JP2600749B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JP2600749B2
JP2600749B2 JP964388A JP964388A JP2600749B2 JP 2600749 B2 JP2600749 B2 JP 2600749B2 JP 964388 A JP964388 A JP 964388A JP 964388 A JP964388 A JP 964388A JP 2600749 B2 JP2600749 B2 JP 2600749B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は触媒コンバータの上流側および下流側に空燃
比センサ(本明細書では、酸素濃度センサ(O2セン
サ))を設け、上流側のO2センサによる空燃比フィード
バック制御に加えて下流側のO2センサによる空燃比フィ
ードバック制御を行う内燃機関の空燃比制御装置に関す
る。
〔従来の技術〕
単なる空燃比フィードバック制御(シングルO2センサ
システム)では、酸素濃度を検出するO2センサをできる
だけ燃焼室に近い排気系の箇所、すなわち触媒コンバー
タより上流である排気マニホールドの集合部分に設けて
いるが、O2センサの出力特性のばらつきのために空燃比
の制御精度の改善に支障が生じている。かかるO2センサ
の出力特性のばらつきおよび燃料噴射弁等の部品のばら
つき、経時あるいは経年的変化を補償するために、触媒
コンバータの下流に第2のO2センサを設け、上流側O2
ンサによる空燃比フィードバック制御に加えて下流側O2
センサによる空燃比フィードバック制御を行うダブルO2
センサシステムが既に提案されている(参照:特開昭58
−72647号公報)。このダブルO2センサシステムでは、
触媒コンバータの下流側に設けられたO2センサは、上流
側O2センサに比較して、低い応答速度を有するものの、
次の理由により出力特性のばらつきが小さいという利点
を有している。
(1)触媒コンバータの下流では、排気温が低いので熱
的影響が少ない。
(2)触媒コンバータの下流では、種々の毒が触媒にト
ラップされているので下流側O2センサの被毒量は少な
い。
(3)触媒コンバータの下流では排気ガスは十分に混合
されており、しかも、排気ガス中の酸素濃度は平衡状態
に近い値になっている。
従って、上述のごとく、2つのO2センサの出力にもと
づく空燃比フィードバック制御(ダブルO2センサシステ
ム)により、上流側O2センサの出力特性のばらつきを下
流側O2センサにより吸収できる。実際に、第2図に示す
ように、シングルO2センサシステムでは、O2センサの出
力特性が悪化した場合には、排気エミッション特性に直
接影響するのに対し、ダブルO2センサシステムでは、上
流側O2センサの出力特性が悪化しても、排気エミッショ
ン特性は悪化しない。つまり、ダブルO2センサシステム
においては、下流側O2センサが安定な出力特性を維持し
ている限り、良好な排気エミッションが保証される。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、ダブルO2センサシステムにおける下流
側O2センサは触媒コンバータの下流に位置しているため
に、ある時間だけ遅れてリッチ、リーン出力を発生す
る。つまり、触媒コンバータ(三元触媒)のO2ストレー
ジ効果により下流側O2センサの出力は遅延する。特に、
新品触媒の場合、この遅延は顕著である。従って、下流
側O2センサの出力がリーンからリッチへ変化した時に
は、触媒コンバータ上流の空燃比は既に理論空燃比より
大きくリッチ側にずれており、この結果、CO,HCエミッ
ションの悪化、燃費の悪化、触媒排気異臭の増大等を招
き、逆に、下流側O2センサの出力がリッチからリーンへ
変化した時には、触媒コンバータ上流の空燃比は既に理
論空燃比より大きくリーン側にずれており、この結果、
NOXエミッションの悪化おびドライバビリティの悪化を
招くという課題がある。
なお、三元触媒のO2ストレージ効果について説明する
