JP2611635B2 - 直流電流計測器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被測定回路に流れる電
流を測定する直流電流計測器に関し、特に、絶縁型の直
流電流計測器の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の直流電流計測器として、
図５に示すような構成のものがある（電気工学ハンドブ
ック ２９５ページ １９８８年版）。この直流電流計
測器は、被測定電流が流れる母線５１と、母線５１が挿
通され、互に逆特性でＮ２なる二次巻線が巻かれたトラ
ンス５２，５３と、トランス５２，５３と直列に接続さ
れたトランス５４，５６と、トランス５４の二次側に接
続された交流電源５５と、トランス５６の二次側に直列
に接続された整流器５７及び電流計５８とから構成され
ている。すなわち、トランス５２，５３において、交流
電源５５によって生じるアンペア回数と母線５１によっ
て生じるアンペア回数とが加わり、母線５１に流れる電
流に比例した期間、トランスの鉄芯が飽和し、それに比
例した電流が電流計５８に流れるようになっている。

【０００３】また、他の従来例として、図６に示すよう
な構成のものがある（電気工学ハンドブック ５１２ペ
ージ １９８８年版）。この直流電流計測器は、被測定
電流が流れる母線６１と、母線６１が挿通され、ギャッ
プが設けられた鉄芯６２と、鉄芯６２のギャップに挿入
されたホール素子６３と、ホール素子６３に電流を供給
する定電流電源６４と、ホール素子６３のホール効果電
圧を測定する電圧計６５とから構成されている。すなわ
ち、母線６１によって鉄芯６２に生じた磁束をホール素
子６３によって測定することができるようになってい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、図５に示した
従来の直流電流計測器では、４つのトランス５２，〜，
５４，５６を使用するので、複雑な回路となり、このた
め、製品コストが高くなるという問題がある。また、交
流電源５５からは正弦波のみをを出力する構造になって
いるので、汎用性に欠ける。一方、図６に示した従来の
直流電流計測器では、ホール素子６３によって磁束を測
定する構造であるので、外部磁界の影響を受けやすく、
このため、測定精度の信頼性に欠けるという問題があ
る。本発明は上記問題点にかんがみてなされたもので、
簡単な構造で製造することができると共に多様な交流電
源に対応することができ、しかも、測定信頼性の高い直
流電流計測器の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１記載の直流電流計測器は、被測定電流の一
方の分流電流が通電する第一の分流抵抗と、この第一の
分流抵抗と並列に接続され、上記被測定電流の他方の分
流電流を入力するフォトカップラーと、このフォトカッ
プラーにスイッチング作用を行わせる交流電源と、上記
フォトカップラーの出力側に直列接続されたトランス
と、このトランスの二次側の電流を測定する交流電流計
と、上記トランスの一次側の出力端に直列接続された第
二の分流抵抗とを備える構成としてある。また、請求項
２記載の直流電流計測器は、被測定電流の一方の分流電
流が通電する第一の分流抵抗と、 この第一の分流抵抗と
並列に接続され、上記被測定電流の他方の分流電流を入
力するフォトカップラーと、このフォトカップラーにス
イッチング作用を行なわせる交流電源と、 上記フォトカ
ップラーの出力側に直列接続されたトランスと、 このト
ランスの二次側の電圧を測定する交流電圧計と を備える
構成としてある。また、請求項３の直流電流計測器で
は、請求項１記載の直流電流計測器を複数並列に接続
し、このうち一の直流電流計測器の上記フォトカップラ
ー及び交流電源を、他の直流電流計測器のフォトカップ
ラー及び交流電源として共用した構成としてある。ま
た、請求項４の直流電流計測器では、請求項２記載の直
流電流計測器を複数並列に接続し、このうち一の直流電
流計測器の上記交流電源及び交流電圧計を、他の直流電
流計測器の交流電源及び交流電圧計として共用した構成
としてある。

【０００６】

【作用】上記直流電流計測器によれば、被測定電流の一
方の分流電流が第一の分流抵抗に通電すると共に、他方
の分流電流がフォトカップラーに入力される。このフォ
トカップラーが、交流電源の作用によって、オン状態に
なっているときには、他の分流電流は、トランスと第二
の分流抵抗とに通電する。このとき、計測部によって、
トランスの二次側の電流又は電圧を測定することによ
り、非測定電流の電流値を求めることができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図１は、本発明の第一実施例に係る直流電
流計測器を示す回路図である。本実施例の直流電流計測
器１は、交流の被測定電流Ｉの一方の分流電流を通電す
る第一の分流抵抗２と、この第一の分流抵抗２と並列に
接続されたフォトカップラー３と、このフォトカップラ
ー３にスイッチング作用を行わせる交流電源６と、フォ
トカップラー３の出力側に直列接続されたトランス７
と、このトランス７の二次側に接続された計測部として
の交流電流計１０と、トランス７の一次側に直列接続さ
れた第二の分流抵抗ｒとで構成されている。

