JP2590439B2 - 水酸アパタイトの被膜の形成法 - Google Patents

水酸アパタイトの被膜の形成法

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JP2590439B2
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敦夫 伊藤
貞夫 堤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、整形外科、歯科などの
医療分野において人工腱、人工靭帯、人工血管等の生体
材料として、また、化学・生化学分野でタンパク質・ウ
イルス等の吸着剤として利用される水酸アパタイトを室
温付近で被膜として形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】摂氏100度以下での水酸アパタイト被
膜形成法には現在次のようなものがある。 (1)バインダーを用いて水酸アパタイト粉末を基材に
接着する方法 (2)水酸アパタイト過飽和な溶液に基材を浸漬し、水
酸アパタイトを基材上に析出する方法 (3)有機化合物、リン蛋白、及びアルカリ性フォスタ
ーゼ等の酵素を用いて基材に析出させる方法 (4)電気泳動法 (5)電気化学的合成法
【0003】
【発明が解決しようとする課題】(1)の方法は純度の
高い被膜を形成できるが、バインダーが水酸アパタイト
粒子表面を被膜してしまうため、水酸アパタイト本来の
もつ生体適合性、吸着特性が損なわれるという問題があ
る。(2)の方法では水酸アパタイトの過飽和度を上げ
るために多種類の塩を含む複雑な組成の溶液を必要と
し、生成する水酸アパタイトも複雑な組成となり純度が
低い。また生成速度をコントロールすることが難しい。
(3)の方法は生成物中に有機物や酵素が残留し、水酸
アパタイト本来の高生体適合性が損なわれる。(4),
(5)の方法は複雑な組成の溶液から低純度の水酸アパ
タイトを生成することになり、また基材に導伝性を必要
とする。現在使用されている合成法(1)〜(5)は被
膜水酸アパタイトの機能保存、純度、及び膜生成制御と
いう全ての条件を併せ持つものはない。
【0004】従って本発明は水酸アパタイトの機能を保
存するためにバインダーを用いないで、不純物の少ない
水酸アパタイト被膜を制御成膜する方法を提供すること
を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的に対応して、こ
の発明の水酸アパタイトの被膜の形成法は、密閉容器内
のリン酸カルシウム懸濁液中に高圧炭酸ガスを導入して
高圧炭酸ガス雰囲気とし、溶解炭酸ガスによりリン酸カ
ルシウムを溶解させた後、炭酸ガスを制御放出して水酸
アパタイトを析出させることを特徴としている。また、
この発明の他の水酸アパタイトの被膜の形成法は、密閉
容器内のH3PO4,NaOH,NaHCO3の一または
二以上を含む水溶液にリン酸カルシウムを懸濁し、高圧
炭酸ガスを導入して高圧炭酸ガス雰囲気とし、溶解炭酸
ガスによりリン酸カルシウムを溶解させた後、炭酸ガス
を制御放出して水酸アパタイトを析出させることを特徴
としている。
【0006】
【作用】密閉容器中で、リン酸カルシウムを炭酸ガスに
より溶解し、しかる後に炭酸ガスを徐々に放出して行く
と、密閉容器中の基材の表面に水酸アパタイトが析出す
る。
【0007】
【実施例】以下、この発明の詳細を一実施例を示す図面
について説明する。図1にはこの発明の水酸アパタイト
の被膜の形成法の実施に使用する被膜形成装置1が示さ
れている。被膜形成装置1は密閉容器2を備え、密閉容
器2にはガス供給管3、ガス排出管4が接続している。
密閉容器2は蓋5によって内部を密閉状態にすることが
でき、内部に溶液6、リン酸カルシウム7、基材8等を
収納することができる。密閉容器2内にはガス供給管3
を通して外部のガスボンベ11からガスを供給すること
ができる。また、密閉容器2内のガスはガス排出管4を
通して外部に制御放出することができる。
【0008】この発明の水酸アパタイトの形成法は、こ
のような被膜形成装置を使用して次のようになされる。
密閉容器2内に溶液6を充填し、この溶液6中にリン酸
カルシウム7の粉末を入れて懸濁させて懸濁液12を生
成させる。溶液6としては純水またはこれにリン酸、水
酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを添加した希リン
酸カルシウム水溶液または希水酸化ナトリウム水溶液ま
たは希炭酸水素ナトリウム水溶液の1種類または複数種
類の混合物を使用することができる。リン酸カルシウム
7としては、水酸アパタイト(Ca10(PO4 6 (O
H)2 )、リン酸三カルシウム(Ca3 (P
4 2 )、リン酸四カルシウム(Ca4 (PO42
Oの1種類または複数種類の混合物を使用することがで
きる。また希リン酸水溶液を用いた場合は炭酸カルシウ
ムCaCO3も使用することができる。この場合は希リ
ン酸に炭酸カルシウムを投入すると反応してすみやかに
リン酸カルシウムとなる。
【0009】次に懸濁液12中に被膜をつける基材8を
投入して密閉容器2を気密に密閉する。次にガスボンベ
11から密閉容器2内にガス供給管3を介して1kg/
cm2 以上の高圧炭酸ガスを導入する。この炭酸ガスに
より懸濁しているリン酸カルシウム7が溶解してリン酸
カルシウム溶液が生成する。合成時のCO2 圧力の上
限、下限は次の通りである。炭酸ガス圧力の下限は1k
g/cm2 である。これより炭酸ガス圧力が低い場合は
リン酸カルシウムの溶解量が、水酸アパタイト相当で5
0mg/1以下となるため、析出する被膜の量が極端に
少なくなり、被膜形成法として適さない。炭酸ガス圧力
の上限は特になく、高ければ高いほどリン酸カルシウム
の溶解量が増加し、析出する被膜量は増加する。炭酸ガ
