JP2608178C - - Google Patents

Info

Publication number
JP2608178C
JP2608178C JP2608178C JP 2608178 C JP2608178 C JP 2608178C JP 2608178 C JP2608178 C JP 2608178C
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iron powder
powder
green compact
weight
density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
Other languages
English (en)
Original Assignee
川崎製鉄株式会社
Publication date

Links

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は粉末冶金用鉄粉に関し、特に、高圧縮性と高圧粉体強度と低圧粉体抜
出力とを兼ねそなえた水アトマイズ鉄粉に関するものである。 〔従来の技術〕 鉄系焼結部品の適用範囲は年々広がってきてお り、しかものその対象はより高強度でかつ歯車等の複雑形状部品へと向かってい
る。 鉄系焼結部品の機械的強度は圧粉体の密度に依存するところが大きく、一定の
成形圧力で成形した場合に、より密度の高い鉄粉(高圧縮性鉄粉)が必要とされ
る。 一般に市販されている高圧縮性鉄粉としては水アトマイズ鉄粉が挙げられる。
例えば市販の鉄粉Aは、ステアリン酸亜鉛を1重量%添加し、5t/cm2の圧
力で成形した場合に6.90g/cm3の圧粉体密度が得られる(JSPM標準1
−64金属粉の圧縮性試験法による)。また、同じく市販の鉄粉Bも同じ成形条
件で6.85g/cm3が得られる。また、市販されている最も高圧縮性鉄粉Cは
同じ条件で7.03g/cm3という高い圧粉密度が得られる。さらに特公昭54
−10935号公報には6ton/cm2の圧力で成形した際に7.3g/cm3
以上の圧粉体密度が得られる鉄粉が紹介されている。 鉄粉の高圧縮性化のための手段としては、前記 公報にもあるように、Mn,Cu,Ni,Cr,O,その他の不純物を減少させ
ることが知られている。 また、鉄粉の粒子形状を球状化することも有効な手段として知られている。粒
子の球状化の程度をはかる手段としてはJIS Z 2504金属粉の見掛密度
試験方法があるが、第1図に示すように、粒子形状が丸くなるほど見掛密度が大
きくなり同一成形圧力で成形した際により高い圧粉密度が得られる。 しかし、一般に粒子の形状が丸くなると、加圧成形時に粒子同士のからまり合
いが小さくなり圧粉体の強度が低くなる。圧粉体の強度を表す指標としては、A
STM B312−64による圧粉体抗折力、またはJSPM標準4−69金属
圧粉体のラトラー試験法によるラトラー値が用いられるが、第2図、第3図に示
すように見掛密度が大きい鉄粉ほどラトラー値が大きく圧粉体抗折力は小さな値
を示す。 粉末冶金においては、圧粉体を成形プレスから 次工程である焼結を施す焼結炉まで何らかの手段で搬送する必要があり、圧粉体
の強度が小さいと圧粉体にクラックが入ったり、割れたり、あるいは一部が欠け
たりする問題が起こる。この問題は、複雑形状、特に薄肉部品を製造する場合に
おいて特に顕著となる。 すなわち、鉄粉粒子の形状を極度に球状化して圧縮性を向上させる場合には、
鉄粉粒子同士のからまり合いが小さくなり、圧粉体強度が低下し、工業的に高密
度複雑形状部品を製造するには適さないという問題がある。前記公報の実施例に
は圧粉体強度の記述はないが、実施例によれば見掛密度が3.1g/cm3であり
、市販の水アトマイズ鉄粉のレベル(2.8〜3.0g/cm3)よりかなり高く
、圧粉体強度がかなり低いものと推測される。 一方で、高密度部品を製造するために成形圧力を高くした場合、または複雑形
状部品で成形金型と圧粉体の接触面積が多い場合には、鉄粉を金型内で成形した
後、圧粉体を金型から取出す際に必要な抜出力が大きくなる。金型から圧粉体を
取出 す時に必要な抜出力の測定法としては日本粉末冶金工業会標準化指針圧粉体抜出
力がある。 この抜出力が大きいと、複雑形状部品を製造する際に、金型から圧粉体を抜き
出す時に圧粉体に大きなせん断応力が働き、クラックが入ったり時には割れたり
し、大きな問題となる。 一般に第4図に示すように、鉄粉の粒子形状が球状に近いほどすなわち見掛密
度が大きいほど抜出力が低い傾向がある。 すなわち、圧縮性を向上させ、抜出力を小さくするためには見掛密度を大きく
