JP2589907B2 - 走査型顕微鏡及びその試料 - Google Patents

走査型顕微鏡及びその試料

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JP2589907B2
JP2589907B2 JP4088924A JP8892492A JP2589907B2 JP 2589907 B2 JP2589907 B2 JP 2589907B2 JP 4088924 A JP4088924 A JP 4088924A JP 8892492 A JP8892492 A JP 8892492A JP 2589907 B2 JP2589907 B2 JP 2589907B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エネルギー移動理論に
基づくエネルギー受容体の発光を利用した走査型光学顕
微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】微小な物体を観察するのに種々の顕微鏡
が作られ利用されている。このうち、光学顕微鏡は手軽
であるため広く使われているのだが、また、試料を非破
壊的に観察できるのも大きな利点の一つである。しか
し、光学顕微鏡は、光の干渉が生じることからその光の
波長程度の分解能までしか得られないことが理論的に知
られている。光を用いた顕微鏡では、この点が大きなネ
ックになっていたのであるが、この限界を越え得るもの
として注目されているものに近接場走査型光学顕微鏡が
ある(O plus E 1989.Sept 「近接場走査型顕微蛍光
分析法の開発と生体観察への試み」岡崎 敏 京都大学
理学部)。
【0003】近接場走査型光学顕微鏡は、光の波長より
も小さなピンホール(スリット)から漏れる光を利用す
るもので、ピンホールを試料に当ててピンホール及び試
料を透過する光を観察し、ピンホールを走査して試料の
像を得ている。この近接場走査型光学顕微鏡では、ピン
ホールが小さいほど分解能が向上し、10〜20nmの
分解能を得ることが予想され、その達成するための研究
がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】光を用いた顕微鏡にお
いては、試料を非破壊的に観察できるという大きな利点
があるのだが、光学顕微鏡には波長に基づく分解能の限
界があり、近接場走査型光学顕微鏡は現在研究中で実用
化に至ってはいない。また、近接場走査型光学顕微鏡の
分解能は10〜20nmになると予想されているが、D
NA工学への応用を考えた場合、より高い分解能のもの
が必要になることが想定される。光を用いた顕微鏡の利
点を生かし、より高い分解能のものが望まれる。
【0005】本発明は、前述の問題点に鑑み、新しい原
理に基づいた顕微鏡を提案するとともにその実用化にあ
たって生じる欠点をあわせて解決し、また、走査顕微鏡
での観察に適した試料を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の走査型光学顕微鏡は、エネルギー受容体及
びこのエネルギー受容体へ非放射的に励起エネルギーを
伝達するエネルギー供与体のうち一方が設けられた探針
と、エネルギー供与体を励起する励起手段と、エネルギ
ー受容体の励起状態で生じる発光を検出する検出手段
と、検出手段で検出される発光の強度をほぼ一定に保ち
つつ試料と探針との相対的な位置の制御をするとともに
位置の制御から試料の表面形状を求める演算制御手段と
を備え、エネルギー受容体及びエネルギー供与体のうち
他方が試料表面に設けられていることを特徴とする。
【0007】検出手段は、試料からの光を分光する分光
手段をさらに有するとともに分光手段で分光された光を
検出し、演算制御手段は、試料からの光の分光分布強度
をもとに位置の制御をし、試料表面形状の画像を生成す
ることを特徴としても良い。
【0008】また、本発明の走査型顕微鏡用試料は、探
針を走査することによって被観察対象の状態の観察をす
る走査型顕微鏡(上記走査型光学顕微鏡、トンネル走査
顕微鏡など)に用いられる試料であって、探針で検出さ
れる物質が被観察対象の表面に単分子の厚さ程度の膜状
で形成されていることを特徴とする。
【0009】走査型顕微鏡は、エネルギー受容体及びエ
ネルギー供与体のうち一方が試料表面に、他方が探針に
設けられ、エネルギー供与体からエネルギー受容体へ非
放射的に励起エネルギーが伝達されてエネルギー受容体
から生じる蛍光を検出することによって観察がなされる
走査型光学顕微鏡であり、物質は前記エネルギー受容体
