JP2586486B2 - 正抵抗温度係数発熱体 - Google Patents
正抵抗温度係数発熱体Info
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- JP2586486B2 JP2586486B2 JP62141669A JP14166987A JP2586486B2 JP 2586486 B2 JP2586486 B2 JP 2586486B2 JP 62141669 A JP62141669 A JP 62141669A JP 14166987 A JP14166987 A JP 14166987A JP 2586486 B2 JP2586486 B2 JP 2586486B2
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- Japan
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- heating element
- polymer
- temperature coefficient
- resistance
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、暖房器具や一般加熱器具に用いられる正抵
抗温度係数を有する発熱体に関するものである。
抗温度係数を有する発熱体に関するものである。
従来の技術 ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオ
ノマー、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン等の結
晶性重合体に、カーボンブラック等の導電性微粉末を分
散した組成物は、その融点近傍において、結晶部分が無
定形化するさいの急激な物性変化によって抵抗値が急激
に増大することが知られている。そして、その特性を応
用して、所定の温度に達すると電力が急激に低下し、温
度の暴走を抵抗体自身が防止すると共に、熱負荷の変動
に応じて、温度を一定に保つ方向に電力が自動的に制御
される。いわゆる自己制御発熱体として応用されてき
た。
ノマー、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン等の結
晶性重合体に、カーボンブラック等の導電性微粉末を分
散した組成物は、その融点近傍において、結晶部分が無
定形化するさいの急激な物性変化によって抵抗値が急激
に増大することが知られている。そして、その特性を応
用して、所定の温度に達すると電力が急激に低下し、温
度の暴走を抵抗体自身が防止すると共に、熱負荷の変動
に応じて、温度を一定に保つ方向に電力が自動的に制御
される。いわゆる自己制御発熱体として応用されてき
た。
第7図は、特公昭55−40161号公報に代表される、従
来技術に基づく正抵抗温度係数発熱体の例を示すもので
あり、図において1は電気絶縁性と熱伝導性に優れたセ
ラミック基板であり、2a及び2bは電極である。そして、
3は結晶性重合体とカーボンブラックを主成分とする正
抵抗温度係数抵抗体である。一般に、セラミック系の焼
結体は電気絶縁体でありながら極めて良好な熱伝導特性
を示すため、正抵抗温度係数抵抗体のほぼ全面において
一様な温度分布を維持する能力が高く、それに伴って、
正常な抵抗値分布と電位分布による安定な発熱状態を保
持する事が可能であり、高出力の正抵抗温度係数発熱体
を構成する場合に非常に有利であった。しかし、大面積
の発熱体や、長尺の発熱体を構成する場合には、アルミ
ナ焼結体等のセラミック系の材料は製造技術的にも、強
度的にも実用に供し得るものではなかった。
来技術に基づく正抵抗温度係数発熱体の例を示すもので
あり、図において1は電気絶縁性と熱伝導性に優れたセ
ラミック基板であり、2a及び2bは電極である。そして、
3は結晶性重合体とカーボンブラックを主成分とする正
抵抗温度係数抵抗体である。一般に、セラミック系の焼
結体は電気絶縁体でありながら極めて良好な熱伝導特性
を示すため、正抵抗温度係数抵抗体のほぼ全面において
一様な温度分布を維持する能力が高く、それに伴って、
正常な抵抗値分布と電位分布による安定な発熱状態を保
持する事が可能であり、高出力の正抵抗温度係数発熱体
