JP2613892B2 - 動物細胞の培養方法及び培養装置 - Google Patents

動物細胞の培養方法及び培養装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は細胞の増殖に必要な酸素の供給及び装置に係
り、特に機械撹拌式培養槽にて培養するのに好適な動物
細胞の培養方法及び培養装置に関する。
〔従来の技術〕
機械撹拌式培養槽で動物細胞を増殖させるとき培養槽
内上部に気相部に存在する酸素が液面を介して液相部に
溶解することで必要な酸素は供給されている。このとき
の酸素の移動速度(気相から液相への溶解速度)は培養
液容量当りの気液界面積及び気液界面の更新に係わる撹
拌機(羽根)の回転数の影響を強く受ける。ところが、
回転数の増加はせん断力の増大に繋がり、細胞が損傷を
受けるに至る為、限界がある。また動物細胞培養用の培
養液に血清を使用する為、通気撹拌を行うと発泡が激し
く槽内容積に対する液量比を小さくせねばならない。更
には、培養液が泡となつて溢流して培養の継続が不能に
なつてしまう。その為、微生物培養のように大量通気,
強撹拌によつて酸素の移動速度(気相から液相への溶解
速度)を上げることができないことから、改良が試みら
れてきた。
改良の試みとして、酸素含有ガスを培養液に通気し
て、気液界面積を増加させようとするもの、液面を撹
拌し(乱し)、気液界面の更新を促すものとがある。
については文献1:Ann.New York Acad.Sci.Vol413Pp.361
〜364(1983)、については文献2:Biotechnology and
Bioengineering,Vol XXXVIII,Pp.122〜125(1985)に
おいて述べられている。しかし、未だ満足すべき装置及
び方法は開発されていない。
従来技術には上記したような欠点があり、各所でその
改良が試みられているのが現状であるが、問題点を以下
に詳述する。
通気撹拌方式 培養液に酸素含有ガスを吹き込み(通気)、更に撹拌
羽根にて液を撹拌すると共に吹き込みガスを液内に分散
させることを目的としている。この方法は、ガスが液中
で小気泡を形成し、滞留する為気液界面面積が増加し、
酸素移動速度が速くなる効果を有する。しかし、動物細
胞培養に使用する培養液には血清など蛋白質成分が多
く、極めて発泡し易い性質をもつている。また発泡は細
胞膜の分解を引き起す(文献1)といわれており、細胞
増殖を妨げる原因となる。これらの対策として、消泡剤
(界面活性剤)の添加が考えられるが、微生物細胞と異
なり、動物細胞は界面活性剤に対する抵抗性が弱く、増
殖阻害を起す為、使用できない。毒性が弱く、かつ有効
なものは見出されていない。
これに対して発泡による損傷から細胞を保護するため
にアルギン酸ソーダなどの半透性のカプセルに細胞を包
括し、該カプセルを培地内に浮遊させ、案内に酸素含有
ガスを吹き込んで発泡状態で培養する発明がある。しか
し、この方式ではカプセルを無菌的に調製できる装置が
必要であり、培養システムが複雑となる。また、発泡に
伴い排気系に培地が入り込むため、除菌フイルターの目
詰り防止や配管の清掃施策が要求される。
液面撹拌方式 この方法は撹拌軸に液面を乱す為の羽根を設け液面を
撹乱し、気液接触面積を増加させようとするものである
(文献2)。surface aeratorと呼ばれる羽根は低速回
転ではそれなりの効果を有するが、高酸素移動速度を得
る為に高速回転させると泡立て機と同様の作用となる。
そこで気相部に酸素ガスを注入することで酸素移動速度
を向上させる試みがなされている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
以上のように、従来技術では操作条件と培養液の発泡
性との係わりについての配慮が不十分であり、高密度培
養実現に対する大きな制限因子の1つになつている。
本発明の目的は、培養液を発泡させることなく、効率
