JP2603830B2 - 油脂の製造法 - Google Patents

油脂の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 (a)産業上の利用分野 本発明はグリセリドの2位の脂肪酸残基の炭素数が1
位または3位の脂肪酸残基の炭素数に比較して鎖長が大
きい新規な特殊構造油脂の製造法に関する。本発明で得
られる特殊構造油脂は医薬分野、食品分野などで利用さ
れる。
(b)従来の技術 従来、食用や医薬用をはじめ種々の産業で利用されて
いる油脂は、主として動植物などの組織から単離、製造
されたものであり、そのグリセリドの成分構成は各種脂
肪酸がいわゆるランダム分布している混合物である。一
方、大豆油、タナネ油、サフラワー油などに代表される
植物系油脂は必須脂肪酸でありリノール酸を多く含み、
また牛脂、魚油のような動物系油脂は短鎖およびC20
上の高度不飽和脂肪酸(EPA:エイコサペンタエン酸、DH
A:ドコサヘキサエン酸など)を含むなどの特色をもって
いる。特にリノール酸が血清コレステロールの低下効果
をもつこと、EPAやDHAが血小板凝集抑制作用や血清コレ
ステロール低下作用を有し、脳血栓の予防効果をもつこ
となどから、近年これらの長鎖高度不飽和脂肪酸の摂取
が健康の維持に重要であることが強調されている。その
ため、サフラワー油や魚油精製品が各種食品に使用され
るケースが増えているが、これらの脂肪酸を多く含む油
脂の消化吸収性はあまり良いとはいえない。特に病人や
老人のように消化機能が衰えた人々にとっては消化吸収
性の問題はさらに大きくなる。
一方、このような長鎖脂肪酸に対して、炭素数が8〜
12程度の比較的短い脂肪酸から成る油脂、すなわち中鎖
脂肪酸グリセリド(MCT)が、非常に吸収も早く、代謝
もされ易いことが知られており、流動食の脂質源などと
して利用されている。しかし、MCTはその急速な吸収お
よび代謝に伴う消化器管の不調(下痢など)や、多量摂
取時のケトン体の生成などの副作用を生じることも多か
った。このようにエネルギー源としてMCTを多用するこ
とは困難なため、MCTとLCT(長鎖脂肪酸トリグリセリ
ド)を併用すること、すなわち両者の混合物、もしくは
両者のランダム・エステル基交換物が提案されている
が、これらの方法も消化吸収性の点でなお不十分であっ
た。
また、上記の長鎖高度不飽和脂肪酸は酸化、劣化、変
性しやすく、他の油脂類との単なる混合物あるいはラン
ダム・エステル基交換物では満足できるものは得られて
いない。
一方、エステル交換の手段としては1,3位特異性リパ
ーゼを用いる方法が知られており、例えばグリセリドと
脂肪酸を通常、ヘキサンなどの有機溶剤の共存下に混合
し、これに酵素が機能を発現するための少量の水分を付
与したリパーゼを共存させ、数時間ないし数十時間、静
置あるいは撹拌し、あるいは該リパーゼを支持担体に吸
着または結合させた固定化リパーゼと接触させる。
かかる反応により、一方の原料であるグリセリドの脂
肪酸残基は他方の原料である遊離脂肪酸残基と置換し、
エステル基交換反応物が得られるが、該反応物は実際的
には未反応物、グリセリドの1位もしくは3位交換物、
1位および3位交換物のほかに1位および2位交換物、
2位および3位交換物、1位および2位および3位交換
物、さらに加水分解物と推定されるジグリセリドやモノ
グリセリドを含有し、さらにエステル基交換反応が平衡
反応であるがために原料の遊離脂肪酸とエステル基交換
反応により生成する遊離脂肪酸とが共存する複雑な混合
組成物となる。かかる組成物からグリセリドの1位およ
び3位交換物のみを単離する方法としては、従来、アル
カリ洗浄、蒸留、イオン交換樹脂処理、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー等により遊離脂肪酸、さらには部
分グリセリドを除去した後、グリセリドの融点などの物
性の差を応用した溶剤もしくは無溶剤分別により目的と
するグリセリドを得るものであった。
しかしながら、旧来のアルカリ洗浄法では操作中の乳
化現象のために目的成分の損失が大きく、また水蒸気蒸
留や分子蒸留ではその処理による熱履歴のため短鎖ない
