JP2598572B2 - 位相変調方式の光ファイバジャイロ - Google Patents

位相変調方式の光ファイバジャイロ

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JP2598572B2
JP2598572B2 JP478691A JP478691A JP2598572B2 JP 2598572 B2 JP2598572 B2 JP 2598572B2 JP 478691 A JP478691 A JP 478691A JP 478691 A JP478691 A JP 478691A JP 2598572 B2 JP2598572 B2 JP 2598572B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、移動車両等に搭載され
回転角速度を検出するための光ファイバジャイロに関
し、さらに詳しくは、光源と前記光源からの光を左右両
回りに伝播させる光路と前記光路の伝播光を変調する位
相変調器とを備えた信号発生部と、前記信号発生部から
の出力信号に基づき回転角速度を導出する信号処理部と
からなる位相変調方式の光ファイバジャイロに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の位相変調方式の光ファイバジャ
イロは、以下の原理に基づき回転角速度を演算導出する
ものである。すなわち、前記光路に角速度Ωで回転が加
わると、サグナック(Sagnac)効果により、前記光路を左
右両回りに伝般する光に位相差Δθが生ずる。このと
き、角速度Ωと位相差Δθの間には以下の式が成り立
つ。
【0003】
【数1】 Δθ=(8πNA/λc)Ω A:光路の取り囲む面積 C:真空中の光速 λ:真空中の波形 N:巻数
【0004】前記位相変調器による変調電圧f(t)を
以下のようにすると、前記光路を通過する光は、右回り
と左回りでφだけ位相変調の位相がずれる。
【0005】
【数2】 f(t) =2bsinωmt b:変調電圧振幅 ωm :変調角周波数
【0006】
【数3】 φ=ωmτ=nlωm/c=2πfmnl/c τ:光の通過時間 l:ファイバ長 n:屈折率 fm :変調周波数
【0007】前記信号発生部の光出力を光電変換部にて
電気信号に変換すると以下のようになる。ここでJn
(n=0,1,2・・・)はベッセル関数である。
【0008】
【数4】 S(Δθ,t)=|E1sin{ωt +Δθ/2+bsin(ωmt+φ/2)} +E2sin{ωt −Δθ/2+bsin(ωmt−φ/2)}|2 =1/2(E1 2+E2 2 )+E1E2J0(2bsin(φ/2))cosΔθ(DCレベル信号分) +2E1E2J1(2bsin(φ/2))sinΔθcosωmt(基本周波数成分S1) +2E1E2J2(2bsin(φ/2))cosΔθcos2ωmt(第2高調波成分S2) +2E1E2J3(2bsin(φ/2))sinΔθcos3ωmt(第3高調波成分S3) +2E1E2J4(2bsin(φ/2))cosΔθcos4ωmt(第4高調波成分S4)+……
【0009】数4のうち、基本周波数成分S1及び第2高
周波成分S2を抽出することにより、Δθが求まる。
【0010】
【数5】Δθ=tan-1[J2(ξ)/J1(ξ)・S1/S2] ξ=2bsin(φ/2)
【0011】数5によれば、Δθの値は不定となるが、
S1とS2の符号を調べることで特定することができる。そ
して、第2高調波成分S2及び第4高調波成分S4との比
を、以下のように一定にするようξ=2bsin(φ/2) を制
御することにより数5の定数項J2(ξ)/J1(ξ)を一定に
保持していた。
【0012】
【数6】 S2/S4 =J2(ξ)/J4(ξ)
【0013】つまり、前記信号発生部からの出力信号の
うち基本変調周波数成分と複数の高次変調周波数成分を
抽出し、それら複数の成分間での振幅比を所定値に収束
すべく前記位相変調器の駆動電圧を制御することによ
り、温度や圧力等の環境変化による光ファイバ中の偏波
状態の変動等に起因するスケールファクタの変動を補償
していた。そして、従来のアナログ方式では、前記基本
変調周波数成分と複数の高次変調周波数成分を抽出する
ために、前記光電変換部の後段に各周波数成分に対応す
る複数の同期検波回路(ロックイン・アンプと称する)
を設けて信号処理部を構成し、それら同期検波回路の各
出力から角速度演算、前記位相変調器の駆動電圧の制御
等を行なっていた。しかし、上述した回路構成によれ
ば、スケールファクタの変動を補償するうえで、前記同
期検波回路の安定性がその角速度精度に大きな影響を及
ぼすことになる。つまり、前記同期検波回路では、アナ
ログ信号を取扱うために、温度特性に基づく出力電圧の
変動や経時変化により補償精度が劣下する虞があり、そ
の結果、回転方向の導出や、角速度の演算結果は信頼性
の低いものとなる。また、初期にゲイン等の調整工程が
複数の同期検波回路に必要とされ、その際の調整誤差が
補償精度に大きな影響を及ぼすことになるのである。そ
こで、本願出願人は、前記信号処理部を、前記光電変換
部の出力信号を直接にデジタル信号に変換するA/D変
換部と、前記A/D変換部の出力信号に基づき前記角速
度演算等を行なうデジタル信号処理部とから構成するこ
