JP2595153B2 - 電気粘性流体 - Google Patents

電気粘性流体

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JP2595153B2 JP27384991A JP27384991A JP2595153B2 JP 2595153 B2 JP2595153 B2 JP 2595153B2 JP 27384991 A JP27384991 A JP 27384991A JP 27384991 A JP27384991 A JP 27384991A JP 2595153 B2 JP2595153 B2 JP 2595153B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気粘性流体に関する
ものであり、更に詳しくは、クラッチ、ブレーキ、エン
ジンマウント、ダンパ、バルブ、ショックアブソーバ、
アクチュエータ等の各種デバイス、中でも密閉型デバイ
スへ有効に利用できる電気粘性流体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】電気粘性流体とは、例えば絶縁性分散媒
中に分散相粒子を分散・懸濁して得られる流体であっ
て、そのレオロジー的或いは流れ性質が電場変化を加え
ることにより粘塑性型の性質に変わる流体であり、一般
に外部電場を印加した際に粘度が著しく上昇し、大きい
せん断応力を誘起する、いわゆるウィンズロー効果を示
す流体として知られている。このウィンズロー効果は応
答性が速いという特徴を有することから、ウィンズロー
効果を有する電気粘性流体はクラッチ、ブレーキ、エン
ジンマウント、ダンパ、バルブ、ショックアブソーバ、
アクチュエータ等の各種デバイスや電気粘性流体インク
ジェット等への応用が試みられている。
【0003】電気粘性流体は、シリコンオイル、塩化
ジフェニル、トランス油等の絶縁油にセルロース、デン
プン、シリカゲル、イオン交換樹脂等を分散させたもの
が知られている。また、近年では、ポリ(アセン−キノ
ン)等の有機半導体粒子を分散相として用いる流体(特
開昭61−216202号公報)、有機固体粒子を中心
としてその表面に導電性薄膜層及び電気絶縁性薄膜層が
形成された3層構造からなる誘電体粒子を分散相粒子と
して用いる流体(特開昭63−97694号公報)、樹
脂中にカーボンブラック等の導電体粒子が分散されてな
る導電性組成物の粉末を分散相粒子として用いる流体
(特開平1−236291号公報)等が提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、本願発明者
らが、これらの電気粘性流体で作動するデバイスの実用
化にあたって検討を行ったところ、従来の電気粘性流体
においては、密閉型デバイス内に封入された電気粘性流
体に溶存気体や気泡が存在するため、デバイスの作動中
に部分放電が発生し電気粘性流体の劣化が生じたり、密
閉型デバイスに電場変化を与えても電気粘性流体が有効
に作動せず、デバイスの円滑な作動が妨げられるという
問題点が認められた。また、デバイスの作動を繰り返し
た際に、再現性よく作動しないことが有り、デバイスの
繰り返し使用特性の低下が認められるという問題点も有
している。
【0005】従って、本発明の目的は、上記従来の問題
点を克服し、電気粘性流体をデバイス内に封入してなる
密閉型デバイスの作動を円滑にする電気粘性流体を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、密閉型
デバイス内に封入された電気粘性流体を脱気された電気
粘性流体とすることにより、上記目的が達成できること
を見いだし、本発明に到達した。
【0007】本発明は、分散相粒子と絶縁性分散媒とか
らなり、脱気されていることを特徴とする電気粘性流体
に関するものである。
【0008】本発明でいう脱気とは、電気粘性流体中に
溶存気体や気泡等が実質上存在しないように処理するこ
とであり、例えば減圧下に電気粘性流体を放置したり、
撹拌または振動を加えたりして溶存気体や気泡を除去す
ること等を挙げることができる。
【0009】脱気の具体的な方法としては、分散相粒子
と絶縁性分散媒とを混合して電気粘性流体を調整する時
