JP2612605B2 - 芳香族ポリアミド繊維 - Google Patents

芳香族ポリアミド繊維

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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の利用分野) 本発明は、既存の有機合成繊維と変らない一般繊維性
能と、染色性のすぐれた芳香族ポリアミド繊維に関する
ものである。更にまた本発明は融点以上の高温下におい
ても熱収縮が小さくかつ燃焼時にも繊維同志が強固に融
着することのない優れた高温形態安定性とを兼備した芳
香族ポリアミド繊維に関するものである。
(従来の技術) 有機合成繊維は優れた繊維性能を有するため衣料用か
ら産業資材用まで広く使われているものの、耐熱の要求
される用途分野では、これまでは石綿、ガラス、スチー
ルなど無機系繊維が中心で、その利用は極めて少ないも
のであった。
しかし近年有機合成化学の進歩と一般衣料用および産
業資材用から航空宇宙開発用に至るまでの多様なニーズ
とが結びついて有機合成耐熱性繊維の開発が積極的に展
開されてきた。その成果として種々の有機合成耐熱性繊
維が誕生してきた。その中で商業生産規模で最も成功を
おさめ、その代表と思われるのが、メタ系全芳香族ポリ
アミド繊維でその化学組成はポリ(m−フェニレンイソ
フタルアミド)(以下PMIAと略記する)を主成分として
いる。
このPMIA繊維は、既存の合成繊維の使用温度より50〜
200℃程度も高い温度領域での使用が可能であってか
つ、汎用繊維製品として必要な一般的な性能、例えば強
度と伸度のバランスやしなやかさや、後加工性等を有す
る。さらに、繊維が燃焼しても炎を出すことが少なく、
炎を遠ざけると直ちに消火する“自己消火性”を示す高
い難燃性をもつことから、耐熱性濾過材料、電気絶縁材
料等の産業資材分野から、消防服、航空服、炉前服等耐
熱防護服等の衣料用分野、さらに寝装インテリア分野ま
で広く使用され、今日まで拡大を続けている。
しかしPMIA繊維は、そのポリマーの構成上染色性が悪
く、衣料分野、殊にファッション性の分野には不適であ
る。この染色性を改良するために、例えばスルホン基を
導入することも行なわれているが、そのために繊維物性
が劣化し、しかもその染色性も満足のゆくものではな
い。また染料による後染めではなく、顔料を用いた、い
わゆる原着繊維が上市されているが、その色の種類も限
定され、しかも濃色系の色に限定されている。
さらにまた、このPMIA繊維も耐熱防護服用素材等にお
けるより高温、例えば融点以上での形態安定性への要求
に対して充分でない事が分かってきた。これに対する対
策としてパラ系全芳香族ポリアミド繊維を少量混用する
ことが提案されている(多々清爾;プラスチック36,34
(1985))。この方法によれば高温での形態安定性は混
率に応じて改良されるものの、パラ系全芳香族ポリアミ
ド繊維の極めて高い剛直性と衣料用繊維としては伸度が
極端に小さいためとの理由により、PMIA繊維の一般衣料
用繊維並みのしなやかさや、後加工性が著しく低下する
という欠点がある。
またPMIA繊維は燃焼時に溶融してメルトドリップを生
じる事はないが、その繊維製品は熱収縮による大きな形
態変化をしながらさらに繊維同志が固く融着してしまう
ので耐熱防護服としてこれを着用中被災した場合、脱衣
困難になって火傷等の損害をかえって拡大する等の問題
も起きている。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、前記PMIA繊維のもつ問題に鑑み既存の一般
有機合成繊維と変らない一般繊維性能を有すと同時に優
れた染色性をもち、かつ高温での形態安定性、すなわち
融点以上のような高温下においても熱収縮率が小さくか
つ燃焼時にも繊維同志が強固に融着することのない芳香
族ポリアミド繊維を提供しようとするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者は上記した特性を有する芳香族ポリアミド繊