と、三元触媒はNOX,CO,HCを同時に浄化するものであ
り、その浄化率ηを第3図の一点鎖線に示すように、理
論空燃比(λ=1)よりリッチ側ではNOxの浄化率が大
きく、リーン側ではCO,HCの浄化率が大きい(HCは図示
しないが、COと同一傾向である)。この結果、要求浄化
率ηをηとすれば、制御可能な空燃比ウィンドウwは
非常に狭く(w=w1)、従って、理論空燃比に対する空
燃比フィードバック制御も、本来、この範囲(w1)で行
わなければならない。しかし、三元触媒は、空燃比がリ
ーンのときにはO2を取込み、空燃比がリッチになったと
きにCO,HCを取込んでリーンのときに取込まれたO2と反
応せしめるというO2ストレージ効果を有し、空燃比フィ
ードバック制御はこのようなO2ストレージ効果を積極的
に利用するため、最適な周波数、振幅で空燃比を制御さ
せるようにしている。この結果、第3図の実線に示すよ
うに、空燃比フィードバック制御時には浄化率ηは向上
し、制御可能な空燃比ウィンドウwは実質的に広くなる
(w=w2)。特に、制御空燃比がリーン側にずれると、
浄化率ηは急激に低下してNOXエミッションの増大を招
く。
従って、本発明の目的は、下流側空燃比センサ(O2
ンサ)の応答速度を実質的に上昇させることによりCO,H
C,NOXエミッションの悪化、燃費の悪化、ドライバビリ
ティの悪化、触媒排気異臭の増大等を防止することにあ
る。
なお、上述の目的を達成するために、本願出願人は、
リッチ、リーン変化直後は急速にその後は徐々に制御定
数を変化させ、その際のリッチからリーンへの反転後の
制御定数の更新とリーンからリッチへの反転後の制御定
数の更新を対称もしくは非対称にすることを既に提案し
ている(参照:特願昭61−241486号、特願昭62−167819
号)。
〔課題を解決するための手段および作用〕
上述の課題を解決するための手段は第1図に示され
る。すなわち、内燃機関の排気通路に設けられた三元触
媒CCR0の上流側の排気通路には、機関の空燃比を検出す
る上流側空燃比センサが設けられ、また、三元触媒CCR0
の下流側の排気通路には、機関の空燃比を検出する下流
側空燃比センサが設けられている。変化方向判別手段は
下流側空燃比センサの出力V2の変化方向を判別する。こ
の結果、制御定数更新手段は、下流側空燃比センサの出
力V2がリッチであり、且つ、該出力V2の変化の方向がリ
ッチ方向である場合、及び下流側空燃比センサの出力V2
がリーンであり、且つ、該出力V2の変化の方向がリーン
方向である場合には空燃比フィードバック制御定数の更
新速度を大きく、他の場合には空燃比フィードバック制
御定数の更新速度を小さくする。空燃比補正量演算手段
は空燃比フィードバック制御定数および上流側空燃比セ
ンサの出力V1に応じて空燃比補正量FAFを演算し、そし
て、空燃比調整手段は空燃比補正量FAFに応じて機関の
空燃比を調整するものである。ここで、空燃比フィード
バック制御定数としてはスキップ量RSR,RSLや、積分定
数KIR,KILや、遅延時間TDR,TDLや、上流側空燃比センサ
の出力V1の比較電圧VR1がある。
〔実施例〕
第4図は本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置の一
実施例を示す全体概要図である。第4図において、機関
本体1の吸気通路2にはエアフローメータ3が設けられ
ている。エアフローメータ3は吸入空気量を直接計測す
るものであって、ポテンショメータを内蔵して吸入空気
量に比例したアナログ電圧の出力信号を発生する。この
出力信号は制御回路10のマルチプレクサ内蔵A/D変換器1
01に供給されている。ディストリビュータ4には、その
軸がたとえばクランク角に換算して720゜毎に基準位置
検出用パルス信号を発生するクランク角センサ5および
クランク角に換算して30゜毎に基準位置検出用パルス信
号を発生するクランク角センサ6が設けられている。こ
れらクランク角センサ5,6のパルス信号は制御回路10の
入出力インターフェイス102に供給され、このうち、ク
