JP2614321B2 - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JP2614321B2 JP1168958A JP16895889A JP2614321B2 JP 2614321 B2 JP2614321 B2 JP 2614321B2 JP 1168958 A JP1168958 A JP 1168958A JP 16895889 A JP16895889 A JP 16895889A JP 2614321 B2 JP2614321 B2 JP 2614321B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は液晶表示や液晶−光シヤツター等で用いる液
晶素子、特に強誘電性液晶を用いた液晶素子に関し、更
に詳しくは配向の均一性を著しく向上させ、かつ素子の
耐久性を向上させ、暗状態と明状態のコントラストを向
上させた液晶素子に関する。
〔背景技術〕
強誘電性液晶分子の屈折率異方性を利用して、偏光素
子との組み合わせにより透過光線を制御する型の表示素
子がN.A.クラークらにより提案されている(特開昭56−
107216号公報、米国特許第4367924号明細書等)。この
強誘電性液晶は、一般に特定の温度域において、カイラ
ルスメクチツクC相(SmC)又はH相(SmH)を有
し、バルク状態でらせん配列構造を生じるカイラルスメ
クチツクC又はH相の温度下の液晶を、らせん配列構造
の形成を抑制するのに十分に小さい距離に設定した一対
の基板間隔に配置させて得た双安定性配向状態におい
て、加えられる電界に応答して第1の光学的安定状態と
第2の光学的安定状態のいずれかを取り、かつ電界の印
加のないときはその状態を維持するメモリー特性を有
し、また電界の変化に対して高速応答特性を有し、高速
ならびに記憶型の表示素子としての広い利用が期待され
ている。
この双安定性配向状態を生じた強誘電性スメクチツク
液晶を用いた光学変調素子が製品として前述のメモリー
特性及び高速応答特性を発揮するためには、双安定性配
向状態が安定に均一に存在し、かつ素子としての耐久性
に優れ、明状態と暗状態のコントラスト比が大きいこと
が必要であった。
岡田らは、USP4639089で、コレステリツク相を生じる
温度範囲を有する強誘電性スメクチツク液晶をラビング
処理や斜方蒸着処理などによって付与された一軸性配向
処理軸を有する液晶素子に適用することによって、均一
な双安定性配向状態の強誘電性スメクチツク液晶素子を
実現したことを明らかにしている。
ラビング処理や斜方蒸着処理によって実現した均一な
双安定性配向状態の強誘電性スメクチツク液晶素子は、
N.A.クラークらのものと比較して明状態のメモリー下で
の透過光量が小さくなることがあった。
上述の双安定性配向状態の強誘電性スメクチツク液晶
素子は、その配向状態が均一であることから、液晶分子
が高い秩序度の配列を生じている。この液晶分子の高い
秩序度の配列状態は、セル外部からの応力、例えば衝撃
力や歪み力に対しては、もろい性質をもっており、かか
る力が印加された時には、液晶分子の配列状態に乱れを
生じ、代表的にはサンデツド・テスクチヤーを発生す
る。衝撃力によるサンデツド・テクスチヤーの発生は、
例えば坪山らのUSP4674839で明らかにされている。
ところで、本発明者らが実験したところによれば、配
向制御層として用いる高分子有機膜の膜厚が600Å以上
と十分に厚い場合には広い面積で充分均一な配向が得ら
れるが、このように高分子有機膜の膜厚を厚くすると膜
厚が薄い場合に比べ駆動特性が悪くなるという問題点が
生じることがわかっている。また、強誘電性液晶の双安
定性を保持するためには、高分子有機膜の膜厚を200Å
以下と薄くすることが必要であるという提案もなされて
いる(特開昭62−52528号公報)。
したがって、このように駆動特性や双安定性を良好に
するために配向制御膜である高分子有機膜の膜厚は薄い
ことが望まれる。
一方、配向制御膜である高分子膜の膜厚を薄くしてい
くと配向欠陥が発生し、均一配向が得られないばかりで
なく、配向欠陥からのもどりにより双安定性も悪くなる
という問題が生じる。
又、本発明者らの実験によれば、第18図(A)に示す
様に、表示パネルの画面に大きな領域の黒表示部と白表
示部をそれぞれ形成して表示していた後で、全画面を白
表示に切り換えた時に、第18図(B)に示す様に、かか
る切り換え前に表示されていた黒表示部に相当する領域
が周囲の白表示部より透過率の低い薄い灰色表示を残し
て表示され、表示品位を悪くしていた。特に、この灰色
表示部がかなり長い時間存在しているため、新しい表示
内容に表示画面を切り換えた時に、この新しい表示内容
に対して、切り換え前の古い表示内容が薄い灰色表示と
して重なって表示(「前表示内容の焼き付け表示」とい
う)されるために、例えばワープロのオペレータにとっ
ては非常に見にくい表示状態となっていた。
〔発明の概要〕
本発明の目的は、前述の問題点、特に前表示内容の焼
付け表示を改善させた双安定性配向状態によって解消し
た強誘電性スメクチツク液晶素子を提供することにあ
る。
本発明は、一軸性配向処理軸が付与された配向制御膜
を下地層を介して少なくとも一方に設けた一対の基板及
び該一対の基板の間に配置されたカイラルスメクチック
液晶を有する液晶素子において、前記カイラルスメクチ
ック液晶がカイラルスメクチックC相を有し、該相の温
度範囲内で高温側と低温側とで異なる双安定性配向状+
態を生じるカイラルスメクチック液晶であって、前記高
温側の双安定性配向状態から降温することによって生じ
た低温側での双安定性配向状態のカイラルスメクチツク
液晶であるとともに、前記配向制御膜の膜厚をdとした
時、好ましくは 0<d≦600Åであり、 前記下地層の平均表面粗さをSとした時、好ましくは 0≦S≦100Å であり、且つ 0≦S/d<0.70 の関係を有している液晶素子に第1の特徴を有し、第2
に、一軸性配向処理軸が付与された配向制御膜を下地層
を介して少なくとも一方に設けた一対の基板及び該一対
の基板の間に配置されたカイラルスメクチック液晶を有
する液晶素子において、前記強誘電性スメクチツク液晶
が結合した一対のヘアピン欠陥及びライトニング欠陥を
発生する傾向の双安定性配向状態のカイラルスメクチツ
ク液晶であって、前記一軸性配向処理軸の方向に従って
前でライトニング欠陥、後でヘアピン欠陥を発生する発
