JP2595577B2 - プロジェクタ用の液冷型陰極線管 - Google Patents

プロジェクタ用の液冷型陰極線管

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プロジェクタ用の液冷型陰極線管に関す
る。
〔発明の概要〕
本発明は、陰極線管の前面に液冷部を介して投射レン
ズの最終レンズが一体化され、さらに投射レンズ鏡筒が
取付けられて成るプロジェクタ用の液冷型陰極線管にお
いて、最終レンズを段付き形状としてこの段部を平板状
レンズホルダで液冷部のスペーサに固定し、鏡筒を最終
レンズの円筒部に嵌合すると共に平板状レンズホルダの
面上に直接取付けて構成することによって、組立精度を
大幅に向上できるようにしたものである。
〔従来の技術〕
赤(R),緑(G)及び青(B)の単色陰極線管をイ
ンラインに配置し、各単色陰極線管の前面に配した投射
レンズによりスクリーン上に結像させるビデオプロジェ
クタが提案されている。
第6図は従来の代表的なプロジェクタ用の液冷型陰極
線管を示し、第7図はその要部の構造を示す。同図にお
いて、(1)〔(1R),(1G),(1B)〕は単色陰極線
管、(2)は投射レンズの最終レンズ、(3)は投射レ
ンズ本体即ち主レンズ(4)を有した投射レンズ鏡筒を
示す。最終レンズ(2)は鏡筒(3)から分離され、液
冷部のスペーサ(5)を挟んで陰極線管(1)の前面と
対向し、レンズホルダ(6)によりスペーサ(5)に固
定される。この場合、スペーサ(5)は図のように複雑
な形状をなし、その一方の端面に陰極線管(1)のパネ
ル前面がシリコン樹脂(7)により接着される。最終レ
ンズ(2)はOリング(8)を介してスペーサ(5)に
液密的に当接し、最終レンズ(2)の端面及びレンズ外
周を覆う筒状に形成されたレンズホルダ(6)とスペー
サ(5)によって挟持的に固定される。レンズホルダ
(6)とスペーサ(5)はネジ(9)にて固定される。
そして、この陰極線管(1)のパネル前面とスペーサ
(5)と最終レンズ(2)で形成される空間内に例えば
エチレングリコール等の透明の冷却液(10)が封入され
て液冷部(11)が構成される。また、投射レンズ鏡筒
(3)はレンズホルダ(6)の円筒部に嵌合し、その取
付部(3a)がスペーサ(5)の肉厚の取付部(5a)にネ
ジ(9)にて固定される。このように構成した各赤,
緑,青の単色陰極線管(1R),(1G)及び(1B)は第6
図に示すようにインライン配列をもってスペーサ(5)
の板部(5b)を介してシャーシ(12)に取付けられる。
この様なプロジェクタ用の液冷型陰極線管(1)にお
いては、最終レンズ(2)を鏡筒(3)から分離し液冷
部(11)を組付けた状態の陰極線管(1)と、鏡筒
(3)とを別々に取扱うことによって、レンズ交換や液
冷部(11)の組立てが容易となるものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上述の構成においては、投射レンズ鏡筒(3)の主レ
ンズ(4)と最終レンズ(2)との位置精度を確保する
ためにスペーサ(5)の精度が求められる。しかしなが
ら、従来の構成においては次のような問題点があった。
(i)投射レンズ鏡筒(3)の取付け面(5A)と最終レ
ンズ(2)の取付け面(6A)が同一面にないために、主
レンズ(4)と最終レンズ(2)との光軸の傾きが生じ
る。
(ii)最終レンズ(2)と鏡筒(3)との中心決めをレ
ンズホルダ(6)を介して行っているため、両者の光軸
にずれが生じる。
(iii)シャーシ(12)への陰極線管(1)の取付け面
(5B)と、投射レンズ鏡筒(3)の取付け面(5A)とが
同一面にないため、シャーシ(12)に対して主レンズ
(4)及び最終レンズ(2)の光軸に傾きが生じ、さら
に赤,緑,青,の各陰極線管(1R),(1G),(1B)の
光軸が本来ならばスクリーン(図示せず)上の一点で交
わらねばならないものが、光軸がそれぞれ傾くことによ
り一点で交わらなくなる。
(iv)投射レンズ鏡筒(3)、最終レンズ(2)、シャ
ーシ(12)を取付けるための各取付け面が独立している
ため、これらの面の間の位置精度が要求される。したが
って、十分な精度を得るためには、スペーサ(5)をダ