及び/又は調整後の電気粘性流体に撹拌、又は振動を加
えながら減圧下に脱気する方法、電気粘性流体をデバイ
ス内に封入し減圧下脱気した後封ずる方法、デバイス内
のデバイス封入部分を減圧しておいてから電気粘性流体
を注入した後封ずる方法、電気粘性流体にデバイスを浸
漬した後デバイスを取り出して封ずる方法等が挙げられ
る。これらの脱気方法を併用することにより、より効果
的に電気粘性流体の脱気を行うことができるので好まし
い。脱気条件としては、電気粘性流体に振動又は撹拌を
加えながら600torr以下の減圧下で行うことが好
ましく、特に100torr以下の減圧下で行うことが
好ましい。また、より効果的に脱気を行うために加熱下
に脱気することもできる。
【0010】本発明で使用することのできる電気粘性流
体を構成する分散相粒子とは、電気粘性効果の発現に直
接関与する誘電体粒子のことである。このような誘電体
粒子としては、例えばデンプン、セルロース、イオン交
換樹脂などの親水性基を有する有機物粒子;シリカ、ア
ルミナ等の親水性無機物粒子;有機固体粒子を中心とし
てその表面に導電性薄膜層を形成し、更に電気絶縁性薄
膜層の形成された3層構造からなる粒子、アルミニウム
などの導電体粒子の表面に薄膜絶縁膜を形成した粒子な
どの複合誘電体粒子;樹脂中にカーボンブラック等の導
電体粒子が分散されてなる導電性組成物;ポリ(アセン
−キノン)等の有機半導体粒子;チタン酸バリウム、酒
石酸リチウム等の強誘電体粒子等が挙げられる。
【0011】本発明で使用することのできる電気粘性流
体を構成する絶縁性分散媒としては、上記分散相粒子を
溶解しない絶縁性液体であれば特に制限はなく、例えば
ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサ
ン等のシリコンオイル;流動パラフィン、デカン、ド
デカン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、エチ
ルナフタレン、ビフェニル、デカリン、部分水添された
トリフェニル等の炭化水素;フェニルエーテル等のエ
ーテル化合物;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ト
リクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼ
ン、クロロナフタレン、ジクロロナフタレン、ブロモナ
フタレン、クロロビフェニル、ジクロロビフェニル、ト
リクロロビフェニル、ブロモビフェニル、クロロジフェ
ニルメタン、ジクロロジフェニルメタン、トリクロロジ
フェニルメタン、ブロモジフェニルメタン、クロロデカ
ン、ジクロロデカン、トリクロロデカン、ブロモデカ
ン、クロロドデカン、ジクロロドデカン、ブロモドデカ
ン等のハロゲン化炭化水素;クロロジフェニルエーテ
ル、ジクロロジフェニルエーテル、トリクロロジフェニ
ルエーテル、ブロモジフェニルエーテル等のハロゲン化
ジフェニルエーテル化合物;ダイフロイル(ダイキン工
業株式会社製)、デムナム(ダイキン工業株式会社製)
等のフッ化物;フタル酸ジオクチル、トリメリット酸ト
リオクチル、セバシン酸ジブチル等のエステル化合物等
を挙げることができ、これらの中から一種または二種以
上用いることができる。
【0012】本発明で用いる電気粘性流体は、上記分散
相粒子と絶縁性分散媒とを混合し、絶縁性分散媒中に分
散相粒子を分散・懸濁することによって容易に得られ
る。
【0013】本発明では、分散相粒子の分散媒中への分
散性向上や電気粘性流体の粘度調整或いはせん断応力向
上のために、例えば界面活性剤、高分子分散剤、高分子
増粘剤等の各種添加剤を流体中に添加することができ
る。
【0014】本発明の電気粘性流体により好適に作動さ
れる密閉型デバイスとしては、デバイス内に封入された
電気粘性流体が外気と接触しない構造を有し電気粘性流
体により電気的入力を力学的出力に変換できる装置であ
れば特に制限はない。このような密閉型デバイスとし
て、例えばアクチュエータ(特開昭48−58295号
公報)、クラッチ(特開昭53−8466号公報)、ト
ルクトランスミッション(EP178078A1)等が
提案されている。
