JP2596671B2 - 高圧配電線用ディジタル型地絡過電圧継電器 - Google Patents

高圧配電線用ディジタル型地絡過電圧継電器

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JP2596671B2
JP2596671B2 JP16861692A JP16861692A JP2596671B2 JP 2596671 B2 JP2596671 B2 JP 2596671B2 JP 16861692 A JP16861692 A JP 16861692A JP 16861692 A JP16861692 A JP 16861692A JP 2596671 B2 JP2596671 B2 JP 2596671B2
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啓吉良 神尾
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高圧配電線の増設工
事、あるいは線路切替等による暫定的な期間中における
配電線対地静電容量の変化により地絡抵抗の検出感度が
影響を受けることがないように、配電線の常規対地電
値と地絡時に発生する零相電圧の振幅比および位相差に
基づいて地絡抵抗値を算出し、前記算出値が所定値以下
となることをもって所定感度の地絡事故を検出する保護
継電機能を有する、非接地系高圧配電系統用ディジタル
型地絡過電圧継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】高圧配電線(3.3kV,6.6kV)
の接地方式には一般に非接地方式が適用されているが、
その1線に地絡事故が発生した場合にこの系統を保護す
るために地絡方向継電器(以下DGRと記す、概ね高感
度を示す)および地絡過電圧継電器(以下OVGRと記
す、比較的低感度を示す)の直列回路に駆動される回路
遮断器(以下CBと記す)を使用することが一般的であ
る。
【0003】図6は上述の保護機能を有する高圧配電線
の系統構成の一例を示す。TRは三相の主変圧器であ
る。
【0004】A,B,Cは高圧母線を構成する線路導体
で、主変圧器TRの2次側に接続され、夫々の相をa
相、b相、c相と呼ぶことにする。1F,2F・・・m
Fは高圧母線A,B,Cに連繋するフィーダで,夫々3
条の線路導体ai,bi,ci(i=1,2,3,・・
・m)により構成され、夫々の相は、図6から明らかな
通り、a相、b相、c相である。
【0005】また、電圧をV,電流をにより表示し、
複素ベクトルであることを示す・印は省略する。高圧母
線およびフィーダの長さは線路上の電圧・電流の波長に
較べれば微小であるから、同一相に属する線路上の電圧
は、位置に関わりなく、夫々一定と考えることができ
る。換言すれば、各導体の分布抵抗および分布インダク
タンスを無視し、その分布静電容量を考慮するのみで何
等支障はない。以下、a相、b相、c相の対地電圧をV
a ,Vb ,Vc ,主変圧器a,b,c相の出力電流I
a , b ,Ic ,フィーダiFのa,b,c相の電流を
ai,Ibi,Iciにより夫々表示する。また簡単のため
に各フィーダiFの各線路導体の対地静電容量は完全に
平衡しているものと仮定し、その1相当たりの対地静電
容量をCiにより表す。地絡はフィーダ1Fのa相にお
いて発生し、その地絡抵抗をRg ,地絡電流をIg とす
る。
【0006】ZCTiはフィーダiF始端(変電所
内)に配置された零相変流器で、地絡事故発生時にフィ
ーダiFを流れる零相電流を検出する役割を果たす。C
B−iはZCT−iの至近の位置においてフィーダiF
と直列に挿入された遮断器で、地絡フィーダを遮断する
機能を果たす。GPTは主変圧器TRの近くに配置され
た接地型計器用変圧器で、その3つの1次巻線(高圧
側)はY結線され、その中性接続点は接地されるととも
に、他端は夫々高圧母線の導体A,B,Cに接続され
る。GPTの3つの3次巻線(低圧側)はブロークン△
に結線され、その両端には限流抵抗rn が挿入される。
大地よりGPTの1次巻線の中性点に流れ込む電流をI
n により表示する。GPTの1次および3次巻線を夫々
