JP2596778B2 - 太陽熱吸収性保温シート素材及び太陽熱吸収性保温シート - Google Patents

太陽熱吸収性保温シート素材及び太陽熱吸収性保温シート

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JP2596778B2 JP63043429A JP4342988A JP2596778B2 JP 2596778 B2 JP2596778 B2 JP 2596778B2 JP 63043429 A JP63043429 A JP 63043429A JP 4342988 A JP4342988 A JP 4342988A JP 2596778 B2 JP2596778 B2 JP 2596778B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は太陽熱を効果的に吸収し、且つ熱放射による
損失の少ない熱選択吸収技術に係り、保温性に優れる等
の太陽熱吸収性保温シート素材及び該太陽熱吸収性保温
シート素材を使用した太陽熱吸収性保温シート又は太陽
熱吸収性保温複合シートに関するものである。
〔従来の技術〕
従来より太陽熱エネルギーの利用技術が注目されてお
り、金属・誘電体多層膜或は半導体反射防止膜のような
多膜系の材料が太陽熱選択吸収材として開発され、熱発
電装置などに利用されようとしている。
太陽放射スペクトルは、0.5μm付近にピークを持っ
ており、0.3乃至2.0μmの間に全エネルギーの95%を含
んでいる。このため、太陽熱を選択的に吸収させる物質
としては0.3乃至2.0μmの波長域で吸収が大きく、且つ
2.0μm以上の赤外域の放射率が小さく熱の放射損失が
少ないことという条件が必要となるが、上記金属・誘導
体多層膜或は半導体反射防止膜のような多膜系の太陽熱
選択吸収材はこの条件を満足するものとして使用されて
きた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし上記従来の多膜系の太陽熱選択吸収材は、皮膜
を形成する工程が複雑であり、生産コストが高騰するば
かりでなく、膜面の恒久維持が困難であるため多様性に
乏しく一般工業製品への導入が難かしいものであった。
本発明は上記問題に鑑み、生産コストを引き下げるこ
とができると共に、多層膜のような膜構造を持たない太
陽熱選択吸収材として複合物質を形成し、該太陽熱選択
吸収物質を織成布,編成布,不織布またはフィルム等の
シート状に形成する技術を提供することを目的とするも
のであり、太陽熱吸収性保温シート素材,該太陽熱吸収
性保温シート素材を使用した太陽熱吸収性保温シート又
は太陽熱吸収性保温複合シートを提供することを目的と
するものである。
〔課題を解決するための手段〕
即ち、本発明の太陽熱吸収性保温シート及び太陽熱吸
収性保温材は、周期律表第IV族に属する遷移金属の炭化
物又はこの炭化物とアルミニウムの混合物をバインダー
と混成し、この混成物を繊維状に成形したものを織成ま
たは編成して織布にするか、或は絡めて不織布にする
か、更にこの基材をフィルム状に引き延ばして太陽熱吸
収性保温シートを構成するものである。
また該太陽熱吸収性保温シートを基材の表面に被設す
るか、基材の肉厚内に装設することにより太陽熱吸収性
保温複合シートを構成したものである。
尚、上記周期律表第IV族に属する遷移金属の炭化物と
しては、TiC,ZrC,HfC等が利用でき、殊にZrCが有用であ
る。
〔作用〕
本発明に係る太陽熱吸収性保温シートは、TiC,ZrC,Hf
C等の周期律表第IV族に属する遷移金属の炭化物または
この炭化物とアルミニウムの混合物を、織成布,編成
布,不織布あるいはフイルムにして面状体を構成したも
のであるから、その基材を適当に選択することによって
該周期律表第IV族に属する遷移金属の炭化物の特性であ
る太陽放射スペクトルの0.3乃至2.0μmの波長域で大き
な吸収性能を発揮し、且つ2.0μm以上の赤外域の放射
率を抑制して熱の放射損失の減少を図るように作用する
太陽熱選択吸収保温シートを構成することができる。
第1図はZrCを薄膜状にして太陽熱吸収性保温シート
を合成樹脂基板面に被設したときの光学特性を示すもの
で、この膜の太陽光の吸収率は92%,赤外域の反射率は
93%であった。
従って本発明では一般繊維材又はガラス材等を基材と