【0015】以下に、実施例によりさらに詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
〔実施例1〕撹拌機、還流冷却機及び温度計を備えた5
リットルの四つ口セパラブルフラスコに水2.4リットル
を仕込み、クラレポバールPVA−205(ポリビニー
ルアルコール;クラレ株式会社製)32.0gを添加・溶
解させた後、更にスチレン500g、工業用ジビニルベ
ンゼン(ジビニルベンゼン55重量%、エチルスチレン
35重量%等の混合物;和光純薬工業株式会社製)10
0g及びアゾビスイソブチロニトリル8gからなる混合
物を加えた。その後、600rpmの撹拌速度でフラス
コ内の内容物を分散させ、80℃で8時間重合した。得
られた固形物を濾別し、十分に水洗いした後、熱風乾燥
機を用いて80℃で12時間乾燥し、球状の重合架僑体
573gを得た。
【0017】撹拌機、温度計及び滴下ロートを備えた2
0リットルの四つ口セパラブルフラスコに上記した重合
反応で得られた重合架僑体500gを仕込み、次いで、
98重量%濃硫酸5kgを加え、均一な分散液とした。
反応混合物の温度を80℃に上げた後、同温度で24時
間加熱・撹拌し、スルホン化反応を行った。その後、反
応混合物を0℃の水中に注ぎ、濾別した後、水・アセト
ンで洗浄した。得られた固形物を10重量%水酸化ナト
リウム水溶液2リットルで中和した後、水で十分に洗浄
した。次いで、真空乾燥機を用いて、80℃で10時間
乾燥し、900gの球状のスルホン化重合体からなる分
散相粒子を得た後、これを含水率2重量%に調湿した。
【0018】上記分散相粒子80gを、信越シリコーン
オイルKF96−20CS(ジメチルシリコーンオイ
ル;信越化学工業株式会社製)200gに、50tor
rの減圧下に保ちながら30分間撹拌して分散し、電気
粘性流体28Aを調整した。
【0019】調整した電気粘性流体28Aを流体封入部
を600torrの減圧下に保ちながら図7に示す密閉
型デバイス60に注入した。注入後、電気粘性流体28
Aを20torrの減圧下で3時間脱気して、デバイス
内への電気粘性流体28Aの封入を行った。
【0020】以下に、上記密閉型デバイス60について
説明する。
【0021】密閉型デバイス60は、空気圧シリンダで
動くテーブルの速度を電気粘性流体を用いることで電気
的に制御する装置であり、駆動シリンダ1と制御シリン
ダ2を有している。これらの駆動シリンダ1及び制御シ
リンダ2はそれぞれロッドレスシリンダより構成され、
一対のエンドブロック3・4間に平行に配設されてい
る。駆動シリンダ1はシリンダチューブ5と、そのシリ
ンダチューブ5内に移動可能に設けられた一対のピスト
ン6と、両ピストン6を連結するピストンロッド7とを
備え、ピストン6によってシリンダチューブ5内に一対
の流体室8・9が区画される。各ピストン6の外周には
滑動リング10及びパッキン11が嵌着され、ピストン
ロッド7の両端にはクッション体12が取り付けられて
いる。
【0022】上記制御シリンダ2は、シリンダチューブ
13と、そのシリンダチューブ13内に移動可能に設け
られた一対のピストン14と、両ピストン14を連結す
るピストンロッド15とを備え、ピストン14によって
シリンダチューブ13内に一対の流体室16・17が区
画される。各ピストン14の外周には滑動リング18及
びパッキン19が嵌着され、ピストンロッド15の両端
にはクッション体20が取り付けられている。
【0023】一対の入力ポート21・22は上記エンド
ブロック3に設けられ、一方の入力ポート21が駆動シ
リンダ1の一方の流体室8に連通されている。連通パイ
プ23は両エンドブロック3・4間に架設され、この連
通パイプ23を介して他方の入力ポート22が他方の流
体室9に連通されている。そして、切り換えバルブ(図
示せず)の切り換えにより、コンプレッサ(図示せず)
から一方の入力ポート21を介して一方の流体室8に圧
縮性流体が供給されたときには、駆動シリンダ1のピス
トン6が左方に移動される。又、上記切り換えバルブの
切り換えにより、上記コンプレッサから他方の入力ポー
ト22を介して他方の流体室9に圧縮性流体が供給され
たときには、ピストン6が右方に移動される。
【0024】連通パイプ26は上記両エンドブロック3
