JP2600059B2 - 製塩における粒径分布測定のための試料の調整方法および調整装置 - Google Patents

製塩における粒径分布測定のための試料の調整方法および調整装置

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JP2600059B2
JP2600059B2 JP5286719A JP28671993A JP2600059B2 JP 2600059 B2 JP2600059 B2 JP 2600059B2 JP 5286719 A JP5286719 A JP 5286719A JP 28671993 A JP28671993 A JP 28671993A JP 2600059 B2 JP2600059 B2 JP 2600059B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製塩における塩の粒径分
布測定のための試料の調整方法および調整装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】製塩において塩の粒径分布を迅速かつ的
確に測定することは製品の均一化を図る観点から重要か
つ必要なことである。現在、塩の粒径分布測定はロータ
ップ式自動ふるい振とう機を用いる方法(ロータップ
法)が公定法として採用されており、この方法は、15
分間のふるい分け操作後、ふるい上の試料重量を測定
し、正規分布に近似して平均粒径及び標準偏差を求める
方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この測定法では、試料
の流動性が良好であることが求められ、並塩や工程試料
のように水分の高い試料については、予め試料を塩化ナ
トリウム飽和のエタノールで洗浄、ろ過後、流動性が良
好になるまで乾燥する前処理操作が必要となる。この前
処理操作には、乾燥操作時間が通常1時間程度必要であ
り、乾燥操作中に試料が団粒化するため、時折この団粒
をほぐす操作が必要となる。したがって、従来の前処理
方法では多くの手間と時間を要するため、フィードバッ
クに遅れが生じ、工程管理には適用しにくいという問題
を有している。また、前述の団粒をほぐす操作について
は、公定法により、「乾燥中には検塩が塊状にならない
ようにするため、約5分毎に全体を時々かきまぜる」と
定めされているが、統一化された操作は明記されていな
いため、測定者によって団粒をほぐす操作や操作に係る
時間が異なったりする。このため、従来の前処理操作方
法では、試料をほぐす際に生じる団粒の解砕、あるいは
粒子の破砕の程度が、測定者によって異なるという問題
を有する。本発明の目的は、従来用いられている塩の粒
径分布測定法の持つ上記のような不都合を解消した新た
な試料の調整方法および調整装置を得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明者らは製塩過程における塩の粒径測定に関
して多くの研究と実験を行うことにより、基本的に、試
料(塩)を塩化ナトリウム飽和のエタノールで洗浄・ろ
過し、セル自体を振動させて団粒化を防止しながら、加
熱乾燥空気により速やかに乾燥させることにより、短時
間の前処理でもって的確な粒径分布測定値をうることの
できることを知覚した。本発明は基本的に上記知覚に基
づくものであり、一つの発明として、試料としての塩
を、試料調整用セル内に投入し、塩化ナトリウム飽和の
エタノールで該試料を洗浄・ろ過したのち、該試料調整
用セル内に収容された該試料が団粒化するのを防止すべ
く該セルを振動させつつセル内に加熱乾燥空気を送気す
ることにより、該試料の乾燥を図ることを特徴とする製
塩における粒径分布測定のための試料調整方法を開示す
る。セル内に異なるメッシュの網体を必要枚数配置して
おき、セルの振動により試料の分級をも同時に行うよう
にすることにより、粒径分布測定操作の一層の迅速化を