イキャストで作った後にコストの高い機械加工を加えな
ければならない。また、スペーサ(5)の構造も複雑に
なりダイキャスト金型設計上の制約も多く、十分な放熱
設計を行うことが困難である。
本発明は、上述の問題点を解決したプロジェクタ用の
液冷型陰極線管を提供するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、陰極線管(1)の前面に液冷部を介して投
射レンズの最終レンズ(22)が一体化され、さらに投射
レンズ鏡筒(23)が取付けられて成るプロジェクタ用の
液冷型陰極線管において、最終レンズ(22)を周辺部に
おいて段付き形状に形成し、最終レンズ(22)の段部を
平板状レンズホルダ(26)にて液冷部のスペーサ(25)
に固定し、投射レンズ鏡筒(23)を最終レンズ(22)の
円筒部(27B)に嵌合し、投射レンズ鏡筒(23)の取付
面(23A)を平板状レンズホルダの面(26b)に接して取
付けるように構成する。
〔作用〕
平板状レンズホルダ(26)の一方の面(26a)が最終
レンズ(22)の段部におけるレンズ光軸に垂直な面(22
C)とスペーサ(25)の基準面(28A)とに当接し、最終
レンズ(22)が平板状レンズホルダ(26)とスペーサ
(25)間に挟持的に固定される。これによって最終レン
ズ(22)はスペーサ(25)の基準面(28A)に対して高
い精度で固定される。一方、鏡筒(23)は直線最終レン
ズ(22)の円筒部(27B)に嵌合し且つ鏡筒(23)の取
付面が平板状レンズホルダ(26)の他面(26b)に接し
て固定される。この場合、平板状レンズホルダ(26)の
両面(26a)及び(26b)の平行度は高い精度で得られる
ので、鏡筒(23)はスペーサ(25)の基準面(28A)に
対して高い精度で固定され、最終レンズ(22)と鏡筒
(23)の主レンズ(24)との光軸の傾きは生じない。ま
た鏡筒(23)が直接最終レンズ(22)の円筒部(27B)
に嵌合するので鏡筒(23)の主レンズ(24)と最終レン
ズ(22)の光軸のずれも生じない。従って、鏡筒(2
3)、最終レンズ(22)、陰極線管(1)が高精度に組
立てられる。
〔実施例〕
以下、図面を参照して本発明によるプロジェクタ用の
液冷型陰極線管の実施例を説明する。
第1図は本発明による液例型陰極線管を示し、第2図
はその要部の構造を拡大して示す。同図において、(2
1)〔(21R),(21G),(21B)〕は単色の陰極線管、
(22)は投射レンズの最終レンズ、(23)は投射レンズ
本体即ち主レンズ(24)を有した投射レンズ鏡筒、(2
5)はスペーサ、(26)はレンズホルダ、を夫々示す。
最終レンズ(22)は周辺部において鍔部(27)を有した
段付き形状に形成される。この最終レンズ(22)では、
その段部即ち鍔部(27)の内面(22C)がレンズ光軸に
対して垂直となるように、また鍔部(27A)の外周面(2
2B)及びレンズ円筒部(27B)の外周面(22D)が内面
(22C)と直角となるように高精度に研磨される。これ
ら面(22B),(22C),(22D)は最終レンズ(22)の
曲面(22A)を基準にして研磨される。
スペーサ(25)は、陰極線管(1)のパネル前面及び
最終レンズ(22)間の間隔を規制するための面(25A)
(25B)と、面(25B)を含んで最終レンズ(22)の鍔部
(27A)が嵌合する嵌合部(31)と、さらに嵌合部(3
1)より垂直に延びる取付用板状部(28)とを有した形
状に形成される。このスペーサ(25)は、例えばAlダイ
キャストで形成されるもので、取付用板状部(28)の面
(28A)が基準面となる。このスペーサ(25)には放熱
用フイン(29)が一体に設けられる。
レンズホルダ(26)は平板状に形成される。この平板
状レンズホルダ(26)は冷間圧延材等を使用することに
よって、その両面(26a)及び(26b)の平行度が高精度
に得られる。
そして、陰極線管(21)はスペーサ(25)の一方の面
(25A)に接着されるが、この接着に際してはスペーサ
(25)の基準面(28A)を基準にして治具により陰極線
管(21)を位置決めし、シリコン樹脂(30)を介してス
ペーサ面(25A)に接着するようになされる。したがっ
て、陰極線管(21)は基準面(28A)に対して高精度に