生秩序を示す配向状態を有する強誘電性スメチツク液晶
であるとともに、前記配向制御膜の膜厚をdとした時、
好ましくは 0<d≦600Åであり、 前記下地層の平均表面粗さをSとした時、好ましくは 0≦S≦100Å であり、且つ 0≦S/d<0.70 の関係を有している液晶素子に第2の特徴を有してい
る。特に、好ましくは前記液晶素子において、一軸性配
向処理軸が前記一対の基板に設けた配向制御膜に平行
(又は略平行;交差角30゜以下)に付与されているとと
もに、該平行の一軸性配向処理軸の向きが同一の向きで
ある点にも特徴を有している。
〔発明の態様の詳細な説明〕
本発明者らは、配向制御膜の膜厚を薄くしていくと配
向欠陥が発生し均一配向が得られないということに関
し、その原因について種々検討した。その結果、この現
象は、液晶の配向が配向制御膜が設けられている、例え
ばITO電極、誘電体膜、Siカツプリング剤層等の下地層
の表面粗さの影響を受けるためであることが明らかとな
った。また、この下地層の表面粗さが同じても配向制御
膜の膜厚が異なれば配向状態も異なっていた。そこで、
下地層の表面粗さおよび配向制御膜の膜厚と配向の関係
を調べたところ第17図に示すような結果が得られた。
同図において、dは配向制御膜の膜厚、Sはこの配向
制御膜が設けられている下地層の平均表面粗さである。
下地層はITO電極、無機あるいは有機の誘電体膜、Siカ
ツプリング剤層等のいずれでもよい。第17図の場合、下
地層はITO電極であり、ITO電極の膜厚と表面粗さは比例
関係にある。平均表面粗さは走査型トンネル顕微鏡(ST
M,Nanoscope II,東陽テクニカ社販売)により測定し、
標準偏差値を計算した。平均表面粗さが100Åを超える
場合はITO電極の膜厚は4000Å以上となり、スパツタに
よる作成ではクラツクが発生したため検討は行わなかっ
た。
第17図のグラフにより、0≦S/d<0.7であれば有機高
分子膜の膜厚が薄くても配向は良好であることがわか
る。
本発明は以上のような知見に基づいてなされたもので
ある。
〔発明の態様の詳細な説明〕
第1図は本発明の強誘電性液晶のセルの1例を模式的
に描いたものである。第1図(B)は、第1図(A)の
セルで用いた下述の誘電体膜の使用を省略したセルを表
わしている。
11aと11bは、それぞれIn2O3やITO(Indium TiN Oxid
e)等の透明電極12aと12bで被覆された基板(ガラス
板)であり、その上に200Å〜3000Å厚の誘電体膜13aと
13b(SiO2膜、TiO2膜、Ta2O5膜など)とポリイミド、ポ
リアミド、ポリエステル等で形成した600Å以下の配向
制御膜14aと14bとがそれぞれ積層されている。
この際、平行かつ同一向き(第1図でいえばA方向)
になるようラビング処理(矢印方向)した配向処理膜14
aと14bが配置されている。基板11aと11bとの間には、強
誘電性スメクチツク液晶15が配置され、基板11aと11bと
の間隔の距離は、強誘電性スメクチツク液晶15のらせん
配列構造の形成を抑制するのに十分に小さい距離(例え
ば0.1μm〜3μm)に設定され、強誘電性スメクチツ
ク液晶15は双安定性配向状態を生じている。上述の十分
に小さい距離は、基板11aと11bとの間に配置したビーズ
スペーサ16(シリカビーズ、アルミナビーズ)によって
保持される。
このセルには、液晶分子の配向変調を光学的に識別す
るために、2枚の偏光子17a,17bがクロスニコルで配置
されている。
本発明は、下述の実施例で明らかにした液晶材料と配
向制御膜を用いることによって、カイラルスメクチツク
C相の温度範囲における高温側と低温側とで生じる双安
定性配向状態が相違し、低温側での双安定性配向状態が
衝撃又は歪みに対して強い安定度を示し、且つ明状態と
暗状態との大きなコントラストを示す。低温側での双安
定性配向状態の強誘電性スメクチツク液晶は、ラビング
処理方向(第7図に示す様にプレチルト角θprを生じた
液晶分子の傾斜方向(矢印方向)の基板面への写影方
向)に従って前でライトニング欠陥、後ろでヘアピン欠
陥を発生する発生秩序を生じる配向状態にあり、これに
対し、高温側ではラビング処理方向に従って前でヘアピ
ン欠陥、後ろでライトニング欠陥を発生する発生秩序を
生じる配向状態を有している。以下、カイライルスメク
チツクC相の温度範囲において、便宜上、上述の高温側
での配向状態を「C1配向」と言い、低温側での配向状態
を「C2配向」と言う。ここで、「便宜上」と表現したの
は、後述する様に2つの異なる配向状態が温度のみに依
存していない理由からである。
第2図はC1の配向の顕微鏡写真(倍率:10×10倍)の
スケツチ図で、第3図〜第5図はラビング処理方向に従
って前でライトニング欠陥、後ろでヘアピン欠陥を発生
する発生秩序を生じる配向状態と、ラビング処理方向に
従って、前でヘアピン欠陥、後ろでライトニング欠陥を
発生する発生秩序を生じる配向状態との混在状態(以下
「C1/C2混在配向」という)を示した顕微鏡写真(倍率:
10×10倍)のスケツチ図で、第6図はC2配向の顕微鏡写
真(倍率:10×10倍)のスケツチ図である。第2図〜第
6図は、何れも消光位(90゜クロスニコル下での最暗位
置)での状態である。
又、本発明のセルは、第2図〜第5図に示すC1配向ド
メイン20の占有面積は優勢的にも大きなものである。
この最に用いた液晶材料は、チツソ社製の強誘電性ス
メクチツク液晶である「CS−1014〕(商品名)を用い、
配向制御膜は日産化学工業社製の脂環式ポリイミド膜形
成液である「サンエバー150」(商品名)を用いた。ラ
ビング処理は、上下基板に互いに平行で、且つ同一処理
方向とし、上下基板の間隔を1.5μmの距離に設定した
(詳細は下述の実施例1に示す)。このセルにおける相
転移温度は、下記のとおりであった。
ISO;等方相 Ch;コレステリツク相 SmA;スメクチツクA相 SmC1;カイラルスメクチツクC相のうちC1配向状態の
相 SmC1/C2;カイラルスメクチツクC相のうちC1/C2混合
配向状態の相 SmC2;カイラルスメクチツクC相のうちC2配向状態の
相 Cry;結晶相 Iso−Ch相転移点,Ch−SmA相転移点,SmA−SmC1相転
移点及びSmC2−Cry、相転移点はスイス国メトラー社
製「FP800温度制御装置」(商品名)によって測定した
温度で、SmC1−SmC1/C2相転移点及びSmC1/C2−Sm