ランク角センサ6の出力CPU103の割込み端子に供給され
る。
さらに、吸気通路2には各気筒毎に燃料供給系から加
圧燃料を吸気ポートへ供給するための燃料噴射弁7が設
けられている。
また、機関本体1のシリンダブロックのウォータジャ
ケット8には、冷却水の温度を検出するための水温セン
サ9が設けられている。水温センサ9は冷却水の温度TH
Wに応じたアナログ電圧の電気信号を発生する。この出
力もA/D変換器101にも供給されている。
排気マニホールド11より下流の排気系には、排気ガス
中の3つの有害成分HC,CO,NOXを同時に浄化する三元触
媒を収容する触媒コンバータ12が設けられている。
排気マニホールド11には、すなわち触媒コンバータ12
の上流側には第1のO2センサ13が設けられ、触媒コンバ
ータ12の下流側の排気管14には第2のO2センサ15が設け
られている。O2センサ13,15は排気ガス中の酸素成分濃
度に応じた電気信号を発生する。すなわち、O2センサ1
3,15は空燃比が理論空燃比に対してリーン側かリッチ側
かに応じて、異なる出力電圧を制御回路10でA/D変換器1
01に発生する。
18は車速センサ、たとえば永久磁石とリードスイッチ
より構成されたものであって、その出力は制御回路10の
車速形成回路111に送出される。
制御回路10は、たとえばマイクロコンピュータとして
構成され、A/D変換器101、入出力インターフェイス10
2、CPU103、車速形成回路111の外にROM104、RAM105、バ
ックアップRAM106、クロック発生回路107等が設けられ
ている。
また、制御回路10において、ダウンカウンタ108、フ
リップフロップ109、および駆動回路110は燃料噴射弁7
を制御するためのものである。すなわち、後述のルーチ
ンにおいて、燃料噴射量TAUが演算されると、燃料噴射
量TAUがダウンカウンタ108にプリセットされると共にフ
リップフロップ109もセットされる。この結果、駆動回
路110が燃料噴射弁7の付勢を開始する。他方、ダウン
カウンタ108がクロック信号(図示せず)を計数して最
後にそのキャリアウト端子が“1"レベルとなったとき
に、フリップフロップ109がセットされて駆動回路110は
燃料噴射弁7の付勢を停止する。つまり、上述の燃料噴
射量TAUだけ燃料噴射弁7は付勢され、従って、燃料噴
射量TAUに応じた量の燃料が機関本体1の燃焼室に送り
込まれることになる。
なお、CPU103の割込み発生は、A/D変換器101のA/D変
換終了時、入出力インターフェイス102がクランク角セ
ンサ6のパルス信号を受信した時、クロック発生回路10
7からの割込信号を受信した時、等である。
エアフローメータ3の吸収空気量データQおよび冷却
水温データTHWは所定時間毎に実行されるA/D変換ルーチ
ンによって取込まれてRAM105の所定領域に格納される。
つまり、RAM105におけるデータQおよびTHWは所定時間
毎に更新されている。また、回転速度データNeはクラン
ク角センサ6の30゜CA毎に割込みによって演算されてRA
M105の所定領域に格納される。
第5図は上流側O2センサ13の出力にもとづいて空燃比
補正計数FAFを演算する第1の空燃比フィードバック制
御ルーチンであって、所定時間たとえば4ms毎に実行さ
れる。
ステップ501では、上流側O2センサ13による空燃比の
閉ループ(フィードバック)条件が成立しているか否か
を判別する。たとえば、冷却水温が所定値以下の時、機
関始動中、始動後増量中、暖機増量中、パワー増量中、
触媒過熱冷却防止のためOTP増量中、上流側O2センサ13
の出力信号が一度も反転していない時、燃料カット中等
はいずれも閉ループ条件が不成立であり、その他の場合
が閉ループ条件成立である。閉ループ条件が不成立のと
きには、ステップ527に進む。すなわち、比補正係数FAF
を閉ループ制御終了直前値とする。なお、この場合、FA
F=1.0と初期化してもよい。他方、閉ループ条件成立の
場合はステップ502に進む。
ステップ502では、上流側O2センサ13の出力V1をA/D変