とを先に提案している(特願平1―79107号) 。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述のデジタル信号処
理部は、前記信号発生部からのサンプリングデータをフ
ーリエ変換し、所定の周波数成分に対する演算結果をも
とに角速度を導出している。回転方向については、所定
の周波数成分の符号を判定して正転または、逆転を決定
する。しかし、角速度の導出にあたり数5で示される式
を使用するものであったため、S1とS2の値によっては演
算誤差が大となる欠点があり、数5の所定内の誤差で値
が求められる狭い範囲でしか、正確な演算結果が求めら
れなかった。即ち、光ファイバジャイロの角速度検出範
囲が制限されていた(例えば、−90O/S≦Ω≦+90O/S)
。本発明の目的は上述した従来欠点を解消する点にあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明による位相変調方式の光ファイバジャイロの
特徴構成は、前記信号処理部に、前記信号発生部からの
出力信号をサンプリングするA/D変換部と、前記A/
D変換部によるサンプリングデータを高速フーリエ変換
する第一演算部と、その第一演算部により導出された基
本変調周波数及び第二高調波の周波数スペクトルの大小
に基づいて区画された角速度領域ごとの異なる導出式を
用いて回転角速度を導出する第二演算部を設けてあるこ
とにある。
【0016】
【作用】前記信号発生部からの出力信号がA/D変換部
でサンプリングされ、第一演算部で高速フーリエ変換さ
れた結果、導出された基本変調周波数及び第二高調波の
周波数スペクトルはΔθを変数とするSin 関数、Cos 関
数となる。これら周波数スペクトルの絶対値の大小に応
じてΔθを求める関数としてのTan関数、Cot関数を、基
本変調周波数より第二高調波の周波数スペクトルが小で
あればTan関数を、基本変調周波数より第二高調波の周
波数スペクトルが大であればCot 関数を使用して第二演
算部が角速度を導出するのである。Tan関数、Cot関数は
周期関数であるが、その値は記憶された角速度領域に基
づき一の値に特定されることになる。角速度領域が1周
期の領域を逸脱する場合には、角速度の変化状態を記憶
手段に常に記憶し、その変化状態を更新して、それを基
に領域の遷移過程をモニタすることで現領域及び遷移過
程を判定しながら角速度が導出できる。
【0017】
【発明の効果】従って、本発明による位相変調方式の光
ファイバジャイロによれば、光ファイバジャイロの回転
方向の特定を、フーリエ変換で求められた周波数成分S
1, S2の符号により極めて容易に、しかも、短時間で行
なうことができるようにしながらも、角速度の導出にあ
たりS1, S2の符号に加えて絶対値の大小比較を行い、前
記角速度領域に対応した演算式に切り替えることで、単
一の演算式を用いた場合の解の発散による演算誤差の増
加という現象を回避して精度の良い解を得ることができ
るようになった。更には、周期関数という特徴を生かし
て、光ファイバジャイロにおける角速度検出範囲を広げ
ることができるようになった。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図1に示すように、位相変調方式の光ファイバジャ
イロは、レーザダイオードなどを用いた光源2と光源2
からの光を左右両回りに伝般させる光路3とで構成され
る光学系1と、前記光路3の一端に設けられ所定の周波
数で駆動する位相変調器6とからなる信号発生部Aと、
前記信号発生部Aからの光出力信号を入力し角速度演算
や回転方向の導出等を行なう信号処理部8とで構成して
ある。
【0019】前記光路3は偏波保存型単一モード光ファ
イバをコイル状に巻いてなる光ファイバループで構成さ
れ、前記光源2からの光が偏波保存型光カップラ4,
4’と偏光フィルタ5を介して導かれる。すなわち、前
記光源2と偏波保存型光カップラ4,4’と偏光フィル
タ5と光路3とで光学系1を構成してある。前記位相変
調器6は、前記光路3を構成する光ファイバを前記光路
3の一端で電歪素子PZTに巻き付けて構成してあり、
後述の駆動部11からの信号で前記電歪素子を所定の周
波数で駆動することによって、光ファイバを伸縮させて
前記光路3中を伝播する光の位相を変調する。前記信号
処理装置8は、前記信号発生部Aからの光出力信号を電
気信号に変換する光電変換部7と、光電変換部7からの
出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換部9と、
A/D変換部9からの出力信号に基づき角速度演算、前
記位相変調器6へのフィードバック制御等を実行するデ
ジタル信号処理部10と、前記位相変調器6を駆動する
駆動部11と、タイミング信号発生部12と、前記デジ
タル信号処理部10からのフィードバックデータを前記
駆動部11に伝えるD/A変換部13等で構成してあ
る。前記タイミング信号発生部12は、基準信号発生器
12aと、その基準信号発生器12aからの周波数frの
基準クロックを周波数fs及びfに分周する分周器12
b,12cとで構成してあり、夫々の分周器12b,1
2cから出力されるクロックは、前記A/D変換部9及
び前記駆動部11に入力してある。前記A/D変換部9
