジンでは180[゜CA])に実行される。なお、以下の説
明では、現在の処理で扱われている量を添字(k)で示
す。まず、ステップ100では、既述した各センサの検出
信号に基づいて、吸気管圧力PM(k)、回転速度Ne
(k)を読み込む処理が行われる。続くステップ110で
は、吸気管圧力変化量△PM(k)を次式(29)のように
算出する処理が行われる。
△PM(k)=PM(k)−PM(k−1) ……(29) 本ステップ110の処理が、第3図に示す吸気管圧力変
化量算出部P1として機能する。
次に、ステップ120に進み、時点kにおけるシリンダ
吸入空気量Ga(k)を、予めROM3bに記憶されている、
第6図に示すマップに従って、吸気管圧力PM(K)およ
び回転速度Ne(k)に応じて算出する処理がおこなわれ
る。本ステップ120の処理が、第3図に示す時点kのシ
リンダ吸入空気量算出部P2として機能する。
続くステップ130では、時点k+iにおける第1暫定
推定吸気管圧力(1)(k+i)を、次式(30)に示す
ように算出する処理が行われる。なお、本ステップ130
の処理が、第3図の第1暫定推定吸気管圧力算出部P3と
して機能する。
M(1)(k+i)=PM(k)+i・△PM(k)……30) 次に、ステップ140に進み、時点k+1におけるシリ
ンダ吸入空気量a(k+i)を、予めROM3bに記憶さ
れている、第6図に示すマップに従って、第1暫定推定
吸気管圧力M(1)(k+i)および回転素度Ne(k)に
応じて算出する処理がおこなわれる。本ステップ140の
処理が、第3図に示す時点k+iのシリンダ吸入空気量
算出部P4として機能する。
続くステップ150では、第2暫定推定吸気管圧力M
(2)(k+i)を、次式(31)のように算出する処理が
行われる。本ステップ150の処理が、第3図の第2暫定
推定吸気管圧力算出部P5として機能する。
M(2)(k+i)=M(1)(k+i) −B(i)・Ga(k)+B(i)・a(k+i) ……(31) 次にステップ160に進み、偏差Err(k)にフィードバ
ックゲイCfを掛けて、補正量を次式(32)のように算出
する処理が行われる。
Cf・Err(k)=Cf・{PM(k)−M(k+i)・z-i}……(32) 続くステップ170では、時点k+iにおける推定吸気
管圧力M(k+i)を、次式(33)のように算出する
処理が行われる。上記ステップ160、本ステップ170が、
第3図の推定吸気管圧力算出部P6として機能する。
M(k+i)=M(2)(k+i)+Cf・Err(k) ……(33) 次にステップ180に進み、上記ステップ170で算出した
推定吸気管圧力M(k+i)を、RAM3cに記憶する処
理が行われる。続くステップ190では、サンプリング、
演算の回数を示す添字kに値1を加算した後、再び上記
ステップ100に戻る。以後、本燃料噴射量算出処理は所
定クランク角度毎に、上記ステップ100〜190を繰り返し
て実行する。
次に、燃料噴射制御処理を第7図に示すフローチャー
トに基づいて説明する。本燃料噴射制御処理は、ECU3の
起動後、所定クランク角度毎(例えば、360[゜CA])
に実行される。まず、ステップ200では、回転速度Ne
(k)、上述のように算出してRAM3cに記憶されている
エンジン2の推定吸気管圧力M(k+i)、図示しな
い処理で算出されて記憶されている空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFを含む各データを読み込む処理が行われ
る。続くステップ210では、予めROM3bに記憶されてい
る、第8図に示すようなマップに従い、推定吸気管圧力
M(k+i)および回転速度Ne(k)に応じて基本燃
料噴射時間TP(k+i)を算出する処理が行われる。次
にステップ220に進み、暖機増量係数、加速増量係数、
バッテリ補正係数等、各種の補正係数KA、KBを、エンジ
ン2の運転状態に応じて、予めROM3bに記憶されている
図示しないマップに従った補間計算により算出する処理
が行われる。次に、ステップ230に進み、実燃料噴射時
間TAU(k+i)を次式(34)のように算出する処理が
行われる。
TAU(k+i)=TP(k+i)・FAF・KA+KB……(34) 続くステップ240では、上記ステップ230で算出された