換して取込み、ステップ503にてV1が比較電圧VR1たとえ
ば0.45V以下か否かを判別する、つまり、空燃比がリッ
チかリーンかを判別する、つまり、空燃比がリーン(V1
≦VR1)であれば、ステップ504にてディレイカウンタCD
LYが正か否かを判別し、CDLY>0であればステップ505
にてCDLYを0とし、ステップ506に進む。ステップ506で
は、ディレイカウンタCDLYを1減算し、ステップ507,50
8にてディレイカウンタCDLYを最小値TDLでガードする。
この場合、ディレイカウンタCDLYが最小値TDLに到達し
たときにはステップ509にて第1の空燃比フラグF1を
“0"(リーン)とする。なお、最小値TDLは上流側O2
ンサ13の出力においてリッチからリーンへの変化があっ
てもリッチ状態であるとの判断を保持するためのリーン
遅延状態であって、負の値で定義される。他方、リッチ
(V1>VR1)であれば、ステップ510にてディレイカウン
タCDLYが負か否かを判別し、CDLY<0であればステップ
511にてCDLYを0とし、ステップ512に進む。ステップ51
2ではディレイカウンタCDLYを1加算し、ステップ513,5
14にてディレイカウンタCDLYを最大値TDRでガードす
る。この場合、ディレイカウンタCDLYが最大値TDRに到
達したときにはステップ515にて第1の空燃比フラグF1
を“1"(リッチ)とする。なお、最大値TDRは上流側O2
センサ13の出力においてリーンからリッチへの変化があ
ってもリーン状態であるとの判断を保持するためのリッ
チ遅延時間であって、正の値で定義される。
ステップ516では、第1の空燃比フラグF1の符号が反
転したか否かを判別する、すなわち遅延処理後の空燃比
が反転したか否かを判別する。空燃比が反転していれ
ば、ステップ517にて、第1の空燃比フラグF1の値によ
り、リッチからリーンへの反転か、リーンからリッチへ
の反転かを判別する。リッチからリーンへの反転であれ
ば、ステップ518にてFAF←FAF+RSRとスキップ的に増大
させ、逆に、リーンからリッチへの反転であれば、ステ
ップ519にてFAF←FAF−RSLとスキップ的に減少させる。
つまり、スキップ処理を行う。
ステップ512にて第1の空燃比フラグF1の符号が反転
していなければ、ステップ520,521,522にて積分処理を
行う。つまり、ステップ520にて、F1=“0"か否かを判
別し、F1=“0"(リーン)であればステップ521にてFAF
←FAF+KIRとし、他方F1=“1"(リッチ)であればステ
ップ522にてFAF←FAF−KILとする。ここで、積分定数KI
R,KILはスキップ量RSR,RSLに比して十分小さく設定して
あり、つまり、KIR(KIL)<RSR(RSL)である。従っ
て、ステップ521はリーン状態(F1=“0")で燃料噴射
量を徐々に増大させ、ステップ522はリッチ状態(F1=
“1")で燃料噴射量を徐々に減少させる。
ステップ518,519,521,522にて演算された空燃比補正
係数FAFはステップ523,524に最小値たとえば0.8にてガ
ードされ、また、ステップ525,526にて最大値たとえば
1.2にてガードされる。これにより、何らかの原因で空
燃比補正係数FAFが大きくなり過ぎ、もしくは小さくな
り過ぎた場合に、その値で機関の空燃比を制御してオー
バリッチ、オーバリーンになるのを防ぐ。
上述のごとく演算されたFAFをRAM105に格納して、ス
テップ528にてこのルーチンを終了する。
第6図は第5図のフローチャートによる動作を補足説
明するタイミング図である。上流側O2センサ13の出力に
より第6図(A)に示すごとくリッチ、リーン判別の空
燃比制御A/Fが得られると、ディレイカウンタCDLYは、
第6図(B)に示すごとく、リッチ状態でカウントアッ
プされ、リーン状態でカウントダウンされる。この結
果、第6図(C)に示すごとく、遅延処理された空燃比
信号A/F′(フラグF1に相当)が形成される。たとえ
ば、時刻t1にて空燃比信号A/F′がリーンからリッチに
