JP2588564B2 - ポリプロピレン網状繊維不織布 - Google Patents

ポリプロピレン網状繊維不織布

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JP2588564B2
JP2588564B2 JP63028933A JP2893388A JP2588564B2 JP 2588564 B2 JP2588564 B2 JP 2588564B2 JP 63028933 A JP63028933 A JP 63028933A JP 2893388 A JP2893388 A JP 2893388A JP 2588564 B2 JP2588564 B2 JP 2588564B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は面材料として多くの用途に利用しうる耐熱性
に優れた網状繊維不織布に関する。更に詳しくはポリプ
ロピレン三次元網状繊維から成る加熱寸法安定性と配向
性、厚さ、外観の均一性に優れた不織布に関する。
〔従来の技術〕
三次元に網状にフィブリル化した繊維から成る不織布
は公知である。特に、フラッシュ紡糸法によって製造さ
れる連続網状繊維から成る不織布は特公昭42−19520公
報に開示されている。この不織布は、構造要素である網
状繊維が遊離したフィブリル端がなく異形断面で、比表
面積が大きく、光散乱性に優れ、嵩高性に富み、強度が
高い等の特徴を持っているので、リントフリー性、カバ
ーリング性、強度、及び不織布の特徴である通気性等の
特性を生かした用途に好適である。この種の不織布とし
て、特に直鎖状ポリエチレンから作られた「Tyvek
という商品名の不織布(イー・アイ・デュポン・ニモア
ース・エンド・コンパニー製)が市販されている。
一方鎖状ポリエチレンより耐熱性を必要とする要求に
答える素材として、融点が25〜35℃高いポリプロピレン
(以後PPと略す。)を用いることが考えられる。PPの三
次元網状繊維から成る不織布の具体例は特公昭42−1952
0号公報(実施例9)に開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記特公昭42−19520号公報に開示された実施例で
は、熱接合前の接触接合不織布の引張強さは0.24kg/3cm
幅/50g/m2以上、このシートから取り出した糸は強度0.5
3g/d、X線配向角は50゜である。この接触接合不織布か
ら得られた熱接合不織布は、熱接合前の紡出糸の強度及
びX線配向角から、加熱伸長率が高い、即ち加熱寸法安
定性が低かったことを推定することができる。
ここで言う加熱伸長率とは、不織布にわずかな荷重を
かけて(たとえば450g/mm2程度)加熱する際伸長する量
を表わす。この程度の過重で伸びが発生することは、加
熱加工、たとえば熱固定等の際のロールとの摩擦、ある
いはしわ等平面性不良防止用にかけるテンション等わず
かな荷重により寸法変化が発生しやすいことを意味す
る。
特公昭42−19520号公報に開示されたPPの三次元網状
繊維は、紡糸口金から吐出した繊維を邪魔板等に当てる
方法で開繊糸を得ている。しかしこの方法では高強度
の、すなわち高配向の開繊糸を得ることが困難であっ
た。即ち邪魔板等への衝突によって開繊操作を行う場合
に、糸に裂けが生じ、開繊糸の強度低下を生じ、この開
繊糸から成る不織布の強度低下、外観不良を起し易かっ
た。
また極端な場合は繊維が破断し、短繊維化し、繊維が
散乱状態を呈し、積層シートができない事態が起ること
すらあった。比較的高強度の開繊糸を得ようとする時
は、強度を重視する結果、即ち繊維軸方向への配向性を
重視し、繊維の幅方向へのフラッシュ力の分散を抑える
結果、開繊性の低い遷移しか得られなかった。この場合
には、平面的に配向性の不均一な、また厚さ、目付、白
色度、不透明度等外観の不均一な不織布しかできなかっ
た。
ここで言う開繊とは、単一紡糸口金ノズルから紡出し
た遷移がより細かい単位に、たとえば網状組織を構成す
る1本1本の繊維(フィブリルと称する。)に別れるこ
とを言う。開繊の程度(開繊性)は、自由フィブリル数
及び繊維幅で評価することができる。自由フィブリル数
とは繊維のより細かい単位への別れ具合を示す尺度であ
り、繊維単位量当りの分離している繊維(フィブリル)
数である。自由フィブリル数が大きい程繊維が細かく別
れていることを示す。繊維幅は、単一紡糸口金から紡出
した繊維を、繊維軸と、繊維軸と直角方向に二次元に広
げたときの繊維軸と直角方向への広がりである。繊維幅
は繊維量に比例するので、繊維単位量当りの繊維の広が
りで示し、たとえば20mm/200dのように表示することが
できる。特に自由フィブリル数が小さく、フィブリルが
かたまっていたり、繊維軸方向に裂けが生じ、開繊糸に
穴があいたりする場合を除いては開繊性はおおむね繊維
幅でその高低を判断することができる。
単一のノズルをもつ紡糸口金で、外側に円形の溝を有
するものや溝のないもので紡糸する場合で、特に自由フ
ィブリル数が小さくない場合、紡出したままの繊維の繊
維幅は繊度約150dの繊維で通常最高15mm程度までであ
