JP2599755B2 - メルトブロー法による紡糸方法並びにメルトブロー用ダイ - Google Patents

メルトブロー法による紡糸方法並びにメルトブロー用ダイ

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JP2599755B2 JP63108028A JP10802888A JP2599755B2 JP 2599755 B2 JP2599755 B2 JP 2599755B2 JP 63108028 A JP63108028 A JP 63108028A JP 10802888 A JP10802888 A JP 10802888A JP 2599755 B2 JP2599755 B2 JP 2599755B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、熱可塑性樹脂をキャピラリーより溶融状態
で押出し、キャピラリーの周りのオリフィスより吹き出
す高速ガスで繊維状に延伸するメルトブロー用ダイに関
する。
従来技術 メルトブロー用ダイにキャピラリーを用いたメルトブ
ロー法による繊維ウェブの製造法は既知である。第9図
はその一例を示すもので、熱可塑性樹脂を押出機2で溶
融混練してメルトブロー用ダイ1のキャピラリー3より
押出し、キャピラリー3の周りに形成されるオリフィス
より吹出す高速ガスで繊維状に延伸して補集装置5にウ
ェブ状に巻取るようになっており、メルトブロー用ダイ
には、特公昭58−44470号に示されるように、断面が三
角形をなすダイ先端部内にキャピラリーを横方向に並設
して各キャピラリーをハンダ付けし、かつダイ先端部の
上下に適当なクリアランスを存してガスプレートを設け
たもの、横方向に並設したキャピラリーの各一側をダイ
ブロックで竪固に保持して片持ばり状に支持し、その上
下に設けられるガスプレートの先端をキャピラリーの自
由端部に適当なクリアランスを存して対峙させたものが
あり、ガスプレートとダイ先端部との間或いはキャピラ
リー自由端部との間のクリアランスにより形成されるオ
リフィスよりガスをキャピラリーより押出された溶融状
態の樹脂に所定の角度で吹き付け、繊維状に延伸させる
ようにしている。また特開昭56−159336号に示されるよ
うに、ノズルプレートに格子状に配設したキャピラリー
をそれぞれスクリーンの網状孔部に差込んでその先端を
突出させ、網孔部に差込んだキャピラリーと周りに形成
されるオリフィスよりガスを吹き出してキャピラリーよ
り押出される樹脂を繊維状に延伸させるものである。こ
うしたキャピラリーを使用するダイは、ダイブロックに
微小孔を多数形成する従来のものと比べ、微小孔を穿孔
するための放電加工が避けられるとともにキャピラリー
を正確に並べて微小孔を一直線上に並べることが容易に
できることからダイの製作コストを低下させ、またキャ
ピラリー先端をダイより外側に突出させることによって
運転中、キャピラリー先端の状況を監視して異常の早期
発見をすることができるなどの利点がある。
発明が解決しようとする問題点 メルトブロー法においては一般に、微小孔の孔径を大
にすると、詰りが解消されるとともに維持管理が容易と
なり、単位微小孔当りの溶融樹脂の吐出量が増して生産
性が上がるが、吐出量と、形成される繊維径とは高速ガ
スの流速が一定であれば、吐出量が増えると繊維径が太
くなる関係にあり、繊維径を変えないで生産性を上げる
のには限度がある。
本発明は、キャピラリーについて生産性を上げるため
の実験を種々重ねた結果、キャピラリー先端に軸方向の
切込みを入れると、切込みにより溶融樹脂の流れが分割
し、一つのキャピラリーより二以上の繊維が形成される
こと、隣接するキャピラリーの切込みによって形成され
る突部が背中合わせとなって互いに接触すると、繊維同
士が溶融状態で互いに絡み合って太いロープ状となった
り(これを以下ロープという)繊維状とならずに玉状と
なったりする(これを以下ショットという)ことなどを
見出した。
キャピラリー先端部に切込みを入れることに関して
は、特公昭58−44470号に示されるキャピラリーもダイ
ブロック及びキャピラリーに機械加工を施してダイ先端
部の断面を三角形に形成することにより上下にテーパ状
の切込みをいれた三角形の先端形状を呈するが、ここで
示されるキャピラリーはテーパ状の切込みによって形成
される突部が水平に向くように並べられ、隣接するキャ
ピラリーの突部が互いに背中合わせとなっている。
本発明の目的は、先端部をV形にカットしたキャピラ
リーを使用して溶融樹脂の流れを分割させるとともにロ
ープやショットを解消することができるメルトブロー法
による紡糸方法並びにメルトブロー用ダイを提供しよう
とするものである。
問題点の解決手段 本発明によればそのため、熱可塑性樹脂をキャピラリ
ーより溶融状態で押出し、キャピラリーの周りのオリフ
ィスより吹出す高速ガスで繊維状に延伸するメルトブロ
ー法による紡糸方法において、先端部にテーパ状に切込
みを入れてV形にカットしたキャピラリーを切込みによ
って形成される突部が背中合わせとならないような向き