C2相転移点は降温下の顕微鏡観察で求められた温度で
ある。
第2図によれば、C1配向ドメイン20の消光位は(暗状
態を最暗に設定する90゜クロスニコルの位置)は、青色
状態であって、青色の明状態21と青色の暗状態22が存在
している。第6図によれば、C2配向ドメイン30の消光位
は黒色状態であって白色の明状態31と黒色の暗状態32が
存在している。又、第3図〜第5図によれば消光位が青
色のC1配向ドメイン20と消光位が黒色のC2配向ドメイン
30とが混在している状態を明らかにしている。また、C1
配向ドメイン20,C2配向ドメイン30及びC1/C2混在配向ド
メイン40のそれぞれの状態下で、50μsec,+30Vのパル
スを印加した後に、消光位での状態を観察したところ、
C1配向ドメイン20の消光位は青色で、C2配向ドメイン30
の消光位は黒色であった。さらに、C1配向ドメイン20,C
2配向ドメイン30及びC1/C2混在配向ドメイン40のそれぞ
れの状態下で、50μsec,−30Vの反転パルスを印加した
後に、消光位での状態を観察したところ、やはりC1配向
ドメイン20の消光位は青色で、C2配向ドメイン30の消光
位は黒色であった。
以上の実験から、カイラルスメクチツクC相の温度範
囲において、互いに相違した配向状態のC1配向ドメイン
20とC2配向ドメイン30の相を有し、降温下でC2配向ドメ
イン30が次第に成長し、優勢的にC1配向ドメイン20を無
視できる程大きくなることが判った(シール材周辺部を
除いた全ドメインに対して60%以上のC2配向ドメイン30
の占有面積を有している)。又、下述の実施例で明らか
にするが、C2配向ドメイン30をほとんど占める双安定性
配向状態の強誘電性スメクチツク液晶素子はC1配向ドメ
イン20下のもの及び従来の双安定性配向状態(上下基板
に平行で、且つ互いに反対方向のラビング処理を付与し
たことによって生じた配向状態)のものと比較して、外
部から衝撃力や歪みに対する強い安定度及び明状態と暗
状態の大きなコントラストを奏することが判明した。
第3図は51.3℃、第4図は51.2℃、第5図は51.1℃で
のC1/C2混在配向ドメイン40を示している。第3図〜第
5図は、C1/C2混在配向ドメイン40が降温下で次第にC2
配向ドメイン30のドメインを成長させていく態様を明ら
かにしている。第3図〜第5図によれば、C2配向30は、
降温下で第2図に示すC1配向ドメイン20と第3図〜第5
図に示すC1/C2混在配向ドメイン40を通して形成されて
いることが判る。
第7図(A)及び(B)は、ほとんどのドメインがC1
配向ドメインであって、このC1配向ドメイン内に生じた
ヘアピン欠陥とライトニング欠陥を模式的に示した平面
図と断面図である。第7図(C)及び(D)は、ほとん
どのドメインがC2配向ドメインであって、このC2配向ド
メイン内に生じたヘアピン欠陥とライトニング欠陥を模
式的に示した平面図と断面図である。
第7図中の71は、ラビング処理方向Aの配向処理が付
与された上下配向制御膜14aと14bとの間隔に形成された
複数のカイラルスメクチツクC相下の液晶分子72で組織
した異なる配向状態の分子層(分子層71として、C1配向
ドメイン73を組織する分子層と、C2配向ドメイン74を組
織する分子層とを有している)を表わしている。
第7図によれば、C1配向ドメイン73を形成する分子層
71は傾斜しており、上下配向制御膜14aと14bでの隣接付
近の傾斜角θは鋭角となっている。これに対し、C2配
向ドメイン74を形成する分子層71の傾斜角θは、上下
とも鈍角となっている。
ヘアピン欠陥76とライトニング欠陥75は、C1配向ドメ
イン73とC2配向ドメイン74との隣接部で発生し、第7図
(A)及び(B)に示す双安定性配向状態のC1配向ドメ
イン73内では、ラビング処理方向Aに従って前でヘアピ
ン欠陥76、後ろでライトニング欠陥75を発生している。
又、第7図(C)及び(D)に示す双安定性配向状態
のC2配向ドメイン74内では、ラビング処理方向Aに従っ
て前でライトニング欠陥75、後ろでヘアピン欠陥76を発
生している。
又、第2図に示すC1配向ドメイン20を生じているセル
に対して、歪みを印加した時に、その印加部にC2配向ド
メインが生じる(すなわち、C1配向ドメインとC2配向ド
メインとの隣接域を生じ、このため欠陥とライトニング
欠陥を発生する)。
第8図(A)は、C1配向下の配向状態における液晶分
子72と分子層71の拡大図で、第8図(B)はC1配向下の
配向状態のC−ダイレクタ(分子層71の法線に対して垂
直な仮想面への分子長軸80の写影)81を表わしている。
第9図(A)は、C2配向下の配向状態における液晶分子
72と分子層71の拡大図で、第9図(B)はC2配向下の配
向状態のC−ダイレクタを表わし、91は折れ曲がり構造
を生じた分子層71の隣接基板14aに対する回転方向を表
わし、92は液晶分子(分子長軸80)の隣接基板14aに対
する回転方向を表わしている。回転方向91と92とは、互
いに逆回転方向である。分子層71内の分子長軸80は、上
配向制御膜12aの界面から下配向制御膜12bの界面までの
間を円錐82の底面83(円形)に沿った位置を変化させて
配列している。尚、第8図(B)及び第9図(B)のそ
れぞれの左図と右図とは、それぞれ正(又は負)極性パ
ルスと負(又は正)極性パルス印加後の配向状態であ
る。
第10図は、上下配向制御膜14aと14bに平行であるが、
互いにラビング処理方向Aを反対方向とした時に生じた
配向状態を表わしている。第10図(A)に示す配向状態
は、カイラルスメクチツクC相下の液晶分子72と複数の
液晶分子72で組織した異なる配向状態の分子層71を有し
ている。第10図(A)に示す配向状態では、上配向制御
膜14aに付与したラビング処理の方向Aを基準にして、
図中右側の分子層71Rはその隣接付近で鋭角θに傾斜
し、図中左側の分子層71Lはその隣接付近で鈍角θ
傾斜している。下配向制御膜14bに付与したラビング処
理の方向Aを基準とした時は、分子層71Rはその隣接付
近で鈍角θに傾斜し、分子層71Lはその隣接付近で鋭
角θに傾斜している。すなわち、分子層71Rと71Lは、
ともに上下で分子層の傾斜角が鋭角θと鈍角θとな
っている。この配向状態のC−ダイレクタを第10図
(B)と(C)に示す。第10図(B)は、分子層71Lの
C−ダイレクタ81を示し、それぞれの左図と右図とは、
