JP2605187B2 - 移動機器の内圧防爆方法及び移動型内圧防爆容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は工場内監視ロボット等の
各種移動機器の内圧防爆方法及び移動型内圧防爆容器に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、工場内監視ロボット等の各種移動
機器を防爆構造とするために、例えば図３、図４に示す
ような方法がとられている。

【０００３】図３の方法は、移動機器を内蔵した移動型
内圧防爆容器ａと、窒素ガスや空気等の不燃性ガスの供
給源ｂとを長いチューブ等ｃで接続し、このチューブ等
ｃを介して供給源ｂから内圧防爆容器ａ内に供給される
不燃性ガスにより、容器ａ内の圧力を周囲の爆発性雰囲
気の圧力よりも高く維持する方法である。

【０００４】また図４の方法は、不燃性ガスを充填した
高圧ガスボンベｄを設置して移動型に構成した不燃性ガ
ス供給源ｅを、移動機器を内蔵した移動型内圧防爆容器
ａに隣接して連結して共に移動可能に構成し、高圧ガス
ボンベｄから減圧装置ｆを経た不燃性ガスをチューブ等
ｃを介して内圧防爆容器ａ内に供給して、この不燃性ガ
スにより、容器ａ内の圧力を周囲の爆発性雰囲気の圧力
よりも高く維持する方法である。尚、図中符号ｇはレー
ル、ｈは車輪、ｉは連結装置を示すものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前者の方法では、移動
機器の移動距離がチューブ等の長さに制限されるという
課題がある。

【０００６】また後者の方法では、チューブ等による移
動距離の制限はないが、移動距離を長くするためには不
燃性ガスの充填量を大きくする必要があり、このため高
圧ガスボンベの重量、寸法が大きくなって、移動に要す
る駆動力が大きくなり、また機器の大型化を来してい
た。更に後者の方法では高圧ガスボンベ内の不燃性ガス
を消費してしまった場合には、ボンベを交換するか高圧
ガスを充填するかしなければならず、いずれの場合にも
高圧ガスを取り扱うので、種々の注意が必要であり、例
えばボンベを交換せずに高圧ガスを充填可能とするため
には、内圧防爆容器内の移動機器に高圧が加わらないよ
うにするための安全装置等が必須となる。またこのよう
な高圧ガスボンベの交換や高圧ガスの充填は自動化が極
めて困難である。本発明は以上の課題を解決することを
目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ための手段を、実施例に対応する図１、図２を参照して
説明すると、まず本発明は、移動機器４を内蔵した内圧
防爆容器１内にデュワーびん５を設置して、これに低温
の液化不燃性ガス２１を充填し、気化した低温の不燃性
ガスにより内圧防爆容器１内の圧力を維持すると共に移
動機器の冷却に供する内圧防爆方法を提案する。

【０００８】上記方法に於いて、不燃性ガスは窒素ガス
を用いるのが好適である。

【０００９】また本発明では、移動可能に構成した密閉
容器内にデュワーびん５を設置すると共に、該デュワー
びん５への低温の液化不燃性ガスの充填手段を構成し、
その充填口７を上記密閉容器の外側に設けると共に、上
記密閉容器には内部の不燃性ガスの放出手段を設けた移
動型内圧防爆容器を提案する。

【００１０】この防爆容器１に於いて、上記充填手段
は、充填口を構成する液体コネクタ７と逆止弁８と電磁
弁９を設けた充填経路１０と、デュワーびん５に設けた
満液及び液位低下センサ１１，１２により充填動作を制
御する制御装置１３とから構成することができる。また
上記放出手段には内圧調整弁１５を設けることができ
る。更に、上記の内圧防爆容器１内に撹拌用ファン６を
設けることができる。

【００１１】

【作用】デュワーびん５内から気化した不燃性ガス、例
えば窒素ガスが内圧防爆容器１内に充満するので、この
防爆容器１内を周囲の爆発性雰囲気の圧力よりも高く維
持することができる。低温の液化不燃性ガスはデュワー
びん５に充填しているので、適切な気化量が得られる。
過剰の不燃性ガスは放出手段から放出することにより、
防爆容器１内の必要以上の圧力上昇を防ぐことができ、
この放出手段に内圧調整弁１５を設けることにより、防
爆容器１内の圧力を一定に維持することができる。