よく酸素を液中に供給できる動物細胞の培養方法及び培
養装置を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的は、機械撹拌式の培養槽において液面上部の
気相空間に単一もしくは複数個の気体吹き込みノズルを
液面に向けて設け、該ノズルから酸素含有ガスを連続的
に吐出して液面に逆円錐状の凹みを形成することで達成
できる。
本発明は、動物細胞を機械撹拌式の培養槽にて培養す
るに当たり、培養液の全体的な機械撹拌を液面の乱れや
ボルテックス形成を押さえながらゆったりと行い、一
方、培養液の上面からノズルによって酸素含有ガスを前
記培養液の静止した状態での液面に対して垂直方向に連
続的に吹き付け、液面に安定した凹みを形成させ、この
酸素含有ガスの流れが作る液面の凹みの底部から上部に
向かう培養液の流れを形成して酸素ガスを培養液に溶解
させることにより、前述した問題を解消した動物細胞の
培養方法および装置を提供するものである。
以下、本発明を図を用いてさらに詳細に説明する。
第1図において、培養槽1は、撹拌羽根3によつて培
養液を撹拌する機械撹拌式槽である。撹拌羽根3は、撹
拌モーター4の駆動軸に取り付けられ、該撹拌モーター
4により回転する。なお、撹拌羽根3の回転は、マグネ
ツト方式でも良く、特に限定するものでない。槽内には
液面に酸素含有ガスを吐出するガス吹き込み管2,pHセン
サー6,溶存酸素センサー7及び温度センサー8が設置さ
れている。また、恒温水槽5は、培養槽1を加温するも
のである。給気口11及び排気口12に取り付けた除菌フイ
ルター13は0.2〜0.45μmの孔径であり、酸素含有ガス
中の雑菌を除くと同時に排気口12からの雑菌進入を防ぐ
ものである。なお、排気に伴う培養液の水の蒸散を抑え
るため、培養温度の飽和蒸気圧に近い値で蒸気圧を調整
した酸素含有ガスを培養槽1に供給する。このため、フ
イルター材質は結露になる目づまりの少ないテフロンな
どの疎水性のものを使用する。
第2図は、ガス吹き込み管2の一例である。ガス吹き
込み管2は、緩衝管2a,吹き込みノズル2b及び送気管2c
により構成される。酸素含有ガスは、送気管2cを通して
緩衝管2aに入り、緩衝管2aの下部に取り付けられた各々
の吹き込みノズル2bから均圧にて連続的に吐出される。
吹き込みノズル2bのガス吐出面は、液面に向けられる
が、好適には静止液面に平行とすると良い。また、吹き
込みノズル2bの穴径及びガス吐出間の液面までの距離
は、吐出したる酸素含有ガスにより液面に逆円錐状の凹
みを形成できる条件にあれば良い。ノズル穴径1mmの場
合には吐出したる酸素含有ガスの液面での垂直方向に対
する線速度を5m/s以上となるようにすれば、液面に逆円
錐状の凹みを形成できる。吹き込みノズル2bの数は、特
に限定するものではなく、最大の酸素移動速度の得られ
る数に設定すると良い。複数個の吹き込みノズル2bを設
置する場合、液面の凹みが重ならないように平面的に位
置を決めると良い。
ところで、液表面の乱れが多い場合、吹き込みノズル
2bから吐出した酸素含有ガスにより、液内にガスを巻き
込んで発泡を引き起こす。
また、液表面に深いボルテツクスが形成される場合、
吹き込みノズル2bの液面までの距離が遠くなり液面に凹
みが形成されない。したがつて、好適な液面は、乱れの
少ない平らなものが良い。
液面の乱れやボルテツクスの形成は、主に撹拌羽根3
の形状に左右されるので、適切なものを選定する必要が
ある。第1図に示した中央部の抜けた矩形の撹拌羽根3
は、液面の乱れやボルテツクスの形成を抑えることので
きる一例である。
以下、装置に係わる動物細胞の培養操作について第1
図を用いて述べる。
動物細胞は、固体表面に付着生育するものと、浮遊状
態で増殖できるものに大別できる。前者の場合、マイク
ロキヤリアー法、即ち、デキストランなどのマイクロビ
ーズに細胞を付着させて、該ビーズを浮遊させること