し中鎖脂肪酸を利用する場合には、グリセリド間あるい
はグリセリドと共存する遊離脂肪酸との間で脂肪酸基の
熱転移がおき、特に1位および3位のエステル基交換反
応物ではグリセリドの位置、特異性のある成分が得られ
難いという大きな欠点をもち、イオン交換樹脂処理では
操作時のpH変動による同様の現象がおき、さらにシリカ
ゲル等のカラムクロマトグラフィーでは大量の複雑な混
合溶剤を使用せねばならず、また、多量の遊離脂肪酸が
共存する場合には処理量に限界がありコスト高にならざ
るを得ないなどの諸々の欠点を有していた。またグリセ
リド組成の分画において、溶剤を使用あるいは使用せず
分別する方法では主として各成分の融点差を利用するも
のであるが、2種以上の成分が共存する場合にはそれら
の間で融点降下現象を示し、各成分の混合比率とも相ま
って分別のための温度コントロールは極めて微妙な操作
方法を必要とし、また単一の操作では高純度の目的成分
が得難く、したがって設備・装置が大型化せざるを得な
いという産業的な利用を考慮する際、極めて大きな欠点
を有している。
(c)発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、医薬品分野、食品分野において利用
できる、安定性の良いしかも消化吸収性の極めて優れた
新規な特殊構造の油脂を製造するにあたり、従来の欠点
や不十分な効果を解決した新規な製造方法を提供するこ
とにある。
(d)問題点を解決するための手段 すなわち本発明は、グリセリドとグリセリド、脂肪酸
または脂肪酸エステルとを1,3位特異性のあるリパーゼ
触媒の存在下にエステル基交換反応させることにより、
グリセリドの1,3位の脂肪酸残基の炭素数が2〜16であ
り、2位の脂肪酸残基の炭素数が8〜22であり、かつ2
位の脂肪酸残基の炭素数が1,3位の脂肪酸残基の炭素数
よりも大きい油脂を製造するにあたり、前記エステル
基交換反応物を炭素数8以下の低級1価アルコールおよ
び水からなる含水溶剤(含水率5〜95vol%)で洗浄処
理することにより遊離脂肪酸および/または部分グリセ
リドを除去すること、ついで前記含水溶剤処理物を逆
相型分配カラムクロマトグラフィーで分画処理すること
を特徴とする前記油脂の製造法に関するものである。
本発明の油脂において、グリセリドの1,3位の脂肪酸
はその残基の炭素数が2〜16であり、また2位の脂肪酸
はその残基の炭素数が8〜22であることを要するが、こ
れらに該当するものであれば飽和および不飽和脂肪酸の
いずれでもよく、また幾何異性体,側鎖状異性体等を含
んでいてもよい。また炭素数が偶数または奇数の脂肪酸
でも本発明は何ら影響を受けることはない。これらの脂
肪酸の例としては酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル
酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミ
トオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレ
イン酸、エライジン酸、リノール酸、α−リノレン酸
(18:3,ω3,all−cisΔ9,12,15)、γ−リノレン酸(1
8:3,ω6,all−cisΔ6,9,12)、γ′−リノレン酸(18:
3,ω6,all−cisΔ5,9,12)、ベヘン酸、エルシン酸、ア
ラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン
酸などが使用できる。これらの脂肪酸は目的とする油脂
の性状、生理あるいは栄養効果などにより、適宜、単独
あるいは組み合わせて各種のものを用いることができる
が、油脂の安定性から1,3位に飽和型、2位に不飽和型
脂肪酸を配列させたものが望ましい。また、本発明に係
わるグリセリドはグリセリドの各位置に結合する脂肪酸
において、2位の脂肪酸残基の炭素数が1または3位の
それに比較して大きいことを特定している。これは、上
述の各種脂肪酸を適宜、選択して以下に述べる方法で製
造することができるが、その例としては1,3−ジカプリ
ロ−2−リノレイン、1,3−ジパルミト−2−リノレイ