【００１２】デュワーびん５内から気化した不燃性ガス
は低温であるから、防爆容器１内に設置した電気機器等
の移動機器４を冷却する作用もあり、この移動機器４の
冷却は、撹拌用ファン６を動作させて効率的に行うこと
ができる。

【００１３】時間の経過によりデュワーびん５内の液化
不燃性ガス２１が所定量以下となった場合には、防爆容
器１の外側に設けた充填口７から充填することができ、
この充填は高圧ガスの充填ではないから、作業を、容
易、迅速そして安全に行うことができる。

【００１４】かかる充填作業は、デュワーびん５に設け
た満液及び液位低下センサ１１，１２により充填動作を
制御する制御装置１３により、充填経路１０に設けた電
磁弁９や液化不燃性ガスの充填部１６側の電磁弁１９等
を制御することにより、自動化も可能である。

【００１５】こうして本発明の防爆容器１は、それ自体
の内部に保護気体としての不燃性ガスの供給源を内蔵し
た状態で移動機器４を移動することができる。

【００１６】

【実施例】次に本発明の実施例を図について説明する。
図１及び図２は本発明の構成を概念的に表したもので、
かかる図に於いて符号１は内圧防爆容器を示すもので、
この内圧防爆容器１は密閉容器により構成し、レール等
の案内路２に沿って走行する車輪３によって移動する構
成としている。かかる移動機構、その他の具体的機構
は、周知の機構等を利用して適宜に構成することがで
き、その図示は省略している。

【００１７】上記防爆容器１内には、工場監視用ロボッ
ト等の移動機器４を設置すると共に、デュワーびん５を
設置している。そして上記防爆容器１の内部には、低温
の液化不燃性ガスの充填手段と、気化した低温の不燃性
ガスの放出手段と撹拌用ファン６を設けている。

【００１８】この充填手段は、充填口を構成する液体コ
ネクタ７と逆止弁８と電磁弁９を設けた充填経路１０
と、上記デュワーびん５に設けた満液及び液位低下セン
サ１１，１２により充填動作を制御する制御装置１３と
から構成しており、液体コネクタ７と逆止弁８は防爆容
器１の外側に構成している。また上記放出手段は、放出
管１４と内圧調整弁１５とから構成している。尚、上記
満液及び液位低下センサ１１，１２は制御液位に設けた
温度センサにより構成している。

【００１９】次に符号１６は液化不燃性ガスの充填部を
示すもので、この充填部１６は液体窒素タンク１７と、
このタンク１７からの液体窒素供給管１８に設けた電磁
弁１９と、上記液体コネクタ７に対応する液体コネクタ
２０とを設けている。

【００２０】以上の構成に於いてデュワーびん５内に液
体窒素２１を充填すると、ここから気化した低温の窒素
ガスが防爆容器１内に充満するので、内部の圧力を周囲
の爆発性雰囲気の圧力よりも高く維持することができ、
内圧防爆容器として使用することができる。この内圧防
爆容器１は、それ自体に窒素ガス供給源を有しているの
で移動が自在である。従って内部に設置した移動機器４
を適所に移動して工場等の監視や、その他の動作を行わ
せることができる。

【００２１】防爆容器１内の窒素ガスの圧力が設定圧力
よりも高くなると、内圧調整弁１５が開となって放出管
１４から窒素ガスが放出され、従って内圧が一定に保持
される。

【００２２】デュワーびん５内から気化する窒素ガス
（１ａｔｍの沸点‐１９６℃）は低温であるので、防爆
容器１内に設置している移動機器４を冷却することがで
き、従って移動機器４を構成する電気回路素子等からの
発熱を吸収することができる他、低温で効率的に動作す
る素子等の使用を可能とする。必要に応じて撹拌用ファ
ン６を動作させると、防爆容器１内に充満している窒素
ガスが撹拌され、上述した冷却作用をより効果的に行う
ことができる。

【００２３】以上の使用状態に於いて時間が経過して、
デュワーびん５内の液体窒素２１が所定量以下となる
と、液位低下センサ１２が制御装置１３に液位低下信号
を発する。この液位低下信号を受け、制御装置１３は予
めプログラムされたシーケンスの充填動作を開始する。
即ち、制御装置１３は上記液位低下信号を受けると、移
動機構を動作させて防爆容器１を充填部１６まで移動し
て、上記コネクタ７，２１同士を連結し、次いで各電磁
弁９，１９を開として液体窒素タンク１７からの液体窒
素の充填を開始する。そして充填によりデュワーびん５
内の液体窒素２１の液位が所定の位置に達して満液セン
サ１１が満液信号を発すると、制御装置１３は上記電磁
弁９，１９を閉として充填作業を終了する。充填作業後
は、再び元の場所に移動して、上記監視動作等を継続す
ることができる。尚、本発明に於ける低温の液化可燃性
ガスの充填は、以上説明したように自動的に行うように
する他、手動操作で行うようにすることもできる。