または前記エネルギー供与体であることを特徴としても
良い。
【0010】
【作用】本発明の走査型光学顕微鏡では、エネルギー供
与体からエネルギー受容体へ非放射的に励起エネルギー
が伝達され、エネルギー受容体は励起状態になる。この
励起状態から基底状態に遷移する際に光が生じ、エネル
ギー受容体が、探針に設けられた場合は探針から、試料
表面に設けられた場合は試料表面から発せられる。そし
て、この発光が検出手段で検出される。エネルギー供与
体からエネルギー受容体へ伝達される確率量は、エネル
ギー供与体とエネルギー受容体との距離の6乗に反比例
する。この距離即ち試料と探針との相対的な位置は、制
御手段にて制御されており、検出手段で検出される発光
の強度をほぼ一定に保つように即ち試料と探針との距離
をほぼ一定に保つように制御される。これによって、制
御手段の制御量から試料表面形状や試料の像が得られ
る。また、この像の分解能は、エネルギー受容体へエネ
ルギーが伝達される範囲で決められる。
【0011】分光手段をさらに有する場合、励起手段か
らの励起光とエネルギー受容体の発光が分離されて検出
され、また、異なったエネルギー受容体の発光が分離さ
れて検出される。これにより、エネルギー受容体の有
無、種類に応じた試料の像が生成される。
【0012】本発明の走査型顕微鏡の試料では、探針で
検出される物質が被観察対象の表面に単分子の厚さ程度
の非常に薄い膜状で形成されていて、表面形状がほぼこ
の膜の凸凹になっている。この膜の凸凹が探針で検出さ
れて表面形状が走査型顕微鏡で観察される。
【0013】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施例に係る走査型光学顕微鏡の
構成が示されている。この走査型光学顕微鏡は、光学
系,駆動系及びこれらの演算制御系とで構成され、試料
110にエネルギー受容体が、探針100にエネルギー
供与体が設けられているものとした一例である。
【0014】光学系は、試料110のエネルギー受容体
(以下、アクセプター)を励起させその発光を検出する
もので、レーザ光源120,光減衰器125,探針10
0,対物レンズ140,光検出器130で構成される。
探針100は、図2のような構造を有し、ホルダ100
d内部の石英チップ100eの先端にはエネルギー供与
体(以下、ドナー)100aで満たされている。この先
端の部分はアルミニウムの膜100cで覆われ、ピンホ
ール100bが設けられている。レーザ光源120はそ
の出力するレーザ光にてドナー100aを励起する。対
物レンズ140は、試料110のアクセプターが励起状
態から基底状態に遷移する際に発する蛍光を集光し、光
検出器130は、この集光された光を分光して検出し検
出信号Siとして出力する。
【0015】駆動系は、演算制御系の制御により試料1
10と探針100との相対的な位置即ち距離を制御する
もので、XYステージ240,XYピエゾアクチュエー
タ230,Zステージ220,Zピエゾアクチュエータ
210で構成される。XYステージ240,Zステージ
220は、内蔵のステップモータにて試料110を3次
元的に移動させ、探針100に対し所定の位置になるよ
うに試料110を動かす。XYピエゾアクチュエータ2
30,Zピエゾアクチュエータ210は、内蔵のピエゾ
素子により試料110の3次元的な微小の位置合わせを
行う。XYステージ240,XYピエゾアクチュエータ
230はXY方向(レーザ光に垂直な面方向)につい
て、Zステージ220,Zピエゾアクチュエータ210
はZ方向(レーザ光に平行に方向)について試料110
を移動させる。これらの動作は、演算装置150の制御
信号により行われる。
【0016】演算制御系は、上述の各部に制御信号を出
力して駆動系及び光学系のレーザ光源120の出力など
を制御するとともに光検出器130から試料110の像
の構築などを行うもので、演算装置150,モニタ16
0,入力部(キーボード,マウスなど)170で構成さ
れる。演算装置150は、検出信号SiをA/D変換し
たディジタルデータに基づいて試料110と探針100
との距離をほぼ一定に保つように駆動系をフィードバッ
ク制御する。このとき、駆動系の補正量が各画素ごとの
データとして用いられ画像を生成してモニタ160に表
示する。
【0017】つぎに、図1の装置を用いた試料の観察及
び装置の動作について説明する。
【0018】まず、アクセプターを含む或いは添加され
た試料110及びこの資料110のアクセプターに対応
するドナーをもつ探針100をセットする。アクセプタ
ー及びドナーは、蛍光を発するものであって、弱い双極