る。従って、この繊維を積層し、不織布にする時、繊維
と繊維の間の空間を埋めることが困難で、この空間を埋
めようとすれば、繊維量の多い厚手の不織布しかできな
い。また既に述べたように配向性、目付、外観の不均一
な不織布になり易い。配向性、目付及び外観の均一性の
高い不織布を得るためには、繊維幅は繊維量に無関係に
20mm以上が必要で、40mm以上が好ましい。
このように不織布用の繊維は開繊性が重要であり一方
厚さ、目付、外観の均一な不織布を得るためには、開繊
糸を平面的に均一に分散させることが極めて重要なこと
であり、そのために回転あるいは振動する邪魔板に紡糸
口金からの吐出流を当てることが重要である。それにも
かかわらず、既に述べたように高強度糸が得られなかっ
たり、高開繊糸が得られなかったりする。そのために、
USP3,467,744号公報あるいはUSP3,564,088号公報あるい
は特開昭49−42917号公報に開示されているように、紡
糸口金の形状に工夫を凝らせて、たとえば矩形の溝を持
った紡糸口金を用いることにより、丁度衝突によって広
がった繊維のような広幅繊維を得る試みが行われてい
る。このような方法で3g/d程度までの強度(4回/cm程
度の撚りをかけて測定)の広幅の繊維が得られることが
あるが、この方法による開繊糸を、均一な積層体とする
ため分散処理として邪魔板に当てる方法を採ると裂け易
く、あるいは折りたたまれ易く、また衝突力を弱めれ
ば、分散性は低下し、ともに不均一な外観の不織布とな
る。
また、USP3,564,088号公報に開示されているように、
紡糸口金中に複数のノズルを配置し、面状化した場合に
は、異なるノズルから吐出した開繊糸同志が重なり合う
境界の部分で厚膜化し、不織布の流れ方向に筋の入った
不均一な厚さと外観を呈する不織布しか得られなかっ
た。
以上述べた従来の技術の問題点から分るように、本発
明が解決しようとする問題点は、耐熱性が期待されるポ
リプロピレン製の網状繊維不織布において、主として分
子配向性の低さに起因する加熱伸長率の高い点、及び構
成要素である網状繊維の開繊性の低さに由来する面配向
の均一性の低い点、及び厚さ、目付、更に白色度、不透
明度等外観の均一性の低い点である。更に加熱寸法安定
性については、主として繊維の高次構造の秩序性に由来
する熱収縮率の高い点も問題点である。
そこで本発明は加熱伸長率が低く、面配向、厚さ、目
付および外観(白色度、不透明度等)の均一性が良好で
あり、且つ熱収縮率の低いポリプロピレン製の網状繊維
不織布を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の目的は、フラッシュ紡糸によるフィブリル化
されたポリプロピレンの三次元網状繊維からなる不織布
であって、該不織布の断面におけるマイクロ波複屈折が
0.06以上であり、該不織布の平面におけるマイクロ波屈
折率の縦横差が0.02以下であって、かつ不織布のレーザ
ー透過強度変動率が150%以下であることを特徴とする
不織布によって達成される。
前記不織布の断面におけるマイクロ波複屈折が0.06以
上であるとより好ましい。
前記不織布を構成する三次元網状繊維が0.1〜1.0wt%
の開繊剤を含むと好ましく、前記開繊剤が結晶核剤、滑
剤または基剤樹脂以外の結晶性樹脂であるとより好まし
い。
前記不織布の平面におけるマイクロ波複屈折の縦横差
が0.02以下であると好ましい。
前記不織布のレーザー透過強度変動率が150%以下で
あると好ましい。
前記不織布を構成する三次元網状繊維のマイクロ波複
屈折が0.07以上であると好ましく、さらに0.10以上であ
るとより好ましい。又前記三次元網状繊維の長周期散乱
強度比が5以上であると好ましく、さらに15以上である
とより好ましい。
以下本発明のポリプロピレンの三次元網状繊維から成
る不織布について詳細説明する。
本発明の不織布は、前述のようにフィブリル化された
ポリプロピレンの三次元網状繊維から成る不織布であっ
て0.06以上の断面におけるマイクロ波複屈折を有するこ
とを特徴とする。
本発明者等は、ポリプロピレン三次元網状繊維から成
る不織布に於て、加熱寸法安定性の内の加熱伸長性が断
面におけるマイクロ波複屈折と相関があることを見出
し、本発明の不織布を得るに至った。即ち、断面におけ
るマイクロ波複屈折が0.06以上であれば、加熱伸長率が
低く、不織布が加熱雰囲気に曝露された時、わずかな引
張荷重で寸法が変動する問題点が解消する。前記マイク
ロ波複屈折が0.09以上であるとより好ましい。
マイクロ波屈折率とはマイクロ波領域(周波数0.3GHz
〜30GHz)の電磁波によって測定される屈折率である。
ここに云う断面におけるマイクロ波複屈折率ΔnSと略
す)とは、不織布の断面における縦方向または横方向の
マイクロ波屈折率(各々nS・MD,nS・TDと略す)と、
厚さ方向のマイクロ波屈折率(nrと略す)の差から求め
たマイクロ波複屈折(ΔnS・MD=nS・MD−nrまたは
ΔnS・TD=nS・TD−nr)の内小さい方のマイクロ波
複屈折と定義する。
不織布の縦方向(MD)とは不織布の製造時の流れ方向
であり、横方向(TD)はそれと直角の方向である。
