JP2614828B2 - 砂漠雨水作物生産システムを造成する方法および装置 - Google Patents

砂漠雨水作物生産システムを造成する方法および装置

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JP2614828B2 JP19360894A JP19360894A JP2614828B2 JP 2614828 B2 JP2614828 B2 JP 2614828B2 JP 19360894 A JP19360894 A JP 19360894A JP 19360894 A JP19360894 A JP 19360894A JP 2614828 B2 JP2614828 B2 JP 2614828B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、砂漠地域において雨水
を有効利用して作物を生産するシステムを造成するため
の方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在世界の食物供給は地球上数パーセン
トの地域における食物生産に依存しており、90パーセ
ント以上の地域においては生産性は低く、そのうち30
パーセントは砂漠であって食物生産が極めて低いか、あ
るいは皆無である。しかし、砂漠は不毛の荒地であると
いっても、土壌それ自身はむしろ肥えているところが多
く、水が十分に得られ、また土壌塩分の問題が解決でき
れば作物生産をあげることができる。
【0003】したがって、砂漠において僅かな雨量を利
用し、作物生産を行うシステムを造成する方法および装
置を確立することが望まれるが、この場合、(1) 砂漠は
降雨量が極端に少ないこと、(2) 砂漠は乾燥しており、
土壌塩分が高いこと、(3) 砂漠は、れき砂漠・砂砂漠か
ら粘土砂漠まで変化するが、そのうち雨水生産に適した
粒度の土壌を選択する必要があること等、考慮すべき要
素は極めて複雑であり、これまで、砂漠雨水作物生産シ
ステム開発の障害となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしその一方で、砂
漠における年間の降雨回数は数回程度であって、年間雨
量こそ極めて少ないが、1回の降雨で相当量の雨が降
る。それ故、この雨を確実に土壌中に確保し、作物生産
に有効利用することができれば、雨水の利用による作物
生産が可能となる。
【0005】したがって、本発明の課題は、砂漠に降る
雨水を有効利用して砂漠における安定した作物生産を可
能とする砂漠雨水作物生産システムを造成するための方
法および装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は、砂漠土壌面に設けた作物栽培領域に隣接
して溝を掘るステップと、前記溝に、土壌面から地中に
向かって略鉛直線方向にのびる遮水布を埋設するステッ
プと、前記作物栽培領域の土壌面を全体にわたって掘り
下げ、前記掘り下げた部分に、雨水を下方に浸透せしめ
るが土壌面からの水分蒸発を妨げるマルチを設けるステ
ップと、前記作物栽培領域に隣接する所定面積の領域を
前記作物栽培領域に向かって下り勾配となるように傾斜
せしめ、その土壌面を全体にわたって不浸透水性材料で
被覆して集水領域を形成するステップとからなることを
特徴とする砂漠雨水作物生産システムを造成する方法を
構成したものである。
【0007】また、本発明は、平坦な底面と、楔状に突
出する垂直な前面と、前記底面から垂直に前記前面より
低い高さレベルまでのびかつ前記前面に連続する垂直側
面部分および前記垂直側面部分から外向きに斜め上方に
のびる傾斜側面部分、並びに前記傾斜側面部分から前記
前面に連続する側面部分からなる側面とを有する装置本
体と、前記装置本体に取り付けられかつ前記装置本体前
面の両側に前記前面から間隔をおいて配置され、前記装
置本体底面の高さレベルから下方にのびる遮水布挿入手
段であって、その内部に遮水布のロールをほぼ垂直に、
軸のまわりに回転可能に支持、収容し、前記遮水布挿入
手段の後面に形成された縦方向のスリットから前記遮水
布を順次繰り出すものと、前記装置本体または前記遮水