を構成する場合に非常に有利であった。しかし、大面積
の発熱体や、長尺の発熱体を構成する場合には、アルミ
ナ焼結体等のセラミック系の材料は製造技術的にも、強
度的にも実用に供し得るものではなかった。
そこで、セラミック系の基板材料に代わるものとし
て、特公昭57−43995号公報あるいは、第8図に示した
ような電気絶縁フイルム4と金属均熱板5から成る複合
材料基板が用いられてきたが、樹脂の熱伝導率はセラミ
ックに比べて約2桁程低く、複合材料の熱伝導率がセラ
ミックを上回ることはなかった。したがって、これらの
発熱体の電力密度は極めて低水準にあった。その結果、
多くの用途において、発熱体の出力が不充分であるか、
もしくは発熱体の装架面積が必要以上に大きくなり、誘
導による漏れ電流が危険な水準に達したり、材料コスト
が代替え手段を大幅に上回ったりして、用途が極めて限
定されていた。
て、特公昭57−43995号公報あるいは、第8図に示した
ような電気絶縁フイルム4と金属均熱板5から成る複合
材料基板が用いられてきたが、樹脂の熱伝導率はセラミ
ックに比べて約2桁程低く、複合材料の熱伝導率がセラ
ミックを上回ることはなかった。したがって、これらの
発熱体の電力密度は極めて低水準にあった。その結果、
多くの用途において、発熱体の出力が不充分であるか、
もしくは発熱体の装架面積が必要以上に大きくなり、誘
導による漏れ電流が危険な水準に達したり、材料コスト
が代替え手段を大幅に上回ったりして、用途が極めて限
定されていた。
そこで、正抵抗温度係数発熱体の構造に着目して、特
開昭60−28195号公報や第9図に示すように、一対の電
極間2a、2bの距離を互いに接近させることにより、基板
の均熱効果に依存しないで、抵抗体3自身の熱の拡散能
力を大幅に高める方法が検討されるようになり、応用範
囲の広い、高出力の正抵抗温度係数発熱体を実現する道
が開かれた。
開昭60−28195号公報や第9図に示すように、一対の電
極間2a、2bの距離を互いに接近させることにより、基板
の均熱効果に依存しないで、抵抗体3自身の熱の拡散能
力を大幅に高める方法が検討されるようになり、応用範
囲の広い、高出力の正抵抗温度係数発熱体を実現する道
が開かれた。
発明が解決しようとする問題点 第9図に示したような正抵抗温度係数発熱体は、高出
力を発生するための構造としては非常に優れていたが、
カーボンブラック等の比較的低抵抗の導電性微粉末を分
散することによって構成される正抵抗温度係数抵抗体の
耐電圧破壊特性や、非常に高抵抗が要求される体積固有
抵抗値の領域を考慮すると、解決しなければならない課
題が山積していた。まず、電極間隔が非常に接近した正
抵抗温度係数発熱体を構成するためには耐電圧破壊特性
に優れた導電性微粉末を選定するだけでなく、充分な抵
抗温度特性を得ることによって、正抵抗温度特性のピー
ク抵抗値を越えて暴走することのないように配慮するこ
とが非常に重要な課題となった。そして、寿命特性にお
ける抵抗体のクラック発生の防止は、発火及び発煙を防
止するための絶対的な重要課題となった。また、従来の
100〜102Ωcmに対して、103〜105Ωcmの半導体領域の体
積固有抵抗値を有する抵抗体を構成するためには、導電
性微粉末の組成比を大幅に低減しなければならなくなっ
た。その結果、導電性微粉末同志の接触点の数も激減
し、抵抗温度特性が結晶性重合体の融点のみによって制
御されるだけではなく、より低温域の線膨張係数による
と思われる不安定な成分をより多く含むようになった。
さらに、クラック発生防止に加え、フレキシブル性付与
や加工性付与等のために多成分系重合体組成物を選択組
合わせすることが不可欠となり、経時変化において、結
晶性を有する重合体相互の干渉による複雑な結晶成長が
導電性微粉末の凝集を促進し、抵抗値や抵抗温度係数の
大幅な変化が生じるようになった。このような、抵抗体
組成物を用いて構成された発熱体は、経時変化におい
て、温度と電力の安定性に欠け、実用に耐えるものでは
なかった。
力を発生するための構造としては非常に優れていたが、
カーボンブラック等の比較的低抵抗の導電性微粉末を分
散することによって構成される正抵抗温度係数抵抗体の
耐電圧破壊特性や、非常に高抵抗が要求される体積固有
抵抗値の領域を考慮すると、解決しなければならない課
題が山積していた。まず、電極間隔が非常に接近した正