維を提供するために芳香族ポリアミド繊維の製造面と得
られる繊維のX線回折による結晶構造解析面との関連に
ついて種々検討した結果、本発明に到達したものであ
る。
即ち、本発明の第1の発明は、結晶構造をつくる芳香
族ポリアミド繊維であって、その単位格子中に4つのモ
ノマーが存在し、2つのモノマーからなる単位Aと他の
2つのモノマーからなる単位Bとが映進面対称の関係に
ある芳香族ポリアミド繊維であり、また第2の発明は、
前記の特定結晶構造をもつ芳香族ポリアミド繊維の製造
法において、芳香族ポリアミドを湿式紡糸し、湿熱延伸
し、水洗乾燥後、乾燥延伸して、結晶性繊維を得るに際
して、湿熱延伸浴での延伸を、繊維の溶媒含有率が70〜
120重量%/芳香族ポリアミド繊維となる状態で行なう
ことを特徴とする芳香族ポリアミド繊維の製造方法であ
る。
上記した芳香族ポリアミド繊維は特定のモノマー組成
からなる芳香族ポリアミドから製造される。特に本発明
においてはポリ(4−メチル−メタフェニレン−テレフ
タルアミド)を用いることが好ましい。
この特定の芳香族ポリアミドの合成は、例えば(1)
2,4−トリレン−ジアミンとテレフタル酸ジハライド、
(2)2,4−トリレン−ジアミンとテレフタル酸あるい
は(3)2,4−トリレン−ジイソシアネートとテレフタ
ル酸のいずれかのモノマーの組合わせを重縮合して達成
されるが、特に好ましくは2,4−トリレン−ジイソシア
ネートとテレフタル酸を出発原料として合成される芳香
族ポリアミドが選択される。この場合、ポリマーの繰返
し単位において、側鎖メチル基のメタフェニレン基に対
する位置の規則性を、その重合条件において制御するこ
とも可能となるからである。すなわち、本発明でいうポ
リ(4−メチル−メタフェニレン−テレフタルアミド)
とは、詳しくはポリ〔(4−メチル−1,3−フェニレン
−テレフタルアミド)(6−メチル−1,3−フェニレ
ン−テレフタルアミド)〕を表わし、m,nはそれぞれ
0以上〜1以下でm+n=1を表わし、メチル基がメタ
フェニレン基のいずれかの側に付いた繰り返し単位をも
つことを意味するものである。本発明のポリ(4−メチ
ル−メタフェニレン−テレフタルアミド)を上記(3)
のモノマー組成から合成する方法は、本発明の共同発明
者らが、特開昭61−190517、同61−192714あるいは特開
昭62−156120等において開示した方法に準じて行なうと
よい。例えば、2,4−トリレン−ジイソシアネートとテ
レフタル酸を極性溶媒の存在下、前記特許で開示した一
連のアルカリ金属化合物の一種を触媒として、100℃以
上の溶媒の沸点以下の温度で重合させると、線状高分子
量芳香族ポリアミドが容易に製造できる。
次に本発明の結晶構造をもつ芳香族ポリアミド繊維の
製造方法について述べる。
通常PMIA繊維は、特公昭53−10173に記載の如く、溶
媒含有率が23重量%以下で、熱水中で湿熱延伸するに対
し、PMIAよりガラス転移温度Tgの高い本発明ポリマーで
は、湿潤状態でもTgが100℃以下に下がらず、分子運動
性が充分でないため、湿熱延伸が困難である。しかし高
温寸法安定性を確保するためには、有効な湿熱延伸を行
なうことが不可欠である。このため種々検討した結果、
湿熱延伸前の繊維の溶媒含有量を多くし、さらに溶媒お
よび膨潤性金属塩類のCaCl2を含有する高温の湿熱延伸
浴中で延伸することが効果的であることがわかった。
本発明の特定結晶構造を有する繊維とするには、湿熱
延伸前の繊維の溶媒含有率を70〜120重量%/芳香族ポ
リアミド繊維と比較的狭い範囲に制御する必要がある。
70重量%未満では湿熱延伸の倍率があがらず、120重量
%を越えると分子のフローが起こり、いずれも本発明の
特定結晶構造とすることができない。
本発明の特定結晶構造を有する繊維は、高温寸法安定
性に優れ、かつカチオン染色性にも優れることがわかっ
た。従来の繊維では分散染料に対しては染色性良好であ
ったが、分散染料より鮮明な色相が得られるカチオン染