変化しても、遅延処理された空燃比信号A/F′はリッチ
遅延時間TDRだけリーンに保持された後に時刻t2にてリ
ッチに変化する。時刻t3にて空燃比信号A/Fがリッチか
らリーンに変化しても、遅延処理された空燃比信号A/
F′はリーン遅延時間(−TDL)相当だけリッチに保持さ
れた後に時刻t4にてリーンに変化する。しかし空燃比信
号A/F′が時刻t5,t6,t7のごとくリッチ遅延時間TDRの短
い期間で反転すると、ディレイカウンタCDLYが最大値TD
Rに到達するのに時間を要し、この結果、時刻t8にて遅
延処理後の空燃比信号A/F′が反転される。つまり、遅
延処理後の空燃比信号A/F′は遅延処理前の空燃比信号A
/Fに比べて安定となる。このように遅延処理後の安定し
た空燃比信号A/F′にもとづいて第6図(D)に示す空
燃比補正係数FAFが得られる。
次に、下流側O2センサ15による第2の空燃比フィード
バック制御について説明する。第2の空燃比フィードバ
ック制御としては、第1の空燃比フィードバック制御定
数としてのスキップ量RSR,RSL、積分定数KIR,KIL、遅延
時間TDR,TDL、もしくは上流側O2センサ13の出力V1の比
較電圧VR1を可変にするシステムと、第2の空燃比補正
係数FAF2を導入するシステムとがある。
たとえば、リッチスキップ量RSRに大きくすると、制
御空燃比をリッチ側に移行でき、また、リーンスキップ
量RSLが小さくしても制御空燃比をリッチ側に移行で
き、他方、リーンスキップ量RSLを大きくすると、制御
空燃比をリーン側に移行でき、また、リッチスキップ量
RSRを小さくしても制御空燃比をリーン側に移行でき
る。従って、下流側O2センサ15の出力に応じてリッチス
キップ量RSRおよびリーンスキップ量RSLを補正すること
により空燃比が制御できる。また、リッチ積分定数KIR
を大きくすると、制御空燃比をリッチ側に移行でき、ま
た、リーン積分定数KILを小さくしても制御空燃比をリ
ッチ側に移行でき、他方、リーン積分定数KILを大きく
すると、制御空燃比をリーン側に移行でき、また、リッ
チ積分定数KIRを小さくしても制御空燃比をリーン側に
移行できる。従って、下流側O2センサ15の出力に応じて
リッチ積分定数KIRおよびリーン積分定数KILを補正する
ことにより空燃比が制御できる。リッチ遅延時間TDR>
リーン遅延時間(−TDL)と設定すれば、制御空燃比は
リッチ側に移行でき、逆に、リーン遅延時間(−TDL)
>リッチ遅延時間(TDR)と設定すれば、制御空燃比は
リーン側に移行できる。つまり、下流側O2センサ15の出
力に応じて遅延時間TDR,TDLを補正することにより空燃
比が制御できる。さらにまた、比較電圧VR1を大きくす
ると制御空燃比をリッチ側に移行でき、また、比較電圧
VR1を小さくすると制御空燃比をリーン側に移行でき
る。従って、下流側O2センサ15の出力に応じて比較電圧
VR1を補正することにより空燃比が制御できる。
これらスキップ量、積分定数、遅延時間、比較電圧を
下流側O2センサによって可変とすることはそれぞれに長
所がある。たとえば、遅延時間は非常に微妙な空燃比の
調整が可能であり、また、スキップ量は、遅延時間のよ
うに空燃比のフィードバック周期を長くすることなくレ
スポンスの良い制御が可能である。従って、これら可変
量は当然2つ以上組み合わされて用いられ得る。
次に、空燃比フィードバック制御定数としてのスキッ
プ量を可変にしたダブルO2センサシステムについて説明
する。
第7図は下流側O2センサ15の出力にもとづいてスキッ
プ量RSR,RSLを演算する第2の空燃比フィードバック制
御ルーチンであって、所定時間たとえば512ms毎に実行
される。ステップ701〜705では、上流側O2センサ15によ
る閉ループ条件か否かを判別する。たとえば、下流側O2
センサ13による閉ループ条件の不成立(ステップ701)
に加えて、冷却水温THWが所定値(たとえば70℃)以下
のとき(ステップ702)、スロットル弁16が全閉(LL=
“1")のとき(ステップ703)、軽負荷のとき(Q/Ne<X