で、浮遊状態で培養できる。したがつて、浮遊培養に係
わる本発明は、上記両種の動物細胞に対して使用でき
る。
培地は、培地供給口9から培養槽1に無菌的に仕込ま
れる。培地は、ガス吹き込み管2を設置するのに必要な
最少限の空間(液面からノズル吐出面までの距離も含め
る)を残して仕込むことができるが、好適な仕込み率は
40〜70%である。培養は、培地供給口9から種細胞が接
種されて開始される。培養液の温度は、温度センサー8
の信号により温度制御計が働き恒温水槽5に送られる温
水の温度及び流量が調節されて、所要範囲に制御され
る。培養初期では5%程度の炭酸ガスを含む酸素含有ガ
スが、液面に凹みを形成しない流量でガス吹き込み管2
から培養槽1の気相部に送られる。増殖に必要な酸素
は、該気相部から液面を介して供給される。細胞濃度が
低密度では、溶存酸素濃度は、増殖の制限因子となるレ
ベルにない。この時の撹拌羽根3の回転数は、細胞を充
分に均一分散できる値があれば良い。そして細胞の増殖
に伴い酸素消費量が増加し溶存酸素濃度が増殖の制限因
子となるレベルにまで低下した時から酸素吹き込みガス
により液面での凹み形成を開始する。即ち、酸素センサ
ー7からの信号を受けた溶存酸素制御計により酸素含有
ガスの吹き込み量の調整弁を開き、液表面での垂直方向
での線速度が5m/s以上となるように吹き込み量を増加さ
せる。増加のタイミングは、10〜30分間毎に溶存酸素濃
度のレベルを判定して該制限因子となるレベル以下であ
る時とする。また、高レベルの溶存酸素濃度は却つて増
殖を阻害する。したがつて、溶存酸素濃度を、増殖の制
限因子となる値及び増殖阻害を起こす値の間にあるよう
に、吹き込み量を制御することになる。上記範囲内で溶
存酸素濃度を上記操作で制御すると、細胞濃度の増加と
共に酸素含有ガスの吹き込み量は徐々に増加する。とこ
ろが、ガス吹き込み管に吹き込んだガス量とノズル先端
におけるガス線速度との積であるfGが2.5×105×h(cm
4/sec2)より大きくなると、ノズル径1mmの場合にはガ
ス吹込み管2の吹き込みノズル2bから吐出された酸素含
有ガスの液面における垂直方向の線速度が、65m/secよ
り大きくなり、液内に気泡が入り込み、培養液の発泡を
引き起こす。即ち、吹き込みガス量には限界がある。し
たがつて酸素含有ガスの吹き込み量が、限界値より大き
くなる場合は、酸素含有ガスの酸素分圧を高くすると良
い。
ところで、細胞濃度が1×106個/ml以上の高密度で
は、老廃物が蓄積し、また栄養源が不足する。このた
め、培養液取り出し口10から培養液を取り出し、細胞を
無菌的に分離する。そして該細胞を新しい培地とともに
培地供給口9から培養槽1に戻す。この操作は間けつ的
あるいは連続でも良い。なお、細胞の分離方法について
は特に限定するものでない。ところが、この操作だけで
は、pH値が最適値以下となる。これは、細胞濃度の増加
に伴い炭酸ガスの発生量及び発生速度が増加し、溶存炭
酸ガス濃度が増加するためである。本発明では、炭酸ガ
スの液相と気相との交換が良好に行なわれる。したがつ
て、pHセンサー6の信号を受けたpH計により、酸素含有
ガスと炭酸ガスの混合比を変える、即ち、pH値が最適値
以下となつた時に炭酸ガスの混合比を下げた酸素含有ガ
スを吹き込むことで、液相の炭酸ガスを気相に排出して
pH値を上昇させることができる。この時、炭酸ガスの混
合比の低下割合は、0.1〜0.5%として徐々に行うと良
い。また、乳酸の蓄積量の多い場合、重炭酸ソーダなど
のアルカリ剤の添加を併用すると効果的である。
〔作用〕
前記ノズルから液面に向かつて酸素含有ガスを連続的
吐出せしめ、液面に逆円錐状の凹みを形成させること
は、凹みによる気液界面積を増加させること、及び吐出
ガスが逆円錐状の凹みの底部から液面に向かう流れを強
制的に作ることとなり気液界面の更新率が高められるこ
との作用によつて酸素移動速度を向上させることができ
る。このとき、ノズルから吐出したる酸素含有ガスの液