ン、1−カプリロ−2−オレオ−3−ラウリン、1,3−
ジカプロ−2−エイコサペンタエン酸グリセリド等があ
げられる。
かかる特殊構造油脂を製造するには、グリセリドとグ
リセリド、脂肪酸または脂肪酸エステルとを1,3位特異
性のあるリパーゼ触媒の存在下でエステル基交換反応さ
せるのがよい。原料とすべきグリセリドは合成品または
天産品のいずれでもよく、例えば上述の各種脂肪酸の単
酸基および/または混酸基グリセリドが使用でき、また
大豆油、ナタネ油、ゴマ油、サフラワー油、ひまわり
油、コーン油、パーム油などの植物系油脂や牛脂、ラー
ド、魚油などの動物系油脂を用いることができる。な
お、これらのグリセリドはジグリセリド等の部分グリセ
リドを含んでいても差し支えない。さらに本発明の原料
として使用するグリセリドは少なくともその一方のグリ
セリドの2位の脂肪酸残基の50モル%以上が同一種類の
ものであることが望ましい。これらの例としては合成品
では前述の単酸基および混酸基グリセリド等、天産品で
はオレイックサフラワー油、オレイックひまわり油、茶
油等、また前述の動植物系油脂の分別等による分画物な
どが利用できる。原料とすべき脂肪酸の種類と前述の例
などから目的とすべき特殊構造油脂のグリセリド組成に
見合った鎖長、および不飽和度の脂肪酸を適宜選択して
使用することができる。また原料とすべき脂肪酸エステ
ルは、上述の任意の脂肪酸の1価および/または2価の
低級アルコールエステル、すなわち該脂肪酸のメチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等の各モノア
ルコールエステルまたはエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、1,3−ブタンジオールなどの各ジオール
エステル等が利用できる。かかる原料であるグリセリド
とグリセリドまたは脂肪酸または脂肪酸エステルとをグ
リセリド間反応、およびグリセリドと脂肪酸ジエステル
との反応の場合には1モル:1〜5モル、好ましくは1モ
ル:2〜3モル、グリセリドと脂肪酸または脂肪酸モノエ
ステルとの反応の場合には1モル:2〜7モル、好ましく
は1モル:3〜5モルの割合で原料を混合する。この範囲
を外れる原料配合比率だと反応が十分に進行しなかった
り、また反応が進みすぎて2位交換体が多量に副生する
ので好ましくない。これをエステル基交換反応に必要な
所定温度にて水分を飽和させた後、1,3位特異性のある
リパーゼ触媒を添加し、撹拌、あるいは該触媒を実質的
にエステル基交換反応に関与しない固定支持体に固定化
した固定化触媒に接触させ(例えば固定化触媒を充填し
たカラム内に原料を連続的に通液して)、ヘキサン、石
油エーテルなどの有機溶媒の存在下または非存在下にお
いてエステル基交換反応を行なわせしめる。ここで、1,
3位特異性のあるリパーゼ触媒としては、LIPOZYME(NOV
O社製)、タリパーゼ(田辺製薬(株)製)、リパーゼ
(生化学工業(株)製)、リパーゼD、リパーゼF−A
P、リパーゼM、リパーゼAP、リパーゼR、ニューラー
ゼ(以上天野製薬(株)製)などの市販品を用いること
ができる。
本発明の特徴の1つは、かかる反応で得られる生成物
である混合成分から遊離脂肪酸および/または部分グリ
セリドを効率的に除去する手段であり、該反応物を含水
溶剤で洗浄処理するものである。すなわち、エステル基
交換反応物に対し、含水率が5〜95vol%、好ましくは1
0〜80vol%、さらに望ましくは10〜70vol%の含水溶剤
を0.5〜20重量倍、望ましくは2〜5重量倍添加、撹拌
し、−10〜60℃,望ましくは0〜10℃で静置後、デカン
テーションにより層分離することにより、遊離脂肪酸お
よび/または部分グリセリドを驚異的に除去することが
でき、またトリグリセリドの損失も少なく、熱処理によ
る着色、グリセリドの脂肪酸、殊に短鎖ないし中鎖脂肪
酸はもとより長鎖脂肪酸の転位もおきないという大きな
メリットがある。ここで含水溶剤として使用できる溶剤
の種類は水と均一に混合、溶解するものであり、炭素数
8以下の低級1価アルコールをいい、とりわけ直鎖状低