抵抗温度係数発熱体を構成するためには耐電圧破壊特性
に優れた導電性微粉末を選定するだけでなく、充分な抵
抗温度特性を得ることによって、正抵抗温度特性のピー
ク抵抗値を越えて暴走することのないように配慮するこ
とが非常に重要な課題となった。そして、寿命特性にお
ける抵抗体のクラック発生の防止は、発火及び発煙を防
止するための絶対的な重要課題となった。また、従来の
100〜102Ωcmに対して、103〜105Ωcmの半導体領域の体
積固有抵抗値を有する抵抗体を構成するためには、導電
性微粉末の組成比を大幅に低減しなければならなくなっ
た。その結果、導電性微粉末同志の接触点の数も激減
し、抵抗温度特性が結晶性重合体の融点のみによって制
御されるだけではなく、より低温域の線膨張係数による
と思われる不安定な成分をより多く含むようになった。
さらに、クラック発生防止に加え、フレキシブル性付与
や加工性付与等のために多成分系重合体組成物を選択組
合わせすることが不可欠となり、経時変化において、結
晶性を有する重合体相互の干渉による複雑な結晶成長が
導電性微粉末の凝集を促進し、抵抗値や抵抗温度係数の
大幅な変化が生じるようになった。このような、抵抗体
組成物を用いて構成された発熱体は、経時変化におい
て、温度と電力の安定性に欠け、実用に耐えるものでは
なかった。
以上に述べたように、多成分系重合体組成物と導電性
微粉末からなる固有抵抗値103Ωcm以上の正抵抗温度係
数抵抗体組成物の経時抵抗値特性は不安定であり、電極
間の距離を近接させた構成による有用な正抵抗温度係数
発熱体を作り出すことができなかった。
微粉末からなる固有抵抗値103Ωcm以上の正抵抗温度係
数抵抗体組成物の経時抵抗値特性は不安定であり、電極
間の距離を近接させた構成による有用な正抵抗温度係数
発熱体を作り出すことができなかった。
問題点を解決するための手段 本発明は、上記問題点を解決するため、融点t1の結晶
性を有する重合体と融点t2の結晶性重合体を含有する重
合体と前記重合体中に分散された導電性微粉末を主成分
とする抵抗体組成物と、前記抵抗体組成物に給電すべく
設けられた一対の電極体よりなり、前記重合体の融点t1
およびt2よりも高温で施される第1のアニールと、前記
重合体の融点t1からt2の間のいづれかの温度で施される
第2のアニールにより抵抗値特性を形成してなる正抵抗
温度係数発熱体を適用するものである。
性を有する重合体と融点t2の結晶性重合体を含有する重
合体と前記重合体中に分散された導電性微粉末を主成分
とする抵抗体組成物と、前記抵抗体組成物に給電すべく
設けられた一対の電極体よりなり、前記重合体の融点t1
およびt2よりも高温で施される第1のアニールと、前記
重合体の融点t1からt2の間のいづれかの温度で施される
第2のアニールにより抵抗値特性を形成してなる正抵抗
温度係数発熱体を適用するものである。
作用 この技術的手段による作用は次のようになる。すなわ
ち、融点がt1である結晶性重合体と融点がt2である結晶
性重合体を含有する重合体中に導電性微粉末を分散する
ことによって得られる、常温体積固有抵抗値が103Ωcm
以上の非常に高抵抗領域ににある正抵抗温度係数抵抗体
組成物は、結晶性重合体の融点の近傍において顕著な正
抵抗温度係数を示すだけでなく、より低温域における線
膨張係数による影響や、結晶性重合体の微細結晶成長も
しくは導電性微粉末の凝集等による組成物の細部構造の
影響を強く受けるようになり、安定性に欠け、実用に耐
えられるものではなくなる。しかし、このような抵抗体
組成物をそれぞれの重合体の融点t1およびt2よりも高温
で施される第1のアニールと、前記重合体の融点t1から
t2の間のいづれかの温度で施される第2のアニールによ
り抵抗値特性を形成してやると、第1のアニールにおい
て導電材性微粉末の凝集現象が生じ、安定な配列状態と
なる。次いで、第2のアニールにより、溶融状態におい
て均一に分散されていた融点の相異なる結晶性重合体の
微細結晶成長による相分離構造が形成され、導電性微粉
末の凝集構造がさらに押し進められ、導電材性微粉末が
高度に凝集したような構造の正抵抗温度係数抵抗体組成
物を形成することができる。この様な組成物は、微細構
造における導電性微粉末相互の接触点の数が多く、102
Ωcm以下の体積固有抵抗値を有する安定な部分の集合と