実燃料噴射時間TAU(k+i)に亘って燃料噴射弁11を
開弁する制御信号を燃料噴射弁11に出力した後、一旦、
本燃料噴射制御処理を終了する。以後、本燃料噴射制御
処理は所定クランク角度毎に、上記ステップ200〜240を
繰り返して実行する。本燃料噴射制御処理のステップ20
0〜ステップ230が、第3図の燃料噴射量算出部P7として
機能する。
なお本第1実施例において、エンジン2が内燃機関M1
に、吸気管圧力センサ24と回転角センサ28とが運転状態
検出手段M2に、燃料噴射弁11が燃料供給手段M3に、各々
当該する。また、ECU3および該ECU3の実行する処理のう
ちステップ(100〜150)が暫定推定手段M4として、ステ
ップ(170)が推定手段M5として、ステップ(160)が補
正手段M6として、ステップ(200〜230)が制御手段M7と
して、各々機能する。
以上説明したように本実施例によれば、推定吸気管圧
力M(k+i)算出の動特性が飛躍的に向上する。
従って、急発進、急加減速等の過渡状態で吸気管圧力
PM(k)変動が顕著な非線形特性を示す運転状態に移行
したときでも、空燃比を最適に保持可能な燃料噴射量TA
U(k+i)を算出できるので、燃料噴射量制御の制御
精度を常時高水準に維持できる。
また、過渡運転状態における空燃比制御精度の向上に
伴い、排気中の有害成分排出量の低減、燃料消費効率の
向上およびドライバビリティの改善を実現できる。
さらに、平地通常走行時等の定常運転状態では、吸気
管圧力変化量△PM(k)がほぼ零近傍の値になると共
に、その変動周期も長くなる。このため、吸気管圧力PM
(k)と推定吸気管圧力M(k+i)から算出した時
点i以前の推定吸気管圧力M(k)との偏差Err
(k)は減少し、フィードバックゲインCfにより算出さ
れる補正量に応じた補正により、推定吸気管圧力M
(k+i)は高い安定性を保つので、走行状態に適合し
た燃料噴射量制御を実現できる。
また、エンジン2の吸入空気量Qの質量保存則に則っ
て動的物理モデルを構築すると共に、フィードバックゲ
インCfを決定し、吸気管圧力PM(k)から推定吸気管圧
力M(k+i)を算出する。このため、1つの動的物
理モデルでエンジン2の吸入空気の非線形性の強い挙動
を正確に記述でき、その挙動を記述する状態方程式、出
力方程式の係数Φ,Γ,Cおよび補正量を算出するフィー
ドバックゲインCfを1種類だけ設定すれば良い。従っ
て、ECU3のメモリ容量削減、演算速度迅速化等の装置構
成の簡略化を実現できると共に、推定吸気管圧力M
(k+i)算出精度も高まる。
さらに、吸気管圧力センサ24や燃料噴射弁11は既存の
装置と同様の構成で済み、スロットルボジションセンサ
等、アナログ高精度信号出力性能を要求される専用のセ
ンサを設けなくて良いので、装置の汎用性が拡大する。
次に、本発明の第2実施例を図面に基づいて詳細に説
明する。本第2実施例と上述した第1実施例との相違点
は、推定吸気管圧力M(k+1)算出に使用する第2
暫定推定吸気管圧力M(2)(k+1)の算出手順が異な
ることである。その他の構成は同様であるため、同一部
分は同一符号にて表記し、説明を省略する。
本第2実施例の制御系を第9図に基づいて説明する。
同図に示すように、本第2実施例の特徴をなす第2暫定
推定吸気管圧力算出部P10は、吸入時点に相当する時点
k+iの第1暫定推定吸気管圧力M(1)(k+i)、検
出時点kの回転速度Ne(k)、検出時点kのシリンダ吸
入空気量Ga(k)から、第2暫定推定吸気管圧力M(2)
(k+i)を算出するものである。
ここで、シリンダ吸入空気量a(k)は、回転速度
Ne(k)が一定のときは、次式(35)のように算出でき
る。
a(k)=α・M(2)(k)+β ……(35) 但し、係数α,βは回転速度Ne(k)に応じて定ま
る。
一方、第2暫定推定吸気管圧力M(2)(k+i)は、
既述した通り次式(36)のように表記できる。
M(2)(k+i)=PM(k)+i・△PM(k) −B(i)・Ga(k)+B(i)・a(k+i) ……(36) 従って、上記式(35),(36)により、第2暫定推定
吸気管圧力M(2)(k+i)は、次式(37)のように算