級1価アルコールすなわち、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノー
ルなどが好ましい。
本発明の他の特徴は、かかる含水溶剤処理で精製した
トリグリセリド組成物から目的とするグリセリドを分画
する手段であり、逆相型分配カラムクロマトグラフィー
を用いて分画するものである。カラムに充填する樹脂と
してはシラノール基(SiOH)をオクタデシル基あるいは
オクチル基などで化学修飾したシリカゲル系吸着剤が利
用でき、例えばオクタデカシラン(ODS)(山村化学研
究所製)、アミノプロピル基をカップリング付加反応さ
せたシリカゲル(伊勢化学(株)製)などの市販品が使
用できるが、ODSが実際上好ましい。溶離液としてはア
クリロニトリル、水、メタノール、エタノールなど種々
の溶媒を単独もしくは2種以上の混合溶剤として用いる
ことができるが、エタノール/アセトン=9/1〜1/9(v/
v)、好ましくはエタノール/アセトン=9/1〜6/4(v/
v)の混合溶剤を使用するのが経済的である。該カラム
処理で分画したグリセリド成分は極めて淡色なもので最
高純度100%まで高めることができるが、目的用途に応
じて適宜純度を調節することも可能である。
本発明によって得られる特殊構造油脂は、同比率の脂
肪酸基を有する混合グリセリドやランダム・エステル基
交換反応物等に比較して酸化安定性に極めて優れている
ことがみとめられた(表−1参照)。
*本法で得たグリセリドの脂肪酸組成を表−2に示し
た。
本発明の油脂は脂肪乳剤輸液、経腸栄養剤の油脂成分
としてとくに好適であり、その他座薬の基剤などの油脂
成分としても有用である。
さらに本発明の油脂は常温で通常液状を呈するものと
して製造することが可能であるため、ドレッシング、マ
ヨネーズに使ったり、流動状の治療用食品の油脂成分と
して利用できる。
また、水産、畜産用飼料に添加する油脂としても本発
明の油脂は使用できる。即ち、哺乳類や魚類は一般的に
幼少期における消化、吸収、代謝能力が弱く、適正な油
脂の投与を行わないと下痢などの障害が出ることがあ
る。従って、このような場合にも本発明のグリセリドを
用いると効果的である。
(e)実施例 以下の実施例において、%はとくにことわらないかぎ
りモル%を意味する。
実施例1 サフラワー油をケン化分解して得られる混合脂肪酸を
尿素、メタノール付加物法で処理し、さらに蒸留して高
純度リノール酸(GLC純度:99.2%)を得た。これをグリ
セリンと混合し、常法によりエステル化、脱酸、脱色お
よび脱臭の各精製処理をしてリノール酸トリグリセリド
を得た。このリノール酸トリグリセリド1モルに対しカ
プリン酸(ヘンケル社製;GLC純度99.5%)3モルを混合
し、40℃で水分を飽和させ、原料に対して10wt%のリパ
ーゼ(田辺製薬(株)製:タリパーゼ)を添加して40〜
45℃で10時間撹拌した。反応後、酵素蛋白質等を加温、
濾過処理により除き、エステル基交換反応粗生成物(酸
価=76)を得た。
次に該反応物に対して4重量倍の含水率20vol%エタ
ノール溶液を加え、撹拌後、5℃に静置してから油層を
分離した。この含水エタノール洗浄物の酸価は0.5であ
った。
さらに該エタノール洗浄物をオクタデカシラン(ODS;
山村化学研究所製 YMC−ODS,60A 30/210μm)を充填
したカラムで溶離液としてエタノール/アセトン=9/1
(v/v)を通液して各フラクションに分取し、目的とす
る新規な特殊構造油脂である1,3−ジカプロ−2−リノ
レイン(10・L・10と略す)を得た。この油脂の組成を
表−3に示す。
実施例2 オレイック・サフラワー油(総脂肪酸中オレイン酸含
量:76.0%,2位脂肪酸中オレイン酸含量:80.5%)1モル
と中鎖トリグリセリド(カプリル酸/カプリン酸=75/2
5のランダム・エステル化物)2モルとを混合し、60〜6
5℃で水分を飽和させ、エステル基交換反応の原料とし
た。一方、内径5cmおよび長さ50cmのステンレス製円管
に固定化リパーゼ(NOVO社製LIPOZYME)を充填し、上述
の原料を50ml/時の流速で通過させエステル基交換反応
を行なわせしめた。該反応物は酸価:6.5、水酸基価:9.
