JP2615399B2 - 熱容量測定法 - Google Patents
熱容量測定法Info
- Publication number
- JP2615399B2 JP2615399B2 JP12010092A JP12010092A JP2615399B2 JP 2615399 B2 JP2615399 B2 JP 2615399B2 JP 12010092 A JP12010092 A JP 12010092A JP 12010092 A JP12010092 A JP 12010092A JP 2615399 B2 JP2615399 B2 JP 2615399B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat capacity
- temperature
- measurement
- sample
- time
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】最近超伝導マグネットの実用化に
よって,様々な分野で高い磁場を使用することが増加し
ているが,そのような空間で使用する構造材料等は安全
及び省エネルギの観点から磁場下での機械的及び熱的特
性が十分に評価されていることが不可欠であり,材料の
熱的性質の中でも熱容量はもっとも基本的な量である。
本方法は種々の系統誤差を含まない熱容量測定法を実現
するものであり,本方法に基づく事によって一般の熱容
量測定が高精度化できるばかりでなく,磁場中でも信頼
性のある測定を可能とする。
よって,様々な分野で高い磁場を使用することが増加し
ているが,そのような空間で使用する構造材料等は安全
及び省エネルギの観点から磁場下での機械的及び熱的特
性が十分に評価されていることが不可欠であり,材料の
熱的性質の中でも熱容量はもっとも基本的な量である。
本方法は種々の系統誤差を含まない熱容量測定法を実現
するものであり,本方法に基づく事によって一般の熱容
量測定が高精度化できるばかりでなく,磁場中でも信頼
性のある測定を可能とする。
【0002】
【従来の技術】熱容量測定にはさまざまな方法が提案さ
れており,それらは熱容量Cを温度Tの関数として与え
る。それらの内でも交流熱容量測定法と呼ばれる方法
は,熱容量Cに対する分解能および温度Tに対する分解
能が高く,広く用いられている方法である。この方法に
おいて,熱容量の測定対象試料に対し既知の熱量q
(t)を周期的(周波数ν)かつ断続的に加える。
れており,それらは熱容量Cを温度Tの関数として与え
る。それらの内でも交流熱容量測定法と呼ばれる方法
は,熱容量Cに対する分解能および温度Tに対する分解
能が高く,広く用いられている方法である。この方法に
おいて,熱容量の測定対象試料に対し既知の熱量q
(t)を周期的(周波数ν)かつ断続的に加える。
【0003】たとえばq(t)は以下のように加えられ
る q(t)=0 ただし 1/4≦νt≦3/4 mod 1 式1 q 上記以外 その際の試料の温度T(t)が,定常的な周期的変動状
態におちついた後の振幅ΔTから熱容量Cを従来の方法
では以下のように決定する。 C=q/(4νΔT) 式2
る q(t)=0 ただし 1/4≦νt≦3/4 mod 1 式1 q 上記以外 その際の試料の温度T(t)が,定常的な周期的変動状
態におちついた後の振幅ΔTから熱容量Cを従来の方法
では以下のように決定する。 C=q/(4νΔT) 式2
【0004】この方法は温度振幅を求めるに際し,加熱
の周波数νに同期させて温度の周期的変化分を測定する
ことにより熱容量を高分解能で測定できる反面,対象試
料と測定系によってはその測定結果が誤差を含むことが
問題であることが知られている。
の周波数νに同期させて温度の周期的変化分を測定する
ことにより熱容量を高分解能で測定できる反面,対象試
料と測定系によってはその測定結果が誤差を含むことが
問題であることが知られている。
【0005】その要因としては,試料温度が熱浴に緩和
するのに要する時間である外部緩和時間τeが有限の場
合,温度振幅ΔTが本来よりも小さくなることによる,
熱容量に対しては正の系統誤差がまずあげられる。この
誤差を小さくするのには,加熱周波数νに対し以下の条
件が課せられる。 ντe》1 式3
するのに要する時間である外部緩和時間τeが有限の場
合,温度振幅ΔTが本来よりも小さくなることによる,
熱容量に対しては正の系統誤差がまずあげられる。この
誤差を小さくするのには,加熱周波数νに対し以下の条
件が課せられる。 ντe》1 式3
【0006】またもう一つの要因は試料の温度が一様と
なるのに要する時間である内部緩和時間τiが0でない
場合,加熱に対する温度変動の遅れから系統誤差が発生
する。この系統誤差を小さくするために加熱周波数νに
対し以下の条件が課せられる。 ντi《1 式4
なるのに要する時間である内部緩和時間τiが0でない
場合,加熱に対する温度変動の遅れから系統誤差が発生
する。この系統誤差を小さくするために加熱周波数νに
対し以下の条件が課せられる。 ντi《1 式4
【0007】従って,式3,4をともに満たすνがある
ように熱容量測定系を設計することが必要になるが,一
般に容易でない。その結果,式3,4の条件が十分に成
り立っていない場合は系統誤差が生じるため,個々の系
について誤差の補正の必要があり,その補正の不確かさ
が最終結果の精度を決めていた。この補正には個々の系
に応じたモデルに基づいた計算が必要になり,そのモデ
ルの適不適も精度を決める要因になっていた。
ように熱容量測定系を設計することが必要になるが,一
般に容易でない。その結果,式3,4の条件が十分に成
り立っていない場合は系統誤差が生じるため,個々の系
について誤差の補正の必要があり,その補正の不確かさ
が最終結果の精度を決めていた。この補正には個々の系
に応じたモデルに基づいた計算が必要になり,そのモデ