してその表面又は基材中にZrCを面状に延展する構造に
なるため、上記光学特性に近似した特性を有する太陽熱
吸収性保温シートまたは太陽熱吸収性保温材を構成する
ことができる。
〔実施例〕
以下、本発明に係る具体的な実施例を図面に従って説
明する。
実施例 1 本実施例は太陽熱吸収性保温シート素材を種々の基材
表面又は肉厚内に設けた複合シートの構成を示す。
第2図について符号1は植物性繊維,動物性繊維或は
合成樹脂繊維の織成布,編成布,不織布またはフィルム
からなる可撓性基材である。粒径3μm以下のZrC粉末
5部に、粒径1μm以下のAl粉末3部を配合した混合粉
末を、ポリウレタン樹脂バインダー100重量部に対し20
重量部の割合で混合し、撹拌して均一に分散させた太陽
熱吸収性保温シート素材2を上記可撓性基材1の表面に
塗布したのち、上記バインダー成分を硬化せしめて該可
撓性基材1の表面に太陽熱選択吸収膜3を形成したもの
である。
この太陽熱吸収性保温シートの光学特性は、第3図に
示すように、0.3乃至2.0μmの間で高吸収性を有し、ま
た2.0μm以上の赤外域の放射率が小さく、太陽光の吸
収率は90%,赤外域の反射率は87%であった。
上記構成の太陽熱吸収性保温シートは、カーテン,ジ
ュータン,壁紙,襖紙等のインテリア内装材、テント,
温室の屋根用シート,周壁シート等の被覆シート材とし
て利用することができる。
又この実施例の太陽熱吸収性保温シートは、第4図に
示すように太陽熱選択吸収膜2を可撓性基材1に対して
部分的に配設することによって太陽熱の吸収率及び保温
性能を調節することができるばかりでなく、該可撓性基
材1を透明材によって構成することによって太陽の直射
光を透過する透明窓部4を形成することができる。
実施例 2 第5図及び第6図は太陽熱吸収性保温シート素材を紡
糸し、シート状に構成するものを示す。
先ず、粒径10μm以下のZrC粉末を融解したナイロン
6に2重量%の添加率で配合し、この混練組成物をスク
リュー型溶融紡糸機により70デニールの原糸5として吐
出する。該原糸5を太陽熱選択吸収性繊維として縦横糸
に使用し、平織のタフタに織成したものである。
上記原糸5はその糸自体に太陽熱選択吸収性を有して
おり、織成布だけでなく編成または不織成形してシート
状にすることもできる。
又、第6図に示すように、横糸または縦糸として上記
原糸5を使用し、また縦糸または横糸として植物性繊
維,動物性繊維或は合成樹脂繊維等の糸6を使用した混
成布によって構成することもできる。
更に第7図に示すように上記太陽熱選択吸収性繊維
を、前記原糸5によって芯部繊維を構成すると共に、合
成樹脂またはガラス等からなる鞘状繊維7の中空部に、
該原糸5を内挿した芯鞘構造になるように紡糸して、こ
の芯鞘構造の糸を前記実施例のように織成,編成または
不織成形してシート状にすることもできる。
この実施例の太陽熱吸収性保温シートは、第一の実施
例と同様に、カーテン,ジュータン,壁紙,襖紙等のイ
ンテリア内装材,テント,温室の屋根用シート,周壁シ
ート等の被覆シート材だけでなく、帽子,手袋,靴下等
の一般衣料用生地、医療用又は運動用パッド或はサポー
タ等の保温材、又は毛布,布団カバー,炬燵カバー等の
寝具生地,靴等の履物素材として利用することができ
る。
実施例 3 第8図に示す実施例は、前記太陽熱吸収性保温シート
素材1をフィルム状に延展したものを示す。
粒径3μm以下のZrC粉末5部に、粒径1μm以下のA
l粉末3部を配合した混合粉末を、ビニル樹脂に2重量
%の添加率で配合し、充分混練して均一に分散した混練
組成物を調整したのち、所定の厚さを有するフィルム状
に展成したものである。
この太陽熱吸収性保温シートは温室の屋根用シート及
び周壁シート材として有用であり、第9図に示すように
0.3乃至2.0μmの間で太陽光の吸収率91%の高吸収性を
呈し、また赤外域の反射率が90%と、2.0μm以上の赤
外域の放射を抑制する作用が顕著であった。
このフィルム状シートは、温室又は温床用の被覆シー
ト材としてもまた有用である。
実施例 4 第10図は前記実施例3の太陽熱吸収性保温シート8を
2枚のガラム板9,9間に挾み込んで合わせガラスを構成
した太陽熱吸収性保温複合材であり、前記実施例3の光
学特性と近似した太陽光の高吸収性と赤外域の赤外域の
高反射特性を呈する。