図ることができる。また、本発明では、前処理に人を介
さず、機械的な操作に統一できるため、粒径分布測定値
の精度向上に寄与できる。
【0005】本発明は他の発明として、所要のメッシュ
の網体を上端部と下端部に持つ試料収容用セルと該セル
に振動を生じさせる振動発生機とを有し、該セルの前記
下端部に配置した網体の下方部は吸引系および加熱乾燥
空気供給系にそれぞれ流量調整バルブを介して接続して
いることを特徴とする、製塩における粒径分布測定のた
めの試料調整装置をも開示する。セルとして、底部に所
要のメッシュの網体が配置された筒体を複数個積み重ね
た構造のものを用いる場合には、試料の調整と同時に粒
径分布測定を同時に行うことが可能となり、粒径分布測
定操作の一層の迅速化を図ることができる。
【0006】
【作 用】セル内に収容された試料(塩)は、セル内で
塩化ナトリウム飽和によるエタノールの洗浄処理を受
け、吸引ろ過ののち、振動下において加熱乾燥空気によ
る乾燥処理を受ける。その処理は連続してかつ自動的に
行うことが可能であり、短時間で試料の所要の調整を行
うことができる。セル内に異なるメッシュの網体を必要
枚数配置することにより、試料の調整処理と同時並行し
て分級処理を行うこともできる。
【0007】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明による粒径分布
測定のための試料の調整方法および装置をより詳細に説
明する。図1は本発明による粒径分布測定のための試料
の調整方法を実施するのに好適な調整システムを示して
いる。図において、1は試料である塩を粒径分布測定の
目的で調整するためのセルであり、耐腐食性、耐熱性、
耐有機材料性、耐振動性のある材料(好ましくは、アク
リル、ポリカーボネートのような樹脂材料あるいはステ
ンレスのような金属材料)により構成される。該セル1
は適宜の手段を介して振動発生機20に取り付けられて
おり、振動発生機20の振動を受けて振動し得るように
なっている。また、セル1の内部空間は、その下端部位
置に取り付けた耐圧性可撓管11(図2、図3参照)を
介して、加熱乾燥空気供給系に接続している。耐圧性可
撓管11は直接セル1に接続している配管であり、試料
の洗浄、ろ過操作に伴い、減圧されると同時に塩化ナト
リウムを含むエタノールが流入する。また、乾燥操作中
はセル1の振動を直接受け、かつ加熱空気が流入するた
め、耐腐食性、耐熱性、耐有機材料性、耐圧性、可撓性
のある材料(シリコン耐圧チューブなど)により構成さ
れる。
【0008】次に、加熱乾燥空気供給系について説明す
る。該系は、外気を圧縮するためのコンプレッサー3
0、コンプレッサー30からの圧縮空気を除湿する除湿
器31、除湿された圧縮空気の流量を調節するニードル
バルブ32および風量計33、風量計33からの空気を
加熱するためのヒーター35、ヒーター35の温度を調
節するスライダック36、およびヒーター35により加
熱された空気を前記した耐圧性可撓管11を介してセル
1の内部に送給するための配管40などからなり、該配
管40の途中には、ヒーター35下流の空気温度を測定
するために配管40内挿入される熱電対37が挿入され
ており、さらにその下流には流量調整バルブV2を介装
している。また、該流量調整バルブV2の上流側には大
気に開放する分岐管41が設けられ、該分岐管41にも
流量調整バルブV1が介装されており、さらに、前記流
量調整バルブV2の下流側にも分岐管42が設けられ、
該分岐管42は流量調整バルブV3を介して吸引器38
に接続している。なお、39は空気の温度を記録するた
めの記録計である。また、配管40、分岐管41は加熱
乾燥空気を供給するための配管であるとともに、特に図
示しないが、ヒーター、バルブ、熱電対などを固定する
ための架台をも兼ねている。このため、耐腐食性、耐熱
性、耐有機材料性に加えてある程度の強度を必要とする
材料(ステンレスのような金属材料など)により構成さ