布挿入手段に取り付けられかつ前記遮水布挿入手段の前
方に隣接して配置され、前記遮水布挿入手段の上端より
高い位置から少なくとも前記遮水布挿入手段の下端と同
じ深さまで後方に傾斜してのび、上端および下端に備え
られた駆動モータ、前記駆動モータ間に張設されたエン
ドレスチェイン、および前記エンドレスチェインの長さ
方向に間隔をおいて取り付けられた前記遮水布挿入手段
の幅より大きい幅をもつ掘削爪を有するチェイン掘削手
段と、前記装置本体前面から前方に前記装置本体底面と
同一平面内にのび、前記遮水布挿入手段の間において少
なくとも前記前面の先端までのびる表土掘削板と、前記
装置本体に配置されたアスファルト貯蔵タンクと、前記
装置本体の前記傾斜側面部分に外側に向けて設けられた
複数のアスファルト噴出ノズルと、前記アスファルト貯
蔵タンクからアスファルトを前記アスファルト噴出ノズ
ルに供給するアスファルト供給手段と、前記装置本体に
連結され、前記装置本体の前方に配置された基準面整地
板と、前記基準面整地板に連結され、前記基準面整地板
および前記装置本体を前進せしめる前進駆動手段からな
ることを特徴とする砂漠雨水作物生産システムを造成す
る装置を構成したものである。
【0008】
【作用】本発明によれば、作物栽培領域に、マルチと遮
水布によって囲まれた根群領域が形成される。根群領域
は作物の根が存在する領域である。根群領域は、側面が
遮水布によって、塩分を含有する乾燥した隣接土壌から
隔離されており、根群領域から隣接土壌への水分の浸透
が防止され、かつ隣接土壌から根群領域への塩分の浸み
出しが防止される。さらに、根群領域の上面はマルチに
よって覆われているので、根群領域上面からの水分蒸発
が防止される。加えて、根群領域の下面は開放状態とな
っており、水分が根群領域下面から隣接土壌に自由に浸
透できるようになっている。その結果、雨水の蓄積によ
る水位上昇に起因する毛管上昇が防止され、土壌面から
の急激な水分蒸発が防止される。
【0009】降雨の際、作物栽培領域に降った雨水はマ
ルチを通って土壌中に流入し、集水領域に降った雨水
は、集水板により、集水領域の土壌中に浸み込むことな
く作物栽培領域に集められ、マルチを通って作物栽培領
域の土壌中に流入する。そして、根群領域には、作物の
生育に必要な吸着性土壌水分(重量に抗して地中に土壌
中に保留され、かつ作物の根によって吸収可能な水分)
が保有され、雨水が作物生産に有効利用され得る。
【0010】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら本発明の好ま
しい実施例について説明する。図1は、本発明による砂
漠雨水作物生産システムを造成する装置の実施例の上面
図であり、図2〜図3はそれぞれ、図1のA−A線、B
−B線に沿った縦断面図であり、図4〜図7はそれぞ
れ、図1のC−C線、D−D線、E−E線、F−F線に
沿った横断面図である。
【0011】これらの図面から明らかなように、本発明
による砂漠雨水作物生産システムを造成する装置は、平
坦な底壁2と、楔状に突出する垂直な前壁3と、底壁2
から垂直に前壁3より低い高さレベルまでのびかつ前壁
3に連続する垂直側壁部分4aおよび垂直側壁部分4a
から外側に上向きに傾斜してのびる傾斜側壁部分4b、
並びに傾斜側壁部分4bから前壁3に連続する垂直な側
壁部分4cからなる側壁4と、底壁2および側壁4に連
続する垂直な後壁25とからなる装置本体1を備えてい
る。図1において明らかなように、傾斜側壁部分4bは
直角三角形の形状を有しており、装置本体1は、上から
見ると、実質上二等辺三角形の形状を有している。
【0012】装置本体1には、(図示はしない)適当な
連結部材を介して、強固な金属板からなる遮水布挿入ボ
ックス6が取り付けられる。この遮水布挿入ボックス6
は、図1に示すように、装置本体前壁3の両側であっ
て、装置本体1の前方に装置本体前面から間隔をおいて
配置されており、図3に示すように、装置本体底面の高
さレベルから下方にのびている。図8は、遮水布挿入ボ
ックス6と後述するチェイン掘削機構の拡大側面図であ
る。図8に示すように、遮水布挿入ボックス6は、側面
から見ると台形形状を有しており、上板6a、下板6