考えることが可能であり、組成物全体としては非常に高
抵抗ながら、導電性微粉末の組成比率の高い組成物の抵
抗値特性を引き継いだものとなる。その結果、低温域に
おける線膨張係数、結晶性重合体の結晶成長、導電性微
粉末の凝集等の影響を殆ど受けることがなく、結晶性重
合体の融点近傍における急俊な正抵抗温度特性のみをよ
り有効に生かした安定な高抵抗の抵抗体組成物を構成す
ることができる。
ち、融点がt1である結晶性重合体と融点がt2である結晶
性重合体を含有する重合体中に導電性微粉末を分散する
ことによって得られる、常温体積固有抵抗値が103Ωcm
以上の非常に高抵抗領域ににある正抵抗温度係数抵抗体
組成物は、結晶性重合体の融点の近傍において顕著な正
抵抗温度係数を示すだけでなく、より低温域における線
膨張係数による影響や、結晶性重合体の微細結晶成長も
しくは導電性微粉末の凝集等による組成物の細部構造の
影響を強く受けるようになり、安定性に欠け、実用に耐
えられるものではなくなる。しかし、このような抵抗体
組成物をそれぞれの重合体の融点t1およびt2よりも高温
で施される第1のアニールと、前記重合体の融点t1から
t2の間のいづれかの温度で施される第2のアニールによ
り抵抗値特性を形成してやると、第1のアニールにおい
て導電材性微粉末の凝集現象が生じ、安定な配列状態と
なる。次いで、第2のアニールにより、溶融状態におい
て均一に分散されていた融点の相異なる結晶性重合体の
微細結晶成長による相分離構造が形成され、導電性微粉
末の凝集構造がさらに押し進められ、導電材性微粉末が
高度に凝集したような構造の正抵抗温度係数抵抗体組成
物を形成することができる。この様な組成物は、微細構
造における導電性微粉末相互の接触点の数が多く、102
Ωcm以下の体積固有抵抗値を有する安定な部分の集合と
考えることが可能であり、組成物全体としては非常に高
抵抗ながら、導電性微粉末の組成比率の高い組成物の抵
抗値特性を引き継いだものとなる。その結果、低温域に
おける線膨張係数、結晶性重合体の結晶成長、導電性微
粉末の凝集等の影響を殆ど受けることがなく、結晶性重
合体の融点近傍における急俊な正抵抗温度特性のみをよ
り有効に生かした安定な高抵抗の抵抗体組成物を構成す
ることができる。
実施例 以下、本発明の一実施例を添付図面にもとずいて説明
する。第1図において、6は厚さ1.0mmの正抵抗温度係
数抵抗体で、7および8は正抵抗温度係数抵抗体に接合
された一対の金属板電極である。正抵抗温度係数抵抗体
6は、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとからなる
多成分重合体組成物にサーマルブラックを混練すること
により、ピーク抵抗値と常温抵抗値の比が、4桁を上回
る正抵抗温度特性が得られる素材を用いている。高密度
ポリエチレンとポリプロピレンはガラス転移温度、耐ス
トレスクラッキング性、機械強度、耐熱性等を互いに補
うために組み合わせたものであり、オレフィン系同志の
相性の良さを生かすものである。第1図の構成の発熱体
において、例えば100Vを印加した時に適正な発熱特性を
得るには、固有抵抗値が104Ωcmレベルの非常に高抵抗
が抵抗体に要求されるため、サーマルブラックの組成比
率を26〜45%の範囲で調整することにより、目標とする
固有抵抗値が得られるサーマルブラック組成比率を求め
た。第2図はその結果を示すもので、サーマルブラック
組成比率と固有抵抗値との関係についてプロットしたも
のである。その結果、100V印加に対応する固有抵抗値が
得られる組成比率は32%の近傍にあることが分かった。
なお、各サンプルの作製は次の手順に従って行った。サ
ーマルブラック組成比率32%の場合について示すと、ま
ず、高密度ポリエチレン40部、ポリプロピレン28部、サ
ーマルブラック32部を180℃に設定された加熱ミキシン
グロールで25分混練した後、2mm厚さのシート状に取り
出し、次いで、一対の銅板電極をそれぞれの対向する面
にセットした状態で200℃の熱プレス面上に置き、1.0mm
の厚みになるまで熱圧着した。そして、一対の銅板電極
の周囲に抵抗体がはみ出る状態で不要な部分を削除し
た。さらに、ポリプロピレンおよび高密度ポリエチレン
の双方の融点よりも高温の190℃で6時間に及ぶ第1の