れる。
【0009】このシステムにおいて、コンプレッサー3
0から発生した圧縮空気は、予め、除湿器31を経て除
湿され、所定の流量になるようにニードルバルブ32を
用いて制御される。また、セル1に供給される加熱乾燥
空気の温度は、ヒーター35の出口から下流側に配置し
た熱電対37により測定され、同部位での空気温度が例
えば60℃になるよう、ヒーター35の電圧をスライダ
ック36によって制御する。また、後記するように、バ
ルブV1を開、V2を閉、V3を開とした状態で、吸引
器38によりセル1の内部の吸引が行われる。
【0010】次に、セル1の構造の一例を図2に示す。
セル1は全体として円筒形であり、前記した振動発生機
20への取り付け基台21に対して、下側が漏斗状とな
っている下部筒体2が螺合され、さらに、その上部にO
リング3を介装した状態で円筒4が螺合されている。該
円筒4の上端には同様にOリング5を介装した状態で円
筒6が螺合され、さらにその上端にはOリング7を介装
した状態で蓋8が螺合されている。また、該蓋8は通気
口9が形成されている。前記した下部筒体2の上端部に
はステンレス製の網体10が配置され、かつその漏斗状
となった下端部には耐圧性可撓管11が取り付けられて
いる。また、前記最上部に位置する円筒6の上端部にも
ステンレス製の網体12が配置されている。
【0011】この実施例においては、各セル全体はアク
リル製で、円筒4は直径50mm、高さ205mmであ
り、上部の蓋8には直径50mmの通気孔9を開け、1
50μmのステンレス製の網体10、12をそれぞれ配
置している。また、最上位の円筒6は25mmの高さで
あり、該円筒6を脱着することにより、試料の充填及び
エタノールの添加を行えるようにしている。また、Oリ
ング3、5、7はシリコン樹脂製のものを用い、容易に
脱着操作ができるようにした。
【0012】次に、上記の装置を用いて試料(塩)の粒
径分布測定のための試料調整を実際に行う例について説
明する。なお、この実施例において、試料の前処理操作
はエタノールによる試料の洗浄・ろ過操作及び乾燥加熱
乾燥空気による試料の乾燥操作により構成される。試料
の調整は次に示すような手順で行う。 1)試料(塩)を所定量(200g)をセル1の試料取
り出し口から充填し、所定量のエタノール(100m
L)を添加した後、セルの取り出し口を閉じる。このと
きのバルブの状態はバルブV1は開、バルブV2は閉、
バルブV3は閉としておく。
【0013】2)次に、バルブV3を開け吸引器38で
吸引ろ過を所定時間(30秒間)行う。 3)吸引ろ過終了後、バルブV3を閉じて振動発生機2
0の振動を開始する。この振動開始を乾燥操作の開始と
する。 4)徐々にバルブV2を開いて加熱乾燥空気のセル1内
への導入を開始する。バルブV2が全開になった時点で
バルブV1を徐々に閉じるようにする。なお、このよう
にバルブV1、V2の開閉操作を徐々に行う理由は、エ
タノール洗浄直後の試料がセル1の下部に円筒状の団塊
になっており、この団塊が急激な空気の導入によって押
し上げられそのまま上部の網体12に付着してしまうの
を防止するためである。
【0014】5)所定の乾燥時間経過後、バルブV1を
開き、次のバルブV2を閉じて、振動発生機20の振動
を停止する。その後に振動発生機20からセル1全体を
取り外し、セル1から試料を取り出す。 本発明による試料の調整方法および調整装置の優位性を
確認する目的でいくつかの試験を行った。その試験の詳
細と結果および考察を次に示す。
【0015】〔試験1〕試験1はエタノール洗浄から乾
燥に至る一連の操作において最適条件を決定することを
目的として実施した。対象とした試料は平均粒径400
μm、標準偏差100μmを有する試料1、及び平均粒
径800μm、標準偏差200μmを有する試料2であ
る。それぞれの試料は、製品並塩、特例塩(中粒)、特
例塩(大粒)をエタノールで洗浄、乾燥し、ふるい分け