料に対しての染色性は今一歩であった。アニオン性基を
ほとんど有しない本芳香族ポリアミド繊維が何故カチオ
ン染料に染まるかわからないが、本発明の結晶構造はカ
チオン染料が丁度入り込み易いためかもしれない。
(発明の効果と用途) 本発明の結晶構造をもつ芳香族ポリアミド繊維の実測
密度は、結晶構造より求める結晶領域の計算密度と近似
している特徴を有し、いわゆる非晶領域における分子鎖
構造も結晶領域のそれとかなり近似したものであること
が予想される。その分子鎖構造の特徴が、繊維の特性、
特に染色性の良さに発現されるものと思われ、又同時に
極めて優れた高温寸法安定性を発揮するものである。勿
論従来のアラミド繊維の持つ耐熱特性,難燃性,電気絶
縁性,耐薬品性,機械特性等を備えたものである。
本発明の結晶構造を持つポリ(4−メチル−メタフェ
ニレン−テレフタルアミド)繊維の優れた特性にもとづ
き、本繊維は種々の用途に用いられる。例えば、染色性
と耐燃難燃性等からカーテン,カーペット等のインテリ
ア内装材として、あるいはレーサー服,スキー服等のス
ポート衣料更には、病院で用いる寝装,寝具用に向いて
いる。これらの用途にあわせた加工では、他の材質の繊
維と混紡したり、混織したりすることも勿論可能であ
る。
更に高温寸法安定性や難燃性,断熱性等の特性から、
耐熱ボード,ガスケット,耐熱耐炎ロープ,防炎布団,
耐熱防炎シート,耐熱ベルト、耐熱スペーサー等に用い
られる。又、更にシート状物,ハニカム構造体、フェル
ト,不織布,織物,テープ,カットファイバー等の形態
で種々の工業用材料として利用される。
(実施例) 以下に実施例を示すが、実験には、次に示すX線回折
法を採用した。すなわち、X線回折には、Niでフィルタ
ーしたCu−Kα線を用い、30分間420℃で熱処理した繊
維状試料を数十本束ね、半径35mmの円筒カメラで回折像
を撮影した。各反射の強度は、強度スケールを用い目測
法で測定した。得られた強度は偏光因子とローレンツ因
子の補正をし、実測構造因子を求めた。また、試料の密
度を四塩化炭素とトルエンの混合溶媒で浮沈法により測
定した。構造解析には繊維状高分子のための、束縛条件
下最小二乗法プログラムLALS(Linked−Atom−Least−S
quares)を用いた。
実施例1 ポリ(4−メチル−メタフェニレン−テレフタルアミ
ド)の合成: 攪拌機、温度計、コンデンサー、滴下ロート、窒素導
入管を備えた50容量のSUS製ジャケット付反応器中に
テレフタル酸1700g(10.24モル)、無水弗化カリウム2.
97g(0.05モル)、無水N,N′−ジメチルエチレンウレア
35を窒素雰囲気下に装入し、攪拌しながら200℃に昇
温した。内容物を200℃に維持しながらトリレン−2,4−
ジイソシアネート1783g(10.24モル)を計量槽より4時
間にわたって滴下し、その後更に1時間反応を継続させ
た後に加熱を止め、室温迄冷却した。冷却した重合液の
一部を3倍容量の強攪拌水中に投入してポリマーを沈殿
させ、更に多量の水で充分洗浄した後濾別し、ポリマー
ケーキを150℃、約3時間減圧乾燥して乳白色ポリマー
粉末を得た。このポリマーの対数粘度(95%濃硫酸溶
媒、0.1%、30℃)は2.1であった。重合液のポリマー濃
度は約6.6重量%であり、これを減圧濃縮してポリマー
濃度約13.0重量%とした。この濃縮液の粘度は300ポイ
ズ(B型粘度計、80℃測定)であった。
ポリ(4−メチル−メタフェニレン−テレフタルアミ
ド)繊維の製造: 得られた紡糸原液を脱泡し、77.9cc/分の流量で孔径
0.14mmφ、孔数1000のノズルを通して、80℃に保ったDM
I 12wt%とCaCl234wt%を含有する水溶液(第一凝固
浴)中に押し出し、鉛直上方にある離浴ローラーに12m/
分の速度で引き取った。次いで同じ第一凝固浴中に50秒
滞留させ、繊維の溶媒含有率を95重量%/芳香族ポリア
ミド繊維とし、第1凝固浴と同じ組成の95℃湿熱延伸浴
で1.7倍に湿熱延伸し、DMI6%とCaCl225%を含有する80
℃の第二凝固浴に浸漬し、80℃で熱水洗浄し、150℃で
