JP2581967C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
A.発明の目的
(1) 産業上の利用分野
本発明は、自動車等において用いられるマスタシリンダを流体圧源の流体圧に
よって倍力作動させる流体圧ブースタに関し、特に流体圧源の失陥時でも入力の
みによる作動に可能にしたものゝ改良に関する。 (2) 従来の技術 かゝる流体圧ブースタは、例えば特開昭60−107444号公報に開示され
ているように、既に知られている。 上記公報に開示されている流体圧ブースタは、正常な倍力作動時には流体圧源
の流体圧によりブースタピストンを前進させてマスタシリンダの制動油圧室に油
圧を発生させ、流体圧源の失陥時には、入力杆を介してブースタピストンに入力
を与え、正常時と同様にブースタピストンを前進させて前記制動油圧室に油圧を
発生させるようになっている。 (3) 発明が解決しようとする課題 上記のように、流体圧源の正常、失陥に拘らずブースタピストンを作動させる
ようにした流体圧ブースタでは、ブースタピストンの設計が難しい。即ち、流体
圧源の正常時、入力杆のストロークを可及的短くするためにブースタピストンを
大径に形成すれば、流体圧源の失陥時にはマスタシリンダの作動のために大なる
入力を必要とする。これと反対にブースタピストンを小径に形成すれば、流体圧
源の正常時でも入力杆のストロークが長くなって操作フィーリングを損うことに
なる。 本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、流体圧源の正常時には入力杆
の比較的短いストロークをもってマスタシリンダを作動させ、失陥時には比較的
小さい入力をもってマスタシリンダを作動させ得るようにした流体圧ブースタを
提供することを目的とする。 B.発明の構成 (1) 課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明は、マスタシリンダのシリンダ本体後部に 連設されるブースタ本体と、このブースタ本体内に摺動自在に嵌合して前端をマ
スタシリンダの制動油圧室に臨ませると共に、後端をブースタ本体内の出力流体
圧室に臨ませたブースタピストンと、前端を前記制動油圧室に臨ませてブースタ
ピストンに嵌合し、ブースタピストンの前進時にはそれと共に前進するが単独で
も前進し得る内側ピストンと、この内側ピストンに軸方向進退可能に連結した入
力杆と、ブースタ本体内の、流体圧源に連なる入力流体圧室及び前記出力流体圧
室間を結ぶ流路に設けられ、入力杆の後退時に閉弁し前進時に開弁するよう入力
杆に連動した入口弁と、前記出力流体圧室及び流体タンク間を結ぶ流路に設けら
れ、入力杆の後退時に開弁し前進時に閉弁するよう入力杆に連動した出口弁とを
備え、前記内側ピストンは、ブースタ本体の後端壁を摺動自在に貫通して、後端
をブースタ本体後方に突出させていることを特徴とする。 尚、流体圧としては油圧、空気圧等が使用される。 (2) 作 用 上記構成によれば、流体圧源の正常時に入力杆を前進させれば、流体圧源の流
体圧が入力流体圧室から出力流体圧室に伝達し、この流体圧を受けてブースタピ
ストンは前進する。このときブースタピストンは内側ピストンを伴うので、両ピ
ストンによってマスタシリンダの制動油圧室が加圧される。したがって、ブース
タピストンの比較的短いストロークをもって制動油圧室を効果的に加圧すること
ができる。 また、流体圧源の失陥時に入力杆を前進させれば、入力杆に与えた入力は内側
ピストンに直接伝達してこれを前進させる。このとき、内側ピストンはブースタ
ピストンを置き去りにして前進するので、マスタシリンダの制動油圧室は内側ピ
ストンのみによって加圧される。その結果、内側ピストンのストロークは増加す
るが、その分、入力杆に与える入力の軽減がもたらされる。 (3) 実 施 例 以下、図面により本発明の一実施例について説明すると、第1図において、M
は自動車の2系統式油圧ブレーキ用タンデム型マスタシリンダであり、そのシリ
ンダ本体1の上側に油槽2が形成される。この油槽2の内部は、下半部が隔壁2
aによって前部油溜21と後部油溜22とに区画される。 シリンダ本体1のシリンダ孔3は油槽2の直下を通る小径孔3aと、この小径
孔3aの後端に連なる大径孔3bとから段付に構成される。シリンダ孔3内は、
小径孔3aに摺動自在に嵌合するマスタピストン4により前部制動油圧室51と
後部制動油圧室52とに区画され、これら制動油圧室51,52は出力ポート61,
62を介して各独立した2系統のブレーキ油圧回路71,72に連なる。 小径孔3aの後端部内壁にはマスタピストン4の後退限を規制する止環8が係
止され、その後退限に向ってマスタピストン4を付勢する戻しばね9が前部制動
油圧室51に縮設される。 マスタピストン4の外周には、前部制動油圧室51と常時連通する環状の補給
油室10が形成されており、この補給油室10と前部制動油圧室51の間を開閉
する公知のセンタ型リリーフポート弁11がマスタピストン4に設けられる。即