により分級を行い、表1に示す割合で調製したものであ
る。
【0016】
【表1】
【0017】試験は試料1及び試料2について表2に○
印で示す条件の下で行った。ここで決定する最適条件と
は、乾燥時間が短くかつ良好な流動状態で乾燥できる条
件とした。そこで、乾燥の良否を判断するために、先に
説明した方法および装置により前処理操作の終了した試
料を60℃、1時間乾燥して、減量を測定した。また、
流動状態については目視によって観察を行った。
【0018】
【表2】
【0019】〔試験2〕乾燥操作では、試料がセル中を
流動するために破砕を生じる可能性がある。そこで、試
験2では、乾燥操作における破砕の有無の確認を目的と
した。破砕の程度は、前記のような前処理を行った試料
と行わなかった試料について、分級に用いたふるいを通
過する量を測定し、両者を比較することで判断した。
【0020】試料は、300、355、425、50
0、600、710、850、1000、1180、1
400μmのふるいで分級して調製した。なお、試料の
調製には、予め塩化ナトリウム飽和のエタノールで洗
浄、ろ過後、乾燥した食塩(ただし、710μm未
満)、特例塩(中粒)及び特例塩(大粒)(ただし、7
10μm以上)を用いた。
【0021】〔試験3〕試験3では、実際に製品結晶に
ついて同様な前処理操作を行い、乾燥状態の良否を確認
した。対象とした製品は、特例塩(大粒、中粒)、食
塩、並塩、特級精製塩であり、乾燥状態の良否は、試験
1と同様、60℃、1時間再乾燥したときの減量で判断
した。
【0022】〔結果及び考察〕 〔試験1〕試料1を用いて各送風量における乾燥減量と
乾燥時間の関係を検討した。その結果を図4に示す。図
4より、送風量が3.0m3 /hの場合、乾燥時間の増
加に伴い、乾燥減量が急激に減少し、乾燥時間が10分
以上でほぼ一定の値になった。送風量3.5m3 /hで
も上記のような傾向が見られ、9分以上でほぼ一定の値
になった。送風量が4.0m3 /h以上の場合には5分
程度で乾燥減量が一定になっており、送風量を増加させ
ることによって乾燥時間が短縮できるものと考えられ
る。
【0023】しかし、送風量が4.0m3 /h以上の場
合には、試料が乾燥操作初期の円筒状の団塊のまま、導
入空気によって押し上げられてセル上部に付着すること
が観察され、この状態は乾燥操作が終了するまで続い
た。このような流動状態の悪化が起こると、団粒化が起
こると考えられる。また、乾燥が良好に終了した乾燥減
量の値は、一定となった乾燥減量の値から推定して0.
035%程度と推定された。
【0024】試料2を用いて各送風量における乾燥減量
と乾燥時間の関係を検討した。その結果を図5に示す。
試料2では、乾燥減量の値が送風量や乾燥時間に関係な
くほぼ一定していた。試料2は、試料1に比較して粒径
が大きいため比表面積が小さく、付着エタノール量が少
ないことから、乾燥時間が短くなったものと考えられ
る。また、試料の流動状態はいずれの送風量でも良好で
あり、試料1に比較して団粒を形成し難いものと考えら
れる。
【0025】試料2の場合、良好に乾燥が完了したと考
えられる乾燥減量の値は、0.060%程度と試料1に
比較して大きな値になった。この原因は不明であるが、
乾燥操作終了後の試料がすべて良好な流動性を有してお
り、また、後に述べるが、粒径が大きい試料ほどこの値
が大きくなることから、その後の検討での乾燥操作の良
否は、製品食塩程度の粒径では0.035%以下、特例
塩(中粒)以上の粒径では0.060%程度を基準とし
て決定した。
【0026】最適操作条件は、前処理操作時間を短縮す
ることが主目的であるから、そのような条件を選定して
決定しなくてはならない。しかし、試料の粒径あるいは
塩種ごとに送風量を変化させることは、実用装置では高
コスト化につながる上、操作も複雑になる。従って、最
適操作条件としては、汎用的な条件を策定することと
し、試料1において流動状態が良好であった送風量3.