7、全グリセリド中の1,3位エステル基交換体すなわち1,
3−ジカプリロ−2−オレイン(8・O・8)、1,3−ジ
カプロ−2−オレイン(10・O・10)および1−カプリ
ロ−2−オレレオ−3カプリン(8・O・10)の含量:3
8.4%であった。
次に該反応物に対して2重量倍の含水率40vol%イソ
プロパノール溶液を加え、撹拌後、5℃に静置して油層
を分離した。この含水溶剤による洗浄物の酸価は0.1で
あった。
さらに該洗浄物を実施例1と同様にODSカラムクロマ
トグラフィーで分画し、目的とする新規な特殊構造油脂
である8・O・8、10・O・10および8・O・10を得
た。その油脂の組成を表−4に示す。
実施例3 海産クロレラ(C.minutissima)の培養細胞からエイ
コサペンタエン酸を高含有する糖脂質(モノおよび/ま
たはジガラクトシルジグリセリド)を得、常法により糖
鎖を酸分解して構成脂肪酸が12:0(1.3%),14:0(8.5
%),16:0(1.8%),16:1(3.0%),18:0(1.3%),18:
1(1.3%),18:2(1.5%),20:4(4.1%),20:5(77.3
%)であるエイコサペンタエン酸を主成分とするジグリ
セリドを単離した。このジグリセリド1モルに対し5モ
ルのカプリル酸(ヘンケル社製;GLC純度99.7%)を混合
し、実施例2と同様の処理によりエステル基交換反応物
(酸価:121,水酸基価:13.4,全グリセリド中の1,3−ジカ
プリロ−2−エイコサペンタエン酸トリグリセリドの含
量:47.3%)を得た。
次に該反応物に対して5重量倍の含水率65vol%エタ
ノール溶液を加え、実施例2と同様の処理をして油層を
分離した。この洗浄物の酸価:0.2,水酸基価:3.0であっ
た。
さらに該洗浄物を実施例1と同様にODSカラムクロマ
トグラフィーで分画し、目的とする新規な特殊構造油脂
である8・E・8を得た。この油脂の組成を表−5に示
す。
実施例4 リノール酸トリグリセリド(GLC純度:99.5%),酢
酸,リパーゼR(天野製薬(株)製)を用いて実施例1
と同様にエステル基交換反応物を得、含水率70vol%エ
タノール溶液を用いて脱酸後、ODSカラムクロマトグラ
フィーでグリセリド成分を分画し、目的とする新規な特
殊構造油脂1,3−ジアセト−2−リノレイン(2・L・
2)を得た。この油脂の組成を表−6に示す。
(f)発明の効果 本発明の方法によれば、グリセリドの2位の脂肪酸が
エステル基交換反応した成分をほとんど含まず、ほぼ完
全な1,3位エステル基交換体のみから成る抗酸化性の優
れた特殊構造の油脂が得られる。また、エステル基交換
反応物を含水溶剤で単に洗浄するのみで、共存する遊離
脂肪酸や部分グリセリドを除去することができる。さら
に逆相型分配カラムクロマトグラフィーで他のグリセリ
ド成分をほぼ完全に分離し、目的とする特殊構造の油脂
を高純度に精製することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリセリドとグリセリド、脂肪酸または脂
    肪酸エステルとを1,3位特異性のあるリパーゼ触媒の存
    在下にエステル基交換反応させることにより、グリセリ
    ドの1,3位の脂肪酸残基の炭素数が2〜16であり、2位
    の脂肪酸残基の炭素数が8〜22であり、かつ2位の脂肪
    酸残基の炭素数が1,3位の脂肪酸残基の炭素数よりも大
    きい油脂を製造するにあたり、前記エステル基交換反
    応物を炭素数8以下の低級1価アルコールおよび水から
    なる含水溶剤(含水率5〜95vol%)で洗浄処理するこ
    とにより遊離脂肪酸および/または部分グリセリドを除
    去すること、ついで前記含水溶剤処理物を逆相型分配
    カラムクロマトグラフィーで分画処理することを特徴と
    する前記油脂の製造法。
  2. 【請求項2】原料とするグリセリドの少なくとも一方の
    グリセリドの2位の脂肪酸残基の50モル%以上が同一種
    類のものである特許請求の範囲第1項記載の製造法。
  3. 【請求項3】含水溶剤が含水率10〜80vol%の炭素数8
    以下の直鎖状低級1価アルコールである特許請求の範囲
    第1項記載の製造法。
  4. 【請求項4】逆相型分配カラムクロマトグラフィーがオ
    クタデシルシリル化シリカゲルを用いるものである特許
    請求の範囲第1項記載の製造法。
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