【０００８】第一の分流抵抗２は、図示しない被測定回
路に直列に接続されるもので、抵抗値Ｒを有している。
フォトカップラー３は、図１に示すように、フォトラン
ジスタ４と発光ダイオード５とで形成されている。交流
電源６は、正弦波を出力し、その周波数によってフォト
カップラー３の発光ダイオード５に対してスイッチング
作用、すなわちオン，オフを行わせる機能を有してい
る。なお、この交流電源６は、上記正弦波ではなく、矩
形波等を出力させるようにすることもできる。

【０００９】トランス７は、一次側巻線８と二次側巻線
９とで構成されており、これらの巻線比は１に設定され
ている。交流電流計１０は、上記トランス７の二次側巻
線９に直列に接続されている。第二の分流抵抗１１は、
トランス７の一次側巻線８の出力端に直列に接続されて
おり、その抵抗値ｒを有している。そして、この第二の
分流抵抗１１の出力端は第一の分流抵抗２の出力端と接
続されている。

【００１０】次に、本実施例の動作について説明する。
第一の分流抵抗２が被測定回路に直列に挿入されると、
その被測定電流Ｉが第一の分流抵抗２側とフォトカップ
ラー３側とに分流されて、入力される。フォトカップラ
ー３側に分流された分流電流は、フォトカップラー３の
スイッチング動作により、トランス７側に流れたり流れ
なかったりする。フォトカップラー３はオン状態におい
ては、分流電流ｉがトランス７の一次側巻線８を介して
第二の分流抵抗ｒに流れた後、第一の分流抵抗２を流れ
た分流電流と合流して、被測定電流Ｉとなる。

【００１１】トランス７の一次側巻線８に分流電流ｉが
流れると、二次側巻線９に二次側電流ｉ´が誘導され
る。ここで、一次側巻線８に流れる分流電流ｉは、次の
（１）式で表される。 ｉ＝ＲＩ／（Ｒ＋ｒ） …（１） また、一次側巻線８と二次側巻線９とは上述したように
巻線比１に設定されているので、二次側電流ｉ´が一次
側巻線８の分流電流ｉの電流値と等しくなる。したがっ
て、二次側電流ｉ´を交流電流計１０で測定することに
より、未知数として被測定電流Ｉのみを含む上記（１）
式から、被測定電流Ｉを測定することができる。

【００１２】以上のように本実施例の直流電流計測器１
によれば、第一及び第二の分流抵抗２，１１と、交流電
源６が接続されたフォトカップラー３と、１つのトラン
ス７と、交流電流計１０という僅かなかつ単純な構造の
部品で形成することができるので、直流電流計測器１全
体を簡単な構造にすることができる。この結果、直流電
流計測器１の製造コストを低減することができる。ま
た、交流電源６も正弦波に限定されず、多様な交流電源
を用いることができるので、汎用性に優れている。しか
も、外部磁界の発生がないので、外部磁界の影響を受け
ることはなく、この結果、高精度で被測定電流Ｉを測定
することができ、測定信頼性が高いものとなっている。
なお、本実施例では交流電流計１０を用いたが、これに
限るものではなく、交流電流計１０の代わりに整流回路
と直流電流計を接続したものを用いても良いことは勿論
である。

【００１３】次に本発明の第二実施例について説明す
る。図２は、本発明の第二実施例に係る直流電流計測器
を示す回路図である。本実施例の直流電流計測器２０
は、第二の分流抵抗１１がなく、かつ、交流電流計１０
の代わりに交流電圧計２０を適用している点が、上記第
一実施例の直流電流計測器１と異なる。

【００１４】かかる構成により、フォトカップラー３が
オン状態にある時は、トランス７の一次側巻線８に一次
側電圧ｖが加わり、これにより、二次側巻線９には、二
次側電圧ｖ´が誘電されることとなる。これにより、一
次側巻線８に加わる一次側電圧ｖは次の（２）式で表さ
れる。 ｖ＝ＲＩ …（２） そして、一次側巻線８と二次側巻線９とが巻線比１に設
定されているので、一次側電圧ｖと二次側電圧ｖ´は等
しくなっている。したがって、交流電圧計２１により、
二次側電圧ｖ´を測定すれば、変数としてＲのみを含む
上記（２）式より、被測定電流Ｉを測定することができ
ることとなる。その他の構成，作用効果は上記第一実施
例と同様であるので、その記載は省略する。

【００１５】次いで、本発明の第三実施例について説明
する。図３は、本発明の第三実施例に係る直流電流計測
器を示す回路図である。本実施例の直流電流計測器３０
は、上記第一実施例の直流電流計測器１を複数並列に接
続し、このうちの１の直流電流計測器１のフォトカップ
ラー３及び交流電源６を他の直流電流計測器１のフォト
カプラー及び交流電源として共用したものである。

【００１６】すなわち、図３に示すように、フォトカッ
プラー３及び交流電源６を装置の前段に設け、この後段
に、３つの直流電流計測器１−１，〜，１−３を並列に
接続した構成としている。具体的には、被測定電流Ｉが
分流される分岐線３１を各直流電流計測器１−１（１−
２，１−３）の分岐線３１−１（３１−２，３１−３）
に分岐させて、被測定電流Ｉの分流電流を各第一の分流
抵抗２−１（２−２，２−３）に分流するようになって
いる。