5m3 /hを選定し、さらに乾燥が完了していると思わ
れる乾燥時間13分を最適操作条件とした。
【0027】次に、試料1及び試料2について、振動の
有無が乾燥状態及び流動状態におよぼす影響を検討し
た。試験条件は前述した最適操作条件、すなわち3.5
3 /hの送風量、13分の乾燥時間である。結果を表
3に示す。試料1では、振動を与えた場合に比べ、与え
なかった場合の乾燥減量の値がやや大きくなった。ま
た、流動状態については、振動を与えなかった場合、試
料が乾燥操作開始と同時に円筒状の団塊となってセル上
部に付着し、空気は団塊の一部に流路を形成して通過す
ることが観察された。従って、このような空気の偏流に
よって、乾燥減量が大きくなったと考えられる。
【0028】試料2では、乾燥減量の値は0.060%
以下であり、乾燥状態は両者とも良好であったと思われ
る。しかし、流動状態については、振動を与えなかった
場合、試料1と同様に団塊となってセル上部に付着し
た。ただし、この場合には空気の流路を形成することは
なかった。これは、試料2が試料1に比べて粒径が大き
く、団塊の空隙率が高いために空気の偏流が起こらなか
ったためと考えられる。いずれにしても振動操作がない
と試料の流動状態が悪化することから、粒径分布測定用
試料の前処理操作には振動が必要であることがわかる。
【0029】
【表3】
【0030】〔試験2〕ここでは、乾燥操作における破
砕の有無を検討するために、種々のふるいで分級した試
料について乾燥操作を行い、再度、分級に使用したふる
いを用いてふるい分け、ふるいを通過した試料の量を測
定した。また、前処理操作を行っていない試料について
も同様にふるいを通過する重量を測定した。破砕の程度
は、式1に示すように、通過率、すなわちふるいを通過
した重量を試料重量の百分率で表し、この通過率を比較
することによって検討した。 通過率%=ふるい通過重量g/試料重量g×100% ……式1
【0031】表4にその結果を示す。乾燥操作を行った
試料は、行わなかった試料に比較して、全体的に通過率
が大きくなる傾向がある。その傾向は500μmから8
50μm程度の粒径範囲が最も顕著であり、500μm
以下及び850μm以上の粒径範囲では、両者にほとん
ど差が見られない。そこで、本試験で使用した500μ
m〜850μmの試料について、結晶の形状を観察し
た。その結果、同試料中には結晶同士が付着した団粒が
多く見られることから、乾燥操作によってこれらの団粒
が解砕され通過率が増加したと推定できる。
【0032】このような団粒を1つの粒子として扱う
か、あるいは団粒を構成している結晶それぞれを1つの
粒子として扱うかは、現状、明確な基準がない。しか
し、あくまでも一元化した方法で前処理を行うという前
提に立てば、「乾燥中には検塩が塊状にならないように
するため、約5分毎に全体を時々かきまぜる」という従
来の操作方法では、操作に係わる時間などによって団粒
の解砕の程度が異なることが予想される。そのような意
味からすると、本発明による前処理方法は、このような
操作方法を一元化でき、粒径分布測定における人的誤差
を軽減することが可能になる利点があることが分かる。
【0033】
【表4】
【0034】〔試験3〕試験3は、実際に製品について
前処理操作を行い、その適用性の検討を目的とした。乾
燥の程度は乾燥減量を測定することで、乾燥操作におけ
る試料の流動状態は目視による観察を行うことで判断し
た。ただし、ここで対象とした製品は特級精製塩、食
塩、並塩、特例塩(中粒)及び特例塩(大粒)である。
【0035】表5に各製品の乾燥減量を示す。特級精製
塩、食塩及び並塩は、特例塩(中粒)及び特例塩(大
粒)に比較して乾燥減量の値が大きい。しかし、乾燥後
の試料の流動性からみて、すべての試料とも良好な乾燥
状態にあると考える。原因が不明ではあるが、定性的に
食塩程度の粒径の製品では0.035%以下、特例塩
(中粒)から特例塩(大粒)では0.060%以下が、
乾燥状態の基準になるように思われる。また、乾燥操作
における試料の流動状態はすべての製品において良好で
あった。
【0036】
【表5】
【0037】以上の試験結果から本発明による粒径分布
測定のための試料の調整方法はきわめて有効性が高いこ
とが分かる。上記の説明は本発明による製塩における粒
径分布測定のための試料の調整方法および調整装置の一