断面に於けるマイクロ波複屈折が0.06以上であれば、
100℃に於ける加熱伸長率は約15%以下である。不織布
の場合、100℃での加熱伸長率が約15%以下であれば加
熱時寸法変化による問題発生の懸念がない。
断面におけるマイクロ波複屈折0.06未満では、加熱伸
長率は著しく高くなり好ましくない。
PPの三次元網状繊維から成る不織布において、断面に
おけるマイクロ波複屈折は、構成する三次元網状繊維の
分子配向性、不織布断面中の繊維の配向性、接合時の温
度、圧力等に影響を受ける。断面におけるマイクロ波複
屈折は、構成する三次元網状繊維の分子配向性が高い
程、また不織布断面中の繊維の配向が高い程、高い。ま
た、三次元網状繊維積層ウェブ接合時の温度、圧力があ
るレベルまでは高い程断面におけるマイクロ波複屈折は
高くなる傾向である。たとえば、加熱された金属ロール
とゴムロールの間を通して(高圧下でプレス)接合した
不織布は、フェルトカレンダーで接合した(低圧下でプ
レス)不織布に比べて断面におけるマイクロ波複屈折は
大きい。また、加熱金属ロールとゴムロールの間で等し
いプレス圧で接合しても、金属ロールの温度が高い場合
の方が断面におけるマイクロ波複屈折は大きい傾向であ
る。
このように断面におけるマイクロ波複屈折はいくつか
の因子に影響を受けるが、特に不織布としての通常の使
用に耐えない程の接合の場合等を除いては、マイクロ波
複屈折と加熱伸長率はよい相関を示すことが見出され
る。
次に本発明の不織布は、面の配向性が高い特徴がある
だけでなく、面の配向の均一性、厚さ、目付、及び白色
度、不透明度等外観の均一性が高い特徴がある。その特
徴を与えるには、不織布を構成する三次元網状繊維に開
繊剤を0.1〜10wt%含ませて、開繊性を改善するのが好
ましい。
開繊剤とは、紡出前のPP溶液に混合し、紡糸口金から
吐出した高速繊維流を衝突板に当てる際に、開繊効果が
発揮されるものを言う。
自由フィブリル数が約150本/50d以上、繊維幅が約20m
m/100d以上である場合に開繊効果があると定義する。
開繊性(自由フィブリル数及び繊維幅)はPP溶液のポ
リマー濃度に依存し、濃度が高ければこれらの値は低下
する傾向を有するので、ここで定義した値はアイソタク
チックポリプロピレン濃度9wt%で調べたときの値であ
る。繊維幅の測定の際に繊維幅の50%以上の幅でフィブ
リルが観測されない場合は、すなわち、裂けや穴あきが
観測される場合は裂けあるいは穴あきで開繊性不良と判
定される。
繊維に開繊剤を0.1〜10wt%含ませると、分散可能な
衝突板への衝突による開繊によって、45mm/150dもの繊
維幅が得られる。少なくとも20mm以上の開繊幅が得られ
る。このような繊維により面の配向の均一性が与えられ
る。また、配向だけでなく、目付、厚さ、外観の均一性
も高いものとなる。従って、薄目付の、厚さの薄い不織
布を作ることが可能となる。
開繊剤の添加量が1.1wt%未満では開繊効果が低く好
ましくなく、10wt%より多い場合は、繊維に裂けや穴あ
きの発生が著しくなり不適である。添加量は好ましくは
0.3〜25wt%である。
開繊剤の含有量の測定は、開繊剤の種類に応じて適正
な方法で行われる。たとえば、特定の金属元素を一定組
成で含有する開繊剤であれば、その特定金属元素の定量
分析により、また、特定の赤外線吸収が存在する場合に
は、赤外吸収スペクトル法による定量分析等が使われ
る。
開繊剤は結晶核剤または滑剤、または基剤樹脂以外の
結晶性樹脂であることが好ましい。たとえば、結晶核剤
には、有機リン酸塩、有機カルボン酸塩、ソルビトール
誘導体、無機粉体、顔料等があり、滑剤には脂肪族炭化
水素類、脂肪酸類、脂肪酸塩類、高級脂肪酸アルコール
類、脂肪酸アマイド類、脂肪酸エステル類、金属石けん
類等がある。結晶性ポリマーとしては、ポリアミド樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチ
レンテレフタレート樹脂等がある。
たとえば、結晶核剤では、ヒドロキシ−ジ(ターシャ
リ−ブチル安息香酸)アルミニウム、p−ターシャリ−
ブチル安息香酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、1,3,
2,4−ジパラメチル−ジベンジリデンソルビトール、1,3
−パラクロル−ジベンジリデン−2,4−パラメチル−ベ
ンジリデン−ソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデン
ソルビトール、フェニルフォスフォン酸ナトリウム、タ
ルク等が好ましく、滑剤では、ステアリン酸アマイド、
パルミチン酸アマイド、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸亜鉛、ステアリン酸、パルミチン酸等が好まし
い。基剤樹脂以外の結晶性樹脂としては、高密度ポリエ
チレン、ポリカプラミド、ポリブチレンテレフタレート
等が好ましい。
市販されているポリプロピレンの場合、酸化防止剤を
初めとして、紫外線吸収剤、滑剤、充填剤、核剤、帯電
防止剤等の添加剤が、通常2〜3種類、目的に応じて0.