取付けられる。
最終レンズ(22)はその鍔部(27A)をスペーサ(2
5)の嵌合部(31)にOリング(32)を介して嵌合し、
平板状レンズホルダ(26)によってスペーサ(25)に固
定される。即ち、平板状レンズホルダ(26)の面(26
a)がスペーサ(22)の基準面(28A)と最終レンズ(2
2)の鍔部の面(22C)に共通に当接した状態で平板状レ
ンズホルダ(26)とスペーサ(22)が例えば3ヶ所にお
いて(第3図参照)ネジ(34)にて固定される。これに
より、最終レンズ(22)は、スペーサ(25)に直接固定
されず、平板状レンズホルダ(26)の面(26a)に合う
位置において平板状レンズホルダ(26)とスペーサ(2
2)とによって挟持的に固定され、且つスペーサ(25)
の基準面(28A)に対して高い精度で固定される。ま
た、最終レンズ(22)とスペーサ(25)間はOリング
(32)によって液密的に封止される。一方投射レンズ鏡
筒(23)は最終レンズ(22)の円筒部(27B)に直接嵌
合せしめると共に、投射レンズ鏡筒(23)の取付面(23
A)を直接平板状レンズホルダ(26)の他方の面(26b)
に接するようにしてネジにて取付けられる。この場合、
投射レンズ鏡筒(23)の取付面(23A)は等角間隔をも
って複数個所、本例では4個所に設け、(第3図参照、
(35)は鏡筒のネジ止め用の穴)後述のシャーシ(36)
に設けた透孔(37)を通して直接平板状レンズホルダ
(26)の他面(26b)上に取付けられる。平板状レンズ
ホルダ(26)は冷間圧延材等の使用で両面(26a)及び
(26b)間の平行度が高精度に得られることにより、投
射レンズ鏡筒(23)はスペーサ(25)の基準面(28A)
に対して高い精度で位置決めされる。
シャーシ(36)は鏡筒が取付けられる面と同一の平板
状レンズホルダ(26)の面(26b)に取付けられる。
なお、スペーサ(25)の基準面(28A)に平板状レン
ズホルダ(26)を配する際及び平板状レンズホルダ(2
6)上にシャーシ(36)を配する際には、第3図及び第
4図に示すように、基準面(28A)より一体に突出する
一対の位置決め用ピン(37)〔(37a)(37b)〕がレン
ズホルダ(26)の位置決用孔(38)及びシャーシ(36)
の位置決用孔(39)に係合し、レンズホルダ(26)の位
置決め及びシャーシ(36)の位置決めがなされる。位置
決めピン(37)の位置、レンズホルダ(26)とスペーサ
(25)の固定位置(即ちネジ(34))及び鏡筒(23)の
固定位置(穴(35))は第3図に示すように同心円上に
存するようになす。
また、陰極線管(21)のパネル前面とスペーサ(25)
と最終レンズ(22)で囲まれた空間内に例えばエチレン
グリコール等の透明の冷却液(40)が充填される。な
お、第5図に示すようにスペーサ(25)の一部にペロフ
ラム(41)、ペロフラムホルダ(42)及びペロフラムキ
ャップ(43)よりなる冷却液(40)の調圧弁(44)が設
けられ、これによって温度上昇に伴う冷却液(40)の圧
力上昇が制御される。(45)は冷却液(40)の注入口で
ある。この様にして、第2図に示すように赤,緑及び青
の各単色陰極線管(21R),(21G),(21B)がインラ
イン配列をもってシャーシ(36)に一体に取付けられて
なるプロジェクタ様陰極線管装置が構成される。
かかる構成によれば、投射レンズ鏡筒(23)と最終レ
ンズ(22)の取付け面が、同一の平板状レンズホルダ
(26)の面(26b)(26a)であるために、主レンズ(2
4)と最終レンズ(22)との光軸の傾きは生じない。ま
た鏡筒(23)を直接最終レンズ(22)の円筒部(27B)
に嵌合するので、最終レンズ(22)と主レンズ(24)の
光軸にずれが生じない。またシャーシ(36)の取付け面
と投射レンズ鏡筒(23)の取付け面が平板状レンズホル
ダ(26)の同一の面(26b)であるため、シャーシ(3
6)に対して主レンズ(24)及び最終レンズ(22)の光
軸に傾きが生ぜず、さらに赤,緑,青の各陰極線管(21
R),(21G),(21B)の光軸が一点で交わることにな
る。また、第3図で示すように位置決めピン(37)、レ
ンズホルダ(26)とスペーサ(25)を固定するネジ(3