【００２４】

【発明の効果】本発明は以上の通り、内圧防爆を行うた
めの不燃性ガスの供給源を移動機器と共に移動させるの
で、長いチューブ等で所定位置に設置した供給源から不
燃性ガスを供給する方法のような、移動距離の制限がな
い。また本発明に於いては不燃性ガスを、デュワーびん
に充填した低温の液化不燃性ガスとして移動させ、これ
を気化して内圧防爆に供するので、高圧ガスボンベによ
り高圧ガスの状態で移動させるものと比較して、数百分
の一の容積及び重量で等量の不燃性ガスを移動させるこ
とができ、従って機器全体としての小型化を図れると共
に移動距離を大幅に延長することができ、また移動に要
する駆動力も小さくなるので、この点に於いても小型化
に寄与すると共にコストを低減することができる。更
に、気化した不燃性ガスは低温であるため、これを移動
機器を構成する電気回路素子等の発熱の冷却に有効利用
することができる。また低温の液化不燃性ガスとして、
例えば液体窒素を利用すると、その気化温度（−１９６
℃）程度の低温で効率的に利用することができる電気回
路素子等の利用を可能にする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の移動型内圧防爆容器の構成の一例を表
した説明図である。

【図２】図１の移動型内圧防爆容器に於ける液体窒素の
充填状態の一例を表した説明図である。

【図３】従来の内圧防爆方法の一例を表した説明図であ
る。

【図４】従来の内圧防爆方法の他例を表した説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 内圧防爆容器 ２ 案内路 ３ 車輪 ４ 移動機器 ５ デュワーびん ６ 撹拌用ファン ７ 液体コネクタ（充填口） ８ 逆止弁 ９ 電磁弁 １０ 充填経路 １１ 液位低下センサ １２ 満液センサ １３ 制御装置１３ １４ 放出管 １５ 内圧調整弁 １６ 充填部 １７ 液体窒素タンク １８ 液体窒素供給管 １９ 電磁弁 ２０ 液体コネクタ ２１ 液体窒素

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒川 正裕 千葉県船橋市古作４−８−３ (72)発明者 吉岡 達夫 東京都千代田区神田駿河台四丁目６番地 株式会社 日立製作所内 (72)発明者 山本 隆義 広島県呉市宝町６番９号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 渡辺 英二 広島県呉市宝町６番９号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 仁科 幸法 広島県呉市宝町６番９号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (56)参考文献 特開 平１−318104（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−22246（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−168492（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−103290（ＪＰ，Ａ)

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移動機器を収容した内圧防爆容器内にデ
   ュワーびんを設置して、これに低温の液化不燃性ガスを
   充填し、気化した低温の不燃性ガスにより内圧防爆容器
   内の圧力を維持すると共に移動機器の冷却に供すること
   を特徴とする内圧防爆方法
2. 【請求項２】 不燃性ガスは窒素ガスであることを特徴
   とする請求項１記載の移動機器の内圧防爆方法
3. 【請求項３】 移動可能に構成した密閉容器内にデュワ
   ーびんを設置すると共に該デュワーびんへの低温の液化
   不燃性ガスの充填手段を構成し、その充填口を上記密閉
   容器の外側に設けると共に、上記密閉容器には内部の不
   燃性ガスの放出手段を設けたことを特徴とする移動型内
   圧防爆容器
4. 【請求項４】 充填手段は、充填口を構成する液体コネ
   クタと逆止弁と電磁弁を設けた充填経路と、デュワーび
   んに設けた満液及び液位低下センサにより充填動作を制
   御する制御装置とから構成したことを特徴とする請求項
   ３記載の移動型内圧防爆容器
5. 【請求項５】 放出手段には内圧調整弁を設けたことを
   特徴とする請求項３記載の移動型内圧防爆容器
6. 【請求項６】 密閉容器内に撹拌用ファンを設けたこと
   を特徴とする請求項３〜５までのいずれか１項に記載の
   移動型内圧防爆容器