それぞれ正(又は負)極性パルスと負(又は正)極性パ
ルス印加後の配向状態に対応している。又、第10図
(C)は、分子層71RのC−ダイレクタ81を示し、それ
ぞれ左図と右図とは上述と同様のパルス印加後の配向状
態に対応している。
第7図に示すC1配向ドメイン73とC2配向ドメイン74と
での分子層71の傾斜角は、C1配向ドメイン73の場合で、
上下とも鋭角θであって、C2配向ドメイン74の場合
で、上下とも鈍角θである。
又、C1配向ドメイン73に対応するC−ダイレクタの配
向状態(第8図(B)に示す)とC2配向ドメイン74に対
応するC−ダイレクタの配向状態(第9図(B)に示
す)とは、互いに非対称であるのに対し、第10図(A)
に示す分子層71Rと71Lとに対応するそれぞれのC−ダイ
レクタの配向状態は、第10図(B)と(C)とで、互い
に光学的に等価で、その配列で対称となっている。
第11図はC1配向ドメインとC2配向ドメインとが混在し
た顕微鏡写真(倍率:10×5倍)のスケツチである。
第11図に示す配向状態では、C1配向ドメイン73とC2配
向ドメイン74とが混在し、それぞれの隣接域にライトニ
ング欠陥75とヘアピン欠陥73が発生している。第11図か
ら判るとおり、C2配向ドメイン74がC1配向ドメイン73に
よって囲まれて発生した時には、ラビング処理方法Aに
沿ってC1配向ドメイン73からC2配向ドメイン74に変化し
ていると、ライトニング欠陥75を発生し、さらにラビン
グ処理方法Aに沿ってC2配向ドメイン74からC1配向ドメ
イン73に変化していると、ヘアピン欠陥73が発生する。
本発明は、前述の第2図〜第6図で明らかにした様
に、液晶材料と配向制御膜を適正に選択すると降温過程
でC2配向ドメイン74をセル内のほとんどの面積(シール
材周辺部を除いた全ドメインに対して60%以上、好まし
くは80%以上の占有面積)に亘って生じさせることがで
きる。本発明の好ましい具体例では、C1配向ドメイン73
をセル周辺部(例えばセルをシーリングする時に使用す
るシール材の近傍)域に生じさせ、セル周辺部の内側に
C2配向ドメイン73を形成することができる。
第12図はビーズスペーサが存在している時の顕微鏡写
真(倍率:20×10倍)のスケツチ図である。
第12図は、ヘアピン欠陥76を境にして生じたC1配向ド
メイン73内とC2配向ドメイン74内とに、それぞれビーズ
スペーサ(平均粒径1.5μmのアルミナビーズやシリカ
ビーズ)の存在が原因となって発生したヘアピン欠陥12
1とライトニング欠陥122(結合した一対を形成)とを明
らかにしている。第12図から判るとおり、C1配向ドメイ
ン73内ではラビング処理方向Aに沿ってヘアピン欠陥12
1がライトニング欠陥122の前で発生する発生秩序をもっ
ている。又、その逆にC2配向ドメイン74内では、ラビン
グ処理方向Aに沿ってライトニング欠陥122がヘアピン
欠陥121の前で発生する発生秩序をもっている。
第13図は別のC1配向とC2配向の顕微鏡写真(倍率:20
×10倍)である。
第13図は、ライトニング欠陥75を境にして生じたC1配
向ドメイン73とC2配向ドメイン74を明らかにしている。
第13図によれば、上述の第12図に示す結合した一対のヘ
アピン欠陥122とライトニング欠陥122とが同様の発生秩
序を以って発生していることが判る。
第14図は別のC1配向とC2配向の顕微鏡写真(倍率:20
×10倍)である。
第14図は、C1配向ドメイン73に対して歪みを加えた時
に発生したC2配向ドメイン74を示している。この際に生
じたヘアピン欠陥141は、ラビング処理方向Aに沿って
ライトニング欠陥142の前で発生していることが判る。
第12図は、第11図に示す領域Iの拡大図で、第13図は
第11図に示す領域IIの拡大図である。尚、第12図のベー
スとなった顕微鏡観察時では、全面が暗状態にスイツチ
されており、90゜クロスニコルを消光位に設定した。
又、第12図〜第14図のベースとなった顕微鏡観察時で
は、何れも全面を暗状態にスイツチした後に、90゜クロ
スニコルを消光位から若干ずらしたために、全体が黒味
がかっていた。
又、本発明のセルでは、ヘアピン欠陥は、通常数μm
幅で発生し、ライトニング欠陥は1μm以下の線幅でジ
グザグ状に発生している。
又、本発明者らの実験によれば、第14図に示す様にC1
配向ドメイン73に対して歪みを印加すると、C1配向ドメ
イン73内にC2配向ドメイン74を生じ、このC2配向ドメイ
ン74は長期間に亘って安定に存在していた。これに対
し、C2配向ドメイン74に対して歪みを印加した場合で
は、C2配向ドメイ74内にC1配向73を生じたが、このC1配
向ドメイン73は即座に消滅してしまうことが判った。こ
の点から見て、C2配向ドメイン74の方がC1配向ドメイン
73より安定に存在し、又、外部から衝撃を受けても、即
座にもとの配向状態に戻る復帰力を持っていることが判
った。これに対して、C1配向ドメイン73は外部から衝撃
に対してもろい性質をもっていることが判った。又、第
11図によれば、C2配向ドメイン74の消光位での透過光量
は、C1配向ドメイン73の消光位での透過光量に較べて非
常に小さい値であることが判った。
本発明は、ライトニング欠陥部が、ラビング処理や斜
方蒸着処理などの一軸性配向処理の方向に沿って、ヘア
ピン欠陥のうしろに発生するC2配向ドメインをセル内の
ほとんどの領域内に生じさせる様に制御することができ
る。本発明で用いる強誘電性スメクチツク液晶として
は、特に制限されるものではないが、本発明者らの実験
によれば、配向制御膜との間に相関作用があり、強誘電
性スメクチツク液晶と配向制御膜との好適な組合わせと
して選択することによって用いられる。特に、本発明の
好ましい具体例では、降温過程においてコレステリツク
相とスメクチツクA相を生じる温度範囲をもつカイラル
スメクチツクC液晶を用いることができる。
本発明の具体例ではラビング処理や斜方蒸着処理の方
向に従ってヘアピン欠陥部がライトニング欠陥部の前で
発生する発生秩序性をもつC1配向状態を生じる温度範囲
がライトニング欠陥部がヘアピン欠陥部の前で発生する
発生秩序をもつC2配向状態を生じる温度範囲の1/5倍以
下、好ましくは1/10倍以下、特に1/20倍以下となってい
るのがよい。又、降温下でかかるC1配向状態を生じる温
度の下限が30℃以上、40℃以上であるのがよい。
第15図は、強誘電性液晶の動作説明のために、セルの