表面での運動エネルギーを液表面を押し下げる程度とす
れば、液表面の張力を破つて液相への酸素含有ガスの入
り込みがない。即ち、培養液の発泡を抑えることができ
る。
以上の作用により、培養液の発泡を抑えて、酸素移動
速度を向上させることができる。
〔実施例〕
実施例1 本発明による酸素含有ガス吹き込み機構を有する培養
槽における溶存酸素計を用いたガスアウト法により水系
での酸素移動容量係数を求めた。
使用した培養槽の構造は、第1図に示すもので、内容
積は5である。槽本体は、パイレツクスガス製で外径
160mm,高さ270mmである。ガス吹き込み管は、14φの管
を外径78mmの円型ドーナツ型の融衝管下部にノズル穴径
1mmの吹き込みノズル6個を60゜間かくでノズル穴面が
水平に取り付けた構造である。また、撹拌羽根は、第3
図に示す2種を供試した。撹拌羽根Aは、幅80mm,高さ1
00mmの板で幅50mm,高さ60mmで中央部を抜いた矩形板を1
/2回転ひねつた構造である。撹拌羽根Bは、幅80mm,高
さ100mmの矩形板を1/2回転でひねつた構造である。両羽
根とも槽底部から20mmの位置に底部がくるように撹拌軸
に取り付けた。なお、ガス吹込み管や撹拌羽根の材質は
SUS316を使用した。
上記構造の培養槽に蒸留水2.5を仕込み、ガス吹き
込み管は、ノズル穴面が水面から20mmとなるように取り
付けた。まず、窒素ガスを液中に通気して、溶存酸素濃
度をゼロに付近まで下げ、次いで、槽の気相部を空気で
置換後、所定の条件で撹拌及びノズルから空気の吐出を
開始した。溶存酸素計にて溶存酸素濃度の増加の経時変
化を求めて、同データから酸素移動容量係数を求めた。
なお、測定温度は、37±1℃とし、また、吹き込む空気
は予め上記温度の飽和蒸気圧に調整したものを使用し
た。
第6図は、各吹き込み量におけるノズルから吐出した
る空気の液面での垂直方向の線速度と酸素移動容量係数
を示したものである。撹拌羽根は、Aを使用し、回転数
は80rpmと一定とした。また、空気の通気量は0〜22/
minとした。ノズルから吐出したる空気の液面での垂直
方向の線速度は、水を抜いた槽にて熱線流量計にてノズ
ル吐出面から20mmでの流速を測定した値を用いた。液面
での凹みは、該線速度が5m/s以上で形成され、それと同
時に酸素移動容量係数が増加した。なお、該線速度が5m
/s以下での酸素移動容量係数は、従来法、即ち、槽上部
の気相部から液面を通して酸素が移動する場合の値であ
つた。また、ノズル穴径が1mmのものは、該線速度65m/s
以上では酸素移動容量係数が、急激に増加した。これ
は、気泡の液内へ巻込が原因であつた。そこで、血清を
10%混合して、発泡テストを行つたところ、該線速度が
65m/s以上では、著しい発泡を引き起こすことがわかつ
た。
次に、撹拌羽根の違いによる効果を検討するため、第
3図に示す撹拌羽根AとBにて酸素移動速度係数を測定
した。第7図は、撹拌羽根A、第8図は撹拌羽根Bの場
合である。前者は、酸素移動速度が撹拌羽根の回転数に
比例して増加したのに対して、後者では、80rpmで最大
となり、それ以降減少した。この違いは、前者では撹拌
数の回転数が増加しても液面の乱れも少なく平であるの
に対して、後者ではボルテツクスを形成するためである
ことがわかつた。即ち、ノズル吹き出し面から、液面ま
での距離がボルテツクスにより遠くなる液面での空気の
線速度が遅くなるためである。この結果から、撹拌羽根
は、回転によりボルテツクスの生じないものを選定しな
ければならないことがわかつた。
ところで、酸素移動速度を向上せしめる方法として、
酸素富化ガスを利用すると良い。そこで、酸素40%の酸
素富化ガスを用いて、酸素移動容量係数を測定した。測
定条件は、撹拌羽根Aを用いて、回転数を80rpmと一定
とした。また、酸素富化ガスの通気量は、12.5/mとし
た。
測定結果を第7図に示す。空気を用いた場合に比べ1.
