JP2587146Y2 - 電子スピン共鳴用コイル装置 - Google Patents
電子スピン共鳴用コイル装置Info
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Description
下、「ESR」という。)用コイル装置に係り、特に、
Lバンド領域(マイクロ波掃引周波数が1GHz以下の
周波数領域)におけるESR信号の3次元イメージング
を可能にするコイル装置に関するものである。
種が老化や発癌、あるいは生体防御等生体内の多くの現
象と深く関与していることが指摘され、生体内フリーラ
ジカルをin vivo計測によって3次元イメージン
グ化する技術が望まれるようになっている。
XーバンドESR装置をベースとしたコイル装置が開発
されている。かかるコイル装置は、3次元の直線磁場勾
配を得るための磁場勾配コイルを共振器と主コイル間に
配設した構成とされ、この構成のもとに、磁場勾配コイ
ルの電流を制御して磁場勾配を変化させるとともに、主
コイルによる磁場掃引を行うことにより、所望の位置に
おけるESR信号が得られるようになっている。
来のコイル装置には、以下のような解決すべき課題が存
在した。すなわち、共振器の近傍にある主コイルの鉄芯
によって、試料にかかる中心磁場の応答性が乱されるた
め、得られた信号に補正を行う必要が生じ、所望のES
R信号を得るのに長時間を要していた。また、主コイル
による広い範囲における磁場掃引を行っていたので、消
費電力が高く、コイルの発熱も大きくなり、装置のラン
ニングコストが高くなっていた。
磁極の間隔が非常に狭いので、共振器および磁場勾配コ
イルの構造寸法が制約され、広いキャビティを有する共
振器が採用できないほか、広い範囲で直線性のよい3次
元勾配磁場を得るための磁場勾配コイルを採用すること
ができなかった。したがって、大きな試料の精度の高い
3次元ESRイメージングを得ることができなかった。
ので、3次元ESRイメージングを高速かつ高精度で得
ることを可能とし、しかも装置のランニングコストを低
減することができるESR用コイル装置を提供すること
を目的としている。また、本考案は、任意の大きさの試
料の3次元ESRイメージングを高速で、しかも高精度
で得ることを可能とするESR用コイル装置を提供する
ことを目的としている。
は、内部に空洞を有する共振器と、この共振器の両側に
対向して配設される一対のコイルユニットとを備えてな
り、前記各コイルユニットは、それぞれ、主コイルと、
この主コイルの内側に配設されたX軸コイル、Y軸コイ
ル、およびZ軸コイルからなる磁場勾配コイルとを有し
て構成され、これら3次元磁場勾配コイルと主コイルと
の間には、その巻軸方向の内側端面が前記Z軸コイルの
巻軸方向の内側端面と略面一または外側に位置するよう
に補助コイルが配設されていることを特徴としている。
の電子スピン共鳴用コイル装置において、前記主コイル
が、空芯コイルであることを特徴としている。
の空洞に試料を装填し、各主コイルに所定の電流を流す
ことによりこれら主コイル間に所定方向の静磁場が設定
される。次に、前記各X軸コイル、Y軸コイルおよびZ
軸コイルに所定の電流比の電流を流すことにより直線性
の高い磁場勾配が設定される。そして、前記補助コイル
に所定時間で極性の反転する電流を流すことにより必要
な範囲における磁場掃引がなされる。さらに、前記各X
軸、Y軸およびZ軸コイルに流す電流比を変えることに
よって磁場勾配を変化させるとともに、前記補助コイル
による磁場掃引を行うことにより、所望の位置における
ESR信号が得られる。
加えて、主コイルに空芯コイルが採用されており、主コ
イル間に広い空間が提供されることになり、共振器、磁
場勾配コイルの構造寸法に制限を受けない。
に説明する。図1ないし図5は、本考案に係るESR用
コイル装置(以下、「コイル装置」という。)の一実施
例を示したものである。図1および図2に示すように、
前記コイル装置1は、内部に内径が40mmの球状の空
洞2aを有する共振器2と、この共振器2の両側に対向
して配設される一対のコイルユニット3、3とが走行車
輪4a…を備えた支持架台4に固定された構成とされて
いる。
用磁場勾配コイル5と、この磁場勾配コイル5の外側に
配設される主コイル6と、これら磁場勾配コイル5およ
び主コイル6間に配設される高速掃引コイル(補助コイ
ル)7(図3参照)を備えた構成とされている。前記磁
場勾配コイル5および高速掃引コイル7はケーシング8
に、主コイル6はケーシング9内にそれぞれ収納されて
おり、ケーシング8はケーシング9にボルト固定されて
いる。これら、コイルユニット3、3および支持架台4
は、それぞれアルミ製の部材で構成されている。
イル5は、X軸コイル10と、このX軸コイル10の外
側に配設されたY軸コイル11と、このY軸コイル11
の外側に配設されたZ軸コイル12とを備えた構成とさ
れている。
銅線が184回(1層4列×46層)卷回された矩形の
コイル13、14が長辺側を隣接させて上下に対称に並
設されたいわゆる8の字型のコイルとされている。これ
らコイル13、14は、アンダーソン式に従い、幅10
0mmの共振器2内の空洞2a内における最大磁場勾配
強度が100ガウス/cm、直線性が0.1ガウス以下
となるコイル寸法(コイル中心寸法350×130m
m、コイル厚さ4mm)とされている。そして、これら
コイル13、13、14、14は、一定電流を流したと
きに、対向するコイル(13、13および14、14)