例を模式的に描いたものである。151Aと151BはIn2O2,Sn
O2あるいはITO等の薄膜からなる透明電極で被覆された
基板(ガラス板)であり、その間に液晶分子層152がガ
ラス面に垂直になるよう配向したSmC(カイラルスメ
クチツクC)相又はSmH(カイラルスメクチツクH)
相の液晶が封入されている。太線で示した線153が液晶
分子を表わしており、この液晶分子153はその分子に直
交した方向に双極子モーメント(P⊥)154を有してい
る。基板151Aと151B上の電極間に一定の閾値以上の電圧
を印加すると、液晶分子153のらせん構造がほどけ、双
極子モーメント(P⊥)154がすべて電界方向に向くよ
う、液晶分子153は配向方向を変えることができる。液
晶分子153は、細長い形状を有しており、その長軸方向
と短軸方向で屈折率異方性を示し、従って例えばガラス
面の上下に互いにクロスニコルの偏光子を置けば、電圧
印加極性によって光学特性が変わる液晶光学変調素子と
なることは容易に理解される。
本発明の液晶素子で用いる双安定性配向状態の表面安
定型強誘電性液晶セルは、その厚さを充分に薄く(例え
ば、0.1μm〜3μm)することができる。このように
液晶層が薄くなるにしたがい、第16図に示すように電界
を印加していない状態でも液晶分子のらせん構造がほど
け、非らせん構造となり、その双極子モーメントPまた
はP′は上向き(164A)又は下向き(164B)のどちから
の状態をとる。このようなセルに、第16図に示す如く一
定の閾値以上の極性の異なる電界Ea又はEbを電圧印加手
段161Aと161Bにより付与すると、双極子モーメントは、
電界Ea又はEbの電界ベクトルに対応して上向き164A又は
下向き164Bと向きを変え、それに応じて液晶分子は、第
1の安定状態163Aあるいは第2の安定状態163Bの何れか
一方に配向する。
この強誘電性液晶セルによって得られる効果は、この
第1に、応答速度が極めて速いことであり、第2に液晶
分子の配向が双安定性を有することである。第2の点
を、例えば第16図によって更に説明すると、電界Eaを印
加すると液晶分子は第1の安定状態163Aに配向するが、
この状態は電界を切っても安定である。又、逆向きの電
界Eb印加すると、液晶分子は第2の安定状態163bに配向
してその分子の向きを変えるが、やはり電界を切っても
この状態に留っている。又、与える電界Eaが一定の閾値
を越えない限、それぞれの配向状態にやはり維持されて
いる。
以下、本発明を実施例に従って説明する。
実施例1 以下ようにして第1図(B)に示す構成を有する強誘
電性液晶素子を作成した。まず、スパツタリングによ
り、上基板11aおよび下基板11b上にそれぞれ配向制御膜
14a,14bの下地層となる透明電極12a,12bを生成した。こ
の透明電極12a,12bはITO電極として、その膜厚は800Å
とした。ITO電極12a,12bの平均表面粗さSは、走査型ト
ンネル顕微鏡(STM,Nanoscope II,東陽テクニカ社販
売)により測定し、その標準偏差値Sを計算したとこ
ろ、S=36.3Åであった。
このITO電極12a,12b上に配向制御膜14a,14bとして膜
厚d=100Åのポリイミド樹脂を設けた。このポリイミ
ド膜は、脂環式系ポリイミド膜形成液である日産化学工
業社製の「サンエバー150」(商品名)のN−メチルピ
ロリドン/n−ブチルセロソルブ=3/1(重量比)の3%
溶液を回転数2000rpmのスピナーで30秒間塗布した後、
約1時間,250℃で加熱焼成することによって形成した。
続いて、このポリイミド塗膜にアセテート触毛布による
一方向のラビング処理を行った。その後、イソプロピル
アルコールでガラス板を洗浄し、120℃で20分の乾燥処
理を施した。その後、平均粒径約1.5μmのアルミナビ
ーズを一方のガラス板上に散布した後、それぞれのラビ
ング処理軸が互いに平行で、且つその処理方向が同一方
向となる様に、2枚のガラス板を重ね合わせてセルを作
成した(この際、上下のITO電極が互いに交差する様に
配置した)。この場合、S/d=0.363となる。
このセル内にチツソ(株)社製の強誘電性スメクチツ
ク液晶である「CS−1014」(商品名)を等方相下で真空
注入してから、等方相から0.5℃/hで30℃まで徐冷する
ことによって配向させることができた。
「CS−1014」を用いた本実施例のセルでの相変化は、
下記のとおりであった。
このセルは、温度が約50℃〜−20℃でC2配向ドメイン
が安定に存在し、しかも欠陥のない良好な配向に基づく
双安定性を示した。
以後の実験は25℃の温度で行った。
上述の液晶セルを一対の90℃クロスニコル偏光子の間
に挟み込んでから、第19図に示す駆動波形によるマルチ
プレクシング駆動によって、第18図(A)に示す様に、
表示パネル181に黒表示部183の周囲を白表示部181とし
た表示内容で表示した後、全画面を白表示に切り換える
様に表示制御を行ったところ、第18図(B)に示す様な
前表示内容の焼付け表示部185はなく、全画面が均一な
白表示となっており、良好な表示品位が保たれていた。
尚、この時の駆動条件及び表示パネルは、下記のとお
りであった。
使用した駆動波形:第19図 走査線数:1120本 データ線数:1280本 走査選択期間:150μsec 電圧V1,V2:20ボルト 電圧V3,V4:10ボルト 黒表示部183を表示するための 走査線数:320本 データ線数:550本 実施例2〜6 表1に示した配向制御膜及び液晶材料を用いた他は実
施例1と同様にしてセルを得た。
それぞれに対して実施例1と同様の試験を行ったとこ
ろ、同様に全画面に対して白表示切り換えを行った後
に、前表示内容の焼付け表示は発生しなかった。
次に、本実施例セルの相転移温度を測定したところ、
下記表2のとおりであった。
表2によれば、SmC1/C2相転移点およびSmC1/C2−
SmC2相転移点は、セル固有の値を示し、セル毎で相違
して現われることが判る。
実施例7 実施例1のセルに代えてITO電極12a,12bの膜厚を2650
Åとし、配向制御膜14a,14bであるポリイミド樹脂を600
Åとした以外は実施例1と同様の方法でセルを作成し、
実施例1と同様に液晶を注入して実施例7の液晶素子を
作成した。
このときITO電極12a,12bの平均表面粗さSは=72.1Å
であり、S/d=0.120となった。また、この液晶素子につ