1 およびN3(N3 ≪N1 )とすば、rn の1次側
換算値Rn は Rn =(N1 /N3 2 n /9 (1) となり、Rn ≫rn であることは明らかである。即ち、
高圧配電線系統の中性点は高抵抗で接地されている。r
n 両端の電圧の1次側換算値の大きさは、後述するよう
に、系統の零相電圧Vo のそれに相等しい。このほかG
PTにはY結線された2次巻線があるが、以下の説明と
直接の関係がないので記述を省略する。
【0007】図7は遮断器CB−i,地絡方向継電器D
GR−i,地絡過電圧継電器OVGRおよび前述のZC
T−i,GPTの協働動作を示す回路で、紙面の都合に
より図6においては図示を省略したものである。GPT
3次巻線の誘導電圧(零相電圧VO に比例する)はOV
GRおよびDGR−iの入力端子に並列的に供給され
る。以後、電圧、電流の値は全て1次側換算値により表
示することにする。またZCT−iの2次巻線電圧(フ
ィーダiFの零相電流3Ioiに対応する)はDGR−i
の他の入力端子へ供給される。
【0008】OVGRは、前記入力電圧Vo が予め定め
られた値(整定値Vvg)を超えると作動して接点がメイ
クされる。DGR−iの動作はやや複雑である。すなわ
ち、入力電圧Vo が整定値Vdgを超えると共に、3Ioi
が図8(Vo を基準ベクトルとするベクトル線図)のベ
クトルが斜線領域にある場合に動作する(接点がメイク
される)。Vo を基準とする3Ioiの位相角をθ,DG
R−iの最大感度角をφ(通常φは45℃)とすれば、
θがφ−π/4<θ<φ+π/4の範囲にある場合には 3Ioi≧Idg (Idg:整定値) (2) のときにDGR−iの接点はメイクされる。前記角度範
囲外では3Ioiに関する動作限界値はθと共に急速に増
加する。後述の解析から明らかな通り、3Ioiの位相角
θは地絡の有無により著しく相違するので、DGR−i
は、前記機能により、自己の分担するフィーダに限界地
絡抵抗値以下の地絡事故が発生した場合にこれに応答し
て接点がメイクされる。
【0009】図7から明らかな通り、遮断器CB−i
は、OVGRおよびDGRがともに接点メイクの状態に
ある時に動作してフィーダiFへの電力供給を遮断す
る。この場合にOVGRには方向性がなく、配電系統内
のどのフィーダが地絡してもこれに応答し、また多くの
場合、DGR−iに較べ低感度である。一方、DGR−
iが過敏に反応することが多いので、OVGRはその後
備保護機能を果たしている。このため、地絡事故を
に検出遮断するためには、両者の地絡抵抗検出感度を近
接適正化することが是非とも必要である。
【0010】さて、図6に示すようにフィーダiFのa
相に地絡事故が発生した場合には系統内各線路導体の対
地電位は健全時の値より変動する。しかし、この場合に
おいても線間電圧Vab,Vbc,Vcaの値は不変である。
従って健全時正相の電圧・電流が配電されてい場合
には、地絡時にも逆相電圧・電流は発生せず、零相電圧
・電流のみを考慮に入れればよい。従って、Va
b ,Vc は次の形に書くことができる。
【数1】
【数2】 a はa相の常規対地電圧で、6,600V配電線の場
合は
【数3】 である。また、Vo は Vo =(Va +Vb +Vc )/3 (6) により定義される零相電圧である。また地絡時点におい
ては Va =Vo +Ea =Rg g (7) の関係が成り立つ。
【0011】次にフィーダiFの始端における1相当り
の零相電流を Ioi=(Iai+Ibi+Ici)/3 (8) により定義する。健全なフィーダの零相電流は 3Ioi=−j3ωCi o (9) 一方、地絡したフィーダの零相電流Io1は、図6より 3Io1j3ω(C2 +C3 +・・・+Cm )Vo +In (10) 地絡電流Ig は Ig j3ω(C1 +C2 +C3 +・・+Cm )Vo +In (11) 従って、 3I o1 =I g +j3ωC 1 o (12a) また、同図の n の1次側換算値はRn であるから Vo =−In n (12b) 以上の関係より Vo =−Ea /〔1+Rg {(1/Rn )+j3ω (C1 +C2 +C3 +・・・+Cm )}〕 (13) を得る。これによりVo が明らかとなり、更に式(12