5倍程向上させることがわかつた。本発明と酸素富化ガ
スを組合せることで、より高い酸素移動容量係数が得ら
れ効果的である。
実施例2 実施例1で用いた装置において、ノズル穴径を0.3,0.
4,1.0,2.5及び5mmとした場合の各々の条件での酸素移動
容量係数を求めた。
測定条件は、次の通りである。各ノズルは、ガス吹き
込み管に6個をノズル穴角が水面から20mmとなるように
取り付けた、槽内の蒸留水の仕込み量は、2.5、ま
た、撹拌羽根Aを用いて、回転数は、80rpm一定とし
た。なお、測定温度は、37±1℃とし、測定方法は、実
施例1と同じガスアウト法である。
測定結果を第4図に示す。図において、fGは、次に述
べるようにガス吹き込み管に吹き込んだガス量とノズル
先端におけるガス線速度との積である。
機械設計便覧〔機械設計便覧編集委員会編,丸善株式
会社発行,昭和33年(1958)6月25日〕,頁1504におい
て、平板に噴流が直角に当たる場合の平板にかかる力F
は、式のように示されている。
F=(γ/g)Qv … γは流体の単位体積の重量,gは重力加速度,Qは流量、
vは噴流の速さを示す。
ノズルから噴き出したガスの液面を押す力は上記式よ
り吹き込みガス流量とノズル先端におけるガス線速度と
の積に比例すると考えられた。そこで、各条件における
ノズル1個当りの吹き込みガス流量q(cm3/sec)及び
ノズル先端でのガス線速度v(cm/sec)を計算し、吹き
込みガスの液面を押す力FGを求めた。即ち、ノズル1個
当りから吹き出すガスの液面を押す力fは、式と考え
た。
f=k×q×v … k:比例定数 したがつて、FGは、式となる。
FG=6×f … ところで、qは、式 :q=QG/6 … QG;ガス吹き込み管に吹き込んだガス量であるので、FG
は、式となる。
FG=k×QG×v … (式において、QG×vをfGとした。) 第4図によれば、ノズル穴径を変えても、fGが同一で
あれば、酸素移動容量係数(h-1)は、ほぼ同じである
ことが判明した。即ち、吹き込みガスの液面を押す力
が、同一であればノズル穴径を変えても同一の酸素移動
容量係数を得られることがわかつた。また、各ノズル穴
径ともfG値が、3.0×106〔(cm2/sec)〕では液中に
ガスを巻き込むのが観察された。
この結果から、予め任意のノズルを用いて酸素移動容
量係数とfG値との関係を求めておけば、ノズル径を変え
た場合において、液面での線速度を測定せずともfG値を
計算することで、酸素移動容量係数を求めることができ
る。
実施例3 実施例2に於いて、ノズル穴面と静止水面との距離を
変えた時の吹き込みガスの液中への巻き込みが生じ始め
るfG値を求めた。
第5図に結果を示す。FGは、液中へのガス巻込みが生
じ始めた時のfG値である。ノズル穴面と水面との距離
は、1,2,3及び4cmとした。
図よりガスの液中への巻き込みが始まるfG値は、ノズ
ル穴面と水面との距離に比例することが判明した。した
がつて、図からノズル穴面と静止水面との距離をh cmと
すると、ガスの液中への巻き込みが生じないfG値は、2.
