JP2594361B2 - ポリプロピレン組成物 - Google Patents

ポリプロピレン組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、摩擦摩耗特性及び難燃性に優れたポリプロ
ピレン組成物に関する。
〔従来技術及び発明が解決しようとする課題〕
ポリプロピレン樹脂は、その優れた剛性、加工性、耐
熱性、機械的特性等により機械、電気、電子分野等にお
いて、種々の成形品に適用されている。しかし、摩擦摩
耗特性が悪いため摺動部品への適用ができなかった。こ
のような問題点を解決する手段として、各種滑剤やフツ
ソ樹脂を添加する方法が一般的に行なわれている。しか
し、かかる組成物は摩擦摩耗特性の改良効果が十分でな
く、一層の改良が望まれていた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、上記問題を解決すべく鋭意検討した。
その結果、ポリプロピレンに特定の化合物を添加するこ
とにより、摩擦摩耗特性の優れたポリプロピレン組成物
が得られることを見出した。そして、さらに特定の化合
物を添加することにより、摩擦摩耗特性を低下させるこ
となく難燃性を向上させることに成功し、本発明を提案
するに至った。
即ち、本発明は、 (a) ポリプロピレン 100重量部 (b) 平均分子量100,000以上のオルガノポリシロキ
サン 0.5〜20重量部 (c) ジベンジリデンソルビトール類 0.05〜2.0重量
部 (d) 臭素系難燃剤 1.0〜100重量部 及び (e) 三酸化アンチモン 0.5〜50重量部 よりなるポリプロピレン組成物である。
本発明において、ポリプロピレンは、プロピレンの単
独重合体、50モル%以上のプロピレンとエチレン、ブデ
ン−1等のプロピレン以外のα−オレフインとのブロツ
ク共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及
びこれらの混合物等が用いられる。
また、本発明で使用するオルガノポリシロキサンは平
均分子量が100,000以上であることが重要である。即
ち、オルガノポリシロキサンの平均分子量が100,000よ
り小さいと、摩擦摩耗特性の改良効果の持続性がなく、
本発明の目的を達成できない。本発明においては、オル
ガノポリシロキサンの平均分子量は、得られるポリプロ
ピレン組成物の摩擦摩耗特性の向上の観点から、200,00
0〜1,000,000の範囲であることが好ましい。
本発明で使用されるオルガノポリシロキサンの種類
は、公知のものが何ら制限なく使用される。例えば、ジ
メチルポリシロキサン,ジエチルポリシロキサン,メチ
ルエチルポリシロキサン及びジフエニルポリシロキサン
等を挙げることができる。オルガノポリシロキサンの使
用量は、ポリプロピレン100重量部に対して0.5〜20重量
部、好ましくは2〜15重量部である。添加量0.5重量部
未満では摩擦摩耗特性の改良が十分ではなく、20重量部
を越えて添加しても摩擦摩耗特性に対する効果が頭打ち
となり、経済的に不利となるばかりでなく、物性の低下
を招く傾向にある。
さらに、本発明ではジベンジリデンソルビトール類を
併用することが重要である。ジベンジリデンソルビトー
ル類としては、1.3,2.4−ジベンジリデンソルビトール;
1.3−クロルベンジリデン−2.4−メチルベンジリデンソ
ルビトール;1.3,2.4−ジ(メチルベンジリデン)ソルビ
トール,1.3,2.4−ジ(エチルベンジリデン)ソルビトー
ル等のジ(アルキルベンジリデン)ソルビトールが挙げ
られるが、そのうち特に1,3,2.4−ジ(メチルベンジリ
デン)ソルビトールが前記組み合わせにおいて好適であ
る。
ジベンジリデンソルビトール類の使用量は、ポリプロ
ピレン100重量部に対して0.05〜2.0重量部、好ましくは
0.1〜1.0重量部である。使用量が0.05重量部未満ではオ
ルガノポリシロキサンとの併用による摩擦摩耗特性の改
良効果が十分でなく、2.0重量部を越えて添加してもそ
の効果が頭打ちになり経済的に不利である。
本発明において用いられる臭素系難燃剤は、分子中に
臭素原子を結合して有する公知の難燃剤が何ら制限なく
使用される。本発明において好適に使用し得る臭素系難
燃剤を例示すると、例えば、ヘキサブロモベンゼン;テ
トラブロモビスフエノールA,テトラブロモビスフエノー