a),(9),(12b)よりIg ,Ioi,In の値が
全て明らかになる。
【0012】系統保護の観点から言えば、遮断器CB−
1はRg が予め設定された値(例えばRg =6kΩ)以
下の場合にフィーダ1Fを遮断し、それ以上の場合には
健全と見做して導通状態を維持するように系統を構成す
ることが最も望ましい。すなわち、Rg =6kΩの場合
のVo およびIoiの値を式(5)〜(13)を用いて予
め算出し、これに基づいてOVGRおよびDGR−1の
整定値を設定すればよい。しかし、後述するように、こ
れらの数値は線路導体の対地静電容量C1 ,C2 ,C3
・・Cm により大きく左右され、しかもその値を予め推
定し、または実測することが難しく、更に仮りに前記整
値が合理的に設定されても、その後に配電線の増設工
事が行われた場合には、整定値を変更することが必要と
なる。あるいは、停電工事または大規模停電等により一
時的に系統規模の変動を余儀なくされたときは、その検
出感度の変更は容易なことではない。以下この問題につ
き定量的に考察する。
【0013】最初にOVGRの動作について考察する。
式(13)より直ちに、
【数4】 o は次式により定義され、全線路導体の対地サスセプ
タンスの絶対値を意味する。すなわち、 Bo =3ω(C1 +C2 +C3 +・・+Cm ) (15) 式(14)より
【数5】 n の値は通常10kΩ程度と極めて大きい事実に着目
し、式(14),(16)右辺において1/Rn を含む
項を無視すれば、
【数6】
【数7】 を得る。概略の傾向を知るためには略算式(17),
(18)を用いて差支えない。
【0014】ここで、OVGRの整定値をVvgとすれ
ば、前述したようにOVGRは |Vo |≧Vvgのときに接点メイク状態 |Vo |<Vvgのときに開放状態 となる。
【0015】次に、式(18)右辺において|Vo |を
OVGRの整定値Vvgにより置換して
【数8】 なる量を導入すれば、OVGRは Rg ≦Rvgのときに接点メイク状態 Rg >Rvgのときに開放状態 となる。すなわち、与えられた整定値について、Rg
vgの場合にはフィーダは健全なものと判断される。以
上の観点よりRvgを地絡抵抗検出限界値と呼ぶこととす
る。Rvgの値が大なるほど保護機能は高感度と言うこと
ができる。RvgはBo に無関係に一定値(例えば6k
Ω)を保つことが最も望ましいが、現実にはBo に反比
例することがわかる。
【0016】次に、DGR−iの動作について考察す
る。DGR−iの動作については既に図8により概略の
説明を行ったが、フィーダ1Fに地絡が発生した場合、
1Fの零相電流Io1の位相角θは通常φ−π/4<θ<
φ+π/4の範囲にあることが多く、更に整定値Vdg
一般に低い値に設定されているため、実際上は 3Io1≧Idg (20) をDGR−1の動作条件と考えて差支えない。簡単のた
めに式(13)においてRn =∞とし、従って、式(1
1)においてIn =0すれば、式(15)より
【数9】 また、式(11),(12a),(21)より
【数10】 ここでB' o は次式により定義される。 ' o =jBo −j3ωC1 (23) 式(22)より
【数11】 これより直ちに
【数12】 が得られる。式(25)右辺の|3Io1|をDGR−1
の整定値Idgにより置換して
【数13】 なる量を導入すれば、OVGRの場合と相似的に、GD
Rは Rg ≦Rdgのときに接点メイク状態 Rg >Rdgのときに開放状態 となる。以下、Rdgは整定値をIdgに設定した場合の、
地絡抵抗検出限界値と呼ぶ。式(26)から明らかな通
り、RdgはBo および ' o の値に大きく依存すること
が明らかである。
【0017】図9は、式(19)および式(26)に基
づいてRvgおよびRdgとBo の関係を算出し、その結果
を図示したものである。ここで、Bo はそのままの値を
用いず、これにEa (6,600/√3)を乗じて電流
値(A)に換算している。Rdgは3ωC1 a (地絡フ
ィーダ1Fの対地アドミタンス×Ea )をパラメータと
して図示している。なお、Vvgは600V,Idgは0.