に発生する磁力線の向きが等しく、隣接するコイル(1
3、14)に発生する磁力線の向きが異なるように結線
されている(図5参照)。
構成するコイル13、14と同様に構成されたコイル1
5、16によって構成されており、これらコイル15、
16がコイル13、14の対称中心軸回りにX軸コイル
10に対して90度回転されて左右に対称に並設された
構成となっている。そして、こられコイル15、15、
16、16は、隣接するコイル(15、16)に発生す
る磁力線が逆向きとなり、対向するコイル(15、1
5、および16、16)に発生する磁力線の向きが等し
くなるように結線されている(図5参照)。
銅線が168回(1層4列×42層)卷回された円形コ
イルとされている。これは、ヘルムホルツ式に従い、空
洞2a内において0.1ガウスの直線性と、10ガウス
の磁場勾配が得られるコイル寸法(内径140mm、外
径220mm、コイル厚さ4mm)とされている。そし
て、これらZ軸コイル12、12は、定電流を流した際
に発生する磁力線の向きが互いに中心磁場の方向に向く
ように結線されている(図5参照)。
のエナメル銅線が 128回(1層4列×32層)卷回
された円形コイルとされている。これは、ヘルムホルツ
式に従い、±75ガウスの磁場強度が得られるコイル寸
法(内径270mm、外径330mm、コイル厚さ4m
m)となっている。そして、この高速掃引コイル7は、
定電流を流した際に発生する磁力線の向きが互いに等し
くなるように結線されている(図5参照)。
mmのエナメル銅線が1680回(一層28列×60
層)卷回された円形の空芯コイルとされており、これ
は、共振器2の幅が100mm、磁場勾配コイル5、5
および高速掃引コイル7、7を収納するケーシング8、
8の厚みが35mmのとき、共振器2内の空洞2a内に
おける均一性を0.1ガウス、最大磁場強度を600ガ
ウス(Lバンド)となるコイル寸法(内径400m、外
径600mm、コイル厚さ60mm)とされいる。そし
て、主コイル6は、定電流を流した際に発生する磁力線
の向きが前記高速掃引コイル7、7間で発生する磁力線
の向きと等しくなるように結線されている(図5参
照)。
それぞれ、冷却管17が、前記X軸コイル10の内側、
X軸コイル10のコイル13、14内、Y軸コイル11
のコイル15、16の空芯部を巡るように配管されてお
り、この冷却管17内に冷媒を循環させることにより各
コイルの発熱が抑さえられるとともに、所定の温度に保
たれるようになっている。図には示さないが、ケーシン
グ9、9内にも、それぞれ主コイル6を冷却するための
冷却管が配管されており、この冷却管内に冷媒を循環さ
せることにより主コイル6が所定の温度に保たれるよう
になっている。
9内には、それぞれ主コイル6の温度を検出し、これに
基づく出力を当該コイル装置1の制御部(図示せず)に
送出する温度センサー18が取付けられている(図1参
照)。
器2内部の空洞2aに試料を装填し、主コイル6、6に
定電流を流すことにより主コイル6、6間に所定方向の
静磁場が設定される。次に、X軸コイル10、10、Y
軸コイル11、11、およびZ軸コイル12、12に所
定の電流比で電流を流すことにより前記空洞2aに直線
性の高い所要の磁場勾配が設定される。そして、高速掃
引コイル7、7に所定時間で極性の反転する電流を流す
ことにより所望の範囲における磁場掃引がなされる。係
る磁場掃引を各軸コイルに流す電流比を変化させて行う
ことにより所望の位置におけるESR信号が得られるこ
とになる。
された各冷却管に冷媒を必要量流すことによって、各コ
イルの発熱がおさえられ、これらコイルの構造、寸法、
抵抗の変化が回避され、コイル装置1の安定な動作が可
能となる。冷却不足、事故による異常発熱が生じた場合
には、温度センサー18によって温度異常が検知され、
これに基づく出力が当該コイル装置1の制御部(図示せ
ず)に送られて、各コイルの損傷が未然に防止される。
よれば、磁場勾配コイル5、5と主コイル6、6との間
に、Z軸コイル12と軸芯を等しくし、かつその巻軸方
向の内側端面がこれらZ軸コイル12の巻軸方向の内側
端面と面一に位置するように高速掃引コイル7、7を配
設したので、必要とする範囲のみの磁場掃引が可能とな
り、従来に比べて、高速でESR信号を得ることができ
るほか、従来の主コイルによる磁場掃引に比べて、消費
電力が少なくてすみ、コイルの発熱を抑さえることもで
きるので、総じてコイル装置1のランニングコストを低
減することができる。
たので、従来のように、試料にかかる中心磁場の応答性
が乱されることがない。したがって、得られた信号の補
正が不要となり、所望のESR信号を短時間で得ること
ができる。しかも、従来のXバンド用の主コイルと異な
り磁極によって共振器2および3次元磁場勾配コイル
5、5に構造寸法の制限を受けることがないので、任意
の大きさの試料を対象とした3次元LバンドESRイメ
ージングを得ることが可能となる。
7、7をその巻軸方向の内側端面がZ軸コイル12、1
2の巻軸方向の内側端面と面一状に位置するように配設
したが、必ずしもこの配置に限られるものではなく、高
速掃引コイル7、7の巻軸方向の内側端面がZ軸コイル
12、12の巻軸方向の内側端面の外側に位置するよう
に配設しても上記実施例と同様の作用・効果を得ること
ができる。
成は、採用する共振器2およびその内部の空洞2aの大
きさにより適宜変更できることは言うまでもない。
び主コイル6、6を収納したケーシング、8、8、9、