乾燥し、375℃で2.3倍の乾熱延伸を行なって、結晶性の
ポリ(4−メチル−メタフェニレン−テレフタルアミ
ド)繊維を得た。
得られた繊維の結晶化度は24%であった。
またこの繊維の結晶構造は、そのX線回折像における
格子定数が、a=8.6、b=7.5、c(繊維軸)=22.1
Å、α=β=90゜、β=116.3゜と指数づけされ、その
空間群がIlalで、単位格子中に存在する4つのモノマー
からなる、次式AとBで表わされる繰り返し単位が映進
面対称の関係にあり、結晶構造におけるそれぞれのモノ
マー単位の回転角がθ=110.9、θ=68.7、θ=6
1.5、θ=70.3に近似する値として特定することがで
きた。
詳細な解析結果を以下に示す。
格子定数と空間群: PMTAのX線回折像より、赤道線か
ら9層線までに独立な19個の反射を得た。これらの反射
は格子定数a=8.6、b=7.5、c(fiber axis)=22.1
Å、α=γ=90゜、β=116.3゜で指数付け出来た(1
つの反射を無視すれば、a=10.9、b=7.5、c=22.1
Åの斜方格子でも指数付けできる。この格子での全ての
可能なモデルについての解析も行ったが、妥当な解は得
られない)。
試料の実測密度1.30g・cm-3に対し、単位格子中のモ
ノマー数を4とした時の計算密度は1.31g・cm-3であ
り、単位格子中には4モノマーが存在する(Z=4)。
1モノマー当りの伸び切り鎖長が約13Åなので、繊維周
期中の1分子には2モノマー以上必要である。一方、実
測反射にはh+k+l=2nのものしかなく、空間群はI1
2l,I1ml,Ilal,I12/ml,I12/alの何れかである。繊維軸が
c軸であること、Z=4であることを考えると、空間群
はI1alで分子自信にも映進面対称がある場合、I12lで分
子自身に2回軸がある場合の2種が考えられる。ここで
空間群をI12lとして以下と同様に分子モデル・結晶モデ
ルを作り構造を検討した結果、X線データ・原子間接触
・水素結合を満足するものは得られない。そこで以下で
はI1alについての解析を示す。
分子モデル: 空間群I1alでは分子内の隣り合った残
基、すなわち、前記式のAとBは映進面対称の関係にな
ければならない。モデル作製に際し、次の仮定をした。
(1)アミド結合はトランス。アミド結合は二重結合性
から平面構造をとり、シスかトランスとなるので、安定
なトランスとした。(2)メチル基はしばらくの間無
視。解析の初期段階では、メチル基はm−フェニレンの
どちら側に付いているかわからないため、無視した。
(3)ベンゼン環平面とアミド平面の成す角は0゜。こ
れは他のアラミド繊維の構造からもわかるように、±30
゜付近がエネルギー的に安定であるが、簡単なため0゜
とした。従って、PMTAのモデル構造の数は4つの内部回
転角でのシスかトランスの組合せの数になり、24=16通
りのモデルが考えられる。しかし、p−フェニレンの両
側がシス−シスのものとトランス−トランスのもの、シ
ス−トランスのものとトランス−シスのものはそれぞれ
全く同一であり、独立なモデルは半分になる。また本試
料は高分子であるので、この内二つは分子を逆から眺め
ることにより他の二つと同一になる。更にm−フェニレ
ンの両側がトランス−トランスのものは、本来あるべき
メチル基が隣のカルボニルの酸素原子と接触してしま
い、この構造はとり得ない。結局、可能なモデルは4通
りになる。
ここで(3)の仮定を0゜ではなく±30゜に変える
と、1つのモデルにつき4つの内部回転角のそれぞれが
±30゜で24通り考えられるが、空間群から分子内に映進
面がなければならないので、その対称性(θ1A=−
θ1B2A=−θ2B3A=−θ3B,and θ4A=−θ4B
から半分となる。最終的には、(4×24)/2=32の分子
構造モデルが得られた。
結晶モデル: 上記32の分子モルの各々について、LALS
プログラムにより、X線データ、水素結合、原子間接触
が最適になる様に精密化した。精密化のパラメーター
は、分子内の4つの内部回転角、分子軸と結晶軸を合わ