b、および後方に傾斜した前板6c並びに垂直な後板6
dからなっている。
【0013】図9は、遮水布挿入ボックス6の内部構造
を示す図である。図8および図9に示すように、遮水布
挿入ボックス6の内部には、遮水布5のロール23が、
実質上垂直に、軸のまわりに回転可能に支持、収容され
ている。遮水布としては、不浸透水性材料から形成され
たシート、膜、布等を使用することができる。なお、こ
の実施例ではナイロン系の膜を使用している。遮水布挿
入ボックス6は、図示はしない適当な遮水布繰り出し機
構を備えており、この遮水布繰り出し機構によって、遮
水布5が、後板6dに形成された縦方向のスリット7を
通じて装置本体1の後方に順次繰り出されるようになっ
ている。この場合、各遮水布挿入ボックスのスリット7
は、装置本体底面の側縁の延長線上に配置され、2つの
遮水布挿入ボックスのスリット間の間隔は、装置本体底
面の幅に等しくなっている。
【0014】図8に示すように、遮水布挿入ボックス6
の前面には、固定部材8を介して、上側駆動モータ9お
よび下側駆動モータ10が間隔をおいて固定される。上
側駆動モータ9は遮水布挿入ボックス上面より高い位置
に配置され、下側駆動モータ10はほぼ遮水布挿入ボッ
クス底面と同じ高さの位置に配置される。上側および下
側駆動モータの間には、各駆動モータの駆動軸に取り付
けられたスプロケット11a、11bを介して、エンド
レスチェイン12が張設される。エンドレスチェイン1
2は、遮水布挿入ボックス前面にほぼ平行にこれから間
隔をおいて配置される。エンドレスチェイン12は、平
行な後側チェイン部分が下向きに、平行な前側チェイン
部分が上向きに移動するように回転駆動せしめられる。
エンドレスチェイン12には、その回転駆動にともなっ
て溝を掘削する掘削爪13が、チェインの長さ方向に間
隔をおいて取り付けられる。掘削爪13は、遮水布挿入
ボックス6の幅より大きい幅を有している。上側および
下側駆動モータの間には、エンドレスチェイン12の回
転を補助するため、適当な個数のアイドラー14が、固
定部材8を介して遮水布挿入ボックスの前面に固定され
る。上側および下側駆動モータ9、10、エンドレスチ
ェイン12および掘削爪13、並びにアイドラー14か
らチェイン掘削機構21が形成され、エンドレスチェイ
ン12の回転駆動に伴って各掘削爪13によって順次土
壌が遮水布挿入ボックス6の上面に掘り出され、チェイ
ン掘削機構21および遮水布挿入ボックス6が収容され
得る大きさの溝が24が掘削形成されるようになってい
る。上側および下側駆動モータ9、10は、装置本体底
壁2上に備えられた電源19から電力供給を受ける。
【0015】装置本体前壁3には、さらに、前壁3から
前方に装置本体底面と同一平面内にのびる金属製の表土
掘削板15が固定される。表土掘削板15は、2つの遮
水布挿入ボックス6の間において、装置本体前壁3の先
端、よって遮水布挿入ボックス6の先端までのびてい
る。表土掘削板15は、遮水布挿入ボックス6の上板6
aに強固に接合されている。
【0016】傾斜側壁部分4bの後部の下面側には、多
数個のアスファルト噴出ノズル16が外側に向けて配置
される。また、装置本体1の後部の底壁上には、アスフ
ァルト貯蔵タンク17が配置され、アスファルト輸送管
路18を通じて、アルファルトがアスファルト貯蔵タン
ク17から各アスファルト噴出ノズル16に供給される
ようになっている。
【0017】装置本体1の前面には基準面整地板20が
連結され、チェイン掘削機構21の前方に配置される。
基準面整地板20は金属製の強固な板からなり、装置本
体1の2つのチェイン掘削機構21の間の間隔より広い
幅を有しており、砂漠雨水作物生産システムを造成する
際の基準となる土壌面を整地形成する機能をもってい
る。さらに、基準面整地板20には(図示はしない)ブ
ルドーザ等の牽引車が連結され、基準面整地板20およ
び装置本体1は、牽引車によって前進せしめられるよう
になっている。
【0018】以上、本発明による装置の構成について説
明したが、2つの遮水布挿入ボックス6のスリット7間
の間隔BS、遮水布5の地中にのびる深さ(幅)LS、