9、冷却管、支持架台4をアルミ製のものとしたが、例
えば、銅、セラミックス等、所定の温度範囲内で熱変形
を受けず、非磁性のもので構成してもよい。
置によれば、以下の効果を奏することができる。請求項
1に記載の電子スピン共鳴用コイル装置によれば、磁場
勾配コイルと主コイルとの間に、その巻軸方向の内側端
面がZ軸コイルの巻軸方向の内側端面と面一または外側
に位置するように補助コイルが配設されているので、こ
の補助コイルにより必要な範囲のみの磁場掃引が可能と
なり、所望の位置におけるESR信号の測定を高速で行
うことができる。したがって、係るコイル装置を使用す
ることにより高精度の3次元ESRイメージングを高速
で得ることができる。また、消費電力が少なくてすみ、
コイルの発熱を抑さえることもできるので、総じて装置
のランニングコストを低減することができる。
装置によれば、上記の効果に加えて、主コイルに空芯コ
イルが採用されているので、従来のように、試料にかか
る中心磁場の応答性が乱されることがない。したがっ
て、得られた信号の補正が不要となり、所望のESR信
号を短時間で得ることができる。また、主コイルの磁極
の間隔によって共振器および磁場勾配コイルの構造寸法
に制限を受けないので、任意の大きさの共振器および磁
場勾配コイルを採用することができ、係るコイル装置を
使用することにより任意の大きさの試料を対象とした高
精度の3次元ESRイメージングを高速で得ることがで
きる。
実施例を示した要部正断面図である。
配置を示した要部正断面図である。
冷却管の配置図である。
略図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 内部に空洞(2a)を有する共振器
(2)と、この共振器(2)の両側に対向して配設され
る一対のコイルユニット(3、3)とを備えてなり、前
記各コイルユニット(3)は、それぞれ、主コイル
(6)と、この主コイル(6)の内側に配設されたX軸
コイル(10)、Y軸コイル(11)、およびZ軸コイ
ル(12)からなる磁場勾配コイル(5)とを有して構
成され、これら磁場勾配コイル(5)と主コイル(6)
との間には、その巻軸方向の内側端面が前記Z軸コイル
(12)の巻軸方向の内側端面と略面一または外側に位
置するように補助コイル(7)が配設されていることを
特徴とする電子スピン共鳴用コイル装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載の電子スピン共鳴用コイ
ル装置において、前記主コイル(6)が空芯コイルであ
ることを特徴とする電子スピン共鳴用コイル装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1993042212U JP2587146Y2 (ja) | 1993-07-30 | 1993-07-30 | 電子スピン共鳴用コイル装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1993042212U JP2587146Y2 (ja) | 1993-07-30 | 1993-07-30 | 電子スピン共鳴用コイル装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0712103U JPH0712103U (ja) | 1995-02-28 |
JP2587146Y2 true JP2587146Y2 (ja) | 1998-12-14 |
Family
ID=12629729
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1993042212U Expired - Lifetime JP2587146Y2 (ja) | 1993-07-30 | 1993-07-30 | 電子スピン共鳴用コイル装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2587146Y2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019060697A (ja) * | 2017-09-26 | 2019-04-18 | 国立大学法人 大分大学 | 電子スピン共鳴測定装置、共振器及び電子スピン共鳴を測定する方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006322755A (ja) * | 2005-05-17 | 2006-11-30 | Yamagata Promotional Organization For Industrial Technology | 電子スピン共鳴用コイル装置 |
-
1993
- 1993-07-30 JP JP1993042212U patent/JP2587146Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019060697A (ja) * | 2017-09-26 | 2019-04-18 | 国立大学法人 大分大学 | 電子スピン共鳴測定装置、共振器及び電子スピン共鳴を測定する方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0712103U (ja) | 1995-02-28 |
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