子間相互作用によるエネルギー移動理論に基づいて非放
射的に励起エネルギーがドナーからアクセプターに移動
することがその組み合わせの条件となる。この点に付い
てエネルギー移動理論を用いて説明するとつぎのように
なる。
【0019】エネルギー移動は、励起された分子または
原子から他の分子または原子に励起エネルギーが移動す
る現象を言う。この現象は、さまざまな様式の相互作用
により起こるが、弱い双極子間相互作用によるもので
は、長い距離において働くことと2分子間の距離の6乗
に逆比例すると言う大きな特徴を持つ。エネルギー移動
の速度ktは式(1)で表わされる。この式は、ドナー
の発光とアクセプターの吸収が重なり合う全領域の積分
値を含んでいる。
【0020】
【数1】
【0021】この式(1)から明らかなように、ドナー
の発光とアクセプターの吸収が重なり合う領域があれ
ば、距離の6乗に反比例してエネルギー移動が起こるこ
とを示している。このような関係から、重なり合う領域
のあるドナーとアクセプターであることが用いるための
条件となる。
【0022】試料110について、発明者はつぎのよう
にして被観察対象の表面にアクセプターの単分子膜を形
成して作成した。
【0023】アラキン酸とN,N’−ジオクタデシルロ
ーダミンB(以下、RhB)とを1:1000の割合で
含む10-3Mのクロロホルム溶液を調製し、この溶液を
ラングミュア・ブロジェット法でセ氏8度の純水の水面
上に展開する。RhBの分子は、この水面上に展開し、
20dyn/cm2 の表面圧で被観察対象の表面上に移し取ら
れる。このようにして形成された単分子膜の厚さは約
2.5nmであり、均一に分布している。これを試料1
0とした。この方法は、最も良好に単分子膜を被観察対
象の表面上に形成する方法である。
【0024】探針には、アクセプターよりも短波長側で
光を吸収し、蛍光性があり、アクセプターと吸収スペク
トルに重なりをもつものを用いる。この場合では、コロ
ネン結晶を用いた。RhBは図5に示す吸収スペクトル
を持ち、コロネン結晶は図4に示す蛍光強度分布を持
つ。試料100の蛍光スペクトルは図3のようになる。
【0025】試料110及び探針100のセットを終え
ると、入力部170からつぎの動作の指示で装置の動作
が開始する。演算装置150からの制御信号によって探
針100を試料110に近接させ、探針100が試料1
10表面を2次元的にラスタ走査される。また、レーザ
光源120からのレーザー光が光減衰器125にて減衰
される。そして、この光が探針100に照射され、ドナ
ー100aが励起される。探針100近傍に試料110
のアクセプターがあると、このアクセプターはドナー1
00aによって励起される。アクセプターの状態遷移の
際、蛍光が発生し、この蛍光は、対物レンズ140で集
光されて光検出器130で分光されて検出される。蛍光
は、移動した励起エネルギー即ち励起されたアクセプタ
ーの量に比例し、ドナーとアクセプターの距離が近いと
励起されるアクセプターが多くなる。アクセプターがな
い場合はアクセプターの蛍光が生じず、ドナー100a
からの蛍光が放出される。これらの蛍光の強度が検出信
号Si(i=1,2…)としてそれぞれ出力される。
【0026】演算装置150では、検出信号Siから試
料110と探針100の距離をほぼ一定に保つように駆
動系の動作制御が行われる。蛍光の強度は、前述に式
(1)にあるようにドナーとアクセプターの距離の6乗
に反比例するため、試料110表面までの距離が強調さ
れて検出される。蛍光の強度が大きくなると探針100
から試料110を遠ざけ、強度が小さくなると探針10
0に試料110を近付ける、というZピエゾアクチュエ
ータ210の制御がなされる。これによって試料110
と探針100の距離をほぼ一定に保つようにフィードバ
ック制御がなされ、またX−Y方向にラスタ走査を行っ
ている。このとき、探針100の位置の調節の度合い即
ちZピエゾアクチュエータ210の制御量は、探針10
0のその位置における試料110との距離に対応した値
になっている。この制御量は、探針100の走査ととも
にそのXY位置即ち各画素ごとの輝度信号に置き換えら
れ、試料110の表面形状の画像が構築される。即ち、
試料110の撮像視野全体に1種類のアクセプターが均
一に分布しており、撮像視野の任意の位置で検出される
蛍光強度分布(蛍光スペクトル)を基に駆動系を制御す
ることにより、試料の形状に忠実に駆動系が動作するこ
とになり、すなわちその変位量が形状を示すものとなる
このようにして得られた試料110の表面形状の画像が
モニタ160に表示される。