ち、リリーフポート弁11は、マスタピストン4の後退限では前部制動油圧室5
1及び補給油室10間を連通するが、該ピストン4の前進時には両室51,10間
を遮断する。 シリンダ本体1の後端部外周には本発明の流体圧ブースタBのブースタ本体2
0の前端部が嵌合して結着される。ブースタ本体20の内面には、シリンダ本体
1の後端に当接する前部スリーブ21と、この前部スリーブ21の後端にスペー
サ23を介して当接する後部スリーブ22とが嵌着される。前部スリーブ21は
、シリンダ本体1の大径孔3bに続くシリンダ孔24を有すると共に、後端に内
向きフランジ21aを有する。また後部スリーブ22は、上記フランジ21aの
内孔25よりも若干大径のシリンダ孔26を有する。 前部スリーブ21のシリンダ孔24には、前記後部制動油圧室52に前端部を
臨ませたブースタピストン27が摺動自在に嵌合され、このブースタピストン2
7は、前記フランジ21aに当接することにより後退限を規制されるようになっ
ている。 ブースタピストン27は、シリンダ本体1の小径孔3aと略同径で該ピストン
27の前面に開口する前部シリンダ孔28aと、それより小径且つフランジ21
aの内孔25と略同径で該ピストン27の後面に開口する後部シリンダ孔28b
とからなる段付シリンダ孔を有し、この段付シリンダ孔に同じく段付の内側ピス トン29が摺動自在に嵌合される。 内側ピストン29は、その段部29aがブースタピストン27の段部27aに
離間可能に係合するようになっており、この内側ピストン29を後退方向へ付勢
する戻しばね30が前記後部制動油圧室52に配設される。 第2図に明示するように、内側ピストン29は、前記フランジ21aの内孔2
5を摺動自在に貫通し、また後部スリーブ22のシリンダ孔26を緩く貫通し、
更にブースタ本体20の後端壁を摺動自在に貫通して、後端をブースタ本体1後
方へ充分長く突出させている。 この内側ピストン29は中空になっており、その中空部に弁ピストン31、こ
の弁ピストン31の前端に緩衝ゴム32を介して当接する大径の入力ピストン3
3、内側ピストン29の前端に連接する延長ロッド34、及び反力機構35が配
設される。そして、入力ピストン33の後退限を規制する止環36が内側ピスト
ン29の後端部に係止され、この止環36に向って延長ロッド34を弾発する弁
ばね37が内側ピストン29内に収納される。また入力ピストン33には、ブレ
ーキペダル38によって操作される入力杆39が連結される。 ブースタ本体20と前部スリーブ21との間には前後に並ぶ環状油路40,4
1が形成され、またブースタ本体20と後部スリーブ22との間にも環状油路4
2が形成される。そして、前部の環状油路40は低圧導管43を介して前記後部
油溜22に、中央の環状油路41は高圧導管44を介して流体圧源としての油圧
ポンプ45(第1図参照)の吐出口に、後部の環状油路42は第2の低圧導管4
6を介して流体タンクとしての油タンク47(第1図参照)にそれぞれ連通する
。 また中央の環状油路41は、前記スペーサ23の放射状油路48を介して後部
スリーブ22及び内側ピストン29間の入力油圧室49即ち入力流体圧室と連通
する。 この入力油圧室49は、前記フランジ21aに装着されて内周リップを内側ピ
ストン29の外周面に密接させる前部シール部材50と、内側ピストン29に装
着されて外周リップを後部スリーブ22内周面に密接させる後部シール部材51
との間に画成される。したがって、後部シール部材51の外周リップは、前部シ
ール部材50の内周リップよりも大径となるので、両シール部材50,51間に は、入力油圧室49の油圧による軸方向の推力が発生し、この推力が後部シール
部材51を介して内側ピストン29に後退力として作用する。 内側ピストン29には、入力油圧室49に連なる放射状の入口ポート52と、
前記環状油路42に連なる放射状の出口ポート53とが穿設される。 弁ピストン31は、入口ポート52を開閉する入口弁としての中央ランド55
と、出口ポート53を開閉する出口弁としての後部ランド56とを有する。これ
らランド55,56間に画成された環状溝58は、弁ピストン31及び内側ピス
トン29に設けられた一連の油路59を介して、ブースタピストン27の後端面
が臨む出力油圧室60即ち出力流体圧室に連通する。 また内側ピストン29内には、弁ピストン31の前端面が臨む反力油圧室61
が設けられ、該室61は油路54を介して後部制動油圧室52と連通する。 さらに内側ピストン29には、反力油圧室61に開口する放射状のリリーフポ
ート62が穿設される。このリリーフポート62は、前部スリーブ21、ブース
タピストン27及び弁ピストン31に設けられた一連の油路63を介して前記環
状油路40に連通し、そして弁ピストン31前部に形成されたリリーフポート弁
としての前部ランド57により開閉されるようになっている。 弁ピストン31の前部ランド57、中央ランド55及び後部ランド56は、リ
リーフポート62、入口ポート52及び出口ポート53の開閉タイミングが次の