ス圧力の上限は密閉容器の耐圧と耐酸性によってきま
る。例えば、容器としてガラス製オートクレープを用い
た場合、ガラスの耐酸性は極めて高いので、炭酸ガス圧
力の上限は容器の耐圧だけで決まり、その値は肉厚4.
8mmのガラス容器の場合10kg/cm2 程度であ
る。
【0010】その後、密閉容器2内の炭酸ガスをガス排
出管4を通して、20ml/min以下の任意の速度で
制御放出することで水酸化アパタイト膜が基材8上に成
膜する。制御放出速度の上限、下限は次の通りである。
炭酸ガスの放出速度の上限、下限は使用する密閉容器の
容積V(ml)に依存し、上限はV/10(m1/mi
n)である。放出速度の下限は可能なかぎり小さいほう
が望ましいが、実用的にはV/15000(m1/mi
n)が下限である。これより放出速度を小さくしても膜
の形成に10日を要し、実用的でない。炭酸ガスの放出
速度がV/10m1/min以上の場合は基材以外の場
所で水酸アパタイト結晶核が生成し、この核上に水酸ア
パタイトが析出するため、基材に析出する被膜の量が極
端に減少するか、場合によっては被膜が形成されない。
【0011】溶液6は純水又は純水にリン酸、水酸化ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウムを添加する。これらの成
分は被膜中に炭酸カルシウムが生成するのを防止するの
に有効であるが、生成する水酸アパタイトの純度を上げ
るため、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ムの添加量は可能なかぎり少ないことが望ましいので、
リン酸は0.8x10-6〜1.5x10-6mol/lの
濃度、水酸化ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムは0.
2x10-4〜1.0x10-4mol/lの濃度となるよ
うに添加する。
【0012】(実験例1)表1に示すように水酸アパタ
イト40〜45mgを1.2x10-6mol/lリン酸
水溶液200mlに懸濁させ内容積300mlの高圧密
閉容器にいれた。これに高圧炭酸ガスを導入して3.5
〜4.0kg/cm2 の炭酸ガス圧として8時間放置し
た後、5分〜一週間かけて炭酸ガスを放出した。基材に
はコラーゲンを用いた。
【0013】
【表1】 図2((a)は走査型電子顕微鏡写真、(b)はその説
明図)及び図3に示すように厚さ1μmの水酸アパタイ
ト膜がコラーゲン上に形成された。図4に膜の粉末x線
回折パターンを示す。パターンにはコラーゲンのブロー
ドなピークとアパタイトのピークが出現しているだけで
あり、膜は不純物のない水酸アパタイト単相であること
を示す。図4の膜の分析結果に示されるように膜は従来
の成膜法で作られたものに比較して純度が高い。
【0014】(実験例2)水酸アパタイト35.8mg
を0.5x10-4mol/lの炭酸水素ナトリウム溶液
200mlに懸濁させ、ポリエステル製人工靭帯ととも
に内容積300mlの高圧密閉容器に入れた。これに炭
酸ガスを導入して、9.0kg/cm2 の炭酸ガス圧と
して水酸アパタイトを溶解し、24時間放置した後、
0.2ml/minの速度で炭酸ガスを放出した。その
後ポリエステル製人工靭帯を水洗、乾燥し、粉末X線回
折装置にて表層の析出物を分析した結果、表面に水酸ア
パタイトが析出していること及び他の不純物結晶相は生
じていないことが確認された。
【0015】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、この発明
では、バインダーを用いず、また生成する水酸アパタイ
トの純度を向上させるために、CaO−P2 5 −H2
O−CO2 の4成分またはCaO−P2 5 −H2 O−
Na2 O−CO2 の5成分からなる高圧炭酸ガス水溶液
から、炭酸ガスを制御放出させて水酸アパタイトを基材
上に析出することで達成できる。ここで得られる水酸ア
パタイトの純度は従来の成膜法で得られるものに比較し
て純度が高く、また、炭酸ガスの放出速度を制御するこ
とによって、水酸アパタイト被膜の生成速度を制御する
ことができる。基材に導伝性を必要とすることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】被膜形成装置の構成説明図。
【図2】コラーゲン基板上に形成された水酸アパタイト
膜を示す走査型電子顕微鏡写真及びその説明図。
【図3】膜のEPMA分析結果を示すグラフ。
【図4】膜の粉末X線回折パターンを示すグラフ。
【符号の説明】
1 被膜形成装置 2 密閉容器 3 ガス供給管 4 ガス排出管 5 蓋 6 溶液 7 リン酸カルシウム 8 基材 11 ガスボンベ 12 懸濁液

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器内のリン酸カルシウム懸濁液中
    に高圧炭酸ガスを導入して高圧炭酸ガス雰囲気とし、溶
    解炭酸ガスによりリン酸カルシウムを溶解させた後、炭
    酸ガスを制御放出して水酸アパタイトを析出させること
    を特徴とする水酸アパタイトの被膜の形成法。
  2. 【請求項2】 密閉容器内のH3PO4,NaOH,Na
    HCO3の一または二以上を含む水溶液にリン酸カルシ
    ウムを懸濁し、高圧炭酸ガスを導入して高圧炭酸ガス雰
    囲気とし、溶解炭酸ガスによりリン酸カルシウムを溶解
    させた後、炭酸ガスを制御放出して水酸アパタイトを析
    出させることを特徴とする水酸アパタイトの被膜の形成
    法。
JP6194922A 1994-07-27 1994-07-27 水酸アパタイトの被膜の形成法 Expired - Lifetime JP2590439B2 (ja)

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