1)(ステップ704)、下流側O2センサ15が活性化してい
ないとき(ステップ705)等が閉ループ条件が不成立で
ある。閉ループ条件でなければステップ720に直接進
む。
閉ループ条件が満たされていればステップ706〜719に
進む。
ステップ706では、下流側O2センサ15の出力V2をA/D変
換して取込み、ステップ707にて、出力V2の変化量ΔV
を、 ΔV←V2−V20 ただし、V20は前回のV2の値、により演算する。次
に、ステップ708にて、V2が比較電圧VR2たとえば0.55V
以下か否かを判別する。つまり、空燃比がリッチかリー
ンかを判別する。なお、比較電圧VR2は触媒コンバータ1
4の上流、下流で生ガスの影響による出力特性が異なる
ことおよび劣化速度が異なること等を考慮して上流側O2
センサ13の出力の比較電圧VR1より高く設定される。こ
の結果、V2≦VR2(リーン)であれば、ステップ709〜71
2に進み、他方、V2>VR2(リッチ)であれば、ステップ
713〜716に進む。
ステップ709では、下流側O2センサ15の出力V2の変化
方向がリッチ方向(ΔV>0)、水平状態(ΔV=
0)、あるいはリーン方向(ΔV<0)かを判別する。
この結果、リーン方向であればステップ710にてリッチ
スキップ量RSRを、RSR←RSR+(1+A)・ΔRS(A,ΔR
Sは一定値)により、大きくリッチ側に補正し、水平状
態であればステップ711にて、リッチスキップ量RSRを、
RSR←RSR+ΔRSにより中程度にリッチ側に補正し、リッ
チ方向であればステップ712にて、リッチスキップ量RSR
を、RSR←RSR+(1−A)・ΔRSにより小さくリーン側
に補正する。
同様に、ステップ713では、下流側O2センサ15の出力V
2の変化方向がリッチ方向(ΔV>0)、水平状態(Δ
V=0)、あるいはリーン方向(ΔV<0)かを判別す
る。この結果、リッチ方向であればステップ716にてリ
ッチスキップ量RSRを、RSR←RSR−(1+A)・ΔRSに
より、大きくリーン側に補正し、水平状態であればステ
ップ715にて、リッチスキップ量RSRを、RSR←RSR+ΔRS
により中程度にリーン側に補正し、リーン方向であれば
ステップ714にて、リッチスキップ量RSRを、RSR←RSR−
(1−A)・ΔRSにより小さくリッチ側に補正する。
このように、第8A図、第8B図の実線に示すように、下
流側O2センサ15の出力V2がリーン、且つ該出力V2の変化
方向がリーンである場合(第8A図のΔV<0領域)およ
び下流側O2センサ15の出力V2がリッチ且つ該出力V2の変
化方向がリッチ方向である場合(第8B図のΔV>0領
域)では、他の場合に比較して、リッチスキップ量RSR
の更新量を大きくしている。なお、第8A図、第8B図にお
いて空燃比のリーンからリッチへの更新量とリッチから
リーンへの更新量とが対称とされているが、第8A図の一
点鎖線に示すごとく、空燃比のリッチからリーンへの更
新量を大きくすることにより、すなわち、更新量を非対
称にすることによりNOXミッションの低減に役立つ。な
お、スキップ量RSR,RSLは所定時間毎にΔRS、(1+
A)・ΔRS、(1−A)・ΔRSにて更新されるので、ス
キップ量の更新速度が可変となるのである。
ステップ717では、上述のごとくに演算されてリッチ
スキップ量RSRを最小値MIN、最大値MAXによりガード処
理する。なお、最小値MINは過渡追従性が損われないレ
ベルの値であり、また、最大値MAXは空燃比変動による
ドライバビリティの悪化が発生しないレベルの値であ
る。
ステップ718では、リーンスキップ量RSLを、 RSL←10%−RSR により演算し、さらに、ステップ719では、次の実行に
備えて、V20←V2とし、ステップ720にてこのルーチンは
終了する。
第9図は第7図のフローチャートを補足説明するため
のタイミング図である。すなわち、下流側O2センサ15の
出力V2が図示のごとく変化すると、時間t0〜t2,t4〜で
は、出力V2はリッチを示し、時間t2〜t4では、出力V2
