JP2606638B2 - 光ファイバに沿った物理量分布の検知方法 - Google Patents

光ファイバに沿った物理量分布の検知方法

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JP2606638B2
JP2606638B2 JP3194040A JP19404091A JP2606638B2 JP 2606638 B2 JP2606638 B2 JP 2606638B2 JP 3194040 A JP3194040 A JP 3194040A JP 19404091 A JP19404091 A JP 19404091A JP 2606638 B2 JP2606638 B2 JP 2606638B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ファイバに沿った物理
量分布の検知方法、特に光ファイバ自体をセンサとして
光ファイバに沿った温度等の物理量の分布を検知する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバを用いた物理量検知センサと
しては、一般に光ファイバに沿った温度分布を測定する
温度分布検知センサが知られている。このセンサでは、
図2に示すように、光源1で発生した光パルスを光カプ
ラや光分波器等の光分岐・光分波手段3を介して光ファ
イバ4の光入射端から光ファイバ4に入射させる。そし
て、この光ファイバ4に入射した光パルスが光ファイバ
4中を進行するに従い、光ファイバ4の各位置で発生す
る散乱光のうち光入射端に戻ってくる後方散乱光を、光
分岐・光分波手段3により、測定したい第1の散乱光の
波長と第2の散乱光の波長とに分離して取り出し、それ
ぞれO/E変換器5s、5aにより電気信号に変換し、
点線で示す2組のOTDR(Optical Domain Reflectom
etry)計測回路90s、90aに入力する。ここで、サ
ンプリング回路6s、6aにより各電気信号を時間間隔
s でサンプリングして、第1及び第2の散乱光の時間
関数g1 (t)及びg2 (t)を測定する。光ファイバ
4中で発生する散乱光量は、微弱であり、g1 (t)、
2 (t)のSN比は悪いため、これを改善するために
前記光パルス入射から、サンプリングまでの動作を多数
回繰り返し、平均化処理回路7s、7aによりg
1i(t)、g2i(t)の平均化処理を行いSN比を改善
したG1 (t)、G2 (t)をそれぞれ得る。なお、9
はパルス駆動用のコントローラ、8は計測データを演算
して温度分布情報を得るための物理量分布演算器であ
る。
【0003】ここで、光ファイバ4中での光速vが既知
であれば、時間の関数として測定したG1 (t)、G2
(t)をサンプリング距離間隔xのサンプリング点毎に
定義される光ファイバ4に沿った距離の関数G
1 (x)、G2 (x)に置き換えることが可能である。
このようにして得られた距離の関数G1 (x)とG
2 (x)はそれぞれ第1及び第2の波長の後方散乱光強
度を光ファイバの一端で測定したものであるため、x地
点で発生した散乱光の発生確率R1 (x)、R2 (x)
との間には、それぞれ(1)、(2)式に示す関係があ
る。
【0004】
【数1】
【0005】ここに、P0 :光ファイバ入射光パワ α0 :入射光波長の光ファイバ伝送損失[dB/m] γ:後方散乱係数 α1 ,α2 :第1及び第2の波長の光ファイバ伝送損失
[dB/m] M1 ,M2 :第1及び第2の波長のO/E変換効率 従って、x地点の第1及び第2の散乱光の発生確率R1
(x),R2 (x)は、それぞれ(3)、(4)式で表
わされ、それらはK1、K2 が分かれば測定値G
1 (x)、G2 (x)を用いて求めることができる。
【0006】
【数2】
【0007】一方、光ファイバ中で発生する第1の波長
の散乱光と第2の波長の散乱光発生確率R1 、R2 と温
度Tの間に(5)式で示すような関係があり、距離xで
の温度T(x)は、(6)式を用いて求めることができ
る。