・4間に架設され、この連通パイプ26を含めて制御シ
リンダ2の両流体室16・17を連通するための閉回路
をなす連通路27が形成されている。非圧縮性流体28
は制御シリンダ2の両流体室16・17及び連通路27
に充填され、この非圧縮性流体28は電場の大きさに比
例して粘性が変化する性質を有している。
【0025】連結手段を構成する連結装置29は上記駆
動シリンダ1と制御シリンダ2との間に設けられ、駆動
シリンダ1のピストン6と制御シリンダ2のピストン1
4とを連動可能に連結している。この連結装置29は、
駆動シリンダ1のシリンダチューブ5に移動可能に嵌挿
されたスライダ30と、制御シリンダ2のシリンダチュ
ーブ13に移動可能に嵌挿されたスライダ31と、両ス
ライダ30・31を連結するために駆動シリンダ1と制
御シリンダ2との間に跨がって配設された連結体として
の移動部材32とから構成されている。各一対の筒状体
33・34は両スライダ30・31内に嵌着され、その
内周面には滑動シリンダ35・36及びスクレーバ37
・38がそれぞれ設けられている。
【0026】複数のピストン側マグネット39は上記駆
動シリンダ1のピストン6間に複数のヨーク40を介し
て配設され、このピストン側マグネット39と対向する
ようにスライダ30の内面には複数のスライダ側マグネ
ット41が複数のヨーク42を介して配設されている。
複数のピストン側マグネット43は上記制御シリンダ2
のピストン14間に複数のヨーク44を介して配設さ
れ、このピストン側マグネット43と対向するように、
スライダ31の内面には複数のスライダ側マグネット4
5が複数のヨーク46を介して配設されている。そし
て、ピストン側マグネット39・43とスライダ側マグ
ネット41・45との吸着により、両シリンダ1・2の
ピストン6・14がスライダ30・31及び移動部材3
2を介して連動可能に連結されている。
【0027】上記一方のエンドブロック3には、流量を
調整するための流量調節装置47が設けられており、連
通路27から制御シリンダ2の流体室16・17内へ流
入出する非圧縮性流体28の流量を調節する。そして、
本実施例においては、この流量調節装置47として、非
圧縮性流体28に電場を調整して付与する電場調整付与
装置47Aが設けられている。この電場調整付与装置4
7Aは絶縁体48を介して連通路27内に配設された円
筒状電極49と、その円筒状電極49内に所定の間隙5
0をおいて位置するように、絶縁体51を介して連通路
27内に配設された棒状電極52とから構成されてい
る。そしてリード線53を介し両電極49・52に印加
される電圧が増減されることによって、電場の大きさが
変更され、両電極49・52間の間隙50を通る非圧縮
性流体28の粘性が、電場の大きさに比例して増減され
る。
【0028】次に、上記のように構成された駆動シリン
ダ1の速度制御装置について動作を説明する。
【0029】上記切り換えバルブの切り換えにより、上
記コンプレッサからいずれか一方の入力ポート21・2
2を介して駆動シリンダ1の流体室8又は流体室9に圧
縮性流体が供給されると、駆動シリンダ1のピストン6
が左方又は右方に移動される。この駆動シリンダ1とピ
ストン6の移動に伴い、連動装置29のスライダ30・
31及び移動部材32を介して制御シリンダ2のピスト
ン14が同方向へ一体的に移動され、このピストン14
の移動に伴って、制御シリンダ2の両流体室16・17
間に非圧縮性流体28の流れが生じる。
【0030】このとき、電場調整付与装置47Aの両電
極49・52に印加される電圧が増減されると電場の大
きさが変更されて、両電極49・52の間隙50を流れ
る非圧縮性流体28の粘性が、電場の大きさに比例して
増減され、制御シリンダ2の制動力が増減される。すな
わち、両電極49・52の印加電圧が上がると、非圧縮
性流体28の粘性が大きくなって、間隙50を通る非圧
縮性流体28の流量が減少し、制御シリンダ2の制動力
が大きくなって駆動シリンダ1の速度が遅くなる。これ
とは逆に、印加電圧が下がると、非圧縮性流体28の粘
性が小さくなって間隙50を通る流量が増大し、制御シ
リンダ2の制動力が小さくなって駆動シリンダ1の速度
が速くなる。従って、圧縮性流体によって作動される駆