出できる。
M(2)(k+i)=PM(k)+i・△PM(k)−B(i)・Ga(k) +B(i)・{α・M(2)(k+i)+β}={(1)(k+i) −B(i)・Ga(k)+B(i)・β}/{1+B(i)・α} ……(37) 次に、本第2実施例で実行される燃料噴射量算出処理
を第10図に示すフローチャートに基づいて説明する。本
燃料噴射量算出処理は、ECU3の起動後、所定クランク角
度毎(例えば、4気筒エンジンでは180[゜CA])に実
行される。
まず、吸気管圧力PM(k)、回転速度Ne(k)を読み
込み(ステップ300)、吸気管圧力変化量△PM(k)を
算出し(ステップ310){第9図の吸気管圧力変化量算
出部P1}、時点kにおけるシリンダ吸入空気量Ga(k)
を、予めROM3bに記憶されている、第6図に示すマップ
に従って、吸気管圧力PM(k)および回転速度Ne(k)
に応じて算出し(ステップ320){第9図に示す時点k
のシリンダ吸入空気量算出部P2}、時点k+iにおける
第1暫定推定吸気管圧力M(1)(k+i)を算出する
(ステップ330){第9図の第1暫定推定吸気管圧力算
出部P3}。次にステップ345に進み、上述した定数α,
βを、予めROM3bに記憶されている、第6図に示すマッ
プに従って、回転速度Ne(k)に応じて算出する処理が
行われる。続くステップ355では、第2暫定推定吸気管
圧力M(2)(k+i)を、次式(38)のように算出する
処理が行われる。本ステップ355の処理が、第9図の第
2暫定推定吸気管圧力算出部P10として機能する。
M(2)(k+i)={M(1)(k+i) −B(i)・Ga(k)+B(i)・β}/{1+B(i)・α} ……(38) 次に、偏差Err(k)にフィードバックゲインCfを掛
けて補正量を算出し(ステップ360)、時点k+iにお
ける推定吸気管圧力M(k+i)を、算出し(ステッ
プ370){第9図の推定吸気管圧力算出部P6}、推定吸
気管圧力M(k+i)をRAM3cに記憶し(ステップ38
0)、サンプリング、演算の回数を示す添字kに値1を
加算し(ステップ390)、再び上記ステップ300に戻る。
以後、本燃料噴射量算出処理は所定クランク角度毎に、
上記ステップ300〜390を繰り返して実行する。
なお、本第2実施例において、エンジン2が内燃機関
M1に、吸気管圧力センサ24と回転角センサ28とが運転状
態検出手段M2に、燃料噴射弁11が燃料供給手段M3に、各
々該当する。また、ECU3および該ECU3の実行する処理の
うちステップ(300〜355)が暫定推定手段M4として、ス
テップ(370)が推定手段M5として、ステップ(360)が
補正手段M6として、ステップ(200〜230)が制御手段M7
として、各々機能する。
以上説明したように、本第2実施例によれば、エンジ
ン2の回転速度Ne(k)に基づいて定まる定数α,βを
使用して、第1暫定推定吸気管圧力M(1)(k+i)お
よびシリンダ吸入空気量Ga(k)から第2暫定推定吸気
管圧力M(2)(k+1)を算出するので、推定吸気管圧
力M(k+i)の推定精度をより一層高めることがで
きる。
以上本発明のいくつか実施例について説明したが、本
発明はこのような実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる
態様で実施し得ることは勿論である。
発明の効果 以上詳記したように本発明の内燃機関の燃料噴射量制
御装置は、内燃機関の回転速度および推定吸気管圧力に
基づいて供給燃料量を決定するに際し、内燃機関の吸入
空気量に関する質量保存則に従って構築した動的物理モ
デルに基づき、検出時点に検出した吸気管圧力から算出
した吸入時点の暫定推定吸気管圧力を、吸入時点の推定
吸気管圧力から求めた検出時点の吸気管圧力と検出時点
に検出した吸気管圧力との偏差および上記動的物理モデ
ルに基づいて定まるフィードバックゲインから算出した
補正量でフィードバック補正して推定吸気管圧力を算出
するよう構成されている。このため、推定吸気管圧力算
出の動特性向上を可能にし、過渡運転状態等、吸気管圧
力変動が顕著な非線形特性を示す運転状態でも最適量の
燃料供給できるので、空燃比制御の制御精度が飛躍的に