05〜0.5wt%程度添加されている。従って、市販のアイ
ソタクチックポリプロピレン樹脂だけの使用が考えられ
るが、効果が認められないことが多い。これは、開繊効
果の高い添加剤が含有されている場合が少ないし、含有
されていても添加量が0.1wt%未満で少ないことが多い
からである。まして開繊性と加熱寸法安定性を同時に満
足させることのできる市販の樹脂はほとんど見当たらな
いと言ってよい。従って市販の樹脂に、添加剤の開繊性
能に応じて添加量を選択し、添加するのが好ましい。
次に更に好ましい本発明の不織布は、断面におけるマ
イクロ波複屈折が特定値を有し、更に開繊剤を含ませた
三次元網状繊維から成り、更に、0.02以下の平面におけ
るマイクロ波屈折率縦横差を有することを特徴とし、更
に150%以下のレーザー透過強度変動率を有することを
特徴とする。
平面におけるマイクロ波屈折率縦横差(ΔnP)とは、
不織布の面に垂直方向からマイクロ波を照射して測定す
る平面におけるマイクロ屈折率において、マイクロ波の
偏波方向によって計測される縦方向(MD)のマイクロ波
屈折率(nMD)と横方向(TD)のマイクロ波屈折率
(nTD)の差(ΔnP=|nMD−nTD|)である。
平面におけるマイクロ波屈折率縦横差が0.02以下であ
ることによって、平面における配向が均一であることが
示されている。この値を対応する方向の機械的強度比が
対比させると、引張強度比では約1.6倍以下に相当す
る。ΔnPは好ましくは0.01以下であり、この値は引張強
度比では約1.3以下に相当する。更に好ましくはΔnP
0.005以下であり、引張強度比では約1.15以下となり、
平面上の配向の均一性は極めて良い。
次にレーザー透過強度変動率によって不織布の横方向
の微視的な斑が判定できるが、本発明の不織布はその値
が150%以下であり、微視的な均一性にも優れる。
従来のポリプロピレン三次元網状繊維から作られる不
織布ではレーザー透過強度変動率は150%を越える。本
発明に於ては好ましくは100%以下、更に好ましくは50
%以下である。開繊剤を繊維に含ませることにより、衝
突により高い開繊性の三次元網状繊維が製造されること
によってこの微視的な斑の少ない不織布を作ることが可
能となった。
次に本発明の不織布は好ましくは構成する繊維が次に
述べる特性を有した不織布である。
構成する三次元網状繊維のマイクロ波複屈折が0.07以
上、更に好ましくは0.10以上であれば、加熱伸長率の低
い不織布となる。即ち加熱伸長率は100℃で約15%以
下、更に約10%以下である。
繊維のマイクロ波複屈折は、繊維軸方向の屈折率と繊
維軸と直角方向の屈折率の差である。
更に、構成する三次元網状繊維の長周期散乱強度比が
5以上、更に好ましくは15以上であれば、熱収縮率の低
い不織布となる。即ち、各々熱収縮率は約5%以下、更
に約2.5%以下である。
本発明の不織布におけるオートクレーブ中で水蒸気中
135℃で30分間放置した時の収縮率は、2%以下、好ま
しくは0.5%以下であり、表面の平滑性が変わらず耐熱
性に極めて優れる。これに対して、高密度ポリエチレン
の三次元網状繊維から成る熱接合不織布の場合、収縮率
は10%以上、表面には大きな凹凸が発生する。このよう
に本発明のポリプロピレン製の三次元網状繊維から成る
不織布は加熱寸法安定性に優れる。
これらの繊維特性は、開繊糸積層不織布の熱接合が緩
やかに行われ、不織布内部から繊維が取り出せる場合に
評価することができる。
本発明の不織布を構成するポリプロピレン三次元網状
繊維はたとえば本願出願人が63年1月7日に出願した
「ポリプロピレン高開繊網状繊維及びその製造方法」に
よって製造することができる。
その方法によって製造されたポリプロピレン三次元網
状繊維は、前記開繊剤およびその含有量、マイクロ波複
屈折、長周期散乱強度比、開繊度(自由フィブリル数及
び繊維幅)について特定値を有しているが、他にX線回
折による配向角、110面からの回折ピークの半価幅、長
周期、動的粘弾性、見かけの密度、比表面積等について
特定の値を有する。
たとえばX線回折による配向角は約35゜以下であり、
好ましくは30゜以下である。X線回折による110面から
の回折ピークの半価幅は約2.6゜以下である。長周期は7
5Å以上140Å以下である。動的弾性率5.0×109dyne/cm2
を保持する最高温度をみると、マイクロ波複屈折が0.07
以上の場合に約60℃以上、好ましい0.10以上の場合に10
0℃以上を示す。マイクロ波複屈折が0.07でこの温度は
急激に上昇する。見かけの密度は、0.895g/cm3以上であ
り、多くは0.900g/cm3以上である。比表面積は約2m2/g
〜30m2/gである。
従って、これらの特性を有した開繊糸を積層させて作
った不織布には、これらの特性が反映される。
次に本発明の不織布の製造方法とそれに対応して得ら
れる不織布の具体的なタイプを説明する。
構成する三次元網状繊維は、既に述べた方法で得られ
る。