することが有効であるが、見掛密度を大きくすると圧粉体強度が低下する。 第1表に前記鉄粉A,B,Cの見掛密度流動度、1重量%ステアリン酸亜鉛を
加えて5t/ cm2で成形した場合の圧粉密度、ラトラー値を示す。 C鉄粉はA鉄粉に比べ、圧粉密度が7.03g/cm3と0.10g/cm3以上
も大きく圧縮性に優れているが見掛密度が大きく粒子形状が球に近いためラトラ
ー値がA鉄粉より大きく圧粉体強度が低い。 第2表に上記3種の鉄粉にステアリン酸亜鉛を1重量%加え混合した粉末を用
い、5t/cm2で成形した場合の圧粉体の金型からの抜出力と圧粉体抗折力を
示す。 C鉄粉は粒子が球状に近いのでA鉄粉に比し抜出力が小さいが、粒子同士のか
らまり合いが小さいので圧粉体抗折力が非常に小さい。 このように高圧縮性と低抜出力と高圧粉体強度の3つの特性を同時に満足する
ことは不可能であった。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、高圧縮性と低圧粉体抜出力と高圧
粉体強度とを同時に満足する粉末冶金用鉄粉を提供しようとするものである。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は上記課題を解決するために、水アトマイズ鉄粉であって、 炭素:0.003重量%以下 窒素:0.0020重量%以下 鉄及び不可避的不純物:残部 からなり、+100メッシュが15〜30重量%で−325メッシュが5〜20
重量%の粒度構成を有し見掛密度が2.90を越え3.15g/cm3以 下である粉末冶金用鉄粉を提供する。この鉄粉はステアリン酸亜鉛を1重量%加
えて5t/cm2の成形圧力で成形した場合、圧粉体密度が7.00g/cm3
上、ラトラー値が0.8%以下、圧粉体抗折力が80kgf/cm2以上、かつ圧
粉体抜出し力が210kgf/cm2以下となるものである。 〔作用〕 本発明は、水アトマイズ鉄粉の圧縮性を向上させるために鉄粉の不純物含有量
を制限し、圧縮性を高く、抜出力を低く、ラトラー値を低くするために粗粒の含
有割合を増加させ、圧縮性と抜出力を阻害しない範囲で、かつ圧粉体強度を阻害
しない範囲の見掛密度を選定したものである。 鉄粉の不純物と圧縮性の関係については、Mn,Cu,Si,Cr,P,S等
の固溶型不純物が低いほど、圧縮性は良好であることは知られている。本発明で
は、特に侵入型元素であるC,Nに着目した。市販のA鉄粉について、C及びN
と圧縮性との関係を調査した結果を第5図、第6図に示した。これらの成分はご
く微量で圧縮性に大き な影響が現われるのでできるだけ低い方が好ましく、本発明では、それぞれ0.
003重量%以下、0.0020重量%以下に限定した。 粒度構成については、第7図に示すように、鉄粉の粒度別の圧縮性、ラトラー
値、抜出力には次の関係が明らかである。 圧縮性は粗い鉄粉ほど大きく、ラトラー値は150〜200メッシュの粒度域
の内が最も低く、それよりも粗い側、細かい側では大きくなるが粗い側の大きく
なる傾向は小さい。 また、抜出力は150〜325メッシュの粒度域が大きくそれより細かい側、
粗い側では小さくなる。すなわち圧縮性と抜出力だけを考えれば粗い粒度の鉄粉
が望ましいが、一方でラトラー値すなわち圧粉体強度を考えると極端に粗い粒度
域の鉄粉は望ましくないことが分かる。 第8図は後述の実施例1の鉄粉を用いて第3表に示すように−325メッシュ
の粒度域を約10重量%に固定して粗粒側の+100メッシュ 鉄粉の粒度域を約10〜35重量%に調整した場合の圧粉密度、ラトラー値、抜
出力を示す。 この結果から+100メッシュの鉄粉の比率が30重量%を越えると急激にラ
トラー値が大きくなるので+100メッシュの比率の上限を30重量%とした。
一方、圧縮性と抜出力は+100メッシュが15重量%未満で急激にそれぞれ小
さく、大きくなるので、+100メッシュの下限を15重量%とした。 一方、同じく実施例1の鉄粉を用いて粗粒側(+100メッシュ)の粒度域を
約20重量%に固定し、微粒側(−325メッシュ)の含有量を第4表に示すよ
うに約0〜30重量%に調整した場合の圧粉密度、ラトラー値、抜出力を第9図
に示す。 −325メッシュが20重量%を越えると、極端に圧粉密度とラトラー値がそ
れぞれ小さく、大きくなり、また5重量%より少なくなると抜出力が大きくなる
ので、−325メッシュの粒度比率を5〜20重量%とした。 見掛密度は実施例1の鉄粉を製造する際の還元処理後のケーキ状となったもの
の解砕条件を変えて種々の見掛密度の鉄粉を得たが、第10図に示すように2.
