JP2582324Y2 - フレアスタック用パイロットバーナー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、化学プラント等で発
生する余剰ガスを燃焼処理するフレアスタック用のパイ
ロットバーナーに関し、燃料組成などが変化しても常に
適正空気量を確保するようにして着火用の火炎を保持で
きるようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】ＬＮＧ基地や化学プラント等では、間欠
的に発生する余剰ガスの処理方法の一つとして、図２
（ａ）に示すようなフレアスタック１によって燃焼させ
ることが行われている。

【０００３】このフレアスタック１では、燃焼処理すべ
き余剰ガスが送り込まれたときに確実に点火して燃焼さ
せる必要があり、風向きの変化にも対応できるように燃
焼筒２の周囲に、たとえば３本のパイロットバーナー３
を配置して常時火炎を保持するようにしている。

【０００４】これらパイロットバーナー３では、図２
（ｂ），（ｃ）に示すように、着火用火炎を作るためＬ
ＮＧ基地や化学プラント等からのオフガスの一部の供給
を受けて燃料４とし、この燃料４をノズル５から高速で
噴射させ、エゼクタ効果によって周囲から燃焼用の１次
空気６を吸引するとともに、パイロットバーナー３の本
体先端の背部に形成した孔から２次空気を吸引して混合
し、混合ガスに図示しないイグニッションラインからの
伝ぱん炎や電気で着火するようになっている。

【０００５】このようなパイロットバーナー３の火炎を
保持する場合、燃料４として供給されるオフガスのガス
組成が変化すると燃焼用の１次空気６の吸引量を変える
必要があり、例えば円すい形のスカート部７の中心に空
気調整リング８をねじを介して上下に移動できるように
し、スカート部７と空気調整リング８との隙間９を変え
る等で吸引空気量を調整できるようにしてある。

【０００６】そして、フレアスタック１の試運転の際、
パイロットバーナー３の火炎の状態を目視しながら空気
調整リング８を移動してそのとき供給されている燃料４
に対して適正な吸引空気量となるように隙間９を調整し
た後、フレアスタック１を運転状態にするようにしてい
る。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】ところが、フレアスタ
ック１を運転状態にした状態で化学プラント等の運転条
件が変わりオフガスの組成が変化すると、パイロットバ
ーナー３に供給される燃料４のガス組成も変わり、吸引
空気量を変える必要があるが、パイロットバーナー３が
高所に設置されており、しかもフレアガスの放出による
燃焼筒２で火炎発生の危険があり、化学プラント等が停
止される次のシャットダウンまで調整できず、最悪の場
合には、パイロットバーナー３の火炎を保持することが
できなくなるという問題がある。

【０００８】この考案は、かかる従来技術の課題に鑑み
てなされたもので、フレアスタックが運転状態であって
も燃料ガスの組成変化に対応して適正吸引空気量に調整
することができ、常時着火用火炎を保持することができ
るフレアスタック用パイロットバーナーを提供しようと
するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記従来技術が有する課
題を解決するため、この考案のフレアスタック用パイロ
ットバーナーは、フレアスタックの燃焼筒の周囲に配置
され、燃料とその噴射にともなうエゼクタ効果によって
吸引される空気とで常時着火用の火炎を保持するフレア
スタック用パイロットバーナーにおいて、パイロットバ
ーナー本体に前記空気を吸引する吸引管を設け、この吸
引管に吸引空気量を調整する調整機構を設けるととも
に、この調整機構を駆動する駆動機構をフレアスタック
上部に設け、この駆動機構を遠隔制御する制御手段を地
上に設置したことを特徴とするものである。

【００１０】

【作用】このフレアスタック用パイロットバーナーによ
れば、パイロットバーナー本体に設けた空気の吸引管に
吸引空気量を調整する可動式スリット等の調整機構を設
け、これをサーボモータ等の駆動機構で駆動するととも
に、遠隔制御できるようにしており、フレアスタックが
運転状態でも地上から安全に遠隔操作で吸入空気量の調
整機構を駆動して適正な吸引空気量に調整できる。

【００１１】これにより、燃料ガスの組成が変化しても
常にパイロットバーナーの着火用の火炎を確保すること
ができる。

【００１２】

【実施例】以下、この考案の一実施例を図面に基づき詳
細に説明する。図１（ａ），（ｂ）はこの考案のフレア
スタック用パイロットバーナーの一実施例にかかる概略
構成図およびＡ部の拡大斜視図である。

【００１３】このフレアスタック用パイロットバーナー
１０では、パイロットバーナー本体１１の基端部にシー
ル状態で燃料用のノズル１２が取付けてあり、化学プラ
ント等のオフガスの一部が燃料４として供給されるよう
になっている。

【００１４】さらに、パイロットバーナー本体１１のノ
ズル１２の上方には、空気の吸引管１３がＬ字状に曲げ
て取付けられており、下端が開口するようになってい
る。

【００１５】この吸引管１３の開口には、吸引空気量を
調整する調整機構１４が設けられており、この実施例で
は、回転駆動式のスリットで構成してある。すなわち、
吸引管１３の開口に固定スリット１５が取付けられて円
周上に円形の貫通孔１５ａが形成されており、この固定
スリット１５の外側に回転スリット１６が配置され、こ
の回転スリット１６にも固定スリット１５と同じ配置で
貫通孔１６ａが形成してある。そして、この回転スリッ
ト１６は固定スリット１５および吸引管１３を貫通する
回転軸１７に支持されており、この回転軸１７を回動し
て固定スリット１５の貫通孔１５ａと回転スリット１６
の貫通孔１６ａの重なり方を変えることで吸引管１３の
開口面積を変え、ノズル１２からの燃料４の噴射にとも
なうエゼクタ効果で吸引される１次空気６の吸引空気量
を変えることができるようになっている。