に並べてその先端をオリフィスから突出させ、上記オリ
フィスから吹き出す高速ガスが切込みから流れ込んで2
以上に分割した溶融樹脂の流れを生じさせるようにした
紡糸方法が提供され、また一連に並設される各キャピラ
リーの先端部にテーパ状の切込みを入れてV形にカット
したメルトブロー用ダイが提供される。
キャピラリーとは通常、外径0.2〜3mm、内径0.1〜2mm
のパイプを指すが、外形及び内形は円形に限らず、例え
ば、三角形、四角形などの多角形のものを含むものとす
る。そしてその先端は好ましくはダイブロックやガスプ
レート先端から適宜突出するようにされる。これにより
キャピラリー先端の監視が容易となり、異常の早期発見
が可能となる。
オリフィスは従来の例えば特公昭58−44470号に示さ
れるように、断面が三角形をなし、キャピラリーが横方
向に並設されるダイ先端部とその上下に配したガスプレ
ートによって形成されるものであってもよいが、好まし
くはキャピラリーの自由端部をガスプレートのリップ部
で挟着することによりリップ部の平坦な押え面とキャピ
ラリーとで形成される。オリフィスが断面が三角形のダ
イ先端部とガスプレートとの間で形成されるものの場合
には、クリアランスを均一にするためにガスプレートや
ダイ先端部の加工に厳密な精度が要求され、また当初は
クリアランスが一定に組立てられていてもその後の熱歪
や経時歪等によってクリアランスが狂うおそれがあるの
に対し、リップ部の平坦な押え面でキャピラリーを挟着
すれば、クリアランスの均一なメルトブロー用ダイを容
易かつ確実に得ることができ、また加工誤差や熱歪、経
時歪等により押え面が多少平坦でなくても押え面がキャ
ピラリーに接触している限り、各オリフィスを実質上均
一に維持することができる。しかもキャピラリーは先端
でも竪固に支持されているので、ガスの吹出時に振動し
たり、出口が不揃いとなってロープやショットが生じ易
くなるといったこともなくなり、そのうえ延伸に寄与し
ないガスの流れが少なくなり、ガスの延伸効率を高める
ことができる。
切込みによって形成される突部の向きは、突部が互い
に背中合わせとならないような向きであればよいが、好
ましくは第8図に示すように縦向きに向けられる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、ポリアミ
ド、ポリアクリロニトリル、エチレングリ、コールとテ
レフタレート酸等を構成モノマーとするポリエステル類
及び1、4−ブタンディオールと、ディメチル・テレフ
タール酸又はテレフタタール酸のエステルのような線状
ポリエステル、ポリビニリデン・クロライド、ポリビニ
ール・ブチラールポリビニル・アセテート、ポリスチレ
ン、線状ポリウレタン樹脂、ボリプロピレン、ポリエチ
レンポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネ
ート及びポリイソブチレン更にこのカテゴリー内に熱可
塑性セルロース誘導体、例えばセルロース・アセテー
ト、セルロース・プロピオネート、セルロース・アセテ
ート−ブチレートオ及びセルロース・ブチレートなどを
例示することができ、場合によってこれに染料、添加剤
若しくは変性材が添加される。
溶融樹脂の吐出量は、流れが連続的に行われるように
するために、ある量以上を確保する必要があり、高速ガ
スが吹飛ばす溶融樹脂の量が供給量より多くなっても流
れが断続的になったり、一部の突部に集中するなどの不
都合を生じる。
溶融樹脂の限界流量は、キャピラリーの孔径や先端部
の角度、溶融樹脂の粘度、高速ガスの流速等によって異
なる。
溶融樹脂の粘度は、高速ガスとの接触で溶融樹脂が容
易に分割されるように調整される。その適正粘度はキャ
ピラリーの孔径及び先端部の角度、高速ガスの流速等に
よって異なるが、一般には100poise前後又はそれ以下で
ある。
使用されるガスは、エアーが代表的な例として挙げら
れる。
作用 キャピラリーの周りのオリフィから吹出す高速ガスが
切込みからキャピラリー自由端部内に流込むことによっ
て溶融樹脂が分割される。そして切込みによって形成さ
れる突部に沿い、その先端から流出して延伸され繊維状
となる。因みにキャピラリー先端からの溶融樹脂の流れ
を精微に観察したたころ、第4A、4B図に示すように、凹
部13から上下に分離して突部12に沿い、その先端から糸
を引くようにして流出していることが確認された。
キャピラリー11の孔径を大きくし吐出量を多くする
と、第5図に示すように溶融樹脂20の流れが途切れ易く
なり、断続的になる傾向がある。この問題は突部12の尖
端をカットすることによってある程度解消することがで
きる。すなわち第6A、6B図に示すように吐出量が多くな
ると、カットした端面に溶融樹脂の液溜り23ができ、こ
れにより糸を引くようにして流出することが確認され、
液溜り23はきわめて安定したものであった。
実施例1 条件 熱可塑性樹脂として数平均分子量(Mn)38000、Mw/Mn
3.0(Mwは重量平均分子量)、極限粘度(η)1.1のポリ
プロピレンを使用した。ノズルには外径0.81mm、内径0.