【0008】 T=Q(R1 ,R2 ) …(5) T(x)=Q{R1 (x),R2 (x)} …(6) このようにして、光ファイバに沿った温度分布T(x)
を求めることができる。これらの関係について詳細に説
明すると、次のようになる。すなわち、第1の波長の散
乱光としては、ラマン散乱光のストークス光を、第2の
波長の散乱光としては、ラマン散乱光のアンチストーク
ス光を用いる。これらの散乱光の発生確率Rs 、Ras
温度Tの間には(7)式に示す関係がある。
【0009】 Ras/Rs =k1 exp(k2 /T) …(7) ここに、k1 、k2 は使用する光源及び光ファイバによ
り決る定数従って、距離xの温度は次の(8)式で表わ
される。
【0010】
【数3】
【0011】ここに、K=k2 /(k1 ×K1 ) 定数Kは光ファイバの特定点xr の温度T(xr )が分
かれば求めることができ、また、ストークス光、及びア
ンチストークス光波長での光ファイバの伝送損失の
α1 、α2 は予め測定することができる。従って、スト
ークス光、及びアンチストークス光波長での後方散乱光
強度分布G1 (x)、G2 (x)を測定することによ
り、光ファイバに沿った温度分布T(x)を測定するこ
とができる。
【0012】また、(8)式から分かるように、光ファ
イバの伝送損失α1、α2 が光ファイバに対する外圧に
より生じたマイクロベンド損等により、Δαづつ変化し
ても、この変化分は相殺され、温度分布T(x)はこの
影響を受けずに求めることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このセ
ンサ用の光ファイバを放射線環境等の特殊環境下で使用
した場合、光ファイバの伝送損失の変化が生じるが、2
つの波長での伝送損失α1 、α2 が必ずしも同じ変化幅
でないことから、温度分布を正しく測定できないという
問題が生じることが分かった。
【0014】本発明の目的は、前記した従来技術の欠点
を解消し、放射線等の特殊環境下でも、測定している2
つの波長の光ファイバ伝送損失変化の差の影響を受ける
ことなく、温度分布等の物理量分布を正しく測定できる
新規な光ファイバに沿った物理量分布の検知方法を提供
することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、光ファイバ中
で発生する少なくとも2種類の散乱光を測定することに
より、該光ファイバに沿った物理量の分布を検知する方
法において、T:温度、 n:サンプリング点の番号、 K,k 2 :使用する光源及び光ファイバにより決まる定
数、 1 ,a 2 :第1の散乱光の波長及び第2の散乱光の波
長における(n−1)番目のサンプリング点と、n番目
のサンプリング点の間での伝送損失、 1 ,G 2 :第1の散乱光の波長及び第2の散乱光の波
長について測定したサンプリング点nにおける光ファイ
バからの後方散乱光強度であるとき、
【数1】 の式を用いて光ファイバに沿った物理量分布を求めるよ
うにしたものである。
【0016】なお、物理量としては、温度の他に放射線
量、歪、圧力等がある。
【0017】
【作用】光ファイバ中で発生する第1及び第2の波長の
散乱光の発生確率R1 ,R2 と温度などの物理量hとの
間には一定の関係式h=Q(R1 ,R2 )が成立する。
従って、散乱光の発生確率が分かれば光ファイバに沿っ
た物理量を検知できる。散乱光の発生確率は散乱光強度
の時間関数から求められる。すなわち、第1の散乱光の
波長について測定した光ファイバからの後方散乱光強度
の時間関数g1 (t)と、第2の散乱光の波長について
測定した光ファイバからの後方散乱光強度の時間関数g
2 (t)とを用いれば、物理量h(x)が求められる。
【0018】この場合において、物理量h(x)は、2
つの波長での伝送損失α1 、α2 に関して、10の(α
1 −α2 )乗という因子を含んでいる。α1 、α2 は定
数として扱われるが、特殊環境下にあるとこれに起因し
て2つの波長の伝送損失α1 、α2 に変化が生じる。こ
の変化は同じ変化幅でないため、相殺されず物理量h
(x)は大きな影響を受けることになる。この影響を回