ようになるよう配置される。即ち、弁ピストン31が後退限に位置するときには
、リリーフポート62及び出口ポート53は開き状態、入口ポート52は閉じ状
態にあり、弁ピストン31が後退限から前進すると、最初に前部ランド57によ
りリリーフポート62が閉じられ、次にやゝ遅れて後部ランド56により出口ポ
ート53が閉じられ、この出口ポート53の完全閉鎖後、中央ランド55により
入口ポート52が開かれる。 尚、リリーフポート62及び出口ポート53の閉鎖は同時であってもよい。 前記反力機構35は、内側ピストン29の前端面に開口する有底シリンダ孔6
4に奥から順に嵌装されたカラー65、弾性ピストン66及び出力ピストン67
を備え、出力ピストン67は止環68によってシリンダ孔64からの抜け止めが
なされる。カラー65には、前記延長ロッド34の前端に対向する反力ピストン 69が摺動自在に嵌合され、この反力ピストン69は弾性ピストン66より充分
小径に形成されている。 出力ピストン67の前面には出力杆70が突設されており、この出力杆70は
通常、マスタピストン4との間に一定の間隔を保っている。 再び第1図において、前記油圧ポンプ45には、これを駆動する電動モータ7
1が接続され、また前記高圧導管44にはアキュムレータ72が接続される。 次にこの実施例の作用について説明する。 ブレーキペダル38の非作動状態では、第1図及び第2図に示すように、弁ピ
ストン31は弁ばね37により後退限に保持され、この弁ピストン31によって
リリーフポート62及び出口ポート53が開かれ、入口ポート52は閉じられる
。 したがって、マスタシリンダMの後部制動油圧室52はリリーフポート62及
び低圧導管43を介して後部油溜22と連通して大気圧状態となっているので、
マスタピストン4は戻しばね9により後退限に保持される。この状態ではリリー
フポート弁11は開弁しているので、前部制動油圧室51も前部油溜21と連通し
て大気圧状態となっている。 一方、出力油圧室60は出口ポート53及び第2の低圧導管46を介して油タ
ンク47に連通して大気圧状態となっているので、ブースタピストン27及び内
側ピストン29は戻しばね30の力と入力油圧室49の油圧による戻し力とによ
り後退限に保持される。 この間、入力油圧室49には、油圧ポンプ45及びアキュムレータ72から高
圧導管44を通して送られた圧油が待機する。 いま、自動車を制動すべくブレーキペダル38を踏込むと、入力杆39及び入
力ピストン33を介して弁ピストン31が前進し、先ず前部ランド57によりリ
リーフポート62が閉じられ、次にやゝ遅れて後部ランド56により出口ポート
53が閉じられ、最後に中央ランド55により入口ポート52が開かれる。 すると、入力油圧室49に待機していた圧油が入口ポート52から環状溝58
を経て出力油圧室60に進入し、その油圧を受けてブースタピストン27は前進
する。このとき、ブースタピストン27及び内側ピストン29は互いに段部27
a,29aを当接させているので、ブースタピストン27は内側ピストン29を 伴って前進する。 両ピストン27,29の前進によれば、前述のようにリリーフポート62は既
に閉じられているので、後部制動油圧室52に油圧が発生し、その油圧を受けて
マスタピストン4は前進して前部制動油圧室51にも油圧を発生させる。その結
果、両出力ポート61,62から油圧がそれぞれ出力され、両ブレーキ油圧回路7
1,72を同時に作動させることができる。 ブースタピストン27及び内側ピストン29の前進は、弁ピストン31の中央
ランド55により入口ポート52が閉じられたところで停止する。即ち、ブース
タピストン27及び内側ピストン29は弁ピストン31に対して倣い動作をする
ことになる。 ところで、ブースタピストン27はマスタピストン4よりも充分大径に形成さ
れており、このようなブースタピストン27と内側ピストン29との同時作動に
よれば、比較的短いストロークをもって後部制動油圧室52に効果的に油圧を発
生させることができる。その結果、入力杆39のストローク、即ちブレーキペダ
ルの踏込量が小さくて足り、操作フィーリングの向上がもたらされる。 また、リリーフポート62はブースタピストン27の前進作動前に弁ピストン
31の前部ランド57により閉じられるから、ブースタピストン27は前進と同
時に後部制動油圧室52に油圧を発生させることができ、無効ストロークが殆ど
ない。しかも、前部ランド57によるリリーフポート62の閉鎖は、後部ランド
56による出口ポート53の閉鎖と共に進行するので、リリーフポート62の閉
鎖のために弁ピストン31延いては入力杆39の作動ストロークが特別に増加す
ることもない。特に、図示例のように同一の弁ピストン31に形成された3つの
ランド57,55,56によりリリーフポート62、入口ポート52及び出口ポ
ート53の開閉制御を行うようにしたことは、それらの開閉タイミングを、弁ピ
ストン31の短い作動ストロークをもって正確に得る上に極めて有効である。 このような通常の制動中は、出力杆70はマスタピストン4に当接するには至