【００１６】この吸引空気量の調整機構１４を駆動する
駆動機構１８として、回転軸１７の上端に歯車１９が取
付けられ、これと噛み合う歯車２０が輻射熱などのから
の保護や防水のためフレアスタック１（図２（ａ）参
照）の頂部床１ａの下面に取付けたサーボモータ２１で
駆動されるようになっている。

【００１７】そして、サーボモータ２１には、地上から
電源が供給されるとともに、地上に設置した制御手段２
２と連結されて遠隔制御できるようになっている。

【００１８】このように構成したフレアスタック用パイ
ロットバーナー１０による吸引空気量の調整は、次のよ
うにして行われる。

【００１９】フレアスタックが停止状態の場合のパイロ
ットバーナー１０の吸引空気量の調整は、フレアスタッ
クの試運転の際、パイロットバーナー１０の火炎の状態
を目視しながら制御手段２２からの遠隔操作でサーボモ
ータ２１を介して調整機構１４の回転スリット１６を回
転し、回転スリット１６の貫通孔１６ａと固定スリット
１５の貫通孔１５ａとの重なりを変えて適正空気量に調
整した後、フレアスタックを運転状態にするようにすれ
ば良い。

【００２０】一方、フレアスタックが運転状態でパイロ
ットバーナー１０への燃料４のガス組成が変化した場合
の吸引空気量の調整は、夜間などパイロットバーナー１
０の火炎の状態が地上から目視できる状態のとき、パイ
ロットバーナー１０の火炎の状態を目視しながら制御手
段２２からの遠隔操作でサーボモータ２１を介して調整
機構１４の回転スリット１６を回転し、回転スリット１
６の貫通孔１６ａと固定スリット１５の貫通孔１５ａと
の重なりを変え、火炎が赤すぎる場合には吸引空気量を
増大するようにし、青白すぎる場合には吸引空気量を低
減するようにすれば良く、青白い適正な火炎となるよう
な空気量に調整する。

【００２１】このように地上からの遠隔操作でパイロッ
トバーナー１０の吸引空気量を調整することができるの
で、燃料のガス組成の変化があっても次のフレアスタッ
クのシャットダウンを待つまでもなく直ちに適正吸引空
気量に保持することができ、着火用の火炎が消えるなど
の問題がなく、常に火炎を保持することができる。

【００２２】また、吸引空気量の調整のためフレアスタ
ックの頂部に登って高所作業を行う必要もなく、フレア
ガス放出による火炎からの危険も回避することができ
る。

【００２３】なお、上記実施例では、回転スリット式の
調整機構をサーボモータで回転駆動するようにしたが、
これに限らず他の調整機構や駆動機構を用いるようにし
ても良い。

【００２４】また、この考案は、上記実施例に限らず、
この考案の要旨を変更しない範囲で各構成要素に変更を
加えるようにしても良い。

【００２５】

【考案の効果】以上、一実施例とともに具体的に説明し
たようにこの考案のフレアスタック用パイロットバーナ
ーによれば、パイロットバーナー本体に設けた空気の吸
引管に吸引空気量を調整する調整機構を設け、これを駆
動機構で駆動するとともに、遠隔制御できるようにした
ので、フレアスタックが運転状態でも地上から安全に遠
隔操作で吸入空気量の調整機構を駆動して適正な吸引空
気量に調整できる。

【００２６】これにより、燃料ガスの組成が変化しても
常にパイロットバーナーの着火用の火炎を確保すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のフレアスタック用パイロットバーナ
ーの一実施例にかかる概略構成図およびＡ部の拡大斜視
図である。

【図２】従来のフレアスタックの概略構成図、Ｂ部拡大
図、Ｃ部拡大図である。

【符号の説明】

１ フレアスタック １ａ 頂部床 ４ 燃料 ６ １次空気 １０ フレアスタック用パイロットバーナー １１ パイロットバーナー本体 １２ 燃料のノズル １３ 吸引管 １４ 吸引空気の調整機構 １５ 固定スリット １５ａ 貫通孔 １６ 回転スリット １６ａ 貫通孔 １７ 回転軸 １８ 駆動機構 １９，２０ 歯車 ２１ サーボモータ ２２ 制御手段

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フレアスタックの燃焼筒の周囲に配置さ
   れ、燃料とその噴射にともなうエゼクタ効果によって吸
   引される空気とで常時着火用の火炎を保持するフレアス
   タック用パイロットバーナーにおいて、パイロットバー
   ナー本体に前記空気を吸引する吸引管を設け、この吸引
   管に吸引空気量を調整する調整機構を設けるとともに、
   この調整機構を駆動する駆動機構をフレアスタック上部
   に設け、この駆動機構を遠隔制御する制御手段を地上に
   設置したことを特徴とするフレアスタック用パイロット
   バーナー。