2Aとしている。
【0018】このようにOVGR,DGRの整定値を固
定すると、配電線の規模により地絡抵抗の検出感度は著
しく変動することが定量的に明らかである。図7の遮断
器CB−i(i=1)が作動するのは図9のRvg,Rdg
を示す曲線双方の下側にある領域である。Bo が小さい
場合にはOVGRが高感度を示し、Bo が大きい場合に
はDGR−1が高感度を示す。また、系統全体としての
検出感度は低感度の継電器により支配されることがわか
る。
【0019】以上説明した各継電器の動作区分を示した
ものが図10である。領域IではDGR,OVGRが共
に動作して正常遮断するが、領域I−1ではOVGRの
方が高感度であり、I−2ではDGRの方が高感度であ
る。一方、領域II〜IIIではその一方のみの動作に
止まり(すなわち図7の保護機能は動作せず)、領域I
Vでは双方とも動作しないことが分かる。表1は、この
関係を表示したもので、×印は「動作せず」、○印は
「動作する」、◎印は「○印より高感度である」ことを
夫々意味している。
【0020】ここで、領域Iでの動作を吟味すると、配
電系統の規模が比較的小さい、3ωC1 a =5A程度
以下のときはDGRの検出感度が最終動作を決定し、か
なりの高抵抗値を検出遮断することになる。しかし、両
曲線の交叉点を超えると、事故配電線の規模に関りな
く、OVGRの検出感度に支配されて急速に低下し、1
0A程度以上となると検出抵抗値は1〜2kΩの範囲と
なる。この値は、必要な地絡抵抗検出値を下廻るものと
考えられ、より適正な検出値へ改善する必要がある。
【表1】
【0021】
【発明が解決しようとする課題】現在、OVGRの一次
側換算の動作電圧整定値V vg は一般的に600Vが採用
されており、またDGRの一次側換算電流整定値I dg
0.2A(固定)とされている。すなわち、1配電バン
クに属する全高圧系統の規模、環境条件等の如何にかか
わりなく、地絡検出抵抗と直接結びつかない間接的で画
一的な整定方式をとっている。この方式では、図9の感
度曲線にみるとおり、各配電線引出口のDGR及び母線
設置のOVGRの検出感度が全く整合されておらず、こ
のため配電線で地絡事故が発生した場合、関連継電器に
よる的確迅速な検出動作、除去が不能なケースが生ずる
可能性がある。 従って、その配電系統の架空・地中の区
分、都市・地方の地域別差異等を考慮し、その系統に最
適な地絡検出感度R vg を直接的に設定できると共に、こ
の設定値以下の地絡事故は、OVGR及びDGRとも整
合性のとれた接点メイクができるようなOVGRの開発
が切望されている。
【0022】この要請に応えるものとして、地絡時の零
相電圧と地絡フィーダの零相電流に基づいて地絡抵抗値
を算出し、その計算値が所定値以下であることによって
地絡事故の発生を検出する機能をもつディジタル型方向
地絡継電器が特開平2−136025(出願人:日新電
機(株))に開示されている。以下その原理を簡単に説
明する。式(12a)より Ig =3I 01 −j3ωC1 o (27) 上式および式(7)より Va =Rg g =3I 01 g−j3ωC1 o g (28) 式(28)の両辺にV0 の共役複素量V0 * を乗ずれ
ば、 Va o * =3Vo * 01 g −j3ωC1 o o * g (29) Vo o * は正数(実数)であることが明白であり、ま
たRg も正数と考えられることから Re (Va o * )=3Re (Vo * 01 )Rg g =Re (Va o * )/3Re (Vo * 01 ) (30) の関係を導くことができる。ここでRe は実数部を意味
する記号である。Vo 、Va 、I 01 はいずれも図6の構
成において実測可能な複素量であるから、Rg の値は式
(30)を用いてディジタル的に算出することが可能で