【００１７】一方、フォトカップラー３に接続された分
岐線３２は、各直流電流計測器１−１（１−２，１−
３）の分岐線３２−１（３２−２，３２−３）に分岐さ
れ、フォトカップラー３のオン状態における分流電流を
各トランス７−１（７−２，７−３）と第二の分流電流
抵抗１１−１（１１−２，１１−３）に通電するように
なっている。

【００１８】このような構成により、第一の分流抵抗２
−１，〜，２−３を３つの被測定回路に直列に挿入する
ことにより、３つの被測定回路の被測定電流を同時に測
定することができる。本実施例では上述のように１個の
フォトカップラー３及び１個の交流電源６を用いるだけ
で、３つの被測定回路を同時に測定することができるの
で、測定作業の能率化を図ることができると共に、直流
電流計測器３０の構造もさらに簡略化することができ
る。なお、本実施例では、直流電流計測器１を３つ並列
に接続しているが、これに限るものではなく、任意数の
直流電流計測器１を並列に接続できることは勿論であ
る。その他の構成，作用効果は上記第一実施例の直流電
流計測器１と同様であるので、その記載は省略する。

【００１９】最後に、本発明の第四実施例について説明
する。図４は、本発明の第四実施例に係る直流電流計測
器を示す回路図である。本実施例の直流電流計測器４０
は、図４に示すように、１つの交流電圧計２１に３つの
直流電流計測器２０−１，〜，２０−３を並列に接続す
ると共に、これら３つの直流電流計測器２０−１，〜，
２０−３の電源として交流電源６を共用し、この交流電
源６の供給をセレクタ４１によって選択できる構成にな
っている。

【００２０】このような構成により、セレクタ４１の切
替により、測定を行うべき被測定回路にだけ交流電源６
を接続し、１つの交流電圧計２１でその被測定電流Ｉを
測定できる。なお、本実施例では、直流電流計測器２０
を３つ並列に接続しているが、これに限るものではな
く、任意数の直流電流計測器２０を並列に接続できるこ
とは勿論である。その他の構成，作用効果については上
記第二実施例と同様であるのでその記載は省略する。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明の直流電流計測器に
よれば、第一及び第二の分流抵抗と、交流電源が接続さ
れたフォトカップラーと、１つトランスと、計測部とい
う僅かかつ単純な構造の部品で構成されているので、直
流電流計測器全体として、簡単な構造となり、この結
果、直流電流計測器の製造コストを低減することができ
る。また、交流電源も正弦波に限定されず、多様な交流
電源を用いることができ、汎用性に優れている。しか
も、外部磁界の影響を受けないので、高精度で測定する
ことができ、測定信頼性が高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一実施例に係る直流電流計測器を示
す回路図である。

【図２】本発明の第二実施例に係る直流電流計測器を示
す回路図である。

【図３】本発明の第三実施例に係る直流電流計測器を示
す回路図である。

【図４】本発明の第四実施例に係る直流電流計測器を示
す回路図である。

【図５】従来例に係る直流電流計測器を示す回路図であ
る。

【図６】他の従来例に係る直流電流計測器を示す回路図
である。

【符号の説明】

１ 直流電流計測器 ２ 第一の分流抵抗 ３ フォトカップラー ６ 交流電源 ７ トランス １０ 交流電流計 １１ 第二の分流抵抗 Ｉ 被測定電流

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−79162（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−40764（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−160285（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−150618（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−9178（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−128864（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭64−71（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭64−50373（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−151852（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−125023（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭55−29（ＪＰ，Ｕ)

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被測定電流の一方の分流電流が通電する
   第一の分流抵抗と、 この第一の分流抵抗と並列に接続され、上記被測定電流
   の他方の分流電流を入力するフォトカップラーと、 このフォトカップラーにスイッチング作用を行わせる交
   流電源と、 上記フォトカップラーの出力側に直列接続されたトラン
   スと、 このトランスの二次側の電流を測定する交流電流計と、 上記トランスの一次側の出力端に直列接続された第二の
   分流抵抗とを備えることを特徴とした直流電流計測器。
2. 【請求項２】 被測定電流の一方の分流電流が通電する
   第一の分流抵抗と、 この第一の分流抵抗と並列に接続され、上記被測定電流
   の他方の分流電流を入力するフォトカップラーと 、このフォトカップラーにスイッチング作用を行なわせる
   交流電源と、 上記フォトカップラーの出力側に直列接続されたトラン
   スと、 このトランスの二次側の電圧を測定する交流電圧計と を
   備えることを特徴とした直流電流計測器。
3. 【請求項３】 請求項１記載の直流電流計測器を複数並
   列に接続し、このうち一の直流電流計測器の上記フォト
   カップラー及び交流電源を、他の直流電流計測器のフォ
   トカップラー及び交流電源として共用したことを特徴と
   する直流電流計測器。
4. 【請求項４】 請求項２記載の直流電流計測器を複数並
   列に接続し、このうち一の直流電流計測器の上記交流電
   源及び交流電圧計を、他の直流電流計測器の交流電源及
   び交流電圧計として共用したことを特徴とする直流電流
   計測器。