JP2586285B2 - 衝撃緩衝材料 - Google Patents

衝撃緩衝材料

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JP2586285B2
JP2586285B2 JP5026080A JP2608093A JP2586285B2 JP 2586285 B2 JP2586285 B2 JP 2586285B2 JP 5026080 A JP5026080 A JP 5026080A JP 2608093 A JP2608093 A JP 2608093A JP 2586285 B2 JP2586285 B2 JP 2586285B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、形状追随姓が良好であ
り、かつ衝撃緩和性に優れ、このため椅子、ヘルメット
等の保護具などに好適に用いられる衝撃緩衝材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
椅子、ヘルメット等の保護具などの衝撃緩衝材料として
プラスチックフォーム、エアーマット、ゲル、パテなど
が使用されている。しかし、プラスチックフォームやエ
アーマットは軽く、また変形性、形に対する追従性に優
れている反面、強い衝撃力がかかると容易に変形し、緩
衝性を十分に発揮し得なくなる問題がある。一方、ゲル
やパテは比較的強い衝撃力に対しても十分な衝撃緩衝性
を有するが、軽量化に問題がある。
【0003】そこで、ゲルやパテの軽量化を図ったもの
として、例えば特開昭62−159601号公報におい
て、ゲルに微小中空体を混入した衝撃緩衝材料、特開平
4−117974号公報において、バンシングパテに弾
性微小中空体を混入した衝撃緩衝材料が提案されてい
る。
【0004】しかしながら、これらの提案に係る衝撃緩
衝部材は、形に対する追従性が不十分であったり、例え
ばヘルメットに装着しようとする場合、特別の包装を必
要とするので高価なものになってしまったり、更に所望
形状に形成する場合、形状に制限があるなどの問題があ
る。
【0005】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
軽量でかつ形に対する追従性が良好であると共に、所定
値以上の衝撃力がかかったときにも最小の変形で応力を
緩和することができ、しかも所望の形状に形成すること
が可能な衝撃緩衝材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、連続気泡
構造のプラスチックフォームなどの内部連通空間を有す
る可撓性の三次元網状体又はフォーム体をシリコーンバ
ンシングパテの溶解液で含浸処理し、乾燥させるなどの
方法で、上記網状体又はフォーム体の骨格格子表面を覆
ってシリコーンバンシングパテのコーティング層を形成
することによって得られる衝撃緩衝材料は、上記内部連
通空間を保持した状態で、軽量である上、形に対する追
従性が良好であると共に、強い衝撃力がかかった場合に
もその応力を十分にしかも確実に緩和することができ、
衝撃緩衝性に優れ、また容易に所望の形状に形成し得る
ことを知見し、本発明をなすに至った。
【0007】従って、本発明は、内部連通空間を有する
可撓性の三次元網状体又はフォーム体の骨格格子表面を
覆ってシリコーンバンシングパテでコーティングしてな
ることを特徴とする衝撃緩衝材料を提供する。
【0008】以下、本発明を更に詳述すると、本発明の
衝撃緩衝材料は、内部連通空間を有する可撓性の網状体
又はフォーム体を基体とするものである。
【0009】ここで、網状体又はフォーム体としてはポ
リエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレ
タン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メタクリル樹脂、
シリコーン樹脂の連続気泡構造のプラスチックフォー
ム、海綿,コルク等の多孔性天然物質、織布や不織布等
の繊維状物質からなる多孔性物質などが挙げられる。こ
の中では連続気泡構造のプラスチックフォーム、なかで
もポリウレタンフォーム及びシリコーンフォームが好ま
しく、特に可撓性のある軟質のポリエーテルポリウレタ
ンフォーム及びポリエステルポリウレタンフォームが種
類も豊富であり、好適に使用することができる。
【0010】上記内部連通空間の直径或いはプラスチッ
クフォームである場合そのセル数は特に制限されるもの
ではないが、ポリウレタンフォームの場合、後述するシ
リコーンバンシングパテ溶解液を含浸する際の含浸性の
点から、その比重を0.03〜0.08とすることが好
ましい。また、同様の理由から、シリコーンフォームの
場合は、その比重を0.1〜0.5とすることが好まし
い。
【0011】シリコーンバンシングパテは、ほう素原子
を含むシロキサンからなるものであり、例えば特公昭2
6−6944号公報に記載されている製造方法によって
得ることができる。具体的には、25℃における粘度が
1〜1,000センチストークス(cst)の両末端ア
ルコキシ基を有するジメチルシロキサン10〜90部
(重量部、以下同じ)に25℃における粘度が1〜1
0,000cstの両末端ヒドロキシ基を有するジメチ
ルシロキサン90〜10部、ほう酸0.1〜15部、コ
ロイダルシリカ0〜20部を例えばニーダー中で140
〜150℃において2〜10時間重合することによって
得ることができる。
【0012】なお、このシリコーンバンシングパテは、
徐々に伸ばしていくと水あめのように伸び、これにハン
マーなどによって衝撃を与えるとガラスのように割れ、
放置すると次第に変形して平板状になってしまうもので
あり、ラバーボールよりも良く弾む性質を有するもので
ある。
【0013】この場合、シリコーンバンシングパテを溶
解する溶媒としてはアルコール類、エステル類、ケトン
類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などの極性溶媒