いて室温での配向状態を観察したところ、実施例1のセ
ルと同様に欠陥のない良好な配向が観察された。
次に、このセルを実施例1と同様の方法で表示駆動を
行なったところ、全画面に対して白表示切り換えを行な
った後で、前表示内容の焼付け表示は確認されなかっ
た。
実施例8〜9 実施例1のセルに代えて、配向制御膜14a,14bの膜を
それぞれ200Å(実施例8)と600Å(実施例9)とした
外は、実施例1と同様の方法でセルを作成し、その後
で、実施例1と同様の表示駆動を行なったところ、同様
の結果が得られた。この際のS/dは実施例8で0.181、実
施例9で0.06であった。
実施例10〜11 実施例7のセルに代えた、配向制御膜14a,14bの膜を
それぞれ200Å(実施例10)と500Å(実施例11)とした
外は、実施例7と同様の方法でセルを作成し、その後
で、実施例1と同様の表示駆動を行なったところ、同様
の結果が得られた。この際のS/dは実施例10で0.363、実
施例11で0.144であった。
実施例12 実施例1のセルに代えてITO電極12a,12bの膜厚を2550
Åとした外は、実施例1と同様の方法でセルを作成し、
実施例1と同様に液晶を注入して液晶素子を作成した。
この時のITO電極12a,12bの平均表面粗さSは=68.2Åで
あり、S/d=0.682(d=100Å)となった。
次に、このセルを実施例1と同様の方法で表示駆動を
行なったところ、全画面に対して白表示切り換えを行な
った後で、前表示内容の焼付け表示は確認されなかっ
た。
実施例13 実施例1のセルに代えてITO電極12a,12bの膜厚を2250
Åとした外は、実施例1と同様の方法でセルを作成し、
実施例1と同様に液晶を注入して液晶素子を作成した。
この時のITO電極12a,12bの平均表面粗さSはS=62.3Å
であり、S/d=0.623(d=100Å)となった。
次に、このセルを実施例1と同様の方法で表示駆動を
行なったところ、全画面に対して白表示切り換えを行な
った後で、前表示内容の焼付け表示は確認されなかっ
た。
実施例14 実施例1のセルに代えてITO電極12a,12bの膜厚を2100
Åとした外は、実施例1と同様の方法でセルを成し、実
施例1と同様に液晶を注入して液晶素子を作成した。こ
の時のITO電極12a,12bの平均表面粗さSは=54.5Åであ
り、S/d=0.545(d=100Å)となった。
次に、このセルを実施例1と同様の方法で表示駆動を
行なったところ、全画面に対して白表示切り換えを行な
った後で、前表示内容の焼付け表示は確認されなかっ
た。
実施例15 実施例1のセルに代えてITO電極12a,12bの膜厚を1450
Åとした外は、実施例1と同様の方法でセルを作成し、
実施例1と同様に液晶を注入して液晶素子を作成した。
この時のITO電極12a,12bの平均表面粗さSはS=50.6Å
であり、S/d=0.506(d=100Å)となった。
次に、このセルを実施例1と同様の方法で表示駆動を
行なったところ、全画面に対して白表示切り換えを行な
った後で、前表示内容の焼付け表示は確認されなかっ
た。
比較例1 実施例1のセルに代えてITO電極12a,12bの膜厚を2650
Åとした以外は実施例1と同様の方法でセルを作成し、
実施例1と同様に液晶を注入して比較例の液晶素子を作
成した。このときITO電極12a,12bの平均表面粗さSはS
=72.1Åであり、S/d=0.721(d=100Å)となった。
また、この液晶素子について室温での配向状態を観察
したところ、欠陥が多く良好な配向状態は得られなかっ
た。
次に、実施例1と同様の方法で表示駆動を行なったと
ころ、第18図(A)に示す表示内容を表示した後、全画
面に対して白表示の切り換えを行なったところ第18図
(B)に示す様に「表記切り換え後の白表示部」184の
内に、古い表示内容が「表示切り換え後の前表示内容の
焼付け表示部」185としてうすい灰色で表示され、数時
間経過した後であっても、そのうすい灰色表示が消去さ
れずに残って表示されていた。
比較例2〜3 実施例7のセルに代えて、配向制御膜14a,14bの膜を
それぞれ90Å(比較例2)と80Å(比較例3)とした外
は、実施例7と同様の方法でセルを作成し、その後で、
実施例1と同様の表示駆動を行なったところ、比較例1
と同様の結果が得られた。この際のS/dは比較例2で0.8
01、比較例3で0.912であった。
比較例4〜5 実施例12のセルに代えて、配向制御膜14a,14bの膜を
それぞれ90Å(比較例4)と80Å(比較例5)とした外
は、実施例12と同様の方法でセルを作成し、その後で、
実施例1と同様の表示駆動を行なったところ、比較例1
と同様の結果が得られた。この際のS/dは比較例4で0.7
58、比較例5で0.853であった。
比較例6 実施例13のセルに代えて、配向制御膜14a,14bの膜を8
0Å(比較例6)とした外は、実施例13と同様の方法で
セルを作成し、その後で、実施例1と同様の表示駆動を
行なったところ、比較例1と同様の結果が得られた。こ
の際のS/dは0.779であった。
比較例7〜11 表3に示した配向制御膜及び液晶材料を用いた他は実
施例1と全く同様にしてセルを作成した。
次に、本比較例セルの相移転温度を測定したところ、
下記表4のとおりであった。
表4から判るとおり、比較例セルは何れもSmC2を生
じる温度範囲をもっていなかった。
次に、これらの比較例7〜11のセルに対して、実施例
1と同様の表示駆動を行なったところ、全画面に対して
白表示の切り換えを行なった後で、前表示内容の焼付け
表示が確認された。
〔発明の効果〕
以上、詳述した様に、本発明は実際の表示駆動の時に
問題となっていた前表示内容の焼付け表示を解消するこ
とができた。かかる前表示内容の焼付け表示の解消は、
改善された双安定性配向状態に強く依存していることが
判明したが、本発明では、かかる改善された双安定性配
向状態は、0≦S/d<0.70とした時に、C1配向からC2配
向への降温による配向変化がスムーズに実現されること
に依存していることが判明し、本発明に到達したもの
で、かかる実現による効果=すなわち、表示品位の高い
表示を可能とした=は、極めて顕著なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)及び(B)は、本発明の液晶素子の断面図
である。第2図〜第6図は、強誘電性液晶配向状態の温