らない。そして後部制動油圧室52に発生した油圧は油路54を通して反力油圧
室61にも伝達し、弁ピストン31の前面に作用して反力を与える。この反力は
入力ピストン33、入力杆39及びブレーキペダル38を介して操縦者へフィー ドバックされるので、操縦者はその反力から制動力の強さを知ることができる。 このような制動時に、若し前部制動油圧室51系のブレーキ油圧回路71のみに
失陥が生じると、マスタピストン4の前進によるも前部制動油圧室51には油圧
が発生しないので、マスタピストン4が前部制動油圧室51の前端壁に当接する
までのブースタピストン27及び内側ピストン29の前進ストロークは無効スト
ロークとなるが、その後の両ピストン27,29の前進によって後部制動油圧室
52には油圧を発生させることができる。このときのマスタシリンダMの作動反
力は、前記正常時と同様に反力油圧室の油圧を介して入力側へフィードバックさ
れる。 また、これとは反対に後部制動油圧室52系のブレーキ油圧回路72のみに失陥
が生じると、後部制動油圧室52には油圧が発生しないので、出力杆70がマス
タピストン4の後端に当接するまでのブースタピストン27及び内側ピストン2
9の前進ストロークは無効ストロークとなるが、その後の両ピストン27,29
の前進がマスタピストン4を前進せしめ、前部制動油圧室51には油圧を発生さ
せることができる。このとき、マスタシリンダMの作動反力は、出力杆70から
出力ピストン67を介して弾性ピストン66に伝達し、該ピストン66に圧縮変
形を与えるので、その圧縮力の一部が反力ピストン69を介して延長ロッド34
及び弁ピストン31へ、そして入力側へフィードバックされる。 次に油圧ポンプ45から入力油圧室49に至る油圧経路に欠陥を生じた場合を
想定する。この場合、入力油圧室49から油圧は消失するので、ブレーキペダル
38の踏込操作により弁ピストン31を前進させて入口ポート52を開いてもブ
ースタピストン27は前進不能である。 そこで、弁ピストン31が内側ピストン29に対し所定量前進すると、入力ピ
ストン33が内側ピストン29に当接するので、ブレーキペダル38に加えた踏
力が内側ピストン29に伝達してこれを前進させ、マスタシリンダMを踏力、即
ち入力のみで作動させることができる。 この場合、ブースタピストン29は後退限に置き去りにされるので、内側ピス
トン29のみで後部制動油圧室52を加圧することになる。したがって、同一の
制動力を得るためには、ブースタピストン27及び内側ピストン29の両方によ って後部制動油圧室52を加圧する倍力作動時に比べ、内側ピストン29のスト
ロークは増加するが、それによって入力の軽減を図ることができる。 また内側ピストン29のみの前進によれば、それの段部29aがブースタピス
トン27の段部27aから離間し、両段部27a,29a間の容積が増加してい
き、そこに負圧を生じるが、上記容積が極めて小さいこと、負圧の発生に伴い後
部油溜22の油が低圧導管43、環状油路42及び油路63を経て上記両段部2
7a,29a間に吸入されていくことにより、上記負圧の内側ピストン29に与
える前進抵抗は小さい。 またこの場合は、入力油圧室49の油圧の内側ピストン29に対する戻し力も
消失しているから、これによっても内側ピストン29の前進抵抗の減少がもたら
される。 C.発明の効果 以上のように本発明によれば、流体圧源の正常時には、ブースタピストン及び
内側ピストンの両方によってマスタシリンダの制動油圧室を加圧し、流体圧源の
失陥時には内側ピストンのみで同制動油圧室を加圧するようにしたので、正常時
には入力杆のストロークを短くして操作フィーリングを向上させ、失陥時には入
力の軽減を図ることができる。 またブースタピストンに嵌合された内側ピストンがブースタ本体の後端壁を摺
動自在に貫通して、後端をブースタ本体後方に突出しており、その内側ピストン
に入力杆が軸方向進退可能に連結される。
よって倍力作動させる流体圧ブースタに関し、特に流体圧源の失陥時でも入力の
みによる作動に可能にしたものゝ改良に関する。 (2) 従来の技術 かゝる流体圧ブースタは、例えば特開昭60−107444号公報に開示され
ているように、既に知られている。 上記公報に開示されている流体圧ブースタは、正常な倍力作動時には流体圧源
の流体圧によりブースタピストンを前進させてマスタシリンダの制動油圧室に油
圧を発生させ、流体圧源の失陥時には、入力杆を介してブースタピストンに入力
を与え、正常時と同様にブースタピストンを前進させて前記制動油圧室に油圧を
発生させるようになっている。 (3) 発明が解決しようとする課題 上記のように、流体圧源の正常、失陥に拘らずブースタピストンを作動させる
ようにした流体圧ブースタでは、ブースタピストンの設計が難しい。即ち、流体
圧源の正常時、入力杆のストロークを可及的短くするためにブースタピストンを
大径に形成すれば、流体圧源の失陥時にはマスタシリンダの作動のために大なる
入力を必要とする。これと反対にブースタピストンを小径に形成すれば、流体圧