開繊糸を平面的に均一に分散させ、繊維の堆積物とす
る方法は、USP3,456,156号公報に示されているような、
開繊用も兼ねた回転分散板、繊維の積層の安定化を図る
コロナ放電装置、及び移動するネットコンベアを用い
て、行うことができる。即ち、紡糸口金から吐出した吐
出ジェットを回転分散板に当て、繊維を開繊させると同
時に、繊維を分散し、電荷を与え、ネットコンベア上に
シート上に積層させる。この繊維積層シートを一組のニ
ップロール等を用いて、軽く圧着し、接触接合不織布と
する。
接触接合不織布においても、本発明の要件を満足する
不織布は得られ、フィルター、吸着剤、吸油シート、ワ
イパー、エレクトレットシート、マスク、断熱材、保温
材クリーン、ふとん綿等多くの用途がある。
更に、機械的強度と耐摩耗性、耐毛羽立ち性等表面安
定性を与え、有用な不織布とするために、接触接合不織
布の積層繊維を強固に接合する。接合する方法は接着剤
を用いる方法、加熱による方法あるいはニードルパンチ
や高速水流による繊維の交絡による方法等いずれも使う
ことができる。しかし、加熱による接合法が簡便であ
る。
即ち、ロールを用いる熱ロールプレス法、ロールカレ
ンダー法、フェルトカレンダー法等で行うことができ
る。温度、加熱時間、プレス圧力、ロール表面等を種々
変えることにより、繊維の接着の程度、接着の形状、表
面の模様等を変えることができ、種々の外観、機械的強
度、透気度等物性の異なる不織布を作ることができる。
このようにして作られた本発明のポリプロピレン網状
繊維熱接合不織布は、加熱伸長率が100℃で約15%以
下、好ましくは約10%以下、熱収縮率は熱接合の条件、
即ち温度、加熱時間、圧力等によるが、約−2〜約4.0
%程度である。
なお、接触接合不織布の熱収縮率は約2.0〜約5.0%で
あり、熱接合すれば、熱収縮率を更に低下させることが
できる。構成されている三次元網状繊維の長周期散乱強
度比は加熱される前より大きくなる。
熱接合され、表面の耐摩耗性を上げた不織布に於いて
も、不織布の内部から未融着で独立した網状形態を成し
た繊維が独立に取り出せる場合が多い。特にエンボスロ
ールでポイント状に熱接合した場合、あるいは熱接合し
た不織布を柔軟加工した不織布等で不織布を構成してい
る三次元網状繊維が採取できる。このようなタイプの不
織布を構成している三次元網状繊維の特性を調べること
ができる。
本発明による代表的なPP網状繊維熱接合不織布の既に
述べた特性以外の特性を下記に示す。ただし本発明のポ
リプロピレン網状繊維不織布がこれら数値によって限定
されるものではない。
◎目付 15〜200g/m2 好ましくは20〜120g/m2 ◎厚さ 0.05〜1.0mm 好ましくは0.07〜0.5mm ◎引張強度 2〜13kg/3cm幅50g/m2 好ましくは5kg/3cm
幅50g/m2以上 ◎引張伸度 10〜40% ◎引張強度の縦横比 0.6〜1.6 好ましくは0.8〜1.3 ◎引裂強力(エレメンドルフ) 0.05〜1.0kg/50g/m2
好ましくは0.2kg/50g/m2以上 ◎耐水性 200〜3000mmH2O/50g/m2 ◎透気度(ガーレ式) 1〜1000sec/100cc ◎白色度 85〜96% ◎不透明度 80〜97% ◎レーザー透過率 0.2〜0.6% ◎均一性レーザー透過強度変動率 40〜150% 熱接合不織布を更に種々の後加工を施し、たとえば、
コロナ放電処理、帯電防止処理、親水化処理、柔軟加
工、穿孔加工、ラミネート加工等を行うことにより、種
々の用途への適性を持たせることが可能となる。
前述のように本発明によるポリプロピレン網状繊維不
織布は加熱伸長率、熱収縮率、機械的特性および面配
向、厚さ、目付および外観の均一性について優れた性能
を有するので下記のような用途に有用である。
無塵衣、無菌衣、防護(安全)衣、手術衣、作業衣
(特殊化学作業、原子力作業、アスベスト清掃作業)、
カジュアルウェア、簡易衣料、エプロン、手袋、帽子、
生理用ショーツ、簡易レインコート、オムツカバー、中
入れ綿、滅菌包装材、鮮度保持剤包装材(生花、野菜、
果物包装)、乾燥剤包装材(防湿材包装材)、発熱材包
装材、通気包装材、書類保存袋、封筒、各種袋物(バッ
ク、小物入れ)、フロッピーディスクエンベロープ、滅
菌紙(オートクレーブ殺菌用)、含振紙、吸着紙(防錆
紙、芳香紙、脱臭紙、防虫紙、防蟻紙、防蝕紙)、家具
用紙、内装紙、耐水紙、記録紙(感熱紙、インクジェッ
ト紙、静電記録紙)、超軽量紙、FPR用紙、合成紙、ラ
ベル、タッグ、ポスター、カタログ、パンフット、看
板、地図、ブックカバー、工程表、垂れ幕、和紙代替用
品、シーツ、マスク、カバー、ワイパー、電池セパレー
タ、エレクトレットシート、フィルター、ライナー材、
テープ基材、断熱保温材、断熱裏地、カーペット裏面
紙、緩衝材、クリーンルーム用品(無塵ノート)、衛生
材、透湿壁材、屋根下材、天井材、型枠テキスタイルフ
ォーム、農業用資材(ハウスカーテン、反射シート)。