基準面整地板20と表土掘削板15の間の間隔HS、お
よび傾斜側壁部分4bが水平面に対してなす角度θ、並
びに装置本体全体の水平面上への射影の幅Bは、後述す
るように、理論的に決定される砂漠雨水作物生産システ
ムの構造に対応して予め決定される。
【0019】次に、本発明による装置の動作について説
明する。連結された装置本体1および基準面整地板20
は、ブルドーザ等の牽引車によって牽引されることによ
って前進せしめられる。装置の前進とともに、まず基準
面整地板20によって平坦な基準土壌面が形成された
後、チェイン掘削機構21の回転駆動によって基準土壌
面に溝24が形成され、また、表土掘削板15によって
基準土壌面の表土が一定深さ削り取られる。遮水布挿入
ボックス6はチェイン掘削機構21と共に溝24内を前
進しながら、遮水布挿入ボックス6のスリット7から遮
水布5を垂直に、溝内に順次繰り出す。
【0020】チェイン掘削機構21によって掘り出され
た土壌は、遮水布挿入ボックス6の上面に落下し、そこ
から、表土掘削板15によって削り取られた土壌ととも
に、楔形状の装置本体前面3に沿って装置本体1の左右
に押し出される。押し出された土壌の一部は、装置本体
前面3と遮水布挿入ボックス6との間隙を通じて、チェ
イン掘削機構21によって掘られた溝24内の遮水布5
が繰り出された領域に再び埋められる。このとき、遮水
布5は、装置本体1の底壁2および傾斜側壁部分3bの
整地作用によって、上端が装置本体1の外側に押しつけ
られた状態で溝24内に埋設される。押し出された土壌
の残りは、傾斜側壁部分3bの外面と土壌面との間隙中
に案内されて土壌面上に盛り上げられ、傾斜側壁部分3
bの外面によって整地されて、装置本体底面に向かって
下向きに傾斜した斜面を形成する。
【0021】この斜面の表面には装置本体1の傾斜側壁
部分3bのアスファルト噴出ノズル16からアスファル
トが噴出し、斜面の表面はアスファルトによって固めら
れ、集水領域31が形成される。
【0022】こうして、前進する装置本体1の後方に
は、図1に示すように、基準面整地板20の底面と装置
本体1の表土掘削板15との高さレベルの差に相当する
深さHSと、装置本体1の底壁2の幅に相当する幅BS
をもった凹部22と、この凹部22の両側に隣接する集
水領域31とからなる実質上V字形断面のチャネルが連
続的に形成される。その後、凹部内に適当な方法でマル
チが設けられて作物栽培領域が形成され、砂漠雨水作物
栽培システムの造成が完了する。この砂漠雨水作物栽培
システムを図10に示した。図10において、細長い作
物栽培領域30の両側に、作物栽培領域に向かって下り
勾配となるように傾斜した集水領域31が隣接してい
る。
【0023】図11は、図10におけるX−X線に沿っ
た鉛直線方向断面図である。図11において、作物栽培
領域30の上層には、雨水を下方に浸透せしめるが土壌
面からの水分蒸発を妨げるマルチ32が形成されてい
る。マルチ32は、石れき、化学製品等から形成されて
いる。
【0024】集水領域31の土壌面は作物栽培領域30
に向かって下り勾配となるように傾斜している。集水領
域31の土壌面は、全領域にわたって、アスファルトに
よって被覆されている。不浸透水性材料から形成された
遮水布5が、マルチ32と集水領域31との隣接部分か
ら地中に向かって鉛直方向に所定の深さまでのびてい
る。
【0025】こうして、作物栽培領域30の土壌中に、
マルチ32および遮水布5によって囲まれた根群領域3
3が形成される。根群領域33は実際に作物の根が存在
する領域である。根群領域33の鉛直線方向にのびる側
面は、遮水布5によって隣接する、乾燥し、塩分を含有
した土壌から隔離され、根群領域33から隣接土壌への
水分の浸透および隣接土壌から根群領域33中への塩分
の浸み出しが防止される。また、根群領域33の上面
は、マルチ32によって被覆され、根群領域33から大
気中への水分の蒸発が防止される。
【0026】この場合、根群領域33の下面が開放状態
となっており、水分が根群領域33の下面から隣接土壌
に自由に浸透できるようになっていることが重要であ
る。その理由を簡単に説明する。今、例えば、根群領域
33の下面と隣接土壌の間に不浸透水性のシートが挿入