源の正常時でも入力杆のストロークが長くなって操作フィーリングを損うことに
なる。 本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、流体圧源の正常時には入力杆
の比較的短いストロークをもってマスタシリンダを作動させ、失陥時には比較的
小さい入力をもってマスタシリンダを作動させ得るようにした流体圧ブースタを
提供することを目的とする。 B.発明の構成 (1) 課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明は、マスタシリンダのシリンダ本体後部に 連設されるブースタ本体と、このブースタ本体内に摺動自在に嵌合して前端をマ
スタシリンダの制動油圧室に臨ませると共に、後端をブースタ本体内の出力流体
圧室に臨ませたブースタピストンと、前端を前記制動油圧室に臨ませてブースタ
ピストンに嵌合し、ブースタピストンの前進時にはそれと共に前進するが単独で
も前進し得る内側ピストンと、この内側ピストンに軸方向進退可能に連結した入
力杆と、ブースタ本体内の、流体圧源に連なる入力流体圧室及び前記出力流体圧
室間を結ぶ流路に設けられ、入力杆の後退時に閉弁し前進時に開弁するよう入力
杆に連動した入口弁と、前記出力流体圧室及び流体タンク間を結ぶ流路に設けら
れ、入力杆の後退時に開弁し前進時に閉弁するよう入力杆に連動した出口弁とを
備え、前記内側ピストンは、ブースタ本体の後端壁を摺動自在に貫通して、後端
をブースタ本体後方に突出させていることを特徴とする。 尚、流体圧としては油圧、空気圧等が使用される。 (2) 作 用 上記構成によれば、流体圧源の正常時に入力杆を前進させれば、流体圧源の流
体圧が入力流体圧室から出力流体圧室に伝達し、この流体圧を受けてブースタピ
ストンは前進する。このときブースタピストンは内側ピストンを伴うので、両ピ
ストンによってマスタシリンダの制動油圧室が加圧される。したがって、ブース
タピストンの比較的短いストロークをもって制動油圧室を効果的に加圧すること
ができる。 また、流体圧源の失陥時に入力杆を前進させれば、入力杆に与えた入力は内側
ピストンに直接伝達してこれを前進させる。このとき、内側ピストンはブースタ
ピストンを置き去りにして前進するので、マスタシリンダの制動油圧室は内側ピ
ストンのみによって加圧される。その結果、内側ピストンのストロークは増加す
るが、その分、入力杆に与える入力の軽減がもたらされる。 (3) 実 施 例 以下、図面により本発明の一実施例について説明すると、第1図において、M
は自動車の2系統式油圧ブレーキ用タンデム型マスタシリンダであり、そのシリ
ンダ本体1の上側に油槽2が形成される。この油槽2の内部は、下半部が隔壁2
aによって前部油溜21と後部油溜22とに区画される。 シリンダ本体1のシリンダ孔3は油槽2の直下を通る小径孔3aと、この小径
孔3aの後端に連なる大径孔3bとから段付に構成される。シリンダ孔3内は、
小径孔3aに摺動自在に嵌合するマスタピストン4により前部制動油圧室51と
後部制動油圧室52とに区画され、これら制動油圧室51,52は出力ポート61,
62を介して各独立した2系統のブレーキ油圧回路71,72に連なる。 小径孔3aの後端部内壁にはマスタピストン4の後退限を規制する止環8が係
止され、その後退限に向ってマスタピストン4を付勢する戻しばね9が前部制動
油圧室51に縮設される。 マスタピストン4の外周には、前部制動油圧室51と常時連通する環状の補給
油室10が形成されており、この補給油室10と前部制動油圧室51の間を開閉
する公知のセンタ型リリーフポート弁11がマスタピストン4に設けられる。即
ち、リリーフポート弁11は、マスタピストン4の後退限では前部制動油圧室5
1及び補給油室10間を連通するが、該ピストン4の前進時には両室51,10間
を遮断する。 シリンダ本体1の後端部外周には本発明の流体圧ブースタBのブースタ本体2
0の前端部が嵌合して結着される。ブースタ本体20の内面には、シリンダ本体
1の後端に当接する前部スリーブ21と、この前部スリーブ21の後端にスペー
サ23を介して当接する後部スリーブ22とが嵌着される。前部スリーブ21は
、シリンダ本体1の大径孔3bに続くシリンダ孔24を有すると共に、後端に内
向きフランジ21aを有する。また後部スリーブ22は、上記フランジ21aの
内孔25よりも若干大径のシリンダ孔26を有する。 前部スリーブ21のシリンダ孔24には、前記後部制動油圧室52に前端部を
臨ませたブースタピストン27が摺動自在に嵌合され、このブースタピストン2
7は、前記フランジ21aに当接することにより後退限を規制されるようになっ
ている。 ブースタピストン27は、シリンダ本体1の小径孔3aと略同径で該ピストン
27の前面に開口する前部シリンダ孔28aと、それより小径且つフランジ21
aの内孔25と略同径で該ピストン27の後面に開口する後部シリンダ孔28b
とからなる段付シリンダ孔を有し、この段付シリンダ孔に同じく段付の内側ピス トン29が摺動自在に嵌合される。 内側ピストン29は、その段部29aがブースタピストン27の段部27aに