ルS;テトラブロモフタル酸無水物;テトラブロモジフエ
ニル,ヘキサブロモジフエニル,デカブロモジフエニル
等のブロモジフエニル類;テトラブロモジフエニルエー
テル,ヘキサブロモジフエニルエーテル,デカブロモジ
フエニルエーテル等のプロモジフエニルエーテル類;テ
トラブロモビスフエノールAビス(ジブロモエチルエー
テル),テトラブロモビスフエノールAビス(ジブロモ
プロピルエーテル),テトラブロモビスフエノールAビ
ス(ジブロモブチルエーテル)等のテトラブロモビスフ
エノールA(ポリブロモアルキルエーテル)類;テトラ
ブロモビスフエノールSビス(ジブロモエチルエーテ
ル),テトラブロモビスフエノールSビス(ジブロモブ
ロピルエーテル),テトラブロモビスフエノールS(ジ
ブロモブチルエーテル)等のテトラブロモビスフエノー
ルS(ポリブロモアルキルエーテル)類;トリス(ジブ
ロモエチル)イソシアヌレート,トリス(ジブロモプロ
ピル)イソシアヌレート,トリス(トリブロモプロピ
ル)イソシアヌレート等のトリス(ポリブロモアルキ
ル)イソシアヌレート類を挙げることができる。
本発明においては、上記した臭素系難燃剤を用いるこ
とによって摩擦摩耗特性を低下させることなく難燃性を
発揮させることができる。本発明のポリプロピレン組成
物の物性を改良するため、後述する無機充填材を併用す
る場合には、上記した臭素系難燃剤の中でも、得られる
ポリプロピレン組成物の摩擦摩耗特性と難燃性とを勘案
すると、ブロモジフエニルエーテル類が最も好適に用い
られる。
臭素系難燃剤の使用量は、ポリプロピレン100重量部
に対して1.0〜100重量部の範囲でなければならず、1.5
〜80重量部の範囲であることが好ましい。上記の範囲に
満たない場合には難燃性が発揮されず、逆に多過ぎる場
合には摩擦摩耗特性に悪影響が出るために好ましくな
い。
次に、本発明のポリプロピレン組成物には三酸化アン
チモンが配合される。三酸化アンチモンは、上記の臭素
系難燃剤と相俟って優れた難燃性を発揮する。三酸化ア
ンチモンはポリプロピレン100重量部に対して0.5〜50重
量部の範囲から選ばれ、1.0〜40重量部の範囲であるこ
とが好ましい。三酸化アンチモンの配合量が上記範囲よ
りも少ない場合には、難燃効果が十分ではなく、上記範
囲よりも多い場合には、上記の臭素系難燃剤の場合と同
様に摩擦摩耗性が低下するために好ましくない。
本発明に於いては、前記した各成分の他にポリブデン
−1をポリプロピレン100重量部に対して1〜40重量
部、好ましくは5〜30重量部の範囲で添加することが、
得られるポリプロピレン組成物を摺動材料として使用し
たときの消音特性が改良されるために好ましい。ポリブ
デン−1としては、ブデン−1の単独重合体又はブデン
−1が70モル%以上の共重合体が用いられる。
また、本発明に於いては、前記した各成分の他に無機
充填材をポリプロピレン100重量部に対して1〜40重量
部、好ましくは3〜30重量部の範囲で添加することによ
り、得られるポリプロピレン組成物に剛性を付与するこ
とができる。無機充填材としては、炭酸カルシウム,炭
酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウ
ム,タルク,クレー,シリカ,ガラス繊維,ホイスカー
等の公知のものが何ら制限されずに採用される。
特にガラス繊維やホイスカー等の繊維状の無機充填材
を用いた場合には、得られるポリプロピレン組成物に高
い剛性を付与することができる。
本発明のポリプロピレン組成物には、摩擦摩耗特性に
悪影響を与えない範囲で、公知の添加剤、例えば、酸化
防止剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料等を配合しても良
い。
〔効 果〕
以上の説明より理解されるごとく、本発明のポリプロ
ピレン組成物は、摩擦摩耗特性及び難燃性に優れてお
り、ギヤ、カム等の摺動部品に有用な組成物である。
〔実施例〕
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例を示す
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例1 メルトフローインデツクス20g/10minのプロピレンの
単独重合体100重量部に、平均分子量が45万のジメチル
ポリシロキサン及び1.3,2.4−ジ(メチルベンジリデ