ルの適不適も精度を決める要因になっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の測定法ではそれ
自体に10%以上の系統誤差を含み,その系統誤差は種
々の要因により変化するため,磁場中などの重要な場合
では事実上補正不可能となる。本方法は系統誤差を含ま
ない熱容量測定法を実現する事によって,熱容量測定を
高分解能かつ高い正確さで行う事を可能にするばかりで
なく,磁場中でも信頼性のある測定を可能とする物であ
る。
自体に10%以上の系統誤差を含み,その系統誤差は種
々の要因により変化するため,磁場中などの重要な場合
では事実上補正不可能となる。本方法は系統誤差を含ま
ない熱容量測定法を実現する事によって,熱容量測定を
高分解能かつ高い正確さで行う事を可能にするばかりで
なく,磁場中でも信頼性のある測定を可能とする物であ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本熱容量測定法では試料
に対し式1の熱量を加えることは従来の方法と同じであ
るが,熱容量を定めるのに,温度変化の振幅ΔTではな
く,温度変化の時間による微分dT/dtを用いる。そ
の際,試料の温度T(t)が,同温度の時間平均<T
(t)>をよぎる時点で,微分を求めて熱容量を以下の
ように決定する C=q/(2 dT/dtT(t)=<T(t)>) 式5
に対し式1の熱量を加えることは従来の方法と同じであ
るが,熱容量を定めるのに,温度変化の振幅ΔTではな
く,温度変化の時間による微分dT/dtを用いる。そ
の際,試料の温度T(t)が,同温度の時間平均<T
(t)>をよぎる時点で,微分を求めて熱容量を以下の
ように決定する C=q/(2 dT/dtT(t)=<T(t)>) 式5
【0010】この方法に基づくことによって,試料温度
が熱浴に緩和する外部時間τeが有限であっても,内部
緩和時間が短ければ測定結果は誤差を含まない。もう一
つの要因である試料の温度が一様となるのに要する時間
である内部緩和時間τiが0でないことによる誤差も本
方法では通常の方法よりも小さい。特に以下の両条件が
成り立つ場合,測定の正確さは0.1%程度と高く,補
正がまったく必要がない。 ντi≦0.02 式6 ντe≧1 式7
が熱浴に緩和する外部時間τeが有限であっても,内部
緩和時間が短ければ測定結果は誤差を含まない。もう一
つの要因である試料の温度が一様となるのに要する時間
である内部緩和時間τiが0でないことによる誤差も本
方法では通常の方法よりも小さい。特に以下の両条件が
成り立つ場合,測定の正確さは0.1%程度と高く,補
正がまったく必要がない。 ντi≦0.02 式6 ντe≧1 式7
【0011】式6,7は,式2,3に比して緩やかかつ
限定的な条件であるばかりでなく,式6,7が成り立つ
限り最終結果に誤差が含まれず,補正も必要がないこと
が従来の方法と比して優れている点である。従来の測定
方法では式6,7が成り立つ条件下でも数%程度の系統
誤差が生じ,高精度な測定は困難である。
限定的な条件であるばかりでなく,式6,7が成り立つ
限り最終結果に誤差が含まれず,補正も必要がないこと
が従来の方法と比して優れている点である。従来の測定
方法では式6,7が成り立つ条件下でも数%程度の系統
誤差が生じ,高精度な測定は困難である。
【0012】
【実施例】図1が発明の実施例である。電流源6よりヒ
ーター5に電流が与えられ,加熱された対象試料1の温
度変化を熱電対3−4で電圧に変換し電圧計2で検出す
る。その出力電圧は図2により与えられ,十分緩和が進
んだ時点では出力電圧は図3のように与えられ,ふたつ
の平均温度をよぎる点が微分を求める点として与えられ
る。
ーター5に電流が与えられ,加熱された対象試料1の温
度変化を熱電対3−4で電圧に変換し電圧計2で検出す
る。その出力電圧は図2により与えられ,十分緩和が進
んだ時点では出力電圧は図3のように与えられ,ふたつ
の平均温度をよぎる点が微分を求める点として与えられ
る。
【0013】
【発明の効果】本測定方法は交流法比熱測定の高分解能
性を失う事なく,絶対値においても信頼性のある測定法
を提示する物であり,比熱測定法の高度化に寄与する。
また測定系自体に系統誤差が含まれないため,磁場中の
測定など極限環境下での測定においても試料の磁場等の
外場の影響のみを精度良く抽出できる。
性を失う事なく,絶対値においても信頼性のある測定法
を提示する物であり,比熱測定法の高度化に寄与する。
また測定系自体に系統誤差が含まれないため,磁場中の
測定など極限環境下での測定においても試料の磁場等の
外場の影響のみを精度良く抽出できる。
【0014】
【図1】発明の実施例の構成図
1 測定試料 2 電圧計 3 熱電対の素線 4 熱電対の素線 5 ヒーター 6 電流源
【図2】図1の出力電圧例
【図3】図2において温度変化が周期的変動のみとなっ
た時点での出力電圧と温度変化の時間微分を求める点を
定義する。
た時点での出力電圧と温度変化の時間微分を求める点を
定義する。
Claims (1)
- 【請求項1】 熱容量の測定対象試料に対し既知の熱量
を周期的かつ断続的に加え,試料の温度変化の時間によ
る微分を,試料の温度が,同温度の時間平均をよぎる時
点で求めて熱容量を決定することに基づく熱容量測定法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12010092A JP2615399B2 (ja) | 1992-04-14 | 1992-04-14 | 熱容量測定法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12010092A JP2615399B2 (ja) | 1992-04-14 | 1992-04-14 | 熱容量測定法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06201490A JPH06201490A (ja) | 1994-07-19 |