向上するという優れた効果を奏する。
上記効果に伴い、過渡運転状態における、排気特性、
燃料消費効率および運転性能も高まる。
また、定常運転状態では、吸気管圧力変動が微小、か
つ、緩慢になる。このため、検出時点の吸気管圧力と推
定吸気管圧力から算出した吸入時点の吸気管圧力との偏
差は減少し、フィードバック補正により算出される補正
吸気管圧力は高い安定性を示すので、高精度な燃料噴射
量制御を実現できる。
さらに、内燃機関の吸入空気量の質量保存則に則って
動的物理モデルを構築すると共に、フィードバックゲイ
ンを決定し、これらに基づいて、検出時点の吸気管圧力
から、吸入時点の推定吸気管圧力を算出する。このた
め、1つのモデルで内燃機関の吸入空気の挙動を記述で
き、その挙動を記述する各種パラメータおよび補正量を
算出するフィードバックゲインを1種類だけ設定するだ
けで済む。従って、記憶容量、演算能力等の装置構成の
簡略化と、推定吸気管圧力算出精度および速度の向上と
を両立できる。
また、運転状態検出手段や燃料供給手段は既存の装置
と同様の構成で済み、専用の検出手段を設ける必要もな
いので、装置の汎用性が拡大する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の内容を概念的に例示した基本的構成
図、第2図は本発明一実施例のシステム構成図、第3図
は同じくその制御系の構成を示す制御系統図、第4図は
同じくそのオフザーバの構成を示すブロック線図、第5
図は同じくその制御を示すフローチャート、第6図は同
じくそのマップを示すグラフ、第7図は同じくその制御
を示すフローチャート、第8図は同じくそのマップを示
すグラフ、第9図はその他の実施例の制御系を示す制御
系統図、第10図は同じくその他の実施例の制御を示すフ
ローチャートである。 M1……内燃機関 M2……運転状態検出手段 M3……燃料供給手段 M4……暫定推定手段 M5……推定手段 M6……補正手段 M7……制御手段 1……エンジンの燃料噴射量制御装置 2……エンジン 3……電子制御装置(ECU) 3a……CPU 11……燃料噴射弁 24……吸気管圧力センサ 28……回転角センサ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の、少なくとも吸気管圧力および
    回転速度を含む運転状態を検出する運転状態検出手段
    と、 外部から指令された量の燃料を上記内燃機関に供給する
    燃料供給手段と、 を具備し、上記運転状態検出手段の検出結果に応じて定
    まる量の燃料を上記燃料供給手段から供給する内燃機関
    の燃料噴射量制御装置において、 さらに、上記内燃機関の吸入空気量に関する質量保存則
    に従って構築した動的物理モデルに基づき、上記運転状
    態検出手段により検出時点に検出された吸気管圧力およ
    び回転速度から、該検出時点に検出された吸気管圧力に
    応じて定まる量の燃料が上記内燃機関の吸気行程にある
    気筒に吸入される吸入時点における該内燃機関の予測吸
    気管圧力に相当する暫定推定吸気管圧力を算出する暫定
    推定手段と、 該暫定推定手段の算出した暫定推定吸気管圧力を、外部
    から指示される補正量に基づいてフィードバック補正
    し、上記内燃機関の吸入時点における吸気管圧力に相当
    する推定吸気管圧力を算出する推定手段と、 該推定手段の算出した推定吸気管圧力から求めた検出時
    点における上記内燃機関の吸気管圧力と、上記運転状態
    検出手段により検出時点に検出された吸気管圧力との偏
    差および前記動的物理モデルに基づいて定まるフィード
    バックゲインから上記補正量を算出して上記推定手段に
    指示する補正手段と、 上記運転状態検出手段の検出した回転速度および上記推
    定手段の算出した推定吸気管圧力に基づいて決定した量
    の燃料供給を上記燃料供給手段に指令する制御手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装
    置。
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