JP2598660B2 - 機械的加工装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 可動体１の複数のガイドポスト３が、固定体２におい
てガイドポスト３に対応する位置に設けられたガイドブ
ッシュ４中に対応して嵌合挿入され、可動体が固定体に
対し移動可能な如き被給油部分を有する機械的加工装置
において、 固定体に対する可動体の高速加工動作を可能にすると
共に、高速加工動作に伴う固定体におけるガイドブッシ
ュと可動体におけるガイドポストとの嵌合部の温度上昇
による焼付けを防止するための給油を能率的に行ないう
るようにすることを目的とし、 被給油部分である各ガイドブッシュ４におけるガイド
ポスト３との嵌合部の温度を測定し、第１の管理温度を
検出したときそのガイドブッシュに対する給油指令を発
生し、第２の管理温度を検出したとき加工動作を停止さ
せるための停止指令を発生する測定器本体と、 測定器本体からの各ガイドブッシュ毎の給油指令によ
って対応するガイドブッシュに給油を行う如き給油装置
と、 加工動作を制御すると共に測定器本体からの各ガイド
ブッシュのいづれかからの停止指令によって加工動作を
停止させる制御操作盤とを備えるようにする。

〔産業上の利用分野〕

本発明は可動体のガイドポストが固定体のガイドブッ
シュ中を摺動するようにして固定体に対し可動体が加工
動作をする構成において、高速の精密加工動作が可能
で、しかも効率的給油によってガイドブッシュにおける
ガイドポストの焼付を防止しうるようにした機械的加工
装置に関する。

例えば金属板の成型に用いるプレス加工は、曲線，曲
面加工が容易であり、高生産性，高品質が得られるの
で、量産品の製造には良く用いられる。

これは凸形状の型を有する固定体と凹形状の型を有す
る可動体の間に被加工物の金属板を挿入し可動体を金属
板を介し固定体に押し当て押圧を加えて表裏面を凹凸形
状に密着させて、その形状に金属板を塑性変形させる加
工方法である。

従って、両型の型合わせが正確に行われることがプレ
ス加工においては最も重要な事柄になっている。

〔従来の技術〕

第２図は従来の機械的加工装置の１例としての精密プ
レス加工機の主要部を示す。

即ち第２図に示す精密プレス加工のためのプレス加工
機では、上型としての凹型11′を有する可動体11と、下
型としての凸型21′を有する固定体21とが組合わせ構成
される。そして平板状の可動体11の四隅には円柱状のガ
イドポスト31が固定され、一方固定体21において可動体
11のガイドポスト31に対応する位置には、ガイドポスト
が摺動可能な如く嵌合しうるガイドブッシュ41を備えて
いる。

この場合可動体11のガイドポスト31は固定体21のガイ
ドブッシュ41に挿入嵌合され、図示されない制御操作盤
の制御により、可動体11は固定体に対し往復動し、可動
体と固定体との間に挿入される被加工の金属板に対し、
凹型11′と凸型21′とによりプレス加工が行われる。

加工精度はガイドポスト31とガイドブッシュ41との間
隙により大きく影響されるのでこの間隙を極力狭めるよ
うにしている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、 高生産性を得るために単位時間当りの加工（プレ
ス）回数（以下SPMと略す）を高めると、摩擦熱により
金型は温度が上昇し、各部に伝熱し、ガイドポスト31や
ガイドブッシュ41にも温度上昇を与え、この熱膨張のた
めガイドポスト31とガイドブッシュ41とが嵌合部51で焼
付きを生じる。

上記問題を解決するためボールブッシュを用いても
十分なる高速プレス回数は得られない。

他に嵌合部51に潤滑油の循環式塗布を行う方法もあ
るが、塗布装置を要するのと、温度は各嵌合部により異
なり、また周囲温度にも依り変わるので、各嵌合部51に
合わせて給油する必要があり、高価なものとなる。又潤
滑油が溢れ出て被加工物に付着するとその除去に手間を
要す。