次に本発明において用いられる、既に説明した物性値
以外の各種物性値の定義および測定方法を下記に一括し
て示す。
不織布断面におけるマイクロ波複屈折は次のような方
法で測定した。たとえば縦方向と厚さ方向の屈折率の差
からマイクロ波複屈折を求めようとする時は、不織布の
方向を一致させて不織布を重ね合わせ、測定用サンプル
の厚みに相当する間隔で縦方向に切断し、断面を上下面
とするシート状物を得る。実際に測定に用いたサンプル
の大きさは、長さ即ち不織布のMD方向75mm、幅即ち不織
布の厚さ方向10mm、厚さ即ち不織布のTD方向1mmとす
る。この断面に垂直にマイクロ波を照射し、マイクロ波
の偏波方向から縦方向とそれと直角方向、即ち厚み方向
の屈折率を求める、この差が断面における縦方向の複屈
折である。マイクロ波複屈折算出用にサンプルの実質厚
み(ポリマー成分だけの厚み)が必要であるが、測定用
サンプルの重量を測定し、サンプルの幅と密度とから算
出した。
繊維の場合の試料は、ホルダーに繊維を幅10mm、長さ
は必要長さで75mm、実質厚さ約100μmになるように引
きそろえて作った。マイクロ波複屈折算出用に必要な実
質厚みは、繊維本数、繊度、密度から算出した。密度
は、トルエンとクロルベンゼンから成る密度勾配管によ
り測定した値を用いた。
測定器としてマイクロ波分子配向計MOA−2001A(神崎
製紙(株)製)を用いて、周波数4GHzで測定した。
平面におけるマイクロ波屈折率の縦横差は、サンプル
の有効径75mmφで測定した。
加熱伸長率は、熱機械分析装置TMA−40(島津製作所
(株)製)を用いて、昇温速度5℃/minで30℃〜170℃
の間で測定した。引張荷重は、サンプルの重量を測定
し、ポリマー断面に対して、不織布の場合405g/mm2をか
けた。サンプルは幅0.5〜1.0mmで、チャック間2〜4mm
で測定した。繊維の場合、繊度を測定し、デニール単位
をgf単位とし、その10%の引張荷重(約810gf/mm2の荷
重)をかけて測定した。
熱収縮率は、熱風の循環するオーブン中、145℃、20
分間、無拘束で放置して測定した。
長周期散乱強度比はX線小角散乱から求めた長周期の
散乱強度を散乱強度曲線のベースラインの散乱強度で除
した値である。
X線小角散乱は、回転対陰極式強力X線発生装置ロー
タフレックスRU−200Aを用いた小角散乱装置に位置敏感
型比例計数管(PSPC)及びマルチチャンネルパルスアナ
ライザー(理学電機(株)製)を付加して用いて、CuK
α線で子午線方向の散乱強度を測定した。
管電圧は50kV、管電流は200mA、スリットは第1、第
2スリットとも0.2mm幅で3mm長さである。試料からPSPC
の距離は約1170mmである。
長周期は、散乱強度曲線のピーク又はショルダーの位
置(極大散乱強度を示す位置)から求めた。長周期散乱
強度は長周期を示す散乱強度曲線と、長周期散乱をはさ
む曲線の共通接線との間の散乱強度から求め、それを曲
線のベースライン(回折角2θ=2.1〜2.4゜の位置)の
散乱強度で除して長周期散乱強度比とした。X線小角散
乱は、空気散乱の補正を行った。空気散乱の補正を行わ
ない場合は長周期散乱強度比が小さく求まるので注意を
要する。
繊維の自由フィブリル数は、対物レンス1.6倍、接眼
レンズ10倍の顕微鏡を用いて、繊維幅方向に視野を移動
させながら、分離している繊維(フィブリル)の数を計
数した。観測倍率を上げれば、自由フィブリル数が増加
する傾向である。
繊維幅は、開繊操作後開繊状態の繊維を目の粗い(10
メッシュ程度の)ネットで受けて、測定した。また、ネ
ットで受けなかった場合は、120mm以上の長さの繊維を
横にして、側端を垂直板にピンで止め、20mm長さ間隔で
もう一方の側端に繊維の網状構造が破れない範囲で最大
の(約0.1g程度)重りを7ケ付けてつるし、両端を除い
た内側の重りの下げてある5ケ所の繊維幅を測定し、平
均値を求めた。このようにして測定した繊維幅は、ネッ
トで開繊糸を受けて測定した数値と変わらなかった。
不織布及び繊維の引張強力・伸度は、インストロン型
の引張試験器でチャック間100mm、引張速度200mm/minで
測定した。繊維の場合は、8回/cmの撚りを与え測定し
た。
開繊糸の場合ではマイクロ波複屈折、長周期散乱強
度、熱機械分析、熱収縮率、動的粘弾性、広角X線回折
は、繊維を、繊維軸と直角方向に広げたままでなく、繊
維軸に収束させて測定した。繊維の繊度及び長さの測定
は、繊度(d)をgf単位化し、その10%の引張荷重を繊
維にかけて測定した。
X線回折による配向角は、結晶面110面からの回折角
(2θ=14.2〜14.8゜、θ=ブラッグ角)において、照
射X線と試料が垂直となる面内で試料を回転させて測定
した回折ピークの半価幅である。X線回折装置は、回転
対陰極形超強力X線装置(理学電機(株)製、RAD−γ
A型CuKα線)を用いた。また、110面からの回折ピーク
の半価幅は、該ピークが2θ=16.5〜16.8゜の回折ピー