度依存性を示す顕微鏡写真のスケツチ図である。第7図
(A)は、C1配向ドメインとC2配向ドメインを模式的に
示す平面図で、第7図(B)は、その断面図である。第
7図(C)は、別のC1配向ドメインとC2配向ドメインを
模式的に示す平面図で、第7図(D)はその断面図であ
る。第8図(A)は、C1配向の模式図で、第8図(B)
はそのC−ダイレクタを示す写影図である。第9図
(A)は、C2配向の模式図で、第9図(B)はそのC−
ダイレクタを示す写影図である。第10図(A)は、従来
の配向状態を示す模式図で、第10図(B)及び(C)は
そのC−ダイレクタを示す写影図である。第11図〜第14
図は、C1配向ドメインとC2配向ドメインを示す顕微鏡写
真のスケツチ図である。第15図は、強誘電性液晶素子の
動作を模式的に示す斜視図である。第16図は、本発明で
用いた双安定性配向状態の表面安定型強誘電性液晶素子
の動作を模式的に示す斜視図である。第17図は、下地層
の平均表面粗さおよび高分子有機膜の膜厚と配向の関係
を示すグラフである。第18図(A)及び(B)は表示パ
ネルの平面図である。第19図は、本発明で用いた駆動波
形例の波形図である。
フロントページの続き (72)発明者 榎本 隆 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−158415(JP,A) 特開 昭62−160424(JP,A)

Claims (34)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方に一軸性配向処理が施され
    た配向制御膜を下地層を介して設けた一対の基板と、該
    一対の基板間に配置されたカイラルスメクチック液晶を
    有する液晶素子であって、 前記カイラルスメクチック液晶が、カイラルスメクチッ
    クC相を有し、該相内で高温側と低温側とで異なる双安
    定性配向状態を生じる液晶であって、前記高温側の双安
    定性配向状態から降温することによって生じた低温側で
    の双安定性配向状態の液晶であると共に、 前記配向制限膜の膜厚をdが、0<d≦600Åであり、 前記下地層の平均表面粗さをSとしたとき、0≦S/d<
    0.7の関係を満たすことを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】前記低温側での配向状態が降温下で30℃以
    上の温度で発現する配向状態である請求項1記載の液晶
    素子。
  3. 【請求項3】前記低温側での配向状態が降温下で40℃以
    上の温度で発現する配向状態である請求項1記載の液晶
    素子。
  4. 【請求項4】前記配向制御膜が、ポリイミド膜、ポリア
    ミド膜、又はポリエステル膜で形成された膜である請求
    項1記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】前記配向制御膜が、ポリイミド膜で形成さ
    れた膜である請求項1記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】前記配向制御層膜が珪素酸化物の斜方蒸着
    によって形成された膜である請求項1記載の液晶素子。
  7. 【請求項7】前記下地層が珪素酸化物、チタン酸化物、
    又はタンタル酸化物を含有した膜である請求項1記載の
    液晶素子。
  8. 【請求項8】前記配向制御膜が一対の基板の両方に設け
    られ、各基板の配向制御膜に互いに平行に一軸配向処理
    が施され、且つ該平行な一軸配向処理の向きが同一方向
    である請求項1記載の液晶素子。
  9. 【請求項9】前記下地層の平均表面粗さSが100Å以下
    である請求項1記載の液晶素子。
  10. 【請求項10】少なくとも一方に一軸性配向処理が施さ
    れた配向制御膜を下地層を介して設けた一対の基板と、
    該一対の基板間に配置されたカイラルスメクチック液晶
    を有する液晶素子であって、 前記カイラルスメクチック液晶が、結合した一対のヘア
    ピン欠陥及びライトニング欠陥を発生する傾向の2つの
    異なる状態を生じ得る液晶であって、前記一軸配向処理
    の方向に従って前でライトニング欠陥、後方でヘアピン
    欠陥を発生する発生秩序を示す配向状態を有する液晶で
    あると共に、 前記配向制御膜の膜厚をdが、0<d≦600Åであり、 前記下地層の平均表面粗さをSとしたとき、0≦S/d<
    0.7の関係を満たすことを特徴とする液晶素子。
  11. 【請求項11】前記配向制御膜が、ポリイミド膜、ポリ
    アミド膜、又はポリエステル膜で形成された膜である請
    求項10記載の液晶素子。
  12. 【請求項12】前記配向制御膜が、ポリイミド膜で形成
    された膜である請求項10記載の液晶素子。
  13. 【請求項13】前記配向制御層膜が珪素酸化物の斜方蒸
    着によって形成された膜である請求項10記載の液晶素
    子。
  14. 【請求項14】前記下地層が珪素酸化物、チタン酸化
    物、又はタンタル酸化物を含有した膜である請求項10記
    載の液晶素子。
  15. 【請求項15】前記配向制御膜が一対の基板の両方に設
    けられ、各基板の配向制御膜に互いに平行に一軸配向処
    理が施され、且つ該平行な一軸配向処理の向きが同一方
    向である請求項10記載の液晶素子。
  16. 【請求項16】前記下地層の平均表面粗さSが100Å以
    下である請求項10記載の液晶素子。
  17. 【請求項17】前記発生秩序を示す配向状態のドメイン
    占有面積が、他の発生秩序を示す配向状態のドメインを
    無視できる大きさを有している請求項10記載の液晶素
    子。
  18. 【請求項18】前記発生秩序を示す配向状態をドメイン
    が、他の発生秩序を示す配向状態を示す配向状態のドメ
    インを無視できる大きさで降温下で成長させることによ
    って生じた占有面積を有している請求項10記載の液晶素
    子。
  19. 【請求項19】前記降温下で、前記他の発生秩序を示す
    配向状態のドメインが無視できない大きさの占有面積を
    生じる温度範囲が、該ドメインを無視できる大きさの占
    有面積を生じる温度範囲に対して1/5以下の幅の温度範