ある。このようにして算出されたRg の値を予め定めら
れた値(例えば6kΩ)と比較し、その結果に基づいて
保護継電器を作動させるものである。
【0023】しかし、この装置を図7の構成のDGR−
iとして使用する場合、後備保護機能を果たすOVGR
の検出感度との整合が達成されない限り、問題の解決と
はならない。
【0024】
【問題点を解決するための手段】本発明は以上に鑑みて
なされたものであり、DGRおよびOVGRの検出感度
を近接させ、後者に適正な後備保護機能を具備させるよ
うに、次の手段をとる。すなわち、接地型計器用地絡継
電器により検出された零相電圧Vo および地絡相の常規
対地電圧Ea から地絡抵抗値Rg をディジタル的に算出
し、その結果に基づいて希望の検出感度でOVGRを動
作させようとするものである。
【0025】
【実施例】最初に地絡抵抗値Rg の算出の原理について
説明する。厳密な式(13)を次の形に書き直す。 Ea /Vo =−(1+Rg /Rn ) −j3ω(C1 +C2 +C3 +・・・+Cm)Rg (31)
【0026】式(31)右辺の第1項は実数、第2項は
虚数であることから、次の関係が導かれる。 Re (Ea /Vo )=−(1+Rg /Rn ) (32)
【0027】これより直ちに Rg =−{1+Re (Ea /Vo )}Rn (33) を導くことができる。Re は実数部を意味する記号であ
ることは既に述べた。Vo 、Ea は実測可能な複素量で
あり、Rn も既知量であることから式(33)右辺の演
算をディジタル的に処理することは可能である。
【0028】図1は本発明の一実施例を示す回路図であ
る。GPTの3次巻線はY結線され、その中性接続点は
接地されている。3つの3次巻線の両端には限流抵抗3
nが接続され、このため、零相電流に対する1次側抵
抗値は図6の構成のそれのRn と等しくなる。
【0029】同図において、SHは一定時間間隔ごとに
入力電圧をサンプルして保持するサンプルホルダ、A/
DはAD変換器、DFはディジタルフィルタであり、D
Cは遅延回路で、これらの末尾に附したa、b、cはこ
れらの回路素子が所属する相を示す。また、ADD−
o、ADD−pは加算器、MPUはマイクロプロセッサ
である。
【0030】GPTの3次巻線出力(夫々Va 、Vb
c )は各相ごとにサンプルホルダSH、AD変換器A
/Dによりパルス列に変換され、ディジタルフィルタD
Fにより雑音成分および歪成分を除去され、2分されて
夫々加算器ADD−o、ADD−pへ向かう。加算器A
DD−oには前記パルス列が夫々入力し、 (Va +Vb +Vc )/3=Vo (6) に相当する演算がディジタル的に処理される。一方、A
DD−pへ向かうパルス列は、a相では直接に、b相で
はDC−bにより240°(2/3サイクル)遅延され
た後に、またc相ではDC−cにより120°(1/3
サイクル)遅延された後に、夫々加算器ADD−pに入
力する。式(3)、(4)および 1+α+α2 =0、 α3 =1 (34) の関係から容易に理解できるように、 (V a +αV b +α 2 c )/3=E a (35) に相当する演算が、ここにおいて、ディジタル的に処理
される。なお、遅延回路DCはシフトレジスタを用いて
構成するのが最も簡単と考えられる。ADD−o、pの
出力(夫々Vo 、Ea )は並列的にマイクロプロセッサ
MPUへ供給され、式(33)の演算が遂行され、Rg
が整定値(Rgcと記す)以下の場合にOVGRを投入す
べき旨の指令信号を発する。どのフィーダが地絡したか
は各フィーダに挿入されたZCT−iの出力を通じて判
断することができ、またどの相が地絡したかについては
既に多くの弁別法が開示されているので(例えば森下、
松村「配電線地絡相判別装置の開発・実用化について」
日本電気協会通常総会研究発表会論文(平成3年)p.