は、前記分周器12bからのクロックに同期して、前記
前置増幅器7bからの出力アナログ信号を取込むサンプ
ルホールド回路と、サンプルホールド回路によりサンプ
ルホールドされたアナログ信号をデジタル信号に変換す
るA/D変換器とで構成してある。前記位相変調器6の
変調周波数fと前記A/D変換部9のサンプリング周波
数fsとは、fs=8f の関係にあり、前記信号発生部Aから
の出力信号のうち、第4高周波成分まで取り込むように
してある。前記デジタル信号処理部10は、前記A/D
変換部9で得られたサンプリングデータを高速フーリエ
変換する第一演算部10aと、その第一演算部10aに
より導出された基本変調周波数と第二高調波の周波数ス
ペクトルから回転方向及び角速度を演算導出する第二演
算部10bとを備えてある。
【0020】今、一例として、光ファイバジャイロのス
ケールファクタ、すなわち、数1における(8πNA/ λc)
を0.5 、ダイナミックレンジを0〜±360 O /S、ベッセ
ル関数J1(2bsin (φ/2))=J2(2bsin (φ/2))とする。図
2に示すように、前記第一演算部10aにより導出され
た以下の基本変調周波数と第二高調波の周波数スペクト
ルの符号Sgn(sinΔθ),Sgn(cosΔθ),Sgn(S2 2 -S1 2) か
ら、位相角Δθを横軸とする軸方向に90°ずつの複数
の領域(R−4,R−3,・・・,R+3,R+4)に
分割できる。
【0021】
【数7】 S1=2E1E2J1(2bsin(φ/2))sinΔθ S2=2E1E2J2(2bsin(φ/2))cosΔθ
【0022】前記第二演算部10bは、回転方向の判別
を行うにSgn(sinΔθ) が正の領域を正転領域、負の領
域を逆転領域と判別し、角速度の導出演算をSgn(S2 2-S1
2)の符号が正の領域ではtan関数、負の領域ではcot関数
を用いて行うことで、tan関数のみの使用による場合に
生じる解の発散を回避する。
【0023】〔別実施例〕 以下に本発明の別実施例を説明する。先の実施例では、
スケールファクタを0.5、ダイナミックレンジを0〜±3
60O /Sとする光ファイバジャイロについて述べたが、光
ファイバジャイロとしては、スケールファクタ、ダイナ
ミックレンジともに、上述の値に限定するものではな
く、任意の値で設定することが可能である。例えば、ダ
イナミックレンジが±360O /S以上でも検出可能な光フ
ァイバジャイロは、図3に示すように、図2に示す領域
が周期的に繰り返されることに着目して、現在該当する
領域を把握すること(すなわち、現在の角速度ΩNを求
めるため、過去の角速度(ΩN-1N-2 …)に相当する
先にサンプリングされたデータを基に、過去に遷移して
きた領域をモニタすることにより領域の左右への遷移を
判別すること)によって、その領域に対応する0〜±36
0O/Sの範囲内の領域で予め設定されている記憶手段10
cのテーブルデータに基づき角速度を求めることにより
構成することができる。つまり、領域R5は領域R−4
に、領域R6は領域R−3といったように対応付けるの
である。この場合、ダイナミックレンジが±360O/S以上
であっても、0〜±360O/Sの範囲内の領域に対応するテ
ーブルデータのみ設けるだけでメモリ容量の増加の必要
なく、即ちハードウェアを共通にしてソフトウェアの変
更のみで、同じ分解能で広いダイナミックレンジの光フ
ァイバジャイロを構成できる。Δθが±180°の範囲内
であれば、信号発生部Aのスケールファクタを異ならせ
ることで、低分解能であるが広いダイナミックレンジの
光ファイバジャイロや、ダイナミックレンジは狭いが高
い分解能の光ファイバジャイロを、同一の信号処理部8
を用いながら構成できる。
【0024】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブロック構成図
【図2】基本周波数と第二高調波のスペクトル波形図
【図3】基本周波数と第二高調波の拡張されたスペクト
ル波形図
【符号の説明】
2 光源 3 光路 6 位相変調器 8 信号処理部 9 A/D変換部 10a 第一演算部 10b 第二演算部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源(2)と前記光源(2)からの光を
    左右両回りに伝播させる光路(3) と前記光路(3)の
    伝播光を変調する位相変調器(6)とを備えた信号発生
    部(A)と、その信号発生部(A)からの出力信号に基
    づき回転角速度を導出する信号処理部(8)とからなる
    位相変調方式の光ファイバジャイロにおいて、前記信号
    処理部(8)に、前記信号発生部(A)からの出力信号
    をサンプリングするA/D変換部(9)と、前記A/D
    変換部(9)によるサンプリングデータを高速フーリエ
    変換する第一演算部(10a)と、その第一演算部(1
    0a)により導出された基本変調周波数及び第二高調波
    の周波数スペクトルの大小に基づいて区画された角速度
    領域ごとに異なる導出式を用いて回転角速度を導出する
    第二演算部(10a)を設けてある位相変調方式の光フ
    ァイバジャイロ。
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