実施例および該実施例に基づくいくつかの試験結果とそ
の考察にすぎず、他に多くの態様が存在する。以下、そ
の態様を個々の項目に分けて説明する。
【0038】1)操作の切り替えについて、 a.バルブV1、V2、V3の開閉 各バルブはモーター駆動型あるいは空気駆動型ボールバ
ルブを用いることが特に好ましい。その理由は、電磁弁
などでは、塩などの弁への付着が起こると開閉動作が良
好に行えない場合が生じること、また、開閉動作が瞬間
的であり、急激な空気の導入が起こってセル上部に試料
が付着してしまう可能性があるためである。
【0039】b.ヒーター35のオンオフ ヒーター35のオンオフは、適宜の制御装置を用いて、
空気が流入した時をオン、乾燥操作終了後1分前程度を
オフとすることが好ましい。オフのタイミングを1分前
とする理由はヒーター内部、配管中や試料自体に残った
熱を除去するためである。
【0040】c.振動発生機20の起動と停止 振動発生機による振動の開始および停止も、適宜の制御
装置を用いて、空気の導入と同時に開始とし、空気の導
入の停止と同時に停止するようにすることが望ましい。 d.吸引器38の起動と停止 吸引器38の起動は電源スイッチをオンにした時点と
し、停止は空気の導入を開始した時点とすることが好ま
しい。また、作動時間はこの実施例のものにあっては1
分間程度で十分であった。
【0041】2)乾燥加熱空気の流量の設定 乾燥加熱空気の流量を安定して供給するためには、使用
するコンプレッサー30が高圧でかつ高容量であること
が望ましい。この場合の空気流量の設定は空気配管にオ
リフィス板を挟み込むなどの手法でも制御可能である。 3)空気の温度制御 加熱乾燥空気の温度は熱電対37により温度を計測して
ヒーターのオンオフで制御することが好ましい。
【0042】4)ヒーターの過熱防止 コンプレッサー30の故障や各バルブの動作不良によっ
て配管に空気が流れていない場合にヒーター35が過熱
する恐れがある。そのため、ヒーター35の出口の温度
を熱電対37で検出して過熱を感知した場合に、ヒータ
ー35をオフにするとともにアラームを鳴動させるよう
にすることは好ましい態様である。
【0043】5)エタノールの回収 特に図示しないが、試料の洗浄・ろ過操作により分別さ
れるエタノールを回収するために、1日(8時間)に最
大30回前処理操作を行うと仮定して、5L程度の回収
槽を設けることは望ましい態様である。次に、セルの他
の実施例として、試料の前処理操作とふるい分け操作と
を同時に進行させることを可能としたセルの構造につい
て説明する。
【0044】図3はそのようなセルの構造の一つの実施
例を示している。この例においても、セル1aは全体と
して円筒形であり、図2に示した形態のセルと同様に、
振動発生機20への取り付け基台21と下側が漏斗状と
なっている下部筒体2とを有している。しかし図3に示
すようにこのセルにおいては、下部筒体2の上部にガス
ケット3aを介して複数個のステンレス製の円筒4aが
積層されている。この円筒4aは底部にステンレス製の
網体10aを有しており、下方の円筒から上方の円筒に
いくに従い該網体10aのメッシュが荒くなるように構
成している。
【0045】円筒4aの数は任意でありかつ可変であ
る。最上部の円筒4bの上部には蓋8aが載置され、該
蓋8aは開口9aを有しそこに一例として75μmのス
テンレス製の網体12aを取り付けた構造となってい
る。蓋8aの周辺部に形成した孔51と前記下部筒体2
の対向する位置に形成した孔52とにネジを切ったステ
ンレス製の丸棒53を介装し、それぞれ蝶ネジ54、ナ
ット55とにより締めつけることにより、蓋8aと下部
筒体2との間に配置した複数の円筒4aを気密状態に締
めつけ固定する。なお、試料の洩れを防ぐために蓋8a
と円筒4bの間にもガスケット7aが介装される。
【0046】このセル1aにおいて、試料の充填及びエ
タノールの添加は最上部の円筒4bで行う。次に、図2
に示したセルの場合と同様に、乾燥空気を導入し、振動
を与えて乾燥操作を行うと、振動とともに試料は各円筒
4aの網体10aを順次通過することにより乾燥と同時
にふるい分け作業(分級操作)が行われる。必要な処理
時間経過後に、セル1aから円筒4a、4bを取り外
し、各円筒の網体上に残った試料の重量を測定する。
【0047】この場合、重量が既知のふるいを用いて、