アニールを施した後に、ポリプロピレンの融点よりも低
く、高密度ポリエチレンの融点よりも高い145℃で12時
間に及ぶ第2のアニールを施し、サンプルを得た。他の
サンプルについても、高密度ポリエチレンとポリプロピ
レンの比率を10対7に固定して、サーマルブラック組成
比率のみを変化させるだけで、その他は全く同一の条件
で作製した。なお、第2図において、従来例で示したプ
ロットは第2のアニールを省略した場合のデータを示す
もので、固有抵抗値が103Ωcm以上において第2のアニ
ールの効果が顕著に表れている。次に、これらのサンプ
ルの抵抗値の経時変化を調べるために、アニール直後と
100℃のギア・オーブン中で1200hの熱履歴を加えた後の
固有抵抗値の変化を調べた。第2のアニールを実施した
サンプルの結果を第3図に、第2のアニールを省略した
サンプルの結果を第4図に示した。これらの図から明ら
かなように、第2のアニールを施すことにより、抵抗値
の変化率を大幅に低減することが可能であり、特に、固
有抵抗値が103Ωcm以上で特に効果的であることが分か
った。なお、第2のアニールの処理時間について検討し
た結果、第5図に示すデータが得られ、明確な効果を得
るためには少なくとも30分以上の保持時間が必要である
ことが明らかになった。また、130〜150℃の間での熱サ
イクルや、0.7℃/分の極めて穏やかな除冷も同等以上
の効果があることが明らかになった。
する。第1図において、6は厚さ1.0mmの正抵抗温度係
数抵抗体で、7および8は正抵抗温度係数抵抗体に接合
された一対の金属板電極である。正抵抗温度係数抵抗体
6は、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとからなる
多成分重合体組成物にサーマルブラックを混練すること
により、ピーク抵抗値と常温抵抗値の比が、4桁を上回
る正抵抗温度特性が得られる素材を用いている。高密度
ポリエチレンとポリプロピレンはガラス転移温度、耐ス
トレスクラッキング性、機械強度、耐熱性等を互いに補
うために組み合わせたものであり、オレフィン系同志の
相性の良さを生かすものである。第1図の構成の発熱体
において、例えば100Vを印加した時に適正な発熱特性を
得るには、固有抵抗値が104Ωcmレベルの非常に高抵抗
が抵抗体に要求されるため、サーマルブラックの組成比
率を26〜45%の範囲で調整することにより、目標とする
固有抵抗値が得られるサーマルブラック組成比率を求め
た。第2図はその結果を示すもので、サーマルブラック
組成比率と固有抵抗値との関係についてプロットしたも
のである。その結果、100V印加に対応する固有抵抗値が
得られる組成比率は32%の近傍にあることが分かった。
なお、各サンプルの作製は次の手順に従って行った。サ
ーマルブラック組成比率32%の場合について示すと、ま
ず、高密度ポリエチレン40部、ポリプロピレン28部、サ
ーマルブラック32部を180℃に設定された加熱ミキシン
グロールで25分混練した後、2mm厚さのシート状に取り
出し、次いで、一対の銅板電極をそれぞれの対向する面
にセットした状態で200℃の熱プレス面上に置き、1.0mm
の厚みになるまで熱圧着した。そして、一対の銅板電極
の周囲に抵抗体がはみ出る状態で不要な部分を削除し
た。さらに、ポリプロピレンおよび高密度ポリエチレン
の双方の融点よりも高温の190℃で6時間に及ぶ第1の
アニールを施した後に、ポリプロピレンの融点よりも低
く、高密度ポリエチレンの融点よりも高い145℃で12時
間に及ぶ第2のアニールを施し、サンプルを得た。他の
サンプルについても、高密度ポリエチレンとポリプロピ
レンの比率を10対7に固定して、サーマルブラック組成
比率のみを変化させるだけで、その他は全く同一の条件
で作製した。なお、第2図において、従来例で示したプ
ロットは第2のアニールを省略した場合のデータを示す
もので、固有抵抗値が103Ωcm以上において第2のアニ
ールの効果が顕著に表れている。次に、これらのサンプ
ルの抵抗値の経時変化を調べるために、アニール直後と
100℃のギア・オーブン中で1200hの熱履歴を加えた後の
固有抵抗値の変化を調べた。第2のアニールを実施した
サンプルの結果を第3図に、第2のアニールを省略した
サンプルの結果を第4図に示した。これらの図から明ら