ク(040面からの回折ピーク)と高回折角側で重なるの
で、110面からの回折ピークから下した垂線と低回折角
側の回折線との間の半価幅を求め、この値を2倍にして
求めた。
繊維の動的粘弾性の測定は、自動動的粘弾性測定器RH
EOVIBRON DDV−II−EA(東洋ボールドウィン(株)製)
を用いて、周波数110kHz、昇温速度2℃/分で測定し
た。
見かけの密度は、トルエンとクロルベンゼンから成る
密度勾配管を用いて、25℃で測定した。
比表面積はアムコ(株)販売ソープティ1750を用いて
測定した。
不織布の厚さは10mmφの測定端子を持つダイヤルゲー
ジで測定した。(測定端子の接圧10g/cm2) 引裂強力は、エレメンドルフ引裂試験機で測定した。
縦の強力は横方向から切れ目を入れて測定した値であ
り、横の強力は縦方向から切れ目を入れて測定した値で
ある。
耐水圧はJIS L1092に従って測定した。
ガーレ式透気度は、B型ガーレ式デンソメーターで測
定した。
白色度はJIS P8123に従って測定した。
不透明度はJIS P8138に従って測定した。
レーザー透過強度は、暗室中でレーザー光強度5mW、
ビーム径2.5mmφのHe−Neレーザー光(波長6328Å)を
不織布に照射し、不織布を透過するレーザー光の強度を
パワーメーターで測定したものである。レーザー透過強
度の変動範囲とは、レーザー光の照射を不織布の横方向
(TD)に連続的に行い、透過強度の最大値から最小値を
減じた値である。レーザー透過強度変動率とはレーザー
透過強度の変動範囲をレーザー透過強度の平均値で除し
た値である。レーザー透過率はレーザー透過強度を入射
光の強度で除した値である。
溶融紡糸法で得られるPP長繊維不織布のレーザー透過
率は、50g/m2のもので、5.2%、レーザー透過強度変動
率は160%程度であり、本発明の不織布のカバーリング
性と外観の均一性の高さが分る。
〔実施例〕
次に本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1 スクリュー押出機、溶媒導入管部、混合管部、減圧
室、紡糸口金が連続しているポリマー溶液調整・紡出装
置を用いて、添加剤ヒドロキシ−ジ(ターシャリ−ブチ
ル安息香酸)アルミニウム(以後Al−PTBBAと略す)0.5
PHRを含むMFR2.2のアイソタクチックポリプロピレンチ
ップをスクリュー押出機にかけ、溶融押出し、一方フロ
ン−11を高圧定量ポンプで溶媒導入管部に導入、混合管
部で均一溶液にした。この溶液を減圧室、紡糸口金を通
して吐出させ、紡糸口金から約20mm離れた位置で、USP
3,456,156号公報に示されている回転分散板と同種の、
3つの畝を持った回転分散板(回転数1500回転/min)に
当て、開繊した三次元網状繊維にするとともに、ネット
コンベア進行方向とおおよそ直角方向に繊維を分散し、
コロナ放電により電荷を与え、7.2m/minで移動するネッ
トコンベア上に開繊糸を堆積させた。堆積シートはネッ
トコンベアを離れた直後、金属ロールとゴムロールの間
で軽く押え、接触接合不織布にし、巻取った。
減圧室の減圧オリフィスは、0.2mmφ、長さ5mm、減圧
室の容量は約3cm3のものを用いた。紡糸口金は、減圧室
からノズル孔への導入角度60゜、ノズル孔径0.7mmφ、
長さ0.7mmであり、外側にノズル孔を中心として4.3mm
φ、深さ3.6mmの円形の溝を有する。溶液押出量は1460g
/分、ポリマー濃度は10.4wt%、溶液温度、圧力は混合
部で210℃、263kg/cm2G、減圧室で206℃、60kg/cm2Gで
ある。溶液の紡糸装置内での滞留時間は約3分とした。
接触接合不織布から得られた開繊糸は、繊度166d、自
由フィブリル数は578本、繊維幅45mmの網状繊維であっ
た。Al−PTBBAは、Alの定量分析(プラズマ発光分析)
から0.42wt%含まれていた。MFRは5.6であった。マイク
ロ波複屈折は0.102、長周期散乱強度比は14であった。
長周期は90Åであった。加熱伸長率は100℃で3.5%、13
0℃で5.7%であった。熱収率率は3.8%であった。強伸
度は紡出したままの状態で、1.1g/d、30%、8回/cm撚
った状態で3.1g/d、38%であった。X線配向角は30゜で
あった。
接触接合不織布を金属表面ロールとゴムロールの間
で、第1回目のプレスを金属表面ロール温度146℃、線
圧10kg/cmで速度10m/minで行い、金属ロールに接触する
面を変えて第2回目のプレスを、金属表面ロール温度14
8℃、線圧15kg/cmで行い、熱接合不織布を得た。
このようにして得たポリプロピレン網状繊維不織布
は、断面におけるマイクロ波複屈折は0.091で、高配向
シートとなっており、平面におけるマイクロ波屈折率の
縦横差は0.007であり、面の配向均一性が高かった。加
熱伸長率はサンプル幅0.5mm幅で測定し、100℃で縦方向
8.4%、横方向6.6%、130℃で縦方向14.5%、横方向12.