避するためには、α1 、α2 を共に変数としてとらえれ
ばよいのであるが、2つの変数を把握するのは難しい。
α1 とα2 とが何らかの相関をもっており、その相関式
がわかって1つの変数で表わせれば上記影響が容易に回
避できる。
【0019】本発明者は、2つの波長の光ファイバ伝送
損失α1 、α2 の変化の間に一定の関係があることを見
出した。すなわち、放射線等の特殊環境下において、第
1の散乱光の光ファイバ中の伝送損失α1 と第2の散乱
光の光ファイバ中の伝送損失α2 との間に、一般的には
関係式α2 =f(α1 )が成立つことがわかった。具体
的には、放射線環境下でのストークス光とアンチストー
クス光との伝送損失関係を照射時間を変えて測定した結
果を例にとると、図1に示すようになる。図中の○印は
初期値であり、照射時間と共に第1の散乱光の伝送損失
α1 は増加し、それに伴って第2の散乱光の伝送損失α
2 は矢印の向きに変化する。この結果から分かるように
2波長の伝送損失α1 、α2は、(9)式の関係にある
ことが分かる。また、光源の波長での伝送損失α0 をα
1 及びα2 に加えたものに対しては、(10)式の関係
が成立する。
【0020】 α2 =A′×α1 +B′ …(9) (α0 +α2 )=A×(α0 +α1 )+B …(10) ここに、A、A′、B、B′は定数 このように伝送損失α2 がα1 の関係式で表わせるの
で、予めこの関係を把握しておくことによって、一方の
伝送損失の変化幅を求めれば、他方の伝送損失の変化幅
が分かるので、10の(α1 −α2 )乗という因子につ
いても伝送損失の変化を考慮した正確な演算ができるこ
とになる。
【0021】かくして、これらの関係α2 =f(α1
と、2つの波長での光ファイバからの後方散乱光強度分
布測定結果g1 (t)、g2 (t)を用いて、2つの波
長の光ファイバ伝送損失の変化が同じでない場合にも、
光ファイバに沿った物理量分布を正しく求めることがで
きる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の一実施例をラマン散乱光のス
トークス光とアンチストークス光の波長での光ファイバ
からの後方散乱光強度分布を測定して、光ファイバに沿
った温度分布を測定する場合につき、説明する。
【0023】光ファイバの伝送損失変化は必ずしも光フ
ァイバ全長に亘り均一に生じるものではなく、距離方向
で異なる変化をする場合が一般的であるので、光ファイ
バの伝送損失をサンプリング点毎に異なるものとして扱
う。
【0024】(3)、(4)式をサンプリング点間隔毎
に定義される伝送損失、すなわち(n−1)番目のサン
プリング点とn番目のサンプリング点の間での伝送損失
1 (n)、a2 (n)を用いて表わすと、それぞれ
(11)、(12)式となる。なお、nは、サンプリン
グ点のNo. を表わす。
【0025】
【数4】
【0026】 ここに、a1 (n)=a0 (n)+a1 (n) a2 (n)=a0 (n)+a2 (n) 一方、r番目のサンプリング位置での温度が既知(T
(r))であれば、R1 (n)とR1 (r)の比及びR
2 (n)とR2 (r)の比は、それぞれ(13)、(1
4)式のようになり、これらの式に(10)式の関係を
用いることにより、R1 (n)とR2 (n)は(1
5)、(16)式で示せる。
【0027】
【数5】
【0028】一方、ラマン散乱光のストークス光とアン
チストークス光の発生確率の間には(17)式の関係が
あることが知られており、(15)、(16)式を(1
7)式に代入すると(18)式が得られる。
【0029】
【数6】
【0030】(18)式中の未知数はa1 (n);n=
1、2、…だけであるので、n=r+1の場合のa
1 (r+1)は(18)式から求めることができる。a
1 (r+1)が求まると、n=r+2のときの伝送損失
1 (r+2)を同様にして(18)式から求めること
ができる。このようにして、a1 (n)は順次求めるこ
とができ、a1 (n)と(10)式の関係にあるa
2 (n)も求められることになる。
【0031】a1 (n)とa2 (n)が求められると、