4),鏡筒(23)の固定部(穴(35))が夫々同心円上
にあるために、スペーサ(25)、平板状レンズホルダ
(26)及び鏡筒(23)間でのねじれが極めて少なくな
る。
この構成ではレンズ(最終レンズ(22)、投射レンズ
鏡筒(23))、陰極線管(1)及びシャーシ(36)間で
の光軸傾きを±0.1゜以下、位置ずれ、中心ずれを±0.1
mm以内に抑えることが可能となる。尚、第7図の従来方
式での光軸傾きは±0.2゜、位置ずれ、中心ずれ±0.3mm
程度である。
この様に、本例においては最終レンズ(22)の形状を
段付き形状となすと共に、レンズホルダ(25)を平板状
になし、最終レンズ(22)、投射レンズ鏡筒(23、スペ
ーサ(25)と一体の陰極線管(1)及びシャーシ(36)
の各取付け面を平板状レンズホルダ(25)を介して同一
面上としたことにより、それぞれの光軸、位置の精度を
大幅に向上することができる。そして、高い精度が求め
られる各取付け面を単一平面上としたことによって、ス
ペーサ(25)の形状を簡素化することができダイキャス
ト金型設計上の自由度も大きくなる。例えばスペーサ
(25)としては陰極線管(1)の接着面以外は自由度が
大きく、必要に応じて放熱フイン(29)を大きく自由に
設計することができ、陰極線管のパネル面温度を大幅に
低下させることができる。また、平板状レンズホルダ
(26)の面(26b)に全面にわたってシャーシ(36)の
面が密着しているので、放熱作用が向上し、この点にお
いても従来の比して1.5倍の冷却効果がある。スペーサ
(25)としてはダイキャスト形成後の機械加工を行わな
くても十分な組立精度が得られるために、大幅なコスト
ダウンが図れる。また、段付き形状の最終レンズ(22)
としては、各面(22B),(22C)、(22D)の研磨によ
ってコストが上昇するが、最終レンズを金型成形して、
およその形を作る際に予め段付き形状としておくことに
よって、ガラス材料が従来形状よりも削減されてコスト
が低下することで上記のコスト上昇分は相殺される。
尚、上例において、レンズホルダ(26)とシャーシ
(36)を別体に形成したが、シャーシをレンズホルダと
兼用することも可能である。
〔発明の効果〕
本発明によれば、冷却部のスペーサ、最終レンズ及び
鏡筒が互いに平板状レンズホルダを介して実質的に同一
面上で取付けられる。従って相互の光軸のずれ、光軸の
傾き、位置ずれ等が抑制され、この種の液冷型陰極線管
を高い精度で組立てることができる。また、各取付面を
単一平面としたことによって、スペーサ形状を簡素化す
ることができ、これによってスペーサに一体に設ける放
熱フインの設計の自由度が増し、陰極線管のパネル面の
温度を大幅に低下することができる。
また、スペーサとしてはダイキャストの成形のままで
よく、その後の機械加工を必要としないため、製造費を
大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるプロジェクタ用の液冷型陰極線管
の実施例を示す断面図、第2図はその要部の拡大断面
図、第3図は鏡筒を外した状態の平面図、第4図は要部
の断面図、第5図は要部の断面図、第6図は従来のプロ
ジェクタ用の液冷型陰極線管の例を示す断面図、第7図
はその要部の拡大断面図である。 (21R)(21G)(21B)は単色陰極線管、 (22)は最終レンズ、(23)は投射レンズ鏡筒、 (25)はスペーサ、(26)は平板状レンズホルダ、 (36)はシャーシである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陰極線管の前面に液冷部を介して投射レン
    ズの最終レンズが一体化され、さらに投射レンズ鏡筒が
    取付けられてなるプロジェクタ用の液冷型陰極線管にお
    いて、 上記最終レンズが段付き形状に形成され、 上記最終レンズの段部が平板状レンズホルダにて上記液
    冷部のスペーサに固定され、 上記投射レンズ鏡筒が上記最終レンズの円筒部に嵌合さ
    れると共に、上記平板状レンズホルダの面上に直接取付
    けられて成るプロジェクタ用の液冷型陰極線管。
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