かなように、第2のアニールを施すことにより、抵抗値
の変化率を大幅に低減することが可能であり、特に、固
有抵抗値が103Ωcm以上で特に効果的であることが分か
った。なお、第2のアニールの処理時間について検討し
た結果、第5図に示すデータが得られ、明確な効果を得
るためには少なくとも30分以上の保持時間が必要である
ことが明らかになった。また、130〜150℃の間での熱サ
イクルや、0.7℃/分の極めて穏やかな除冷も同等以上
の効果があることが明らかになった。
以上の一連の実験によって、結晶性を有する多成分重
合体組成物と導電性微粉末からなる抵抗体組成物の抵抗
値の安定化のための有効な手段が確認され、抵抗値が変
化する主要な要因が明確になったものと考えられる。第
1のアニールは導電性微粉末相互の凝集現象を促進する
ことにあり、第2のアニールは微細結晶成長および微細
相分離に伴う導電性微粉末の凝集現象を促進することに
あるものと思われる。いづれの凝集現象も導電性微粉末
相互の接触状態を安定化させるために効果的であり、従
来、固有抵抗値が103Ωcm以下が抵抗値の安定領域であ
ったが、本発明による場合は106Ωcmの高固有抵抗値領
域までに安定領域を拡大することができたものと考える
ことができる。
合体組成物と導電性微粉末からなる抵抗体組成物の抵抗
値の安定化のための有効な手段が確認され、抵抗値が変
化する主要な要因が明確になったものと考えられる。第
1のアニールは導電性微粉末相互の凝集現象を促進する
ことにあり、第2のアニールは微細結晶成長および微細
相分離に伴う導電性微粉末の凝集現象を促進することに
あるものと思われる。いづれの凝集現象も導電性微粉末
相互の接触状態を安定化させるために効果的であり、従
来、固有抵抗値が103Ωcm以下が抵抗値の安定領域であ
ったが、本発明による場合は106Ωcmの高固有抵抗値領
域までに安定領域を拡大することができたものと考える
ことができる。
以上に示したように、本実施例は高抵抗領域において
導電性微粉末同志の接触状態を良好に保つことが可能な
手段を提供するものであり、特に、本来、抵抗値が不安
定になりがちであった正抵抗温度係数抵抗体組成物に対
して有効なものである。なお、材料として、高密度ポリ
エチレンとポリプロピレンとサーマルブラックとの組合
わせに限定されるものではなく、結晶性重合体として、
高密度ポリエチレンとポリプロピレン、中密度ポリエチ
レン、低密度ポリエチレン、リニアポリエチレン、エチ
レン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合
体、アイオノマ、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポ
リエステル、共重合ポリエステル等から選択された2種
以上の組合わせからなる多成分重合体組成物が、そし
て、導電性微粉末として、チャンネルブラック、ファー
ネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等
のカーボンブラックの中で顕著な正抵抗温度特性を示す
導電材料との組合わせに関しても、同等の効果を有する
ものである。また、これらの多成分重合体組成物に加え
て、非晶質重合体あるいは各種フィラーが添加されてい
る場合についてもほぼ同等の効果が見いだされるもので
ある。なお、最も効果的と考えられる結晶性重合体の組
合わせは、混練り時に親和性があって分散性が良好であ
るが、第2のアニール時には溶解性パラメータが異なっ
ている場合が最も良好な結果が期待できる。その1例が
ポレエチレンとポリプロピレンを含有する多成分重合体
組成物である。
導電性微粉末同志の接触状態を良好に保つことが可能な
手段を提供するものであり、特に、本来、抵抗値が不安
定になりがちであった正抵抗温度係数抵抗体組成物に対
して有効なものである。なお、材料として、高密度ポリ
エチレンとポリプロピレンとサーマルブラックとの組合
わせに限定されるものではなく、結晶性重合体として、
高密度ポリエチレンとポリプロピレン、中密度ポリエチ
レン、低密度ポリエチレン、リニアポリエチレン、エチ
レン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合