を用いることができ、シリコーンバンシングパテの溶解
性の点から、特に酢酸エステル等のエステル類、メチル
エチルケトン,メチルイソブチルケトン等のケトン類が
推奨される。
【0014】シリコーンバンシングパテに対するこれら
の溶媒の使用量は、シリコーンバンシングパテ100部
に対して20〜400部とすることが好ましい。
【0015】このような溶解液をプラスチックフォーム
等の上記網状体又はフォーム体に含浸させ、網状体又は
フォーム体の骨格格子表面にシリコーンバンシングパテ
のコーティング層を形成する場合は、この網状体又はフ
ォーム体に上記溶解液を浸漬することによって上記網状
体又はフォーム体の内部連通空間に上記溶解液を充分に
含浸させた後に引上げ、余分な溶解液をロールで絞り取
るという方法、網状体又はフォーム体が薄物であれば両
面に上記溶解液をロールコーター、ナイフコーター等に
より充分に塗布する(塗布により網状体又はフォーム体
の内部に上記溶解液が含浸される)という方法を採用
し、次いで、室温〜100℃で2分〜1日乾燥させるこ
とによって本発明の衝撃緩衝材料を得ることができる。
【0016】この場合、シリコーンバンシングパテのコ
ーティング量は、衝撃緩衝材料の用途に応じて決めるこ
とができるが、一般的には、上記乾燥後の衝撃緩衝材料
の比重が0.1〜0.8の範囲となるような量とするこ
とが好ましい。この比重が0.1未満ではシリコーンバ
ンシングパテの形成量が少なすぎるため、充分な衝撃緩
衝効果が得られない場合があり、この比重が0.8を超
えると衝撃緩衝材料を装着した物品の軽量化が十分に成
されない場合がある。
【0017】以上のようにして得られた衝撃緩衝材料
は、穏やかな応力に対してはスムーズに変形し、これに
追従すると共に、応力を取り除くと緩やかに原形に回復
し、また、所定量以上の応力がかかったときには最小の
変形で応力を緩和し、しかも軽量で所望の形状に形成す
ることが容易で安価な衝撃緩衝材料となり、このため椅
子、ヘルメット等の保護具などの衝撃緩衝性を付与する
用途に好適なものである。
【0018】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0019】[実施例1〜6、比較例1〜6]まず、2
5℃における粘度が10センチストークスの両末端エト
キシ基を有するジメチルシロキサン70部に上記と同様
の粘度の両末端ヒドロキシ基を有するジメチルシロキサ
ン30部、ほう酸5.5部、コロイダルシリカ3部をニ
ーダー中で140〜150℃で4時間重合し、シリコー
ンバンシングパテを得た。次いで、このシリコーンバン
シングパテ100部に酢酸エチル100部を加え、ミキ
サーにて溶解し、含浸液を調製した。
【0020】表1に示すウレタンスポンジ((株)イソ
アックコーポレーション製、MFシリーズのポリウレタ
ンフォーム、縦5cm,横5cm,厚さ1cm)に2本
ロールによりロール回隔5mmで上記含浸液を含浸し、
室温に3時間放置し、次いで80℃で30分間乾燥する
ことにより衝撃緩衝材料を得た。
【0021】これら衝撃緩衝材料の衝撃緩衝性を調べる
ために下記の試験方法で落球テストを行った。また、比
較のため、シリコーンバンシングパテを用いないウレタ
ンスポンジの衝撃緩衝性も測定した。更に参考例として
シリコーンバンシングパテについても同様の測定を行っ
た。結果を表1に併記する。
【0022】衝撃緩衝性評価試験方法 外径22mm、重さ45gの鋼球を12cm及び48c
mの高さからそれぞれ5cm×5cm×5mmのアルミ
ニウム板上に載せたサンプル(衝撃緩衝材料)上に落下
させ、そのときにサンプルが受ける衝撃力をロードセル
(共和(株)製、LU−200kg)で測定し、この測
定信号を直流増幅器(UNIPULSE製、AM−3
0)に送出して約1,000倍に増幅し、この増幅値を
アナライジンクレコーダ(横河北辰電機製、Model
3655)に送出し、波形解析を行って波形を記録し、
記録されたピークの値(最大衝撃力)から下記式により
衝撃緩衝性を算出した。
【0023】なお、鋼球の衝突速度は、高さ12cmか
ら鋼球を落下させた場合は1.53m/sec、高さ4
8cmからの場合は3.06m/sec、鋼球の運動量
は、高さ12cmから鋼球を落下させた場合は0.06
9kgf・m/sec、高さ48cmからの場合は0.
138kgf・m/secである。
【0024】
【数1】
【0025】
【表1】 *:実施例はポリウレタンフォームにシリコーンバンシ
ングパテをコーティングしたものの比重、比較例はポリ
ウレタンフォームの比重、参考例はシリコーンバンシン
グパテの比重を示す。
【0026】表1の結果から、実施例の衝撃緩衝材料
は、大きい衝撃力が与えられた場合も十分な衝撃緩衝性
を有し、しかも軽量化が図られたものであると共に、シ
リコーンバンシングパテの特性が十分に発揮されたもの
であることがわかる。
【0027】
【発明の効果】本発明の衝撃緩衝材料は、穏やかな応力
に対してはスムーズに変形し、これに追従すると共に、
応力を取り除くと緩やかに原形に回復し、また、所定量
以上の応力がかかったときには最小の変形で応力を緩和
し、しかも軽量で所望の形状に形成することが容易で安
価な衝撃緩衝材料となり、椅子、ヘルメット等の保護具
などの衝撃緩衝性を付与する用途に好適なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−77558(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部連通空間を有する可撓性の三次元網
    状体又はフォーム体の骨格格子表面を覆ってシリコーン
    バンシングパテでコーティングしてなることを特徴とす
    る衝撃緩衝材料。
  2. 【請求項2】 上記三次元網状体又はフォーム体が連続
    気泡性のプラスチックフォームである請求項1記載の衝
    撃緩衝材料。
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