51mmのキャピラリーを用い、先端を第6A及び6B図の如く
加工した。Vカットの先端角は30゜とし、また突部の先
端はカットし0.2mm(円周方向)×0.15mm(半径方向)
の平坦部を設けた。このキャピラリー11を第1〜3図に
示すように、突部12が縦向きとなるように横方向に一連
に並べた状態で各他端をダイブロック25で上下より挟着
して竪固に支持し、自由端部をガスプレート26のリップ
部30で上下より挟着して先端をリップ部30より1mm突出
させたメルトブロー用ダイを使用し、溶融状態のポリプ
ロピレンを室27に導入してキャピラリー11より押出しな
がら、導入口28よりガス室29に導入したガスキャピラリ
ー11の周りのオリフィス31から吹出した。延伸用ガスに
は圧力4kg/cm2、温度280℃の空気を用い、樹脂は温度28
0℃、吐出量0.22gr/分/孔で成形した。
結果 ショットやロープがほとんど無い極めて手触りのよい
不織布が得られた。この成形時、ノズルの先端を40倍の
顕微鏡で観察すると、第6A及び6B図の状態になってい
た。得られた不織布の樹脂分析をしたところ、数平均分
子量33000、Mw/Mn2.4、(η)0.78であった。またこの
不織布を500倍の顕微鏡写真に撮り、20本の繊維の平均
繊維経を測定したところ、単純平均繊維径2.3μm、二
乗平均繊維径2.6μmであった。
実施例2 条件 すべてのキャピラリーの突部12を同じ側に45゜傾斜す
るように並べ、そのほかすべて実施例1と同じにして形
成した。
結果 実施例1に比べるとショットがわずかに増したものの
ロープはほとんど無い極めて手触りのよい不織布が得ら
れた。この成形時、ノズルの先端を40倍の顕微鏡で観察
すると第6A及び6B図の状態になっていた。また実施例1
と同様にして平均繊維径を測定したところ、単純平均繊
維径2.3μm、二乗平均繊維径2.6μmであった。
比較例 条件 すべてのキャピラリーの突部12が背中合わせになるよ
うに水平に並べ、そのほかはすべて実施例1と同じにし
て形成した。
結果 実施例1に比べるとショットロープが大きく増し、そ
のためざらざらした手触りの不織布が得られた。この成
形時、ノズルの先端を40倍の顕微鏡で観察すると、背中
合わせになっている2つの突部から1つの樹脂流が形成
されているもので、第6B図の液溜り23が継続的に形成さ
れているもの等が数多くみられた。
実施例3 条件 温度320℃の空気を用い、樹脂は温度320℃、吐出量0.