従って、この太陽熱吸収性保温複合材は、窓用ガラ
ス,自動車用ウィンドウガラス又は温室用ガラスとして
有用である。
以上、本発明に係る太陽熱吸収性保温シート及び太陽
熱吸収性保温材の具体的な実施例について説明したが、
周期律表第IV族に属する遷移金属の炭化物としては、Zr
Cだけでなく、TiC,HfC等も利用できることはいうまでも
ない。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明に係る太陽熱吸収性保温シ
ートまたは太陽熱吸収性保温材は、TiC,ZrC,HfC等の周
期律表第IV族に属する遷移金属の炭化物またはこの炭化
物とアルミニウムの混合物を面状に構成したことによっ
て、該面状体が周期律表第IV族に属する遷移金属の炭化
物の特性と類似した太陽熱の高吸収作用と、赤外域の熱
の放射損失抑制作用を発揮し、太陽熱の選択吸収及び保
温性に優れた各種材料を提供することができるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は薄膜状ZrCの光学特性を示す各波長に対する熱
吸収曲線を示すグラフ、第2図は基材に太陽熱吸収性保
温シート素材を被設した実施例を示す拡大断面図、第3
図は該太陽熱吸収性保温シートの光学特性を示す各波長
に対する熱吸収曲線を示すグラフ、第4図は太陽熱吸収
性保温シートの他の実施例を示す正面図、第5図は太陽
熱吸収性保温シート素材を紡糸構成した太陽熱吸収性保
温シートの第三の実施例を示す拡大断面図、第6図は同
太陽熱吸収性保温シートの第四の実施例を示す拡大断面
図、第7図は芯鞘構造を有する太陽熱吸収性保温繊維を
示す繊維の拡大端面図、第8図は太陽熱吸収性保温シー
ト素材をフィルム状に延展した太陽熱吸収性保温シート
の第五の実施例を示す拡大断面図、第9図は第五の実施
例における太陽熱吸収性保温シートの光学特性を示す各
波長に対する熱吸収曲線を示すグラフ、第10図は太陽熱
吸収性保温複合材の拡大断面図である。 1……可撓性基材 2……太陽熱吸収性保温シート素材 3……太陽熱選択吸収膜 4……透明窓部 5……原糸 6……糸 7……鞘状繊維 8……太陽熱吸収性保温シート 9……ガラス板 ZrC……炭化ジルコニウム粉末 Al……アルミニウム粉末

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周期律表第IV族に属する遷移金属の炭化物
    またはこの炭化物とアルミニウムの混合物をバインダー
    と混成した太陽熱吸収性保温シート素材。
  2. 【請求項2】バインダー混成品を繊維状に成形したもの
    を織成,織成又は絡成して、織成布,編成布または不織
    布のシート状を構成して成る請求項1記載の太陽熱吸収
    性保温シート。
  3. 【請求項3】織成布,編成布または不織布の繊維を一部
    が天然繊維または合成繊維等の他の繊維材から成る請求
    項2記載の太陽熱吸収性保温シート。
  4. 【請求項4】繊維状成形体が請求項1記載の太陽熱吸収
    性保温シート素材によって形勢した芯部繊維を、合成樹
    脂またはガラス等の鞘状繊維の中空部に内挿した芯鞘構
    造になる請求項2又は3記載の太陽熱吸収性保温シー
    ト。
  5. 【請求項5】バインダー混成品をフイルム状に延展して
    成る請求項1記載の太陽熱吸収性保温シート。
  6. 【請求項6】フィルム状シートの一部が合成樹脂フイル
    ム,金属フィルム等の他のフィルムによって構成される
    請求項3記載の太陽熱吸収性保温シート。
  7. 【請求項7】ガラス板,合成樹脂または紙等の各種シー
    ト材間に請求項2,3,4,5又は6記載の太陽熱吸収性保温
    シートを挟持一体化してなる太陽熱吸収性保温複合シー
    ト。
  8. 【請求項8】周期律表第IV族に属する遷移金属の炭化物
    がTiCまたはZrCまたはHfCである請求項1乃至7記載の
    太陽熱吸収性保温素材または太陽熱吸収性保温シート。
  9. 【請求項9】バインダーがポリアミドまたはポリエステ
    ルである請求項1乃至7記載の太陽熱吸収性保温素材ま
    たは太陽熱吸収性保温シート。
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