80)、言及を省略する。なお、前述の式(6)、(3
5)の演算はMPU内で行わせてもよいが、図1に示す
構成によればリアルタイムにこれを処理することがで
き、系統の応答を迅速化し、またMPUの負担を軽減で
きる利点がある。
【0031】図2は上述の地絡有無の判別操作のフロー
チャートの一例を示す。図1には図示されていないが、
ZCT−iにより検出されたフィーダiFの零相電流値
3IoiはMPUへ供給され、本操作の基礎データとな
る。KはVo に関する整定値で、Vo ≧Kの場合には
「地絡事故の可能性あり」と判断される。当然にKの値
は図10のVvgに較べれば極めて小さい。フィーダの番
号iは1より出発し、「フィーダiF内に地絡事故な
し」と判断されれば、i→i+1の変更が行われ、地絡
したフィーダが発見されるまでこの操作を繰り返す。
お、図2中のR gc は地絡抵抗R g の許容限界値を示す。
【0032】図3は本発明の他の実施例を示すもので、
GPTの機能は図6の場合と変わりなく、3次巻線は零
相電圧Vo を出力する。PT−abは導体A,B間の電
圧(線間電圧)Vabを導出する接地型変圧器である。S
H,A/D,DF,MPUの意義および機能については
図1の場合と変わりない。DF−o,DF−abは夫々
o ,Vabに対応するパルス列を出力する。DF−oの
出力は直接に、またDF−abの出力は遅延回路DCを
経由して、夫々MPUに供給される。DCはパルス列を
30°(1/12サイクル)遅延させる機能を果たす。
正常状態の相電圧Va と線間電圧Vabの間には周知の通
【数14】 の関係があるので、DCはVab(パルス列)を√3Ea
(パルス列)に変換することが明らかである。MPU内
部では図1および図2の場合と相似のディジタル演算が
行われる。
【0033】前述した通り、Vabは地絡の有無により全
く影響を受けない(従って雑音および波形歪の発生もし
ない)と考えられるので、DF−abは多くの場合省略
し得ると予想される。省略する場合はDF−oの遅延時
間を考慮しDCの遅延時間を合理的に設定する必要が
ある。
【0034】このほか、常時、Va の数サイクルを記憶
・更新する手段を設け、地絡時は更新を中止して、記憶
されたVa (すなわちEa )と、地絡時のVo を用いて
式(33)の演算を行わせることができる。この方法
は、後述の零相電圧・電流を消去する方法と相似的であ
るので、説明はその折りに譲る。
【0035】なお、式(33)に代えて、次の演算によ
りRg を算出することも可能である。式(13)を変形
して、 VO 〔1+Rg{1/Rn+j3ω(C1 +C2+C3・・ Cm ) }〕E a (37) を導き、その両辺にVo * を乗じ、両辺の実数部を等置
することにより、次の関係を得る。
【数15】
【0036】これにより直ちに Rg =−{1+Re (Ea o * )/|Vo 2 }Rn (39) の関係を得る。なお式(33)および(39)の演算
は、Ea とVo の振幅比および位相差を知れば遂行する
ことができることは明白である。
【0037】これまでは、各フィーダーiFにおいて、
これを構成する各線路導体のai,bi,ciの対地静
電容量が完全に平衡しているものと仮定し、正常時には
零相電圧・電流は存在しないものと考えてきた。しか
し、実際には前記対地静電容量には若干の不平衡があ
り、このため、正常時にも若干の零相電圧・電流(以下
「残留成分」と記す)が存在する。残留成分は、従来か
らも(例えば図6に示す構成においても)問題視され、
DGR高感度化の妨げとされていた。これに対しては既
に残留成分を除去する方式が提案され試用されている。
【0038】図4は零相電圧より残留成分を除去する手
段の一例を示すもので、図1および図3の実施例のMP
U内で行われるディジタル信号処理の一環をなすもので
ある。まず原理について説明する。いま、Vo の1サイ
クルを1/12サイクルごとにサンプルしてパルス列に
変換すると共に、その1サイクル分をメモリに貯蔵す
る。この記憶されたデータを、便宜上、「残留データ」
と呼ぶ。現時刻のVo をVon,1サイクル前のVo をV
on-12 とし、両者の差 on(以下「変化分」と記す)を
求める。すなわち on=Von−Von-12 (40)
【0039】図5の(a)はVo を、(b)は onを時
間の函数として夫々図示したものである。(a)に示す
ように、Vo においては、地絡発生前には残留成分が認
められるのみであるが、地絡継続中には地絡に起因する
本来の零相電圧が重畳するため大きな値となり、地絡終
了後には再び残留成分のみとなる。次に(b)に示すよ
うに、変化分 onは地絡発生直後および地絡終了直後に