ン)ソルビトール、各種臭素系難燃剤、三酸化アンチモ
ン及びガラス繊維(日本電気硝子社製ECS03T−451)を
表−1の割合で添加した組成物を作った。この組成物を
原料にして、150ton射出成形機で外径25.6mm、内径20.0
mm、高さ15mmの摩耗試験片を作成した。摩耗試験は鈴木
式摩擦摩耗試験機を使用し、JIS K7218に従い、相手材
料S45Cで試験速度500mm/sec、試験荷重1kgf、試験距離3
kmの試験条件で行い、試験前と試験後の試験片の重量差
を測定し、それを摩耗量とした。また、同時に摩擦係数
の測定も行った。結果を表−1に示した。また、燃焼試
験は、UL94法に準じて行ない、試験片厚み1/16インチに
おける自己消火性区分を表−1に併記した。
実施例2 メルトフローインデツクス20g/10minのプロピレンの
単独重合体100重量部に分子量30万のジエチルポリシロ
キサン及び1.3 2.4−ジベンジリデンソルビトール、各
種臭素難燃剤、三酸化アンチモン及びタルク(松村産業
製,クラウンタルクP−2)を表−2の割合で添加した
組成物を作った。この組成物を原料にして、実施例1と
同様な方法で摩耗試験及び燃焼試験を行った。結果を表
−2に示した。
実施例3 メルトフローインデツクス20g/10minのプロピレンの
単独重合体100重量部に分子量45万のジメチルポリシロ
キサン、表−3に示したジベンジリデンソルビトール
類、臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンを配合した組成
物について、実施例1と同様な方法で摩擦摩耗試験及び
燃焼試験を行なった。その結果を表−3に示した。
実施例4 メルトフローインデツクス20g/10minのプロピレンの
単独重合体100重量部に分子量45万のジメチルポリシロ
キサン、1.3,2.4−ジ(メチルベンジリデン)ソルビト
ール、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン及びブデン−1
の単独重合体を表−4の割合で添加した組成物を作っ
た。この組成物を原料にして、実施例1と同様な方法で
摩擦摩耗試験及び燃焼試験を行った。さらに100×100×
2.0tの試験片を作成し、振動減衰法(技報堂「騒音対策
ハンドブツク」で強制振動時における損失係数の測定を
行った。
比較例 メルトフローインデツクス20g/10minのプロピレンの
単独重合体100重量部に平均分子量が10,000のジメチル
ポリシロキサン5重量部及び1.3,2.4−ジ(メチルベン
ジリデン)ソルビトール0.3重量部(テトラブロモビス
フエノールSビス(ジブロモプロピルエーテル)5重量
部及び三酸化アンチモン2重量部を配合した組成物につ
いて、実施例1と同様な方法で摩擦摩耗試験及び燃焼試
験を行った。その結果、摩耗量2.2mg、摩擦係数1.0、UL
94燃焼性区分V−2であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51/06 LLD C08L 51/06 LLD LLE LLE 53/00 LLV 53/00 LLV LLW LLW LLZ LLZ //(C08L 23/10 23:20 83:04) (C08K 13/02 5:02 5:15 3:22)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) ポリプロピレン 100重量部 (b) 平均分子量100,000以上のオルガノポリシロキ
    サン 0.5〜20重量部 (c) ジベンジリデンソルビトール類 0.05〜2.0重量
    部 (d) 臭素系難燃剤 1.0〜100重量部 及び (e) 三酸化アンチモン 0.5〜50重量部 よりなるポリプロピレン組成物。
  2. 【請求項2】(a) ポリプロピレン 100重量部 (b) 平均分子量100,000以上のオルガノポリシロキ
    サン 0.5〜20重量部 (c) ジベンジリデンソルビトール類 0.05〜2.0重量
    部 (d) ポリブデン−1 1〜40重量部 (e) 臭素系難燃剤 1.0〜100重量部 及び (f) 三酸化アンチモン 0.5〜50重量部 よりなるポリプロピレン組成物。
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