体、アイオノマ、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポ
リエステル、共重合ポリエステル等から選択された2種
以上の組合わせからなる多成分重合体組成物が、そし
て、導電性微粉末として、チャンネルブラック、ファー
ネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等
のカーボンブラックの中で顕著な正抵抗温度特性を示す
導電材料との組合わせに関しても、同等の効果を有する
ものである。また、これらの多成分重合体組成物に加え
て、非晶質重合体あるいは各種フィラーが添加されてい
る場合についてもほぼ同等の効果が見いだされるもので
ある。なお、最も効果的と考えられる結晶性重合体の組
合わせは、混練り時に親和性があって分散性が良好であ
るが、第2のアニール時には溶解性パラメータが異なっ
ている場合が最も良好な結果が期待できる。その1例が
ポレエチレンとポリプロピレンを含有する多成分重合体
組成物である。
なお、第2のアニールの後に電子線を照射することに
より、微細相分離状態の組織の固定化を図ることは抵抗
値の安定化のために誠に有効である。これは、微細相分
離状態を進行させ、導電性微粉末の凝集組織を形成した
後に組織を固定化するのであるから、抵抗値の安定度が
飛躍的に向上するのは当然である。この場合、発熱体の
外部が電子線を透過しにくい金属板電極等で覆われてい
る構造は加工上好ましくなく、第6図に示したように正
抵抗温度係数抵抗体9のコア部に一対の近接した電極線
10、11が設けられたような構造が理想的である。
より、微細相分離状態の組織の固定化を図ることは抵抗
値の安定化のために誠に有効である。これは、微細相分
離状態を進行させ、導電性微粉末の凝集組織を形成した
後に組織を固定化するのであるから、抵抗値の安定度が
飛躍的に向上するのは当然である。この場合、発熱体の
外部が電子線を透過しにくい金属板電極等で覆われてい
る構造は加工上好ましくなく、第6図に示したように正
抵抗温度係数抵抗体9のコア部に一対の近接した電極線
10、11が設けられたような構造が理想的である。
発明の効果 以上に述べてきたように、正抵抗温度係数抵抗体材料
を非常に接近した電極間で発熱させることにより高出力
化を達成しようとする場合等に、半導体領域に近い固有
抵抗値と、クラック等が絶対に発生しない吟味された抵
抗体組成物が不可欠となる。このような目的を達成する
ためには単一組成の結晶性重合体では非常に困難であ
り、軟化温度、ガラス転移温度、耐ストレスクラッキン
グ性、耐熱性、正抵抗温度特性、耐荷重性、加工性等を
考慮した多成分重合体組成物を使用せざるをえない。こ
のような多成分重合体組成物のなかに、半導体領域に近
い固有抵抗値に見合う組成比率の導電性微粉末を均一分
散しても、複雑かつ微細な結晶組織の構造変化による導
電性微粉末の凝集現象の影響を強く受け、経時変化によ
って、抵抗値および抵抗温度特性が大きく変動し、不安
定で実用に耐えられない組成物しか得られなかったが、
本発明によれば、この点を克服することが可能となっ
た。その結果、高出力でしかも温度および電力の安定性
に優れたコンパクトな正抵抗温度係数発熱体を実現する
ことができた。
を非常に接近した電極間で発熱させることにより高出力
化を達成しようとする場合等に、半導体領域に近い固有
抵抗値と、クラック等が絶対に発生しない吟味された抵
抗体組成物が不可欠となる。このような目的を達成する
ためには単一組成の結晶性重合体では非常に困難であ
り、軟化温度、ガラス転移温度、耐ストレスクラッキン
グ性、耐熱性、正抵抗温度特性、耐荷重性、加工性等を
考慮した多成分重合体組成物を使用せざるをえない。こ
のような多成分重合体組成物のなかに、半導体領域に近
い固有抵抗値に見合う組成比率の導電性微粉末を均一分
散しても、複雑かつ微細な結晶組織の構造変化による導
電性微粉末の凝集現象の影響を強く受け、経時変化によ
って、抵抗値および抵抗温度特性が大きく変動し、不安
定で実用に耐えられない組成物しか得られなかったが、
本発明によれば、この点を克服することが可能となっ
た。その結果、高出力でしかも温度および電力の安定性
に優れたコンパクトな正抵抗温度係数発熱体を実現する
ことができた。
第1図は本発明の一実施例を示すもので、正抵抗温度係