動シリンダ1に制御速度を、電気信号により連続して正
確に行うことができる。上記間隙50を小さくすること
により非圧縮性流体28の流量を殆ど無くしてロック状
態に近い状態にすることもできる。尚、実施例1では、
上記非圧縮性流体28として、上記電気粘性流体28A
が使用されている。
【0031】上記非圧縮性流体28として電気粘性流体
28Aが用いられ、この電気粘性流体28Aを、上述し
たように、流体封入部を600torrの減圧下に保ち
ながら注入し、注入後、電気粘性流体28Aが20to
rrの減圧下で3時間脱気した後封入した密閉型デバイ
ス60aを用いて、印加電圧に対するテーブルの移動速
度特性及びその繰り返し動作後の特性について試験を行
った。
【0032】測定結果は、図1に示すように印加電圧0
〜5kVの変化に対してテーブル移動速度が600mm
/sec前後からほぼ停止状態まで広い範囲にわたって
制御できた。また、繰り返し試験において5000回及び10
000 回まで特性が劣化することなく制御できた。
【0033】また、上記密閉型デバイス60aを用いて
移動速度特性の再現性について試験を行った。
【0034】測定結果は、図5に示すように速度制御範
囲が広いうえに印加電圧に対するテーブル移動速度の測
定値のバラツキが小さく、再現性良く制御できた。
【0035】〔実施例2〕実施例1と同様の製造方法で
得た分散相粒子80gを、信越シリコーンオイルKF9
6−20CS(ジメチルシリコーンオイル;信越化学工
業株式会社製)200gに100torrの減圧下に保
ちながら50℃に加熱して30分間撹拌して分散し、電
気粘性流体28Bを調整した。
【0036】実施例1と同様の密閉型デバイス60に、
非圧縮性流体28として上記電気粘性流体28Bを、流
体封入部を600torrの減圧下に保ちながら注入し
た。
【0037】注入後、電気粘性流体28Bを20tor
rの減圧下で3時間脱気して、デバイス内への電気粘性
流体28Bの封入を行った。
【0038】上記電気粘性流体28Bが封入された密閉
型デバイス60bを用いて、実施例1と同様に、印加電
圧に対するテーブルの移動速度特性及びその繰り返し動
作後の特性について試験を行った。
【0039】測定結果は、図2に示すように、実施例1
の測定結果と同様に印加電圧に対して広い範囲にわたっ
てテーブル移動速度が制御できた。また、繰り返し試験
において5000回及び10000 回まで特性が劣化することな
く制御できた。
【0040】〔実施例3〕実施例1と同様の製造方法で
得た分散相粒子80gを、信越シリコーンオイルKF9
6−20CS(ジメチルシリコーンオイル;信越化学工
業株式会社製)200gに30分間撹拌して分散し、電
気粘性流体28Cを調整した。
【0041】実施例1と同様の密閉型デバイス60に、
非圧縮性流体28として上記電気粘性流体28Cを流体
封入部を常圧に保ちながら流し込んだ。その後、電気粘
性流体28Cを20torrの減圧下で3時間脱気し
て、デバイス内への電気粘性流体28Cの封入を行っ
た。
【0042】上記電気粘性流体28Cが封入された密閉
型デバイス60cを用いて、実施例1と同様に、印加電
圧に対するテーブルの移動速度特性及びその繰り返し動
作後の特性について試験を行った。
【0043】測定結果は、図3に示すように、初期及び
5000回までは、実施例1の測定結果と同様に印加電圧に
対して広い範囲にわたってテーブル移動速度が制御でき
たが、10000 回後では高印加電圧域においてテーブル移
動速度を十分低く制御することができないという特性の
劣化が認められた。
【0044】〔実施例4〕 非圧縮性流体28として実施例3で調整した電気粘性流
体28Cを、実施例1と同様の密閉型デバイス60に、
流体封入部を常圧に保ちながら流し込んだ。その後、電
気粘性流体28を500torrの減圧下で3時間脱
気して、デバイス内への電気粘性流体28Cの封入を行
った。
【0045】上記電気粘性流体28Cが封入された密閉
型デバイス60dを用いて、実施例1と同様に、印加電
圧に対するテーブルの移動速度特性及びその繰り返し動
作後の特性について試験を行った。
【0046】測定結果は、図4に示すように、初期的に
は良い制御特性を示したが、1000回、5000回と回を追う