【0027】入力部170の指示により解像度をかえた
表示が可能になっている。高解像度動作をさせる場合、
光減衰器125の減衰量を増加してドナー100aに与
える光を減少させ、エネルギー移動が起こる範囲で探針
100を試料110に近付け、ラスタ走査の間隔を狭め
る、という制御がなされる。探針100を試料110か
ら近付けることで、式(1)から明らかなように、アク
セプターの蛍光の強度が増加するのであるが、ドナー1
00aに与える光を減少させることで、この増加の補償
がなされ検出器の飽和を抑える。また、励起されるアク
セプターは狭い範囲のものとなり(図6(a))、駆動
系のラスタ走査の間隔を狭めて、コントラストを大きく
している。これによって高解像度の狭い範囲の画像が表
示される。
【0028】低解像度動作をさせる場合、上述の場合と
逆の制御が行われ、励起されるアクセプターは広い範囲
のものとし(図6(b))、ラスタ走査の間隔を広げ
て、低解像度の広い範囲の画像が表示される。
【0029】前述の試料及び探針を用いた結果、試料か
ら赤い発光(波長580nm)が観察された。これは、
コロネンをドナーとし、RhBをアクセプターとして働
いた結果であり、コロネンからRhBへエネルギー移動
が起こった結果である。これによって、試料の表面形状
が観測された。
【0030】また、入力部170の指示により波長特性
も測定することが可能になっている。この場合では、試
料110のアクセプターの種類が複数であったり、ドナ
ーの蛍光が混ざっていてもそれらを波長で区別して検出
される。これによってより精度良く試料の表面形状が観
察される(図7)。
【0031】上述の実施例では、探針にドナー、試料に
アクセプターが存在するような組み合わせによるものを
示したが、エネルギー移動理論を満たすドナーとアクセ
プターの関係ならば、探針にアクセプター、試料にドナ
ーが存在するような組み合わせにしても、同様にして精
度良く試料の表面形状が観察される。
【0032】この場合、試料表面にドナーとなる膜をコ
ートし、撮像視野全域に均一照明(均一な光励起)を施
し、アクセプターを持つ光学探針で各画素毎との凹凸の
情報を読みとり画像構築するような装置になる。この場
合では、試料のドナーがレーザ光源120で光励起さ
れ、この励起エネルギーが探針のアクセプターに移動す
る、というエネルギー移動が起こる。探針のアクセプタ
ーからの蛍光を検出することで試料110と探針100
の距離をほぼ一定に保つように同様の駆動系の動作制御
が行われる。これによって、試料110の表面形状の画
像がモニタ160に表示される。このように、ドナーと
アクセプターのエネルギー移動から相対的な位置関係を
検出することで試料110の表面形状の画像を得ている
ため、選択的に励起光の波長、および探針内のドナー,
アクセプターの種類を決めることにより、蛍光を発する
ことができる試料ならば撮像できる。
【0033】このように、本発明では、観察したい試料
の表面にドナーまたはアクセプターで構成される膜をコ
ートし、光学系を固定させ、試料を2次元的にラスター
走査して探針の移動量を画像表示における輝度情報に置
き換えることにより、試料の画像構築を行っている。こ
れにより、観察したい試料にドナーあるいはアクセプタ
ーのいずれの物質が含まれていても画像化が行えること
を特徴としており、さらに被観察試料を膜でコートする
という工夫により、前記顕微鏡の能力を充分に引き出す
ことが可能となり、試料の表面形状観察が行えるように
なった。特に、光学探針をトレースし、撮像する手段を
用いる検鏡法は、本発明により初めて可能となった。
【0034】また、本発明ではエネルギー移動理論を用
いているため、ドナーの発光遷移モーメントとアクセプ
ターの吸収遷移モーメントのなす角度が重要となるが、
本発明の単分子膜累積法を用いることにより、観察した
い試料表面にドナーあるいはアクセプター分子のいずれ
かを、ある一定方向に並べることでで、明確な表面の凹
凸の情報を得るようになっている。
【0035】前述の従来例で紹介したような一般的な走
査型顕微鏡では、探針からの放射光強度は、試料と探針
との距離の3.7乗に反比例して減少する。一方、本発
明の走査型光学顕微鏡では、エネルギー移動理論による
ものであるため、エネルギー移動効率は6乗に反比例し
て減少する。そのため、実際に画像化を行った場合、試
料と探針とを結ぶ方向即ち光軸方向に感度が敏感なもの
になっている(これはトンネル顕微鏡などでいうところ
の感度に類する)。また、エネルギー移動の方向即ち指
向性も前述の従来例のものよりも鋭く、本発明の走査型
光学顕微鏡に大きな優位性がある。