され、水分が根群領域33の下面から隣接土壌に浸透で
きないようにした場合を想定する。雨が降ると、根群領
域中に雨水が蓄積され、水位が上昇するが、このとき、
水位が土壌面から一定の深さ以上に上昇すると毛管上昇
が生じ、マルチ32が存在するにもかかわらず、水分が
非常に短期間のうちに根群領域33から蒸発してしま
い、土壌中に塩分が残留してしまう。したがって、根群
領域33の下面を開放状態にしておけば、毛管上昇の発
生が防止でき、水分の蒸発および塩分の残留が回避でき
る。
【0027】根群領域33の幅BSおよび深さLSは、
次のようにして理論的に決定される。栽培される作物の
乾燥重量をWC、蒸散係数をECとし、作物の生産に必
要な全水量をWTとすれば、全根群領域は、この全水量
WTを有効土壌水として貯水しうるだけの体積をもって
いなければならない。1個の作物の専有する土壌面積A
C、幅BS、長さNとすれば、 AC=BS×N、 砂漠の降雨の回数を1回とすれば、作物の必要な全水分
量は、 WT=WC×EC (1) であり、土壌中の有効吸着水分をSAとすれば、根群領
域土壌柱の深さはLSであるから、根群領域全体の有効
貯留水分量WSは、次の水分方程式になる。 WS=AC×LS×SA=BS×N×LS×SA (2) したがって、水分の平衡条件 WT=WS (3) から、根群領域の必要な深さは、 LS=(WC×EC)/(BS×N×SA) (4) となる。
【0028】また、マルチの層厚HSは、以下のように
決定される。掘削土壌量と集水領域の盛土に要する土壌
量を平衡せしめる必要から、 BS×HS=H×L (5) でなければならない。集水領域の基準土壌面に対する傾
斜角をθ、集水領域の水平面上への射影の幅をL、集水
領域の最も外側の位置の基準土壌面からの高さをHとす
ると、 tan θ=H/L (6) が成り立つ。(6)式を(5)式に代入すると、 BS×HS=tan θ×L2 (7) よって、 HS=(tan θ×L2 )/BS (8) を得る。砂漠雨水作物栽培システム全体の水平面上への
射影の幅をBとすれば、 B=BS+2L (9) であるから、 L=(B−BS)/2 (10) となり、 HS=(tan θ×(B−BS)2 )/4BS (11) が得られる。
【0029】作物栽培領域30に、一定の間隔をおいて
作物が植えられる。この場合、栽培する作物としては、
深根性作物、果樹および林木が適している。そして降雨
の際、作物栽培領域30に降った雨水はマルチ32を通
って土壌中に流入し、集水領域31に降った雨水は集水
領域の土壌中に浸み込むことなく作物栽培領域30に集
められ、マルチ32を通って作物栽培領域30の土壌中
に流入する。土壌中に浸み込んだ雨水は、根群領域33
に保有される。このとき、根群領域33が貯留し得る水
分量以上の雨水が流入した場合には、余分な水分は根群
領域下面から隣接土壌中に浸透する。
【0030】このように、本発明による砂漠雨水作物生
産システムによれば、砂漠において、貴重な雨水資源を
有効利用して作物生産をあげることが可能となる。さら
に、本発明による砂漠雨水作物生産システムは灌漑設備
を一切必要とせず、システムの構造は簡単となり、シス
テムの造成が非常に容易かつ安価に行える。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、砂漠に
おいて、作物の種類、降雨量を考慮した的確な砂漠雨水
作物生産システムを造成することができ、これまで不確
定要素の多かった砂漠の開発に対する有力な手法を提供
するものである。さらに本発明によれば、灌漑設備等を
設ける必要がなく、システムの構成は簡単となり、容易
かつ安価にシステム造成を行うことができる。また本発
明は、砂漠における安定した作物生産を実現することに
より、世界の食物供給量の増大に貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による砂漠雨水作物生産システムを造成
する装置の実施例の上面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った縦断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿った縦断面図である。