離間可能に係合するようになっており、この内側ピストン29を後退方向へ付勢
する戻しばね30が前記後部制動油圧室52に配設される。 第2図に明示するように、内側ピストン29は、前記フランジ21aの内孔2
5を摺動自在に貫通し、また後部スリーブ22のシリンダ孔26を緩く貫通し、
更にブースタ本体20の後端壁を摺動自在に貫通して、後端をブースタ本体1後
方へ充分長く突出させている。 この内側ピストン29は中空になっており、その中空部に弁ピストン31、こ
の弁ピストン31の前端に緩衝ゴム32を介して当接する大径の入力ピストン3
3、内側ピストン29の前端に連接する延長ロッド34、及び反力機構35が配
設される。そして、入力ピストン33の後退限を規制する止環36が内側ピスト
ン29の後端部に係止され、この止環36に向って延長ロッド34を弾発する弁
ばね37が内側ピストン29内に収納される。また入力ピストン33には、ブレ
ーキペダル38によって操作される入力杆39が連結される。 ブースタ本体20と前部スリーブ21との間には前後に並ぶ環状油路40,4
1が形成され、またブースタ本体20と後部スリーブ22との間にも環状油路4
2が形成される。そして、前部の環状油路40は低圧導管43を介して前記後部
油溜22に、中央の環状油路41は高圧導管44を介して流体圧源としての油圧
ポンプ45(第1図参照)の吐出口に、後部の環状油路42は第2の低圧導管4
6を介して流体タンクとしての油タンク47(第1図参照)にそれぞれ連通する
。 また中央の環状油路41は、前記スペーサ23の放射状油路48を介して後部
スリーブ22及び内側ピストン29間の入力油圧室49即ち入力流体圧室と連通
する。 この入力油圧室49は、前記フランジ21aに装着されて内周リップを内側ピ
ストン29の外周面に密接させる前部シール部材50と、内側ピストン29に装
着されて外周リップを後部スリーブ22内周面に密接させる後部シール部材51
との間に画成される。したがって、後部シール部材51の外周リップは、前部シ
ール部材50の内周リップよりも大径となるので、両シール部材50,51間に は、入力油圧室49の油圧による軸方向の推力が発生し、この推力が後部シール
部材51を介して内側ピストン29に後退力として作用する。 内側ピストン29には、入力油圧室49に連なる放射状の入口ポート52と、
前記環状油路42に連なる放射状の出口ポート53とが穿設される。 弁ピストン31は、入口ポート52を開閉する入口弁としての中央ランド55
と、出口ポート53を開閉する出口弁としての後部ランド56とを有する。これ
らランド55,56間に画成された環状溝58は、弁ピストン31及び内側ピス
トン29に設けられた一連の油路59を介して、ブースタピストン27の後端面
が臨む出力油圧室60即ち出力流体圧室に連通する。 また内側ピストン29内には、弁ピストン31の前端面が臨む反力油圧室61
が設けられ、該室61は油路54を介して後部制動油圧室52と連通する。 さらに内側ピストン29には、反力油圧室61に開口する放射状のリリーフポ
ート62が穿設される。このリリーフポート62は、前部スリーブ21、ブース
タピストン27及び弁ピストン31に設けられた一連の油路63を介して前記環
状油路40に連通し、そして弁ピストン31前部に形成されたリリーフポート弁
としての前部ランド57により開閉されるようになっている。 弁ピストン31の前部ランド57、中央ランド55及び後部ランド56は、リ
リーフポート62、入口ポート52及び出口ポート53の開閉タイミングが次の
ようになるよう配置される。即ち、弁ピストン31が後退限に位置するときには
、リリーフポート62及び出口ポート53は開き状態、入口ポート52は閉じ状
態にあり、弁ピストン31が後退限から前進すると、最初に前部ランド57によ
りリリーフポート62が閉じられ、次にやゝ遅れて後部ランド56により出口ポ
ート53が閉じられ、この出口ポート53の完全閉鎖後、中央ランド55により
入口ポート52が開かれる。 尚、リリーフポート62及び出口ポート53の閉鎖は同時であってもよい。 前記反力機構35は、内側ピストン29の前端面に開口する有底シリンダ孔6
4に奥から順に嵌装されたカラー65、弾性ピストン66及び出力ピストン67
を備え、出力ピストン67は止環68によってシリンダ孔64からの抜け止めが
なされる。カラー65には、前記延長ロッド34の前端に対向する反力ピストン 69が摺動自在に嵌合され、この反力ピストン69は弾性ピストン66より充分
小径に形成されている。 出力ピストン67の前面には出力杆70が突設されており、この出力杆70は
通常、マスタピストン4との間に一定の間隔を保っている。 再び第1図において、前記油圧ポンプ45には、これを駆動する電動モータ7
1が接続され、また前記高圧導管44にはアキュムレータ72が接続される。 次にこの実施例の作用について説明する。 ブレーキペダル38の非作動状態では、第1図及び第2図に示すように、弁ピ