【0036】また、単にエネルギー移動理論を適用する
だけでは、光軸方向の感度が強すぎる、指向性が強すぎ
る、画像化した際得られる画像が妙に強調されるなどの
問題点が生じることになるのであるが、これらについて
は、演算処理系で適切な制御,画像処理を行うことで解
決されている。
【0037】
【発明の効果】以上の通り本発明の走査型光学顕微鏡に
よれば、試料と探針との距離をほぼ一定に保つように制
御手段にて制御することで、この制御量から試料の像を
得ることができる。この像の分解能は、エネルギー受容
体へエネルギーが伝達される範囲で決められるため、そ
の像に応じたものにすることができ、また、非常に高分
解能にすることができる。
【0038】分光手段をさらに有する場合、エネルギー
受容体の有無、種類に応じた試料の像をが生成されるの
で、より詳細な試料の観察をすることができる。
【0039】また、本発明の走査型顕微鏡の試料によれ
ば、表面形状をほぼ保ちつつ探針で検出される物質の単
分子の厚さ程度に形成されているため、被観察対象が探
針で検出されない物質であっても走査型顕微鏡で観察で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の構成図。
【図2】探針の構成図。
【図3】RhBの蛍光強度分布のグラフ。
【図4】コロネン結晶の蛍光強度分布のグラフ。
【図5】RhBの吸収スペクトル図。
【図6】本実施例においてエネルギー移動の範囲の変化
を示す図。
【図7】光学系の模式図。
【符号の説明】
100…探針、110…試料、120…レーザ光源、1
25…光減衰器、130…光検出器、150…演算装
置、160…モニタ、170…入力部、210…Zピエ
ゾアクチュエータ、220…Zステージ、230…XY
ピエゾアクチュエータ、240…XYステージ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 広司 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松 ホトニクス株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−278014(JP,A) 特開 平3−114126(JP,A) 特開 平1−102342(JP,A) 特開 平5−288993(JP,A) 特開 平5−288995(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起されて一定波長の光を発するエネル
    ギー供与体又はそのエネルギー供与体の発光波長特性と
    同一の波長領域を含む吸収波長特性を有するエネルギー
    受容体のうち一方が備えられた探針と、 前記エネルギー供与体を励起させ、そのエネルギー供与
    体から前記エネルギー受容体へ励起エネルギーを伝達さ
    せる励起手段と、 前記励起エネルギーを受けて励起された前記エネルギー
    受容体が発する光を検出する検出手段と、 前記検出手段で検出される前記光の強度をほぼ一定に保
    つように試料と前記探針との相対的な位置を制御すると
    共に、前記位置の制御量に基づき前記試料の表面形状を
    求める演算制御手段と、を備え、 前記エネルギー供与体又は前記エネルギー受容体のうち
    他方が前記試料の表面に設けられていることを特徴とす
    る走査型光学顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記検出手段は、前記エネルギー受容体
    から発せられる前記光を分光する分光手段を備え、 前記演算制御手段は、前記分光手段により分光された
    の分光分布強度をもとに前記位置を制御して、前記試料
    の表面形状の像を形成することを特徴とする請求項1
    記載の走査型光学顕微鏡。
  3. 【請求項3】 励起されて一定波長の光を発するエネル
    ギー供与体又はそのエネルギー供与体の発光波長特性と
    同一の波長領域を含む吸収波長特性を有するエネルギー
    受容体のうちの一方が設けられた探針を走査することに
    より、被観察対象の状態を観察する走査型顕微鏡に用い
    られる試料であって、 前記探針で検出される物質が前記エネルギー供与体又は
    前記エネルギー受容体のうちの他方であって、単分子の
    膜状として表面に形成されていることを特徴とする走査
    型顕微鏡用試料。
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