90g/cm3未満では圧粉密度が小さく抜出力が大きくなり、3.15g/cm
3を越えるとラトラー値が極端に大きくなるので、見掛密度を2.90〜3.15
g/cm3とした。 〔実施例〕 実施例1 電気炉にて、C;0.15,Si;0.01,Mn;0.01,P;0.003,
S;0.008,Cr;0.02,Ni;0.02,Cu;0.01(重量%)の溶
鋼を溶製した。 この溶鋼を水圧100〜120kgf/cm2,水量1〜2m3/minの噴霧
条件により水アトマ イズした。得られた粉末に脱水・乾燥を施し60メッシュの篩網で篩分け、磁選
機で非金属介在物を除去後、純水素ガス気流中で1000℃で1時間還元処理し
た。 還元後の鉄粉はケーキ状になっているのでハンマーミルで解砕し60メッシュ
で篩分けた。 さらにこの鉄粉を、より脱炭素、脱酸素、脱窒素処理を行うことと解砕時の歪
みを除去する目的で、さらに800℃で30分間純水素ガス気流中で焼鈍を行な
い、その後、再びハンマーミルで歪をできるだけ与えない様に弱解砕し60メッ
シュで篩分け、粒度調整を行なった。 この様な工程を経て得られた鉄粉の化学成分、見掛密度、流動度、粒度分布、
ステアリン酸亜鉛を1重量%加え、5t/cm2の圧力で成形した場合の圧粉密
度、ラトラー値を、市販の水アトマイズ、鉄粉A,B,Cと比較して第5表に示
す。 また、これらの粉末にステアリン酸亜鉛1重量%を加え5t/cm2で成形し
た場合の圧粉体抗折力と圧粉体抜出力と圧粉体抜出力を第11図に示す。 第5表及び第11図から本発明の鉄粉は、市販の鉄粉の最高レベルである5t
/cm2成形で7.05g/cm2という優れた圧縮性を示し、ラトラー値と圧粉
体抗折力は市販の鉄粉のレベルであり、抜出力は市販の鉄粉より小さいことがわ
かり、高圧縮性と、高圧粉体強度と低抜出力とを兼ね備えた鉄粉であることがわ
かる。 実施例2,3 実施例1と同じ工程を経て得られた粉末の特性を実施例2,3として第6表と
第7表に実施例1と合せて示す。 本発明の鉄粉は、圧粉密度、抗折力及び抜出力とも市販品に比べて優れた値を
示す。 実施例では1回目の還元処理を1000℃で1時間行なっているが、これは9
00℃から1100℃の範囲であれば、2時間から30分で行なうことも可能で
ある。 すなわち、溶鋼を水でアトマイズした際の鋼粉中の歪の除去、微細な結晶粒の
粗大化、水アトマイズ時の微細な粒子同士の焼結の促進による凝似粒子形成が1
000℃で1時間行なうものに相当すればよい。 また2回目の焼鈍処理も800℃で30分行なっているが、これは600〜9
00℃で2時間から15分で行なうことも可能である。 また還元と焼鈍処理を行なう雰囲気は純水素ガスに限定されるものでなく、ア
ンモニア分解ガスで行なうことも可能である。 ちなみに本発明の実施例1,2,3の鉄粉と市販鉄粉A,B,Cに電解銅粉2
重量%、天然黒鉛粉0.7重量%、ステアリン酸亜鉛0.75重量%を 加え圧粉体密度が7.00g/cm3になるように成形した場合の、圧粉体抗折
力、抜出力を調査した結果を第8表に示す。 第8表で明らかなように、本発明による鉄粉1,2,3は市販鉄粉に比べ、高
圧粉体抗折力(高圧粉体強度)、低抜出力を兼ね備えた優れた鉄粉である。 〔発明の効果〕 本発明の水アトマイズ鉄粉は、従来の鉄粉では得られなかった高圧縮性と低抜
出力と高圧粉体強度の3つの特性を同時に兼ね合わせ持った鉄粉であり、しかも
、圧縮性と抜出力は市販鉄粉のそれの最高レベルにありながら圧粉体強度も市販
鉄粉の高レベルであるため、従来の鉄粉ではプレス成形困難であった高密度焼結
部品の工業的生産を可能とする。特に高密度複雑形状部品、薄肉形状部品など、
従来の鉄粉ではプレス成形後、金型抜き出す際にクラック・ひび割れの入り易か