リーンを示す。さらに、時間t0〜t2,t4〜の初期の時間t
0〜t1,t4〜t5では、出力V2はリッチ方向に変化し、時間
t2〜t4の初期の時間t2〜t3では、出力V2はリーン方向に
変化する。この結果、時間t0〜t1,t2〜t3,t4〜t5では、
リッチスキップ量RSRの更新量は(1+A)・ΔRSと大
きく、他の時間では、更新量は(1−A)・ΔRSと小さ
い。このように、たとえ下流側O2センサ15の出力V2の振
幅が小さくなっても、リッチスキップ量RSRの更新は確
実に行われ、この結果、下流側O2センサ15の出力V2の反
転直後のリッチスキップ量RSRの変化量が大きくなる。
従って、多少なりともリッチスキップ量RSRの過補正は
小さくなる。
第7図のルーチンにおいては、リッチスキップ量RSR
の更新量はV2の変化量ΔVが正、負、0に応じてステッ
プ状に変化させているが、その変化量ΔVに応じて更新
量を可変とすることができる。この場合には、第7図の
ルーチンは第10図のルーチンに変更される。すなわち、
第7図のステップ709〜716の代りにステップ1001〜1004
を設ける。なお、ステップ1001内の一点鎖線は、第8A図
の一点鎖線に対応するものであり、これにより、やは
り、NOXエミッションの低減が図れる。
このように、下流側O2センサの出力振幅が小さくと
も、出力変化があればその変化率にもとづいて空燃比フ
ィードバック制御定数の更新が行われる。
第11図は噴射量演算ルーチンであって、所定クランク
角毎たとえば360゜CA毎に実行される。ステップ1101で
は、RAM105により吸入空気量データQおよび回転速度デ
ータNeを読出して基本噴射量TAUPを演算する。たとえば
TAUP←α・Q/Ne(αは定数)とする。ステップ1102にて
RAM105より冷却水温データTHWを読出してROM104に格納
された1次元マップにより暖機増量値FWLを補間計算す
る。この暖機増量値FWLは、図示のごとく、現在の冷却
水温THWが上昇するに従って小さくなるように設定され
ている。ステップ1103では、最終噴射量TAUを、TAU←TA
UP・FAF・(FWL+β)+γにより演算する。なお、β,
γは他の運転状態パラメータによって定まる補正量であ
り、たとえば図示しないスロットル位置センサから信
号、あるいは吸気温センサから信号、バッテリ電圧等に
より決められる補正量であり、これらもRAM105に格納さ
れている。次いで、ステップ1104にて、噴射量TAUをダ
ウンカウンタ108にセットすると共にフリップフロップ1
09をセットして燃料噴射を開始させる。そして、ステッ
プ1105にてこのルーチンは終了する。なお、上述のごと
く、噴射量TAUに相当する時間が経過すると、ダウンカ
ウンタ108のキャリアウト信号によってフリップフロッ
プ109がリセットされて燃料噴射は終了する。
なお、第1の空燃比フィードバック制御は4ms毎に、
また、第2の空燃比フィードバック制御は512ms毎に行
われるのは、空燃比歩フィードバック制御の応答性の良
い上流側O2センサによる制御を主にして行い、応答性の
悪い下流側O2センサによる制御を従にして行うためであ
る。
また、上流側O2センサによる空燃比フィードバック制
御における他の制御定数、たとえば遅延時間、積分定
数、上流側O2センサの比較電圧(参照:特開昭55−3756
2号公報)等を下流側O2センサの出力により補正するダ
ブルO2センサシステムあるいは第2の空燃比補正係数を
導入したダブルO2センサシステムにも、本発明を適用し
得る。
また、吸入空気量センサとして、エアフローメータの
代りに、カルマン渦センサ、ヒートワイヤセンサ等を用
いることもできる。
さらに、上述の実施例では、吸入空気量および機関の
回転速度に応じて燃料噴射量を演算しているが、吸入空
気圧および機関の回転速度、もしくはスロットル弁開度
および機関の回転速度に応じて燃料噴射量を演算しても
よい。
さらに、上述の実施例では、燃料噴射弁により吸気系
への燃料噴射量を制御する内燃機関を示したが、キャブ