ストン31は弁ばね37により後退限に保持され、この弁ピストン31によって
リリーフポート62及び出口ポート53が開かれ、入口ポート52は閉じられる
。 したがって、マスタシリンダMの後部制動油圧室52はリリーフポート62及
び低圧導管43を介して後部油溜22と連通して大気圧状態となっているので、
マスタピストン4は戻しばね9により後退限に保持される。この状態ではリリー
フポート弁11は開弁しているので、前部制動油圧室51も前部油溜21と連通し
て大気圧状態となっている。 一方、出力油圧室60は出口ポート53及び第2の低圧導管46を介して油タ
ンク47に連通して大気圧状態となっているので、ブースタピストン27及び内
側ピストン29は戻しばね30の力と入力油圧室49の油圧による戻し力とによ
り後退限に保持される。 この間、入力油圧室49には、油圧ポンプ45及びアキュムレータ72から高
圧導管44を通して送られた圧油が待機する。 いま、自動車を制動すべくブレーキペダル38を踏込むと、入力杆39及び入
力ピストン33を介して弁ピストン31が前進し、先ず前部ランド57によりリ
リーフポート62が閉じられ、次にやゝ遅れて後部ランド56により出口ポート
53が閉じられ、最後に中央ランド55により入口ポート52が開かれる。 すると、入力油圧室49に待機していた圧油が入口ポート52から環状溝58
を経て出力油圧室60に進入し、その油圧を受けてブースタピストン27は前進
する。このとき、ブースタピストン27及び内側ピストン29は互いに段部27
a,29aを当接させているので、ブースタピストン27は内側ピストン29を 伴って前進する。 両ピストン27,29の前進によれば、前述のようにリリーフポート62は既
に閉じられているので、後部制動油圧室52に油圧が発生し、その油圧を受けて
マスタピストン4は前進して前部制動油圧室51にも油圧を発生させる。その結
果、両出力ポート61,62から油圧がそれぞれ出力され、両ブレーキ油圧回路7
1,72を同時に作動させることができる。 ブースタピストン27及び内側ピストン29の前進は、弁ピストン31の中央
ランド55により入口ポート52が閉じられたところで停止する。即ち、ブース
タピストン27及び内側ピストン29は弁ピストン31に対して倣い動作をする
ことになる。 ところで、ブースタピストン27はマスタピストン4よりも充分大径に形成さ
れており、このようなブースタピストン27と内側ピストン29との同時作動に
よれば、比較的短いストロークをもって後部制動油圧室52に効果的に油圧を発
生させることができる。その結果、入力杆39のストローク、即ちブレーキペダ
ルの踏込量が小さくて足り、操作フィーリングの向上がもたらされる。 また、リリーフポート62はブースタピストン27の前進作動前に弁ピストン
31の前部ランド57により閉じられるから、ブースタピストン27は前進と同
時に後部制動油圧室52に油圧を発生させることができ、無効ストロークが殆ど
ない。しかも、前部ランド57によるリリーフポート62の閉鎖は、後部ランド
56による出口ポート53の閉鎖と共に進行するので、リリーフポート62の閉
鎖のために弁ピストン31延いては入力杆39の作動ストロークが特別に増加す
ることもない。特に、図示例のように同一の弁ピストン31に形成された3つの
ランド57,55,56によりリリーフポート62、入口ポート52及び出口ポ
ート53の開閉制御を行うようにしたことは、それらの開閉タイミングを、弁ピ
ストン31の短い作動ストロークをもって正確に得る上に極めて有効である。 このような通常の制動中は、出力杆70はマスタピストン4に当接するには至
らない。そして後部制動油圧室52に発生した油圧は油路54を通して反力油圧
室61にも伝達し、弁ピストン31の前面に作用して反力を与える。この反力は
入力ピストン33、入力杆39及びブレーキペダル38を介して操縦者へフィー ドバックされるので、操縦者はその反力から制動力の強さを知ることができる。 このような制動時に、若し前部制動油圧室51系のブレーキ油圧回路71のみに
失陥が生じると、マスタピストン4の前進によるも前部制動油圧室51には油圧
が発生しないので、マスタピストン4が前部制動油圧室51の前端壁に当接する
までのブースタピストン27及び内側ピストン29の前進ストロークは無効スト
ロークとなるが、その後の両ピストン27,29の前進によって後部制動油圧室
52には油圧を発生させることができる。このときのマスタシリンダMの作動反
力は、前記正常時と同様に反力油圧室の油圧を介して入力側へフィードバックさ
れる。 また、これとは反対に後部制動油圧室52系のブレーキ油圧回路72のみに失陥
が生じると、後部制動油圧室52には油圧が発生しないので、出力杆70がマス
タピストン4の後端に当接するまでのブースタピストン27及び内側ピストン2
9の前進ストロークは無効ストロークとなるが、その後の両ピストン27,29
の前進がマスタピストン4を前進せしめ、前部制動油圧室51には油圧を発生さ
せることができる。このとき、マスタシリンダMの作動反力は、出力杆70から