った部品、あるいは焼結炉までの搬送中にクラック・ひび割れの入れ易かった部
品の工業的安定生産に大 きく寄与する。
【図面の簡単な説明】 第1図は鉄粉の見掛密度と圧粉密度との関係を示すグラフ、第2図は鉄粉の見
掛密度とラトラー値との関係を示すグラフ、第3図は鉄粉の見掛密度と圧粉体抗
折力との関係を示すグラフ、第4図は鉄粉の見掛密度と圧粉体抜出力との関係を
示すグラフ、第5図は鉄粉の炭素含有量と圧粉密度との関係を示すグラフ、第6
図は鉄粉の窒素含有量と圧粉密度との関係を示すグラフ、第7図は鉄粉の粒度と
圧粉体特性との関係を示すグラフ、第8図は粗粉側鉄粉の比率と圧粉体特性との
関係を示すグラフ、第9図は微粉側鉄粉の比率と圧粉体特性との関係を示すグラ
フ、第10図は見掛密度と圧粉体特性との関係を示すグラフ、第11図は実施例
1の鉄粉と市販鉄粉との圧粉体抗折力と抜出力との関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 水アトマイズ鉄粉であって、 炭素:0.003重量%以下 窒素:0.0020重量%以下 鉄及び不可避的不純物:残部 からなり、+100メッシュが15〜30重量%で−325メッシュが5〜20
    重量%の粒度構成を有し、見掛密度が2.90を越え3.15g/cm3以下であ
    ることを特徴とする粉末冶金用鉄粉。

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3362210B1 (en) Iron based powders for powder injection molding
US10774403B2 (en) Iron-based alloy powder for powder metallurgy, and sinter-forged member
JP2022084836A (ja) 鉄基粉末
KR101531346B1 (ko) 철계 확산접합분말 제조방법
JP2608178B2 (ja) 粉末冶金用鉄粉
JP4668620B2 (ja) 粉末組成物及び高密度圧粉体の製造方法
JP6690781B2 (ja) 合金鋼粉
JP2608178C (ja)
JPH062007A (ja) 圧縮性と磁気特性に優れた粉末冶金用純鉄粉
KR102271296B1 (ko) 철동 합금 분말, 이의 제조방법, 및 이를 이용한 소결체
CN111741822B (zh) 粉末冶金用铁粉
JP2004162170A (ja) 粉末冶金用アトマイズ鉄粉およびその製造方法
KR102077522B1 (ko) 합금분말 조성물 및 이를 이용한 소결체 제조방법
JPH07188714A (ja) 成形性の優れた鉄系粉末
JP3938944B2 (ja) 粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法
JP2020132902A (ja) 焼結部材用予合金鋼粉、焼結部材用粉末、および焼結部材
JPH05263181A (ja) 高強度および高靭性を有するFe基焼結合金部材の製造法
JPS5947358A (ja) 耐摩耗焼結合金用鋼粉
JPH10280011A (ja) アルニコ合金粉末の製造方法
JP2021001381A (ja) 焼結部材用合金鋼粉、焼結部材用鉄基混合粉末、および焼結部材
JPS6156283B2 (ja)
KR20220078680A (ko) 분말 야금용 합금 강분, 분말 야금용 철기 혼합분 및 소결체
JPH05156404A (ja) 高強度超硬合金
JPS6056001A (ja) 粉末冶金用噴霧生鋼粉
JPH05271851A (ja) 高強度および高靱性を有するFe基焼結合金部材の製造法