せるための3つのオイラー角、らせん半径、分子軸の回
りの分子の向き、及びスケール因子である。分子の連続
性保持、映進面対称などの束縛のため分子の自由度は4
であった。32の分子モデルの中、2モデルだけが満足の
いく、同一の構造に収れんした。ここでm−フェニレン
の両方に0.5の占有率でメチル基を付け、原子間接触を
避ける様に構造の精密化を行ったところ、原子間接触・
水素結合等を満足する結晶構造(θ=110.9,θ=6
8.7,θ=61.5,θ=70.3゜に近似する値)を得た
(R=0.25)。すなわち、4−メチル−m−フェニレン
が同じ向きに規則的に結合した構造だけでなく、ランダ
ムに結合したものも可能であることがわかった。これら
の構造は本質的に同じであり、第1図および第2図はメ
チルがm−フェニレンの両側に付いたモデルの結晶構造
のc軸およびa軸投影図である。単位格子の中心の分子
と四隅の分子の間に分子間水素結合(2.65,2.82Å)が
形成されている。なお、結晶構造に関する上記記述にお
いてθないしθの回転角として示した数値に近似す
る値とは、主として測定誤差に起因する許容値を含むこ
とを意味するものであり、通常±10%を含むものであ
る。
本繊維を、キャリアー使いで130℃で5%owfのカチオ
ン染料で染色したところ、鮮明な濃色に染まった。
なお本発明繊維の420℃×10分での乾熱収縮率を測定
したところ、10.5%であり、融点付近の高温寸法安定性
に優れていた。
比較例1 実施例1において第一凝固浴中での滞留時間をなしと
し、離浴ローラーに引き取り後直ちに湿熱延伸する以外
は、ほぼ実施例1と同様な条件で紡糸して繊維を得た。
この際の湿熱延伸前の繊維の溶媒含有率は175重量%/
芳香族ポリアミド繊維であった。
得られた繊維の結晶化度は19%であった。
またその繊維構造は、X線回折像からは合計12個の反
射が得られ、その格子定数はa=7.5Å、b=6.8Å、c
=22.1Å、α=β=γ=90゜と指数づけされたが、この
格子での分子構造モデルと結晶構造モデルの妥当な解は
得られなかった。
本繊維を実施例1と同様に染色したところ、実施例1
に比べ染色性が低く、中色程度しか染まらなかった。
比較例2 実施例1において、第1凝固浴組成をDMI 13%とCaCl
2 31%とし、離浴ローラー後の第1凝固浴中滞留時間を
1分40秒とする以外は実施例1と同様に紡糸しようとし
た。しかし湿熱延伸倍率が1.4倍を越えると断糸し、サ
ンプル採取不能であった。そこで湿熱延伸倍率を1.4倍
とし、以降は実施例1と同様に繊維化した。
得られた糸の420℃×10分の乾熱収縮率は35%と大き
く、高温寸法安定性が劣っていた。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明の芳香族ポリアミド繊維の
X線回析像であり、第1図は結晶構造のc軸投影図であ
り、第2図は同じくa軸投影図である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶構造をつくる芳香族ポリアミド繊維で
    あって、その単位格子中に4つのモノマーが存在し、2
    つのモノマーからなる単位Aと他の2つのモノマーから
    なる単位Bとが映進面対称の関係にある芳香族ポリアミ
    ド繊維。
  2. 【請求項2】ポリ(4−メチル−m−フェニレンテレフ
    タルアミド)である請求項1の芳香族ポリアミド繊維。
  3. 【請求項3】芳香族ポリアミドを湿式紡糸し、湿熱延伸
    し、水洗乾燥後、乾熱延伸して、結晶性繊維を得るに際
    して、湿熱延伸浴での延伸を、繊維の溶媒含有率が70〜
    120重量%/芳香族ポリアミド繊維となる状態で行うこ
    とを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリアミド繊維
    の製造方法。
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