    囲である請求項18記載の液晶素子。
  20. 【請求項20】前記降温下で、前記他の発生秩序を示す
    配向状態のドメインが無視できない大きさの占有面積を
    生じる温度範囲が、該ドメインを無視できる大きさの占
    有面積を生じる温度範囲に対して1/10以下の幅の温度範
    囲である請求項18記載の液晶素子。
  21. 【請求項21】前記降温下で、前記他の発生秩序を示す
    配向状態のドメインが無視できない大きさの占有面積を
    生じる温度範囲が、該ドメインを無視できる大きさの占
    有面積を生じる温度範囲に対して1/20以下の幅の温度範
    囲である請求項18記載の液晶素子。
  22. 【請求項22】前記降温下で、前記他の発生秩序を示す
    配向状態のドメインが無視できない大きさの占有面積を
    生じる下限温度が、30℃以上である請求項18記載の液晶
    素子。
  23. 【請求項23】前記降温下で、前記他の発生秩序を示す
    配向状態のドメインが無視できない大きさの占有面積を
    生じる下限温度が、40℃以上である請求項18記載の液晶
    素子。
  24. 【請求項24】前記一対の基板が、シール材を介して対
    向配置されており、前記他の発生秩序を示す配向状態の
    ドメインが該シール材の近傍域に生じ、前記発生秩序を
    示す配向状態のドメインが該シール材の近傍域より内側
    に生じている請求項17記載の液晶素子。
  25. 【請求項25】前記発生秩序を示す配向状態のドメイン
    の消光位における2つの状態が光学的に等価である請求
    項10記載の液晶素子。
  26. 【請求項26】前記下地層の平均表面粗さSが100Å以
    下である請求項10記載の液晶素子。
  27. 【請求項27】少なくとも一方に一軸性配向処理が施さ
    れた配向制御膜を下地層を介して設けた一対の基板と、
    該一対の基板間に配置されたカイラルスメクチック液晶
    を有する液晶素子であって、 前記配向制御膜の膜厚をdが、0<d≦600Åであり、 前記下地層の平均表面粗さをSとしたとき、0≦S/d<
    0.7の関係を満たし、 前記カイラルスメクチック液晶は、複数の液晶分子で組
    織した複数の層によって形成された層構造を有し、固有
    するらせん配列構造の形成が抑制された配列構造を有す
    るカイラルスメクチック液晶であって、該層構造がライ
    トニング欠陥とヘアピン欠陥とを生じさせ得る折れ曲が
    り構造を有し、一軸配向処理の前進方向から見て、前で
    ライトニング欠陥、後ろでヘアピン欠陥を生じ、該前の
    ライトニング欠陥と後のヘアピン欠陥とで囲まれた領域
    の層構造が主領域となる温度範囲、及び一軸配向処理の
    前進方向から見て、前でヘアピン欠陥、後ろでライトニ
    ング欠陥を生じ、該前のヘアピン欠陥と後のライトニン
    グ欠陥とで囲まれた領域の層構造が主領域となる温度範
    囲を生じることを特徴とする、液晶素子。
  28. 【請求項28】前記カイラルスメクチック液晶が、カイ
    ラルスメクチック相の温度範囲より高温側にスメクチッ
    クA相を生じる温度範囲を有し、該スメクチックA相を
    生じる温度範囲を経由してカイラルスメクチックC相ま
    で冷却させてなる請求項27記載の液晶素子。
  29. 【請求項29】前記カイラルスメクチック液晶が、カイ
    ラルスメクチック相の温度範囲より高温側にコレステリ
    ック相を生じる温度範囲及びスメクチックA相を生じる
    温度範囲を有し、該コレステリック相を生じる温度範囲
    及びスメクチックA相を生じる温度範囲を経由してカイ
    ラルスメクチック相まで冷却させてなる請求項27記載の
    液晶素子。
  30. 【請求項30】前記カイラルスメクチック液晶が、カイ
    ラルスメクチックC相を有し、該相の高温側と低温側と
    に、夫々消光位が互いに異なる2つの配向状態を生じる
    液晶であり、該高温側での消光位を生じる配向状態を経
    由して該低温側での消光位を生じる配向状態を生じさせ
    てなる液晶である請求項27記載の液晶素子。
  31. 【請求項31】少なくとも一方に一軸性配向処理が施さ
    れた配向制御膜を下地層を介して設けた一対の基板と、
    該一対の基板間に配置されたカイラルスメクチック液晶
    を有する液晶素子であって、 前記配向制御膜の膜厚をdが、0<d≦600Åであり、 前記下地層の平均表面粗さをSとしたとき、0≦S/d<
    0.7の関係を満たし、 前記カイラルスメクチック液晶は、複数の液晶分子で組
    織した複数の層によって形成された層構造を有し、固有
    するらせん配列構造の形成が抑制された配列構造を有
    し、該折れ曲がり構造の隣接基板に対する回転方向が、
    該隣接基板に隣接する液晶分子の浮き上り回転方向と互
    いに逆回転方向の関係にある領域を主領域としたことを
    特徴とする液晶素子。
  32. 【請求項32】前記カイラルスメクチック液晶がカイラ
    ルスメクチック相の温度範囲より高温側にスメクチック
    A相を生じる温度範囲を有し、該スメクチックA相を生
    じる温度範囲を経由してカイラルスメクチックC相まで
    冷却させてなる請求項31記載の液晶素子。
  33. 【請求項33】前記カイラルスメクチック液晶が、カイ
    ラルスメクチック相の温度範囲より高温側にコレステリ
    ック相を生じる温度範囲及びスメクチックA相を生じる
    温度範囲を有し、該コレステリック相を生じる温度範囲
    及びスメクチックA相を生じる温度範囲を経由してカイ
    ラルスメクチック相まで冷却させてなる請求項31記載の
    液晶素子。
  34. 【請求項34】前記カイラルスメクチック液晶が、カイ
    ラルスメクチックC相を有し、該相の高温側と低温側と
    に、夫々消光位が互いに異なる2つの配列状態を生じる
    液晶であり、該高温側での消光位を生じる配向状態を経
    由して該低温側での消光位を生じる配向状態を生じさせ
    てなる液晶である請求項31記載の液晶素子。
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