5×105×h(cm4/sec2)以下とすれば良いことがわか
る。
実施例4 実施例1で使用した培養槽にて培養試験を行つた。な
お、比較例として従来法での培養試験を行つた。
供試細胞は、JTC−1(ラツト復水肝ガン由未の株化
細胞で浮遊性)を用いた。また、培地は、DM−160(極
東製薬製)に新生仔牛血清10%混合したものを使用し
た。培地の仕込み量は、2.5とした。撹拌羽根は、第
3図のAタイプを使用し、ガス吹き込み管のノズル吹き
出し面は、液面から20mmとした。
培養条件は、次の通りである。撹拌羽根の回転数は80
prm一定とし、培養温度は、36±1℃にて制御した。酸
素含有ガスは、空気と炭酸ガスの混合ガスとし、予め温
度37℃の温水にスパージングして飽和蒸気圧としたもの
を使用した。そして0.45μの除菌フイルターを通して、
槽内に供給した。培養初期では該混合ガスを液面に凹み
を形成させない通気量0.2/minで通気した。
なお、炭酸ガス初期の濃度は5V/V%とした。吹き込み
酸素含有ガスによる液面での凹み形成の開始は、溶存酸
素濃度が2ppm以下となつた時点とした。それ以後、溶存
酸素濃度が2ppmとなるように、酸素含有ガスの吹き込み
量を制御した。炭酸ガスの混合割合の減少は、細胞濃度
1.5×106個/mlの時点から行つた。なお、比較例では、
炭酸ガス濃度5V/V%の空気混合ガスを通気量0.2/min
一定で通気した。また、老廃物の除去及び栄養源の供給
を行うため、途中培地交換を行つた。その交換率は100
%とした。
培養結果を第9,第10,第11図に示す。第9図に示すよ
うに本発明では細胞は、比較例(従来法)と同じ増殖速
度で増加し、比較例が細胞濃度3×106個/ml程度まで頭
打ちとなるに対して1.2×107個/mlまではほぼ指数的に
増殖した、培養期間を通してのpH値は第11図に示すよう
に両者とも69〜75の範囲にあり、本株ではpH値は、増殖
の制限因子とはなつていない。したがつて、上記の差
は、次の理由による。比較例の溶存酸素濃度は、第10図
に示すように細胞濃度が1.4×106個/ml以上でほとんど
ゼロとなり、増殖の制限因子となつている。これに対し
て、本発明では実施例1で示すように高い酸素移動速度
が得られるので培養終了まで溶存酸素濃度を1.8〜2.6pp
mとすることができ、増殖に必要な酸素を充分に供給で
きたからである。
また、培養期間を通して著しい発泡はなく、培養終了
時の細胞生存率は85%で培養開始時の88%に比べ大きな
減少はなかつた。
以上から、本発明により酸素含有ガスとして空気を用
いた場合でも細胞を従来法の3倍強の高密度で培養でき
ることが確認できた。
ところで、本発明では溶存炭酸ガスの液相と気相の置
換が良好に行なえる。これは、液面での凹み形成を開始
した時点のpHの変化に現れている。比較例ではpH値は低
下するのに対して、本発明では上昇した。即ち本発明で
は酸素含有ガスを液面に吐出して液面に凹みを形成する
ことで液相−気相間の気体に物質移動を促進し液相の炭
酸ガスを良好に気相に排出できたからである。また、炭
酸ガス生成速度の高い高密度培養でも、本発明では液相
−気相間の気体の物質移動素度を高くできるので、炭酸
ガス濃度の低い酸素含有ガスを利用することで液相から
気相への炭酸ガスを排出できる。このため、第11図に示
すように溶存炭酸ガスの蓄積に伴うpH値の低下を抑える
ことができた。
〔発明の効果〕
本発明によれば、機械撹拌式の培養槽において槽上部
の気相と培養液の液相間との気体の物質移動を培養の発
泡を抑えて促進できる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例の槽内構造図、第2図は該槽
内に具備したガス吹き込み管の構造図、第3図は該槽内
に具備した撹拌羽根の構造図、第4図は液中へのガスの
巻込みが起こる臨界値を示す線図、第5図はガスの液中
への巻込みが生じ始めたときのfG値とノズル穴面と水面
との距離との関係を示す線図、第6図はガス吹き込み管