出力ピストン67を介して弾性ピストン66に伝達し、該ピストン66に圧縮変
形を与えるので、その圧縮力の一部が反力ピストン69を介して延長ロッド34
及び弁ピストン31へ、そして入力側へフィードバックされる。 次に油圧ポンプ45から入力油圧室49に至る油圧経路に欠陥を生じた場合を
想定する。この場合、入力油圧室49から油圧は消失するので、ブレーキペダル
38の踏込操作により弁ピストン31を前進させて入口ポート52を開いてもブ
ースタピストン27は前進不能である。 そこで、弁ピストン31が内側ピストン29に対し所定量前進すると、入力ピ
ストン33が内側ピストン29に当接するので、ブレーキペダル38に加えた踏
力が内側ピストン29に伝達してこれを前進させ、マスタシリンダMを踏力、即
ち入力のみで作動させることができる。 この場合、ブースタピストン29は後退限に置き去りにされるので、内側ピス
トン29のみで後部制動油圧室52を加圧することになる。したがって、同一の
制動力を得るためには、ブースタピストン27及び内側ピストン29の両方によ って後部制動油圧室52を加圧する倍力作動時に比べ、内側ピストン29のスト
ロークは増加するが、それによって入力の軽減を図ることができる。 また内側ピストン29のみの前進によれば、それの段部29aがブースタピス
トン27の段部27aから離間し、両段部27a,29a間の容積が増加してい
き、そこに負圧を生じるが、上記容積が極めて小さいこと、負圧の発生に伴い後
部油溜22の油が低圧導管43、環状油路42及び油路63を経て上記両段部2
7a,29a間に吸入されていくことにより、上記負圧の内側ピストン29に与
える前進抵抗は小さい。 またこの場合は、入力油圧室49の油圧の内側ピストン29に対する戻し力も
消失しているから、これによっても内側ピストン29の前進抵抗の減少がもたら
される。 C.発明の効果 以上のように本発明によれば、流体圧源の正常時には、ブースタピストン及び
内側ピストンの両方によってマスタシリンダの制動油圧室を加圧し、流体圧源の
失陥時には内側ピストンのみで同制動油圧室を加圧するようにしたので、正常時
には入力杆のストロークを短くして操作フィーリングを向上させ、失陥時には入
力の軽減を図ることができる。 またブースタピストンに嵌合された内側ピストンがブースタ本体の後端壁を摺
動自在に貫通して、後端をブースタ本体後方に突出しており、その内側ピストン
に入力杆が軸方向進退可能に連結される。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すもので、第1図はタンデム型マスタシリンダに
結合された本発明流体圧ブースタの縦断側面図、第2図は第1図の要部の拡大図
である。 B…流体圧ブースタ、M…スタシリンダ 1…シリンダ本体、52…制動油圧室、20…ブースタ本体、27…ブースタ
ピストン、29…内側ピストン、31…弁ピストン、39…入力杆、45…流体
圧源としての油圧ポンプ、47…流体タンクとしての油タンク、49…入力流体
圧室としての入力油圧室、52…入口ポート、53…出口ポート、55…入口弁 としての中央ランド、56…出口弁としての後部ランド、60…出力流体圧室と
しての出力油圧室
結合された本発明流体圧ブースタの縦断側面図、第2図は第1図の要部の拡大図
である。 B…流体圧ブースタ、M…スタシリンダ 1…シリンダ本体、52…制動油圧室、20…ブースタ本体、27…ブースタ
ピストン、29…内側ピストン、31…弁ピストン、39…入力杆、45…流体
圧源としての油圧ポンプ、47…流体タンクとしての油タンク、49…入力流体
圧室としての入力油圧室、52…入口ポート、53…出口ポート、55…入口弁 としての中央ランド、56…出口弁としての後部ランド、60…出力流体圧室と
しての出力油圧室
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 マスタシリンダのシリンダ本体後部に連設されるブースタ本体と、このブース
タ本体内に摺動自在に嵌合して前端をマスタシリンダの制動油圧室に臨ませると
共に、後端をブースタ本体内の出力流体圧室に臨ませたブースタピストンと、前
端を前記制動油圧室に臨ませてブースタピストンに嵌合し、ブースタピストンの
前進時にはそれと共に前進するが単独でも前進し得る内側ピストンと、この内側
ピストンに軸方向進退可能に連結した入力杆と、ブースタ本体内の、流体圧源に
連なる入力流体圧室及び前記出力流体圧室間を結ぶ流路に設けられ、入力杆の後
退時に閉弁し前進時に開弁するよう入力杆に連動した入口弁と、前記出力流体圧
室及び流体タンク間を結ぶ流路に設けられ、入力杆の後退時に開弁し前進時に閉
弁するよう入力杆に連動した出口弁とを備え、前記内側ピストンは、ブースタ本
体の後端壁を摺動自在に貫通して、後端をブースタ本体後方に突出させているこ
とを特徴とする、流体圧ブースタ。
Family
ID=
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