これを(11)、(12)式に代入することにより、ス
トークス光とアンチストークス光の各サンプリング点で
の発生確率R1 (n)とR2 (n)を求めることがで
き、(8)式をサンプリング上の関数として置き換えた
(19)式を用いて各サンプリング点の温度、すなわ
ち、光ファイバに沿った温度分布を、2波長での光ファ
イバ伝送損失の変化量が異なる場合でも、求めることが
できる。
【0032】
【数7】
【0033】一般に、測定に用いる2波長での光ファイ
バ伝送損失の変化量が異なるのは、放射線等の特殊環境
下において顕著であるが、上述したように、2波長での
伝送損失の関係を予め計測しておけば、光ファイバに沿
った物理量を正しく計測できる。また、光ファイバのマ
イクロベンド損に起因する伝送損失の変化も、僅かであ
るが、波長により異なっている。従って、一般環境下に
おいて、マイクロベンド損に起因する伝送損失変化の波
長差についても、予め、これらの関係を把握しておけ
ば、本発明を適用することにより、従来より、さらに高
精度での物理量分布の検出が行えることになる。
【0034】なお、上記実施例では、ラマン散乱光のス
トークス光とアンチストークス光の2波長を測定する場
合について説明したが、ブリルアン散乱あるいはレーリ
散乱等の散乱光を用いる場合でも、本発明は適用でき
る。また、2波長の測定に止まらず、3波長以上の測定
に対しても適用の可能性はある。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、放射線等の特殊環境下
においても、測定している2つの波長の光ファイバ伝送
損失変化の差の影響を受けることなく、温度分布等の物
理量分布を正しく測定できる。また、一般環境下におい
ても、マイクロベンド損等の波長依存性の小さい損失発
生要因について、本発明を適用することにより、従来よ
り、さらに高精度の物理量分布検知が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の物理量分布の検知方法に用いる2波長
の光ファイバ伝送損失の関係例を表わした特性図。
【図2】2波長の後方散乱光の測定により光ファイバに
沿った物理量分布を求める装置例の構成図。
【符号の説明】
1 光源 3 光分岐・光分波手段 4 光ファイバ(センサ用) 5s、5a O/E変換器 6s、6a サンプリング回路 7s、7a 平均化処理回路 8 物理量分布演算器

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光ファイバ中で発生する少なくとも2種類
    の散乱光を測定することにより、該光ファイバに沿った
    物理量の分布を検知する方法において、T:温度、 n:サンプリング点の番号、 K,k 2 :使用する光源及び光ファイバにより決まる定
    数、 1 ,a 2 :第1の散乱光の波長及び第2の散乱光の波
    長における(n−1)番目のサンプリング点と、n番目
    のサンプリング点の間での伝送損失、 1 ,G 2 :第1の散乱光の波長及び第2の散乱光の波
    長について測定したサンプリング点nにおける光ファイ
    バからの後方散乱光強度であるとき、 【数1】 の式を用いて光ファイバに沿った物理量分布を求めるこ
    とを特徴とする光ファイバに沿った物理量分布の検知方
    法。
JP3194040A 1991-08-02 1991-08-02 光ファイバに沿った物理量分布の検知方法 Expired - Lifetime JP2606638B2 (ja)

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JPH0769223B2 (ja) * 1989-06-08 1995-07-26 旭硝子株式会社 温度測定方法および分布型光ファイバー温度センサー
JP2539051B2 (ja) * 1989-08-17 1996-10-02 株式会社東芝 分布型光ファイバセンサ

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