数発熱体の一部を切り出した斜視図、第2図は同正抵抗
温度係数発熱体の抵抗値特性と従来の正抵抗温度係数発
熱体の抵抗値特性の特性図である。第3図は同正抵抗温
度係数発熱体の耐熱試験の特性図、第4図は従来の正抵
抗温度係数発熱体の耐熱試験の特性図、第5図は本発明
の一実施例の第2のアニールの処理時間の影響の特性
図、第6図は同他の実施例を示す斜視図である。第7
図、第8図、第9図は従来の正抵抗温度係数発熱体の斜
視図である。 6……正抵抗温度係数抵抗体、7,8……金属板電極。
数発熱体の一部を切り出した斜視図、第2図は同正抵抗
温度係数発熱体の抵抗値特性と従来の正抵抗温度係数発
熱体の抵抗値特性の特性図である。第3図は同正抵抗温
度係数発熱体の耐熱試験の特性図、第4図は従来の正抵
抗温度係数発熱体の耐熱試験の特性図、第5図は本発明
の一実施例の第2のアニールの処理時間の影響の特性
図、第6図は同他の実施例を示す斜視図である。第7
図、第8図、第9図は従来の正抵抗温度係数発熱体の斜
視図である。 6……正抵抗温度係数抵抗体、7,8……金属板電極。
Claims (4)
- 【請求項1】融点t1の結晶性を有する重合体と融点t2の
結晶性重合体を含有する重合体と前記重合体中に分散さ
れた導電性微粉末を主成分とする抵抗体組成物と、前記
抵抗体組成物に給電すべく設けられた一対の電極体より
なり、前記重合体の融点t1およびt2よりも高温で施され
る第1のアニールと、前記重合体の融点t1からt2の間の
いづれかの温度で施される第2のアニールにより抵抗値
特性を形成してなる正抵抗温度係数発熱体。 - 【請求項2】第1および第2のアニールの所要時間が0.
5h以上である特許請求の範囲第1項記載の正抵抗温度係
数発熱体。 - 【請求項3】第1および第2のアニールによる抵抗値特
性が電子線照射による架橋処理によって固定化された特
許請求の範囲第1項または第2項記載の正抵抗温度係数
発熱体。 - 【請求項4】抵抗体組成物の20℃における体積固有抵抗
値が103Ωcmよりも高抵抗である特許請求の範囲第1
項、第2項、第3項のいづれか1つに記載の正抵抗温度
係数発熱体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62141669A JP2586486B2 (ja) | 1987-06-05 | 1987-06-05 | 正抵抗温度係数発熱体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62141669A JP2586486B2 (ja) | 1987-06-05 | 1987-06-05 | 正抵抗温度係数発熱体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63307684A JPS63307684A (ja) | 1988-12-15 |
JP2586486B2 true JP2586486B2 (ja) | 1997-02-26 |
Family
ID=15297435
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62141669A Expired - Lifetime JP2586486B2 (ja) | 1987-06-05 | 1987-06-05 | 正抵抗温度係数発熱体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2586486B2 (ja) |
-
1987
- 1987-06-05 JP JP62141669A patent/JP2586486B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63307684A (ja) | 1988-12-15 |
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Legal Events
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EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
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