その1サイクル分が観測されるのみで、地絡継続中は消
滅する。地絡事故直後に観測される1サイクルの on
地絡に起因する本来の零相電圧(残留成分が除去された
零相電圧)であるから、地絡継続中にも onを繰り返し
発生させるように、図4に示す方法を採る。すなわち、
地絡発生前は前述の残留データは1サイクルごとに更新
されるが、地絡発生((b)の onを通じて判別する)
と同時に、図5(c)に示すように、残留データ更新の
操作を中止し(地絡前の残留データを引き続きメモリ内
に保持し)、地絡終了と同時にこの操作を再開する。
【0040】上述の残留成分除去は、ZCT−iにより
検出される零相電流Ioiにも適用可能であり、これによ
り地絡フィーダの検出の感度を向上させることができ
る。図4の右半部はこれらの操作のフローチャートを示
している。この図においてionがIoiの変化分に相当す
る。また、フローチャートには onとionの位相差を判
定する過程が含まれるが、これにより地絡がどのフィー
ダにおいて発生したかを知ることができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の配電線用デ
ィジタル型地絡過電圧継電器によれば、地絡時の零相電
圧と地絡相の常規対地電圧から地絡抵抗値をディジタル
的に算出するようにし、その地絡抵抗値がその配電系統
に最適な値(架空・地中別の区分、都市・地方の地区別
差異等を考慮した予め定められる)を下廻る場合にOV
GRを動作させることが可能になった。従来のOVGR
は単に地絡零相電圧が画一的な整定値を超過した場合に
動作するように構成されており、このため図9および図
10にみる通り、系統の規模によりその地絡抵抗検出感
度が著しく変動するが、この不合理は本発明により是正
される。更にOVGRの性格上、同一系統内のどのフィ
ーダに地絡が発生してもこれに応答するが、DGR(自
己の分担するフィーダの地絡にのみ応答する)の後備保
護機能を有効に果たすことができ、特にDGRの性能が
向上し、その地絡抵抗検出感度が適正化されつつある現
在、OVGR,GDRの検出感度を近接させ、系統の保
護機能を画期的に改善することができ、社会安全および
設備保全の信頼度を一層高めることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成系統図。
【図2】図1に示す構成の動作を示すフローチャート。
【図3】本発明の他の実施例を示す構成系統図。
【図4】地絡時の零相電圧・電流より残留成分を除去す
る手段の一例を示す図。
【図5】図4の残留成分除去手段の原理を説明する図。
【図6】従来の高圧配電線の系統構成図。
【図7】従来のOVGR,DGR,CB,ZCTの協働
動作を示す回路図。
【図8】DGRの動作領域を示す図。
【図9】OVGR,DGRの地絡抵抗の検出限界値を示
す図。
【図10】各継電器の動作区分を示す図。
【符号の説明】
A,B,C 高圧母線を構成する線路導体 i(1,2,3,・・・m) 添字に使用される
フィーダの番号 iF フィーダ ai,bi,ci フィーダiFを構成する線路
導体 a,b,cは夫々a相,b相,c相に対応する TR 主変圧器 GPT 計器用接地型変圧器 ZCT 零相変流器 CB 遮断器 OVGR 地絡過電圧継電器 DGR 方向地絡継電器 rn 限定抵抗器 Rn n の1次側換算器 Ci フィーダiFの1相当り対地静電容量 Rg 地絡抵抗 Vo 零相電圧 Va ,Vb ,Vc a相,b相,c相の対地電圧 Ea a相の常規対地電圧 Ig 地絡電流 Io 全零相電流 In GPT1次側中性点に流入する電流 Ioi フィーダiFの零相電流 SH サンプルホルダ A/D A/D変換器 DF ディジタルフィルタ ADD 加算器 DC 遅延回路

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧配電線の常規対地電圧と零相電圧の
    振幅比および位相差に基づいて地絡抵抗値を算出し、 前記算出された値が所定値以下であることをもって所定
    感度の地絡事故を検出する保護機能を有すること特徴と
    する高圧配電線用ディジタル型地絡過電圧継電器。
  2. 【請求項2】 前記地絡抵抗値を算出する演算過程は、
    零相電圧をその残留成分により補正する過程を含むこと
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の高圧配電線用
    ディジタル型地絡過電圧継電器。
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