等の問題がある。

本発明はかかる問題点に鑑みてガイドポストとガイド
ブッシュとの嵌合部の高速動作回数に耐え得る焼付き防
止が可能で、しかも効率的給油が可能なプレス加工機を
含む如き機械的加工装置を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的は本発明により第１図に示す如く可動体１の
複数のガイドポスト３が、固定体２においてガイドポス
ト３に対応する位置に設けられたガイドブッシュ４中に
対応して嵌合挿入され、可動体が固定体に対し移動可能
な如き被給油部分を有する機械的加工装置において、 被給油部分である各ガイドブッシュ４におけるガイド
ポスト３との嵌合部５の各温度を測定し、第１の管理温
度を検出したとき、そのガイドブッシュ４に対する給油
信号を発生し、第２の管理温度を検出したとき加工動作
を停止させるための停止信号を発生する測定器本体７
と、 測定器本体７からの各ガイドブッシュ毎の給油信号に
よって対応するガイドブッシュ４における嵌合部５に給
油を行う如き給油装置９と、 加工動作を制御すると共に測定器本体７からの各ガイ
ドブッシュ４のいづれかからの停止信号によって加工動
作を停止させる制御操作盤10とを備えることを特徴とす
る機械的加工装置により達成される。

〔作用〕

本発明の対象とする機械的加工装置では総べてのガイ
ドポストとガイドブッシュとの組合わせが同一の加工動
作に関与している場合でも加工動作が行われている例え
ば型部の各部での温度上昇の程度も異なることもあり、
従ってかかる型部からの嵌合部の位置と、その位置での
ガイドポストとガイドブッシュとの嵌合状態及びそこで
の周囲温度により各嵌合部での温度上昇の程度は異な
る。

このため本発明では測定器本体７はガイドポスト３と
ガイドブッシュ４との各嵌合部５の温度を常時測定し、
第１の管理温度を検出するとその嵌合部に対する給油指
令を給油装置９に送出する。

かかる給油指令によって給油装置９はそれに対応する
嵌合部のみに給油し、これによってその嵌合部は給油に
よって潤滑状態は維持され、ガイドポスト３とガイドブ
ッシュ４との嵌合部５に焼付けを生ずることはない。

この場合第１の管理温度の検出されない嵌合部への給
油は行われず、その嵌合部での潤滑状態でガイドポスト
３はガイドブッシュ中を平滑に摺動動作を継続すること
による。

このように本発明では第１の管理温度に達した嵌合部
に対してのみ潤滑油は給油されるので、給油は無駄なく
効率的に行われ、また被加工物への潤滑油の付着は防止
される。

しかし第１の管理温度に達したことにより給油装置か
ら潤滑油の給油が行われたのにも拘わらず、いづれかの
嵌合部において更に温度が上昇し、その位置での温度が
第２の管理温度に達すると、測定器本体は加工動作を停
止させるための停止指令を発生し、これを制御操作盤10
に送出する。

この停止指令に基づいて制御操作盤は直ちに機械的加
工装置での加工動作を停止させる。

これによってガイドポスト３とガイドブッシュ４との
嵌合部における異常温度上昇による焼付きは完全に防止
される。

即ち本発明では機械的加工装置において、給油を必要
とする摺動部等被給油部分のそれぞれの温度を監視し、
第１の管理温度を検出した被給油部分に対し給油を行な
い、被給油部分のいづれかにおいて第２の管理温度を検
出した場合機械的加工装置の加工動作を直ちに停止させ
るようにする。

〔実施例〕

以下図面に示す実施例によって本発明を具体的に説明
する。

全図を通し同一符号は同一対象物を示す。

第１図に本発明の一実施例の構成図を示す。

本実施例は機械的加工装置としてのプレス加工機を示
し、対向面が30×30cmの凹型１′を有する可動体１と凸
型２′を有する固定体２を備え、可動体１には四隅に30
mm直径鋼棒のガイドポスト３を立設してあり、固定体２
には前記ガイドポスト３に対応した位置に砲金の肉厚15
mmのガイドブッシュ４が植設してあり、ガイドポスト３
とガイドブッシュ４とは常に嵌合したままの状態で高精
度のプレス動作が行われるようにしている。