のノズルから吐出したる空気の液面での垂直方向の線速
度と酸素移動速度係数との関係を示す線図、第7図,第
8図は吹き込み空気量をパラメーターとした撹拌羽根の
回転数と酸素移動速度係数との関係を示す線図、第9
図,第10図及び第11図は培養試験結果で各々細胞濃度,
溶存酸素濃度及びpHの経時変化を示す線図である。 1……培養槽、2……ガス吹き込み管、3……撹拌羽
根、4……撹拌モータ、5……恒温水槽、6……pHセン
サ、7……溶存酸素センサ、8……温度センサ、9……
培地供給口、10……培養液取出し口、11……給気口、12
……排気口、13……除菌フイルタ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緒田原 蓉二 国分寺市東恋ヶ窪1丁目280番地 株式 会社日立製作所基礎研究所内 (56)参考文献 特開 昭53−142590(JP,A) 特開 昭62−195276(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動物細胞を機械撹拌式の培養槽にて培養す
    るに当たり、培養液の機械撹拌を液面の乱れやボルテッ
    クス形成を押さえながら行い、かつ単一もしくは複数の
    吹き込みノズルから酸素含有ガスを前記培養液の静止し
    た状態での液面に対して垂直方向に連続的に吐出し、液
    面に安定した凹みを形成させ、もって前記凹みの底部か
    ら液面に向かう培養液の流れを形成して酸素ガスを培養
    液に溶解させることを特徴とする動物細胞の培養方法。
  2. 【請求項2】動物細胞を機械撹拌式の培養槽にて培養す
    るに当たり、培養液の撹拌を液面の乱れやボルテックス
    形成を押さえながら行い、かつ単一もしくは複数の吹き
    込みノズルから酸素含有ガスを前記培養液の静止した状
    態での液面に対して垂直方向に連続的に吐出し、液面に
    安定した凹みを形成させ、もって前記凹みの底部から液
    面に向かう培養液の流れを形成して酸素ガスを培養液に
    溶解させるに際し、前記吹き込みノズル先端から前記静
    止液面までの距離をhとしたとき、酸素含有ガスの吹き
    込み量とノズル先端でのガス線速度との積が、1.0×103
    ×h以上で2.5×105×h(cm4/sec2)以下となるように
    設定されたことを特徴とする動物細胞の培養方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第2項において、穴径1mm
    の前記ノズルから吐出する酸素含有ガスの線速度を5m/s
    以上65m/s以下に設定したことを特徴とする動物細胞の
    培養方法。
  4. 【請求項4】動物細胞を分散する培養液を収容する培養
    槽、該培養液を機械的に撹拌する撹拌機、該培養液の液
    面の静止した状態での液面に対して垂直方向に酸素含有
    ガスを吐出する向きに設けられたノズルおよび該ガスの
    吐出量を制御する手段とを有する培養装置において、前
    記撹拌機は培養液の液面の乱れやボルテックスの形成が
    ない速度で撹拌を行い、前記吐出量を制御する手段は前
    記ノズルから連続的に吐出される酸素含有ガスが液面に
    安定した凹みを形成させ、もって前記凹みの底部から液
    面に向かう培養液の流れを形成できるガス速度で吐出さ
    れるように酸素含有ガスの吐出量を制御することを特徴
    とする動物細胞の培養装置。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第4項において、培養液を
    機械的に撹拌するための撹拌羽根が中央部をぬいた矩形
    板を1/2回転ひねった構造であることを特徴とする動物
    細胞の培養装置。
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