試料とふるいの合計重量を測定し、試料重量を計算する
方法を採用すれば、従来の方法に比較して測定時間が一
層短縮される。また、セルの最下段に、測定で用いる網
体のメッシュよりも目開きのの小さな網体を配置するこ
とで、試料の損失を防止でき、測定誤差をさらに軽減す
ることができる。
【0048】次に、前記のセル1aを用い、同一の試料
について、現状の粒径分布測定方法であるロータップ法
により粒径分布の測定を行った場合に要した時間とその
粒径分布と、本発明による試料の調整方法および調整装
置を用いてそれを行った場合に要した時間とその粒径分
布とを比較した。表6にその結果を示す。
【0049】
【表6】 ・操作時間の比較 前処理時間 ふるい分け時間 ロータップ法 60分 15分 本発明法 − 分* 15分* ;本発明法では、前処理操作とふるい分け操作は同時
に行われるため、ふるい分け時間で代表した。 ・粒径分布の比較 1(食塩相当) 平均粒径(μm) 標準偏差(μm) ロータップ法 340 105 本発明法 340 105 2(中粒塩) 平均粒径(μm) 標準偏差(μm) ロータップ法 709 183 本発明法 705 180 3(大粒塩) 平均粒径(μm) 標準偏差(μm) ロータップ法 1316 447 本発明法 1321 440
【0050】〔考察および結論〕このセルを用いた処理
方法においては、前処理操作とふるい分け操作を同時に
行うことが可能であり、粒径分布測定操作に係わる時間
は大幅に短縮される。そして、粒径分布もロータップ法
と比較してほとんど差がなく、十分実用に供されること
が分かる。
【0051】
【発明の効果】現状の粒径分布測定方法は測定試料に水
分を多く含む場合、前処理操作を必要とし、同操作には
多くの時間、労力を必要とする。そこで、本発明による
方法により前処理操作の時間短縮および自動化が可能と
なり、作業の大幅な効率化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による粒径分布測定のための試料の調整
方法を実施するためのシステム図。
【図2】セルの分解断面図。
【図3】セルの他の実施例の分解断面図。
【図4】乾燥時間と乾燥減量の関係を示す図。
【図5】乾燥時間と乾燥減量の関係を示す図。
【符号の説明】
1…試料(塩)調整用セル、20…振動発生機、30…
コンプレッサー、35…ヒーター、37…熱電対、38
…吸引器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二宮 直義 神奈川県小田原市酒匂四丁目13番20号 日本たばこ産業株式会社 海水総合研究 所内 審査官 門田 宏 (56)参考文献 特開 昭55−27070(JP,A) 実開 昭48−75269(JP,U) 実開 昭61−104365(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料としての塩を、試料調整用セル内に
    投入し、塩化ナトリウム飽和のエタノールで該試料を
    浄・ろ過したのち、該試料調整用セル内に収容された該
    試料が団粒化するのを防止すべく該セルを振動させつつ
    セル内に加熱乾燥空気を送気することにより、試料の
    乾燥を図ることを特徴とする製塩における粒径分布測定
    のための試料調整方法。
  2. 【請求項2】 セル内に異なるメッシュの網体を必要枚
    数配置しておき、セルの振動により試料の分級をも同時
    に行うことを特徴とする、請求項1記載の試料調整方
    法。
  3. 【請求項3】 所要のメッシュの網体を上端部と下端部
    に持つ試料収容用セルと、該試料調整用セル内に収容さ
    れた該試料が団粒化するのを防止すべく該セルに振動を
    生じさせる振動発生機とを有し、該セルの前記下端部に
    配置した網体の下方部は吸引系および加熱乾燥空気供給
    系にそれぞれ流量調整バルブを介して接続していること
    を特徴とする、製塩における粒径分布測定のための試料
    調整装置。
  4. 【請求項4】 前記セルは、底部に所要のメッシュの網
    体が配置された筒体を複数個積み重ねた構造であること
    を特徴とする請求項3記載の試料調整装置。
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