各ガイドブッシュ４の嵌合部５の温度測定のためには
銅−コンスタンタン線の熱電対を用い、銅管に絶縁被覆
したコンスタンタン線を挿入し、１先端部を一緒に熔着
させた熱電対素子６を、各ガイドブッシュ４の肉厚部で
の嵌合部５に１先端を圧入埋設させてあり、他端を測定
器本体７に接続させている。

この測定器本体７は、複数の感温素子を接続し自動的
に測定する多点測定式であり、更に管理温度を二段階に
任意に設定出来、管理温度を測定値が越えると段階に応
じた信号を発するようにしてあり、第一管理温度を嵌合
部５の正常維持状態の上限温度例えば52℃とし、第二管
理温度は第一のものより高めて例えば56℃とし焼付きの
未然防止温度に設定させる。

また各嵌合部５のガイドブッシュ４の上端面には、そ
れに対応する潤滑油の給油管８の一端が配設され、他端
は油槽と電気制御の排出ポンプからなり、連続給油では
なく、所定の設定量のみが排出される給油装置９に接続
してある。

第一管理温度例えば52℃を越えたその嵌合部５には、
測定器本体７から発する給油信号により、給油装置９に
おける対応する嵌合部５への給油管にのみ潤滑油が流
れ、その嵌合部５にみの給油を行うようになっている。

又、第二管理温度例えば56℃を越えた時には、プレス
動作を停止させる停止信号により、制御操作盤10の制御
によりプレス加工機のクラッチを遮断させてプレス動作
を緊急停止させる。

本実施例により、同一精度を維持して従来例でのプレ
ススピード600SPMが本発明では1.7倍の1000SPMの高速動
作回数になり、運用人員も従来の１台/1人が２台/1人の
如く半減される。

上記実施例は一例を示す、感温素子、その装着、各型
の形状、寸法は上記のものに限定するものではない。

〔発明の効果〕

以上の如く、本発明により、機械的加工装置の被給油
部分である例えばガイドポストとガイドブッシュとの嵌
合部を、常に良好な潤滑状態に保って、高速加工回数に
も耐え、しかも被給油部分での焼付きを防止出来る機械
的加工装置が実現した。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の構成図、 第２図は従来の一例の精密プレス型である。 図において、 1,11は可動体、１′,11′は凹型、 2,21は固定体、２′,21′は凸型、 3,31はガイドポスト、4,41はガイドブッシュ、 5,51は嵌合部、６は熱電対素子、 ７は測定器本体、８は給油管、 ９は給油装置、10は制御操作盤である。

フロントページの続き (72)発明者 桐生 昭司 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 永井 治 神奈川県横浜市港北区新横浜３丁目９番 18号 富士通第一通信ソフトウェア株式 会社内 (56)参考文献 実開 昭52−6281（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】可動体１の複数のガイドポスト３が、固定
   体２においてガイドポスト３に対応する位置に設けられ
   たガイドブッシュ４中に対応して嵌合挿入され、可動体
   が固定体に対し移動可能な如き被給油部分を有する機械
   的加工装置において、 被給油部分である各ガイドブッシュ４におけるガイドポ
   スト３との嵌合部５の各温度を測定し、第１の管理温度
   を検出したときそのガイドブッシュ４に対する給油信号
   を発生し、第２の管理温度を検出したとき加工動作を停
   止させるための停止信号を発生する測定器本体７と、 測定器本体７からの各ガイドブッシュ毎の給油信号によ
   って対応するガイドブッシュ４における嵌合部５に給油
   を行なう如き給油装置９と、 加工動作を制御すると共に測定器本体７からの各ガイド
   ブッシュ４のいづれかからの停止信号によって加工動作
   を停止させる制御操作盤10とを備えることを特徴とする
   機械的加工装置。