【図4】図1のC−C線に沿った横断面図である。
【図5】図1のD−D線に沿った横断面図である。
【図6】図1のE−E線に沿った横断面図である。
【図7】図1のF−F線に沿った横断面図である。
【図8】図1の装置の遮水布挿入ボックスおよびチェイ
ン掘削機構を示す拡大側面図である。
【図9】図8の遮水布挿入ボックスの内部構造を示す図
である。
【図10】本発明による装置によって造成された砂漠雨
水作物栽培システムを示す上面図である。
【図11】図10のX−X線に沿った鉛直方向断面図で
ある。
【符号の説明】
1 装置本体 2 底壁 3 前壁 4 側壁 5 遮水布 6 遮水布挿入ボックス 9、10 駆動モータ 12 エンドレスチェイン 13 掘削爪 15 アスファルト噴出ノズル 19 アスファルト貯蔵タンク 21 チェイン掘削機構 30 作物栽培領域 31 集水領域 32 マルチ 33 根群領域

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砂漠土壌面に設けた作物栽培領域に隣接
    して溝を掘るステップと、 前記溝に、土壌面から地中に向かって略鉛直線方向にの
    びる遮水布を埋設するステップと、 前記作物栽培領域の土壌面を全体にわたって掘り下げ、
    前記掘り下げた部分に、雨水を下方に浸透せしめるが土
    壌面からの水分蒸発を妨げるマルチを設けるステップ
    と、 前記作物栽培領域に隣接する所定面積の領域を前記作物
    栽培領域に向かって下り勾配となるように傾斜せしめ、
    その土壌面を全体にわたって不浸透水性材料で被覆して
    集水領域を形成するステップとからなることを特徴とす
    る砂漠雨水作物生産システムを造成する方法。
  2. 【請求項2】 平坦な底面と、楔状に突出する垂直な前
    面と、前記底面から垂直に前記前面より低い高さレベル
    までのびかつ前記前面に連続する垂直側面部分および前
    記垂直側面部分から外向きに斜め上方にのびる傾斜側面
    部分、並びに前記傾斜側面部分から前記前面に連続する
    側面部分からなる側面とを有する装置本体と、 前記装置本体に取り付けられかつ前記装置本体前面の両
    側に前記前面から間隔をおいて配置され、前記装置本体
    底面の高さレベルから下方にのびる遮水布挿入手段であ
    って、その内部に遮水布のロールをほぼ垂直に、軸のま
    わりに回転可能に支持、収容し、前記遮水布挿入手段の
    後面に形成された縦方向のスリットから前記遮水布を順
    次繰り出すものと、 前記装置本体または前記遮水布挿入手段に取り付けられ
    かつ前記遮水布挿入手段の前方に隣接して配置され、前
    記遮水布挿入手段の上端より高い位置から少なくとも前
    記遮水布挿入手段の下端と同じ深さまで後方に傾斜して
    のび、上端および下端に備えられた駆動モータ、前記駆
    動モータ間に張設されたエンドレスチェイン、および前
    記エンドレスチェインの長さ方向に間隔をおいて取り付
    けられた前記遮水布挿入手段の幅より大きい幅をもつ掘
    削爪を有するチェイン掘削手段と、 前記装置本体前面から前方に前記装置本体底面と同一平
    面内にのび、前記遮水布挿入手段の間において少なくと
    も前記前面の先端までのびる表土掘削板と、 前記装置本体に配置されたアスファルト貯蔵タンクと、 前記装置本体の前記傾斜側面部分に外側に向けて設けら
    れた複数のアスファルト噴出ノズルと、 前記アスファルト貯蔵タンクからアスファルトを前記ア
    スファルト噴出ノズルに供給するアスファルト供給手段
    と、 前記装置本体に連結され、前記装置本体の前方に配置さ
    れた基準面整地板と、 前記基準面整地板に連結され、前記基準面整地板および
    前記装置本体を前進せしめる前進駆動手段からなること
    を特徴とする砂漠雨水作物生産システムを造成する装
    置。
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