ごとに特性の劣化が認められた。
【0047】〔比較例1〕非圧縮性流体28として実施
例3で調整した電気粘性流体28Cを、実施例1と同様
の密閉型デバイス60に、流体封入部を常圧に保ちなが
ら流し込んで、デバイス内への電気粘性流体28Cの封
入を行った。
【0048】上記電気粘性流体28Cが封入された密閉
型デバイス60eを用いて、実施例1と同様に、印加電
圧に対するテーブルの移動速度特性及びその繰り返し動
作後の特性、さらに、移動速度特性の再現性について試
験を行った。
【0049】印加電圧に対するテーブルの移動速度特性
及びその繰り返し動作後の特性についての測定結果は、
初期段階から悪い制御特性を示し、回を追うごとに特性
の劣化が起こり、100回程度で高印加電圧域において
絶縁破壊を生じ使用不可能となった。
【0050】また、移動速度特性の再現性についての測
定結果は、図6に示すように、速度制御範囲が低速域で
不足しているうえ高印加電圧域において測定値のバラツ
キが大きく、再現性に乏しかった。
【0051】
【発明の効果】本発明の電気粘性流体を密閉型デバイス
内に封入して用いることにより、デバイスの作動を電気
的入力で確実に制御でき、且つデバイスの作動を繰り返
しても作動状況が乱れることがない。これにより、作動
が円滑で再現性の良い密閉型デバイスを得ることが可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の密閉型デバイスの印加電圧に対するテ
ーブルの移動速度を示すグラフである。
【図2】本発明の密閉型デバイスの印加電圧に対するテ
ーブルの移動速度を示すグラフである。
【図3】本発明の密閉型デバイスの印加電圧に対するテ
ーブルの移動速度を示すグラフである。
【図4】本発明の密閉型デバイスの印加電圧に対するテ
ーブルの移動速度を示すグラフである。
【図5】本発明の密閉型デバイスの印加電圧に対するテ
ーブルの移動速度を示すグラフである。
【図6】比較例の密閉型デバイスの印加電圧に対するテ
ーブルの移動速度を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例に用いられる密閉型デバイスの
断面図である。
【符号の説明】
28A 電気粘性流体 28B 電気粘性流体 28C 電気粘性流体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 151:02) C10N 20:00 20:06 40:08 40:14 70:00 (72)発明者 伊藤 一寿 愛知県小牧市大字北外山字早崎3005番地 シーケーディ株式会社内 (72)発明者 上松 ▲英▼司 愛知県小牧市大字北外山字早崎3005番地 シーケーディ株式会社内

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分散相粒子と絶縁性分散媒とからなり、脱
    気されていることを特徴とする電気粘性流体。
  2. 【請求項2】脱気が、減圧下に行われることを特徴とす
    る請求項1記載の電気粘性流体。
  3. 【請求項3】脱気が、振動または撹拌を加えながら60
    0torr以下の減圧下に行われることを特徴とする請
    求項1記載の電気粘性流体。
  4. 【請求項4】脱気が、加熱下に行われることを特徴とす
    る請求項3記載の電気粘性流体。
  5. 【請求項5】脱気が、分散相粒子と絶縁性分散媒とを混
    合して電気粘性流体を調整するとき及び/又は調整後に
    行われる請求項1、2、又は請求項3記載の電気粘性流
    体。
  6. 【請求項6】脱気が、電気粘性流体により作動するデバ
    イス内に電気粘性流体を封入するときに行われる請求項
    1、2、又は請求項3記載の電気粘性流体。
  7. 【請求項7】脱気が、分散相粒子と絶縁性分散媒とを混
    合して電気粘性流体を調整するとき及び/又は調整後、
    且つ電気粘性流体により作動するデバイス内に電気粘性
    流体を封入するときに行われる請求項1、2、又は請求
    項3記載の電気粘性流体。
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