40gr/分/孔とし、その他の条件は実施例1と同じにし
て形成した。
結果 ショットやロープが殆ど無い極めて手触りのよい不織
布が得られた。この成形時、ノズルの先端を40倍の顕微
鏡で観察すると、第7A図の状態に、一部は第7B図の状態
になっていた。得られた不織布の樹脂分析をしたとこ
ろ、数平均分子量31000、Mw/Mn2.2、〔η〕0.71であっ
た。また実施例1と同様にして平均繊維径を測定したと
ころ、単純平均繊維径2.1μm、二乗平均繊維径2.3μm
であった。実施例1と比較し、吐出量を約2倍にしても
繊維径は小さくなっており、樹脂の粘度低下にともない
樹脂流が突部端で再分割する事が裏ずけられた。
実施例4 条件 キャピラリーの先端を劣らせたまゝ、即ちキャピラリ
ーの先端をカットしないで使用し、そのほかはすべて実
施例1と同じ条件で成形した。
結果 ショットやローブの少ない手触りのよい不織布が得ら
れた。この成形時、ノズルの先端を40倍の顕微鏡で観察
すると各々の突部の先端で第4A図及び第4B図のように樹
脂流が分割されていた。
実施例5 条件 実施例4と同じく先端を尖らせたキャピラリーを使用
し、そのほかは実施例3と同じ条件で成形した。
結果 実施例4と比べるとわずかにショットが増したが、ロ
ープはほとんどなく、良好な手触りの不織布が得られ
た。この成形時、ノズルの先端を40倍顕微鏡で観察する
と第5図のように樹脂が断続的に流れてショットを成形
している突部がわずかではあるが確認された。
発明の効果 本発明は以上のように構成され、次のような効果を奏
する。
請求項1の方法並びに請求項2のダイによれば、一つ
のキャピラリーから複数に分割した溶融樹脂の流れを形
成することができるため繊維径を変えずに溶融樹脂の吐
出量を増加させ、生産性を上げることができるばかりで
なく、ロープやショットの少ない不織布が得られる。
請求項3のダイによれば、オリフィスの均一なメルト
ブロー用ダイを容易にかつ確実に得ることができ、また
加工誤差や熱歪、経時歪等により押え面が多少平坦でな
くても押え面がキャピラリーに接触している限り、各オ
リフィスを実質上均一に維持することができる。しかも
キャピラリーは先端部でも竪固に指示されているので、
ガスの吹出時に振動したり、出口が不揃いとなるといっ
たこともなくなってロープやショットが生じにくゝな
り、そのうえ延伸に寄与しないガスの流れが少なくな
り、ガスの延伸効率を高めることができる。
請求項4のダイにおいては、キャピラリーの突部先端
がカットした如き形状をなすことにより溶融樹脂の吐出
量が多くなっても流れが途切れて断続的になる現象が起
きにくゝなる。しかも溶融樹脂の流れを更に複数に分割
させることができるので繊維径を変えずに溶融樹脂の吐
出量をより一層増加させ、生産性を更に上げることがで
きる。
請求項5のダイにおいては、隣接するキャピラリーの
突部が最も離れ、繊維が互いに絡みつくロープが生じに
くい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るメルトブロー用ダイの断面図、第
2図は同側面図、第3図は第2図の要部拡大図、第4A及
び4B図は紡糸時におけるキャピラリー先端部の正面及び
平面図、第5図は溶融樹脂の吐出量を多くしたときの流
動状態を示す正面図、第6A及び6B図は突部の尖端をカッ
トした形状をなすキャピラリーを使用したときの紡糸時
におけるキャピラリー先端部の正面及び平面図、第7A及
びB図は同じくキャピラリー先端部の平面図、第8図は
ダイの要部斜視図、第9図はメルトブロー法による紡糸
装置の斜視図である。 11……キャピラリー、12……突部 13……凹部、23……液溜り 25……ダイブロック、26……ガスプレート 30……リップ部、31……オリフィス

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂をキャピラリーより溶融状態
    で押出し、キャピラリーの周りのオリフィスより吹出す
    高速ガスで繊維状に延伸するメルトブロー法による紡糸
    方法において、先端部にテーパ状の切込みを入れてV形
    にカットしたキャピラリーを切込みによって形成される
    突部が背中合わせとならないような向きに並べてその先
    端をオリフィスから突出させ、上記オリフィスから吹き
    出す高速ガスが切込みから流れ込んで複数に分割した溶
    融樹脂の流れを生じさせるようにした紡糸方法
  2. 【請求項2】ダイブロックにより一部若しくは全体が狭
    付けられて固着され、ダイブロック間に一連に並べられ
    る多数のキャピラリーと、各キャピラリーの出口の両側
    に配備されたオリフィスを有し、熱可塑性樹脂をキャピ
    ラリーより溶融状態で押出し、オリフィスから吹出す高
    速ガスで延伸し、繊維状にする請求項1記載の紡糸方法
    で使用されるメルトブロー用ダイ
  3. 【請求項3】オリフィスは、片持ばり状に支持されるキ
    ャピラリーの自由端部をリップ部の平坦な押え面で挟着
    することにより形成される請求項2記載のメルトブロー
    用ダイ
  4. 【請求項4】各突部は先端がカットされた如き形状をな
    す請求項2記載のメルトブロー用ダイ
  5. 【請求項5】キャピラリーを水平に並べた場合、突部は
    縦向きをなす請求項2記載のメルトブロー用ダイ
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