JP2603126B2 - 多重織物の織成方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、多重織物の織成方法に関するものであっ
て、特に複合材の強化部材として使用される多重高密度
の織物を織成するための方法に関するものである。

これらの強化部材としては、高強度の複合材を得るた
めに炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の高強度高
弾性が使用される。そしてこれらの繊維をたて糸として
極めて高密度で織込まれる。

従来の技術 このようにたて糸が高密度に配置されていると、たて
糸を制御するヘルドを狭い範囲に多数配置しなければな
らず、たて糸の制御が困難である。

そこで、実開昭61−296143号公報には、たて糸の配列
ピッチを広くして昇降することが記載されている。

発明が解決しようとする問題点 しかしながらこの方法においては、おさは織物の幅に
一致しているため、このおさが後退したときにヘルド及
びおさ羽の位置でたて糸が急激に折曲げられることとな
り、しかも折曲げられた状態でおさ羽に擦られることと
なる。前述のような高強度高弾性繊維は、一般に耐摩耗
性に劣り、摩擦されると毛羽立ちが生じ易い。

本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、手
羽立ち等を生じることなくたて糸を高密度に織込んだ多
重織物を織成する方法を提供することを目的とするもの
である。

問題点を解決するの手段 而して本発明は、織成される織物の幅よりも大きい幅
に亙ってヘルドを配置し、打込みおさのおさ羽の間隔
を、前記ヘルドから織物の織前に至るたて糸の間隔の変
化に応じて変化させることを特徴とするものである。

以下本発明を図面に従って説明する。第１図及び第２
図は本発明により多重織物を織成する状態を示してい
る。１は織物であって、たて糸２とよこ糸３とよりな
り、多重組織により織成されている。

而してこの織物１を構成するたて糸２は、図中右方か
ら供給され、これを昇降するヘルド４は、織物１の幅よ
りも大きい幅に亙って配置されている。

５はおさであって、多数のおさ羽６が設けられてい
る。第３図はこのおさ５を示すものである。このおさ５
は、枠体７の上下の桁8a,8bの中央にそれぞれ一対のプ
レーム9a,9bの端末が、回動自在に取付けられている。

上桁8aに取付けられたフレーム9aの他端には、操作フ
レーム10の端末が止着されており、その操作フレーム10
の他端は互いに回動自在に結合されている。また上下桁
8a,8bの他端は連結ロッド11で連結されている。そして
前記上下のフレーム9a,9bの間におさ羽６が張設されて
いる。

而して操作フレーム10が下動し、第３図に実線で示す
ようにフレーム9a,9bがそれぞれ直線状に配置されてい
ると、おさ羽６はフレーム9a,9bにほゞ直交するので、
その間隔は拡がっている。そして前記操作フレーム10を
上動せしめることにより、第３図に鎖線で示すようにフ
レーム9a,9bは上下桁8a,8bの中央の軸支部を支店として
両端部が上方に回動し、おさ羽６はフレーム9a,9bに対
して角度を持ち、その間隔が小さくなる。そしてフレー
ム9a,9bが回動しておさ羽６の間隔が拡大縮小しても、
おさ羽６は互いに平行な状態を維持している。

そしてこのおさ５は、レース12によりヘルド４の前部
から織物１の織前までの間を往復運動するようになって
いる。そしてこのおさ５の運動により操作フレーム10の
結合部に取付けられた誘導部12がレール14に沿って上下
動し、おさ５が後退したときには誘導部材13が下動して
おさ羽６の間隔が開き、おさ５が前進したときには誘導
部材13が上動しておさ羽６の間隔が狭まるようになって
いる。

而して織物１を織成する際には、先ずおさ５が後退し
ておさ羽６が開き、広い幅のヘルド４から織物１の織前
までたて糸２はほゞ直線状に延びている。この状態の下
でヘルド４によりたて糸２が開き、そのたて糸２の間を
シャトル15が通ってよこ糸３を打込む。

次におさ５が前進すると、誘導部材13がレール14に沿
って上動し、おさ羽の間隔が徐々に小さくなり、織物１
の幅と同じ幅となって織前に打付けられ、よこ糸３を織
込む。

以下この工程を繰返すことにより織物１が織成され
る。

作用 本発明においては、ヘルド４が織物１より広い幅で配
置されており、おさ５の幅が当該ヘルド４にほゞ一致し
ているので、多数のたて糸２を上下動させて開口制御さ
れると共に、織物１の織前においてはその幅に一致した
幅のおさ５により打込まれるので、充分に小さい幅の織
物１が織成される。そしておさ５が往復運動するに伴っ
ておさ羽６の間隔が変化し、よこ糸３がおさ羽６に擦れ
ることがない。

発明の効果 従って本発明によれば、多数のたて糸を高密度で織成
した多重織物を織成することができ、且つたて糸に高強
度高弾性繊維を使用した場合においても、そのたて糸が
おさ羽に擦れて手羽立つことがなく、強度の大きな複合
材の強化部材を織成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施状態を示す平面図であり、第２図
はその側面図である。第３図はおさの正面図である。 １……織物、２……たて糸 ４……ヘルド、５……おさ ６……おさ羽

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西山 茂 愛知県名古屋市港区大江町10番地 三菱 重工業株式会社名古屋航空機製作所内 (72)発明者 柴田 健一 京都府向日市寺戸町西野35番地 西野ハ イツ307 (72)発明者 ▲から▼崎 和孝 大阪府茨木市三島丘２丁目27番９号 (56)参考文献 特開 昭63−105149（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−6145（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−80538（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】織成される織物（１）の幅よりも大きい幅
   に亙ってヘルド（４）を配置し、打込みおさ（５）のお
   さ羽（６）の間隔を、前記ヘルド（４）から織物（１）
   の織前に至るたて糸（２）の間隔の変化に応じて変化さ
   せることを特徴とする、多重織物の織成方法