レタ式内燃機関にも本発明を適用し得る。たとえば、エ
レクトリック・エア・コントロールバルブ(EACV)によ
り機関の吸入空気量を調整した空燃比を制御するもの、
エレクトリック・ブリード・エア・コントロールバルブ
によりキャブレタのエアブリード量を調整してメイン系
通路およびスロー系通路への大気の導入により空燃比を
制御するもの、機関の排気系へ送り込まれる2次空気量
を調整するもの、等に本発明を適用し得る。この場合に
は、ステップ1101における基本噴射量TAUP相当の基本燃
料噴射量がキャブレタ自身によって決定され、すなわ
ち、吸入空気量に応じた吸気管負圧と機関の回転速度に
応じて決定され、ステップ1103にて最終燃料噴射量TAU
に相当する供給空気量が演算される。
さらに、上述の実施例では、空燃比センサとしてO2
ンサを用いたが、COセンサ、リーンミクスチャセンサ等
を用いることもできる。
さらに、上述の実施例はマイクロコンピュータすなわ
ちディジタル回路によって構成されているが、アナログ
回路により構成することもできる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、やはり、下流側
空燃比センサの出力の反転直後の空燃比フィードバック
制御定数の変化量を大きくすることにより下流側空燃比
センサの応答速度を実質的に上昇させ、触媒上流の空燃
比の大きなずれを防止することができ、従って、エミッ
ションの悪化、燃費の悪化、ドライバビリティの悪化、
触媒排気異臭の増大等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の構成を説明するための全体ブロック
図、 第2図はシングルO2センサシステムおよびダブルO2セン
サシステムを説明する排気エミッション特性図、 第3図は三元触媒のO2ストレージ効果を説明するグラ
フ、 第4図は本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置の一実
施例を示す全体概略図、 第5図、第7図、第10図、第11図は第4図の制御回路の
動作を説明するためのフローチャート、 第6図は第5図のフローチャートを補足説明するための
タイミング図、 第8A図、第8B図は第7図のフローチャートを補足説明す
るグラフ、 第9図は第7図のフローチャートを補足説明するタイミ
ング図である。 1……機関本体、3……エアフローメータ、 4……ディストリビュータ、 5,6……クランク角センサ、 10……制御回路、12……触媒コンバータ、 13……上流側O2センサ、 15……下流側O2センサ、 17……アイドルスイッチ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の排気通路に設けられた三元触媒
    (12)と、 該三元触媒の上流側の排気通路に設けられ、前記機関の
    空燃比を検出する上流側空燃比センサ(13)と、 前記三元触媒の下流側の排気通路に設けられ、前記機関
    の空燃比を検出する下流側空燃比センサ(15)と、 該下流側空燃比センサの出力の変化の方向を判別する変
    化方向判別手段と、 前記下流側空燃比センサの出力がリッチであり、且つ、
    該出力の変化方向がリッチ方向である場合、及び前記下
    流側空燃比センサの出力がリーンであり、且つ、該出力
    の変化方向がリーン方向である場合には、前記下流側空
    燃比センサの出力に基づく空燃比フィードバック制御定
    数の更新速度を大きく、他の場合には、空燃比フィード
    バック制御定数の更新速度を小さくする制御定数更新手
    段と、 該空燃比フィードバック制御定数および前記上流側空燃
    比センサの出力に応じて空燃比補正量を演算する空燃比
    補正量演算手段と、 前記空燃比補正量に応じて前記機関の空燃比を調整する
    空燃比調整手段と を具備する内燃機関の空燃比制御装置。
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