0%であった。熱収縮率は縦が2.1%、横が1.2%であっ
た。
得られた不織布のその他の物性を以下に記す。
目付 48.2g/m2 厚さ 0.16mm 引長強度 縦7.9kg/3cm巾 横8.9kg/3cm巾 引長強力の縦/横 0.89 引長伸び 縦23% 横28% 引裂強力(エレメンドルフ) 縦0.14kg 横0.17kg 耐水圧 2200mm水柱 透気度(ガーレ式) 210sec/100cc 白色度 93% 不透明度 92% レーザー透過率 0.36% 均一性レーザー透過強度変動率 85% 横方向(TD)に対するレーザー透過強度の変動を第1
(a)図に示す。第1(b)図は開繊剤を含有しない原
料を用いて、実施例と同様の紡糸、ウェブ化、熱接合を
行って得た不織布のレーザー透過強度の変動を示す。そ
の変動率は191%で、繊維の開繊性が低いために、微視
的な斑が著しく発生した。
実施例2,3 ポリマーチップとして、添加剤1,3,2,4−ジパラメチ
ル−ジベンジリデンソルビトール0.5 PHRを含む、MFR
2.8のアイソタクチックポリプロピレニンチップを用い
て、実施例1と同じ装置を用いて紡糸、開繊、分散、開
繊糸の積層を行い、接触接合不織布を得た。
紡糸において、溶液押出量は、1480g/分、ポリマー濃
度は10.8wt%、溶液温度、圧力は混合部で211℃、240kg
/cm2G、減圧室で209℃、70kg/cm2Gであった。
接触接合不織布を2種の条件で熱接合し、表面の安定
な不織布を得た。接合条件とともに得られた不織布の物
性を第1表に示す。なお、熱接合不織布中に添加剤の1,
3,2,4−ジパラメチル−ジベンジリデンソルビトール
が、0.47wt%含まれていた(PMDBS含有量は、繊維を集
めてプレスし、フィルムにして赤外線吸収スペクトル分
析し、予め作成しておいた検量線を利用して求めた)。
断面におけるマイクロ波複屈折は0.06以上で、面の高配
向性を示し、平面におけるマイクロ波屈折率縦横差はき
わめて小さく、平面における配向の均一性が高いことを
示している。熱収縮率と加熱伸長率は低く、加熱寸法安
定性が高い。
第2図に実施例3不織布を長手方向に切断して得た断
面の顕微鏡写真を示す。
実施例4 原料として、添加剤1,3−パルクロル−ジベンジリデ
ン−2,4−パラメチル−ジベンジリデンソルビトール0.5
PHRを含む、MFR 3.0のアイソタクチックポリプロピレ
ンチップを用いて、実施例1と同じ装置を用いて、紡
糸、分散、開繊糸の積層を行い、接触接合不織布を得
た。
紡糸において、溶液吐出量は1360g/分、ポリマー濃度
は、10.1wt%、溶液温度、圧力は混合部で205℃、236kg
/cm2G、減圧室で209℃、69kg/cm2Gであった。
この接触接合布をフェルトカレンダーに2回通し、表
面の剥離性のない熱接合不織布を得た。フェルトカレン
ダーのロール温度は、160℃、ロール面圧は20g/cm2、ロ
ール速度は25m/分であった。
得られたPP網状繊維不織布は、目付52.8g/m2、厚み0.
30mm、密度0.17g/cm3で、断面におけるマイクロ波複屈
折は0.064、平面におけるマイクロ波屈折率の縦横差は
0.008であり、配向の均一性に優れていた。不透明度は9
2%で、カバーリング性も高かった。ガーレ透気度は1.5
sec/100ccで、網状繊維不織布としては比較的透気性の
良い不織布に仕上った。又、加熱伸長率は100℃で14.7
%であった。
比較例1 実施例1のポリマーチップを用いて、オートクレーブ
及び紡糸口金ノズルの外面がフラットである紡糸口金を
用いて、減圧室圧力条件を適性条件から低圧側へずらせ
て紡糸して、(ノズル径0.65mmφ、オリフィス0.7mm
φ、ポリマー濃度10.4wt%、減圧室内温度・圧力210
℃、50kg/cm2G)繊度193dn、繊維幅16mm、マイクロ波複
屈折0.061のポリプロピレン三次元網状繊維を得た。こ
の繊維を平面上45゜ずらせて重ね、約50gg/m2の積層シ
ートを得て、実施例3で用いたと同じ、フェルトカレン
ダーでプレスし、熱接合不織布を得た。この不織布の断
面におけるマイクロ波複屈折は0.059であった。
また加熱伸長率は100℃で20%以上で加熱寸法安定性
が悪かった。
〔発明の効果〕
本発明によるPP網状繊維不織布は、加熱雰囲気での寸
法安定性が高い。即ち、加熱伸長率及び熱収縮率が低
い。従って、熱接合、熱処理、加熱のある二次加工等の
際、変形によるトラブルが防止でき、安定に処理でき
る。
面の配向均一性が高く、方向性がないので各用途で使
い易い。また、厚さ、目付、外観の均一性に優れる。
また高密度ポリエチレン製の網状繊維不織布に比べ
て、耐熱性が高い。また、取扱い中に変形による音を発
生しにくい点、変形に対する回復力に優れる点も特徴で
ある。
又溶融紡糸法によって作られるポリプロピレンスパン
ボンド不織布に比べて、カバーリング性が高いのも特徴
である。かくして従来のスパンボンド法不織布の強さと
フラッシュ紡糸網状繊維不織布の特徴を兼備した不織布
であり、多くの用途に利用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、不織布の横方向(TD)に対応するレーザー透
過強度を示すグラフである。第1図(a)は本願実施例
のグラフであり、第1図(b)は比較例のグラフであ
る。第2図は本願実施例不織布の断面における繊維の集
合形状を示す顕微鏡写真である。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フラッシュ紡糸によるフィブリル化された
    ポリプロピレンの三次元網状繊維からなる不織布であっ
    て、該不織布の断面におけるマイクロ波複屈折が0.06以
    上であり、該不織布の平面におけるマイクロ波屈折率の
    縦横差が0.02以下であって、かつ不織布のレーザー透過
    強度変動率が150%以下であることを特徴とする不織
    布。
  2. 【請求項2】断面におけるマイクロ波複屈折が0.09以上
    である特徴とする請求項1記載の不織布。
  3. 【請求項3】三次元網状繊維が0.1〜10wt%の開繊剤を
    含むことを特徴とする請求項1又は2記載の不織布。
  4. 【請求項4】三次元網状繊維のマイクロ波複屈折が0.07
    以上であることを特徴とする請求項1から3の何れかの
    請求項に記載された不織布。
  5. 【請求項5】三次元網状繊維のマイクロ波複屈折が0.01
    以上であることを特徴とする請求項1から3の何れかの
    請求項に記載された不織布。
  6. 【請求項6】三次元網状繊維の長周期散乱強度比が5以
    上であることを特徴とする請求項1又は3記載の不織
    布。
  7. 【請求項7】三次元網状繊維の長周期散乱強度比が10以
    上であることを特徴とする請求項5又は6記載の不織
    布。
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