JP2615399B2 true JP2615399B2 (ja) | 1997-05-28 |
Family
ID=14777920
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12010092A Expired - Lifetime JP2615399B2 (ja) | 1992-04-14 | 1992-04-14 | 熱容量測定法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2615399B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012202900A (ja) * | 2011-03-28 | 2012-10-22 | Tokyo Denki Univ | 比熱測定装置及び比熱測定方法 |
US11054251B2 (en) * | 2017-01-31 | 2021-07-06 | Illinois Tool Works Inc. | Systems and methods to determine workpiece characteristics |
-
1992
- 1992-04-14 JP JP12010092A patent/JP2615399B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06201490A (ja) | 1994-07-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Finnemore et al. | Superconducting properties of tin, indium, and mercury below 1 K | |
Sample et al. | Low temperature thermometry in high magnetic fields. III. Carbon resistors (0.5–4.2 K); thermocouples. | |
Shu et al. | Method of thermocouples self verification on operation place | |
WO2015025586A1 (ja) | 熱物性測定方法及び熱物性測定装置 | |
JP2615399B2 (ja) | 熱容量測定法 | |
Cetas et al. | A paramagnetic salt temperature scale, 0.9 to 18 K | |
CN108225597B (zh) | 一种基于多频解算的非平衡交流电桥无磁探温方法 | |
Forgan et al. | Heat capacity cryostat and novel methods of analysis for small specimens in the 1.5–10 K range | |
CN101936778B (zh) | 一种辐射计定标方法 | |
Arrott et al. | Application of magnetization measurements in iron to high temperature thermometry | |
CN112098457B (zh) | 一种导热系数测量仪的多项式回归校准方法 | |
US20200124685A1 (en) | Sensor circuit with offset compensation | |
RU2010191C1 (ru) | Способ определения погрешностей термоэлектрических термометров | |
Chen et al. | A Calibration Method for Thermocouple-temperature Calibrator Based on Cold Junction Compensation | |
Fukuyama et al. | A millikelvin temperature scale in high magnetic fields based on 3He melting pressure | |
Kirste et al. | Realizing the redefined kelvin: Realization and dissemination of the kelvin below 25 K | |
SU1781563A1 (ru) | Cпocoб oпpeдeлehия лokaльhoгo koэффициehta teплootдaчи | |
RU2017089C1 (ru) | Способ определения температуры | |
SU1712849A1 (ru) | Способ определени теплофизических характеристик материалов | |
JP2537744B2 (ja) | 熱伝導率の測定方法 | |
SU934253A1 (ru) | Устройство дл измерени показател тепловой инерции термопар | |
SU796668A1 (ru) | Цифровой термометр | |
SU1254318A1 (ru) | Способ определени показател тепловой инерции термопары | |
Zhang et al. | Prediction and realization of a temperature control limit at low temperatures in SPRIGT | |
JPS58166226A (ja) | 光電変換装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |